(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112933
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】乗数モードを用いる高周波(RF)パルスインピーダンス同調
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240814BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01L21/302 101G
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024084068
(22)【出願日】2024-05-23
(62)【分割の表示】P 2021505925の分割
【原出願日】2019-08-27
(31)【優先権主張番号】16/117,457
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】川崎 勝正
(72)【発明者】
【氏名】フィ ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】ラマスワミ カーティク
(72)【発明者】
【氏名】ショージ セルジオ フクダ
(72)【発明者】
【氏名】清水 大亮
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本明細書では、RFパルス反射低減のための方法が提供される。
【解決手段】いくつかの実施形態では、マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ基板処理システムで基板を処理する方法は、複数のRF発生器からの複数のパルスRF電力波形を含む、基板を処理するための処理レシピを受け取る工程と、マスターRF発生器を使用して、基本周波数及び第1デューティサイクルを有するトランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号を生成する工程と、各RF発生器に対する乗数を設定する工程と、第1デューティサイクルを高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程と、各RF発生器に対する周波数コマンドセットを決定し、周波数コマンドセットを各RF発生器へ送信する工程であって、周波数コマンドセットは各RF発生器に対する周波数設定点を含んでいる工程と、複数のパルスRF電力波形を複数のRF発生器から処理チャンバへ提供する工程とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ基板処理システムで基板を処理する方法であって、
複数のRF発生器からの複数のパルスRF電力波形を含む、基板を処理するための処理レシピを受け取る工程であって、複数のRF発生器はマスターRF発生器及び1つ以上のスレーブRF発生器を含んでいる工程と、
マスターRF発生器を使用して、基本周波数及び第1デューティサイクルを有するトランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号を生成する工程と、
各RF発生器に対する乗数を設定する工程であって、乗数は基本周波数の倍数である工程と、
第1デューティサイクルを高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程と、
各RF発生器に対する周波数コマンドセットを決定し、周波数コマンドセットを各RF発生器へ送信する工程であって、周波数コマンドセットは各RF発生器に対する周波数設定点を含んでいる工程と、
各RF発生器へ送信された周波数コマンドセットに従って、複数のパルスRF電力波形を複数のRF発生器から処理チャンバへ提供する工程とを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、基板を処理するために使用されるRF電力供給方法に関する。
【背景】
【0002】
従来の高周波(RF)プラズマ処理(多くの半導体デバイスの製造段階で使用されるRFプラズマ処理など)では、RFエネルギーを、RFエネルギーソースを介して基板処理チャンバへ供給してもよい。RFエネルギーを、連続波方式又はパルス波方式で生成及び供給してもよい。RFエネルギーソースのインピーダンスと処理チャンバで形成されたプラズマとの不整合により、RFエネルギーはRFエネルギーソースへ反射され、その結果、RFエネルギーの非効率的な使用とエネルギーの浪費、処理チャンバ又はRFエネルギーソースの潜在的な損傷、及び基板処理に関する潜在的な非一貫性/非再現性の問題が生じる。こうして、RFエネルギーは、固定式の又は同調可能な整合ネットワークを介して処理チャンバ内のプラズマにしばしば結合される。この整合ネットワークは、RFエネルギーソースのインピーダンスにプラズマのインピーダンスをより厳密に整合させることにより、反射RFエネルギーを最小化するように動作する。整合ネットワークは、RFソースの出力をプラズマに効率的に結合させて、プラズマに結合されるエネルギー量を最大化しようとする(例えば、RF電力供給の同調と呼ばれる)。したがって、整合ネットワークは、合計インピーダンス(すなわち、プラズマインピーダンス+チャンバインピーダンス+整合ネットワークインピーダンス)を、RF電力供給の出力インピーダンスと同じになるように調整しようとする。いくつかの実施形態では、RFエネルギーソースでも、周波数同調を、又はRFエネルギーソースによって供給されるRFエネルギーの周波数の調整を可能として、インピーダンス整合を支援してもよい。
【0003】
