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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114394
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ウエーハ及び判定方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240816BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H01L21/66 P
H01L21/68 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020140
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関家 一馬
【テーマコード(参考)】
4M106
5F131
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA04
4M106CB17
4M106DB02
4M106DB08
5F131AA02
5F131BA39
5F131CA70
5F131KA12
5F131KA47
5F131KA62
5F131KB05
(57)【要約】
【課題】結晶方位を示すマークとして微少な平坦面が形成されている場合でも、ウエーハの表面、裏面を判定できるウエーハ及び判定方法を提供する事。
【解決手段】ウエーハ100は、ウエーハ100の外周面取り部107の領域内に、ウエーハ100の円周方向に沿って少なくとも3つの微小な平坦面109が形成され、隣接する平坦面109の間の円弧の長さC1,C2,C3は、少なくとも二箇所において互いに異なる事を特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエーハの外周面取り部の領域内に、ウエーハの円周方向に沿って少なくとも3つの微小な平坦面が形成され、
隣接する該平坦面の間の円弧の長さは、少なくとも二箇所において互いに異なる事を特徴とするウエーハ。
【請求項2】
ウエーハの外周面取り部の領域内に、ウエーハの面に直交する方向からわずかに傾斜した平坦面が形成される事を特徴とするウエーハ。
【請求項3】
請求項1に記載のウエーハの向きを判定する判定方法であって、
ウエーハの該外周面取り部の側面に光を照射する投光部と、該側面からの反射光を受光する受光部と、を有するセンサによって、ウエーハの円周方向に沿って、該平坦面を含む該ウエーハの外周面取り部の側面に光を照射し、該受光部が受光する反射光によって複数の該平坦面を検出する検出ステップと、
該検出ステップにおいて検出された少なくとも3つの該平坦面の間隔から、該ウエーハのどちらの面が上を向いているかを判定する判定ステップと、
を備える事を特徴とする判定方法。
【請求項4】
請求項2に記載のウエーハの向きを判定する判定方法であって、
ウエーハの該外周面取り部の側面に光を照射する投光部と、該側面からの反射光を受光する受光部と、を有するセンサによって、ウエーハの円周方向に沿って、該平坦面を含む該ウエーハの外周面取り部の側面に光を照射し、該側面からの反射光によって該ウエーハのどちらの面が上を向いているかを判定する事を特徴とする判定方法。
【請求項5】
該投光部から照射される光の光軸は、ウエーハの一方の面が上を向いている状態の該平坦面と直交するようにされ、
該受光部は、該ウエーハの一方の面が上を向いている場合、該平坦面からの反射光を受光し、該ウエーハの他方の面が上を向いている場合、該平坦面からの反射光を受光しないことを特徴とする請求項4に記載のウエーハの向きの判定方法。
【請求項6】
該センサは、
該投光部から照射される光の光軸がウエーハの一方の面が上を向いている状態の該平坦面と直交するように配置される第一のセンサと、
該投光部から照射される光の光軸がウエーハの他方の面が上を向いている状態の該平坦面と直交するように配置される第二のセンサと、を含み、
該第一のセンサと該第二のセンサとのどちらで該平坦面からの反射光を受光したかによってウエーハの向きを判定することを特徴とする請求項4に記載のウエーハの向きの判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハの表裏面を判定する判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエーハは、結晶方位性を有しており、結晶方位を認識しながらデバイスの形成や複数のチップに分割するなどの様々な加工が施される。そのため、従来ウエーハには結晶方位を識別する為にノッチやオリエンテーションフラットが形成されているが、これらによりデバイスを形成出来る領域が小さくなるという問題があった。そこで、ウエーハの面取り部に微少な平坦面を形成することで、結晶方位を識別する目印とする技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-189093号公報
【特許文献2】特開2007-329391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウエーハによっては、結晶方位を示すために長さの異なる二つのオリエンテーションフラットが形成され、ウエーハの表裏面をひっくり返すと、長さの異なるオリエンテーションフラットの配置が変わるため、二つのオリエンテーションフラットをそれぞれ識別することによりウエーハの表面、裏面を識別できていた。しかしながら、オリフラに変えて微少な平坦面を形成した場合、平坦面が微少であるため、どちらの平坦面であるかを識別できず、ウエーハの表面、裏面を識別する目印として使用する事が困難であると言う問題があった。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、結晶方位を示すマークとして微少な平坦面が形成されている場合でも、ウエーハの表面、裏面を判定できるウエーハ及び判定方法を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウエーハは、ウエーハの外周面取り部の領域内に、ウエーハの円周方向に沿って少なくとも3つの微小な平坦面が形成され、隣接する該平坦面の間の円弧の長さは、少なくとも二箇所において互いに異なる事を特徴とする。
【0007】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウエーハは、ウエーハの外周面取り部の領域内に、ウエーハの面に直交する方向からわずかに傾斜した平坦面が形成される事を特徴とする。
