(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113596
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】ポリエチレン系樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 23/04 20060101AFI20240815BHJP
C08K 5/49 20060101ALI20240815BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20240815BHJP
C08K 5/04 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
C08L23/04
C08K5/49
C08K3/34
C08K5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018707
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 謙一
(72)【発明者】
【氏名】山野 直樹
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB03W
4J002BB03X
4J002BB05W
4J002BB05X
4J002BB06W
4J002BB06X
4J002BB07W
4J002BB07X
4J002BB15W
4J002BB15X
4J002BF03W
4J002BF03X
4J002DJ006
4J002EE018
4J002EE038
4J002EF038
4J002EV067
4J002EW067
4J002EW087
4J002FD077
4J002FD206
4J002FD208
4J002GC00
4J002GG00
4J002GG01
4J002GG02
4J002GN00
(57)【要約】
【課題】 ポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリエチレンに、ポリエチレン、ゼオライトおよび酸化防止剤を配合することで、PCRポリエチレンに残存するアルデヒドまたは有機カルボン酸を低減し、機械強度、低臭気、成形加工性に優れるポリエチレン系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリエチレン(A)46.50~89.89重量%、ポストコンシューマーリサイクルポリエチレン(B)10~50重量%、ゼオライト(C)0.1~3重量%、酸化防止剤(D)0.01~0.5重量%を含むポリエチレン系樹脂組成物を提供する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレン(A)46.50~89.89重量%、ポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリエチレン(B)10~50重量%、ゼオライト(C)0.1~3重量%及び酸化防止剤(D)0.01~0.5重量%を含むポリエチレン系樹脂組成物。
【請求項2】
PCRポリエチレン(B)が、ブタナール、ノネナール、酢酸及び酪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものであり、その含有量がブタナール0.00067ppm以上、ノネナール0.0003ppm以上、酢酸0.006ppm以上又は酪酸0.00019ppm以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
ゼオライト(C)が、2種以上のゼオライトである、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
酸化防止剤(D)が、リン系酸化防止剤である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレン、ポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリエチレン、ゼオライト及び酸化防止剤を含むポリエチレン系樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックによる環境汚染が問題視され、プラスチック製品のマテリアルリサイクルが促進されている。
【0003】
一般に、廃プラスチックを再利用し、成形品を得るまでの工程は、回収した廃プラスチックの洗浄、脱水、粉砕、リペレット、成形が挙げられる。ここで、廃プラスチックが使用済みのプラスチック製の回収物である場合、洗浄工程後も不純物が残留していることが多い。このようなことから、リサイクルプラスチック材を原材料として用いた成形品は、不純物に由来する残留したアルデヒドや有機カルボン酸により臭気が発生し使用し難いものであるばかりか、成形加工性が低下するという問題がある。
【0004】
このような背景の中、ポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリエチレンに含まれる不純物の除去は、これまでにも検討されている。
【0005】
例えば、プラスチック製容器包装廃棄物やその他の一般プラスチック製品の廃棄物等の塩化ビニル樹脂を含む廃プラスチックに、酸化マグネシウムやハイドロタルサイトなどの受酸剤を添加し、塩酸の発生を抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、ポリオレフィン系包装容器の再生樹脂層を含む多層プラスチック容器に、ゼオライトなどの吸着剤を添加し、熱劣化により発生する炭化水素系揮発物を吸着させた、臭気の少ない再生樹脂容器が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
しかしながら、特許文献1は塩酸の抑制方法について、特許文献2は、炭化水素系揮発物の吸着による臭気の低減方法についての検討であり、アルデヒドや有機酸の吸着については検討されておらず、機械特性に関しても検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4828836号公報
