(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113895
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】保持ユニット及び保持方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240816BHJP
B23Q 3/08 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H01L21/68 P
B23Q3/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019164
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大盛 晃祐
【テーマコード(参考)】
3C016
5F131
【Fターム(参考)】
3C016DA05
3C016DA12
5F131AA02
5F131BA00
5F131CA24
5F131CA37
5F131DA22
5F131DA42
5F131DB22
5F131EA02
5F131EA04
5F131EA05
5F131EA07
5F131EB01
5F131EB04
(57)【要約】
【課題】複数サイズのワークを保持することができること。
【解決手段】保持ユニット1は、ワークを吸引保持する保持面2を有し、保持面2に開口する複数の吸引孔が形成され、保持面2の中央の中央吸引領域4と連通しかつ吸引源28に接続される中央領域24と、保持面2の中央吸引領域4を囲繞する外周吸引領域5と連通しかつ中央領域24を囲繞する外周領域25と、を連通する連通孔31と、連通孔31を開閉自在で、かつ連通孔31を閉じると中央領域24と外周領域25とを遮断するとともに、連通孔31を開くと中央領域24と外周領域25とを連通する弁体34と、を備え、中央領域24内の圧力が外周領域25内の圧力よりも低下すると、弁体34が連通孔31を閉じ、中央領域24内の圧力が外周領域25内の圧力と等しいと、弁体34が連通孔31を開く。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを吸引保持する保持面を有し、該保持面に開口する複数の吸引孔が形成された保持ユニットであって、
該保持面の中央の中央吸引領域と連通しかつ吸引源に接続される中央領域と、該保持面の中央吸引領域を囲繞する外周吸引領域と連通しかつ該中央領域を囲繞する外周領域と、を連通する連通孔と、
該連通孔を開閉自在で、かつ該連通孔を閉じると該中央領域と該外周領域とを遮断するとともに、該連通孔を開くと該中央領域と該外周領域とを連通する弁体と、を備え、
該中央領域内の圧力が該外周領域内の圧力よりも低下すると、該弁体が該連通孔を閉じ、
該中央領域内の圧力が該外周領域内の圧力と等しいと、該弁体が該連通孔を開く、
ことを特徴とする保持ユニット。
【請求項2】
該外周領域と、該保持面の外周吸引領域を囲繞する第2外周吸引領域と連通しかつ該外周領域を囲繞する第2外周領域と、を連通する第2連通孔と、
該第2連通孔を開閉自在で、かつ該第2連通孔を閉じると該外周領域と該第2外周領域とを遮断するとともに、該第2連通孔を開くと該外周領域と該第2外周領域とを連通する第2弁体と、を備え、
該外周領域内の圧力が該第2外周領域内の圧力よりも低下すると、該第2弁体が該第2連通孔を閉じ、
該外周領域内の圧力が該第2外周領域内の圧力と等しいと、該第2弁体が該第2連通孔を開く、
ことを特徴とする請求項1に記載の保持ユニット。
【請求項3】
該中央領域と、該外周領域とを連通し、該連通孔を含むとともに、該連通孔の該外周領域側の端に該中央領域に向かうにした徐々に該連通孔を縮小させる縮径部が形成された連通路を備え、
該弁体が、該連通路内の該縮径部よりも該外周領域側に収容されて、該連通路内を転動自在であるとともに、外径が該連通孔の内径よりも大きな球体である、
請求項1に記載の保持ユニット。
【請求項4】
該中央領域と、該外周領域と、該第2外周領域とを連通し、該連通孔及び該第2連通孔を含むとともに、該連通孔の該外周領域側の端に該中央領域に向かうにした徐々に該連通孔を縮小させる縮径部が形成され、該第2連通孔の該第2外周領域側の端に該外周領域に向かうにした徐々に該第2連通孔を縮小させる第2縮径部が形成された連通路を備え、
該弁体が、該連通路内の該縮径部と該第2連通孔との間に収容されて、該連通路内を転動自在であるとともに、外径が該連通孔の内径よりも大きな球体であり、
該第2弁体が、該連通路内の該第2縮径部よりも該第2外周領域側に収容されて、該連通路内を転動自在であるとともに、外径が該第2連通孔の内径よりも大きな球体である、
請求項2に記載の保持ユニット。
【請求項5】
請求項1に記載の保持ユニットでワークを保持する保持方法であって、
該中央吸引領域に相当する大きさのワークを該保持面の該中央吸引領域に配設する配設ステップと、
該配設ステップを実施した後、該中央領域を該吸引源に接続することで、該弁体で該連通孔を閉じさせて、該中央吸引領域に負圧を作用させて該ワークを吸引保持する吸引保持ステップと、を備えた保持方法。
【請求項6】
請求項2に記載の保持ユニットでワークを保持する保持方法であって、
該外周吸引領域に相当する大きさのワークを該保持面の該中央吸引領域と該外周吸引領域に配設する配設ステップと、
該配設ステップを実施した後、該中央領域を該吸引源に接続することで、該第2弁体で該第2連通孔を閉じさせて、該中央吸引領域と該外周吸引領域に負圧を作用させて該ワークを吸引保持する吸引保持ステップと、を備えた保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを吸引保持する保持ユニット及び保持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体デバイスの製造工程では、半導体ウェーハを吸引保持する保持ユニットや搬送パッド等の保持ユニットが広く利用されている(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-078832号公報
【特許文献2】特開2019-204916号公報