複数の電力レベルでパルス化された複数の別個のRF電力信号を使用する処理チャンバでは、通常は、同期RFパルスが使用される。しかしながら、発明者らは、様々なRFパルス方式で、多数のインピーダンス変化が発生することによりインピーダンス同調が困難になることをよく見てきた。すなわち、整合ネットワーク及び/又はRF発生器は、反射電力が変化するにつれて、反射電力に対して適切に同調できない。
【0004】
したがって、発明者らは、可変コンデンサ/インダクタを使用することに加えて、1つ以上の可変周波数発生器を使用する、RFパルス同調のための改良版の方法及び装置を提供し、諸処理チャンバでのRFパルス反射を有益にも最小化した。なお、これらの処理チャンバでは、単一のデューティサイクルの間に複数の電力レベルでパルス化された複数の別個のRF電力信号が使用される。
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、RFパルス反射低減のための方法及びシステムが提供される。いくつかの実施形態では、マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ基板処理システムで基板を処理する方法は、複数のRF発生器からの複数のパルスRF電力波形を含む、基板を処理するための処理レシピを受け取る工程であって、複数のRF発生器はマスターRF発生器及び1つ以上のスレーブRF発生器を含んでいる工程と、マスターRF発生器を使用して、基本周波数及び第1デューティサイクルを有するトランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号を生成する工程と、各RF発生器に対する乗数を設定する工程であって、乗数は基本周波数の倍数である工程と、第1デューティサイクルを高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程と、各RF発生器に対する周波数コマンドセットを決定し、周波数コマンドセットを各RF発生器へ送信する工程であって、周波数コマンドセットは各RF発生器に対する周波数設定点を含んでいる工程と、各RF発生器へ送信された周波数コマンドセットに従って、複数のパルスRF電力波形を複数のRF発生器から処理チャンバへ提供する工程とを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、非一時的なコンピューター可読媒体が格納する命令は、実行されたときにプラズマ基板処理システムを動作させる方法を実行させる。この方法は、複数のRF発生器からの複数のパルスRF電力波形を含む、基板を処理するための処理レシピを受け取る工程であって、複数のRF発生器はマスターRF発生器及び1つ以上のスレーブRF発生器を含んでいる工程と、マスターRF発生器を使用して、基本周波数及び第1デューティサイクルを有するTTL信号を生成する工程と、各RF発生器に対する乗数を設定する工程であって、乗数は基本周波数の倍数である工程と、第1デューティサイクルを高レベル間隔と低レベル間隔に分割する工程と、各RF発生器に対する周波数コマンドセットを決定し、周波数コマンドセットを各RF発生器へ送信する工程であって、周波数コマンドセットは各RF発生器に対する周波数設定点を含んでいる工程と、各RF発生器へ送信された周波数コマンドセットに従って、複数のパルスRF電力波形を複数のRF発生器から処理チャンバへ提供する工程とを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、基板処理システムは、第1デューティサイクルの間に処理チャンバへ複数のRF電力波形を供給するように構成された複数のRF発生器であって、マスターRF発生器及び1つ以上のスレーブRF発生器を含む複数のRF発生器と、複数のRF発生器に接続されたパルスコントローラと、複数のRF発生器、処理チャンバ、及びパルスコントローラの各々に接続された少なくとも1つの整合ネットワークであって、複数のRF電力波形に対する反射電力又はインピーダンスを測定するように構成された少なくとも1つの測定装置と、少なくとも1つの可変整合構成要素とを含む少なくとも1つの整合ネットワークとを備え、パルスコントローラ又は少なくとも1つの整合ネットワークのうちの少なくとも1つは、基板を処理するための処理レシピを受け取り、複数のRF発生器の少なくとも1つに対する乗数であって、マスターRF発生器によって生成されたTTL信号の基本周波数の倍数である乗数を設定し、TTL信号の第1デューティサイクルを高レベル間隔と低レベル間隔に分割し、各RF発生器に対する周波数コマンドセットであって、各RF発生器に対する周波数設定点を含む周波数コマンドセットを決定して各RF発生器へ周波数コマンドセットを送信し、各RF発生器へ送信された周波数コマンドセットに従って、各RF発生器から処理チャンバへRF電力波形を提供するように構成されている。
【0008】
本開示の他のさらなる実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上記に簡単に要約され、以下により詳細に論じられる本開示の実施形態は、添付の図面に示される本開示の例示的な実施形態を参照することによって理解され得る。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態を許容し得るため、添付図面は、本開示のいくつかの実施形態のみを示しており、したがって、範囲を限定すると見なすべきではない。
【
図1】本開示のいくつかの実施形態によるプラズマリアクタを示す。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、マスターRF発生器及び1つ以上のスレーブRF発生器の配線図を示す。
【
図3C】本開示のいくつかの実施形態による、RF信号のパルス波形を示す。
【
