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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113883
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】載置方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240816BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240816BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20240816BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H01L21/68 P
H01L21/304 631
H01L21/304 643A
H01L21/304 643C
B24B41/06 L
B24B55/06
B24B41/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019146
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松野 凜太郎
(72)【発明者】
【氏名】林 隆伸
【テーマコード(参考)】
3C034
3C047
5F057
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
3C034AA08
3C034BB73
3C034BB84
3C034BB87
3C034DD10
3C047FF04
3C047FF19
3C047HH15
5F057AA21
5F057BA12
5F057BB03
5F057BB06
5F057BB12
5F057BC01
5F057BC05
5F057BC10
5F057CA14
5F057DA11
5F057FA13
5F057FA33
5F057FA36
5F131AA02
5F131BA32
5F131BA37
5F131CA12
5F131CA23
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DA42
5F131DA54
5F131EA05
5F131EA06
5F131EA24
5F131EB01
5F131EB03
5F131FA32
5F131HA42
5F131HA43
5F131HA44
5F157AA15
5F157AA73
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AC01
5F157BB33
5F157BB37
5F157BB43
(57)【要約】
【課題】装置のコストの高騰を抑制しながらも保持テーブルの保持面に板状物を搬送して載置する際、パーティクル等の異物を噛み込ませることを低減することができる載置方法を提供すること。
【解決手段】載置方法は、板状物を支持ユニットで支持する支持ステップ1001と、支持ユニットから板状物を保持テーブルの保持面と対面する位置へ搬送ユニットで支持して搬送する搬送ステップ1002と、保持テーブルを保持面と直交する回転軸で回転させながら洗浄流体を保持テーブルの保持面から噴出させて、搬送ユニットで保持面と対面して支持される板状物の該保持面と対面する側の面を洗浄流体と接触する位置に位置付けて面を洗浄する洗浄ステップ1004と、洗浄ステップ1004の後で、洗浄流体の噴出を停止して、保持テーブルの保持面に板状物を載置する載置ステップ1005と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状物を保持する保持テーブルと、該保持テーブルが保持する該板状物を加工する加工具を装着した加工ユニットと、少なくとも該保持テーブルと該加工ユニットとを制御するコントローラと、を備える加工装置において、該板状物を該保持テーブルに載置する載置方法であって、
該板状物を支持ユニットで支持する支持ステップと、
該支持ユニットから該板状物を該保持テーブルの保持面と対面する位置へ搬送ユニットで支持して搬送する搬送ステップと、
該保持テーブルを該保持面と直交する回転軸で回転させながら洗浄流体を該保持テーブルの該保持面から噴出させて、該搬送ユニットで該保持面と対面して支持される該板状物の該保持面と対面する側の面を該洗浄流体と接触する位置に位置付けて該面を洗浄する洗浄ステップと、
該洗浄ステップの後で、該洗浄流体の噴出を停止して、該保持テーブルの該保持面に該板状物を載置する載置ステップと、
を備えることを特徴とする載置方法。
【請求項2】
該洗浄流体は、気体供給源及び液体供給源から気体及び液体を供給して混合する該気体と該液体との混合流体であることを特徴とする請求項1に記載の載置方法。
【請求項3】
該洗浄ステップは、該板状物を支持する該搬送ユニットと該保持テーブルとを該保持面が延在する方向に相対的に移動させながら該面を該洗浄流体と接触させて洗浄することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の載置方法。
【請求項4】