【特許文献2】特開1995-33172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリエチレンにポリエチレン、ゼオライトおよび酸化防止剤を配合することで、回収物に残存するアルデヒドまたは有機カルボン酸を低減し、樹脂の機械特性を損なうことなく、低臭気、成形加工性に優れるポリエチレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。PCRポリエチレンの再利用またその効率を高めることは、包摂的で持続可能な産業化を推進化に寄与するものであり、近年叫ばれているSDGs等持続可能な社会に貢献する技術の1つである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリエチレン(A)に特定の吸着剤と酸化防止剤を添加した樹脂組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の各態様は、以下の[1]~[4]である。
[1] ポリエチレン(A)46.50~89.89重量%、ポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリエチレン(B)10~50重量%、ゼオライト(C)0.1~3重量%及び酸化防止剤(D)0.01~0.5重量%を含むポリエチレン系樹脂組成物。
[2] PCRポリエチレン(B)が、ブタナール、ノネナール、酢酸及び酪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものであり、含有量がブタナール0.00067ppm以上、ノネナール0.0003ppm以上、酢酸0.006ppm以上、酪酸0.00019ppm以上である、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[3] ゼオライト(C)が、2種以上のゼオライトである、上記[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4] 酸化防止剤(D)が、リン系酸化防止剤である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明の樹脂組成物は、ポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリエチレンの再利用が可能となり環境負荷を低減させ、機械特性、成形加工性、低臭気に優れることから、日用品、工業部品、事務用品、化学用品などの成形品として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】
本発明の一態様である樹脂組成物は、ポリエチレン(A)46.50~89.89重量%、ポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリエチレン(B)10~50重量%、ゼオライト(C)0.1~3重量%、酸化防止剤(D)0.01~0.5重量%を含む。
【0015】
上記ポリエチレン(A)とは、一般にポリエチレンと称するものあれば如何なるポリエチレンであってもよく、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・へキセン共重合体およびエチレン・オクテン共重合体などのエチレン・α-オレフィン共重合体、エチレンーアクリル酸エステル共重合体、エチレンーメタクリル酸エステル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。ポリエチレン(A)はとりわけ成形加工性に優れ得られる樹脂組成物の強度が高いものとなることから、190℃、21.2N荷重で測定したメルトフローレートは0.1~10g/10分であることが好ましく、密度勾配菅で測定した密度は890~965kg/cm3であることが好ましい。
【0016】
上記樹脂組成物における該ポリエチレン(A)の含有量としては、とりわけ成形性と強度に優れた樹脂組成物となることから、樹脂組成物を100重量%としたときに、46.50~89.89重量%であり、68.80~89.89重量%であることが好ましい。
【0017】
上記ポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリエチレン(B)は、ポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリエチレンと称するものであれば如何なるものであってもよく、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・へキセン共重合体およびエチレン・オクテン共重合体などのエチレン・α-オレフィン共重合体、エチレンーアクリル酸エステル共重合体、エチレンーメタクリル酸エステル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体の回収物であることが好ましい。
【0018】
上記ポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリエチレンとしては特に限定されないが、自動車用、鉄道用の座席または椅子、ソファー、シーツ、手袋、容器の蓋材、ボトル、カップ、トレイ、チューブなどが挙げられる。
【0019】
ポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリエチレン(B)とは、廃棄物を再利用するために回収したものを意味する。一度廃棄されたものであることから、成形品に付着物や、廃棄-回収過程で混入するその他の廃棄物由来の物質を包含するものであってもよい。ここで、成形品の付着物とは、人や動物が使用した後の汗や皮脂やこれらに由来する臭気などがあり、汗や皮脂などの臭気成分としては、有機酸類、アルデヒド類、ケトン類、アンモニアなどが挙げられ、有機酸類の具体的な成分としては、酢酸、酪酸、イソ吉草酸などが挙げられ、アルデヒド類の具体的成分としては、エタナール、ブタナール、2-ノネナールなどが挙げられ、ケトン類の具体的成分としては2,3-ブタンジオンなどが挙げられる。これらは2種以上含むものであっても良い。これら有機酸類、アルデヒド類、ケトン類、アンモニアの含有量としては、人が臭気を感じる閾値以上であり、酢酸0.006ppm以上、酪酸0.00019ppm以上、イソ吉草酸0.000078ppm以上、エタナール0.0015ppm以上、ブタナール0.00067ppm以上、2-ノネナール0.0003ppm以上、2,3-ブタンジオン0.00005ppm以上、アンモニア1.5ppm以上であり、これらは少なくとも1種以上含むものであってもよい。また、該ポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリエチレン(B)は、成形品を粉砕した工程、水などで洗浄した工程を経たものであってもよい。
【0020】
上記樹脂組成物における、ポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリエチレン(B)の含有量としては、とりわけ成形性と強度に優れた樹脂組成物となることから、樹脂組成物を100重量%としたときに、10~50重量%であり、10~30重量%であることが好ましい。
【0021】
上記ゼオライト(C)としては、ゼオライトと称するものであれば如何なるゼオライトであってもよく、天然ゼオライト、合成ゼオライト、人工ゼオライトなどが挙げられる。ゼオライトの構造は、特に限定されないが、公知のFAU,LTA,MFI,MOR,BEA,LTL,FER,MWW型のゼオライトが用いられ、その中でもとりわけゼオライトの細孔径が大きく物理的な吸着量に優れ臭気の少ない樹脂組成物となることから、FAU型ゼオライトが好ましい。また、BET比表面積は100m2/g以上であるゼオライトが好ましく、より好ましくは比表面積300m2/g以上のゼオライトである。ゼオライトの粒子径としては特に限定されないが、成形品の外観やポリエチレンへの分散性に優れ、成形性に優れた組成物となることから、平均粒子径20μm以下のゼオライトが好ましく、さらに好ましくは5μm以下であるゼオライトである。また、ゼオライトはより臭気の少ない樹脂組成物となることから、表面に金属及びプロトンを担持したゼオライトであることが好ましい。該金属及びプロトンの具体的例示としては、亜鉛、ナトリウム、カリウム、銀、水素などのカチオン種が挙げられ、その中でもとりわけ臭気が少ない樹脂組成物が得られることから亜鉛、ナトリウムであることが好ましい。
【0022】
該ゼオライト(C)はとりわけ臭気の少ない樹脂組成物となることから2種類以上を併用することが好ましく、FAU型ゼオライトとMFI型ゼオライトを併用することが好ましい。また、表面に金属を担持したゼオライトと非担持のゼオライトを併用することも可能である。
【0023】
上記樹脂組成物における、ゼオライト(C)の含有量としては、とりわけ成形性と強度に優れた樹脂組成物となることから、樹脂組成物を100重量%としたときに、0.1~3重量%であり、0.2~2.0重量%であることが好ましい。含有量が0.1重量%未満であると臭気の改善効果が不十分で好ましくなく、3重量%より多い場合は成形性が悪化するため好ましくない。
【0024】
上記酸化防止剤(D)としては、一般的にポリエチレンに添加される酸化防止剤であれば如何なる酸化防止剤であってもであってもよく、公知のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、N-H型ヒンダードアミン系光安定剤、N-CH3型ヒンダードアミン系光安定剤の少なくとも1種類以上を添加することが望ましく、その中でもとりわけ得られた樹脂組成物の成形性に優れたものとなることから、ホスファイト系またはチオエーテル系の酸化防止剤であることが好ましく、より好ましくは、ホスファイト系酸化防止剤である。
【0025】
ホスファイト系酸化防止剤としては、3,9-ビス(オクタデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)-6-[(2-エチルヘキシル)オキシ]-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、亜りん酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)、亜リン酸トリス(4-ノニルフェニル)、4,4’-Isopropylidenediphenol C12-15 alchohol phosphite、亜りん酸ジフェニル(2-エチルヘキシル)、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリイソデシル ホスファイト、亜りん酸トリフェニルなどが挙げられる。
【0026】
チオエーテル系酸化防止剤としては、ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオン酸]2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)1-1オキソプロピルオキシ]メチル]1,3-プロパンジイル、3,3’-チオビスプロピオン酸ジトリデシルなどが挙げられる。
【0027】
上記樹脂組成物において、酸化防止剤(D)の含有量としては、とりわけ成形性に優れた樹脂組成物となることから、樹脂組成物を100重量%としたときに、0.01~0.5重量%であり、0.01~0.3重量%であることが好ましい。含有量が0.01重量未満であると成形性が悪化するため好ましくなく、0.5重量%より多い場合は成形時にガスが発生するため好ましくない。
【0028】
また、上記樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエチレン(A)、ポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリエチレン(B)以外の熱可塑性樹脂を含んでいても良い。また、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、造核剤、滑剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、流動性改良剤、離型剤、着色剤、無機系中和剤、塩酸吸収剤、充填剤導電剤、鎖長延長剤、加水分解防止剤等を含んでいても良い。
