(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113174
(43)【公開日】2024-08-21
(54)【発明の名称】エッチング方法およびエッチング装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/302 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
H01L21/302 201A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024094498
(22)【出願日】2024-06-11
(62)【分割の表示】P 2020085747の分割
【原出願日】2020-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099944
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 宏志
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 義樹
(72)【発明者】
【氏名】菊島 悟
(72)【発明者】
【氏名】須賀 隆之
(72)【発明者】
【氏名】林 軍
(72)【発明者】
【氏名】朱 澄亞
(57)【要約】
【課題】SiとOとを含有する膜を高い選択性でエッチングすることができるエッチング方法およびエッチング装置を提供する。
【解決手段】SiとOとを含む材料を選択的にエッチングするエッチング方法は、SiとOとを含む材料を有する基板をチャンバー内に設ける工程と、先に開始される塩基性ガスを供給する第1の期間と、次に開始されるフッ素含有ガスを供給する第2の期間とを繰り返し、第2の期間の少なくとも一部は第1の期間とオーバーラップしないようにする工程と、塩基性ガスおよびフッ素含有ガスの供給により生成された反応生成物を加熱除去する工程とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiとOとを含む材料を選択的にエッチングするエッチング方法であって、
SiとOとを含む材料を有する基板をチャンバー内に設ける工程と、
先に開始される塩基性ガスを供給する第1の期間と、次に開始されるフッ素含有ガスを供給する第2の期間とを繰り返し、前記第2の期間の少なくとも一部は前記第1の期間とオーバーラップしないようにする工程と、
前記塩基性ガスおよび前記フッ素含有ガスの供給により生成された反応生成物を加熱除去する工程と、
を有するエッチング方法。
【請求項2】
前記第1の期間と前記第2の期間とを繰り返す工程は、前記塩基性ガスを供給する前記第1の期間が終了後、連続して前記フッ素含有ガスを供給する前記第2の期間を開始する、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項3】
前記第1の期間と前記第2の期間とを繰り返す工程と、前記反応生成物を加熱除去する工程とを複数回繰り返す、請求項1または請求項2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
前記第1の期間と前記第2の期間とを繰り返す工程は、前記第2の期間が終了した後、前記第1の期間が開始される前に、前記チャンバーのパージを行う、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記フッ素含有ガスは、HFガス、F2ガス、ClF3ガス、NF3ガスから選択される少なくとも一種であり、前記塩基性ガスは、NH3ガス、アミンガスから選択される少なくとも一種である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記フッ素含有ガスはHFガスであり、前記塩基性ガスはNH3ガスであり、前記反応生成物はケイフッ化アンモニウムである、請求項5に記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記第1の期間と前記第2の期間とを繰り返す工程は、80℃以下の温度で行われる、請求項6に記載のエッチング方法。
【請求項8】
前記第1の期間と前記第2の期間とを繰り返す工程は、60~80℃の範囲の温度で行われる、請求項7に記載のエッチング方法。
【請求項9】
前記基板は、SiとNおよび/またはCとを含む材料をさらに有し、前記SiとOとを含む材料は、前記SiとNおよび/またはCとを含む材料に対して選択的にエッチングされる、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項10】
前記SiとOとを含む材料は、SiO2、SiON、SiOCN、SiOCから選択されたものであり、前記SiとNおよび/またはCとを含む材料は、SiN、SiON、SiOCN、SiOC、SiCN、SiCから選択されたものである請求項9に記載のエッチング方法。
【請求項11】
前記SiとOとを含む材料はSiO2膜であり、前記SiとNおよび/またはCとを含む材料はSiN膜またはSiOCN膜である、請求項10に記載のエッチング方法。
【請求項12】
前記反応生成物を加熱除去する工程は、前記チャンバー内で前記基板を加熱しつつ、前記チャンバー内を真空引きすることにより行われる、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項13】
前記反応生成物を加熱除去する工程は、前記チャンバーとは別のチャンバーで行われる、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項14】