【0008】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の判定方法は、上記1つめに記載のウエーハの向きを判定する判定方法であって、ウエーハの該外周面取り部の側面に光を照射する投光部と、該側面からの反射光を受光する受光部と、を有するセンサによって、ウエーハの円周方向に沿って、該平坦面を含む該ウエーハの外周面取り部の側面に光を照射し、該受光部が受光する反射光によって複数の該平坦面を検出する検出ステップと、該検出ステップにおいて検出された少なくとも3つの該平坦面の間隔から、該ウエーハのどちらの面が上を向いているかを判定する判定ステップと、を備える事を特徴とする。
【0009】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の判定方法は、上記2つめに記載のウエーハの向きを判定する判定方法であって、ウエーハの該外周面取り部の側面に光を照射する投光部と、該側面からの反射光を受光する受光部と、を有するセンサによって、ウエーハの円周方向に沿って、該平坦面を含む該ウエーハの外周面取り部の側面に光を照射し、該側面からの反射光によって該ウエーハのどちらの面が上を向いているかを判定する事を特徴とする。
【0010】
該投光部から照射される光の光軸は、ウエーハの一方の面が上を向いている状態の該平坦面と直交するようにされ、該受光部は、該ウエーハの一方の面が上を向いている場合、該平坦面からの反射光を受光し、該ウエーハの他方の面が上を向いている場合、該平坦面からの反射光を受光しないものであってもよい。
【0011】
該センサは、該投光部から照射される光の光軸がウエーハの一方の面が上を向いている状態の該平坦面と直交するように配置される第一のセンサと、該投光部から照射される光の光軸がウエーハの他方の面が上を向いている状態の該平坦面と直交するように配置される第二のセンサと、を含み、該第一のセンサと該第二のセンサとのどちらで該平坦面からの反射光を受光したかによってウエーハの向きを判定してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ウエーハの外周面取り部の領域内に、ウエーハの円周に沿って異なる間隔で少なくとも3つの微小な平坦面か、もしくは、ウエーハの表面及び裏面に対して直交する方向からわずかに傾斜した微小な平坦面が形成され、ウエーハの向きに応じて平坦面を異なる形で検出できるため、結晶方位を示すマークとして微少な平坦面が形成されている場合でも、ウエーハの表面、裏面を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態1に係るウエーハの構成例を示す斜視図である。
図2図2は、図1のウエーハの側面図である。
図3図3は、図1のウエーハの上面図である。
図4図4は、実施形態1に係る判定方法を実施する判定装置の構成例を示す側断面図である。
図5図5は、図4の判定装置を示す斜視図である。
図6図6は、実施形態1に係るウエーハの平坦面と判定装置との関係を説明する上面図である。
図7図7は、実施形態1に係るウエーハの平坦面と判定装置との関係を説明する上面図である。
図8図8は、実施形態1に係る判定方法の処理手順を示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態2に係るウエーハの平坦面及び判定方法を説明する側断面図である。
図10図10は、実施形態2に係るウエーハの平坦面及び判定方法を説明する側断面図である。
図11図11は、実施形態3に係る判定方法を説明する側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0015】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るウエーハ100及び判定方法を図面に基づいて説明する。本明細書では、まず、実施形態1に係るウエーハ100について説明する。図1は、実施形態1に係るウエーハ100の構成例を示す斜視図である。図2及び図3は、それぞれ、図1のウエーハ100の側面図及び上面図である。実施形態1に係るウエーハ100は、図1図2及び図3に示すように、例えば、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素などを基板とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等である。ウエーハ100は、実施形態1では、平坦な表面101の互いに交差(実施形態1では、直交)する分割予定ライン102によって区画された各領域にチップ状のデバイス103が形成されているが、本発明ではこれに限定されず、表面101に分割予定ライン102及びデバイス103が形成されていなくてもよい。
【0016】
ウエーハ100の表面101は、図3に示すように、デバイス領域105と、外周余剰領域106とに区画することができる。デバイス領域105は、デバイス103が形成されている、もしくは、デバイス103が形成される予定の円形状の領域である。外周余剰領域106は、デバイス領域105を囲繞し、デバイス103が形成されておらず、もしくは、デバイス103が形成されない予定の円環状の領域である。
【0017】
図1図2及び図3に示すように、ウエーハ100の外周端部は、表面101側から表面101の裏側である裏面104側にわたって面取りがされており、これにより、円形状(例えば、真円形状)に形成された表面101の外縁と裏面104の外縁との間に、外周面取り部107が形成されている。外周面取り部107は、表面101及び裏面104に直交し、ウエーハ100の径方向に沿った断面の形状が、概ね表面101と裏面104との中央に対して表面101側と裏面104側とで対称な曲線状に形成されている。外周面取り部107における概ね表面101と裏面104との間の厚み方向の中央部分は、ウエーハ100において最も外周側に張り出しており、ウエーハ100の最外周縁108を形成する。
【0018】
図1図2及び図3に示すように、ウエーハ100の外周面取り部107の領域内に、微小な平坦面109が形成されている。平坦面109は、実施形態1では、ウエーハ100の表面101及び裏面104に対して直交し、なおかつ、ウエーハ100の径方向に対して直交した楕円状に形成される。なお、平坦面109は、ウエーハ100の表面101及び裏面104に対して厳密に直交していなくてもよく、ウエーハ100の表面101及び裏面104に対して直交する方向に対し微小に傾いていてもよい。また、平坦面109は、ウエーハ100の径方向に対して厳密に直交していなくてもよく、ウエーハ100の径方向に対して直交する方向に対し微小に傾いていてもよい。平坦面109は、外周面取り部107の形状によって、長径方向がウエーハ100の円周方向と平行な楕円状に形成される。
【0019】