【特許文献3】特開2010-118424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載された保持テーブルや搬送パッド等の保持ユニットは、半導体ウェーハ等のワークに対応した大きさの保持面を有し、保持面に負圧を作用させて吸引保持する。前述した保持ユニットは、保持面よりも小さいサイズのワークを保持しようとすると露出した保持面から負圧がリークし十分な保持力で吸引保持できないため、ワークのサイズに応じて使用するものが交換されている。
【0005】
しかし、例えば保持テーブルを交換した後には、加工工具との原点出しを行うセットアップ作業が必要となり、搬送パッドを交換した後には搬送位置の調整作業が必要となるため、同一の保持ユニットで複数サイズのワークを吸引保持したいという要望がある。
【0006】
本発明の目的は、複数サイズのワークを保持することができる保持ユニット及び保持方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の保持ユニットは、ワークを吸引保持する保持面を有し、該保持面に開口する複数の吸引孔が形成された保持ユニットであって、該保持面の中央の中央吸引領域と連通しかつ吸引源に接続される中央領域と、該保持面の中央吸引領域を囲繞する外周吸引領域と連通しかつ該中央領域を囲繞する外周領域と、を連通する連通孔と、該連通孔を開閉自在で、かつ該連通孔を閉じると該中央領域と該外周領域とを遮断するとともに、該連通孔を開くと該中央領域と該外周領域とを連通する弁体と、を備え、該中央領域内の圧力が該外周領域内の圧力よりも低下すると、該弁体が該連通孔を閉じ、該中央領域内の圧力が該外周領域内の圧力と等しいと、該弁体が該連通孔を開くことを特徴とする。
【0008】
前記保持ユニットでは、該外周領域と、該保持面の外周吸引領域を囲繞する第2外周吸引領域と連通しかつ該外周領域を囲繞する第2外周領域と、を連通する第2連通孔と、該第2連通孔を開閉自在で、かつ該第2連通孔を閉じると該外周領域と該第2外周領域とを遮断するとともに、該第2連通孔を開くと該外周領域と該第2外周領域とを連通する第2弁体と、を備え、該外周領域内の圧力が該第2外周領域内の圧力よりも低下すると、該第2弁体が該第2連通孔を閉じ、該外周領域内の圧力が該第2外周領域内の圧力と等しいと、該第2弁体が該第2連通孔を開いても良い。
【0009】
前記保持ユニットでは、該中央領域と、該外周領域とを連通し、該連通孔を含むとともに、該連通孔の該外周領域側の端に該中央領域に向かうにした徐々に該連通孔を縮小させる縮径部が形成された連通路を備え、該弁体が、該連通路内の該縮径部よりも該外周領域側に収容されて、該連通路内を転動自在であるとともに、外径が該連通孔の内径よりも大きな球体でも良い。
【0010】
前記保持ユニットでは、該中央領域と、該外周領域と、該第2外周領域とを連通し、該連通孔及び該第2連通孔を含むとともに、該連通孔の該外周領域側の端に該中央領域に向かうにした徐々に該連通孔を縮小させる縮径部が形成され、該第2連通孔の該第2外周領域側の端に該外周領域に向かうにした徐々に該第2連通孔を縮小させる第2縮径部が形成された連通路を備え、該弁体が、該連通路内の該縮径部と該第2連通孔との間に収容されて、該連通路内を転動自在であるとともに、外径が該連通孔の内径よりも大きな球体であり、該第2弁体が、該連通路内の該第2縮径部よりも該第2外周領域側に収容されて、該連通路内を転動自在であるとともに、外径が該第2連通孔の内径よりも大きな球体でも良い。
【0011】
本発明の保持方法は、前記保持ユニットでワークを保持する保持方法であって、該中央吸引領域に相当する大きさのワークを該保持面の該中央吸引領域に配設する配設ステップと、該配設ステップを実施した後、該中央領域を該吸引源に接続することで、該弁体で該連通孔を閉じさせて、該中央吸引領域に負圧を作用させて該ワークを吸引保持する吸引保持ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の保持方法は、前記保持ユニットでワークを保持する保持方法であって、該外周吸引領域に相当する大きさのワークを該保持面の該中央吸引領域と該外周吸引領域に配設する配設ステップと、該配設ステップを実施した後、該中央領域を該吸引源に接続することで、該第2弁体で該第2連通孔を閉じさせて、該中央吸引領域と該外周吸引領域に負圧を作用させて該ワークを吸引保持する吸引保持ステップと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、複数サイズのワークを保持することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る保持ユニットを備える加工装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る保持ユニットの構成例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2中のIII-III線に沿う断面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示された保持ユニットを分解して示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る保持方法の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、
図6に示された保持方法の配設ステップを示す断面図である。
【
図8】
図8は、
図6に示された保持方法の吸引保持ステップにおいてワーク200-1を吸引保持する状態を示す断面図である。
【
図9】
図9は、
図6に示された保持方法の吸引保持ステップにおいてワーク200-1を吸引保持した状態を示す断面図である。
【
図10】
図10は、
図6に示された保持方法の吸引保持ステップにおいてワーク200-2を吸引保持する状態を示す断面図である。
【
図11】
図11は、
図6に示された保持方法の吸引保持ステップにおいてワーク200-2を吸引保持した状態を示す断面図である。
【
図12】
図12は、