図4D】本開示のいくつかの実施形態による、パルス波形間の位相変化を示す。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による、第1デューティサイクルの複数のパルス電力波形を示す。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による、同調アルゴリズムを採用するための例示的な装置を示す。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による、処理チャンバ内のRFパルス反射低減のための方法のフローチャートを示す。
【0010】
理解を容易にするため、可能な場合には、同一の符号を使用してこれらの図面に共通の同一の要素を示す。これらの図は一定の縮尺で描かれておらず、明快さを優先して簡略化されている場合がある。1つの実施形態の要素及び構成は、具体的な記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれ得る。
【詳細な説明】
【0011】
本開示の諸実施形態は、可変コンデンサ/インダクタを使用することに加えて、1つ以上の可変周波数発生器を使用する、RFパルス同調のための改善された方法及び装置を提供する。具体的には、改善された方法と装置は、少なくとも2つの同調自由度を使用して、少なくとも1つの可変コンデンサ/インダクタと、1つ以上の可変周波数発生器によって生成された1つ以上の可変周波数を使用することによって、インピーダンス整合を実行する。1つ以上の可変周波数発生器によって生成される周波数は、迅速に(すなわち、マイクロ秒レベルで)変更され得るので、単一のRFパルスサイクル内での総進行波電力の変化によって生じる新たなインピーダンスへすばやく調整され、同調する。本開示と合致する諸実施形態では、RF整合ネットワークは、周波数コマンドセットをRF周波数発生器へ送信する。次に、RF発生器は、単一のRFパルスサイクルに対して単一の周波数又は複数の周波数を有するRFパルス出力を生成して、単一のRFパルスサイクル内の各間隔に対する反射電力を最小化する。可変コンデンサ/インダクタは、計算された目標インピーダンス値へ同調される。本開示と合致する諸実施形態は、処理チャンバ内のRFパルス反射を有益にも最小化する。この処理チャンバは、単一のデューティサイクルの間に複数の電力レベルでパルス化される複数の別個のRF電力信号を使用しており、そのために、1つ以上の可変コンデンサ/インダクタの使用に加えて、1つ以上の可変周波数発生器を使用する。
【0012】
図1は、本明細書に開示される方法を実行するために利用され得るプラズマリアクタを示す。この方法を、(例えば、
図1に示されるような)容量結合プラズマリアクタ又は他の任意の適切なプラズマリアクタ(誘導結合プラズマリアクタなど)で実行してもよい。ただし、発明者らは、この方法が特に有益であり得るのは、例えば、高バイアス電力(例えば、約2000W以上)と低ソース電力(例えば、約500W以下)が使用される、容量結合プラズマリアクタであることに気づいた。それは、望ましくないチャージ効果が、例えば誘導結合プラズマ処理チャンバよりも、はるかに深刻になり得るからである。いくつかの実施形態では、発明者らは、本方法は、DCバイアス(V
DC)、V
RF、又はプラズマシース電圧のうちの少なくとも1つが約1000V以上である構成において特に利点を提供することを発見した。
【0013】
図1のリアクタは、円筒形側壁102、床103及び蓋104によって囲まれたチャンバ100を備える。いくつかの実施形態では、蓋104は、オリフィス109を有するガス分配プレート108の上にあるガスマニホールド106を備えるガス分配シャワーヘッドであってもよい。ここで、オリフィス109はガス分配プレート108を貫通して形成されている。ガスマニホールド106は、ガス供給入口111を有するマニホールドエンクロージャ110によって囲まれている。ガス分配シャワーヘッド(すなわち、蓋104)は、絶縁リング112によって円筒形側壁102から電気的に絶縁されている。ターボ分子ポンプなどの真空ポンプ114は、チャンバ100を排気することができる。ガスパネル120は、ガス供給入口111へ送られる種々の処理ガスの個別の流量を制御する。チャンバの床103を貫通して支持されている支持台座136は、絶縁上面と内部電極(ウェハ支持電極138)とを有してもよい。内部電極を使用して、例えば、支持台座136の上面で基板137を掴んでもよい。
【0014】
複数のRF発生器140、144、148及び150からチャンバ100へ電力を印加してもよい。複数のRF発生器140、144、148及び150は、マスターRF発生器140と、1つ以上のスレーブRF発生器144、148及び150とを含む。プラズマソース電力は、インピーダンス整合ネットワーク142を介して、マスターRF発生器140から蓋104(本明細書ではガス分配シャワーヘッドとも呼ばれる)に印加される。蓋すなわちガス分配シャワーヘッドは、例えばアルミニウムなどの導電性材料で形成されているため、蓋電極として機能する。いくつかの実施形態では、マスターRF発生器140は、100から200MHzの範囲などのVHF帯域の高域でVHF電力を生成してもよい。マスターRF発生器140は、所望のパルスレート及びデューティサイクルで生成された電力にパルス化する能力を有する。例えば、マスターRF発生器140はパルス制御入力140aを有するが、それは、パルスレート及び/又はデューティサイクル、並びにマスターRF発生器140によって生成された各パルスの位相を規定する制御信号を受信するためである。
【0015】
