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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011372
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】半導体集積回路装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20240118BHJP
   H01L 21/82 20060101ALI20240118BHJP
   H01G 4/33 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H01L27/04 C
H01L27/04 H
H01L21/82 W
H01G4/33 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113311
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関根 慧
【テーマコード(参考)】
5E082
5F038
5F064
【Fターム(参考)】
5E082AB03
5E082BC40
5E082CC02
5E082CC13
5E082DD11
5E082EE05
5E082FG03
5F038AC04
5F038AC05
5F038AC07
5F038CA01
5F038CA06
5F038CA16
5F038CD01
5F038CD13
5F064CC23
5F064EE18
5F064EE41
(57)【要約】
【課題】アンテナ効果を抑制しつつ、単位容量と寄生容量の双方で高い比精度を実現することが可能な半導体集積回路装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体集積回路装置は、複数のメタル層が絶縁体層を介して積層され、容量素子を有する半導体集積回路装置であって、メタル層の積層方向に垂直な所定の回転軸に対して、n(n:2以上の整数)回回転対称な位置に容量素子への電流流路を含む電流流路を構成する部材が配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメタル配線層が絶縁体層を介して積層され、容量素子を有する半導体集積回路装置であって、
前記メタル配線層の積層方向に沿った所定の回転軸に対して、n(n:2以上の整数)回回転対称な位置に前記容量素子への電流流路を含む電流流路を構成する部材が配置されている、
半導体集積回路装置。
【請求項2】
前記部材は、m(m:自然数)種類の部材を含み、
n回回転対称な位置にm×n個の部材が配置されている、
請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項3】
前記部材は、メタルブリッジ構造を構成する配線パタンを含む配線パタン、前記メタルブリッジ構造を構成するビアを含むビア、前記配線パタン同士を接続するビア又はコンタクトを含む、
請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項4】
前記回転軸に対して、n回回転対称な形状を有したメタルシールドを構成する部材及びn回回転対象な位置に配置された前記メタルシールドを構成する部材を含む、
請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項5】
前記メタルブリッジ構造は、前記容量素子の一方の端子及び他方の端子の双方に設けられている、
請求項3記載の半導体集積回路装置。
【請求項6】
前記容量素子は、一対の第1平板電極の間に絶縁体を介して一つの第2平板電極が配置されたMIM容量素子として構成されている、
請求項1記載の半導体集積回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置において、平行に配置されたメタル配線同士や配線層間に形成される容量は他の半導体集積回路装置に比べて高い比精度が実現できることが知られている。しかしながら、スイッチトキャパシタ回路や容量型のD/A変換器など、特に高い比精度が要求される容量を用いる集積回路においては、容量を集積回路上に実現した際のレイアウトに依存して、配線間寄生容量などの予期せぬ寄生容量が影響することで、比精度が劣化してしまう。そのため、実際にレイアウトした容量のみでなく、寄生容量(例えば、配線寄生容量)についても比精度を有するようなレイアウトが要求され、高い比精度の容量を実現するための手法として、単位容量と呼ばれる対称性の高い容量レイアウトを単位構造として、複数の単位容量を規則的かつ対称性が高くなるようにコモンセントロイド配置し、各容量レイアウトをメタル配線で接続するという手法が提案されている。