該洗浄ステップの前に、該保持テーブルの該保持面から該洗浄流体を噴出させて該保持面を洗浄する保持面洗浄ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の載置方法。
【請求項5】
該載置ステップの後で、該保持テーブルの該保持面に吸引力を連通させて該板状物を吸引保持する吸引保持ステップと、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の載置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置において板状物を保持テーブルに載置する載置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程で使用され被加工物(板状物)を研削する研削装置(加工装置)は、被加工物を保持面で保持して回転する保持テーブルと、保持テーブルに保持された被加工物を研削する研削砥石が配設された研削ホイールを回転可能に支持する研削ユニット(加工ユニット)と、研削領域に研削水(加工液)を供給する研削水供給ユニットと、を具備しており、被加工物を所定の厚みに加工することができる。
【0003】
被加工物を保持テーブルで保持する際に、保持面と被加工物との間にパーティクル等の異物を挟み込むと被加工物に破損が生じたり被加工物の研削加工精度が悪化するため、保持テーブルの保持面から水と空気との混合流体を噴出させて保持面を洗浄することがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-006123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、被加工物自体の保持テーブルの保持面に保持される側の面にパーティクル等の異物が付着している場合は、前述のような保持面の洗浄ではなく、被加工物自体を保持テーブルで保持する前に洗浄する必要がある。このような被加工物の事前洗浄を行う場合には新たに洗浄機構を設けなければならないなど、研削装置のコストが著しく上昇するという問題がある。
【0006】
そのため、装置のコストを著しく上昇させることなく、保持テーブルの保持面に板状物を搬送して載置する際、パーティクル等の異物を噛み込ませることを低減できる載置方法を提供すべきという課題がある。
【0007】
本発明の目的は、装置のコストの高騰を抑制しながらも保持テーブルの保持面に板状物を搬送して載置する際、パーティクル等の異物を噛み込ませることを低減することができる載置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の載置方法は、板状物を保持する保持テーブルと、該保持テーブルが保持する該板状物を加工する加工具を装着した加工ユニットと、少なくとも該保持テーブルと該加工ユニットとを制御するコントローラと、を備える加工装置において、該板状物を該保持テーブルに載置する載置方法であって、該板状物を支持ユニットで支持する支持ステップと、該支持ユニットから該板状物を該保持テーブルの保持面と対面する位置へ搬送ユニットで支持して搬送する搬送ステップと、該保持テーブルを該保持面と直交する回転軸で回転させながら洗浄流体を該保持テーブルの該保持面から噴出させて、該搬送ユニットで該保持面と対面して支持される該板状物の該保持面と対面する側の面を該洗浄流体と接触する位置に位置付けて該面を洗浄する洗浄ステップと、該洗浄ステップの後で、該洗浄流体の噴出を停止して、該保持テーブルの該保持面に該板状物を載置する載置ステップと、を備えることを特徴とする。
【0009】
前記載置方法において、該洗浄流体は、気体供給源及び液体供給源から気体及び液体を供給して混合する該気体と該液体との混合流体でも良い。
【0010】
前記載置方法において、該洗浄ステップは、該板状物を支持する該搬送ユニットと該保持テーブルとを該保持面が延在する方向に相対的に移動させながら該面を該洗浄流体と接触させて洗浄しても良い。
【0011】
前記載置方法において、該洗浄ステップの前に、該保持テーブルの該保持面から該洗浄流体を噴出させて該保持面を洗浄する保持面洗浄ステップをさらに備えても良い。
【0012】
前記載置方法において、該載置ステップの後で、該保持テーブルの該保持面に吸引力を連通させて該板状物を吸引保持する吸引保持ステップと、をさらに備えても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、装置のコストの高騰を抑制しながらも保持テーブルの保持面に板状物を搬送して載置する際、パーティクル等の異物を噛み込ませることを低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態1に係る載置方法を実施する加工装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示された加工装置の加工対象の板状物を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、図2に示された板状物の要部を示す断面図である。
図4図4は、図1に示された加工装置の保持テーブルの構成を模式的に示す断面図である。