SiとOとを含む材料を選択的にエッチングするエッチング装置であって、
SiとOとを含む材料を有する基板を収容するチャンバーと、
前記チャンバー内で前記基板を載置する載置台と、
前記チャンバー内に塩基性ガスとフッ素含有ガスを供給するガス供給部と、
前記チャンバー内を排気する排気部と、
前記載置台上の基板の温度を調節する温調部と、
制御部と、
を具備し、
前記制御部は、先に開始される前記塩基性ガスを供給する第1の期間と、次に開始される前記フッ素含有ガスを供給する第2の期間とを繰り返し、前記第2の期間の少なくとも一部は前記第1の期間とオーバーラップしないようにし、前記塩基性ガスおよび前記フッ素含有ガスの供給により生成された反応生成物を加熱除去するように、前記ガス供給部と、前記排気部と、前記温調部とを制御する、エッチング装置。
【請求項15】
前記フッ素含有ガスは、HFガス、F2ガス、ClF3ガス、NF3ガスから選択される少なくとも一種であり、前記塩基性ガスは、NH3ガス、アミンガスから選択される少なくとも一種である、請求項14に記載のエッチング装置。
【請求項16】
前記フッ素含有ガスはHFガスであり、前記塩基性ガスはNH3ガスであり、前記反応生成物はケイフッ化アンモニウムである、請求項15に記載のエッチング装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記温調部により前記基板の温度を80℃以下に制御する、請求項16に記載のエッチング装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記温調部により前記基板の温度を60~80℃の範囲に制御する、請求項17に記載のエッチング装置。
【請求項19】
前記基板は、SiとNおよび/またはCとを含む材料をさらに有し、前記SiとOとを含む材料は、前記SiとNおよび/またはCとを含む材料に対して選択的にエッチングされる、請求項14から請求項18のいずれか一項に記載のエッチング装置。
【請求項20】
前記SiとOとを含む材料はSiO2膜であり、前記SiとNおよび/またはCとを含む材料はSiN膜またはSiOCN膜である、請求項19に記載のエッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エッチング方法およびエッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、半導体デバイスの製造過程で、チャンバー内でプラズマを生成することなく化学的にエッチングを行う化学的酸化物除去処理(Chemical Oxide Removal;COR)と呼ばれる手法が知られている。CORとしては、基板である半導体ウエハの表面に存在するシリコン酸化膜(SiO2膜)に、フッ素含有ガスであるフッ化水素(HF)ガスと塩基性ガスであるアンモニア(NH3)ガスを用いる技術が知られている(例えば特許文献1、2)。この技術では、HFガスとNH3ガスをシリコン酸化膜と反応させてケイフッ化アンモニウム((NH4)2SiF6;AFS)を生成させ、加熱によりこのケイフッ化アンモニウムを昇華させることにより、シリコン酸化膜がエッチングされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-39185号公報
【特許文献2】特開2008-160000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、SiとOとを含有する膜を高い選択性でエッチングすることができるエッチング方法およびエッチング装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るエッチング方法は、SiとOとを含む材料を選択的にエッチングするエッチング方法であって、SiとOとを含む材料を有する基板をチャンバー内に設ける工程と、先に開始される塩基性ガスを供給する第1の期間と、次に開始されるフッ素含有ガスを供給する第2の期間とを繰り返し、前記第2の期間の少なくとも一部は前記第1の期間とオーバーラップしないようにする工程と、前記塩基性ガスおよび前記フッ素含有ガスの供給により生成された反応生成物を加熱除去する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、SiとOとを含有する膜を高い選択性でエッチングすることができるエッチング方法およびエッチング装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態のエッチング方法を実施するためのエッチング装置の一例を示す断面図である。
【
図2】一実施形態に係るエッチング方法を示すフローチャートである。
【
図3】一実施形態に係るエッチング方法が適用される基板の構造例を模式的に示す図である。
【
図7A】一実施形態に係るエッチング方法のメカニズムを説明するための図である。
【
図7B】一実施形態に係るエッチング方法のメカニズムを説明するための図である。
【
図7C】一実施形態に係るエッチング方法のメカニズムを説明するための図である。
【
図8A】従来のエッチング方法のメカニズムを説明するための図である。
【
図8B】従来のエッチング方法のメカニズムを説明するための図である。
【
図8C】従来のエッチング方法のメカニズムを説明するための図である。エッチング残渣除去の第2工程の加熱処理を行った後の状態を示す模式図である。
【
図9】一実施形態に係るエッチング方法が適用される基板の他の構造例を模式的に示す図である。
【
図10】実験例に用いたパターン1(従来例)を示す図である。
【
図11】実験例に用いたパターン2(HFパルス)を示す図である。
【
