(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114463
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ポリシロキサン接着剤
(51)【国際特許分類】
C09J 183/04 20060101AFI20240816BHJP
C09J 183/05 20060101ALI20240816BHJP
C09J 5/06 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
C09J183/04
C09J183/05
C09J5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020254
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】311002067
【氏名又は名称】JNC株式会社
(72)【発明者】
【氏名】榎木 信雄
(72)【発明者】
【氏名】及川 尚夫
(72)【発明者】
【氏名】矢野 匡一
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 和也
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040EK031
4J040EK041
4J040EK092
4J040GA01
4J040GA05
4J040GA07
4J040GA08
4J040GA11
4J040GA13
4J040GA30
4J040JA02
4J040JB02
4J040KA14
4J040KA16
4J040KA23
4J040KA26
4J040KA29
4J040KA38
4J040KA42
4J040LA01
4J040LA08
4J040MA02
4J040MA04
4J040MA10
4J040MA12
4J040NA16
4J040NA19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】100℃以上の高温下においても高い接着強度を有するポリシロキサン接着剤を提供する。
【解決手段】式(1)で表されるシルセスキオキサン基と、(2)で表される構成単位を有し、重量平均分子量が3,000~1000,000であるシロキサンポリマー(A)を含む、ポリシロキサン接着剤。
Aは特定のシルセスキオキサン基を表し、*は結合部位を表す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるシルセスキオキサン基と、下記式(2)で表される構成単位を有し、重量平均分子量が3,000~1000,000であるシロキサンポリマー(A)を含む、ポリシロキサン接着剤。
R
1は独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5もしくは6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、または炭素数1~40のアルキルを表し、前記炭素数6~20のアリール、前記炭素数5もしくは6のシクロアルキルおよび前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアリールは、少なくとも1つの水素が独立してフッ素または炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく、前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアルキレンは、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH
2-が独立して-O-、-CH=CH-、または炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、前記炭素数1~40のアルキルは、少なくとも1つの水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH
2-が独立して-O-または炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
R
2は独立して、炭素数1~8のアルキル、または炭素数6~20のアリールを表し;
R
3は独立して水酸基、水素、炭素数1~8のアルキル、または炭素数6~20のアリールを表し;
Aは下記構造を表し;
R
4は独立して、炭素数1~40のアルキレンを表し、前記炭素数1~40のアルキレンは、少なくとも1つの-CH
2-が独立して-O-または炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
R
5は、独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、または炭素数1~40のアルキルを表し、前記炭素数6~20のアリール、前記炭素数5~6のシクロアルキルおよび前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアリールは、少なくとも1つの水素が独立してフッ素または炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく、前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアルキレンは、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH
2-が独立して-O-、-CH=CH-、または炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、前記炭素数1~40のアルキルは、少なくとも1つの水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH
2-が独立して-O-または炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
aは独立して正の実数を表し、*は結合部位を表す。
【請求項2】
さらに式(3)および/または(4)で表される構成単位を有する、請求項1に記載のシロキサンポリマー(A)を含む、ポリシロキサン接着剤。
R
6は独立して水酸基、炭素数1~8のアルキル、または炭素数6~20のアリールを表し、bおよびcは独立して正の実数を表し、*は結合部位を表す。
【請求項3】
R5が独立してメチル、フェニル、イソブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリフルオロプロピル、ノナフルオロヘキシルまたはペンタフルオロフェニルである、請求項1に記載のシロキサンポリマー(A)を含む、ポリシロキサン接着剤。
【請求項4】
R1が独立してメチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、フェニルまたはシクロヘキシルであり、R2が独立してメチルまたはフェニルであり、R3が独立してメチルまたはフェニルである、請求項1に記載のシロキサンポリマー(A)を含む、ポリシロキサン接着剤。
【請求項5】
R6が独立してメチルまたはフェニルである、請求項2に記載のシロキサンポリマー(A)を含む、ポリシロキサン接着剤。
【請求項6】
式(1)で表されるシルセスキオキサン基に対する式(2)におけるaの比率が、0.1~1.0であり、式(1)で表されるシルセスキオキサン基に対する式(3)におけるbの比率が2.0~5.0であり、式(1)で表されるシルセスキオキサン基に対する式(4)におけるcの比率が0.5~2.0である、請求項5に記載のシロキサンポリマー(A)を含む、ポリシロキサン接着剤。
【請求項7】
100℃における引張せん断強度が5MPa以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリシロキサン接着剤。
【請求項8】
ガラス基板、金属基板、金属酸化物基板、セラミック基板、プラスチックフィルム、ゴム基板、またはウェハ基板に接着可能である、請求項7に記載のポリシロキサン接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温接着特性に優れたポリシロキサン接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化・高密度化が急速に進んでいる。電子機器に用いられる接着剤組成物は、最終的に接着剤としてパッケージ内に残留することが多いため、接着性、耐熱性、絶縁性等の諸特性を満たすことが要求されている。
【0003】