図5図5は、実施形態1に係る載置方法の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、図5に示された載置方法の支持ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。
図7図7は、図5に示された載置方法の搬送ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。
図8図8は、図5に示された載置方法の保持面洗浄ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。
図9図9は、図5に示された載置方法の洗浄ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。
図10図10は、図5に示された載置方法の載置ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。
図11図11は、図5に示された載置方法の吸引保持ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0016】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る載置方法を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る載置方法を実施する加工装置の構成例を示す斜視図である。図2は、図1に示された加工装置の加工対象の板状物を模式的に示す斜視図である。図3は、図2に示された板状物の要部を示す断面図である。図4は、図1に示された加工装置の保持テーブルの構成を模式的に示す断面図である。
【0017】
(被加工物)
実施形態1に係る載置方法は、図1に示された加工装置1により実施される。図1に示された加工装置1は、板状物200を研削加工する研削装置である。図1に示された加工装置1の加工対象である板状物200は、シリコン、サファイア、ガリウムなどを基板とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハである。板状物200は、基板の図2及び図3に示す表面201に格子状に設定された分割予定ラインによって区画された各領域に図示しないデバイスが形成されている。
【0018】
デバイスは、例えば、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)又は半導体メモリ(記憶装置)である。
【0019】
また、実施形態1において、板状物200は、加工装置1により表面201の裏側の裏面202が研削加工されて、所定の仕上げ厚みまで薄化された後、分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割される。
【0020】
また、実施形態1では、板状物200は、図2及び図3に示すように、表面201にデバイスを保護する表面保護テープ210が貼着されている。なお、本発明では、板状物200は、表面201にデバイスが形成されていなくても良く、表面201に表面保護テープ210が貼着されていなくても良い。
【0021】
(加工装置)
加工装置1は、板状物200の裏面202を研削加工して、板状物200を所定の仕上げ厚みまで薄化する研削装置である。加工装置1は、図1に示すように、装置基台2と、ターンテーブル5と、ターンテーブル5上に設置された複数(実施形態1では3つ)の保持テーブル6と、粗研削ユニット10と、仕上げ研削ユニット20と、研削送りユニット30と、カセット7と、支持ユニットである位置合わせユニット40と、搬送ユニット50と、洗浄ユニット60と、コントローラである制御ユニット100とを備えている。
【0022】
ターンテーブル5は、装置基台2の上面に設けられた円盤状のテーブルであり、水平面内でZ軸方向と平行な軸心回りに回転可能に設けられ、所定のタイミングで回転駆動される。なお、Z軸方向は、鉛直方向と平行な方向である。このターンテーブル5上には、例えば3つの保持テーブル6が、例えば120度の位相角で等間隔に配設されている。
【0023】
これら3つの保持テーブル6は、図4に示すように、上面が板状物200を吸引保持する保持面611であるポーラス板61と、ポーラス板61の外縁を囲繞する円形の凹部63が上面の中央に形成された円形基台62とを備えている。ポーラス板61は、ポーラスセラミックス等の多孔質材により構成され、厚みが一定の円板状に形成されている。保持面611は、水平方向に沿って平坦に形成されている。
【0024】
円形基台62は、ステンレス鋼等の非通気性を有する金属に形成され、凹部63内にポーラス板61がはめ込まれる。また、円形基台62には、凹部63の底に開口した連通路64が設けられている。連通路64は、円形基台62内等に設けられた空間である。また、連通路64は、吸引源651と接続された吸引通路65が接続している。吸引通路65は、途中に電磁開閉弁652が設けられている。また、連通路64は、混合室66を介して気体通路67及び液体通路68と接続している。
【0025】
気体通路67は、気体供給源671と接続され、途中に電磁開閉弁672が設けられている。液体通路68は、液体供給源681と接続され、途中に電磁開閉弁682が設けられている。気体供給源671は、電磁開閉弁672が開くと気体通路67、混合室66を介して連通路64に気体を供給する。液体供給源681は、電磁開閉弁682が開くと液体通路68、混合室66を介して連通路64に液体を供給する。混合室66は、気体供給源671からの気体と液体供給源681からの液体とを混合する空間である。