図6に示された保持方法の吸引保持ステップにおいてワーク200-3を吸引保持した状態を示す断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態2に係る保持ユニットの平面図である。
【
図15】
図15は、実施形態2の変形例に係る保持ユニットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0016】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る保持ユニットを図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る保持ユニットを備える加工装置の構成例を示す斜視図である。
【0017】
(ウェーハ)
実施形態1に係る保持ユニット1は、
図1に示された加工装置100を構成する。加工装置100は、ワーク200を切削する切削装置である。
図1に示された加工装置100の加工対象のワーク200は、シリコン、サファイア、ガリウムヒ素、又はSiC(炭化ケイ素)等などを基板とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハである。
【0018】
ワーク200は、表面201に互いに格子状に形成された複数の分割予定ライン202によって格子状に区画された領域にデバイス203が形成されている。デバイス203は、例えば、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)又はメモリ(半導体記憶装置)である。
【0019】
実施形態1では、ワーク200は、表面201の裏側の裏面204にワーク200と同径の円板状の粘着テープ205が貼着されて、加工装置100により切削される。実施形態1では、ワーク200には、外径が6インチのワーク200-1と、外径が8インチのワーク200-2と、外径が300mmのワーク200-3とが存在する。即ち、ワーク200-1,200-2,200-3の外径(大きさ)は、互いに異なる。なお、以下、ワーク200-1,200-2,200-3同士を区別する場合には、各々符号200-1,200-2,200-3で示し、区別しない場合には、符号200で示す。
【0020】
また、本発明では、ワーク200は、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス板、又はガラス板等でも良い。
【0021】
(加工装置)
図1に示された加工装置100は、ワーク200を保持ユニット1で保持し、分割予定ライン202に沿って切削ブレード121で切削する加工装置である。加工装置100は、
図1に示すように、ワーク200を保持面2で吸引保持する保持ユニット1と、保持ユニット1で保持されたワーク200を切削ブレード121で切削する切削ユニット120と、保持ユニット1に保持されたワーク200を撮像する撮像ユニット130と、制御手段である制御ユニット170とを備える。実施形態1に係る加工装置100は、
図1に示すように、切削ユニット120を2つ備えた、即ち、2スピンドルのダイサ、いわゆるフェイシングデュアルタイプの切削装置である。
【0022】
また、加工装置100は、保持ユニット1を切削ユニット120に対して相対的に移動させる移動ユニット140を備える。移動ユニット140は、保持ユニット1を水平方向と平行なX軸方向に加工送りするX軸移動ユニット141と、切削ユニット120を水平方向と平行でかつX軸方向に直交するY軸方向に割り出し送りするY軸移動ユニット142と、切削ユニット120をX軸方向とY軸方向との双方と直交する鉛直方向に平行なZ軸方向に切り込み送りするZ軸移動ユニット143と、保持ユニット1をZ軸方向と平行な軸心回りに回転する回転移動ユニット144とを備える。
【0023】
X軸移動ユニット141は、加工装置100の装置本体101に設置されている。X軸移動ユニット141は、保持ユニット1を加工送り方向であるX軸方向に移動させることで、保持ユニット1と切削ユニット120とを相対的にX軸方向に沿って加工送りするものである。Y軸移動ユニット142及びZ軸移動ユニット143は、装置本体101から立設した支持フレーム102に設置されている。Y軸移動ユニット142は、切削ユニット120を割り出し送り方向であるY軸方向に移動させることで、保持ユニット1と切削ユニット120とを相対的にY軸方向に沿って割り出し送りするものである。Z軸移動ユニット143は、切削ユニット120を切り込み送り方向であるZ軸方向に移動させることで、保持ユニット1と切削ユニット120とを相対的にZ軸方向に沿って切り込み送りするものである。回転移動ユニット144はX軸移動ユニット141により保持ユニット1とともにX軸方向に移動される。
【0024】
X軸移動ユニット141、Y軸移動ユニット142及びZ軸移動ユニット143は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじと、ボールねじを軸心回りに回転させて保持ユニット1又は切削ユニット120をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動させる周知のモータと、保持ユニット1又は切削ユニット120をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールとを備える。回転移動ユニット144は、保持ユニット1を軸心回りに回転する周知のモータ等を備える。
【0025】
保持ユニット1は、X軸移動ユニット141により切削ユニット120の下方の加工領域と、切削ユニット120の下方から離間してワーク200が搬入出される搬入出領域とに亘ってX軸方向に移動自在に設けられ、かつ回転移動ユニット144によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられている。保持ユニット1の構成は、後ほど説明する。
【0026】