平坦面109が微小であるとは、最外周縁108から径方向内側に向かって、外周面取り部107の径方向の長さよりも短い範囲内に形成されることをいう。すなわち、平坦面109は、外周面取り部107の両端を構成する表面101の外縁及び裏面104の外縁よりも外周側に形成される。平坦面109は、例えばウエーハ100の外径がφ200mmで外周面取り部107の径方向の長さがウエーハ100の最外周縁108から0.5mmであった場合、最外周縁108から径方向内側に0.3mmの範囲内に形成される。この寸法では、平坦面109は、長径が約22mmとなる。また、平坦面109は、短径がウエーハ100の厚みよりも短く形成される。このように、平坦面109は、外周面取り部107に収めて形成するので、一般的に結晶方向に沿って平面視で直線状に形成されるオリフラ(オリエンテーションフラット)と比較して、小さい長さ(大きさ、スケール)で形成されるので、本明細書では微小と称している。なお、外周面取り部107は径方向の長さが短く、そして、平坦面109は微小であるため、外周面取り部107及び平坦面109は、いずれも実際には上面からほぼ認識できないが、図3では、本発明の説明のため、強調して大きく示している。
【0020】
平坦面109は、実施形態1では、ウエーハ100の円周方向に沿って少なくとも3つ(図1図2及び図3に示す例では3つ)形成される。隣接する平坦面109の間の円弧の長さは、少なくとも二箇所において互いに異なっており、すなわち、三箇所全てにおいて互いに異なっている。ここで、隣接する平坦面109の間の円弧の長さは、例えば、隣接する各平坦面109の中心の間の最外周縁108の部分の長さで表される。また、隣接する平坦面109の間の円弧の長さは、実施形態1では、例えば、隣接する各平坦面109の中心とウエーハ100の中心とを結ぶ2つの直線がウエーハ100の中心において形成する角度(以下において、中心角、と称する。)で表すことができる。ここで、中心角は、0°より大きく、360°より小さい量である。
【0021】
実施形態1では、少なくとも1つの平坦面109(平坦面109-1)が、結晶方向に沿って形成され、これにより、この結晶方向に沿って形成された平坦面109を、結晶方位を識別する目印(結晶方位を示すマーク)として使用する事ができる。平坦面109は、このように、結晶方位を識別する目印として使用でき、後述するように光を照射して反射光を受光することで検出するため、オリエンテーションミラー(オリミラ(株式会社ディスコの登録商標第4984358号))とも称される。
【0022】
平坦面109は、実施形態1では、面取り加工により外周面取り部107を形成する前に形成される。具体的には、インゴットから切り出したウエーハ100の外周端部に平坦面109を形成した後に、面取り加工により外周面取り部107を形成する。このようにすることで、ウエーハ100の表面101の外縁と裏面104の外縁だけでなく、平坦面109の外縁についても面取り加工を施すことができ、これにより、ウエーハ100が不用意に受ける衝撃によって割れや欠けあるいは発塵が生じる恐れを防止できる。また、インゴットから切り出したウエーハ100の外周端部に平坦面109を形成することにより、少なくとも1つの平坦面109を、結晶方向に沿って好適に形成することができる。なお、本発明ではこれに限定されず、面取り加工により外周面取り部107を形成してから、平坦面109を形成してもよい。
【0023】
図1図2及び図3に示すように、ウエーハ100に形成された3つの平坦面109をそれぞれ区別する場合には、それぞれ、平坦面109-1,109-2,109-3と記す。表面101側から見て、平坦面109-2は、平坦面109-1に対して時計回り方向に隣接しており、平坦面109-3は、平坦面109-2に対して時計回り方向に隣接しており、平坦面109-1は、平坦面109-3に対して時計回り方向に隣接している。平坦面109-1と平坦面109-2との間の円弧の長さは、図3に示すように、最外周縁108の部分の長さで表すと長さC1であり、中心角で表すと中心角φ1である。平坦面109-2と平坦面109-3との間の円弧の長さは、図3に示すように、最外周縁108の部分の長さで表すと長さC2であり、中心角で表すと中心角φ2である。平坦面109-3と平坦面109-1との間の円弧の長さは、図3に示すように、最外周縁108の部分の長さで表すと長さC3であり、中心角で表すと中心角φ3である。ここで、C1とC2、C2とC3、C3とC1とはそれぞれ互いに異なっており、φ1とφ2、φ2とφ3、φ3とφ1とはそれぞれ互いに異なっている。
【0024】
ウエーハ100は、図3に示す実施形態1の例では、中心角φ1と中心角φ2とをいずれも90°よりも小さくし、中心角φ3を270°よりも大きくすることにより、中心角が90°の範囲内に平坦面109-1,109-2,109-3を互いに比較的近接して形成しているので、後述する検出ステップ1001にかかる時間を短縮できる。なお、ウエーハ100は、本発明ではこれに限定されず、平坦面109-1,109-2,109-3を互いに比較的離間して形成してもよい。
【0025】
本明細書では、次に、実施形態1に係る判定方法を実施する判定装置1について説明する。図4は、実施形態1に係る判定方法を実施する判定装置1の構成例を示す側断面図である。図5は、図4の判定装置1を示す斜視図である。判定装置1は、図4に示すように、保持テーブル10と、センサ20と、制御ユニット30と、を備える。
【0026】
保持テーブル10は、図4に示すように、判定装置1の基台2上に設けられ、凹部が形成された円盤状の枠体と、凹部内に嵌め込まれた円盤形状の吸着部と、を備える。保持テーブル10の吸着部は、多数のポーラス孔を備えたポーラスセラミック等から形成されたポーラス部を有し、図示しない真空吸引路を介して図示しない真空吸引源と接続されている。保持テーブル10の吸着部の上面は、ウエーハ100が載置されて、真空吸引源から導入される負圧により、載置されたウエーハ100を吸引保持する保持面11である。保持面11は、実施形態1では、ウエーハ100が所定の一方の面を上方に向けて載置され、載置されたウエーハ100を所定の一方の面とは裏側の他方の面側から吸引保持する。保持面11と保持テーブル10の枠体の上面とは、同一平面上に配置されており、水平面(図4のXY平面)に平行に形成されている。
【0027】
保持テーブル10は、保持面11が形成された側とは反対側である下方に回転駆動源であるモータ12が接続されており、モータ12により水平面に直交しかつ鉛直方向(図4のZ軸方向)に平行な軸心回りに回転自在に設けられている。モータ12は、保持テーブル10の下方に設けられており、保持テーブル10を鉛直方向に平行な軸心回りに回転させる。モータ12は、モータドライバ13と接続されている。
【0028】
モータドライバ13は、モータ12に駆動用の電力を供給する。モータドライバ13は、モータ12の回転位置を読み取るエンコーダを含み、エンコーダが読み取ったモータ12の回転位置の時間変化に基づいて、モータ12の回転速度を検出する。モータドライバ13は、モータ12に供給する駆動用の電力を制御して、検出するモータ12の回転速度を制御する。モータドライバ13は、制御ユニット30と情報通信可能に電気的に接続されており、制御ユニット30により制御され、モータ12の回転位置及び回転速度を制御ユニット30に出力する。
【0029】
