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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114273
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】エッチング方法及びエッチング装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019936
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 聖唯
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匡裕
(72)【発明者】
【氏名】後平 拓
(72)【発明者】
【氏名】大内田 聡
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA16
5F004BA09
5F004BA14
5F004BA20
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB29
5F004BC02
5F004BC03
5F004CA03
5F004CA04
5F004CA06
5F004DA00
5F004DA04
5F004DA11
5F004DA17
5F004DA20
5F004DA24
5F004DA25
5F004DA26
5F004DB00
5F004DB01
5F004DB03
5F004DB07
5F004EA03
5F004EA05
5F004EA13
5F004EA28
5F004EA37
(57)【要約】
【課題】エッチングにより形成される凹部の側壁の形状異常を抑制する技術を提供する。
【解決手段】
(a)基板をエッチングして、基板に凹部の第1の部分を形成する工程であって、第1の部分は底面及び側壁を含む、工程と、(b)側壁内又は側壁上に、フルオロホウ酸アンモニウム層を形成する工程と、(c)フルオロホウ酸アンモニウム層により側壁を保護しながら、底面をエッチングして、第1の部分の下方に凹部の第2の部分を形成する工程と、を含む。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基板をエッチングして、前記基板に凹部の第1の部分を形成する工程であって、前記第1の部分は底面及び側壁を含む、工程と、
(b)前記側壁内又は前記側壁上に、フルオロホウ酸アンモニウム層を形成する工程と、
(c)前記フルオロホウ酸アンモニウム層により前記側壁を保護しながら、前記底面をエッチングして、前記第1の部分の下方に前記凹部の第2の部分を形成する工程と、
を含む、エッチング方法。
【請求項2】
前記(b)は、前記基板を支持する基板支持部における温度が50℃以下において実施される、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項3】
前記(c)は前記(b)の後に実施される、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
(d)前記(b)及び前記(c)を繰り返す工程を更に含む、請求項3に記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記(a)、前記(b)及び前記(c)は同時に実施される、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記基板はエッチング対象膜を含み、
前記エッチング対象膜は、シリコン及び窒素を含み、
前記(b)は、第1の処理ガスから生成された第1のプラズマに前記基板を晒すことによって実施され、
前記第1の処理ガスは、水素、フッ素、及びホウ素を含む、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記エッチング対象膜は、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、及び積層膜からなる群から選択される少なくとも一つを含み、前記積層膜は、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を含む、請求項6に記載のエッチング方法。
【請求項8】
前記第1の処理ガスは、水素含有ガス、フッ素含有ガス、及びホウ素含有ガスを含む、請求項6に記載のエッチング方法。
【請求項9】
前記第1の処理ガスは、リン含有ガス、ハロゲン含有ガス、窒素含有ガス、及び酸素含有ガスからなる群から選択される少なくとも一つの添加ガスを更に含む、請求項8に記載のエッチング方法。
【請求項10】
前記基板はエッチング対象膜を含み、
前記エッチング対象膜は、シリコンを含み、
前記(b)は、第2の処理ガスから生成された第2のプラズマに前記基板を晒すことによって実施され、
前記第2の処理ガスは、窒素、水素、フッ素、及びホウ素を含む、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項11】
前記第2の処理ガスは、窒素含有ガス、水素含有ガス、フッ素含有ガス、及びホウ素含有ガスを含む、請求項10に記載のエッチング方法。
【請求項12】
前記第2の処理ガスは、リン含有ガス、ハロゲン含有ガス、及び酸素含有ガスからなる群から選択される少なくとも一つの添加ガスを更に含む、請求項11に記載のエッチング方法。
【請求項13】
前記基板は、マスクを含み、前記マスクは、炭素含有膜又は金属含有膜を含む、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項14】