図12】実験例に用いたパターン3(シンクロパルス)を示す図である。
【
図13】実験例に用いたパターン4(実施形態)を示す図である。
【
図14】実験例におけるパターン1~4のエッチング量を示す図である。
【
図15】実験例におけるパターン1~4のSiNショルダーロスを示す図である。
【
図16】実験例におけるパターン1~4のSiO
2膜のSiNに対する選択比を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態について説明する。
【0009】
<エッチング装置>
図1は、一実施形態のエッチング方法を実施するためのエッチング装置の一例を示す断面図である。
図1に示すエッチング装置は、基板の例えば表面に存在するシリコン(Si)と酸素(O)を含有する材料をエッチングする。SiとOを含有する材料としては、代表例としてSiO
2を挙げることができるが、SiON、SiOCN、SiOCであってもよい。また、SiとOを含有する材料は、典型的には膜である。
【0010】
図1に示すように、エッチング装置1は、密閉構造のチャンバー10を備えており、チャンバー10の内部には、基板Wを略水平にした状態で載置させる載置台12が設けられている。基板WとしてはSiウエハ等の半導体ウエハが例示されるが、これに限るものではない。
【0011】
また、エッチング装置1は、チャンバー10に処理ガスを供給するガス供給機構13、チャンバー10内を排気する排気機構14を備えている。
【0012】
チャンバー10は、チャンバー本体21と蓋部22とによって構成されている。チャンバー本体21は、略円筒形状の側壁部21aと底部21bとを有し、上部は開口となっており、この開口が内部に凹部を有する蓋部22で閉止される。側壁部21aと蓋部22とは、シール部材(図示せず)により密閉されて、チャンバー10内の気密性が確保される。
【0013】
蓋部22の内部には、載置台12に臨むようにガス導入部材であるシャワーヘッド26がはめ込まれている。シャワーヘッド26は側壁と上部壁とを有し円筒状をなす本体31と、本体31の底部に設けられたシャワープレート32とを有している。本体31の外周部とシャワープレート32とはシールリング(図示せず)によりシールされ密閉構造となっている。また、本体31の中央部とシャワープレート32との間にはガスを拡散するための空間33が形成されている。なお、空間33は便宜上単純な形状で示している。
【0014】
蓋体22の天壁には、第1のガス導入孔34および第2のガス導入孔35が垂直に形成されており、これら第1のガス導入孔34および第2のガス導入孔35がシャワーヘッド26の上部壁を貫通して空間33に接続されている。シャワープレート32には、空間33から垂直に延び、貫通してチャンバー10の内部に臨む、複数のガス吐出孔37が形成されている。
【0015】
したがって、シャワーヘッド26においては、第1のガス導入孔34および第2のガス導入孔35から空間33にガスが供給され、空間33内で混合されたガスがガス吐出孔37を介して吐出される。
【0016】
チャンバー本体21の側壁部21aには、基板Wを搬入出する搬入出口41が設けられており、この搬入出口41はゲートバルブ42により開閉可能となっており、隣接する他のモジュールとの間で基板Wが搬送可能となっている。
【0017】
載置台12は、平面視略円形をなしており、チャンバー10の底部21bに固定されている。載置台12の内部には、載置台12の温度を調節する温調器45が設けられている。温調器45は、例えば、温度を調節する温調媒体(例えば水など)が循環する温調媒体流路や、抵抗ヒーターで構成することができる。温調器45により載置台12が所望の温度に温調され、これにより載置台12に載置された基板Wの温度制御がなされる。
【0018】
ガス供給機構13は、HFガス供給源51、Arガス供給源52、NH3ガス供給源53、およびN2ガス供給源54を有している。
【0019】
HFガス供給源51は、フッ素含有ガスとしてHFガスを供給するものである。ここでは、フッ素含有ガスとしてHFガスを例示するが、フッ素含有ガスとしては、HFガスの他、F2ガス、ClF3ガス、NF3ガスを用いることもできる。
【0020】
NH3ガス供給源53は、塩基性ガスとしてNH3ガスを供給するものである。ここでは、塩基性ガスとしてNH3ガスを例示するが、塩基性ガスとしては、NH3ガスの他、アミンガスを用いることもできる。アミンとしては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等を挙げることができる。
【0021】
Arガス供給源52およびN2ガス供給源54は、希釈ガス、パージガス、キャリアガスとしての機能を兼ね備えた不活性ガスとして、N2ガス、Arガスを供給するものである。ただし、両方ともArガスまたはN2ガスであってもよい。また、不活性ガスはArガスおよびN2ガスに限定されず、Heガス等の他の希ガスを用いることもできる。
【0022】
これらガス供給源51~54には、それぞれ第1~第4のガス供給配管61~64の一端が接続されている。HFガス供給源51に接続された第1のガス供給配管61は、その他端が第1のガス導入孔34に接続されている。Arガス供給源52に接続された第2のガス供給配管62は、その他端が第1のガス供給配管61に接続されている。NH3ガス供給源53に接続された第3のガス供給配管63は、その他端が第2のガス導入孔35に接続されている。N2ガス供給源54に接続された第4のガス供給配管64は、その他端が第3のガス供給配管63に接続されている。
【0023】