図1に示す実施形態では、プラズマバイアス電力又はプラズマソース電力が、インピーダンス整合ネットワーク146を介して第1スレーブRF発生器144から、インピーダンス整合ネットワーク149を介して第2スレーブRF発生器148から、インピーダンス整合ネットワーク152を介して第3スレーブRF発生器150から、ウェハ支持電極138に印加される。例えば、第1スレーブRF発生器144はプラズマソース電力を印加してもよく、他方、第2スレーブRF発生器148及び第3スレーブRF発生器150はプラズマバイアス電力を印加してもよい。1つ以上のスレーブRF発生器144、148、150は、短波(HF)又は長波(LF)の電力をLF帯域からHF帯域の低域まで(30kHzから5MHzの範囲など)で生成してもよい。例えば、第1スレーブRF発生器144、第2スレーブRF発生器148及び第3スレーブRF発生器150は、それぞれ約2MHz、約400kHz及び約100kHzで電力を生成してもよい。1つ以上のスレーブRF発生器144、148、150は、所望のパルスレート及びデューティサイクルで生成された電力にパルス化する能力を有する。例えば、1つ以上のスレーブRF発生器144、148、150は、パルス制御入力144a、148a、150aを有するが、それは、パルスレート及び/又はデューティサイクル、並びに1つ以上のスレーブRF発生器144、148、150によって生成された各パルスの位相を規定する制御信号を受信するためである。1つ以上のスレーブRF発生器144、148、150は、独立してパルス制御、位相制御及び/又はデューティサイクル制御され得る。さらに、1つ以上のスレーブRF発生器144、148、150は、同期的又は非同期的にパルス化されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、インピーダンス整合ネットワーク142、146、149及び152を、1つ以上のコンデンサ及び/又はインダクタによって形成してもよい。コンデンサの値を電子的又は機械的に同調させて、インピーダンス整合ネットワーク142、146、149及び152の各々の整合を調整してもよい。低電力システムでは、1つ以上のコンデンサを機械的に同調させるのではなく、電子的に同調させてもよい。いくつかの実施形態では、インピーダンス整合ネットワーク142、146、149及び152は、同調可能なインダクタを有し得る。いくつかの実施形態では、インピーダンス整合ネットワーク142、146、149及び152で使用される1つ以上のコンデンサは、1つ以上の固定コンデンサ又は直列コンデンサであってもよい。他の諸実施形態では、インピーダンス整合ネットワーク142、146、149及び152で使用される1つ以上のコンデンサは、可変コンデンサであってもよい。この可変コンデンサを電子的又は機械的に同調させて、インピーダンス整合ネットワーク142、146、149及び152の整合を調整しても良い。いくつかの実施形態では、インピーダンス整合ネットワーク142、146、149及び152のうちの1つ以上は、接地への容量性短絡を有し得る。
【0017】
図2は、
図1に示す実施形態によるマスターRF発生器及び1つ以上のスレーブRF発生器の配線図を示す。マスターRF発生器140を、高速リンクケーブル153及びRFケーブル155を介してインピーダンス整合ネットワーク142に接続してもよい。マスターRF発生器140を、高速リンクケーブル172を介して第1スレーブRF発生器144に接続してもよい。マスターRF発生器140を、高速リンクケーブル174を介して第2スレーブRF発生器148に接続してもよい。マスターRF発生器140を、高速リンクケーブル176を介して第3スレーブRF発生器150に接続してもよい。マスターRF発生器140を、高速リンクケーブル153、182及び184を介してインピーダンス整合ネットワーク142、146及び152にそれぞれ接続してもよい。
【0018】
第1スレーブRF発生器144を、RFケーブル202及び高速リンクケーブル212を介してインピーダンス整合ネットワーク146に接続してもよい。第2スレーブRF発生器148を、RFケーブル204及び高速リンクケーブル214を介してインピーダンス整合ネットワーク149に接続してもよい。第3スレーブRF発生器150を、RFケーブル206及び高速リンクケーブル216を介してインピーダンス整合ネットワーク152に接続してもよい。
【0019】
上記のインピーダンス整合ネットワークは単なる例示であり、本明細書で提供される教示に従って、整合ネットワークを同調させるための1つ以上の調整可能な要素を有するインピーダンス整合ネットワークの他の様々な構成を利用し、同調させてもよい。例えば、
図6は、本開示のいくつかの実施形態によるスマートな同調アルゴリズムを採用するための例示的な装置を示す。RF発生器602は、
図1の複数のRF発生器140、144、148及び150の概略表示である。
【0020】
図6では、RF発生器602を、RFケーブル151及び1つ以上の高速リンクケーブル153を介してRF整合ネットワーク604に接続してもよい。RF整合ネットワーク604は、1つ以上のインピーダンス整合ネットワーク142、146、149、152の概略表示である。RF整合ネットワーク604は、1つ以上の整合センサ又はインピーダンス測定装置(例えば、VIプローブ/センサ606)と、CPU130と、可変インピーダンス整合構成要素608(例えば、可変コンデンサ/インダクタ)と、固定構成要素Z
2、610(例えば、固定コンデンサ/インダクタ)とを含み得る。可変インピーダンス整合構成要素608は、1つ以上の可変コンデンサ及び/又はインダクタを備えて、所望のインピーダンス整合を提供してもよい。複数の直列ケーブルを使用して、タイミング信号をRF発生器602及びRF整合ネットワーク604に供給してもよい。こうして、上記構成において、反射電力を低減/最小化することが可能になる(すなわち、システムを同調させることが可能になる)が、そのために、可変インピーダンス整合構成要素608を、以下で説明するように、計算された目標インピーダンスへ同調させ、発生器によって提供される周波数/電力を変化させて、2自由度の同調自由度(すなわち、可変インピーダンス整合構成要素608及び可変周波数)を提供する。
【0021】