前記(b)は、
(b1)前記側壁内又は前記側壁上に、ホウ素を含まないアンモニウム塩含有層を形成する工程と、
(b2)前記ホウ素を含まないアンモニウム塩含有層からフルオロホウ酸アンモニウムを含むフルオロホウ酸アンモニウム含有層を生成する工程と、
を含む、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項15】
前記基板はエッチング対象膜を含み、
前記エッチング対象膜は、シリコン及び窒素を含み、
前記(b1)は、水素及びフッ素を含む第3の処理ガスから生成された第3のプラズマに前記基板を晒すことによって実施され、
前記(b2)は、ホウ素を含む第4の処理ガスから生成された第4のプラズマに前記ホウ素を含まないアンモニウム塩含有層を晒すことによって実施される、請求項14に記載のエッチング方法。
【請求項16】
前記基板はエッチング対象膜を含み、
前記エッチング対象膜は、シリコンを含み、
前記(b1)は、窒素、水素、及びフッ素を含む第5の処理ガスから生成された第5のプラズマに前記基板を晒すことによって実施され、
前記(b2)は、ホウ素を含む第6の処理ガスから生成された第6のプラズマに前記ホウ素を含まないアンモニウム塩含有層を晒すことによって実施される、請求項14に記載のエッチング方法。
【請求項17】
(a)シリコン及び窒素を含むエッチング対象膜と、前記エッチング対象膜上のマスクとを有する基板を提供する工程と、
(b)水素、フッ素、及びホウ素を含む処理ガスから生成されたプラズマにより、前記エッチング対象膜に凹部を形成しつつ、前記凹部の側壁にフルオロホウ酸アンモニウム層を形成する工程と、
を含む、エッチング方法。
【請求項18】
前記(b)は、
(b1)第1の処理ガスから第1のプラズマを生成する工程であり、前記第1の処理ガスは、水素及びフッ素を含み、第1の流量でホウ素含有ガスを含む、工程と、
(b2)第2の処理ガスから第2のプラズマを生成する工程であり、前記第2の処理ガスは、水素及びフッ素を含み、前記第2の処理ガスは、前記ホウ素含有ガスを含まないか、又は前記第1の流量よりも少ない第2の流量で前記ホウ素含有ガスを含む、工程と、
を含む、請求項17に記載のエッチング方法。
【請求項19】
前記(b)は、(b3)前記(b1)及び前記(b2)を繰り返す工程を更に含む、請求項18に記載のエッチング方法。
【請求項20】
エッチング装置であって、
チャンバと、
前記チャンバ内において基板を支持するための基板支持部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記基板をエッチングして、前記基板に凹部の第1の部分を形成し、
前記第1の部分の側壁内又は前記側壁上に、フルオロホウ酸アンモニウム層を形成し、
前記フルオロホウ酸アンモニウム層により前記側壁を保護しながら、前記第1の部分の底面をエッチングして、前記第1の部分の下方に前記凹部の第2の部分を形成するように前記エッチング装置を制御するよう構成される、エッチング装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、エッチング方法及びエッチング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスの製造においては、基板のシリコン含有膜のプラズマエッチングが行われている。プラズマエッチングでは、処理ガスから生成されたプラズマを用いてシリコン含有膜のエッチングが行われる。特開2016-39309号公報は、シリコン含有膜のプラズマエッチングに用いられる処理ガスとして、水素ガス、フルオロハイドロカーボンガス、フッ素含有ガス、炭化水素ガス、三塩化ホウ素ガス、及び窒素ガスを含む処理ガスを開示している。特開2014-17406号公報は、シリコン含有膜のプラズマエッチングに用いられる処理ガスとして、ホウ素を含む処理ガスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-39309号公報
【特許文献2】特開2014-17406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、エッチングにより形成される凹部の側壁の形状異常を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、エッチング方法は、(a)基板をエッチングして、前記基板に凹部の第1の部分を形成する工程であって、前記第1の部分は底面及び側壁を含む、工程と、(b)前記側壁内又は前記側壁上に、フルオロホウ酸アンモニウム層を形成する工程と、(c)前記フルオロホウ酸アンモニウム層により前記側壁を保護しながら、前記底面をエッチングして、前記第1の部分の下方に前記凹部の第2の部分を形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、エッチングにより形成される凹部の側壁の形状異常を抑制する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図2図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図3図3は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。
図4図4は、図3の方法が適用され得る一例の基板の断面図である。
図5図5は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
図6図6は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
