(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113958
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
H01L21/304 645Z
H01L21/304 643A
H01L21/304 648G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019267
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大地
(72)【発明者】
【氏名】前田 幸次
(72)【発明者】
【氏名】山口 都章
(72)【発明者】
【氏名】深谷 孝一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 航平
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157BB23
5F157BB24
5F157BG04
5F157BG13
5F157BG85
5F157BG94
5F157CC11
5F157CD29
5F157CE10
5F157CE28
5F157CF42
5F157CF44
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】洗浄装置の天井から汚染物質を含む液滴を半導体基板上に落下させない半導体基板処理装置の洗浄装置を提供する。
【解決手段】筐体と、前記筐体内に配置された基板を保持する保持部と、前記保持部に保持された前記基板に洗浄液を供給する洗浄ノズルと、前記筐体の天井に向けて気体を噴出するガスノズルと、前記ガスノズルを制御する制御部と、を備えることを特徴とする洗浄装置。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置された基板を保持する保持部と、
前記保持部に保持された前記基板に洗浄液を供給する洗浄ノズルと、
前記筐体の天井に向けて気体を噴出するガスノズルと、
前記ガスノズルを制御する制御部と、
を備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記制御部は、所定のタイミングで前記ガスノズルから気体を噴出させることを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記天井に付着した液滴を検出する検出部を備え、
前記制御部は、前記検出部が前記液滴を検出した時に、前記ガスノズルから気体を噴出させることを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記検出部が検出した前記液滴の量が閾値を超えた時に、前記ガスノズルから気体を噴出することを特徴とする請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記筐体の底面に設けられたドレインを備え、前記ドレインは、平面視で前記ガスノズルとの間に前記保持部を挟む位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記ガスノズルは、水平方向および上下方向の少なくとも一方で向きを変えられることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記検出部はカメラであり、前記天井は少なくとも一部に透明部を有し、前記カメラは前記透明部の上方に位置することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板処理装置の洗浄装置において、半導体基板を洗浄するとともに洗浄装置の内壁を洗浄する技術が特許文献1や特許文献2に開示されている。
【0003】
洗浄装置の内壁を洗浄することで、内壁に付着していた汚染物質を取り除き、洗浄装置内で半導体基板の洗浄処理を行った後に乾燥処理を行っても、内壁に付着した汚染物質によって洗浄後の半導体基板が汚染されない。
【0004】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載されるような技術では、洗浄液を基板に供給する際の無秩序な液滴跳ね返り、及び洗浄液に起因する湿気等により洗浄装置の天井から汚染物質を含む液滴が半導体基板に落下して付着しコンタミネーションが発生する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-47714号公報