コントローラ160は、複数のRF発生器140、144、148、150のパルス制御入力140a、144a、148a、150aの各々にパルス制御信号を印加して、マスターRF発生器140とスレーブRF発生器144、148、150のパルス間に所望の位相の進み若しくは遅れ関係及び/又はデューティサイクル関係を生成するようにプログラム可能である。コントローラ160はまた、ツールチャンバ/処理チャンバの他の態様を制御してもよい。
図1では別個の構成要素として示されているが、いくつかの実施形態では、コントローラ160は、各RF発生器の内部に配置され得る。同期信号は、マスターRF発生器(例えば、マスターRF発生器140)で生成され、他のスレーブ発生器(例えば、スレーブRF発生器144、148及び/又は150)へ送信される。
【0022】
いくつかの実施形態では、RF発生器140、144、148及び150、インピーダンス整合ネットワーク142、146、149及び152、並びに/又はコントローラ160は、中央処理装置(CPU)130と、複数のサポート回路134と、メモリ132とを備える。複数のRF発生器140、144、148及び150、インピーダンス整合ネットワーク142、146、149及び149、並びにコントローラ160の本例示的実施形態を、CPU、サポート回路及びメモリを有するコンピューターに関して説明しているが、当業者は、複数のRF発生器140、144、148及び150、インピーダンス整合ネットワーク142、146、149及び152、並びにコントローラ160は、様々な様式で実装され得ることを認識するであろう。その様々な様式には、特定用途向けインターフェイス回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SOC)などが含まれる。また、コントローラ160の様々な実施形態を、当技術分野で知られているような対応する入力/出力インターフェイスを有する他の処理ツールコントローラ内に統合してもよい。
【0023】
サポート回路134は、ディスプレイ装置及び他の回路を備えて、CPU130の機能をサポートしてもよい。その種の回路には、クロック回路、キャッシュ、電源、ネットワークカード、ビデオ回路などが含まれ得る。
【0024】
メモリ132は、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、リムーバブルメモリ、ディスクドライブ、光学ドライブ、及び/又は他の形態のデジタルストレージを含んでもよい。メモリ132は、オペレーティングシステム及びサブファブ制御モジュールを格納するように構成される。オペレーティングシステムは、複数のRF発生器140、144、148及び150、インピーダンス整合ネットワーク142、146、149及び152、並びにコントローラ160の一般的な動作の制御を実行する。この動作には、様々な処理、アプリケーション、及びモジュールの実行を容易にして、1つ以上のRF発生器140、144、148及び150、又はインピーダンス整合ネットワーク142、146、149及び152を制御することにより、ここで説明する方法(例えば、以下で説明する方法600)を実行することが含まれている。
【0025】
さらに、DC発生器162を、ウェハ支持電極138及び蓋104のいずれか(又は両方)に接続してもよい。いくつかの実施形態では、DC発生器162は、連続DC及び/又は可変DCを供給し得る。いくつかの実施形態では、DC発生器162は、パルスDC電力を供給してもよい。DC発生器のパルス繰り返しレート、位相、及びデューティサイクルは、コントローラ160によって制御される。DC絶縁コンデンサ164、166、168をそれぞれ設けて、RF発生器148、144、150の各々をDC発生器162から絶縁してもよい。DC発生器によって生成されたDC信号を、RF発生器140、144、148及び150によって生成されたRF信号と同期させて、基板137のチャージアップの低減又はプラズマリアクタで形成されたプラズマを使用した基板のエッチングの速度制御の改善などの利点を提供してもよい。
【0026】
図3Aは、複数のRF発生器140、144、148、150の各々のパルスRF出力を反映し得る時間領域波形図を示している。ここには、RF発生器140、144、148、150の各々に対して個別にコントローラ160によって制御される以下のパラメータによって特徴付けられた、パルスRF出力のパルス包絡線が示されている。それは、パルス持続時間t
P、パルス「オン」時間t
ON、パルス「オフ」時間t
OFF、パルス周波数1/t
P、及びパルスデューティサイクル(t
ON/t
P)×100(パーセント)である。パルス持続時間t
Pは、t
ONとt
OFFの合計である。
【0027】
図3B及び3Cは、2つのRFパルス信号の同時時間領域波形を示している。この2つのRFパルス信号は、位相とデューティサイクルが同一で、それゆえにそれらの位相差がゼロになるような方法で共に同期されている。
図3B及び3Cに示される例示的な実施形態は、第1パルスRF信号(例えば、パルスマスター信号)と第2パルスRF信号(例えば、パルススレーブ信号)との間の同期の1つの例示的な形である。図示のように、各パルス信号の位相とデューティサイクルは両方とも同じである。
【0028】
本開示のいくつかの実施形態では、複数のRF発生器140、144、148及び150によって提供されるパルス信号は、位相が変化する。
図4Aから4Dは、コントローラ160により位相差がどのように変化するかを示しており、それぞれ0°、90°、180°、270°の位相差でのソース又はマスター及びバイアス又はスレーブの電力波形を重ね合わせて示している。ここで、位相差は、第2パルス出力の第1パルス出力に対する遅れとして定義されている。
図4Aは、
図3Bの位相差ゼロの実施例に対応している。
図4Bは、バイアス電力パルス出力がソース電力パルス出力より90°遅れている場合を示している。
図4Cは、バイアス電力パルス出力がソース電力パルス出力より180°遅れている場合を示している。