図7図7は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
図8図8は、第1変形例に係るエッチング方法のフローチャートである。
図9図9は、第1変形例に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
図10図10は、第1変形例に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。
図11図11は、第2変形例に係るエッチング方法のフローチャートである。
図12図12は、第2変形例に係るエッチング方法のフローチャートの一部を示す図である。
図13図13は、凹部の形状異常の程度を評価するための一例の基板の部分拡大断面図である。
図14図14は、凹部の形状異常の程度を評価した実験結果の一例を示すグラフである。
図15図15は、凹部の形状異常の程度を評価した他の実験結果の一例である。
図16図16は、凹部の形状異常の程度を評価した他の実験結果の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0009】
図1は、プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理システムは、基板処理システムの一例であり、プラズマ処理装置1は、基板処理装置の一例である。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0010】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(Radio Frequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、100kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0011】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0012】
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合型のプラズマ処理装置の構成例について説明する。図2は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0013】
容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0014】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0015】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF電源31及び/又はDC電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0016】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0017】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0018】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0019】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0020】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0021】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0022】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0023】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0024】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0025】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0026】
図3は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。図3に示されるエッチング方法MT1(以下、「方法MT1」という)は、上記実施形態のプラズマ処理装置1により実行され得る。方法MT1は、基板Wに適用され得る。
【0027】
図4は、図3の方法が適用され得る一例の基板Wの断面図である。図4に示されるように、一実施形態において、基板Wは、エッチング対象膜FLと、エッチング対象膜FL上のマスクMKとを備える。基板Wは、エッチング対象膜FLの下の下地領域URを更に備えてもよい。
【0028】
エッチング対象膜FLは、シリコン(Si)を含んでもよい。エッチング対象膜FLは、シリコン及び窒素(N)を含んでもよい。エッチング対象膜FLは、シリコン窒化膜(SiN膜)、シリコン酸窒化膜(SiON膜)、及び積層膜からなる群から選択される少なくとも一つを含んでもよい。積層膜は、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を含んでもよい。シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜は交互に積層されてもよい。
【0029】