フッ素含有ガスであるHFガスと塩基性ガスであるNH3ガスは、それぞれ不活性ガスであるArガスおよびN2ガスとともに第1のガス導入孔34および第2のガス導入孔35を介してシャワーヘッド26に至り、シャワーヘッド26のガス吐出孔37からチャンバー10内に吐出される。
【0024】
第1~第4のガス供給配管61~64には、流路の開閉動作および流量制御を行う流量制御部65が設けられている。流量制御部65は例えば開閉弁およびマスフローコントローラ(MFC)またはフローコントロールシステム(FCS)のような流量制御器により構成されている。
【0025】
排気機構14は、チャンバー10の底部21bに形成された排気口71に繋がる排気配管72を有しており、さらに、排気配管72に設けられた、チャンバー10内の圧力を制御するための自動圧力制御弁(APC)73およびチャンバー10内を排気するための真空ポンプ74を有している。
【0026】
チャンバー10の側壁には、チャンバー10内の圧力制御のために高圧用および低圧用の2つのキャパシタンスマノメータ76a,76bが設けられている。載置台12に載置された基板Wの近傍には、基板Wの温度を検出する温度センサ(図示せず)が設けられている。
【0027】
エッチング装置1を構成するチャンバー10、シャワーヘッド26、載置台12は、アルミニウムのような金属材料で形成されている。これらの表面には酸化皮膜等の皮膜が形成されていてもよい。皮膜としては、例えば、アルミニウムの場合は陽極酸化皮膜(Al2O3)を挙げることができる。セラミックコーティングであってもよい。
【0028】
エッチング装置1は、さらに制御部80を有している。制御部80はコンピュ
ータで構成されており、CPUを備えた主制御部と、入力装置、出力装置、表示装置、記憶装置(記憶媒体)を有している。主制御部は、エッチング装置1の各構成部の動作を制御する。主制御部による各構成部の制御は、記憶装置に内蔵された記憶媒体(ハードディスク、光デスク、半導体メモリ等)に記憶された制御プログラムに基づいてなされる。記憶媒体には、制御プログラムとして処理レシピが記憶されており、処理レシピに基づいてエッチング装置1の処理が実行される。
【0029】
なお、
図1のエッチング装置は、補助的にプラズマ等によりガスを励起する手段を有していてもよいが、ノンプラズマのエッチング処理を行うものであることが好ましい。
【0030】
<エッチング方法>
次に、上述したエッチング装置1で行われるエッチング方法の一実施形態について説明する。以下のエッチング方法は、制御部80による制御のもとで行われる。
【0031】
図2は、一実施形態に係るエッチング方法を示すフローチャートである。
まず、SiとOとを含む材料を有する基板Wをチャンバー10内に設ける(ステップ1)。具体的には、基板Wをチャンバー10内に搬入して、温調器45で温調された載置台12に載置する。
【0032】
基板Wの構造例としては、例えば、
図3に模式的に示すようなものを挙げることができる。
図3の例では、基板Wは、基体(図示せず)上に、エッチング対象としてのSiとOとを含有する材料であるSiO
2膜101と、非エッチング材料としてのSiN膜102とが形成されている。ただし、基板Wの構造は
図3のものに限るものではない。
【0033】
なお、
図3の例は、SiO
2膜101をSiN膜102に対して所望の選択比でエッチングし得るものである。しかし、SiO
2膜101をエッチングする際に所望の選択比が得られる非エッチング材料としては、SiNに限らず、SiとNおよび/またはCとを含む材料であれば適用可能である。このような材料としては、SiN、SiON、SiOCN、SiOC、SiCN、SiCから選択された1種または2種以上を用いることができる。これらは典型的には膜として形成される。
【0034】
また、エッチング対象の材料としてもSiとOとを含有する材料であればSiO2に限らず、SiO2、SiON、SiOCN、SiOCから選択された1種または2種以上を用いることができる。これらは典型的には膜として形成される。これらのうちSiO2以外の材料についても、SiN、SiON、SiOCN、SiOC、SiCN、SiCに対して所望の選択比でエッチングすることが可能である。
【0035】
SiOCN、SiOCは低誘電率(Low-k)膜であり、これらはエッチング対象膜としても非エッチング膜としても用い得る。例えば、SiOCN膜、SiOC膜として、C濃度が低いもの(<6at%)をエッチング対象膜とし、C濃度が高いもの(<10at%)を非エッチング膜として用いることが可能である。
【0036】
典型例としては、上述したような、エッチング対象としてSiO2膜、非エッチング材料としてSiN膜を用いる場合が挙げられるが、非エッチング材料として、Low-k膜であるSiOCN膜を用いることも好適である。
【0037】
次いで、ガス供給機構13から不活性ガス(Arガス、N2ガス)をチャンバー10内に供給し、基板Wの温度を安定させるとともに、チャンバー10内の圧力を安定させる安定化を行う(ステップ2)。
【0038】
次いで、ガス供給機構13から不活性ガスを供給した状態のまま、先に開始される塩基性ガス、例えばNH3ガスを供給する第1の期間と、次に開始されるフッ素含有ガス、例えばHFガスを供給する第2の期間とを繰り返し、第2の期間の少なくとも一部は第1の期間とオーバーラップしないようにする(ステップ3)。
【0039】
次いで、ステップ3により生成された反応生成物を加熱除去する(ステップ4)。NH3ガスとHFガスとの組み合わせの場合は、反応生成物としてケイフッ化アンモニウム(AFS)が生成される。
【0040】
ステップ3の典型例を
図4に示す。
図4では、ステップ2およびステップ4も併せて示している。チャンバー内には、ステップ2の安定化に引き続いて不活性ガス(ArガスおよびN