【特許文献2】特開2014-75438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような背景の下になされ、半導体基板処理装置の洗浄装置において、洗浄装置の天井から汚染物質を含む液滴を半導体基板上に落下させないことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の第1の態様は、筐体と、前記筐体内に配置された基板を保持する保持部と、前記保持部に保持された前記基板に洗浄液を供給する洗浄ノズルと、前記筐体の天井に向けて気体を噴出するガスノズルと、前記ガスノズルを制御する制御部と、を備えることを特徴とする洗浄装置である。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、ガスノズルが噴出する気体により、筐体の天井に付着した液滴を、基板上に落下しない位置に移動させることができ、また、ガスノズルからの気体の噴射頻度によっては筐体の天井で液滴が成長しないように乾燥状態を保つことができる。そのため、基板に汚染物質を含む液滴が落下することを防止可能である。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記制御部は、所定のタイミングで前記ガスノズルから気体を噴出させることを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、所定のタイミングでガスノズルから気体を噴出させることができるので、筐体の天井を、液滴が成長しない乾燥した状態に保つことができる。
【0011】
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記天井に付着した液滴を検出する検出部を備え、前記制御部は、前記検出部が前記液滴を検出した時に、前記ガスノズルから気体を噴出させることを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、必要な時、即ち、検出部が液滴を検出した時にガスノズルから気体を噴出させるので、気体を噴出させるためのエネルギーを節約することができる。
【0013】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記制御部は、前記検出部が検出した前記液滴の量が閾値を超えた時に、前記ガスノズルから気体を噴出することを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の態様によれば、必要な時、即ち、検出部が検出した液滴の量が閾値を超えた時にガスノズルから気体を噴出させるので、気体を噴出させるためのエネルギーをさらに節約することができる。
【0015】
本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれか一つの態様において、前記筐体の底面に設けられたドレインを備え、前記ドレインは、平面視で前記ガスノズルとの間に前記保持部を挟む位置に配置されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の第5の態様によれば、ガスノズルから天井に向けて噴射された気体により、保持部の上方において天井に付着していた液滴を、平面視でガスノズルとの間に保持部を挟む位置に設けられるドレイン側に移動させることができる。そのため、基板上に液滴を落下させることなく、ドレインを介して外部に液滴を排出することができる。
【0017】
本発明の第6の態様は、第1から第4のいずれか一つの態様において、前記ガスノズルは、水平方向および上下方向の少なくとも一方で向きを変えられることを特徴とする。
【0018】
本発明の第6の態様によれば、ガスノズルから噴出する気体の方向を水平方向および上下方向の少なくとも一方で調節可能であるため、液滴の溜まりやすい天井の箇所が条件によって変化したとしても、ガスノズルから噴出する気体の方向を調整することで液滴に向けて気体を噴出させることができる。
【0019】
本発明の第7の態様は、第3または第4の態様において、前記検出部はカメラであり、前記天井は少なくとも一部に透明部を有し、前記カメラは前記透明部の上方に位置することを特徴とする。
【0020】
本発明の第7の態様によれば、カメラにより、天井に付着する液滴の発生を視覚的に検出することができるので、天井に付着した液体をより確実に検出した後に液滴を移動させることができるので、気体を噴出させるためのエネルギーをさらに節約することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、半導体基板処理装置の洗浄装置において、洗浄装置の天井から汚染物質を含む液滴が半導体基板上に落下することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態に係わる洗浄装置の概略平面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係わる洗浄装置の概略側断面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係わる洗浄装置の概略側断面図である。