【0026】
円形基台62は、回転機構69によりZ軸方向と平行でかつ保持面611と直交する回転軸612回りに回転される。
【0027】
保持テーブル6は、保持面611が吸引通路65を介して吸引源651と接続した真空チャックを備えた真空チャックテーブル構造のものであり、板状物200の表面201側が表面保護テープ210を介して保持面611上に載置されて、電磁開閉弁652が開くと吸引源651により吸引されて、板状物200を保持面611に吸引保持する。
【0028】
また、保持テーブル6は、研削加工時には、回転機構69によりZ軸方向と平行な回転軸612回りに回転駆動される。保持テーブル6は、ターンテーブル5の回転によって、搬入出領域301、粗研削領域302、仕上げ研削領域303、搬入出領域301に順次移動される。
【0029】
なお、搬入出領域301は、保持テーブル6に板状物200を搬入搬出する領域であり、粗研削領域302は、粗研削ユニット10で保持テーブル6に保持された板状物200を粗研削加工(研削に相当)する領域であり、仕上げ研削領域303は、仕上げ研削ユニット20で保持テーブル6に保持された板状物200を仕上げ研削加工(研削に相当)する領域である。
【0030】
また、保持テーブル6は、電磁開閉弁672,682の少なくとも一方が開くことで、気体供給源671からの気体、液体供給源681からの液体、又は気体供給源671からの気体と液体供給源681からの液体とが混合室66で混合された混合流体613を洗浄流体として保持面611から噴出可能である。
【0031】
粗研削ユニット10は、保持テーブル6が保持する板状物200の上方に露出した裏面202を粗研削加工する粗研削用の研削砥石を環状に配設した粗研削用の研削ホイール11(加工具に相当)を装着して、粗研削領域302の保持テーブル6の保持面611に保持された板状物200の裏面202を粗研削加工する加工ユニットである。仕上げ研削ユニット20は、保持テーブル6が保持する板状物200の裏面202を仕上げ研削加工する仕上げ研削用の研削砥石を環状に配設した仕上げ研削用の研削ホイール21(加工具に相当)を装着して、仕上げ研削領域303の保持テーブル6の保持面611に保持された板状物200の裏面202を仕上げ研削加工する加工ユニットである。
【0032】
研削ユニット10,20は、研削ホイール11,21をモータ13,23によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転されるスピンドル14,24の下端(先端に相当)に装着し、研削ホイール11,21の研削砥石を保持テーブル6の保持面611に対向配置する。研削ユニット10,20は、モータ13,23によりスピンドル14,24及び研削ホイール11,21が軸心回りに回転されるとともに研削水を研削領域302,303の保持テーブル6に保持された板状物200の裏面202に供給しながら研削送りユニット30により研削砥石が保持テーブル6に所定の送り速度で近づけられることによって、板状物200の裏面202を粗研削加工又は仕上げ研削加工する。
【0033】
研削送りユニット30は、研削ユニット10,20をZ軸方向に移動させて、研削ユニット10,20と保持テーブル6とを相対的に接近および離間させるものである。実施形態1において、研削送りユニット30は、装置基台2の水平方向と平行なY軸方向の一端部から立設した立設板3に設けられている。研削送りユニット30は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び各研削ユニット10,20のスピンドルハウジング15,25をZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0034】
なお、実施形態1において、粗研削ユニット10及び仕上げ研削ユニット20は、研削ホイール11,21の回転中心である軸心と、保持テーブル6の回転中心である回転軸612とが、互いに水平方向に間隔をあけて平行に配置され、研削砥石が保持テーブル6に保持された板状物200の裏面202の中心上を通る。
【0035】
カセット7は、複数のスロットを有して、板状物200を複数収容するための収容容器である。カセット7は、研削加工前後の板状物200を複数枚収容する。実施形態1では、カセット7は、一対設けられ、それぞれカセット載置台8に設置される。位置合わせユニット40は、カセット7から取り出された板状物200が仮置きされて、その中心位置合わせを行うためのテーブルである。
【0036】
搬送ユニット50は、板状物200を搬送するものである。搬送ユニット50は、搬入ユニット51と、搬出ユニット52と、搬入出ユニット53とを備える。
【0037】
搬入ユニット51は、板状物200を吸着する吸着パッド511を先端部に有し、基端部を中心として装置基台2に揺動自在に設けられたアーム状に形成されている。搬入ユニット51は、位置合わせユニット40で位置合わせされた研削加工前の板状物200を吸着パッド511に吸着保持して搬入出領域301に位置する保持テーブル6上に搬入する。