【0003】
この場合において、単位容量は予期せぬ寄生容量の影響を排除するために、一定電位でバイアスされたメタルシールドによって囲まれていた。
【0004】
また、近年の半導体集積回路プロセスの進化によって、多くのメタル配線層を有するプロセスが実現されたことで、アンテナ効果と呼ばれる問題を解消するレイアウトの実現も課題となっている。ここで、アンテナ効果とは長いメタル配線がMIM容量電極やMOSFETのゲートの絶縁薄膜層などに直接接続されることによって、集積回路を製造する際のプラズマエッチングにより、絶縁薄膜が損傷してしまう現象である。
【0005】
このため、アンテナ効果を抑制するための代表的な手法として、メタルブリッジを設ける手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5623618号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0049872号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】pp174-175 CMOS VLSI回路設計(基礎編) ウェスト、ハリス著
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、半導体集積回路において、容量は一般に周辺長の長いメタル配線の対によって実現される。
【0009】
したがって、並列接続された複数の単位容量の容量比によって高い比精度を実現する場合、複数の容量電極がプラズマエッチングされて製造される際に生じた電荷がMIM(Metal-Insulator-Metal)構造を有する容量(以下、MIM容量という。)の絶縁膜やMIM容量の電極に接続されたMOSFETのゲート酸化膜を破壊する恐れがある。そのため、アンテナ効果を抑制した容量レイアウトが望まれる。
【0010】
加えて、単位容量と寄生容量の双方で高い比精度を実現するためには、製造プロセスにおいて、単位容量値の変動に影響するMIM容量間の絶縁膜の膜厚や誘電率、またメタル層(メタル配線層)の厚さやメタル層間の距離などのプロセスの1次勾配の影響をキャンセルするために、単位容量の高い対称性を崩さないようなメタルブリッジ構造が望まれる。
そこで、本発明は、アンテナ効果を抑制しつつ、単位容量と寄生容量の双方で高い比精度を実現することが可能な半導体集積回路装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の半導体集積回路装置は、複数のメタル層が絶縁体層を介して積層され、容量素子を有する半導体集積回路装置であって、メタル層の積層方向に垂直な所定の回転軸に対して、n(n:2以上の整数)回回転対称な位置に容量素子への電流流路を含む電流流路を構成する部材が配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、メタルブリッジの説明図である。
図2図2は、メタルブリッジの構成例の説明図である。
図3図3は、実施形態の半導体集積回路装置の概観斜視図である。
図4図4は、第4メタル配線層ML4の説明図である。
図5図5は、第3メタル配線層ML3の説明図である。
図6図6は、第2メタル配線層ML2の説明図である。
図7図7は、第1メタル配線層ML1の説明図である。
図8図8は、図4図7における実施形態の半導体集積回路装置の断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に実施形態について、図面を参照して説明する。
[1]実施形態の原理
まず実施形態の詳細な説明に先立ち、実施形態の原理について説明する。
図1は、メタルブリッジの説明図である。
図1(A)に示すように、容量Cを構成するメタル薄膜に接続される長いメタル配線LNが存在する場合に上述したアンテナ効果を抑制するための代表的な手法として、図1(B)に示すように、メタルブリッジ構造MBを設ける手法がある。