図4Dは、バイアス電力パルス出力がソース電力パルス出力より270°遅れている場合を示している。
図4A~4Bは、位相が変化する2つのパルスRF信号のみを示しているが、本開示と合致する諸実施形態では、位相が変化する3つ以上のパルスRF信号も含み得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、RF包絡線の位相の進み又は遅れを制御することにより、プラズマをパルス化しながらエッチング速度を高めてもよい。ソースとバイアスが独立に位相をずらしてパルス化されている場合、又は多様なデューティサイクルでパルス化されている場合、超短波(VHF)と長波(LF)の異なるプラズマダイナミクスにより、パルス全体にわたってより良好なプラズマ充填が可能になる。いくつかの実施形態では、約162MHzのソース周波数のVHFの組み合わせが、約2MHzの第1バイアス周波数、約400kHzの第2バイアス周波数、及び約100kHzの第3バイアス周波数と共に使用される。
【0030】
マスターRF発生器140は、基本周波数及び第1デューティサイクルを有するトランジスタ-トランジスタ論理(TTL)信号を生成し得る。
図5は、基板を処理するための基板処理レシピと関連付けられたパルスRF電力の第1デューティサイクルを示す。
図5に示す実施例では、基板を処理するために、この基板処理レシピに4つの別個のパルスRF波形を提供する必要がある。
図5は、本開示のいくつかの実施形態に基づいて連続的に供給され得るか、又は複数の電力レベルでパルス化され得る複数の別個のRF電力信号を示している。
図5は、マルチ周波数のRFミキシングにマルチレベルパルス(MLP)を使用するマルチストロークサイクルパルス(MSCP)を示している。いくつかの実施形態では、シングルレベルパルス(SLP)(すなわち、オン/オフパルス波形)と連続波形(CW)を使用してもよい。いくつかの実施形態では、デュアルレベルパルス化(DLP)(すなわち、高電力/低電力パルス波形)を使用してもよい。いくつかの実施形態では、トリプルレベルパルス化(TLP)(すなわち、高電力/低電力/オフパルス波形)を使用してもよい。
【0031】
図5には、4つの別個のRF電力波形が示されている。それらは、マスターRF電力波形502、第1スレーブRF電力波形504、第2スレーブRF電力波形506、及び第3スレーブRF電力波形508である。図示のように、マスターRF電力波形502はTLP波形を有し、第1スレーブRF電力波形504はTLP波形を有し、第2スレーブRF電力波形506はDLP波形を有し、第3スレーブRF電力波形508はSLP波形を有する。
【0032】
4つの別個のRF電力波形502、504、506及び506の各々を、互いに独立した複数の電力レベルかつ異なる位相で、又は本開示の実施形態と合致する様々なデューティサイクルで、提供してもよい。RF電力波形502、504、506及び508を、1つ以上のソース及びバイアスRF発生器(例えば、複数のRF発生器140、144、148及び150)によって提供してもよい。2つ以上のパルスRF電力波形がある実施形態では、別個のパルスRF電力波形を、互いに同期してパルス化させてもよい。いくつかの実施形態では、別個のRF電力波形を、非同期でパルス化させてもよい。
【0033】
4つの別個のRF電力波形の各々を、TTL信号の基本周波数の整数倍の周波数でパルス化するように設定してもよい。標準的な乗数モードなどのいくつかの実施形態では、すべてのスレーブRF電力波形は同一のパルス周波数を有する。ユニバーサルな乗数モードなどのいくつかの実施形態では、各スレーブRF電力波形は、同じ又は異なるパルス周波数を有してもよい。マスターRF電力波形502は1の乗数(すなわち、TTL信号の基本周波数と同じ周波数)を有してもよい。
図5では、マスターRF電力波形502は2の乗数を有している(すなわち、マスターRF電力波形は、TTL信号の基本周波数の2倍の周波数でパルス化される)。第1スレーブRF電力波形504は1の乗数を有する。第2スレーブRF電力波形506は3の乗数を有する。第3スレーブRF電力波形508は4の乗数を有する。
【0034】
図5では、TTL信号は時間t
0に導入され、第1デューティサイクル520を有する。第1デューティサイクル520は、高レベル間隔522と低レベル間隔524とに分割され得る。高レベル間隔522は、TTL信号の立ち上がり526及び立ち下がり527と一致する。低レベル間隔524は、TTL信号の立ち下がり527及びその後の立ち上がり528と一致する。マスターRF電力波形502は、時間t
0に導入されて、第1電力レベルの第1電力パルス510と、第2電力レベルの第2電力パルス512と、ゼロ電力レベルの第3電力パルス514とを含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、マスターRF電力波形502の周波数は、約2MHzから約200MHzであってもよい。いくつかの実施形態では、マスターRF電力波形502の電力レベルは、約200ワットから約5.0kW(例えば、3.6kW)であってもよい。マスターRF電力波形502がパルス化されている場合、第2電力レベルの値は第1電力レベルの約0~100%であってもよい。他の諸実施形態では、第2電力レベルは第1電力レベルより大きくてもよい。
【0036】
第1スレーブRF電力波形504もまた、(図示のように)時間t
0に、又は遅延期間525の後に導入されてもよい。第1スレーブRF電力波形504は、第1電力レベルの第1電力パルス530と、第2電力レベルの第2電力パルス532と、第3電力レベルの第3電力パルス534とを含んでもよい。
図5に例示するように、第1電力パルス530は、第2電力パルス532及び第3電力パルス534に先行する。所望であれば、追加の電力パルスをその順序で、又は異なる順序で提供してもよい。