2ガス)を流し続けた状態で、先に塩基性ガス(NH
3ガス)を供給する第1の期間T1を開始し、第1の期間T1が終了後、連続してフッ素含有ガス(HFガス)を供給する第2の期間T2を開始し、第1の期間T1と第2の期間T2とを繰り返す。そして、ステップ3の後、ステップ4の反応生成物を除去するための加熱処理を行う(第3の期間T3)。
【0041】
ステップ3においては、
図5に示すように、第1の期間T1と第2の期間T2とを一部オーバーラップさせてもよい。さらに、
図6に示すように、第2の期間T2と次の第1の期間T1との間にチャンバー10のパージを行う第4の期間T4を挿入してもよい。ここでは、パージは不活性ガス(ArガスおよびN
2ガス)のみを流すことにより行っている。第1の期間T1の塩基性ガスの供給および第2の期間T2のフッ素含有ガスの供給を繰り返し行った後、第3の期間T3の加熱処理を実施する一連の処理は、1回だけでもよいし2回以上繰り返してもよい。
【0042】
上述したように、典型的には、塩基性ガスとしてNH3ガス、フッ素含有ガスとしてHFガスを挙げることができるが、塩基性ガスとして他にアミンガスを用いることもでき、フッ素含有ガスとして他にF2ガス、ClF3ガス、NF3ガスを用いることもできる。
【0043】
このようなステップ3のメカニズムについて、塩基性ガスとしてNH
3ガス、フッ素含有ガスとしてHFガスを用いて、
図3のSiO
2膜101をエッチングする場合を例にとって説明する。まず、NH
3ガスを供給する第1の期間T1においては、
図7Aに示すように、供給されたNH
3ガスが基板Wの表面に吸着する。次いで、第2の期間T2においては、
図7Bに示すように、供給されたHFガスが吸着しているNH
3ガスおよびSiO
2膜101と反応し、反応生成物としてケイフッ化アンモニウム(AFS)104が生成される。この処理を2回以上繰り返し行うことにより、
図7Cに示すように所望の深さに反応生成物であるAFS104が形成される。
【0044】
一方、従来は、
図8Aに示すように、先にNH
3ガスの供給を開始した後、NH
3ガスを供給したままの状態でHFガスを供給する。これにより、
図8Bに示すように、連続的にAFS104が生成される反応が生じる。エッチングが進行すると、
図8Cに示すように、AFS104の生成量が多くなり、AFS104と過剰なNH
3の反応によるSiN膜102のエッチングが進行して、SiN膜102に対する選択性が低下する。
【0045】
本実施形態では、上述したように、第1の期間T1で吸着したNH3ガスの量でAFS104の生成量が決まるので、AFS104の量を微量制御しやすい。また、第2の期間T2では、ほぼHFガスのみが供給され、NH3ガスは供給されないか、供給されたとしてもオーバーラップの分だけである。このため、AFSの生成量の制御性がよく、従来のようなAFS104とNH3の反応によるSiN膜102のエッチングが抑制され、高選択比でSiO2膜101をエッチングすることができる。また、反応生成物であるAFSの存在下でエッチングを進行させるので、所望のエッチング量を維持することができる。また、表面にAFSが存在した状態は、すでにNH3およびHFが表面に吸着している状態と同様とみなすことができ、エッチング反応のインキュベーションタイムが短くなる。
【0046】
他の塩基性ガスおよびフッ素含有ガスを用いた場合、およびエッチング対象としてSiO2以外のSiとOを含む材料を用いた場合も同様である。
【0047】
上述したように、ステップ3では、先に塩基性ガスを供給し、次いでフッ素含有ガスを供給することを繰り返すパルス状のガス供給を行うものであり、フッ素含有ガスを先に供給しない。先にフッ素含有ガスを供給した場合はエッチング量が極めて低いものとなってしまう。また、上述したように、フッ素含有ガスを供給する第2の期間T2と次の塩基性ガスを供給する第1の期間T1との間にチャンバー10のパージを行ってもよいが、第1の期間T1と第2の期間T2の間にはパージは行わない。これは、このタイミングでパージを行うと、表面に吸着した塩基性ガス(NH3ガス)が除去されてしまい、エッチング反応が生じ難くなるためである。
【0048】
ステップ3では、第1の期間T1および第2の期間T2の長さ、塩基性ガスおよびフッ素含有ガスの流量、第1の期間T1および第2の期間T2の繰り返し回数、パージの有無等により、エッチング量(エッチングレート)および選択比のバランスを適宜調整することができる。
【0049】
第1の期間T1または第2の期間T2を長くするほどエッチング量(エッチングレート)は増加し、短いほど選択比が大きくなる傾向にある。また、AFS等の反応生成物を除去する第3の期間T3までの第1の期間T1および第2の期間T2の繰り返し回数が多いほどエッチング量(エッチングレート)は増加し、繰り返し回数が少ないほど選択比が大きくなる傾向にある。第1の期間T1および第2の期間T2の長さは、0.5~10secであることが好ましく、第3の期間T3までの第1の期間T1および第2の期間T2の繰り返し回数は、2~10回が好ましい。効率を重視してエッチングレートを高くしたいときは、これらの範囲内で第1の期間T1または第2の期間T2を長くする、および/または繰り返し回数を多くすることが好ましい。効率よりも選択比を重視する場合は、これらの範囲内で期間T1または第2の期間T2を短くする、および/または繰り返し回数を少なくすることが好ましい。
【0050】
また、NH3ガス等の塩基性ガスおよびHFガス等のフッ素含有ガスの流量が多いほどエッチング量(エッチングレート)は増加し、流量が少ないほど選択比が大きくなる傾向にある。塩基性ガスの流量は20~500sccmの範囲であることが好ましく、フッ素含有ガスの流量は20~500sccmの範囲であることが好ましい。