【0014】
これは容量Cを構成するメタル薄膜に接続される長いメタル配線をビアVIAによって、プロセスで用いる最も上層のメタル配線層(図1の例では、第2メタル配線層)まで引出してから、また元の配線層(図1の例では、第1メタル配線層)まで戻した構造を有するメタルブリッジ構造MBを、損傷の恐れがある絶縁薄膜層の近くに配置し、メタル配線LNをメタル配線LN1及びメタル配線LN2に分割することで、アンテナ効果を抑制する手法である。
【0015】
一方、単位容量を基本単位として複数の単位容量を配置することで、本体容量と寄生容量の高い比精度を取っていることを考慮に入れると、メタルブリッジは容量を構成する複数の単位容量それぞれに同一構造、かつ、比精度が要求される用途においては、積層基板中の配線パタンによる寄生容量も同一になるように配線パタンの物理的な配置も考慮した上で設けることが望まれる。
【0016】
図2は、メタルブリッジの構成例の説明図である。
図2においては、容量比を3:2とした場合のメタルブリッジとMIM容量の接続関係の一例を概念的に示している。
単位容量によるアンテナ効果を抑制するためには、図2(A)に示すように、単位容量の電極両端に対してそれぞれメタルブリッジが存在することが望ましい。
【0017】
これに対し、図2(B)に示すような、複数の単位容量に対して一つのメタルブリッジのみが存在する条件では、互いに接続された容量電極同士のアンテナ効果によって、MIM容量の絶縁薄膜層が損傷する恐れがある。
【0018】
加えて、単位容量と寄生容量の両方で高い比精度を実現するためには、プロセスの1次勾配の影響をキャンセルするために、単位容量の高い対称性を崩さないようなメタルブリッジ構造である必要がある。
【0019】
そこで、以下の実施形態においては、単位容量の電極両端に対してそれぞれメタルブリッジが存在し、かつ、単位容量の高い対称性を崩さないようなメタルブリッジ構造を設けるものとしている。
【0020】
[2]実施形態
図3は、実施形態の半導体集積回路装置10の概観斜視図である。
図3においては、理解を容易にするため、絶縁材料(絶縁層)及びメタルシールドについては図示を省略している。
【0021】
本体容量11は、第2メタル配線層ML2に形成されるトッププレート21及び第1メタル配線層ML1と第3メタル配線層ML3に形成されるボトムプレート22を備えている。
第4メタル配線層ML4は、引出メタル配線としてのトッププレート21の引出配線31を備えている。
第1メタル配線層ML1は、引出メタル配線としてのボトムプレート22の引出配線61を備えている。
【0022】
また、第4メタル配線層ML4は、メタルブリッジ用メタル33を備えており、引出配線61は、メタルブリッジ構造を介してボトムプレート22に接続されている。トッププレート21の引出配線31は、メタルブリッジ用メタル33としての役割を兼ねている。
【0023】
図4図7は、メタル配線層の構成を説明するための図である。
ここで、図4は、第4メタル配線層ML4の説明図、図5は、第3メタル配線層ML3の説明図、図6は、第2メタル配線層ML2の説明図、図7は、第1メタル配線層ML1の説明図である。各メタル配線層の詳細については、後述する。
【0024】
図8は、図4図7における実施形態の半導体集積回路装置10の断面矢視図である。
図8(A)は、図4図7における実施形態の半導体集積回路装置10のA-A断面矢視図、図5(B)は、図4図7における実施形態の半導体集積回路装置10のB-B断面矢視図である。
【0025】
半導体集積回路装置10は、容量型半導体集積回路装置を構成しており、図8に示すように、本体容量11と、引出メタル配線と、ビア又はコンタクトとして構成された接続部14と、メタルシールド15(15A,15B,15C,15D)と、基板16とを備えている。
【0026】
また、半導体集積回路装置10は、互いに図示しない絶縁層を介して基板16側から順に積層された第1メタル配線層ML1~第4メタル配線層ML4を備えている。
本体容量11は、それぞれ平面視長方形状(図4図7の例では、正方形状)を有する1枚のトッププレート21及び2枚のボトムプレート22を備えている。
【0027】