マスクMKは、開口OPを有してもよい。マスクMKは、複数の開口OPを有してもよい。開口OPは、ホールパターンを有してもよいし、ラインパターンを有してもよい。開口OPの寸法(CD:Critical Dimension)は、100nm以下であってもよい。マスクMKは、炭素含有膜又は金属含有膜を含んでもよい。炭素含有膜は、アモルファスカーボン膜を含んでもよい。金属含有膜は、ケイ化タングステン(WSi)、炭化タングステン(WC)、及び窒化チタン(TiN)からなる群から選択される少なくとも一つを含んでもよい。
【0030】
下地領域URは、シリコン含有膜を含んでもよい。下地領域URは、例えばDRAM又は3D-NAND等のメモリデバイスのための少なくとも1つの膜を含んでもよい。
【0031】
以下、方法MT1について、方法MT1が上記実施形態のプラズマ処理装置1を用いて基板Wに適用される場合を例にとって、図3図7を参照しながら説明する。図5図7のそれぞれは、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。プラズマ処理装置1が用いられる場合には、制御部2によるプラズマ処理装置1の各部の制御により、プラズマ処理装置1において方法MT1が実行され得る。方法MT1では、図2に示されるように、プラズマ処理チャンバ10内に配置された基板支持部11上の基板Wを処理する。
【0032】
図3に示されるように、方法MT1は、工程ST1~工程ST5を含み得る。工程ST1~工程ST5は順に実行され得る。工程ST4は、工程ST3の後に実施されてもよいし、工程ST3と同時に実施されてもよい。工程ST2、工程ST3、及び工程ST4は、同時に実施されてもよい。工程ST1~工程ST5はin-situで行われてもよいし、in-systemで行われてもよい。方法MT1は、工程ST5を含まなくてもよい。
【0033】
(工程ST1)
工程ST1では、図4に示される基板Wを提供する。基板Wは、プラズマ処理チャンバ10内に配置され得る。基板Wは、プラズマ処理チャンバ10内において基板支持部11により支持され得る。下地領域URは、基板支持部11とエッチング対象膜FLとの間に配置され得る。
【0034】
(工程ST2)
工程ST2では、図5に示されるように、基板Wをエッチングして、基板Wに凹部RSの第1の部分RS1を形成する。処理ガスから生成されるプラズマにより、開口OPを介してエッチング対象膜FLをエッチングしてもよい。エッチングによりエッチング対象膜FLに凹部RSの第1の部分RS1が形成され得る。第1の部分RS1は、側壁RSa及び底面RSbを有する。底面RSbは、下地領域URから離れていてもよい。
【0035】
エッチング対象膜FLがシリコン及び窒素を含む場合、処理ガスとして、第1の処理ガスが用いられてもよい。その場合、工程ST2では、図5に示されるように、第1の処理ガスから生成される第1のプラズマPL1により、開口OPを介してエッチング対象膜FLをエッチングしてもよい。第1の処理ガスは、水素(H)、フッ素(F)、及びホウ素(B)を含んでもよい。第1の処理ガスは、水素含有ガス、フッ素含有ガス、及びホウ素含有ガスを含んでもよい。水素含有ガスは、水素ガス(Hガス)、フッ化水素ガス(HFガス)、及びハイドロフルオロカーボンガス(Cガス。x、y及びzのそれぞれは自然数である。)からなる群から選択される少なくとも一つを含んでもよい。フッ素含有ガスは、フッ化水素ガス(HFガス)、フルオロカーボンガス(Cガスx及びyのそれぞれは自然数である。)、ハイドロフルオロカーボンガス(Cガス)、三フッ化窒素ガス(NFガス)、三フッ化リンガス(PFガス)、及び五フッ化リンガス(PFガス)からなる群から選択される少なくとも一つを含んでもよい。ホウ素含有ガスは、三塩化ホウ素ガス(BClガス)、三フッ化ホウ素ガス(BFガス)、水素化ホウ素ガス(例えばBHガス)、及び三臭化ホウ素ガス(BBrガス)からなる群から選択される少なくとも一つを含んでもよい。第1の処理ガスには、窒素が含まれなくてもよい。
【0036】
第1の処理ガスは、リン含有ガス、ハロゲン含有ガス、窒素含有ガス、及び酸素含有ガスからなる群から選択される少なくとも一つの添加ガスを更に含んでもよい。リン含有ガスは、三フッ化リンガス(PFガス)、及び五フッ化リンガス(PFガス)からなる群から選択される少なくとも一つを含んでもよい。ハロゲン含有ガスは、塩素含有ガス、及び臭素含有ガスからなる群から選択される少なくとも一つを含んでもよい。塩素含有ガスは、Clガスを含んでもよい。臭素含有ガスは、HBrガスを含んでもよい。窒素含有ガスは、窒素ガス(Nガス)、酸窒化ガス(NOガス)、三フッ化窒素ガス(NFガス)、アンモニアガス(NHガス)、窒素ガスと水素ガスとの混合ガス、及びアミンガスからなる群から選択される少なくとも一つを含んでもよい。酸素含有ガスは、酸素ガス(O)、一酸化炭素ガス(CO)、及び二酸化炭素ガス(CO)からなる群から選択される少なくとも一つを含んでもよい。
【0037】
凹部RSは、プラズマ処理チャンバ10内に基板Wが供給される前に(工程ST1の前に)予めエッチング対象膜FLに設けられてもよい。その場合、工程ST2は、省略されてもよい。
【0038】
(工程ST3)
工程ST3では、図6に示されるように、第1の部分RS1の側壁RSa上に、フルオロホウ酸アンモニウム(以下、「AFB」という)層DPを形成する。AFB層DPは、第1の処理ガスから生成される第1のプラズマPL1により、形成され得る。AFBは、第1のプラズマPL1中の化学種とエッチング対象膜FLとの反応により生成され得る。AFB層DPは、第1の部分RS1の側壁RSa内に形成されてもよい。ここで、AFB層DPが側壁RSa内に形成される場合とは、側壁RSaの表面近傍において側壁RSa内部にAFB層DPが形成されることを意味する。工程ST3は、第1の処理ガスから生成された第1のプラズマPL1に基板W(エッチング対象膜FL)を晒すことによって実施されてもよい。AFB層DPは、凹部RSの底面RSb上に形成されなくてもよいし、凹部RSの底面RSb上に形成されてもよい。AFB層DPは、テトラフルオロホウ酸アンモニウム(NHBF)を含んでもよい。