図5に示すように、第1電力パルス530を高電力レベルで提供してもよく、第2電力パルス532を第1電力パルス530よりも低い低電力レベルで提供してもよく、第3電力パルス534をゼロ電力レベルで提供してもよい。いくつかの実施形態では、各電力パルス530、532及び534が印加される各期間の長さは、互いに異なっていてもよい。他の諸実施形態では、各電力パルス530、532及び534が印加される各期間の長さは、互いに同等であってもよい。いくつかの実施形態では、第1スレーブRF電力波形504を、約1MHzから約3MHzの周波数で提供してもよい。他の諸実施形態では、上述のような他の周波数を使用してもよい。
【0037】
第2スレーブRF電力波形506もまた、(図示のように)時間t
0に、又は遅延期間525の後に導入されてもよい。いくつかの実施形態では、第2スレーブRF電力波形506は、マスターRF電力波形502及び/又は第1スレーブRF電力波形504に関して上述したものと同様の構成を備えてもよい。いくつかの実施形態では、第2スレーブRF電力波形506は、第1電力レベルの第1電力パルス540と、第2電力レベルの第2電力パルス542とを含み得る。
図5に示すように、第1電力パルス540を低電力レベルで提供してもよく、第2電力パルス532を第1電力レベル540よりも高い高電力レベルで提供してもよい。
【0038】
第3スレーブRF電力波形508もまた、時間t
0に、又は(図示のように)遅延期間525の後に導入されてもよい。いくつかの実施形態では、第3スレーブRF電力波形506は、マスターRF電力波形502、第1スレーブRF電力波形504、又は第2スレーブRF電力波形506に関して上述したものと同様の構成を備えてもよい。いくつかの実施形態では、第3スレーブRF電力波形508は、第1電力レベルの第1電力パルス550と、第2電力レベルの第2電力パルス552とを含み得る。
図5に示すように、第1電力パルス550をゼロ電力レベルで提供してもよく、第2電力パルス552を高電力レベルで提供してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、別個のRF電力波形のデューティサイクルは同期している。いくつかの実施形態では、TTL信号は、DC発生器162によって提供されるタイミング信号であってもよい。
【0040】
図5では、高レベル間隔522及び低レベル間隔524が提供される。CPU130は、高い平均インピーダンス値を計算するように構成される。この高い平均インピーダンス値とは、高レベル間隔にわたる平均インピーダンス値である。CPUは、低い平均インピーダンス値を計算するように構成される。この低い平均インピーダンス値とは、低レベル間隔にわたる平均インピーダンス値である。CPU130は、計算された高い平均インピーダンス値及び低い平均インピーダンス値に基づいて目標インピーダンス値を計算するように構成される。いくつかの実施形態では、目標インピーダンス値は、高い平均インピーダンス値及び低い平均インピーダンス値の平均値である。いくつかの実施形態では、目標インピーダンス値は、低い平均インピーダンス値よりも高い平均インピーダンス値に近い。いくつかの実施形態では、目標インピーダンス値は、高い平均インピーダンス値よりも低い平均インピーダンス値に近い。1つ以上のRF整合ネットワークは、目標インピーダンスへ同調して有益にも平均反射電力を最小化するように構成される。TTL信号の新しいデューティサイクルごとに、システムが同調して、供給された総進行波電力に基づき、新しい反射電力に対して補償する。
【0041】
反射電力をさらに最小化するために、本発明者らは、上記の装置を活用した方法を開発した。この装置が複数のRF電力波形をより速く同調させて平均反射電力を最小化する時に使用する方法を、
図6に示し、以下で説明する。本開示と合致する諸実施形態では、方法600は、1つ以上のRF整合ネットワーク604、1つ以上のRF発生器602、又はコントローラ160によって実行され得る。
【0042】
方法700は工程702から始まり、ここで基板を処理するための処理レシピを受け取る。処理レシピは、複数のRF発生器140、144、148及び150からの複数のパルスRF電力波形(すなわち、502、504、506及び508)を含む。複数のRF発生器は、マスターRF発生器140と、1つ以上のスレーブRF発生器144、148及び150とを含む。工程704で、マスターRF発生器140を使用して、基本周波数及び第1デューティサイクルを有するTTL信号を生成することができる。工程706で、複数のRF発生器140、144、148及び150の各々に対して乗数が設定される。いくつかの実施形態では、複数のRF発生器140、144、148及び150のうちの少なくとも1つに対して乗数が設定される。乗数は整数値である。工程708で、第1デューティサイクルは、高レベル間隔522と低レベル間隔524に分割される。高レベル間隔522は、TTL信号の検出された立ち上がり及びTTL信号の検出された立ち下がりの持続時間と一致する。低レベル間隔524は、TTL信号の検出された立ち下がり及びTTL信号の検出されたその後の立ち上がりの持続時間と一致する。いくつかの実施形態では、CPU130は、TTL立ち上がり及びTTL立ち下がりのタイミングを受信することができる。
【0043】
工程710で、各RF発生器に対する周波数コマンドセットを決定する。ここで、周波数コマンドセットは周波数設定点を含む。いくつかの実施形態では、周波数コマンドセットは、RF整合ネットワーク(例えば、RF整合ネットワーク604)によって決定される。周波数コマンドセットは、第1デューティサイクルに対する周波数及び/又は電力設定点を含む。いくつかの実施形態では、周波数コマンドセットは、RF整合ネットワーク及びRF発生器に通信可能に接続されたコントローラ(例えば、コントローラ160)を介してRF整合ネットワークによって間接的にRF発生器へ送信される。RF発生器140、144、148及び150の各々に対して決定された周波数コマンドセットは、周波数コマンドセットと関連付けられた対応するRF発生器140、144、148及び150へ送信される。いくつかの実施形態では、周波数コマンドセットを、高速リンクケーブル153、212、214、216を介してそれぞれの発生器へ送信してもよい。他の諸実施形態では、周波数コマンドセットを、コントローラ160を介してそれぞれの発生器へ送信してもよい。