切削ユニット120は、保持ユニット1で保持されたワーク200を切削(加工に相当)する加工ユニットである。切削ユニット120は、それぞれ、保持ユニット1に保持されたワーク200に対して、Y軸移動ユニット142によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、Z軸移動ユニット143によりZ軸方向に移動自在に設けられている。切削ユニット120は、それぞれ、X軸移動ユニット141、Y軸移動ユニット142及びZ軸移動ユニット143により、保持ユニット1の保持面2の任意の位置に切削ブレード121を位置付け可能となっている。
【0027】
切削ユニット120は、
図1に示すように、切削ブレード121と、Y軸移動ユニット142及びZ軸移動ユニット143によりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられたスピンドルハウジング122と、スピンドルハウジング122に軸心回りに回転自在に設けられたスピンドル123と、スピンドル123を軸心回りに回転する図示しないスピンドルモータとを有する。
【0028】
切削ブレード121は、略リング形状を有する極薄の切削砥石である。実施形態1において、切削ブレード121は、保持ユニット1で保持されたワーク200を切削するものである。切削ブレード121は、保持ユニット1に保持されたワーク200を切削する円環状の切り刃と、切り刃を外縁に支持しかつスピンドル123に着脱自在に装着される円環状の環状基台とを備えている。切り刃は、ダイヤモンドやCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒と、金属や樹脂等のボンド材(結合材)とからなり所定厚みに形成されている。なお、本発明では、切削ブレード121は、切り刃のみからなる所謂ワッシャーブレードでも良い。
【0029】
スピンドルハウジング122は、Z軸移動ユニット143によりZ軸方向に移動自在に支持され、Z軸移動ユニット143を介してY軸移動ユニット142によりY軸方向に移動自在に支持されている。スピンドルハウジング122は、スピンドル123の先端部を除く部分及び図示しないスピンドルモータ等を収容し、スピンドル123を軸心回りに回転可能に支持する。
【0030】
スピンドル123は、切削ブレード121が先端部に着脱自在に固定されるものである。スピンドル123は、図示しないスピンドルモータにより軸心回りに回転されるとともに、先端部がスピンドルハウジング122の先端面より突出している。スピンドル123の先端部は、先端に向かうにしたがって徐々に細く形成されており、切削ブレード121が装着される。切削ユニット120のスピンドル123及び切削ブレード121の軸心は、Y軸方向と平行である。即ち、切削ユニット120の切削ブレード121は、スピンドルモータにより軸心回りに回転される。
【0031】
また、切削ユニット120は、
図1に示すように、切削中に切削ブレード121に切削液を供給する切削液供給ノズル125を備える。
【0032】
撮像ユニット130は、切削ユニット120と一体的に移動するように、切削ユニット120に固定されている。撮像ユニット130は、保持ユニット1に保持されたエッジトリミング前のワーク200の切削すべき領域を撮像する撮像素子を含む。撮像素子は、例えば、複数の画素を有するCCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像ユニット130は、保持ユニット1に保持されたワーク200を対物レンズを通して撮像素子で撮像する。
【0033】
撮像ユニット130は、保持ユニット1に保持されたワーク200を撮像して、ワーク200と切削ブレード121との位置合わせを行なうアライメントを遂行するための画像を取得し、取得した画像を制御ユニット170に出力する。
【0034】
また、加工装置100は、保持ユニット1のX軸方向の位置を検出するため図示しないX軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット120のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット120のZ軸方向の位置を検出するためのZ軸方向位置検出ユニットと、保持ユニット1の軸心回りに角度を検出する角度検出ユニットとを備える。X軸方向位置検出ユニット及びY軸方向位置検出ユニットは、X軸方向、又はY軸方向と平行なリニアスケールと、読み取りヘッドとにより構成することができる。Z軸方向位置検出ユニットは、モータのパルスで切削ユニット120のZ軸方向の位置を検出する。角度検出ユニットは、周知のロータリエンコーダ等により構成される。
【0035】
X軸方向位置検出ユニット、Y軸方向位置検出ユニット及びZ軸方向位置検出ユニットは、保持ユニット1のX軸方向、切削ユニット120のY軸方向又はZ軸方向の位置を制御ユニット170に出力する。角度検出ユニットは、保持ユニット1の軸心回りの基準位置からの角度を制御ユニット170に出力する。なお、実施形態1では、加工装置100の各構成要素のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置は、予め定められた図示しない基準位置を基準とした位置で定められる。
【0036】
また、加工装置100は、切削前後のワーク200を収容するカセット151が載置されかつカセット151をZ軸方向に移動させるカセットエレベータ150と、洗浄ユニット160と、図示しない搬送ユニットとを備える。カセット151は、ワーク200をZ軸方向に間隔をあけて複数収容可能な収容容器であり、ワーク200を出し入れ可能とする出し入れ口152を備えている。カセットエレベータ150は、搬入出領域に位置付けられた保持ユニット1のY軸方向の一方側の隣に配置され、搬入出領域に位置付けられた保持ユニット1側に出し入れ口152を位置付けて、カセット151が載置される。
【0037】
洗浄ユニット160は、切削後のワーク200を洗浄するものである。洗浄ユニットは、搬入出領域に位置付けられた保持ユニット1のY軸方向の他方側の隣に配置され、カセット151及び搬入出領域に位置付けられた保持ユニット1とY軸方向に並ぶ位置に配置されている。洗浄ユニット160は、被加工物を吸引保持するスピンナテーブル161と、スピンナテーブル161に吸引保持されたワーク200の表面201に洗浄液を供給する洗浄液供給ノズル162とを備える。