【0039】
工程ST3は、基板Wを支持する基板支持部11における温度が50℃以下において実施されてもよい。工程ST3を低温下で実施することによって、AFBが揮発し難くなり得る。工程ST3において、基板支持部11の温度は、30℃以下であってもよいし、0℃以下であってもよいし、-20℃以下であってもよい。基板支持部11の温度は、-60℃以上であってもよい。工程ST3において、基板Wの温度は60℃以下であってもよいし、200℃以下であってもよい。基板Wの温度は30℃以上であってもよい。AFBが分解される温度が約200℃であるので、工程ST3における基板Wの温度が200℃以下であることによって、AFBが揮発し難くなり得る。
【0040】
(工程ST4)
工程ST4では、図7に示されるように、AFB層DPにより側壁RSaを保護しながら、底面RSbをエッチングする。底面RSbは、第1の処理ガスから生成される第1のプラズマPL1により、エッチングされ得る。工程ST4では、第1の部分RS1の下方に凹部RSの第2の部分RS2を形成する。工程ST4では、AFB層DPにより側壁RSaを保護することによって、側壁RSaへの化学種の侵入が阻止され、側壁RSaのエッチングが抑制され得る。
【0041】
工程ST4における第1の処理ガスは、工程ST3における第1の処理ガスと異なってもよい。工程ST4における第1の処理ガスは、ホウ素含有ガスを含まないか、又は工程ST3における第1の処理ガス中のホウ素含有ガスの流量よりも少ない流量でホウ素含有ガスを含んでもよい。
【0042】
(工程ST5)
工程ST5では、工程3と工程4とを繰り返す。工程3と工程4とを繰り返すことによって、凹部RSが深くなる。工程ST5の終了時に凹部RSの底面RSbは下地領域URに到達してもよい。
【0043】
工程ST2、工程ST4及び工程ST5における基板支持部11の温度の例は、工程ST3における基板支持部11の温度の例と同じであってもよい。工程ST2、工程ST4及び工程ST5における基板Wの温度の例は、工程ST3における基板Wの温度の例と同じであってもよい。
【0044】
工程ST2~工程ST5において、処理ガスとして、第1の処理ガスに代えて、第2の処理ガスが用いられてもよい。第2の処理ガスが用いられる場合、以下の点を除き第1の処理ガスが用いられる場合と同じように方法MTが行われ得る。工程ST2では、図5に示されるように、第2の処理ガスから生成される第2のプラズマPL2により、開口OPを介してエッチング対象膜FLをエッチングしてもよい。第2の処理ガスは、窒素(N)、水素(H)、フッ素(F)、及びホウ素(B)を含んでもよい。第2の処理ガスは、窒素含有ガス、水素含有ガス、フッ素含有ガス、及びホウ素含有ガスを含んでもよい。窒素含有ガスは、窒素ガス(Nガス)、酸窒化ガス(NOガス)、三フッ化窒素ガス(NFガス)、アンモニアガス(NHガス)、窒素ガスと水素ガスとの混合ガス、及びアミンガスからなる群から選択される少なくとも一つを含んでもよい。第2の処理ガスを用いる場合、エッチング対象膜FLは、シリコンを含んでもよい。エッチング対象膜FLは、窒素を含まなくてもよい。第2の処理ガスは、リン含有ガス、ハロゲン含有ガス、及び酸素含有ガスからなる群から選択される少なくとも一つの添加ガスを更に含んでもよい。第2の処理ガスに含まれる添加ガスの例は、第1の処理ガスに含まれる添加ガスの例と同じであってもよい。工程ST3は、図6に示されるように、第2の処理ガスから生成された第2のプラズマPL2に基板W(エッチング対象膜FL)を晒すことによって実施されてもよい。工程ST4では、図7に示されるように、第2の処理ガスから生成される第2のプラズマPL2により、AFB層DPにより側壁RSaを保護しながら、底面RSbをエッチングしてもよい。
【0045】
上述の方法MT1によれば、AFB層DPにより側壁RSaが保護されるので、側壁RSaのエッチングが抑制される。それにより、凹部RSの形状異常(例えばボーイング)を抑制することができる。
【0046】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0047】
図8は、第1変形例に係るエッチング方法(以下、「方法MT2」という)のフローチャートである。図9及び図10は、第1変形例に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。方法MT2は、工程ST3を除き方法MT1と同じように行われ得る。方法MT2の工程ST3は、工程ST31及び工程ST32を有する。工程ST32は工程ST31の後に行われ得る。
【0048】
(工程ST31)