【
図4】本発明の第3実施形態に係わる洗浄装置の概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係わる洗浄装置1を、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
洗浄装置1は、被洗浄物である半導体基板Wを保持する保持部10と、保持部10の周囲を囲って洗浄液の飛散を防止する洗浄カップ20と、洗浄カップ20の周囲を囲う筐体30と、筐体30の天井4と、筐体30内の所定位置に設置され半導体基板Wの表面を薬液洗浄する第1洗浄ノズル40と、筐体30内の所定位置に設置され半導体基板Wの表面をリンス洗浄する第2洗浄ノズル50と、第1洗浄ノズル40と第2洗浄ノズル50とは別に筐体30内の所定位置に設置され洗浄カップ20の内壁21を洗浄する第3洗浄ノズル70と、筐体30内の所定位置に設置され筐体30の内壁31を洗浄する第4洗浄ノズル80と、半導体基板Wをスクラブ洗浄する際に用いる洗浄アーム60と、天井4よりも上方に設けられるとともに天井4に付着する液滴を検出する検出部5と、天井4に向けて気体を噴出するガスノズル6と、ガスノズル6の制御を行う制御部7と、液滴及び排気を外部に排出するドレイン8と、を備える。ここで、第1洗浄ノズル40と第2洗浄ノズル50をまとめて、半導体基板Wに洗浄液を供給する洗浄ノズルと呼ぶ場合がある。なお、半導体基板Wを単に基板Wと記載する場合がある。
【0024】
保持部10は半導体基板Wをその被処理面を上向きに開放した状態でほぼ水平に支持する。即ち、半導体基板Wの外周をチャック機構13によって把持するように構成されている。保持部10は、駆動部15によって回転駆動される。
洗浄カップ20は保持部10の周囲を囲むように、上面が開放されたカップ状に形成されている。筐体30は洗浄カップ20を囲んで洗浄装置1の外壁を構成する。
洗浄ノズル(第1洗浄ノズル40と第2洗浄ノズル50)は液体を半導体基板W表面に噴射する。第1洗浄ノズル40は薬液(例えば二次洗浄用の酸系薬液(DHF等))を噴射し、第2洗浄ノズル50はリンス液(例えば純水)を噴射する。
【0025】
第3洗浄ノズル70と第4洗浄ノズル80は洗浄液(例えば純水)を噴射する。第3洗浄ノズル70は洗浄液を洗浄カップ20の内壁21に向けて噴射し、第4洗浄ノズル80は洗浄液を筐体30の内壁31に向けて噴射する。
【0026】
天井4は、筐体30の天井4である。本実施形態では、天井4の少なくとも一部は透明な部材(例えば透明なプラスチック素材やガラス素材)からなる透明部から構成されている。透明部は保持部10に保持された半導体基板Wに平面視で重なる位置に設けられている。
図2に示す例では天井4の全体が透明部の場合を示している。
【0027】
検出部5は、天井4よりも上方に設けられ、天井4の透明部を介して筐体30の天井4に付着する液滴を検出する。本実施形態では検出部5はカメラである。カメラである検出部5は、液滴が付着している天井4を撮影し、天井4の画像データに対して公知の画像解析を行うことで液滴のサイズ、例えば液滴の直径、を検出する。
【0028】
ガスノズル6は、第3洗浄ノズル70と第4洗浄ノズル80に上下方向に挟まれた位置に設けられ、天井4において平面視で保持部10と重なる位置に向けて気体を噴出する。
図2における符号Fは気体の流れを示している。ガスノズル6から噴出された気体が天井4に付着している液滴に衝突することにより、液滴が天井4に表面張力により張り付いたままの状態で液滴を天井4上において移動させることができる。気体は例えば空気であるが必ずしも空気に限定されない。本実施形態では、ガスノズル6は天井4に対して斜め下方から空気を噴射する。
【0029】
制御部7は、検出部5とガスノズル6とに接続線L2とL1にて電気的に接続され、検出部5から受信する天井4に付着した液滴のサイズが閾値を超えているか否かを判断し、閾値を超えている場合にガスノズル6に気体を噴出させる信号を送信し、ガスノズル6の不図示の弁を開弁させてガスノズル6から気体を噴出させる。
制御部7は、CPUとメモリなどを備えている。CPUは、制御部7の機能を実行するための演算処理を実行する。メモリには、CPUが実行する機能が記述されるプログラムに加え、予め設定された液滴の閾値、ガスノズル6の開閉弁の開度等が記憶されている。これらは全て書き換え可能である。制御部7はプログラムに従い、メモリから液滴の閾値を呼び出し、検出部5が検出した液滴のサイズと閾値とを比較する。その結果、液滴のサイズが閾値よりも大きい場合、制御部7はガスノズル6の不図示の開閉弁を開とすることで、ガスノズル6から気体を天井4に向けて噴出させる。