【0038】
搬送ユニットは、カセット151内と保持ユニット1上と洗浄ユニット160のスピンナテーブル161上に亘ってワーク200を搬送するものである。
【0039】
制御ユニット170は、加工装置100の各構成要素をそれぞれ制御して、ワーク200に対する加工動作を加工装置100に実施させるものでもある。なお、制御ユニット170は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット170の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、加工装置100を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して加工装置100の各構成要素に出力する。
【0040】
制御ユニット170は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される図示しない表示ユニットと、オペレータが加工条件などを登録する際に用いる入力ユニットと、報知ユニットとに接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等の外部入力装置とのうち少なくとも一つにより構成される。報知ユニットは、音と光の少なくとも一方を発して、オペレータに報知するものである。
【0041】
(保持ユニット)
次に、保持ユニット1を説明する。
図2は、実施形態1に係る保持ユニットの構成例を示す斜視図である。
図3は、
図2中のIII-III線に沿う断面図である。
図4は、
図2に示された保持ユニットを分解して示す斜視図である。
図5は、
図4中のV-V線に沿う断面図である。
【0042】
保持ユニット1は、ワーク200を吸引保持する保持面2を有し、保持面2に開口する複数の吸引孔13が形成されている。実施形態1において、保持ユニット1は、
図2、
図3及び
図4に示すように、保持板10と、本体20とを備える。
【0043】
保持板10は、円板状に形成され、厚みが一様に形成されている。保持板10は、ポーラスセラミックス等の多孔質材により構成された円板状の保持板部11と、保持板部11の外縁を全周に亘って囲繞する環状の非通気部12とを備える。保持板部11は、上面が水平方向に沿って平坦に形成されて、ワーク200を保持する保持面2である。保持面2の外径は、ワーク200の外径と等しい。
【0044】
保持板部11は、ポーラスセラミックス等の多孔質材で構成されているので、保持面2には、保持板部11の孔である吸引孔13が多数開口している。吸引孔13は、保持板部11を保持面2と、保持面2の裏側の裏面とを連通している。また、実施形態1において、保持面2は、外径がワーク200-1の外径と等しい円形の中央吸引領域4と、外径がワーク200-2の外径と等しいリング状の外周吸引領域5と、外径がワーク200-3の外径と等しく外周吸引領域5よりも外周側のリング状の第2外周吸引領域6とが形成されている。中央吸引領域4と、外周吸引領域5と、第2外周吸引領域6とは互いに同軸となる位置に配置されて、外周吸引領域5は、中央吸引領域4を囲繞し、第2外周吸引領域6は、外周吸引領域5を囲繞している。
【0045】
ワーク200-1は、外径が中央吸引領域4の外径と等しいことにより中央吸引領域4に相当する大きさのワークである。ワーク200-2は、外径が外周吸引領域5の外径と等しいことにより外周吸引領域5に相当する大きさのワークである。ワーク200-3は、外径が第2外周吸引領域6の外径と等しいことにより第2外周吸引領域6に相当する大きさのワークである。なお、
図2及び
図4には、第2外周吸引領域6と外周吸引領域5との境界を破線で示し、外周吸引領域5と中央吸引領域4との境界を二点鎖線で示している。保持板部11は、中央吸引領域4と、外周吸引領域5と、第2外周吸引領域6との境界に非通気性の材料で構成されたシール部14(
図3に示す)が厚み方向の全体に亘って埋設されている。
【0046】
非通気部12は、非通気性の材料で構成されている。非通気部12は、ステンレス鋼等の金属やセラミックスからなる枠体の他、保持板部11を構成するポーラスセラミックス等の多孔質材の外縁部を接着剤でシールして構成されても良い。
【0047】
本体20は、ステンレス鋼等の非通気性の金属等から構成され、円板状の底板21と、底板21の外縁から立設した環状壁22とを有して、上方に開口が設けられた扁平な有底の円筒状に形成されている。本体20は、外径が、保持板10の外径と等しく形成され、開口が保持板10に塞がれて、保持板10が環状壁22の上端に取り付けられている。本体20と保持板10との間が気密になっている。
【0048】
本体20は、
図3、
図4及び
図5に示すように、内側の空間が底板21から立設した非通気性の環状の隔壁23により、中央吸引領域4と対応する中央領域24と、外周吸引領域5と対応する外周領域25と、第2外周吸引領域6と対応する第2外周領域26とに区画されている。なお、本明細書において、対応するとは、保持ユニット1の厚み方向に重なり、吸引孔13により互いに連通することをいう。隔壁23は、上端が保持板10のシール部14に接触して、保持板10との間が気密になっている。このために、本体20の内側の中央領域24と、外周領域25と、第2外周領域26とは、隔壁23により互いに遮断されている。
【0049】
外周領域25は、中央領域24を全周に亘って囲繞し、第2外周領域26は、外周領域25を全周に亘って囲繞している。また、中央領域24は、保持板10の中央吸引領域4に開口した吸引孔13により保持面2の中央の中央吸引領域4と連通している。外周領域25は、保持板10の外周吸引領域5に開口した吸引孔13により保持面2の中央吸引領域4を囲繞する外周吸引領域5と連通している。第2外周領域26は、保持板10の第2外周吸引領域6に開口した吸引孔13により保持面2の外周吸引領域5を囲繞する第2外周吸引領域6と連通している。
【0050】
また、実施形態1において、中央領域24は、底板21の中央を貫通して本体20の底面に開口した中央領域24の外径よりも小径な孔40と、開閉弁29を設置した吸引経路27とを介して、エジェクタ等の吸引源28に接続している。
【0051】