センサ20は、図4に示すように、保持テーブル10と同様に基台2上に設けられる。センサ20は、保持テーブル10が設けられた方向に光を照射する投光部21と、投光部21から照射した光が反射された反射光を受光する受光部22と、を有する。投光部21から照射する光の光軸は、水平方向に平行であり、すなわち、平坦面109と直交するようにされている。センサ20は、実施形態1では、投光部21と受光部22とが鉛直方向の高さが同じになるように設けられている。センサ20は、下方に昇降部23が接続されており、昇降部23により鉛直方向に沿って移動自在に設けられている。昇降部23は、センサ20の下方に設けられており、センサ20を鉛直方向に沿って移動させることにより、投光部21と受光部22とを、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の外周面取り部107の側面(最外周縁108)及び側面に形成された平坦面109と、投光部21から照射する光の光軸方向(実施形態1では、水平方向、図4のX軸方向)に沿って対向するように調整する。
【0030】
センサ20は、図5に示すように、昇降部23により、投光部21及び受光部22と保持テーブル10に保持されたウエーハ100の平坦面109とが互いに投光部21から照射する光の光軸方向に沿って対向するように高さが調整されてから、すなわち、投光部21からウエーハ100の外周面取り部107の側面に照射した光が、側面に形成された平坦面109に照射され、平坦面109から反射されて反射光となり、受光部22が受光できるように高さが調整されてから、投光部21より光を照射して受光部22より反射光を受光する平坦面109の検出動作を実施する。センサ20は、制御ユニット30と情報通信可能に電気的に接続されており、受光部22が平坦面109からの反射光を受光した旨の信号、すなわち平坦面109を検出した旨の信号を、制御ユニット30に出力する。
【0031】
制御ユニット30は、判定装置1の各構成要素の動作を制御して、実施形態に係る判定方法を判定装置1に実施させる。制御ユニット30は、保持テーブル10の保持面11でのウエーハ100に対する吸引保持動作を制御し、モータドライバ13により、モータ12での保持テーブル10の回転動作を制御する。制御ユニット30は、センサ20により、平坦面109の検出動作、すなわち、投光部21による光の照射動作、及び、受光部22による反射光の受光動作を制御する。制御ユニット30は、昇降部23により、センサ20の鉛直方向に沿った移動動作を制御することで、投光部21と受光部22との鉛直方向の高さを制御する。
【0032】
制御ユニット30は、作業者により、予め、ウエーハ100に形成された平坦面109-1,109-2,109-3の間の円弧の長さの情報である長さC1,C2,C3、及び、中心角φ1,φ2,φ3が登録されて記憶している。制御ユニット30は、実施形態1では、ウエーハ100に形成された平坦面109の間の円弧の長さの情報を、表面101側から見て時計回り方向の順に登録されて記憶しているが、本発明ではこれに限定されず、裏面104側から見て時計回り方向の順に登録されて記憶していてもよいし、表面101側から見て時計回り方向の順と、裏面104側から見て時計回り方向の順との両方が登録されて記憶していてもよい。
【0033】
図6及び図7は、いずれも、実施形態1に係るウエーハ100の平坦面109と判定装置1との関係を説明する上面図である。図6は、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の表面101側が上方に向けられた「表面上方」の場合の上面図であり、図7は、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の裏面104側が上方に向けられた「裏面上方」場合の上面図である。
【0034】
制御ユニット30は、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の向きが表面上方の場合、図6に示すように、モータ12により、保持テーブル10を上方から見て時計回り方向に回転させながら、センサ20により平坦面109の検出動作を実施すると、平坦面109-3を検出してから保持テーブル10を中心角φ2だけ回転させると平坦面109-2を検出し、平坦面109-2を検出してから保持テーブル10を中心角φ1だけ回転させると平坦面109-1を検出し、平坦面109-1を検出してから保持テーブル10を中心角φ3だけ回転させると平坦面109-3を検出する。すなわち、制御ユニット30は、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の向きが表面上方の場合、保持テーブル10を上方から見て時計回り方向に回転させながら平坦面109を検出すると、中心角φ2、中心角φ1、中心角φ3の間隔の順に、平坦面109を検出する。このように、制御ユニット30は、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の向きが表面上方の場合、ウエーハ100を表面101側から見て、上方から見た保持テーブル10の回転方向と逆の順に、平坦面109及び平坦面109の間の円弧の長さを検出する。
【0035】
制御ユニット30は、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の向きが裏面上方の場合、図7に示すように、モータ12により、保持テーブル10を上方から見て時計回り方向に回転させながら、センサ20により平坦面109の検出動作を実施すると、平坦面109-1を検出してから保持テーブル10を中心角φ1だけ回転させると平坦面109-2を検出し、平坦面109-2を検出してから保持テーブル10を中心角φ2だけ回転させると平坦面109-3を検出し、平坦面109-3を検出してから保持テーブル10を中心角φ3だけ回転させると平坦面109-1を検出する。すなわち、制御ユニット30は、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の向きが裏面上方の場合、保持テーブル10を上方から見て時計回り方向に回転させながら平坦面109を検出すると、中心角φ1、中心角φ2、中心角φ3の間隔の順に、平坦面109を検出する。このように、制御ユニット30は、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の向きが裏面上方の場合、ウエーハ100を表面101側から見て、上方から見た保持テーブル10の回転方向と同じ順に、平坦面109及び平坦面109の間の円弧の長さを検出する。
【0036】