【0051】
また、フッ素含有ガスを供給する第2の期間T2の後にチャンバー10内のパージを行うことにより、余分なガスが排出されるため、エッチング量を維持したまま選択比をより高めることができる。ただし、パージを行う第4の期間T4の分だけ処理時間が長くなる。上述の例では、パージは、チャンバー10内を真空引きしながらArガスやN2ガス等のパージガスを供給しているが、チャンバー10内の真空引きのみであってもよい。パージを行う場合は、パージを実施する第4の期間T4は、0.5~5secが好ましい。
【0052】
ステップ2の第1の期間T1および第2の期間T2で行われる塩基性ガスおよびフッ素含有ガスによるエッチングの際の温度は、80℃以下が好ましく、60~80℃がより好ましい。この際の温度を80℃以下とすることにより、AFS等の反応生成物を残存させて、上述のような制御性のよいエッチングを行うことができる。また、エッチングの際の圧力は2.67~6666Pa(0.02~50Torr)の範囲であることが好ましい。圧力が高いほどエッチング量(エッチングレート)が増加し、選択比が低下する傾向となる。
【0053】
ステップ4の反応生成物を除去するための加熱処理は、ステップ3が終了後、基板Wを加熱し、ArガスやN2ガス等の不活性ガスを供給しつつ、チャンバー10を真空引きすることにより行うことができる。このときの加熱温度はステップ3と同じ温度でもよいが、より高い温度で行うことにより除去効率を高めることができる。ステップ4は、チャンバー10と別個のチャンバーで行ってもよい。反応生成物を除去するための加熱処理の時間は、生成される反応生成物の量により変化するが、15~120secが好ましい。反応生成物を除去するための加熱処理を定期的に行うことにより、反応生成物(AFS)が完全に除去され、チャンバー10内がリフレッシュされてプロセス安定性が向上する。
【0054】
ステップ3では、上述のように、塩基性ガスを供給する第1の期間T1とフッ素含有ガスを供給する第2の期間T2とをパルス状に実施することにより、SiO2膜等を高選択比でエッチング可能であるが、条件によっては表面ラフネスやローディングが問題となる場合がある。
【0055】
表面ラフネスが問題となる場合には、第1の期間T1と第2の期間T2の繰り返し数の増加や、処理の際の圧力を上昇させることが有効である。ただし、繰り返し数の増加や高圧化は選択比低下(ショルダーロスの上昇)の方向であるため、要求される特性に応じて条件を適宜設定する必要がある。最後の数回のみ高圧化する等の条件変更(マルチステップ化)によりこれらの特性を両立させることも可能である。
【0056】
ローディングは、パターンが密(Dense)の場合と粗(Iso)の場合とでエッチング量が異なる現象である。ローディングが問題となる場合には、繰り返し数の増加、第1の期間T1および/または第2の期間T2の延長、塩基性ガスおよび/またはフッ素含有ガスの流量増加、圧力上昇等が有効である。
【0057】
なお、上述したように、基板Wの構造は
図3のものに限らず、種々の構造のものであってよく、例えば、
図9に示すように、Si等の基体201上にSiN膜202とSiO
2膜203とを交互に複数積層したものであってもよい。このような構造の基板Wでは、SiO
2膜203が1~5nm程度と薄い場合に、従来のように選択性が低いとSiO
2膜203を十分に抜くことが困難であるが、本実施形態のエッチング方法では良好な抜け性が得られる。
【0058】
<実験例>
次に、実験例について説明する。
ここでは、
図9の構造の基板に対し、
図1の装置により、NH
3ガスとHFガスを用いて、以下に説明するパターン1~4にてSiO
2膜のエッチングを行った。SiO
2膜の厚さは、3nm、5nmとした。共通条件として、基板温度を60~80℃、圧力を2.67~6666Pa(0.02~50Torr)、NH
3ガス流量を20~500sccm、HFガス流量を20~500sccm、Arガス流量を10~5000sccm、N
2ガス流量を10~10000sccmとした。
【0059】
パターン1は、
図10に示すように、最初にArガス、N
2ガス、NH
3ガスを流して安定化させた後、これらのガスを流したまま、HFガスを3.0secの間供給し、その後、AFS除去処理を60secの間行うシーケンスである。(従来パターン)パターン1ではこのシーケンスを18回繰り返した。
【0060】
パターン2は、
図11に示すように、最初に、Arガス、N
2ガス、NH
3ガスを流して安定化させた後、これらのガスを流したまま、HFガスを供給時間1.5secとしてパルス状に2回供給し、その後、AFS除去処理を60secの間行うシーケンスである(HFパルス)。パターン2ではこのシーケンスを22回繰り返した。
【0061】
パターン3は、
図12に示すように、最初に、Arガス、N
2ガスを流して安定化させた後、これらのガスを流したまま、NH
3ガスおよびHFガスを同時に供給時間1.5secでパルス状に2回供給し、その後、AFS除去処理を60secの間行うシーケンスである(シンクロパルス)。パターン3ではこのシーケンスを21回繰り返した。
【0062】
パターン4は、
図13に示すように、最初に、Arガス、N
2ガスを流して安定化させた後、これらのガスを流したままの状態として、NH
3ガスとHFガスを供給時間1.5secで交互に2回ずつ供給し、その後、AFS除去処理を60secの間行うシーケンスである(実施形態)。パターン4ではこのシーケンスを61回繰り返した。
【0063】
これらパターン1~4でエッチングした際のエッチング量、CD差異から算出されるSiN膜のショルダーロス(SiNショルダーロス)、SiN膜に対するSiO