また、自動車産業など様々な分野で性能や安全性に対する要求が高まる中、それらに使用される2液型ウレタン系接着剤組成物に対して性能の向上が求められている。特に、高温環境下に長時間晒された後にも優れた接着性(耐熱接着性)を示すことが求められている。
【0004】
一般的に、直鎖状のシロキサンポリマーは、表面自由エネルギーの低い基材に対する濡れ性が良好で、耐熱性に優れるものの、オイルまたはワックス状であり、接着力が非常に弱いため、接着剤として用いる場合、シロキサンポリマーの末端を変性し、例えばビニル基とシランによるヒドロシリル化反応、イソシアネートとアルコール性水酸基によるウレタン化反応、湿気硬化等により積極的に架橋することで接着を達成してきた。
【0005】
耐熱接着性に優れたシリコーン系接着剤として、例えばポリイミドシリコーンとエポキシ樹脂からなる接着フィルム(特許文献1)、ラダー構造を有するエポキシ基含有シルセスキオキサン(特許文献2)が提案されている。しかしながら、いずれも耐熱試験後の接着強度が維持されることや接着層にクラックを生じないことが開示されているが、高温環境で接着力が維持する効果については議論されていない。
【0006】
一方、本発明者らは、ダブルデッカー型シルセスキオキサンから誘導したかご型2官能性シルセスキオキサンと直鎖状シロキサンを結合した構造を有するシロキサンポリマーであって、ガラス転移温度が30℃以上200℃以下であるシロキサンポリマーを含む、接着剤を開発した(特許文献3)。この接着剤は架橋剤を使用せず、加温により可逆的に着脱可能なホットメルト型ポリシロキサン接着剤である。しかしながら、加熱によって着脱可能なためシロキサンポリマーのガラス転移温度以上の温度では接着性を維持することができなかった。
【0007】
さらに、かご型2官能性シルセスキオキサンと直鎖状シロキサンを結合した構造を有するシロキサンポリマーに反応性の置換基を導入し、ヒドロシリル化によって架橋させることで不可逆的に接着可能なポリシロキサン接着剤に誘導できることを見出した(特許文献4)。当該ポリシロキサン接着剤は、SUS、アルミニウム、ガラスなど様々な被着体に優れた接着性を示す一方、シロキサンポリマーの構造自体は特許文献2と同様であり、ガラス転移温度以上での接着性の維持が困難であると想定された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平08-027427号公報
【特許文献2】特開2017-226746号公報
【特許文献3】特開2019-044107号公報
【特許文献4】特開2021-178893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、100℃以上の高温下においても高い接着強度を有するポリシロキサン接着剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、100℃以上の高温下においても高い接着強度を有するシロキサンポリマーを創成するため、その方策について鋭意検討を重ねた結果、シロキサンポリマーの側鎖にかご型シルセスキオキサン骨格を導入することで分子運動性が抑制されてシロキサンポリマーのガラス転移温度が高くなり、100℃以上の高温下においても高い接着強度が維持できることを見出した。すなわち、上記課題は本発明によって解決される。
本発明は、以下の構成を含む。
【0011】
[1]
式(1)で表されるシルセスキオキサン基と、下記式(2)で表される構成単位を有し、重量平均分子量が3,000~1000,000であるシロキサンポリマー(A)を含む、ポリシロキサン接着剤。
R
1は独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5もしくは6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、または炭素数1~40のアルキルを表し、前記炭素数6~20のアリール、前記炭素数5もしくは6のシクロアルキルおよび前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアリールは、少なくとも1つの水素が独立してフッ素または炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく、前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアルキレンは、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH
2-が独立して-O-、-CH=CH-、または炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、前記炭素数1~40のアルキルは、少なくとも1つの水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH
2-が独立して-O-または炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
R
2は独立して、炭素数1~8のアルキル、または炭素数6~20のアリールを表し;
R
3は独立して水酸基、水素、炭素数1~8のアルキル、または炭素数6~20のアリールを表し;
Aは下記構造を表し;
R
4は独立して、炭素数1~40のアルキレンを表し、前記炭素数1~40のアルキレンは、少なくとも1つの-CH
2-が独立して-O-または炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
R
5は、独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、または炭素数1~40のアルキルを表し、前記炭素数6~20のアリール、前記炭素数5~6のシクロアルキルおよび前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアリールは、少なくとも1つの水素が独立してフッ素または炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく、前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアルキレンは、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH
2-が独立して-O-、-CH=CH-、または炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、前記炭素数1~40のアルキルは、少なくとも1つの水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH
2-が独立して-O-または炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;
aは独立して正の実数を表し、*は結合部位を表す。
【0012】
[2]
さらに式(3)および/または(4)で表される構成単位を有する、[1]に記載のシロキサンポリマー(A)を含む、ポリシロキサン接着剤。
R
6は独立して水酸基、炭素数1~8のアルキル、または炭素数6~20のアリールを表し、bおよびcは独立して正の実数を表し、*は結合部位を表す。
【0013】
[3]
R5が独立してフェニル、イソブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリフルオロプロピル、ノナフルオロヘキシルまたはペンタフルオロフェニルである、[1]に記載のシロキサンポリマー(A)を含む、ポリシロキサン接着剤。
【0014】
[4]
R1が独立してメチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、フェニルまたはシクロヘキシルであり、R2が独立してメチルまたはフェニルであり、R3が独立してメチルまたはフェニルである、[1]に記載のシロキサンポリマー(A)を含む、ポリシロキサン接着剤。
【0015】
[5]
R6が独立してメチルまたはフェニルである、[2]に記載のシロキサンポリマー(A)を含む、ポリシロキサン接着剤。
【0016】
[6]
式(1)で表されるシルセスキオキサン基に対する式(2)におけるaの比率が、0.1~1.0であり、式(1)で表されるシルセスキオキサン基に対する式(3)におけるbの比率が2.0~5.0であり、式(1)で表されるシルセスキオキサン基に対する式(4)におけるcの比率が0.5~2.0である、[5]に記載のシロキサンポリマー(A)を含む、ポリシロキサン接着剤。
【0017】
[7]
100℃における引張せん断強度が5MPa以上である、[1]~[6]のいずれか一項に記載のポリシロキサン接着剤。
【0018】
[8]