制御ユニット30は、ウエーハ100を表面101側から見て、上方から見た保持テーブル10の回転方向と逆の順に、平坦面109及び平坦面109の間の円弧の長さを検出した場合、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の向きが表面上方であると判定し、ウエーハ100を表面101側から見て、上方から見た保持テーブル10の回転方向と同じ順に、平坦面109及び平坦面109の間の円弧の長さを検出した場合、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の向きが裏面上方であると判定する。制御ユニット30は、実施形態1では、具体的には、保持テーブル10を上方から見て時計回り方向に回転させながら、センサ20により平坦面109の検出動作を実施した際に、中心角φ2、中心角φ1、中心角φ3の間隔の順で平坦面109を検出した場合、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の向きが表面上方であると判定し、中心角φ1、中心角φ2、中心角φ3の間隔の順で平坦面109を検出した場合、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の向きが裏面上方であると判定する。
【0037】
制御ユニット30は、本実施形態では、コンピュータシステムを含む。制御ユニット30が含むコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。制御ユニット30の演算処理装置は、制御ユニット30の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、判定装置1を制御するための制御信号を、制御ユニット30の入出力インターフェース装置を介して判定装置1の各構成要素に出力する。
【0038】
図8は、実施形態1に係る判定方法の処理手順を示すフローチャートである。実施形態1に係る判定方法は、判定装置1によって実施される動作処理の一例であり、図8に示すように、検出ステップ1001と、判定ステップ1002と、を備える。
【0039】
検出ステップ1001は、ウエーハ100の外周面取り部107の側面に光を照射する投光部21と、側面からの反射光を受光する受光部22と、を有するセンサ20によって、ウエーハ100の円周方向に沿って、平坦面109を含むウエーハ100の外周面取り部107の側面に光を照射し、受光部22が受光する反射光によって複数の平坦面109を検出するステップである。
【0040】
検出ステップ1001では、具体的には、まず、ウエーハ100を保持テーブル10の保持面11上に載置して、保持テーブル10で吸引保持する。検出ステップ1001では、次に、制御ユニット30は、昇降部23により、投光部21と受光部22とを、平坦面109と投光部21から照射する光の光軸方向に沿って対向するように高さを調整する。検出ステップ1001では、そして、制御ユニット30は、モータ12により、保持テーブル10を上方から見て所定の方向(実施形態1では、時計回り方向)に回転させながら、センサ20により平坦面109の検出動作を実施することにより、ウエーハ100の円周方向に沿って順次検出動作を実施して複数の平坦面109を順次検出し、モータドライバ13により各平坦面109を検出した時の保持テーブル10の回転位置の間隔を順次検出する。なお、検出ステップ1001では、少なくとも2つの平坦面109の間隔を検出すればよい、すなわち、少なくとも3つの平坦面109を検出すればよい。
【0041】
判定ステップ1002は、検出ステップ1001において検出された少なくとも2つの平坦面109の間隔から、ウエーハ100のどちらの面が上を向いているかを判定するステップである。判定ステップ1002では、制御ユニット30は、ウエーハ100を表面101側から見て、上方から見た保持テーブル10の回転方向と逆の順に、平坦面109及び平坦面109の間の円弧の長さを検出した場合、すなわち、図6に示すように、中心角φ2、中心角φ1、中心角φ3の間隔の順で平坦面109を検出した場合、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の向きが表面上方であると判定する。また、判定ステップ1002では、制御ユニット30は、ウエーハ100を表面101側から見て、上方から見た保持テーブル10の回転方向と同じ順に、平坦面109及び平坦面109の間の円弧の長さを検出した場合、すなわち、図7に示すように、中心角φ1、中心角φ2、中心角φ3の間隔の順で平坦面109を検出した場合、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の向きが裏面上方であると判定する。
【0042】
以上のような構成を有する実施形態1に係るウエーハ100及び判定方法は、3つ以上の平坦面109が、ウエーハ100の円周に沿って異なる間隔で外周面取り部107の領域に形成され、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の向きが反対になると検出される平坦面109の間隔が逆の順に変わるため、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の向きを判定することができる。また、実施形態1に係るウエーハ100及び判定方法は、平坦面109が微小であるため、外周余剰領域106を狭く抑えてデバイス領域105を広く取ることができるので、デバイス103を形成出来る領域を大きくすることができる。このため、実施形態1に係るウエーハ100及び判定方法は、結晶方位を示すマークとして微少な平坦面109が形成されている場合でも、ウエーハ100の表面101、裏面104を判定できるという作用効果を奏する。
【0043】
ウエーハ100は、例えば、研削装置によって裏面104が研削されて所定の厚みに加工された後、切削装置によって分割予定ライン102を切削して個々のデバイス103に分割される。特に従来の研削装置は、ウエーハ100とウエーハ100を研削する研削ユニットとの位置合わせを行なうアライメントを遂行するための撮像ユニットが設けられていないので、表面101に分割予定ライン102及びデバイス103が形成されていても、ウエーハ100の表面101、裏面104を判定することが難しかった。そこで、このような研削装置内に判定装置1を設けて、実施形態1に係る判定方法を実施することにより、ウエーハ100の表面101、裏面104を判定することが可能となる。
【0044】
また、表面101に分割予定ライン102及びデバイス103が形成される前であるために、アライメントを遂行するための撮像ユニットを使用しても表面101、裏面104を判定することが難しいウエーハ100についても、実施形態1に係る判定方法は、ウエーハ100の表面101、裏面104を判定できる。
【0045】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係るウエーハ100-2及び判定方法を図面に基づいて説明する。図9及び図10は、いずれも、実施形態2に係るウエーハ100-2の平坦面119及び判定方法を説明する側断面図である。図9は、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の表面101側が上方に向けられた「表面上方」の場合の上面図であり、図10は、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の裏面104側が上方に向けられた「裏面上方」場合の上面図である。なお、図9及び図10は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