工程ST31では、図9に示されるように、第1の部分RS1の側壁RSa内又は側壁RSa上に、ホウ素を含まないアンモニウム塩含有層DP1を形成してもよい。アンモニウム塩含有層DP1は、フルオロケイ酸アンモニウム(以下、「AFS」という)を含んでもよい。アンモニウム塩含有層DP1は、(NHSiF、NHSiF、及び(NHSiFからなる群から選択される少なくとも一つを含んでもよい。工程ST31は、水素及びフッ素を含む第3の処理ガスから生成された第3のプラズマPL3に基板W(エッチング対象膜FL)を晒すことによって実施されてもよい。第3の処理ガスは、水素含有ガス及びフッ素含有ガスを含んでもよい。第3の処理ガスを用いる場合、エッチング対象膜FLは、シリコン及び窒素を含んでもよい。第3の処理ガスは、窒素を含まなくてもよい。第3の処理ガスは、リン含有ガス及びハロゲン含有ガスからなる群から選択される少なくとも一つのガスを含んでもよい。工程ST31は、窒素、水素、及びフッ素を含む第5の処理ガスから生成された第5のプラズマPL5に基板Wを晒すことによって実施されてもよい。第5の処理ガスは、窒素含有ガス、水素含有ガス、及びフッ素含有ガスを含んでもよい。第5の処理ガスを用いる場合、エッチング対象膜FLは、シリコンを含んでもよい。エッチング対象膜FLは、窒素を含まなくてもよい。第5の処理ガスは、リン含有ガス及びハロゲン含有ガスからなる群から選択される少なくとも一つのガスを含んでもよい。AFBは、第3のプラズマPL3又は第5のプラズマPL5中の化学種とエッチング対象膜FLとの反応により生成され得る。
【0049】
第3の処理ガス又は第5の処理ガスがリン含有ガスを含む場合、アンモニウム塩含有層DP1は、ヘキサフルオロリン酸アンモニウム(NHPF)を含んでもよい。第3の処理ガス又は第5の処理ガスがハロゲン含有ガスを含む場合、アンモニウム塩含有層DP1は、NHX(Xはハロゲン元素)を含んでもよい。第3の処理ガス又は第5の処理ガスが臭素含有ガスを含む場合、アンモニウム塩含有層DP1は、臭化アンモニウム(NHBr)を含んでもよい。
【0050】
(工程ST32)
工程ST32では、図10に示されるように、アンモニウム塩含有層DP1からAFB含有層DP2が形成される。AFB含有層DP2は、AFBを含む。AFB含有層DP2は、AFB以外を含んでもよい。AFB含有層DP2は、NHPFを含んでもよい。工程ST31において第3の処理ガスを用いる場合、工程ST32は、ホウ素を含む第4の処理ガスから生成された第4のプラズマPL4にアンモニウム塩含有層DP1を晒すことによって実施されてもよい。第4の処理ガスはホウ素含有ガスを含んでもよい。ホウ素含有ガスによって、例えば、ホウ素含有ガスとアンモニウム塩含有層DP1との間の反応によって、ホウ素を含まないアンモニウム塩含有物中のシリコンがホウ素と置換され得る。その結果、AFBが生成されてもよい。工程ST31において第5の処理ガスを用いる場合、工程ST32は、ホウ素を含む第6の処理ガスから生成された第6のプラズマPL6にアンモニウム塩含有層DP1を晒すことによって実施されてもよい。第6の処理ガスはホウ素含有ガスを含んでもよい。
【0051】
方法MT2によれば、ホウ素を含まないアンモニウム塩含有物からAFB含有物を生成することによって、ホウ素を含まないアンモニウム塩含有物に起因する凹部RSの形状不良を抑制することができる。
【0052】
図11及び図12は、第2変形例に係るエッチング方法(以下、「方法MT3」という)のフローチャートである。方法MT3は、方法MT1の工程ST2~ST5に代えて、工程ST6を有する。方法MT3では、工程ST1において、図4に示されるように、シリコン及び窒素を含むエッチング対象膜FLと、エッチング対象膜FL上のマスクMKとを有する基板Wを提供する。工程ST6では、図5及び図6に示されるように、水素、フッ素、及びホウ素を含む処理ガスから生成されたプラズマにより、エッチング対象膜FLに凹部RSを形成しつつ、凹部RSの側壁RSaにAFB層DPを形成する。工程ST6は、図7に示されるように、AFB層DPにより側壁RSaを保護しながら、底面RSbをエッチングする工程(方法MT1における工程ST4)も含む。よって、工程ST6では、工程ST2~ST5が同時に行われ得る。
【0053】
図12に示されるように、工程ST6は、工程ST61~工程ST63を含んでもよい。工程ST61~工程ST63は順に実行され得る。
【0054】
(工程ST61)
工程ST61では、第1の処理ガスから第1のプラズマPL1を生成する。第1の処理ガスは、水素及びフッ素を含み、第1の流量でホウ素含有ガスを含んでもよい。工程ST61では、底面RSbのエッチングよりも、凹部RSの側壁RSaへのAFB層DPの形成が促進され得る。
【0055】
(工程ST62)
工程ST62では、第2の処理ガスから第2のプラズマPL2を生成する。第2の処理ガスは、水素及びフッ素を含んでもよい。第2の処理ガスは、ホウ素含有ガスを含まないか、又は第1の流量よりも少ない第2の流量でホウ素含有ガスを含んでもよい。工程ST62では、AFB層DPの形成よりも底面RSbのエッチングが促進され得る。
【0056】
(工程ST63)
工程ST63では、工程ST61と工程ST62とを繰り返す。工程ST61と工程ST62とを繰り返すことによって、凹部RSが深くなる。
【0057】
以下、方法MT1、方法MT2及び方法MT3の評価のために行った種々の実験について説明する。以下に説明する実験は、本開示を限定するものではない。
【0058】
図13は、凹部RSの形状不良の程度を評価するための一例の基板の部分拡大断面図である。図5に示される基板Wのエッチング対象膜FLには凹部RSが形成される。凹部RSの中心基準線CLは、凹部RSの上端における凹部RSの幅の中点MPを通る。中心基準線CLからの中点MPのずれ量を凹部RSの深さ方向に沿って測定することによって、凹部RSの形状不良(撚れ又は捩れ)の程度を評価することができる。
【0059】
(第1の実験)