ここで、検出部5が撮影する、液滴が付着している天井4の画像データから液滴のサイズ、例えば液滴の直径、を検出する機能を検出部5が備えていると説明した。その場合、カメラである検出部5は、画像データを画像解析して液滴のサイズを測定するプログラムを記憶したメモリと、そのプログラムを実行するCPUとを備えていても良い。
一方、制御部7が天井4の画像データから液滴のサイズを検出する機能を備えていても良い。この場合、検出部5は天井4の画像データを制御部7に送信し、画像データを検出部5から受信する制御部7が備えるメモリが、天井4の画像データを画像解析して液滴のサイズを測定するプログラムを記憶し、制御部7が備えるCPUがそのプログラムを実行する。制御部7のメモリ或いは検出部5のメモリが検出部5に天井4を撮影させる時間間隔を記憶していても良い。この時間間隔も書き換え可能である。
【0030】
ここで、液滴の直径が閾値を大幅に超えている場合に、液滴が落下する可能性が高いと考えられることから、ガスノズル6から噴出される気体の流量を低減させ、液滴をより少ない流量の気体で移動させても良い。この場合、ガスノズル6の開閉弁を通常よりも少ない開度で開けることで、気体を低流量で噴出させても良い。この場合、閾値よりも大きい第2の閾値を設定して、液滴の直径が第2の閾値を超える場合に、ガスノズル6の開閉弁を通常よりも少ない開度で開けるようにしても良い。
【0031】
ドレイン8は、平面視でガスノズル6との間に保持部10を挟む位置に配置されている。ドレイン8は半導体基板Wを避けて天井4から落下させた液滴を外部に排出するとともにガスノズル6から気体が筐体30内に噴出されても筐体30内の圧力が一定に保たれるように適宜排気を行う。ドレイン8は筐体30の底面に設けられている。
【0032】
このような構成を備える第1実施形態に係わる洗浄装置1では、例えば5秒間隔に設定されている時間間隔毎に検出部5が天井4を撮影する。撮影された天井4の画像データより、検出部5において液滴の直径が画像解析により検出される。撮影する度に検出部5から制御部7に送信される液滴の直径に関する情報を制御部7が検出部5から受信する度に制御部7は閾値(例えば5mm)を超えているか否かを判定する。例えば、ある時刻t0において液滴の直径が4mmである場合、制御部7はガスノズル6の開閉弁を開としない。その後、時刻t1において液滴の直径が例えば5mmであった場合も制御部7はガスノズル6の開閉弁を開としない。さらにその後、時刻t2において液滴の直径が例えば5.5mmであった場合、液滴の直径が閾値5mmを超えているため、制御部7はガスノズル6の開閉弁を開とし、天井4において平面視で半導体基板Wに重なる位置に向けてガスノズル6から気体を噴出させる。天井4に向けてガスノズル6から噴出された気体は天井4に表面張力により張り付いている液滴に衝突する。そのため、液滴は衝突された気体に押し出されるように、筐体30内においてガスノズル6と反対の方向に向けて、天井4に表面張力により張り付いた状態で天井4を移動する。ガスノズル6と反対の方向に移動した液滴は、筐体30の内壁31に到達する。筐体30の内壁31には、前回、閾値を超えた液滴が噴出された気体により移動させられ表面張力により内壁31に張り付いている場合があるが、新たに内壁31に移動してきた液滴と合体することでより大きな液滴となる。こうして、より大きな液滴に作用する重力が表面張力に勝り、より大きな液滴は筐体30の下方に向かって内壁31に沿って落下する。落下した液滴は筐体30の下方に開口しているドレイン8から外部に排出される。
【0033】
上記例では、検出部5が天井4を撮影する時間間隔を5秒毎としたが、任意の時間間隔に設定することができる。また、上記例では、5mmを超えた場合を閾値としたが、任意の閾値に設定することができる。また、上記のように第2の閾値を設定し、液滴の直径が第2の閾値を超えている場合にガスノズル6から噴出させる気体の流量を減らしても良い。
【0034】
なお、検出部5が天井4を任意の時間間隔で撮影する方式以外に、検出部5が天井4を常時監視(モニター)し、監視された画像から検出部5或いは制御部7が検出する液滴の直径が閾値を超えたと制御部7が判定した際に、制御部7がガスノズル6の不図示の開閉弁を開としてガスノズル6から天井4に向けて気体を噴出させるようにしても良い。この場合、検出部5が天井4を常時監視しているため、液滴の大きさが大きくなり過ぎる前にガスノズル6から気体を噴出させることができる。
【0035】
ここで、本実施形態ではガスノズル6が水平方向および上下方向の少なくとも一方で向きを変えられるように構成されている。例えば、