また、実施形態1において、保持ユニット1は、
図3及び
図5に示すように、連通路30と、弁体34と、第2弁体35とを備える。連通路30は、本体20内の中央領域24と、外周領域25と、第2外周領域26とを連通している。実施形態1では、連通路30は、
図3、
図4及び
図5に示すように、中央領域24と外周領域25とを区画する隔壁23と、本体20の環状壁22の内周面とに連なって、本体20即ち保持ユニット1の径方向に沿って直線状に延在した管状に形成されている。実施形態1では、連通路30は、中央領域24と外周領域25とを区画する隔壁23に開口した連通孔31と、外周領域25と第2外周領域26とを区画する隔壁23に開口した第2連通孔32と、外周領域25と第2外周領域26にそれぞれ連通した開口33とを含んでいる。
【0052】
実施形態1では、連通孔31,32の平面形状は、円形に形成され、連通路30内の空間の本体20即ち保持ユニット1の接線方向の断面形状よりも小さい。連通孔31は、隔壁23に開口して、中央領域24と外周領域25との境界に設けられ、中央領域24と外周領域25とを連通している。連通孔31は、外周領域25側の端に、中央領域24に向かうにしたがって連通路30を縮小させる縮径部311が形成されている。
【0053】
第2連通孔32は、隔壁23に開口して、外周領域25と第2外周領域26との境界に設けられ、外周領域25と第2外周領域26とを連通している。第2連通孔32は、第2外周領域26側の端に、外周領域25に向かうにしたがって第2連通孔32を縮小させる第2縮径部321が形成されている。
【0054】
弁体34は、連通孔31を開閉自在で、かつ連通孔31を閉じると中央領域24と外周領域25とを遮断するとともに、連通孔31を開くと中央領域24と外周領域25とを連通するものである。実施形態1では、弁体34は、連通路30内の縮径部311と第2連通孔32との間、即ち縮径部311よりも外周領域25側に収容された球体である。弁体34の外径は、連通孔31,32の内径よりも大きく、連通路30の縮径部311と第2連通孔32との間の空間の接線方向の断面形状よりも小さい。弁体34は、連通路30の縮径部311と第2連通孔32との間で転動自在である。弁体34は、縮径部311内に係合することで、連通孔31を閉じ、縮径部311から外れることで、連通孔31を開く。
【0055】
第2弁体35は、第2連通孔32を開閉自在で、かつ第2連通孔32を閉じると外周領域25と第2外周領域26とを遮断するとともに、第2連通孔32を開くと外周領域25と第2外周領域26とを連通するものである。実施形態1では、第2弁体35は、連通路30内の第2縮径部321よりも第2外周領域26側に収容された球体である。第2弁体35の外径は、第2連通孔32の内径よりも大きく、連通路30の第2縮径部321よりも第2外周領域26側の空間の接線方向の断面形状よりも小さい。第2弁体35は、第2連通孔32の第2縮径部321よりも第2外周領域26側で転動自在である。第2弁体35は、第2縮径部321内に係合することで、第2連通孔32を閉じ、第2縮径部321から外れることで、第2連通孔32を開く。
【0056】
(保持方法)
次に、実施形態1に係る保持方法を図面に基づいて説明する。
図6は、実施形態1に係る保持方法の流れを示すフローチャートである。実施形態1に係る保持方法は、前述した保持ユニット1でワーク200を保持する方法である。また、実施形態1では、保持方法は、前述した構成の加工装置100のワーク200を切削(加工に相当)する加工動作でもある。実施形態1に係る保持方法は、
図6に示すように、配設ステップ1001と、吸引保持ステップ1002と、加工ステップ1003とを備える。
【0057】
前述した加工装置100は、制御ユニット170に加工条件が設定され、ワーク200を収容したカセット151がカセットエレベータ150に設置される。また、加工装置100は、制御ユニット170が切削液供給ノズル125から切削液を切削ブレード121に供給させながらスピンドル123で切削ブレード121を軸心回りに回転させる。加工装置100は、オペレータ等からの加工動作の開始指示を制御ユニット170が受け付けると、加工動作を開始し、配設ステップ1001に進む。
【0058】
(配設ステップ)
図7は、
図6に示された保持方法の配設ステップを示す断面図である。配設ステップ1001は、ワーク200を保持面2上に配設するステップである。
【0059】
配設ステップ1001では、加工装置100は、開閉弁29を閉じた状態で、搬送ユニットを制御してカセット151からワーク200を1枚取り出して、
図7に示すように、ワーク200を粘着テープ205を介して搬入出領域の保持ユニット1の保持面113上に配設させる。
【0060】
なお、配設ステップ1001では、ワーク200-1即ち中央吸引領域4に相当する大きさのワーク200-1を配設する際には、
図7に示すように、ワーク200-1を保持面2の中央吸引領域4上に配設する。また、配設ステップ1001では、ワーク200-2即ち外周吸引領域5に相当する大きさのワーク200-2を配設する際には、ワーク200-2を保持面2の中央吸引領域4と外周吸引領域5上に配設する。また、配設ステップ1001では、ワーク200-3即ち第2外周吸引領域6に相当する大きさのワーク200-3を配設する際には、ワーク200-3を保持面2の中央吸引領域4と外周吸引領域5と第2外周吸引領域6上に配設する。
【0061】
(吸引保持ステップ)
図8は、
図6に示された保持方法の吸引保持ステップにおいてワーク200-1を吸引保持する状態を示す断面図である。
図9は、
図6に示された保持方法の吸引保持ステップにおいてワーク200-1を吸引保持した状態を示す断面図である。
図10は、
図6に示された保持方法の吸引保持ステップにおいてワーク200-2を吸引保持する状態を示す断面図である。
図11は、
図6に示された保持方法の吸引保持ステップにおいてワーク200-2を吸引保持した状態を示す断面図である。
図12は、
図6に示された保持方法の吸引保持ステップにおいてワーク200-3を吸引保持した状態を示す断面図である。
【0062】