【0038】
搬出ユニット52は、板状物200を吸着する吸着パッド521を先端部に有し、基端部を中心として装置基台2に揺動自在に設けられたアーム状に形成されている。搬出ユニット52は、搬入出領域301に位置する保持テーブル6上の研削加工後の板状物200を吸着パッド521に吸着保持して洗浄ユニット60に搬出する。
【0039】
搬入出ユニット53は、研削加工前の板状物200をカセット7から取り出して、位置合わせユニット40に搬送するとともに、研削加工後の板状物200を洗浄ユニット60から取り出して、カセット7に搬送する。搬入出ユニット53は、例えばU字型ハンド531を備えるロボットピックであり、U字型ハンド531によって板状物200を吸着保持して搬送する。
【0040】
洗浄ユニット60は、研削加工後の板状物200を洗浄し、研削された裏面202に付着している研削屑等のコンタミネーションを除去する。
【0041】
制御ユニット100は、加工装置1を構成する上述した各構成ユニットをそれぞれ制御するものである。即ち、制御ユニット100は、少なくとも保持テーブル6と研削ユニット10,20の動作を制御して、板状物200に対する加工動作を加工装置1に実行させるものである。制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。
【0042】
制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、加工装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して加工装置1の上述した構成要素に出力する。また、制御ユニット100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニット、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニット及びオペレータに報知する報知ユニットと接続されている。
【0043】
入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。報知ユニットは、音と光とタッチパネル上のメッセージとのうち少なくともいずれかを発して、オペレータに報知する。
【0044】
(載置方法)
次に、実施形態1に係る載置方法を説明する。図5は、実施形態1に係る載置方法の流れを示すフローチャートである。実施形態1に係る載置方法は、前述した構成の加工装置1において、板状物200を保持テーブル6に載置する方法である。また、実施形態1に係る載置方法は、前述した構成の加工装置1が、板状物200の裏面202を研削加工して、板状物200を所定の仕上げ厚みまで薄化する加工装置1の加工動作でもある。
【0045】
実施形態1において、加工装置1は、オペレータにより裏面202を上向きにして板状物200を収容したカセット7が装置基台2のカセット載置台8に設置され、加工条件が制御ユニット100に登録され、オペレータからの加工動作の開始指示を制御ユニット100が受け付けると、加工動作、即ち実施形態1に係る載置方法を開始する。
【0046】
実施形態1に係る載置方法は、図5に示すように、支持ステップ1001と、搬送ステップ1002と、保持面洗浄ステップ1003と、洗浄ステップ1004と、載置ステップ1005と、吸引保持ステップ1006と、研削ステップ1007と、搬出ステップ1008とを備える。
【0047】
(支持ステップ)
図6は、図5に示された載置方法の支持ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。支持ステップ1001は、板状物200を位置合わせユニット40で支持するステップである。
【0048】
実施形態1において、支持ステップ1001では、加工装置1は、制御ユニット100が電磁開閉弁652,672,682を閉じた状態で、各研削ユニット10,20のスピンドル14,24を加工条件で定められた回転数で軸心回りに回転させ、搬入出ユニット53にカセット7のいずれかから板状物200を1枚取り出させて、位置合わせユニット40へ搬入させて、図6に示すように、板状物200を位置合わせユニット40で支持する。実施形態1において、支持ステップ1001では、加工装置1は、制御ユニット100が位置合わせユニット40に板状物200の中心位置合わせを行わせる。
【0049】
(搬送ステップ)
図7は、図5に示された載置方法の搬送ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。搬送ステップ1002は、位置合わせユニット40から板状物200を保持テーブル6の保持面611と対面する位置へ搬送ユニット50で支持して搬送するステップである。
【0050】
実施形態1において、搬送ステップ1002では、加工装置1は、図7に示すように、制御ユニット100が搬入ユニット51の吸着パッド511に位置合わせされた板状物200を吸着保持させ、搬入ユニット51に搬入出領域301に位置する保持テーブル6の保持面611と対面する位置へ板状物200を支持して搬送させる。
【0051】
(保持面洗浄ステップ)