図2に示すように、ガスノズル6から噴出される気体が天井4に対して斜め下方から衝突する角度にガスノズル6が設けられている場合、このガスノズル6を水平方向に向きを変えることで、天井4において液滴が発生し易い箇所が水平方向に移動したとしても、液滴に気体が噴出されるようにガスノズル6の噴出方向を調整することができる。
ガスノズル6が水平方向に加えて上下方向にも向きを変えられる場合、天井4においてガスノズル6により近い箇所、或いはより遠い箇所に気体を噴出させることができる。そのため、天井4において液滴の発生し易い場所がガスノズル6により近い箇所、或いはより遠い箇所に移動したとしても、液滴に対してピンポイントに気体を噴出することができる。なお、天井4において液滴の発生し易い箇所は洗浄装置1の試運転時などに把握することができるので、ガスノズル6が液滴の発生し易い箇所に向くように予め設定しておくことができる。本実施形態におけるガスノズル6は、向きを手動で調整するタイプであるが、ガスノズル6の向きを遠隔操作で調整できるようにしても良い。
【0036】
ここで、ガスノズル6から気体が噴出されるタイミングとしては、洗浄装置1の筐体30に設けられる不図示のシャッタが開き、不図示の基板搬送ロボットから筐体30内に半導体基板Wが搬入され、保持部10にて半導体基板Wを保持しつつ半導体基板Wを高速回転させながら半導体基板Wの洗浄を行うプロセスにおいて、半導体基板Wが筐体30に搬入された後であって基板の洗浄を行う前が好ましい。半導体基板Wを洗浄している間はガスノズル6から気体を噴出させないことが好ましい。なお、半導体基板Wが筐体30に搬入される前にガスノズル6から気体を噴出しても良い。
【0037】
ガスノズル6の設けられる位置は第3洗浄ノズル70と第4洗浄ノズル80に上下方向に挟まれた位置としたがこの場合に限定されず、第3洗浄ノズル70よりも下方に設けられても第4洗浄ノズル80よりも上方に設けられても良い。
【0038】
本実施形態の洗浄装置1は、半導体基板処理装置のうちで、例えば、CMP装置、メッキ装置、ベベル研磨装置に設けられても良い。
【0039】
本実施形態に係わる洗浄装置1によれば、半導体基板処理装置の洗浄装置1において、洗浄装置1の天井4から汚染物質を含む液滴が半導体基板W上に落下することを防止することができる。即ち、ガスノズル6から噴出される気体により、筐体30の天井4に付着した液滴を半導体基板W上に落下しない位置に移動させることができる。そのため、半導体基板Wに汚染物質を含む液滴が落下することを防止可能である。
また、検出部5が検出した液滴の量が閾値を超えた時にガスノズル6から気体を噴出させるので、気体を噴出させるためのエネルギーを節約することができる。
また、ガスノズル6から天井4に向けて噴射された気体により、保持部10の上方において天井4に付着していた液滴を、平面視でガスノズル6との間に保持部10を挟む位置に設けられるドレイン8側に移動させることができる。そのため、半導体基板W上に液滴を落下させることなく、ドレイン8を介して外部に液滴を排出することができる。
また、ガスノズル6から噴出する気体の方向を水平方向および上下方向の少なくとも一方で調節可能であるため、液滴の溜まりやすい天井4の箇所が条件によって変化したとしても、ガスノズル6から噴出する気体の方向を調整することで液滴に向けて気体を噴出させることができる。
さらに、カメラにより天井4に付着する液滴の発生を視覚的に検出することができるので、天井4に付着した液体をより確実に検出した後に液滴を移動させることができる。そのため、気体を噴出させるためのエネルギーをさらに節約することができる。
【0040】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態に係わる洗浄装置11を、
図3を参照しながら説明する。第1実施形態と同様の構成については第1実施形態と同じ参照番号を使用してその説明を省略し、第1実施形態と異なる構成のみを説明する。
【0041】
図3に示すように、本発明の第2実施形態に係わる洗浄装置11においては、第1実施形態のような、少なくとも一部が透明部から構成されている天井4とは異なり、天井44に透明部が設けられていない。さらに、検出部51が天井44よりも下方に設置されている点で第1実施形態の検出部5と異なっている。ここで、第2実施形態の検出部51もカメラである。
【0042】
このような構成を有する洗浄装置11においては、検出部51が液滴の付着している天井44を天井44の下方から撮影する。この場合であっても、制御部7は第1実施形態と同様に、検出部51から受信する天井44に付着している液滴の直径に関する情報が閾値を超えているか否かを判断し、閾値を超えている場合にガスノズル6に気体を噴出させる信号を送信し、ガスノズル6の不図示の弁を開弁させることで、天井44に向けて気体をガスノズル6から噴出させる。