2膜の選択比を、それぞれ
図14、
図15、
図16に示す。
図14に示すように、エッチング量はパターン1~4で大きな差がなかった。これに対し、
図15に示すように、CD差異から算出されるSiNショルダーロスについて、実施形態であるパターン4が他のものと比較して非常に小さい値となった。また、
図16に示すように、選択比についても、実施形態であるパターン4では100以上の値が得られており、20程度のパターン1~3に比べて著しく大きくなることが確認された。
【0064】
<他の適用>
以上、実施形態について説明したが、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0065】
例えば、上記実施形態の装置は例示に過ぎず、種々の構成の装置を適用することができる。また、基板として半導体ウエハを例示したが、半導体ウエハに限らず、LCD(液晶ディスプレイ)用基板に代表されるFPD(フラットパネルディスプレイ)基板や、セラミックス基板等の他の基板であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1;エッチング装置
10;チャンバー
12;載置台
13;ガス供給機構
14;排気機構
26;シャワーヘッド
45;温調器
51;HFガス供給源
53;NH3ガス供給源
80;制御部
101,203;SiO2膜
102,202;SiN膜
201;基体
W;基板
【手続補正書】
【提出日】2024-07-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiとOとを含む材料を選択的にエッチングするエッチング方法であって、
エッチング対象および非エッチング対象を有する基板をチャンバー内に設ける工程と、
先に開始される塩基性ガスを供給する第1の期間と、次に開始されるフッ素含有ガスを供給する第2の期間とを繰り返し、前記第2の期間の少なくとも一部は前記第1の期間とオーバーラップしないようにする工程と、
前記塩基性ガスおよび前記フッ素含有ガスの供給により生成された反応生成物を加熱除去する工程と、
を有し、
前記エッチング対象は前記SiとOとを含む材料であり、前記非エッチング対象はSiとNおよび/またはCとを含む材料であり、前記SiとOとを含む材料は、SiO
2
、SiON、SiOCN、SiOCから選択されたものであり、前記SiとNおよび/またはCとを含む材料は、SiN、SiOCN、SiOC、SiCN、SiCから選択されたものであり(ただし、前記SiとOとを含む材料がSiO
2
かつ前記SiとNおよび/またはCとを含む材料がSiNまたはSiOCNの場合を除く)、
前記エッチング対象である前記SiとOとを含む材料と前記非エッチング対象である前記SiとNおよび/またはCとを含む材料とが、ともにSiOCN、またはともにSiOCである場合に、前記エッチング対象であるSiOCNまたはSiOCのC濃度が相対的に低く、前記非エッチング対象であるSiOCNまたはSiOCのC濃度が相対的に高い、エッチング方法。
【請求項2】
第1のSiOC含有膜および第2のSiOC含有膜を有する基板をチャンバー内に設ける工程であり、前記第1のSiOC含有膜のC濃度は、前記第2のSiOC含有膜のC濃度よりも低い、工程と、
複数のサイクルにより前記第2のSiOC含有膜に対して前記第1のSiOC含有膜を選択的にエッチングする工程であり、各サイクルは、塩基性ガスを前記チャンバー内に供給する第1の期間と、フッ素含有ガスを前記チャンバー内に供給する第2の期間とを有する、工程と、
前記エッチングする工程により生成された反応生成物を加熱除去する工程と、
を有する、エッチング方法。
【請求項3】
前記第1のSiOC含有膜及び前記第2のSiOC含有膜は、ともにSiOCN膜である、請求項2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
前記第1のSiOC含有膜及び前記第2のSiOC含有膜は、ともにSiOC膜である、請求項2に記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記第1の期間は、前記第2の期間よりも先に開始される、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記第2の期間の一部は前記第1の期間とオーバーラップする、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記第2の期間は、前記第1の期間とオーバーラップしない、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項8】
前記塩基性ガスは、NH
3
である、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項9】
前記塩基性ガスは、アミンガスである、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項10】
前記アミンガスは、メチルアミン、ジメチルアミン、およびトリメチルアミンからなる群から選択される、請求項9に記載のエッチング方法。
【請求項11】
前記フッ素含有ガスは、HFガス、F
2
ガス、ClF
3
ガス及びNF
3
ガスからなる群から選択される、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項12】
SiとOとを含む材料を選択的にエッチングするエッチング装置であって、
エッチング対象および非エッチング対象を有する基板を収容するチャンバーと、