図8は、図5に示された載置方法の保持面洗浄ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。保持面洗浄ステップ1003は、洗浄ステップ1004の前に、保持テーブル6の保持面611から洗浄流体を噴出させて保持面611を洗浄するステップである。
【0052】
実施形態1において、保持面洗浄ステップ1003では、加工装置1は、制御ユニット100が電磁開閉弁672,682を開いて気体供給源671から気体通路67を通して気体を混合室66に供給し、液体供給源681から液体通路68を通して液体を混合室66に供給する。実施形態1において、保持面洗浄ステップ1003では、加工装置1は、図8に示すように、混合室66で気体と液体とを混合して混合流体613を生成して、生成した混合流体613を洗浄流体として保持面611から噴出させて、保持面611から異物等を除去して保持面611を洗浄する。こうして、実施形態1において、洗浄流体は、気体供給源671及び液体供給源681から気体及び液体を供給して混合する気体と液体との混合流体613である。
【0053】
(洗浄ステップ)
図9は、図5に示された載置方法の洗浄ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。洗浄ステップ1004は、保持テーブル6を保持面611と直交する回転軸612で回転させながら洗浄流体である混合流体613を保持テーブル6の保持面611から噴出させて、搬送ユニット50で保持面611と対面して支持される板状物200の保持面611と対面する側の面である表面保護テープ210の表面211を混合流体613と接触する位置に位置付けて表面保護テープ210の表面211を洗浄するステップである。
【0054】
実施形態1において、洗浄ステップ1004では、加工装置1は、電磁開閉弁672,682を開いて、保持面611から洗浄流体としての混合流体613を噴出させた状態で、図9に示すように、制御ユニット100が回転機構69で保持テーブル6を回転軸612回りに回転するとともに、搬入ユニット51に吸着パッド511を下降させて、吸着パッド511に吸着した板状物200に貼着した表面保護テープ210の表面211を保持面611から噴出する混合流体613と接触する位置に位置付ける。実施形態1において、洗浄ステップ1004では、加工装置1は、制御ユニット100が搬入ユニット51を吸着パッド511に保持した板状物200が保持面611の上方を通過するように、基端部を中心として所定回数揺動させる。
【0055】
こうして、実施形態1において、洗浄ステップ1004は、加工装置1が、搬入ユニット51を基端部を中心として揺動させることで、板状物200を支持する搬入ユニット51と保持テーブル6とを保持面611が延在する方向に相対的に移動させながら吸着パッド511に吸着した板状物200に貼着した表面保護テープ210の表面211を混合流体613と接触させて洗浄する。
【0056】
(載置ステップ)
図10は、図5に示された載置方法の載置ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。載置ステップ1005は、洗浄ステップ1004の後で、洗浄流体としての混合流体613の噴出を停止して、保持テーブル6の保持面611に板状物200を載置するステップである。
【0057】
実施形態1において、載置ステップ1005では、加工装置1は、図10に示すように、制御ユニット100が電磁開閉弁672,682を閉じて保持面611からの混合流体613の噴出を停止し回転機構69の回転軸612回りの保持テーブル6の回転を停止させて、搬入ユニット51に板状物200を保持テーブル6の保持面611に載置させる。
【0058】
(吸引保持ステップ)
図11は、図5に示された載置方法の吸引保持ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。吸引保持ステップ1006は、載置ステップ1005の後で、保持テーブル6の保持面611に吸引力を連通させて板状物200を吸引保持するステップである。
【0059】
実施形態1において、吸引保持ステップ1006では、加工装置1は、図11に示すように、制御ユニット100が電磁開閉弁652を開いて、吸引源651により吸引通路65及び連通路64を介して保持面611を吸引させ、板状物200を搬入出領域301の保持テーブル6の保持面611に吸引保持する。また、実施形態1において、吸引保持ステップ1006では、加工装置1は、制御ユニット100がターンテーブル5を回転して、搬入出領域301で板状物200を保持した保持テーブル6を粗研削領域302に移動する。
【0060】
(研削ステップ)
研削ステップ1007は、研削ホイール11,21を先端に装着したスピンドル14,24を含む研削ユニット10,20を軸心回りに回転させるとともに保持テーブル6を回転軸612回りに回転させた状態で相対的に接近させて、板状物200を研削加工するステップである。
【0061】
実施形態1において、研削ステップ1007では、加工装置1は、制御ユニット100が保持テーブル6を回転軸612回りに回転し、研削水を供給して粗研削ユニット10により板状物200を粗研削加工する。実施形態1において、研削ステップ1007では、加工装置1は、制御ユニット100が板状物200を粗研削加工した後、ターンテーブル5を回転して、粗研削加工後の板状物200を保持した保持テーブル6を仕上げ研削領域303に移動する。