第1の実験では、図4に示した基板と同一の構造を有する基板を準備した。エッチング対象膜は、交互に積層されたシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を含む積層膜である。その後、処理ガスから生成されたプラズマにより、エッチング対象膜をエッチングした。処理ガスは、90体積%のフッ素含有ガスと、酸素ガスと、臭化水素ガスと、2体積%のBClガスとを含む混合ガスである。本明細書において、各体積百分率は、処理ガスの全流量(単位:sccm)に対する各ガスの流量(単位:sccm)の割合を示す。エッチング時の基板支持部の温度は、-50℃以下である。
【0060】
(第2の実験)
第2の実験では、処理ガスが異なること以外は第1の実験と同じようにエッチング対象膜をエッチングした。第2の実験では、処理ガスは、92体積%のフッ素含有ガスと、酸素含有ガスとを含む混合ガスである。処理ガスは、臭化水素ガスとBClガスとを含まない。
【0061】
(実験結果)
第1及び第2の実験の各々において、エッチング対象膜のエッチングを行った後、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS:Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)を用いて、凹部RSの側壁RSaの表面分析を行った。その結果、第1の実験では、AFBが検出され、AFSは検出されなかった。第2の実験では、AFSが検出され、AFBは検出されなかった。
【0062】
第1及び第2の実験の各々においてエッチング対象膜のエッチングを行った後、図13に示されるように、凹部RSの深さ方向に沿った基板の断面において、凹部RSの幅の中点MPの中心基準線CLからのずれ量を求めた。図14は、凹部の形状異常の程度を評価した実験結果の一例を示すグラフである。グラフの横軸は、凹部RSの幅の中点MPの中心基準線CLからのずれ量(nm)を示す。グラフの縦軸は、凹部RSの深さ(nm)を示す。凹部RSの深さが0である位置は、マスクとエッチング対象膜との境界に対応する。第2の実験における中点MPのずれ量を示すプロファイルE2の最大ずれ量(約45nm)は、第1の実験における中点MPのずれ量を示すプロファイルE1の最大ずれ量(約30nm)よりも大きかった。よって、処理ガスに水素及びホウ素が含まれると、凹部RSの形状不良の程度が改善し得ることが分かった。凹部RSの側壁RSa上又は側壁RSa内にAFB層が形成されたことによって、凹部RSの形状不良の程度が改善したことが想定される。
【0063】
第1及び第2の実験の各々においてエッチング対象膜のエッチングを行った後、図15及び図16に示されるように、底面RSb近傍における凹部RSの横断面形状を観察した。凹部RSの横断面は、凹部RSの深さ方向に直交する断面である。横断面において、凹部RSはラインパターンを有する。図15は、第1の実験の結果を示し、図16は、第2の実験の結果を示す。第1の実験及び第2の実験の各々において、凹部RSの幅(CD:Critical Dimension)を測定した。第1の実験における凹部RSの幅は、56.7nmであった。第2の実験における凹部RSの幅は、104nmであった。よって、処理ガスに水素及びホウ素が含まれると、凹部RSの幅が縮小することが分かった。
【0064】
第1の実験及び第2の実験の各々において、凹部RSの横断面から凹部RSのラインエッジラフネス(LER)を測定した。LERは、例えば、凹部RSの側壁RSaに沿って計測された算術平均粗さである。第1の実験におけるLERは、28nmであった。第2の実験におけるLERは、33nmであった。よって、処理ガスに水素及びホウ素が含まれると、LERが改善することが分かった。
【0065】
凹部RSがホールパターンを有する場合についても第1及び第2の実験と同じように実験を行った。その結果、プラズマエッチングに用いられる処理ガスにBClガスを加えることによって、凹部RSの側壁RSa上又は側壁RSa内にAFB層が形成され、凹部RSの形状不良の程度が改善することが分かった。具体的には、最大ボーイング幅は、BClを加えない場合が101nmであったのに対し、BClを加えると99nmに改善した。凹部RSの幅は、BClを加えない場合が29nmであったのに対し、BClを加えると20nmに改善した。
【0066】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[E1]~[E20]に記載する。
【0067】
[E1]
(a)基板をエッチングして、前記基板に凹部の第1の部分を形成する工程であって、前記第1の部分は底面及び側壁を含む、工程と、
(b)前記側壁内又は前記側壁上に、フルオロホウ酸アンモニウム層を形成する工程と、
(c)前記フルオロホウ酸アンモニウム層により前記側壁を保護しながら、前記底面をエッチングして、前記第1の部分の下方に前記凹部の第2の部分を形成する工程と、
を含む、エッチング方法。
【0068】
[E2]
前記(b)は、前記基板を支持する基板支持部における温度が50℃以下において実施される、[E1]に記載のエッチング方法。
【0069】
[E3]
前記(c)は前記(b)の後に実施される、[E1]又は[E2]に記載のエッチング方法。
【0070】
[E4]
(d)前記(b)及び前記(c)を繰り返す工程を更に含む、[E1]~[E3]のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【0071】
[E5]
前記(a)、前記(b)及び前記(c)は同時に実施される、[E1]又は[E2]に記載のエッチング方法。
【0072】
[E6]
前記基板はエッチング対象膜を含み、
前記エッチング対象膜は、シリコン及び窒素を含み、
前記(b)は、第1の処理ガスから生成された第1のプラズマに前記基板を晒すことによって実施され、