ここでは、理解を容易にするため1枚のトッププレート21及び2枚のボトムプレート22の場合について説明しているが、これに限られず、例えば、2枚のトッププレート21及び1枚のボトムプレート22の構成や、1枚のトッププレート及び1枚のボトムプレート22の構成等も適用が可能である。
【0028】
実施形態の半導体集積回路装置10では、トッププレート21は、第2メタル配線層ML2に形成され、一方のボトムプレート22は、第1メタル配線層ML1に形成され、他方のボトムプレート22は、第3メタル配線層ML3に形成されている。
【0029】
次に、図4に示す第4メタル配線層ML4の構成を説明する。
第4メタル配線層ML4は、図4に示すように、引出メタル配線としてのトッププレート21の引出配線31、メタルブリッジ用メタル33及びメタルシールド15を構成するメタルシールド15Aを備えている。
【0030】
トッププレート21の引出配線31は、平面視十字形状をしている。また、第3メタル配線層ML3の配線パタン35と接続するためのビアとして構成された複数(図4の例では、2×4個)の接続部14Cを備えている。
【0031】
メタルブリッジ用メタル33は、図4に示すように、それぞれ平面視L字形状を有し、互いにメタル配線層ML1~ML4の積層方向に沿った回転軸RX(図3参照)に対して4回回転対称に4個配置されている。
【0032】
また、メタルブリッジ用メタル33には、ビアとして、ボトムプレート22と接続するための複数(図4の例では、2×4個)の接続部14A1,14A2及び第3メタル配線層ML3のボトムプレート22の引出配線61の配線パタン37と接続するためのビアとして構成された複数(図4の例では1×4個)の接続部14A3が設けられている。
【0033】
メタルシールド15を構成しているメタルシールド15Aは、図4に示すように、4回回転対称な形状(図4では、平面視L字形状)を有し、ビアとして構成された複数(図4の例では、8×4個)の接続部14Fを備えている。
【0034】
次に図5に示す第3メタル配線層ML3の構成を説明する。
第3メタル配線層ML3は、図5に示すように、ボトムプレート22、複数の配線パタン34~37及びメタルシールド15を構成するメタルシールド15Bを備えている。
【0035】
ボトムプレート22は、複数(図5の例では、4個)の配線パタン34に接続され、ビア14として構成された複数(図5の例では、2×4個)の接続部14A1を介して第4メタル配線層ML4のメタルブリッジ用メタル33に接続される。
【0036】
複数(図5の例では、4個)の配線パタン35は、ビアとして構成された複数(図5の例では、2×4個)の接続部14Cを介して第4メタル配線層ML4のトッププレート21の引出配線31及び第2メタル配線層ML2の配線パタン38に接続される。
複数(図5の例では、4個)の配線パタン36は、ビアとして構成された複数(図5の例では、2×4個)の接続部14A2を介して第4メタル配線層ML4のメタルブリッジ用メタル33(図4参照)及び第2メタル配線層ML2の配線パタン39(図6参照に接続される。
【0037】
複数(図5の例では、4個)の配線パタン37は、ビアとして構成された複数(図5の例では、1×4個)の接続部14A3を介して第4メタル配線層ML4のメタルブリッジ用メタル33(図4参照)及び第2メタル配線層ML2の配線パタン40(図6参照)に接続される。
【0038】
メタルシールド15を構成しているメタルシールド15Bは、4回回転対称な形状(図5では、窓枠形状)を有している。
また、メタルシールド15Bは、第4メタル配線層ML4のメタルシールド15A(図4参照)及び第2メタル配線層ML2のメタルシールド15C(図6参照)に接続される、ビアとして構成された複数(図5の例では、8×4個)の接続部14Fと、第2メタル配線層ML2のメタルシールド15Cに接続されるビアとして構成された複数(図5の例では、2×4個)の接続部14Gを備えている。
【0039】
次に図6に示す第2メタル配線層ML2の構成を説明する。
第2メタル配線層ML2は、図6に示すように、トッププレート21、複数の配線パタン38~40及びメタルシールド15を構成するメタルシールド15Cを備えている。
【0040】
トッププレート21は、複数(図6の例では、4個)の配線パタン38に接続され、ビアとして構成された複数(図6の例では、2×4個)の接続部14Cを介して第3メタル配線層ML3の配線パタン35(図5参照)に接続される。
【0041】