【0062】
実施形態1において、研削ステップ1007では、加工装置1は、制御ユニット100が板状物200を仕上げ研削加工した後、ターンテーブル5を回転して、仕上げ研削加工後の板状物200を保持し軸心回りの回転が停止した保持テーブル6を搬入出領域301に移動する。
【0063】
(搬出ステップ)
搬出ステップ1008は、研削加工後の板状物200を保持テーブル6から搬出して、カセット7内に搬入するステップである。実施形態1において、搬出ステップ1008では、加工装置1は、制御ユニット100が搬出ユニット52に仕上げ研削加工後の板状物200を搬入出領域301の保持テーブル6から洗浄ユニット60に搬送して、洗浄ユニット60で洗浄した後、搬入出ユニット53にカセット7に収容させる。搬出ステップ1008後、加工装置1は、制御ユニット100がカセット7内の全ての板状物200に粗研削加工、仕上げ研削加工を施した否かを判定する(ステップ1009)。
【0064】
搬出ステップ1008後、加工装置1は、制御ユニット100がカセット7内の全ての板状物200に粗研削加工、仕上げ研削加工を施していないと判定する(ステップ1009:No)と、支持ステップ1001に戻る。この場合、加工装置1は、制御ユニット100がターンテーブル5を120度回転する度に、仕上げ研削加工後の板状物200を保持している搬入出領域301の保持テーブル6から板状物200を洗浄ユニット60に搬送し、仕上げ研削加工後の板状物200を保持していない搬入出領域301の保持テーブル6に研削加工前の板状物200を搬入し、粗研削領域302の保持テーブル6に保持された研削加工前の板状物200を粗研削加工し、仕上げ研削領域303の保持テーブル6に保持された粗研削加工後の板状物200を粗研削加工する。こうして、加工装置1は、制御ユニット100がターンテーブル5を120度回転する度に搬入出領域301の保持テーブル6に板状物200を搬出、搬入し、保持テーブル6の保持面611に保持した板状物200を粗研削領域302及び仕上げ研削領域303に順に位置付けて、粗研削加工及び仕上げ研削加工を順に施す。
【0065】
搬出ステップ1008後、加工装置1は、制御ユニット100がカセット7内の全ての板状物200に粗研削加工、仕上げ研削加工を施したと判定する(ステップ1009:Yes)と、加工動作、即ち実施形態1に係る載置方法を終了する。
【0066】
以上説明したように、実施形態1に係る載置方法は、載置ステップ1005の前に保持テーブル6を回転軸612回りに回転させながら洗浄流体である混合流体613を保持テーブル6の保持面611から噴出させて、搬入ユニット51で保持面611と対面して支持される板状物200の保持面611と対面する側の面である表面保護テープ210の表面211を洗浄流体である混合流体613と接触する位置に位置付けて、表面保護テープ210の表面211を洗浄する洗浄ステップ1004を実施する。
【0067】
このために、実施形態1に係る載置方法は、加工装置1等の加工装置に板状物200の保持面611と対面する側の面である表面保護テープ210の表面211を洗浄する洗浄ユニットを設けることなく、板状物200の載置前に表面保護テープ210の表面211を洗浄することができる。
【0068】
その結果、実施形態1に係る載置方法は、加工装置1等の加工装置のコストの高騰を抑制しながらも保持テーブル6の保持面611に板状物200を搬送して載置する際、パーティクル等の異物を噛み込ませることを低減することができるという効果を奏する。
【0069】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。なお、実施形態1では、洗浄流体は、気体と液体とが混合された混合流体613であるが、本発明では、混合流体613に限定されずに、気体でも良く、液体でも良い。
【0070】
また、本発明では、加工装置1は、板状物200を研削加工する研削装置であるが、本発明では、研削装置に限定されずに、板状物200を切削加工する切削装置でも良く、板状物200を研磨加工する研磨装置でも良い。なお、加工装置1が切削装置又は研磨装置である場合、支持ユニットは、板状物200を収容するカセット、カセットに出し入れされる板状物200を一時的に載置される仮置きレール、カセットに出し入れされる板状物200を一時的に載置される仮置きテーブル、板状物200をアライメントするために支持するテーブル等である。
【符号の説明】
【0071】
1 加工装置
6 保持テーブル
10 粗研削ユニット(加工ユニット)
11 研削ホイール(加工具)
20 仕上げ研削ユニット(加工ユニット)
21 研削ホイール(加工具)
40 位置合わせユニット(支持ユニット)
50 搬送ユニット
51 搬入ユニット
100 制御ユニット(コントローラ)
200 板状物
211 表面(保持面と対面する側の面)
611 保持面
612 回転軸
613 混合流体(洗浄流体)
671 気体供給源
681 液体供給源
1001 支持ステップ
1002 搬送ステップ
1003 保持面洗浄ステップ
1004 洗浄ステップ
1005 載置ステップ
1006 吸引保持ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11