実施形態2に係るウエーハ100-2は、図9及び図10に示すように、実施形態1に係るウエーハ100において、少なくとも3つの平坦面109に代えて、少なくとも1つの平坦面119を形成するように変更したものであり、その他の構成は実施形態1に係るウエーハ100と同様である。
【0047】
実施形態2の平坦面119は、図9及び図10に示すように、ウエーハ100-2の表面101及び裏面104に対して直交する方向から、表面101側においてウエーハ100-2の径方向内側に向かって、裏面104側においてウエーハ100-2の径方向外側に向かって、傾斜角θだけわずかに傾斜して形成される。わずかな傾斜角θは、実施形態2では、例えば、傾斜していることが検出可能な程度に0°より大きく、5°以下の範囲内であり、好ましくは、傾斜していることが検出可能な程度に0°より大きく、1°以下の範囲内である。実施形態2の平坦面119は、実施形態1の平坦面109において、このような傾斜角θだけわずかに傾斜させるように変更したものであり、その他の構成は実施形態1の平坦面109と同様である。
【0048】
実施形態2に係る判定方法を実施する判定装置1-2は、図9及び図10に示すように、実施形態1に係る判定方法を実施する判定装置1において、センサ20に代えて、センサ20-2を備えるように変更し、これに伴い制御ユニット30の処理を変更したものであり、その他の構成は実施形態1に係る判定方法を実施する判定装置1と同様である。
【0049】
実施形態2のセンサ20-2は、実施形態1のセンサ20において、投光部21及び受光部22に代えて、投光部25及び受光部26を有するように変更したものであり、その他の構成は実施形態1のセンサ20と同様である。投光部25は、図9及び図10に示すように、実施形態1の投光部21において、照射する光の光軸の方向を、保持テーブル10が設けられた方向に、水平方向から傾斜角θだけ下方に向けた方向に傾斜させるように変更したものであり、その他の構成は実施形態1の投光部21と同様である。これにより、投光部25から照射する光の光軸は、表面上方のウエーハ100-2の平坦面119と直交するようにされている。受光部26は、投光部25から照射した光が反射された反射光を受光する。センサ20-2は、投光部25と受光部26とが鉛直方向の高さが同じになるように設けられている。
【0050】
センサ20-2は、図9及び図10に示すように、昇降部23により、投光部25及び受光部26と保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の平坦面119とが、互いに投光部25から照射する光の光軸方向(実施形態2では、保持テーブル10が設けられた方向に、水平方向に対して傾斜角θだけ下方に向かう方向)に沿って対向するように高さが調整されてから、すなわち、投光部25から表面上方のウエーハ100-2の外周面取り部107の側面に照射した光が、側面に形成された平坦面119に照射され、平坦面119から反射されて反射光となり、受光部26が受光できるように高さが調整されてから、投光部25より光を照射して受光部26より反射光を受光する平坦面119の検出動作を実施する。
【0051】
センサ20-2は、図9に示すように、このように高さが調整されてから平坦面119の検出動作を実施すると、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の向きが表面上方である場合、投光部25からウエーハ100-2の外周面取り部107の側面に照射した光が、側面に形成された平坦面119に照射され、平坦面119から反射されて反射光となり、受光部26がこの反射光を受光することにより、平坦面119を検出する。一方、センサ20-2は、図10に示すように、このように高さが調整されてから平坦面119の検出動作を実施すると、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の向きが裏面上方である場合、投光部25からウエーハ100-2の外周面取り部107の側面に照射した光が、側面に形成された平坦面119に照射され、平坦面119から反射されて反射光となるが、この反射光が受光部26よりも傾斜角θの2倍だけ下方に向かうため、受光部26がこの反射光を受光しないので、平坦面119を検出しない。センサ20-2は、このように、受光部26が平坦面119からの反射光を受光するか否かによって、平坦面119を検出するか否かとなり、これにより、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の向きが表面上方であるか裏面上方であるかを検出できる。
【0052】
制御ユニット30は、昇降部23により、センサ20-2の高さを調整して、モータ12により、保持テーブル10を上方から見て所定の方向(実施形態2では、例えば時計回り方向)に回転させながら、センサ20-2により平坦面119の検出動作を実施した際に、受光部26が平坦面119からの反射光を受光して平坦面119を検出した場合、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の向きが表面上方であると判定し、受光部26が平坦面119からの反射光を受光しなかったために平坦面119を検出しなかった場合、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の向きが裏面上方であると判定する。
【0053】
実施形態2に係る判定方法は、判定装置1-2によって実施される動作処理の一例であり、実施形態1に係る判定方法において、検出ステップ1001と判定ステップ1002とをそれぞれ変更したものである。
【0054】
実施形態2の検出ステップ1001は、ウエーハ100-2の外周面取り部107の側面に光を照射する投光部25と、側面からの反射光を受光する受光部26と、を有するセンサ20-2によって、ウエーハ100-2の円周方向に沿って、平坦面119を含むウエーハ100-2の外周面取り部107の側面に光を照射し、受光部26が受光する反射光によって平坦面119を検出するステップである。
【0055】
実施形態2の検出ステップ1001は、実施形態1の検出ステップ1001において、保持テーブル10で吸引保持する対象をウエーハ100-2に変更し、制御ユニット30が、昇降部23により、投光部25と受光部26とを、平坦面119と投光部25から照射する光の光軸方向に沿って対向するように高さを調整するように変更したものであり、その他の構成は実施形態1の検出ステップ1001と同様である。実施形態2の検出ステップ1001では、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の向きが表面上方である場合、受光部26が平坦面119からの反射光を受光することによりセンサ20-2が平坦面119を検出し、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の向きが裏面上方である場合、受光部26が平坦面119からの反射光を受光しないことによりセンサ20-2が平坦面119を検出しない。