吸引保持ステップ1002は、配設ステップ1001を実施した後、中央領域24を吸引源28に接続することで、ワーク200を保持面2に吸引保持するステップである。吸引保持ステップ1002では、加工装置100は、制御ユニット170が開閉弁29を開いてワーク200を保持面113に吸引保持する。
【0063】
実施形態1において、吸引保持ステップ1002では、配設ステップ1001においてワーク200-1が中央吸引領域4上に配設されていると、中央吸引領域4上にワーク200-1が載置され、吸引源28により中央領域24が吸引され、外周領域25が外周吸引領域5の吸引孔13を介して外周吸引領域5上に大気開放されているので、中央領域24内の圧力が外周領域25内の圧力よりも低下する。
【0064】
すると、保持ユニット1は、中央領域24と外周領域25との間の圧力差により、
図8に矢印で示すように、外周領域25に開口した開口33から外周領域25内に気体が侵入し、この気体の流れなどにより、弁体34が連通路30内を転動して、連通孔31の縮径部311に向けて移動する。その後、
図9に示すように、保持ユニット1は、弁体34が連通孔31の縮径部311内に係合して、弁体34が連通孔31を閉じることとなる。すると、保持ユニット1は、中央領域24と外周領域25とが遮断されて、吸引源28により中央吸引領域4に負圧を作用させて、ワーク200-1を保持面2の中央吸引領域4上に吸引保持する。
【0065】
また、実施形態1において、吸引保持ステップ1002では、配設ステップ1001においてワーク200-2が中央吸引領域4と外周吸引領域5上に配設されていると、中央吸引領域4と外周吸引領域5上にワーク200-2が載置され、吸引源28により中央領域24が吸引され、第2外周領域26が第2外周吸引領域6の吸引孔13を介して第2外周吸引領域6上に大気開放されているので、中央領域24内の圧力と外周領域25内の圧力とが等しくなり、外周領域25内の圧力が第2外周領域26内の圧力よりも低下する。
【0066】
すると、保持ユニット1は、外周領域25と第2外周領域26との間の圧力差により、
図10に矢印で示すように、第2外周領域26に開口した開口33から第2外周領域26内に気体が侵入し、この気体の流れなどにより、第2弁体35が連通路30内を転動して、第2連通孔32の第2縮径部321に向けて移動する。その後、
図11に示すように、保持ユニット1は、第2弁体35が第2連通孔32の第2縮径部321内に係合して、第2弁体35が第2連通孔32を閉じることとなる。すると、保持ユニット1は、中央領域24と外周領域25とが連通し、外周領域25と第2外周領域26とが遮断されて、吸引源28により中央吸引領域4と外周吸引領域5に負圧を作用させて、ワーク200-2を保持面2の中央吸引領域4と外周吸引領域5上に吸引保持する。
【0067】
また、実施形態1において、吸引保持ステップ1002では、配設ステップ1001においてワーク200-3が中央吸引領域4と外周吸引領域5と第2外周吸引領域6上に配設されていると、中央吸引領域4と外周吸引領域5と第2外周吸引領域6上にワーク200-3が載置されているので、中央領域24内の圧力と外周領域25内の圧力と第2外周領域26内の圧力とが等しくなり、弁体34,35が連通孔31,32の縮径部311,321から外れたままとなり、弁体34,35が連通孔31,32を開く。
【0068】
すると、保持ユニット1は、
図12に示すように、中央領域24と外周領域25と第2外周領域26とが連通したままとなり、吸引源28により中央吸引領域4と外周吸引領域5と第2外周吸引領域6に負圧を作用させて、ワーク200-3を保持面2の中央吸引領域4と外周吸引領域5と第2外周吸引領域6上に吸引保持する。
【0069】
(加工ステップ)
加工ステップ1003は、保持面2上に吸引保持したワーク200を加工するステップである。加工ステップ1003では、加工装置100は、制御ユニット170が移動ユニット140を制御して保持ユニット1を撮像ユニット130の下方まで移動させ、撮像ユニット130により保持ユニット1に吸引保持したワーク200を撮像して、アライメントを遂行する。
【0070】
加工ステップ1003では、加工装置100は、制御ユニット170が移動ユニット140を制御して、切削ブレード121とワーク200とを分割予定ライン202に沿って相対的に移動させながら切削ブレード121の切り刃を粘着テープ205に到達するまでワーク200に切り込ませて、ワーク200を切削する。加工ステップ1003では、加工装置100は、全ての分割予定ライン202を切削すると、制御ユニット170が移動ユニット140を制御して切削ユニット120を保持ユニット1から退避させて、保持ユニット1を加工領域から搬入出領域に向けて移動する。
【0071】
加工ステップ1003では、加工装置100は、制御ユニット170が搬入出領域において保持ユニット1の移動を停止させ、開閉弁29を閉じて、保持ユニット1の保持面113のワーク200の吸引保持を停止する。加工ステップ1003では、加工装置100は、制御ユニット170が搬送ユニットを制御して、切削のワーク200を保持ユニット1から洗浄ユニット160まで搬送させる。
【0072】
加工ステップ1003では、加工装置100は、制御ユニット170が洗浄ユニット160で切削後のワーク200を洗浄させ、搬送ユニットに切削後でかつ洗浄後のワーク200をカセット151内に収容させる。加工装置100は、加工条件とおりにカセット151内のワーク200を順に切削し、カセット151内のワーク200を全て切削すると、加工動作を終了する。
【0073】
以上説明した実施形態1に係る保持ユニット1は、ワーク200-1が中央吸引領域4上に配設されて、中央領域24が吸引源28に接続されると、外周領域25が外周吸引領域5を介して大気開放されているため、中央領域24と外周領域25との圧力差により弁体34が連通路30に向かって移動して縮径部311に係合して、連通孔31を閉じて、中央吸引領域4にワーク200-1を吸引保持する。また、実施形態1に係る保持ユニット1は、ワーク200-2が中央吸引領域4と外周吸引領域5上に配設されて、中央領域24が吸引源28に接続されると、第2外周領域26が第2外周吸引領域6を介して大気開放されているため、外周領域25と第2外周領域26との圧力差により弁体34が第2連通孔32に向かって移動して第2縮径部321に係合して、第2連通孔32を閉じて、中央吸引領域4と外周吸引領域5にワーク200-2を吸引保持する。また、実施形態1に係る保持ユニット1は、ワーク200-3が中央吸引領域4と外周吸引領域5と第2外周吸引領域6上に配設されて、中央領域24が吸引源28に接続されると、中央吸引領域4と外周吸引領域5と第2外周吸引領域6にワーク200-3を吸引保持する。