【0044】
周波数コマンドセットを決定する工程は、CPU130が高レベル間隔にわたる高い平均インピーダンス値と低レベル間隔にわたる低い平均インピーダンス値とを計算する工程を含んでもよい。次に、CPU130は、高い平均インピーダンス値及び低い平均インピーダンス値に基づいて目標インピーダンスを計算してもよい。1つ以上のRF整合ネットワークを、1つ以上のRF整合ネットワーク内に配置された可変整合構成要素(例えば、可変コンデンサ/インダクタ)を使用して目標インピーダンスへ同調させてもよい。可変インピーダンス整合構成要素は、可変コンデンサ又はインダクタのうちの少なくとも1つを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、インピーダンス整合ネットワーク142、146、149及び152内の可変インピーダンス整合構成要素608の各々は、計算された同じ目標インピーダンス値へ同調する。
図7には、単一のデューティサイクルの間に生じるプロセスが示されており、必要に応じてこのプロセスを繰り返して基板を処理してもよい。本開示と合致するいくつかの実施形態では、処理レシピは全てのデューティサイクルに対するRFパルス電力波形を含んでもよく、このRFパルス電力波形は各間隔での周波数及び電力の点で互いに常に同一でなくてもよい。したがって、上記のように、個々のデューティサイクルの各々を別個に分析して分割してもよい。
【0046】
工程712で、複数のRF発生器からの複数のパルスRF電力波形(例えば、502、504、506及び4508)が、第1デューティサイクルの間に各発生器へ送信された周波数コマンドセットに従って、処理チャンバへ提供される。すなわち、RFパルス電力は、工程710で決定された周波数設定点で提供される。場合によっては、前の時間間隔のための前の設定点が、次の時間間隔での設定点と等しい場合、以下で説明するように、測定値に基づいて反射電力を低減するために周波数を調整した場合を除いて、調整の必要はない。
【0047】
工程712の後、各RF整合ネットワーク604でインピーダンス/反射電力を整合センサ606によって測定する。工程712の後に測定されたインピーダンスに基づいて、RF発生器のうちの1つ以上によって提供される周波数及び/又は電力を調整して、反射電力をさらに低減してもよい。これらの微小周波数調整量を、高速リンクケーブル153、212、214、216を介して送信してもよい。この方法を繰り返して工程712へ戻ってきて、後続の時間間隔の開始時にRFパルス電力波形を提供し、反射/電力インピーダンスを測定し、基板の処理が完了するまで周波数/電力を調整する。この時点で、この方法は工程714にて終了する。
【0048】
方法700は、プラズマリアクタの1つ以上のプロセッサによって実行される。このプロセッサとは、例えば、1つ以上のインピーダンス整合ネットワーク(すなわち、整合器)のプロセッサ、1つ以上のRF発生器のプロセッサ、パルスコントローラのプロセッサなどである。プロセッサの例には、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置(CPU)などがある。
【0049】
開示された実施形態は、コンピューターシステムに格納されたデータを含む様々なコンピューター実行操作を使用することができる。これらの動作は、物理量の物理的な操作を必要とするものである。実施形態の一部を形成する、本明細書に記載の動作のいずれも有用な機械動作である。実施形態は、これらの動作を実行するためのデバイス又は装置にも関係する。装置を、特殊用途のコンピューター用に特別に構築してもよい。特殊用途のコンピューターとして定められた場合には、コンピューターは、その特殊用途のために動作できる一方で、その特殊用途の一部ではない他の処理、プログラム実行、又はルーチンをも実行し得る。あるいは、コンピューターのメモリ、キャッシュに格納された、又はネットワーク経由で取得された1つ以上のコンピュータープログラムによって選択的にアクティブ化又は構成された汎用コンピューターによって、動作を処理してもよい。ネットワーク経由でデータが取得される場合には、そのデータを、ネットワーク上の他のコンピューター、例えばコンピューティングリソースのクラウドで処理してもよい。
【0050】
1つ以上の実施形態を、非一時的なコンピューター可読媒体上のコンピューター可読コードとして製作し得る。コンピューター可読媒体は、データを格納できる任意のデータストレージであり、後から、コンピューターシステムで読み取ることができる。コンピューター可読媒体の例には、ハードドライブ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、ROM、RAM、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、CD書き込み可能媒体(CD-R)、CD書き換え可能媒体(CD-RW)、磁気テープ、その他の光学式及び非光学式のデータ記憶装置がある。コンピューター可読媒体が、ネットワーク接続されたコンピューターシステム上に分散されたコンピューター可読有形媒体を含み得ることで、コンピューター可読コードは分散様式で格納及び実行される。
【0051】
上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他のさらなる実施形態は、その基本的な範囲から逸脱することなく創作され得る。