ガラス基板、金属基板、金属酸化物基板、セラミック基板、プラスチックフィルム、またはシリコンウェハに接着可能である、[7]に記載のポリシロキサン接着剤。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、100℃以上の高温下でも高い接着強度を有するポリシロキサン接着剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に何ら限定されない。また、本発明の実施態様は適宜組み合わせることもできる。
【0021】
なお、本明細書で用いる用語は、次のように定義される。アルキルおよびアルキレンは、いずれの場合も直鎖の基であってもよく、分岐された基であってもよい。このことは、これらの基において少なくとも1つの水素がハロゲンや環式の基等と置き換えられた場合も、少なくとも1つの-CH2-が-O-、-CH=CH-、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、フェニレン等で置き換えられた場合も同様である。本発明で用いる「少なくとも1つの」は、位置のみならず個数も任意であることを示す。そして、個数が複数であるときには、それぞれ異なる基で置き換えられてもよい。例えば、アルキルにおいて2個の-CH2-が-O-と-CH=CH-で置き換えられる場合には、アルコキシアルケニルまたはアルケニルオキシアルキルを示すことになる。この場合のアルコキシ、アルケニレン、アルケニルおよびアルキレンのいずれの基も、直鎖の基であってもよく、分岐された基であってもよい。但し、少なくとも1つの-CH2-が-O-で置き換えられると記述するときには、連続する複数の-CH2-が-O-で置き換えられることはない。例えば、-CH2-CH2-が-O-O-に置き換えられることはない。
【0022】
<ポリシロキサン接着剤>
本発明のポリシロキサン接着剤は、シロキサンポリマー(A)を含有し、任意に架橋剤、触媒、充填剤、界面活性剤、酸化防止剤、接着向上剤および溶媒等の成分を含有してもよい。
【0023】
本発明のポリシロキサン接着剤は、無色であっても有色であってもよく、透明であっても非透明であってもよい。また、本発明のポリシロキサン接着剤において、必要に応じて含有してもよい上記各成分は、1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、本発明のポリシロキサン接着剤は、2液型や3液型等の各成分を用意し、使用直前に混ぜ合わせてもよい。以下、本発明のポリシロキサン接着剤を構成する各成分について詳説する。
【0024】
<シロキサンポリマー(A)>
本発明のポリシロキサン接着剤は、式(1)で表されるシルセスキオキサン基と、下記式(2)で表される構成単位を有し、重量平均分子量が3,000~1000,000であるシロキサンポリマー(A)を含む。
【0025】
R1は独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5もしくは6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、または炭素数1~40のアルキルを表し、前記炭素数6~20のアリール、前記炭素数5もしくは6のシクロアルキルおよび前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアリールは、少なくとも1つの水素が独立してフッ素または炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく、前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアルキレンは、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH2-が独立して-O-、-CH=CH-、または炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、前記炭素数1~40のアルキルは、少なくとも1つの水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH2-が独立して-O-または炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、製造の容易さからメチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、フェニルまたはシクロヘキシルが好ましく、メチル、フェニルまたはシクロヘキシルがさらに好ましい。
【0026】
R2は独立して、炭素数1~8のアルキル、または炭素数6~20のアリールを表し、メチルまたはフェニルが好ましい。
【0027】
R3は独立して水酸基、水素、炭素数1~8のアルキル、または炭素数6~20のアリールを表し、メチルまたはフェニルが好ましい。
【0028】
Aは下記構造を表す。
R
4は独立して、炭素数1~40のアルキレンを表し、前記炭素数1~40のアルキレンは、少なくとも1つの-CH
2-が独立して-O-または炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、炭素数1~20のアルキレンが好ましく、炭素数1~15のアルキレンがさらに好ましい。
【0029】
R5は、独立して、炭素数6~20のアリール、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、または炭素数1~40のアルキルを表し、前記炭素数6~20のアリール、前記炭素数5~6のシクロアルキルおよび前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアリールは、少なくとも1つの水素が独立してフッ素または炭素数1~20のアルキルで置き換えられてもよく、前記炭素数7~40のアリールアルキル中のアルキレンは、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH2-が独立して-O-、-CH=CH-または炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、前記炭素数1~40のアルキルは、少なくとも1つの水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH2-が独立して-O-または炭素数5~20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、製造の容易さからフェニル、イソブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリフルオロプロピル、ノナフルオロヘキシルまたはペンタフルオロフェニルが好ましい。
【0030】
式(2)中のaは独立して正の実数を表し、前記シルセスキオキサン基に対するaの比率が0.1~1.0であると、シロキサンポリマー(A)の分子運動を抑制し、ガラス転移温度を高めることができるため好ましい。なお、式(1)、(2)およびA中の*は結合部位を表す。
【0031】
シロキサンポリマー(A)の分子量は、重量平均分子量で3,000~700,000であることが好ましく、3,000~600,000であることがより好ましく、3,000~500,000であるとポリシロキサン接着剤の粘度が上がり過ぎないことから、さらに好ましい。
【0032】
本発明に用いられるシロキサンポリマー(A)は、さらに式(3)および/または(4)で表される構成単位を有することが好ましい。
【0033】
R6は独立して水酸基、炭素数1~8のアルキル、または炭素数6~20のアリールを表し、製造が容易な点でメチルまたはフェニルが好ましい。
【0034】
式(3)中のbおよび式(4)中のcは独立して正の実数を表し、接着層の柔軟性と接着性のバランスがよくなることから、前記シルセスキオキサン基に対するbの比率が2.0~5.0、前記シルセスキオキサン基に対するcの比率が0.5~2.0であることが好ましい。なお、*は結合部位を表す。
【0035】
シロキサンポリマー(A)は、式(E-1)、(E-2)で表される基を末端に有してもよい。
【0036】
RE1は独立して水酸基、炭素数1~8のアルコキシ、水素、炭素数2~40のアルケニル、炭素数1~8のアルキル、または炭素数6~20のアリールを表し、RE2は水酸基または式(E-1)で表される基を表す。
【0037】
R11は、式(1)におけるR1と同様の定義の基を表し、R22はR2と同様の定義の基を表す。
製造の容易さから、RE1は水酸基、メトキシ、エトキシ、水素、ビニル、アリルまたはメチルが好ましく、R11はメチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、フェニルまたはシクロヘキシルが好ましく、R22はメチルまたはフェニルが好ましい。なお、*は結合部位を表す。
【0038】
式(α)に、シロキサンポリマー(A)の一例を示す。