複数(図6の例では、4個)の配線パタン39は、ビアとして構成された複数(図6の例では、2×4個)の接続部14A2を介して第3メタル配線層ML3の配線パタン36(図5参照)及び第1メタル配線層ML1の配線パタン51(図7参照)に接続される。
複数(図6の例では、4個)の配線パタン40は、ビアとして構成された複数(図6の例では、1×4個)の接続部14A3を介して第3メタル配線層ML3の配線パタン37(図5参照)及び第1メタル配線層ML1の配線パタン50(図7参照)に接続される。
【0042】
メタルシールド15を構成しているメタルシールド15Cは、4回回転対称な形状(図6では、窓枠形状)を有し、第3メタル配線層ML3のメタルシールド15B(図5参照)及び第1メタル配線層ML1のメタルシールド15Dに接続されるビアとして構成された複数(図6の例では、8×4個)の接続部14Fと、第3メタル配線層ML3のメタルシールド15Bに接続されるビアとして構成された複数(図6の例では、2×4個)の接続部14Gを備えている。
【0043】
第1メタル配線層ML1は、図7に示すように、ボトムプレート22、複数の配線パタン50、51及びメタルシールド15を構成するメタルシールド15Dを備えている。
【0044】
ボトムプレート22は、複数(図7の例では、4個)の配線パタン51に接続され、ビアとして構成された複数(図7の例では、2×4個)の接続部14A2を介して第2メタル配線層ML2の配線パタン39(図6参照)に接続される。
【0045】
複数(図7の例では、4個)の配線パタン50は、ビアとして構成された複数(図7の例では、1×4個)の接続部14A3を介して第2メタル配線層ML2の配線パタン40に接続される。配線パタン50は、図7に示すように、それぞれ平面視I字形状を有し、互いにメタル配線層ML1~ML4の積層方向に沿った回転軸RXに対して4回転対称に配置された4個が設けられている。
また、配線パタン50は引出メタル配線としてのボトムプレート22の引出配線61に接続される。
【0046】
上述したように、第2メタル配線層ML2に形成されるトッププレート21は、第2メタル配線層ML2の配線パタン38と、ビアとして構成された接続部14Cを介して第3メタル配線層ML3の配線パタン35及び第4メタル配線層ML4の引出配線31から電極が引き出される。
【0047】
また、第1メタル配線層ML1に形成されるボトムプレート22は、第1メタル配線層ML1の配線パタン51と、ビアとして構成された接続部14A2を介して第2メタル配線層ML2の配線パタン39、第3メタル配線層ML3の配線パタン36及び第4メタル配線層ML4のメタルブリッジ用メタル33に接続される。
そして、第3メタル配線層ML3に形成されるボトムプレート22は、第3メタル配線層ML3の配線パタン34と、ビアとして構成された接続部14A1を介して第4メタル配線層ML4のメタルブリッジ用メタル33に接続される。
さらに、第4メタル配線層ML4のメタルブリッジ用メタル33から、ビアとして構成された接続部14A3を介して第3メタル配線層ML3の配線パタン37、第2メタル配線層ML2の配線パタン40及び第1メタル配線層ML1の配線パタン50に接続され、第1メタル配線層ML1の引出配線61から電極が引き出される。
【0048】
これらの結果、引出配線31及び引出配線61より、半導体集積回路装置10の信号を外部に出力することができるようになっている。
【0049】
また、第1メタル配線層ML1の複数のメタルシールド15Dは、コンタクトとして構成された接続部14Fにより、基板16と接続される。
これにより、複数のメタルシールド15A、メタルシールド15B、メタルシールド15C及び複数のメタルシールド15Dは、ビアとして構成された接続部14F及び接続部14Gを介して電気的に一体となり、電磁シールドとして機能するメタルシールド15となる。
【0050】
図4図8に示したように、複数のメタル配線層が絶縁体層を介して積層され、容量素子を有する半導体集積回路装置10において、メタル配線層ML1~ML4の積層方向に沿った所定の回転軸RXに対して、4回回転対称な位置に容量素子への電流流路を含む電流流路を構成する部材として、メタルブリッジ構造を構成する配線パタンを含む配線パタン、メタルブリッジ構造を構成するビアを含むビア14、配線パタン同士を接続するビア又はコンタクトを基板16上に配置しているので、配線引き回しなどを考慮することもなく、いずれの電流経路を用いても、実効的な電流流路長を容易に同じにすることができ、比精度の高い単位容量を構成することが可能となる。