【0056】
実施形態2の判定ステップ1002は、ウエーハ100-2の外周面取り部107の側面からの反射光によって、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2のどちらの面が上を向いているかを判定するステップである。実施形態2の判定ステップ1002では、制御ユニット30は、実施形態2の検出ステップ1001で受光部26が平坦面119からの反射光を受光することによりセンサ20-2が平坦面119を検出した場合には、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の向きが表面上方であると判定し、実施形態2の検出ステップ1001で受光部26が平坦面119からの反射光を受光しないことによりセンサ20-2が平坦面119を検出しない場合には、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の向きが裏面上方であると判定する。
【0057】
以上のような構成を有する実施形態2に係るウエーハ100-2及び判定方法は、平坦面119が、ウエーハ100-2の表面101及び裏面104に対して直交する方向からわずかに傾斜して、外周面取り部107の領域に形成され、ウエーハ100-2のどちらの面が上になるかによって平坦面119からの反射光の方向が変わるため、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の向きを判定することができる。また、実施形態2に係るウエーハ100及び判定方法は、平坦面119が微小であるため、外周余剰領域106を狭く抑えてデバイス領域105を広く取ることができるので、デバイス103を形成出来る領域を大きくすることができる。このため、実施形態2に係るウエーハ100-2及び判定方法は、結晶方位を示すマークとして微少な平坦面119が形成されている場合でも、ウエーハ100-2の表面101、裏面104を判定できるという作用効果を奏する。
【0058】
また、実施形態2でも、実施形態1と同様に、研削装置のようにアライメントを遂行するための撮像ユニットが設けられていない装置内に判定装置1-2を設けて、実施形態2に係る判定方法を実施することにより、ウエーハ100-2の表面101、裏面104を判定することが可能となる。また、表面101に分割予定ライン102及びデバイス103が形成される前であるために、アライメントを遂行するための撮像ユニットを使用しても表面101、裏面104を判定することが難しいウエーハ100-2についても、実施形態2に係る判定方法は、ウエーハ100-2の表面101、裏面104を判定できる。
【0059】
なお、実施形態2に係る判定方法では、ウエーハ100-2の表面101が上を向いている場合、平坦面119からの反射光を受光し、ウエーハ100-2の裏面104が上を向いている場合、平坦面119からの反射光を受光しないが、本発明ではこれに限定されず、表裏を反対としてもよい、すなわち、ウエーハ100-2の裏面104が上を向いている場合、平坦面119からの反射光を受光し、ウエーハ100-2の表面101が上を向いている場合、平坦面119からの反射光を受光しないとしてもよい。
【0060】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係る判定方法を図面に基づいて説明する。図11は、実施形態3に係る判定方法を説明する側断面図である。なお、図11は、実施形態1,2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0061】
実施形態3に係る判定方法は、実施形態2に係る判定方法と同様に、ウエーハ100-2の表面101、裏面104を判定する方法である。実施形態3に係る判定方法を実施する判定装置1-3は、図11に示すように、実施形態2に係る判定方法を実施する判定装置1-2において、センサ20-2に代えて、センサ20-3を備えるように変更し、これに伴い制御ユニット30の処理を変更したものであり、その他の構成は実施形態2に係る判定方法を実施する判定装置1-2と同様である。
【0062】
センサ20-3は、第一のセンサ20-4と、第二のセンサ20-5と、を含んで構成される。第一のセンサ20-4は、実施形態2のセンサ20-2と同様の構成を有しており、すなわち、実施形態2と同様の投光部25及び受光部26を有する。第二のセンサ20-5は、投光部27と、受光部28と、を有する。投光部27は、図11に示すように、実施形態1の投光部21において、照射する光の光軸の方向を、保持テーブル10が設けられた方向に、水平方向から傾斜角θだけ上方に向けた方向に傾斜させるように変更したものであり、その他の構成は実施形態1の投光部21と同様である。これにより、投光部27から照射する光の光軸は、裏面上方のウエーハ100-2の平坦面119と直交するようにされている。受光部28は、投光部27から照射した光が反射された反射光を受光する。第二のセンサ20-5は、投光部27と受光部28とが鉛直方向の高さが同じになるように設けられている。
【0063】
第一のセンサ20-4は、第二のセンサ20-5よりも上方に設けられている。第一のセンサ20-4と第二のセンサ20-5とは、所定の水平面に対して鉛直方向に対称に配置されている。第一のセンサ20-4が表面上方のウエーハ100-2の平坦面119を検出可能な高さに位置付けられる際に、第二のセンサ20-5が裏面上方のウエーハ100-2の平坦面119を検出可能な高さに位置付けられるように、第一のセンサ20-4と第二のセンサ20-5とは、鉛直方向に互いに所定の距離だけ離間して設けられている。
【0064】
センサ20-3は、図11に示すように、昇降部23により、投光部25及び受光部26と保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の平坦面119とが、互いに投光部25から照射する光の光軸方向に沿って対向するように、なおかつ、投光部27及び受光部28と保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の平坦面119とが、互いに投光部27から照射する光の光軸方向(保持テーブル10が設けられた方向に、水平方向に対して傾斜角θだけ上方に向かう方向)に沿って対向するように、高さが調整されてから、すなわち、投光部25から表面上方のウエーハ100-2の外周面取り部107の側面に照射した光が、側面に形成された平坦面119に照射され、平坦面119から反射されて反射光となり、受光部26が受光できるように、なおかつ、投光部27から裏面上方のウエーハ100-2の外周面取り部107の側面に照射した光が、側面に形成された平坦面119に照射され、平坦面119から反射されて反射光となり、受光部28が受光できるように、高さが調整されてから、投光部25,27より光を照射して受光部26,28より反射光を受光する平坦面119の検出動作を実施する。