【0039】
式(α)中の、R1、R2、R3、R5、R6は、式(1)、(2)、(3)、(4)に示すR1、R2、R3、R5、R6と同様の定義の基を表し、RE1は式(E-1)に示すRE1と同様の定義の基を表し、a、b、cは式(2)、(3)、(4)に示すa、b、cと同様に定義され、m、nはシロキサンポリマー(A)の重量平均分子量が3,000~1000,000を満たす数値を表す。
【0040】
それぞれの構成単位の結合位置は式(α)に示す順序に限定されず、任意の順番で接合してもよい。
【0041】
シロキサンポリマー(A)は、シロキサンポリマー(A)同士、またはシロキサンポリマー(A)と後述する架橋剤とが化学反応できる基(架橋性官能基という)を有していることが好ましい。架橋性官能基を有するとは、式(α)におけるcが0よりも大きい場合、またはRE1の少なくとも2つ以上が水酸基、炭素数1~8のアルコキシ、水素、または炭素数2~40のアルケニルである場合をいう。化学反応の制御の容易さから、RE1が水酸基、メトキシ、エトキシ、水素、ビニル、またはアリルであることが好ましい。
【0042】
<シロキサンポリマー(A)の製造方法>
シロキサンポリマー(A)を製造する方法は特に限定されないが、例えば、国際公開第2022/030353号パンフレット、国際公開第2022/030354号パンフレット、国際公開第2022/215759号パンフレットに記載の方法によって得ることができる。
【0043】
<架橋剤>
本発明のポリシロキサン接着剤は、シロキサンポリマー(A)と化学的に結合ができる架橋剤を含有してもよい。架橋剤は架橋性基を2つ以上有し、シロキサンポリマー(A)と架橋反応をすることができれば、特に制限されず、直鎖状、分枝状または環状であってもよい。
【0044】
架橋性基としては、例えば、Siに結合した下記式(5)~(11)が挙げられる。
【0045】
上記式(5)中、R7は、炭素数1~8のアルキルを表す。なお、上記各式中の*は結合部位を表す。
【0046】
架橋剤は具体的には、下記式(K-1)~(K-4)の構造単位を1つ以上有する化合物が挙げられる。
【0047】
式(K-1)~(K-3)中、RKは、独立して上記式(5)~(11)で表される基のいずれか、またはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、デシル等のアルキル、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル等のアリール、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル等のアラルキルや、これらの基の水素の一部または全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン、シアノ基等で置き換えたもの、例えばクロロメチル、クロロプロピル、ブロモエチル、トリフロロプロピル、シアノエチルのいずれかが挙げられ、架橋剤中の少なくとも2つ以上のRKは、上記式(5)~(11)で表される基を表す。なお、(K-1)~(K-4)の*は結合部位を表す。
【0048】
これら化合物は、そのまま用いてもよいし、例えば、下記式(K-5)、(K-6)で表される化合物を少なくとも1つ以上用いて、開環重合、加水分解縮合等の公知の方法や国際公開第2014/098189号パンフレットに記載の方法によって得ることもできる。
【0049】
式(K-5)、(K-6)中、RK2は、独立して上記式(5)~(11)で表される基のいずれか、またはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、デシル等のアルキル、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル等のアリール、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル等のアラルキルや、これらの基の水素の一部または全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン、シアノ基等で置き換えたもの、例えばクロロメチル、クロロプロピル、ブロモエチル、トリフロロプロピル、シアノエチルが挙げられ、少なくとも1つ以上のRK2は、上記式(5)~(11)のいずれかを表す。
【0050】
式(K-5)、(K-6)中、dは3~6の整数であり、eは0~9の整数である。
【0051】
架橋剤の例としてより具体的には、1,3-ジメトキシテトラメチルジシロキサン、1,5-ジメトキシヘキサメチルトリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルメトキシシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルメトキシシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルメトキシシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルメトキシシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジメトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルメトキシシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジメトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルメトキシシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジメトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジメトキシシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端メチルジメトキシシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端メチルジメトキシシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端メチルジメトキシシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジメトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジメトキシシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジメトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジメトキシシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジメトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジメトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジメトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジメトキシシロキサン共重合体;
【0052】
1,3-ジエトキシテトラメチルジシロキサン、1,5-ジエトキシヘキサメチルトリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルエトキシシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルエトキシシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルエトキシシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルエトキシシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジエトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルエトキシシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジエトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルエトキシシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジエトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジエトキシシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端メチルジエトキシシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端メチルジエトキシシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端メチルジエトキシシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジエトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジエトキシシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジエトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジエトキシシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジエトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリエトキシシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端トリエトキシシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端トリエトキシシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端トリエトキシシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジエトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリエトキシシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジエトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリエトキシシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジエトキシシロキサン共重合体;
【0053】
1,3-ジヒドロキシテトラメチルジシロキサン、1,5-ジヒドロキシヘキサメチルトリシロキサン、1,5-ジヒドロキシヘキサフェニルトリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジヒドロキシシシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジヒドロキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジヒドロキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジヒドロキシシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端メチルジヒドロキシシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端メチルジヒドロキシシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端メチルジヒドロキシシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジヒドロキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジヒドロキシシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジヒドロキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジヒドロキシシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジヒドロキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリヒドロキシシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端トリヒドロキシシシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端トリヒドロキシシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端トリヒドロキシシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジヒドロキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリヒドロキシシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジヒドロキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリヒドロキシシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジヒドロキシシロキサン共重合体;
【0054】
1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,5-ジビニルヘキサメチルトリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジビニルシシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端メチルジビニルシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端メチルジビニルシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端メチルジビニルシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジビニルシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジビニルシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端トリビニルシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端トリビニルシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端トリビニルシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジビニルシロキサン共重合体;
【0055】
1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジハイドロジェンシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端メチルジハイドロジェンシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端メチルジハイドロジェンシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端メチルジハイドロジェンシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジハイドロジェンシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジハイドロジェンシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリハイドロジェンシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端トリハイドロジェンシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端トリハイドロジェンシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端トリハイドロジェンシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリハイドロジェンシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリハイドロジェンシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジハイドロジェンシロキサン共重合体;
【0056】