【0051】
以上の説明のように、本実施形態によれば、比精度の高い単位容量のレイアウトを実現でき、高い比精度が要求されるスイッチトキャパシタ回路や容量型D/A変換器を実現可能となる。
さらに、本実施形態によれば、単位容量のシールド構造(メタルシールド)を保ちながらメタルブリッジを配置することで、高い比精度を保ったまま、メタルブリッジ構造を採用できるので、アンテナ効果を抑制できる。
【0052】
したがって、アンテナ効果の影響を考慮に入れてレイアウトを設計する時間が不要となる。そのため、高い比精度を要求される容量のレイアウト難易度を下げ、レイアウト作成時間が短縮できる。
また、スイッチトキャパシタ回路や容量型のD/A変換器など、特に高い比精度が要求される容量の応用においても、容量を集積回路上に実現した際のレイアウトに依存して、配線間寄生容量などの予期せぬ寄生容量が影響することで、比精度が低下することなくスイッチトキャパシタ回路や容量型のD/A変換器を構成することができる。
【0053】
以上の説明においては、複数のメタル配線層が絶縁体層を介して積層され、容量素子を有する半導体集積回路装置であって、メタル配線層ML1~ML4の積層方向に沿った所定の回転軸に対して、4回回転対称な位置に容量素子への電流流路を含む電流流路を構成する部材が配置されている場合について説明した。
同様に、n(n:2以上の整数)回回転対称な位置に容量素子への電流流路を含む電流流路を構成する部材が配置されていれば、寄生容量へ影響を与える容量素子への電流流路の実効長をより確実に等しくすることができ、単位容量と寄生容量の双方で高い比精度を実現することができる。
【0054】
これらの構成によれば、複数のメタル配線層が絶縁体層を介して積層され、容量素子を有する半導体集積回路装置において、当該半導体集積回路装置を平面視した場合に、回転対称な位置にメタルブリッジ構造を配置することが可能である。また、それぞれのメタルブリッジ構造に至る配線とその配線間の絶縁体の構造も回転対称に配置可能である。そのため、仮に容量素子を構成するメタル配線や絶縁体に製造プロセスの1次勾配の影響が生じても、容量素子が有する対称性によって1次勾配の影響がキャンセルされるため、比精度の向上を図ることが可能となる。
【0055】
この場合において、電流流路を構成する部材としては、メタルブリッジ構造を構成する配線パタンを含む配線パタン、メタルブリッジ構造を構成するビアを含むビア、前記配線パタン同士を接続するビア又はコンタクトを含むので、半導体集積回路装置全体で製造プロセスの1次勾配の影響をキャンセルして、単位容量の高い対称性を崩さないようにできる。
【0056】
さらに、メタルブリッジを、容量素子の一方の端子及び他方の端子の双方に設けることにより、半導体集積回路装置を製造する際に、互いに接続された容量電極同士のアンテナ効果によって、MIM容量の絶縁薄膜層が損傷されることがなく、容量素子を備えた半導体集積回路装置の信頼性を向上することが可能である。
【0057】
以上の説明においては、配線パタンの線幅については述べなかったが、本体容量11から引き出される配線パタンの線幅を太くすることにより、製造プロセスに起因する線幅の変動の影響を抑制してより一層、比精度を向上するように構成することも可能である。また、絶縁膜を介して形成される容量を本体容量11として用いることが可能なため、MIM容量以外にも、PIP容量やMOS容量などにも適用可能である。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
10 半導体集積回路装置
11 本体容量
14 ビア
14A1、14A2、14A3、14C 接続部
14F、14G 接続部
15、15A~15D メタルシールド
16 基板
21 トッププレート
22 ボトムプレート
31、61 引出配線
33 メタルブリッジ用メタル
34~40 配線パタン
50、51 配線パタン
MB メタルブリッジ構造
ML1 第1メタル配線層
ML2 第2メタル配線層
ML3 第3メタル配線層
ML4 第4メタル配線層
RX 回転軸
VIA ビア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8