図3における符号Fは気体の流れを示している。
【0043】
このような第2実施形態に係わる洗浄装置11においても、第1実施形態の洗浄装置1と同様の効果を奏することができる。
【0044】
ここで、上記の説明では、検出部5はカメラであると説明したが、本発明の検出部5は必ずしもカメラの場合に限定されない。
例えば、検出部5が公知の車載用のレインセンサ或いは雨滴検知センサ(液滴センサ)であっても良い。このセンサは天井4の上方に設けられ、第1実施形態の筐体30の天井4の透明部に向けて斜め上からLED光を照射し、この反射光を検出するように構成されている。このセンサは、透明部に液滴が付着している場合に液滴が付着していない場合とは異なる反射率となるため、液滴の存在を検出することができる。よって、液滴センサにより液滴の存在が検出された時に制御部7はガスノズル6に対して気体を噴出させても良い。この場合、液滴が検出された時にガスノズル6から気体が噴出されるので、液滴が成長する前の段階で、液滴を基板W上に落下しない位置に移動させることができる。
或いは、検出部5が筐体30内の湿度を測定する筐体30内に設けられる不図示の湿度センサであっても良い。その場合、筐体30内の湿度が100%である場合には天井4に液滴が付着する蓋然性が高いと考えられるため天井4に液滴が付着したと見なしてガスノズル6から天井4に向けて気体を噴出させるようにしても良い。
【0045】
<第3実施形態>
以下、本発明の第3実施形態に係わる洗浄装置12を、
図4を参照しながら説明する。第2実施形態と同様の構成については第2実施形態と同じ参照番号を使用してその説明を省略し、第2実施形態と異なる構成のみを説明する。
【0046】
図4に示すように、本発明の第3実施形態に係わる洗浄装置12は、第2実施形態の洗浄装置11において、検出部51と、制御部7と検出部51とを接続する接続線L2とが無い点において、第2実施形態の洗浄装置11と異なっている。
【0047】
このような第3実施形態に係わる洗浄装置12では、検出部が設けられていないので、ガスノズル6から所定のタイミングで気体が天井4に向けて噴出される。所定のタイミングとは、例えば、基板Wが洗浄装置12に搬送される前、洗浄装置12で基板Wに洗浄処理を行った後、基板Wが洗浄装置12内で洗浄処理中、あるいは洗浄装置12に基板Wが存在しない洗浄装置12の待機中に、気体を数秒間または数分間噴射する。また、所定のタイミングは、基板Wを1枚洗浄処理する毎でもよく、複数枚洗浄処理した後でもよい。気体を噴射する頻度(時間間隔)と噴出時間は、液滴が成長せず、天井4から基板Wに液滴が落下することを防止することができるように適宜設定される。ガスノズル6から噴出される気体の流量が多ければ多い程、筐体30の天井4において液滴が成長しない環境を実現することができる。ガスノズル6から噴出される気体の流量は、ガスノズル6からの1回の気体噴出毎の噴出時間と、次の噴出までの噴出間隔とを調整することで適宜調整できる。
ガスノズル6から気体が噴出される噴出時間と噴出間隔とを適宜調整することで筐体30の天井4を液滴が成長しない環境にできれば、天井4から基板Wに液滴が落下することを防止することができる。ここで、液滴が成長しない環境には、液滴が発生しない場合と、液滴が発生したとしても成長しないため、基板Wに落下しない程度の微小な液滴に留まる場合とが含まれる。これらの設定は、制御部7が実行するプログラムにおいて、ガスノズル6から気体を噴出させる所定のタイミングと、噴出時間と、時間間隔(頻度)と、を設定することで実現できる。気体は単発で噴出しても良い。そのため、一例として、基板Wが洗浄装置12に搬送される前、及び/又は、洗浄装置12で基板Wに洗浄処理を行った後に、単発で例えば5秒間気体を噴出するように設定しても良い。また、一例として、基板Wが洗浄装置12内で洗浄処理中、あるいは洗浄装置12に基板Wが存在しない洗浄装置12の待機中に、1分毎に10秒間気体を噴出するように設定しても良い。
【0048】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態とその変形例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等や実施形態と変形例の相互の組み合わせも含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1、11 洗浄装置
W 半導体基板(被洗浄物)
4、44 天井
5、51 検出部
6 ガスノズル
7 制御部
10 保持部
30 筐体
40 第1洗浄ノズル(洗浄ノズル)
50 第2洗浄ノズル(洗浄ノズル)