1,3,5-トリビニル-1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサンや1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン等のシクロシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,3,5-トリフェニルシクロトリシロキサンや1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5-トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7-テトラフェニルシクロテトラシロキサン等の環状シロキサン;
【0057】
1,3-ジアセトキシテトラメチルジシロキサン、1,5-ジアセトキシヘキサメチルトリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルアセトキシシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルアセトキシシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルアセトキシシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルアセトキシシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジアセトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルアセトキシシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジアセトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルアセトキシシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジアセトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジアセトキシシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端メチルジアセトキシシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端メチルジアセトキシシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端メチルジアセトキシシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジアセトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジアセトキシシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジアセトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジアセトキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジアセトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリアセトキシシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端トリアセトキシシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端トリアセトキシシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端トリアセトキシシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジアセトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリアセトキシシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジアセトキシシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリアセトキシシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジアセトキシシロキサン共重合体;
【0058】
1,3-ジエチルメチルケトキシムテトラメチルジシロキサン、1,5-ジエチルメチルケトキシムヘキサメチルトリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルエチルメチルケトキシムシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルエチルメチルケトキシムシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルエチルメチルケトキシムシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルエチルメチルケトキシムシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジエチルメチルケトキシムシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルエチルメチルケトキシムシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジエチルメチルケトキシムシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルエチルメチルケトキシムシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジエチルメチルケトキシムシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジエチルメチルケトキシムシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端メチルジエチルメチルケトキシムシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端メチルジエチルメチルケトキシムシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端メチルジエチルメチルケトキシムシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジエチルメチルケトキシムシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジエチルメチルケトキシムシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジエチルメチルケトキシムシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジエチルメチルケトキシム封鎖ジフェニルシロキサン・ジエチルメチルケトキシムシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリエチルメチルケトキシムシロキシ封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端トリエチルメチルケトキシムシロキシ封鎖ポリメチルフェニルシロキサン、分子鎖両末端トリエチルメチルケトキシムシロキシ封鎖ポリジフェニルシロキサン、分子鎖両末端トリエチルメチルケトキシムシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・ジエチルメチルケトキシムシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリエチルメチルケトキシムシロキシ封鎖メチルフェニルシロキサン・ジエチルメチルケトキシムシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリエチルメチルケトキシムシロキシ封鎖ジフェニルシロキサン・ジエチルメチルケトキシムシロキサン共重合体;
【0059】