【0074】
このように、実施形態1に係る保持ユニット1は、保持するワーク200-1,200-2,200-3のサイズに応じて吸引源28による負圧が作用する保持面2の領域4,5,6が切り替わって、各サイズのワーク200-1,200-2,200-3を保持面2に吸引保持することができる。
【0075】
その結果、実施形態1に係る保持ユニット1は、複数サイズのワーク200-1,200-2,200-3を保持することができるという効果を奏する。
【0076】
なお、本発明では、実施形態1において、保持ユニット1は、第2外周吸引領域6と第2外周領域26と第2連通孔32と第2縮径部321と第2弁体35を備えていなくても良い。
【0077】
本発明では、実施形態1において、保持ユニット1は、保持面2の平面形状が四角形となるように、平面形状が四角形の板状に形成されても良い。
【0078】
〔実施形態2〕
実施形態2に係る保持ユニットを図面に基づいて説明する。
図13は、実施形態2に係る保持ユニットの平面図である。
図14は、
図13中のXIV-XIV線に沿う断面図である。なお、
図13及び
図14は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
実施形態2に係る保持ユニット1-2は、ステンレス鋼やセラミックス等から構成され、厚手の円盤状に形成されている。実施形態2に係る保持ユニット1-2は、
図13及び
図14に示すように、連通路30が、底面に開口した孔40に一端が連なって、保持ユニット1-2の径方向に直線状に延在して、他端が保持ユニット1の外縁部に位置している。また、実施形態2に係る保持ユニット1-2の吸引孔13は、一端が連通路30に連なり他端が保持面2に開口して、保持ユニット1の厚み方向に延在している。
【0080】
実施形態2では、連通路30は、保持ユニット1-2の周方向に等間隔に複数(実施形態2では、4つ)設けられている。また、実施形態2に係る保持ユニット1-2は、保持面2から凹でかつ吸引孔13の他端同士を連結する吸引溝3が保持面2に形成されている。
【0081】
実施形態2に係る保持ユニット1-2は、連通路30に中央領域24と外周領域25とが設けられている。即ち、実施形態2に係る保持ユニット1-2は、連通路30が、中央領域24と、外周領域25と、中央領域24と外周領域25との境界に設けられてこれらを連通する連通孔31とを含んでいる。なお、実施形態2では、連通路30の中央領域24と外周領域25とは、それぞれ保持ユニット1-2の接線方向の断面形状が一定に形成されている。
【0082】
実施形態2に係る保持ユニット1-2は、ワーク200-1が中央吸引領域4上に配設されて、中央領域24が吸引源28に接続されると、中央領域24と外周領域25との圧力差により弁体34が連通路30に向かって移動して縮径部311に係合して、連通孔31を閉じて、中央吸引領域4にワーク200-1を吸引保持する。また、実施形態2に係る保持ユニット1-2は、ワーク200-2が中央吸引領域4と外周吸引領域5上に配設されて、中央領域24が吸引源28に接続されると、中央吸引領域4と外周吸引領域5にワーク200-2を吸引保持する。
【0083】
このように、実施形態2に係る保持ユニット1は、保持するワーク200-1,200-2のサイズに応じて吸引源28による負圧が作用する保持面2の領域4,5を切り替えることができ、各サイズのワーク200-1,200-2を保持面2に吸引保持でき、実施形態1と同様に、複数サイズのワーク200-1,200-2を保持することができるという効果を奏する。
【0084】
〔変形例〕
実施形態2の変形例に係る保持ユニットを図面に基づいて説明する。
図15は、実施形態2の変形例に係る保持ユニットの平面図である。
図16は、
図15中のXVI-XVI線に沿う断面図である。なお、
図15及び
図16は、実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0085】
変形例に係る保持ユニット1-3は、
図15及び
図16に示すように、平面形状が四角形の板状に形成されていること以外、実施形態2と同じである。変形例に係る保持ユニット1-3は、実施形態2と同様に、保持するワークのサイズに応じて吸引源28による負圧が作用する保持面2の領域4,5を切り替えることができ、各サイズのワークを保持面2に吸引保持でき、複数サイズのワークを保持することができるという効果を奏する。
【0086】
なお、本発明では、実施形態2及び変形例において、保持ユニット1-2,1-3は、
保持面2が第2外周吸引領域6を備え、連通路30が第2外周領域26と第2連通孔32と第2縮径部321を備え、第2弁体35を備えても良い。
【0087】
なお、本発明は、上記実施形態等に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、本発明では、保持ユニット1は、切削装置に限らず、種々の加工装置を構成しても良い。また、本発明では、保持面2を下方に向けて配置され、保持面2にワーク200-1,200-2,200-3を吸引保持して、ワーク200-1,200-2,200-3を搬送する搬送ユニットを構成しても良い。また、本発明では、弁体34,35は、球体に限らず、例えば、平板状に形成されても良い。
【符号の説明】
【0088】
1,1-2,1-3 保持ユニット
2 保持面
4 中央吸引領域
5 外周吸引領域
6 第2外周吸引領域
13 吸引孔
24 中央領域
25 外周領域
26 第2外周領域
28 吸引源
30 連通路
31 連通孔
32 第2連通孔
34 弁体
35 第2弁体
200,200-1,200-2,200-3 ワーク
311 縮径部
321 第2縮径部
1001 配設ステップ
1002 吸引保持ステップ