【0065】
センサ20-3は、図11に示すように、このように高さが調整されてから平坦面119の検出動作を実施すると、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の向きが表面上方である場合、第一のセンサ20-4が、投光部25からウエーハ100-2の外周面取り部107の側面に照射した光が、側面に形成された平坦面119に照射され、平坦面119から反射されて反射光となり、受光部26がこの反射光を受光することにより、平坦面119を検出する。一方、センサ20-3は、このように高さが調整されてから平坦面119の検出動作を実施すると、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の向きが裏面上方である場合、第二のセンサ20-5が、投光部27からウエーハ100-2の外周面取り部107の側面に照射した光が、側面に形成された平坦面119に照射され、平坦面119から反射されて反射光となり、受光部28がこの反射光を受光することにより、平坦面119を検出する。センサ20-3は、これにより、第一のセンサ20-4と第二のセンサ20-5とのどちらの受光部26,28が平坦面119からの反射光を受光するか、すなわち第一のセンサ20-4と第二のセンサ20-5とのどちらが平坦面119を検出するかにより、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の向きが表面上方であるか裏面上方であるかを検出できる。
【0066】
制御ユニット30は、昇降部23により、センサ20-3の高さを調整して、モータ12により、保持テーブル10を上方から見て所定の方向(実施形態3では、例えば時計回り方向)に回転させながら、センサ20-3により平坦面119の検出動作を実施した際に、受光部26が平坦面119からの反射光を受光して第一のセンサ20-4が平坦面119を検出した場合、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の向きが表面上方であると判定し、受光部28が平坦面119からの反射光を受光して第二のセンサ20-5が平坦面119を検出した場合、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の向きが裏面上方であると判定する。
【0067】
実施形態3に係る判定方法は、判定装置1-3によって実施される動作処理の一例であり、実施形態2に係る判定方法において、検出ステップ1001と判定ステップ1002とをそれぞれ変更したものである。
【0068】
実施形態3の検出ステップ1001は、実施形態2の検出ステップ1001において、センサ20-2に代えてセンサ20-3で平坦面119を検出するように変更したものであり、すなわち、実質的にセンサ20-2と同様の第一のセンサ20-4に加えて、さらに第二のセンサ20-5も使用して平坦面119を検出するように変更したものであり、その他の構成は実施形態2の検出ステップ1001と同様である。実施形態3の検出ステップ1001では、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の向きが表面上方である場合、受光部26が平坦面119からの反射光を受光することにより第一のセンサ20-4が平坦面119を検出し、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の向きが裏面上方である場合、受光部28が平坦面119からの反射光を受光することにより第二のセンサ20-5が平坦面119を検出する。
【0069】
実施形態3の判定ステップ1002は、第一のセンサ20-4と第二のセンサ20-5とのどちらで平坦面119からの反射光を受光したかによってウエーハ100-2の向きを判定するステップである。実施形態3の判定ステップ1002では、制御ユニット30は、実施形態3の検出ステップ1001で受光部26が平坦面119からの反射光を受光して第一のセンサ20-4が平坦面119を検出した場合、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の向きが表面上方であると判定し、実施形態3の検出ステップ1001で受光部28が平坦面119からの反射光を受光して第二のセンサ20-5が平坦面119を検出した場合、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の向きが裏面上方であると判定する。
【0070】
以上のような構成を有する実施形態3に係る判定方法は、実施形態2と同様に、平坦面119が、ウエーハ100-2の表面101及び裏面104に対して直交する方向からわずかに傾斜して、外周面取り部107の領域に形成され、ウエーハ100-2のどちらの面が上になるかによって平坦面119からの反射光の方向が変わるため、保持テーブル10に保持されたウエーハ100-2の向きを判定することができる。また、実施形態3に係る判定方法は、実施形態2と同様に、平坦面119が微小であるため、外周余剰領域106を狭く抑えてデバイス領域105を広く取ることができるので、デバイス103を形成出来る領域を大きくすることができる。このため、実施形態3に係る判定方法は、結晶方位を示すマークとして微少な平坦面119が形成されている場合でも、ウエーハ100-2の表面101、裏面104を判定できるという作用効果を奏する。
【0071】
また、実施形態3でも、実施形態1,2と同様に、研削装置のようにアライメントを遂行するための撮像ユニットが設けられていない装置内に判定装置1-3を設けて、実施形態3に係る判定方法を実施することにより、ウエーハ100-2の表面101、裏面104を判定することが可能となる。また、表面101に分割予定ライン102及びデバイス103が形成される前であるために、アライメントを遂行するための撮像ユニットを使用しても表面101、裏面104を判定することが難しいウエーハ100-2についても、実施形態3に係る判定方法は、ウエーハ100-2の表面101、裏面104を判定できる。
【0072】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0073】
20,20-2,20-3 センサ
20-4 第一のセンサ
20-5 第二のセンサ
21,25,27 投光部
22,26,28 受光部
100,100-2 ウエーハ
101 表面
104 裏面
107 外周面取り部
109,109-1,109-2,109-3,119 平坦面
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