(CH3)3SiO1/2単位と(CH3)2SiO2/2単位とからなる縮合体、(CH3)3SiO1/2単位とCH3SiO3/2単位とからなる縮合体、(CH3)3SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる縮合体、(CH3)3SiO1/2単位と(CH3)2SiO2/2単位とCH3SiO3/2単位とからなる縮合体、(CH3)3SiO1/2単位と(CH3)2SiO2/2単位とSiO4/2単位とからなる縮合体、(CH3)3SiO1/2単位とCH3SiO3/2単位とSiO4/2単位とからなる縮合体、(CH3)3SiO1/2単位と(CH3)2SiO2/2単位とCH3SiO3/2単位とSiO4/2単位とからなる縮合体、(CH3)2SiO2/2単位とCH3SiO3/2単位とからなる縮合体、(CH3)2SiO2/2単位とSiO4/2単位とからなる縮合体、(CH3)2SiO2/2単位とCH3SiO3/2単位とSiO4/2単位とからなる縮合体、CH3SiO3/2単位とSiO4/2単位とからなる縮合体、(CH3)2SiO2/2単位からなる縮合体、CH3SiO3/2単位からなる縮合体等の、アルコキシ残基、および/またはシラノール残基を有する縮合体。これら各例示化合物において、メチルの一部または全部がエチル、プロピル等の他のアルキルやフェニル等のアリールで置き換えられたもの;
【0060】
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、フェニルトリメトシキシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルシランジオール、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ジブトキシジアセトキシシラン、フェニルトリプロピオンオキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシイミノ)シラン、メチルトリス(イソプロペンオキシ)シラン、ビニルトリス(イソプロペンオキシ)シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルシリケート、エチルシリケート、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジメチルテトラアセトキシジシロキサン、オキシムシラン、アセトキシシラン、アセトノキシムシラン、エノキシシラン、ジメチルテトラアセトキシジシロキサン;
【0061】
1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,8-ビス(トリメトキシシリル)オクタン、1,4-ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン、1,4-ビス(トリメトキシシリルメチル)ベンゼン、ジまたはトリアルコキシシラン末端ポリジアルキルシロキサン、ジまたはトリアルコキシシリル末端ポリアリールアルキルシロキサン、ジまたはトリアルコキシシリル末端ポリプロピレンオキサイド、ジまたはトリアセトノキシ末端ポリジアルキルまたはポリアリールアルキル等、主鎖に有機基を含む化合物等を挙げることができる。
【0062】
架橋剤の市販品としては、JNC(株)製サイラプレーンFM11シリーズ、サイラプレーンFM22シリーズ、サイラプレーンFM88シリーズ、サイラプレーンFM99シリーズ、サイラプレーンFM08シリーズ(いずれも商品名)、小西化学工業(株)製SRシリーズ(商品名)、三菱ケミカル(株)製MKCシリケートMS57(商品名)、MKCシリケートMS51(商品名)(テトラメトキシシラン平均5量体)、MKCシリケートMS56、MS56S(いずれも商品名)、コルコート(株)製のメチルシリケート51(テトラメトキシシラン平均4量体)、メチルシリケート53(テトラメトキシシラン平均7量体)、エチルシリケート40(テトラエトキシシラン平均5量体)、エチルシリケート48(テトラエトキシシラン平均10量体)等を挙げることができる。
架橋剤は1種類であっても、2種類以上を混合しても構わない。
架橋剤の含有量としては、(架橋剤中の架橋性基数)/(シロキサンポリマー(A)中の架橋性官能基数)が、0~40が好ましく、0~35がさらに好ましく、0~30が特に好ましい。
【0063】
<触媒>
本発明のポリシロキサン接着剤は、触媒を含有してもよい。触媒は特に限定はなく、例えばシロキサンポリマー(A)どうしを化学反応させる際に、シロキサンポリマー(A)中の架橋性官能基間の化学反応を促進させたり、シロキサンポリマー(A)と架橋剤との化学反応を促進させたりすることができる。
【0064】
例として、Sn、Zr、Ti、Al、N、およびPtのいずれか1つ以上を有する触媒が挙げられる。
【0065】
Snを有する触媒としては、ジラウリン酸ジブチル錫、ジラウリン酸ジオクチル錫、二酢酸ジブチル錫、二酢酸ジオクチル錫、マレイン酸ジブチル錫、マレイン酸ジオクチル錫、2-エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
【0066】
Zrを有する触媒としては、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0067】
Tiを有する触媒としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、ドデシルベンゼンスルホン酸チタン化合物、りん酸エステルチタン錯体、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート等が挙げられる。
【0068】
Alを有する触媒としては、アルミニウムセカンダリーブトキシド、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等が挙げられる。
【0069】
Nを有する触媒としては、トリメチルシリルアミン、ビス(トリメチルシリル)アミン、トリス(トリメチルシリル)アミン、メチルジフェニルシリルアミン、ビス(メチルジフェニルシリル)アミン、トリス(メチルジフェニルシリル)アミン等のシラザン、
ヘキサメチルシクロトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、デカメチルシクロペンタシラザン、トリメチルトリフェニルシクロトリシラザン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシラザン、ペンタメチルペンタフェニルシクロペンタシラザン、ヘキサフェニルシクロトリシラザン、オクタフェニルシクロテトラシラザン、デカフェニルシクロペンタシラザン等の環状シラザン;
【0070】
パーヒドロポリシラザン等の無機ポリシラザン、およびメチルポリシラザン等の有機ポリシラザン;
【0071】
アミノグアニジン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、n-ドデシルグアニジン、メチロールグアニジン、ジメチロールグアニジン、1-フェニルグアニジン、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、トリフェニルグアニジン、1-ベンジル-2,3-ジメチルシアノグアニジン等の有機グアニジン類;
【0072】
2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール等のアルキルイミダゾール類、1-(2-カルバミルエチル)イミダゾール等のカルバミルアルキル置換イミダゾール類、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール等のシアノアルキル置換イミダゾール類、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール等の芳香族置換イミダゾール類、1-ビニル-2-メチルイミダゾール等のアルケニル置換イミダゾール類、1-アリル-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のアリル置換イミダゾール類およびポリイミダゾール等のイミダゾール;
【0073】
ジシアンジアミド、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン‐7(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン‐5、上記DBUの2-エチルヘキサン酸塩、上記DBUのギ酸塩、上記DBUのо-フタル酸塩、上記DBUのp-トルエンスルホン酸塩、上記DBUのフェノールノボラック樹脂塩、上記DBUのトリメリット酸塩;
【0074】