前記チャンバー内で前記基板を載置する載置台と、
前記チャンバー内に塩基性ガスとフッ素含有ガスを供給するガス供給部と、
前記チャンバー内を排気する排気部と、
前記載置台上の基板の温度を調節する温調部と、
制御部と、
を具備し、
前記エッチング対象は前記SiとOとを含む材料であり、前記非エッチング対象はSiとNおよび/またはCとを含む材料であり、前記SiとOとを含む材料は、SiO
2
、SiON、SiOCN、SiOCから選択されたものであり、前記SiとNおよび/またはCとを含む材料は、SiN、SiOCN、SiOC、SiCN、SiCから選択されたものであり(ただし、前記SiとOとを含む材料がSiO
2
かつ前記SiとNおよび/またはCとを含む材料がSiNまたはSiOCNの場合を除く)、
前記エッチング対象である前記SiとOとを含む材料と前記非エッチング対象である前記SiとNおよび/またはCとを含む材料とが、ともにSiOCN、またはともにSiOCである場合に、前記エッチング対象であるSiOCNまたはSiOCのC濃度が相対的に低く、前記非エッチング対象であるSiOCNまたはSiOCのC濃度が相対的に高く、
前記制御部は、先に開始される前記塩基性ガスを供給する第1の期間と、次に開始される前記フッ素含有ガスを供給する第2の期間とを繰り返し、前記第2の期間の少なくとも一部は前記第1の期間とオーバーラップしないようにし、前記塩基性ガスおよび前記フッ素含有ガスの供給により生成された反応生成物を加熱除去するように、前記ガス供給部と、前記排気部と、前記温調部とを制御する、エッチング装置。
【請求項13】
第1のSiOC含有膜および第2のSiOC含有膜を有し、前記第1のSiOC含有膜のC濃度は、前記第2のSiOC含有膜のC濃度よりも低い基板を収容するチャンバーと、
前記チャンバー内で前記基板を載置する載置台と、
前記チャンバー内に塩基性ガスとフッ素含有ガスを供給するガス供給部と、
前記チャンバー内を排気する排気部と、
前記載置台上の基板の温度を調節する温調部と、
制御部と、
を具備し、
前記制御部は、複数のサイクルにより前記第2のSiOC含有膜に対して前記第1のSiOC含有膜を選択的にエッチングする工程であり、各サイクルは、塩基性ガスを前記チャンバー内に供給する第1の期間と、フッ素含有ガスを前記チャンバー内に供給する第2の期間とを有する、工程と、
前記エッチングする工程により生成された反応生成物を加熱除去する工程と、
が行われるように前記ガス供給部と、前記排気部と、前記温調部とを制御する、エッチング装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本開示の一実施形態に係るエッチング方法は、SiとOとを含む材料を選択的にエッチングするエッチング方法であって、エッチング対象および非エッチング対象を有する基板をチャンバー内に設ける工程と、先に開始される塩基性ガスを供給する第1の期間と、次に開始されるフッ素含有ガスを供給する第2の期間とを繰り返し、前記第2の期間の少なくとも一部は前記第1の期間とオーバーラップしないようにする工程と、前記塩基性ガスおよび前記フッ素含有ガスの供給により生成された反応生成物を加熱除去する工程と、を有し、前記エッチング対象は前記SiとOとを含む材料であり、前記非エッチング対象はSiとNおよび/またはCとを含む材料であり、前記SiとOとを含む材料は、SiO
2
、SiON、SiOCN、SiOCから選択されたものであり、前記SiとNおよび/またはCとを含む材料は、SiN、SiOCN、SiOC、SiCN、SiCから選択されたものであり(ただし、前記SiとOとを含む材料がSiO
2
かつ前記SiとNおよび/またはCとを含む材料がSiNの場合を除く)、前記エッチング対象である前記SiとOとを含む材料と前記非エッチング対象である前記SiとNおよび/またはCとを含む材料とが、ともにSiOCN、またはともにSiOCである場合に、前記エッチング対象であるSiOCNまたはSiOCのC濃度が相対的に低く、前記非エッチング対象であるSiOCNまたはSiOCのC濃度が相対的に高い。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
なお、
図3の例は、SiO
2膜101をSiN膜102に対して所望の選択比でエッチングし得るものである。しかし、SiO
2膜101をエッチングする際に所望の選択比が得られる非エッチング材料としては、SiNに限らず、SiとNおよび/またはCとを含む材料であれば適用可能である。このような材料としては、Si
N、SiOCN、SiOC、SiCN、SiCから選択された1種または2種以上を用いることができる。これらは典型的には膜として形成される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
また、エッチング対象の材料としてもSiとOとを含有する材料であればSiO2に限らず、SiO2、SiON、SiOCN、SiOCから選択された1種または2種以上を用いることができる。これらは典型的には膜として形成される。これらのうちSiO2以外の材料についても、SiN、SiOCN、SiOC、SiCN、SiCに対して所望の選択比でエッチングすることが可能である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
SiOCN、SiOCは低誘電率(Low-k)膜であり、これらはエッチング対象膜としても非エッチング膜としても用い得る。例えば、エッチング対象膜および非エッチング膜がともにSiOCN膜またはSiOC膜の場合、C濃度が低いもの(例えば、<6at%)をエッチング対象膜とし、それよりもC濃度が高いものを非エッチング膜として用いることが可能である。