【0029】
上記樹脂組成物は成形体の原料として好適に用いることができる。
【0030】
上記樹脂組成物を成形して得られた成形体は、日用品、工業部品、事務用品、化学用品などの成形品などとして有用である。
【0031】
次に、上記樹脂組成物の製造方法について説明する。
【0032】
上記樹脂組成物の製造方法は、各成分を分散できれば特に制限はなく、通常用いられる樹脂の混練装置により製造することができる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダ-、回転ロール、インターナルミキサーなどの混練装置が挙げられる。
【実施例0033】
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
実施例及び比較例において用いた、ポリエチレン(A)、PCRポリエチレン(B)、ゼオライト(C)、酸化防止剤(D)を以下に示す。
【0035】
<ポリエチレン(A)>
・ポリエチレン(A1):直鎖状低密度ポリエチレン、東ソー(株)製ニポロン-Z HF310R、密度905k/m3、190℃、21.2N荷重で測定したメルトフローレート(MFR)=4.0g/10分
・ポリエチレン(A2):高密度ポリエチレン、東ソー(株)製ニポロンハード 2500、密度961k/m3、MFR=7.9g/10分
<PCRポリエチレン(B)>
・PCRポリエチレン(B1):大銑産業(株)から入手した繊維状の成形品、ブタナール0.06ppm、酪酸0.05ppm
・PCRポリエチレン(B2):大銑産業(株)から入手したシート状の成形品、ノネナール0.07ppm、酢酸0.10ppm
<ゼオライト(C)>
・ゼオライト(C1):(株)シナネンゼオミック製ダッシュライト3MH、MFI型ゼオライト、比表面積408m2/g、粒子径2μm、ナトリウム担持型
・ゼオライト(C2):(株)シナネンゼオミック製ダッシュライトZH10D、FAU型ゼオライト、比表面積520m2/g、粒子径1.5μm、亜鉛担持型
・ゼオライト(C3):(株)シナネンゼオミック製ダッシュライトZVA10D、FAU型ゼオライト、比表面積430m2/g、粒子径4μm、銀担持型
・ゼオライト(C4):東ソー(株)製ハイシリカゼオライトHSZ-320HOA、FAU型ゼオライト、比表面積550m2/g、粒子径7μm、水素担持型
<酸化防止剤(D)>
・酸化防止剤(D1):住友化学(株)製スミライザーGP、ホスファイト系
得られた樹脂組成物の評価・測定方法を以下に示す。
(1)メルトマスフローレート(MFR)
MFRは、メルトインデクサー(宝工業(株)製)にて190℃、21.2N荷重の条件にて測定した。
(2)臭気測定
臭気測定は、500ccのマヨネーズ瓶に溶融混練後のペレットを50g入れ、40℃で2時間静置後、3人のパネラーによる官能評価を行い、ほとんど臭気を感じない場合を〇、臭気を感じる場合を×とした。
(4)色
色は、溶融混練後のペレットを用いて作製した厚さ2mmのプレスシートについて、プラスチック成形品の回収物と比較して着色がない場合は〇、着色がある場合は×とした。
(5)引張破断強度および破断伸び
リサイクル材の引張破断強度および破断伸びは、厚さ2mmのプレス成形シートをテンシロンRTG-1210((株)エー・アンド・ディ製)にて引張速度200mmで測定した。
【0036】
実施例1
ロータリーカッターで粉砕したPCRポリエチレン(B1)、ゼオライト(C1)、ゼオライト(C2)、および酸化防止剤(D1)を予めタンブラーで表1に示す割合で混合し、該混合物とポリエチレン(A1)とを二軸押出機(日本製鋼所製TEX25αIII)を用い、温度210℃、吐出量20kgで溶融混練し、樹脂組成物ペレットを得た。得られたペレットを圧縮成形機(神藤金属工業製シントー式AWFA-50型複動油圧2段成形機)で温度200℃の条件で厚さ2mmの圧縮成形シートを作製した。
【0037】
得られたペレットおよび圧縮成形シートについて評価した。評価結果を表1に示す。
【0038】
実施例2~4
配合剤および配合量を表1に示す割合に変えた以外は実施例1と同様の手法によりペレット、圧縮成形シートを得、評価した。評価結果を表1に示す。
【0039】
実施例5
ロータリーカッターで粉砕したPCRポリエチレン(B2)、ゼオライト(C1)、ゼオライト(C4)、および酸化防止剤(D1)を予めタンブラーで表1に示す割合で混合し、該混合物とポリエチレン(A2)とを二軸押出機(日本製鋼所製TEX25αIII)を用い、温度210℃、吐出量20kgで溶融混練し、樹脂組成物ペレットを得た。得られたペレットを圧縮成形機(神藤金属工業製シントー式AWFA-50型複動油圧2段成形機)で温度200℃の条件で厚さ2mmの圧縮成形シートを作製した。
【0040】
得られたペレットおよび圧縮成形シートについて評価した。評価結果を表1に示す。
【0041】
実施例6
配合剤および配合量を表1に示す割合に変えた以外は実施例5と同様の手法によりペレット、圧縮成形シートを得、評価した。評価結果を表1に示す。
【0042】
比較例1
ゼオライト(C1)、ゼオライト(C2)および酸化防止剤(D)の配合しないこと以外は実施例1と同様の手法によりペレット、圧縮成形シートを得、評価した。評価結果を表1に示す。
【0043】
比較例2
ゼオライト(C1)、ゼオライト(C2)の配合量を変えた以外は実施例1と同様の手法によりペレットを得ようとしたが、押出トルクが高くなり成形不可であった。
【0044】
比較例3
酸化防止剤(D1)の配合量を変えた以外は実施例1と同様の手法によりペレットを得ようとしたが、ガスが多量に発生し成形を中断した。
【0045】
本発明の樹脂組成物はポリエチレンの再利用が可能となり環境負荷を低減させ、機械特性および成形加工性、低臭気に優れることから、自動車用または鉄道用の座席または椅子、ソファー、クッション、シーツ、容器の蓋材、ボトル、カップ、トレイ、チューブ等などの再利用に有用である。