前記第1の処理ガスは、水素、フッ素、及びホウ素を含む、[E1]~[E5]のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【0073】
[E7]
前記エッチング対象膜は、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、及び積層膜からなる群から選択される少なくとも一つを含み、前記積層膜は、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を含む、[E6]に記載のエッチング方法。
【0074】
[E8]
前記第1の処理ガスは、水素含有ガス、フッ素含有ガス、及びホウ素含有ガスを含む、[E6]又は[E7]に記載のエッチング方法。
【0075】
[E9]
前記第1の処理ガスは、リン含有ガス、ハロゲン含有ガス、窒素含有ガス、及び酸素含有ガスからなる群から選択される少なくとも一つの添加ガスを更に含む、[E6]~[E8]のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【0076】
[E10]
前記基板はエッチング対象膜を含み、
前記エッチング対象膜は、シリコンを含み、
前記(b)は、第2の処理ガスから生成された第2のプラズマに前記基板を晒すことによって実施され、
前記第2の処理ガスは、窒素、水素、フッ素、及びホウ素を含む、[E1]~[E5]のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【0077】
[E11]
前記第2の処理ガスは、窒素含有ガス、水素含有ガス、フッ素含有ガス、及びホウ素含有ガスを含む、[E10]に記載のエッチング方法。
【0078】
[E12]
前記第2の処理ガスは、リン含有ガス、ハロゲン含有ガス、及び酸素含有ガスからなる群から選択される少なくとも一つの添加ガスを更に含む、[E10]又は[E11]に記載のエッチング方法。
【0079】
[E13]
前記基板は、マスクを含み、前記マスクは、炭素含有膜又は金属含有膜を含む、[E1]~[E12]のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【0080】
[E14]
前記(b)は、
(b1)前記側壁内又は前記側壁上に、ホウ素を含まないアンモニウム塩含有層を形成する工程と、
(b2)前記ホウ素を含まないアンモニウム塩含有層からフルオロホウ酸アンモニウムを含むフルオロホウ酸アンモニウム含有層を生成する工程と、
を含む、[E1]~[E13]のいずれか一つに記載のエッチング方法。
【0081】
[E15]
前記基板はエッチング対象膜を含み、
前記エッチング対象膜は、シリコン及び窒素を含み、
前記(b1)は、水素及びフッ素を含む第3の処理ガスから生成された第3のプラズマに前記基板を晒すことによって実施され、
前記(b2)は、ホウ素を含む第4の処理ガスから生成された第4のプラズマに前記ホウ素を含まないアンモニウム塩含有層を晒すことによって実施される、[E14]に記載のエッチング方法。
【0082】
[E16]
前記基板はエッチング対象膜を含み、
前記エッチング対象膜は、シリコンを含み、
前記(b1)は、窒素、水素、及びフッ素を含む第5の処理ガスから生成された第5のプラズマに前記基板を晒すことによって実施され、
前記(b2)は、ホウ素を含む第6の処理ガスから生成された第6のプラズマに前記ホウ素を含まないアンモニウム塩含有層を晒すことによって実施される、[E14]に記載のエッチング方法。
【0083】
[E17]
(a)シリコン及び窒素を含むエッチング対象膜と、前記エッチング対象膜上のマスクとを有する基板を提供する工程と、
(b)水素、フッ素、及びホウ素を含む処理ガスから生成されたプラズマにより、前記エッチング対象膜に凹部を形成しつつ、前記凹部の側壁にフルオロホウ酸アンモニウム層を形成する工程と、
を含む、エッチング方法。
【0084】
[E18]
前記(b)は、
(b1)第1の処理ガスから第1のプラズマを生成する工程であり、前記第1の処理ガスは、水素及びフッ素を含み、第1の流量でホウ素含有ガスを含む、工程と、
(b2)第2の処理ガスから第2のプラズマを生成する工程であり、前記第2の処理ガスは、水素及びフッ素を含み、前記第2の処理ガスは、前記ホウ素含有ガスを含まないか、又は前記第1の流量よりも少ない第2の流量で前記ホウ素含有ガスを含む、工程と、を含む、[E17]に記載のエッチング方法。
【0085】
[E19]
前記(b)は、(b3)前記(b1)及び前記(b2)を繰り返す工程を更に含む、[E18]に記載のエッチング方法。
【0086】
[E20]
エッチング装置であって、
チャンバと、
前記チャンバ内において基板を支持するための基板支持部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記基板をエッチングして、前記基板に凹部の第1の部分を形成し、
前記第1の部分の側壁内又は前記側壁上に、フルオロホウ酸アンモニウム層を形成し、
前記フルオロホウ酸アンモニウム層により前記側壁を保護しながら、前記第1の部分の底面をエッチングして、前記第1の部分の下方に前記凹部の第2の部分を形成するように前記エッチング装置を制御するよう構成される、エッチング装置。
【符号の説明】
【0087】
1…プラズマ処理装置、2…制御部、10…プラズマ処理チャンバ、DP…フルオロホウ酸アンモニウム層(AFB層)、FL…、エッチング対象膜、MK…マスク、RS…凹部、RS1…第1の部分、RS2…第2の部分、RSa…側壁、RSb…底面、W…基板。

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