他にも、ポリアミンとカルボニル化合物との反応物であるケチミンが挙げられ、ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,3-ジアミノブタン、2,3-ジアミノブタン、ペンタメチレンジアミン、2,4-ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、p-フェニレンジアミン、p,p′-ビフェニレンジアミン等のジアミン;1,2,3-トリアミノプロパン、トリアミノベンゼン、トリス(2-アミノエチル)アミン、テトラ(アミノメチル)メタン等の多価アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキレンポリアミン;ポリオキシアルキレン系ポリアミンが挙げられ、カルボニル化合物は、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ジエチルアセトアルデヒド、グリオキサール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類;シクロペンタノン、トリメチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、トリメチルシクロヘキサノン等の環状ケトン類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン、ジイソブチルケトン等の脂肪族ケトン類;アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸メチルエチル、ジベンゾイルイルメタン等のβ-ジカルボニル化合物が挙げられる。
【0075】
Ptを有する触媒としては、例えば、白金微粉末、白金黒、白金担持シリカ微粉末、白金担持活性炭、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体等の白金系化合物が挙げられる。このアルケニルシロキサンとしては、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、これらのアルケニルシロキサンのメチルの一部をエチル、フェニル等で置き換えたアルケニルシロキサン、これらのアルケニルシロキサンのビニルをアリル、ヘキセニル等で置き換えたアルケニルシロキサンが例として挙げられる。
【0076】
この中で、ジラウリン酸ジブチル錫、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、白金の1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体、白金の1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン錯体、またはこれらのアルケニルシロキサンのメチルの一部をエチル、フェニル等で置き換えたアルケニルシロキサン、これらのアルケニルシロキサンのビニルをアリル、ヘキセニル等で置き換えたアルケニルシロキサンが好ましい。
【0077】
触媒は1種でも2種以上用いてもよい。
【0078】
触媒の含有量としては、シロキサンポリマー(A)と架橋剤の合計重量100重量部に対して、0.00001~20重量部が好ましく、0.00003~15重量部がさらに好ましく、0.00005~10重量部が特に好ましい。
【0079】
<充填剤>
本発明のポリシロキサン接着剤は、耐熱性、チキソ性等の観点から充填剤を含有してもよい。
【0080】
充填剤としては、特に限定はなく、公知の材料が使用できる。また、充填剤の構造は、アモルファスでもよく、結晶をなしていてもよい。充填剤の組み合わせも限定されない。
【0081】
充填剤としては、例えば金属酸化物を好適に用いることができ、シリカ,アルミナ、酸化イットリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化ジルコニウム等が好適に用いられる。
【0082】
シリカの場合、天然に産する珪石を細粒化(天然シリカ)したものを使用してもよく、産業的に合成されたシリカ(合成シリカ)を使用してもよい。天然シリカの場合、結晶であるため結晶軸を持つ。このため、結晶由来の光学的な特徴を期待することができるものの、比重が合成シリカと比べてやや高いため、硬化性樹脂組成物中での分散に影響する場合がある。また、天然物を粉砕して得る場合、不定形状の粒子であったり、粒度分布が広い材料となったりする場合がある。
【0083】
合成シリカは、湿式合成シリカおよび乾式合成シリカがあるが、本発明では特に使用の限定はない。ただし、合成シリカでは製法に関わらず結晶水を持つ場合があり、この結晶水が本発明の硬化性樹脂組成物若しくは硬化物、または電子部品等に何らかの影響を与える可能性がある場合は、結晶水数も考慮して選択することが好ましい。
【0084】
合成シリカは、結晶ではなくアモルファスであるため、結晶軸がなく、結晶由来の光学的な特徴はあまり期待できない。しかしながら、粒度分布の制御のほか、粒子径を極めて小さくできる等の特徴を活かすことができる。特に、ヒュームドシリカはナノオーダーの粒子径であり、チキソ性に優れている。
【0085】
また、一般にシリカは表面積が大きく、かつ表面に存在するシラノールの効果により親水性の材料(親水性シリカ)であるが、化学修飾により疎水性シリカとしてもよい。
【0086】
充填剤の含有量は、シロキサンポリマー(A)100重量部に対し、1~70重量部であることが好ましく、1~65重量部がより好ましく、1~60重量部がさらに好ましい。
【0087】
<界面活性剤>
本発明のポリシロキサン接着剤は、被着材への塗れ性を制御する目的で、界面活性剤を含有してもよい。
【0088】
界面活性剤の具体例は、ポリフローNo.45、ポリフローKL-245、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(以上商品名、共栄社化学工業(株)製)、ディスパーベイク(Disperbyk)161、ディスパーベイク162、ディスパーベイク163、ディスパーベイク164、ディスパーベイク166、ディスパーベイク170、ディスパーベイク180、ディスパーベイク181、ディスパーベイク182、BYK-300、BYK-306、BYK-310、BYK-320、BYK-330、BYK-342、BYK-344、BYK-346(以上商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製)、KP-341、KP-358、KP-368、KF-96-50CS、KF-50-100CS(以上商品名、信越化学工業(株)製)、サーフロンSC-101、サーフロンKH-40(以上商品名、セイミケミカル(株)製)、フタージェント222F、フタージェント251、FTX-218(以上商品名、(株)ネオス製)、TEGO Rad2100、2200N、2250、2500、2600、2700(以上商品名、エボニック ジャパン(株)製)EFTOP EF-351、EFTOP EF-352、EFTOP EF-601、EFTOP EF-801、EFTOP EF-802(以上商品名、三菱マテリアル(株)製)、メガファックF-171、メガファックF-177、メガファックF-475、メガファックF-477、メガファックF-556、メガファックR-08、メガファックR-30(以上商品名、DIC(株)製)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0089】
界面活性剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
【0090】
界面活性剤の含有量は、シロキサンポリマー(A)100重量部に対し、好ましくは0~3重量部であると、被着材への塗れ性が優れる傾向にある。
【0091】
<酸化防止剤>
本発明のポリシロキサン接着剤は、得られる接着層の酸化を防止するため酸化防止剤を含有してもよい。
【0092】
酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール-ビス-[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル等のヒンダードフェノール化合物;n-ブチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミノメチルメタクリレート等のアミン化合物;ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート等の硫黄系化合物;トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2-t-ブチル-6-メチル-4-{2-(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト、オキサホスファフェナントレンオキサイド類(9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-デシロキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド)等のりん系化合物が挙げられる。
【0093】
酸化防止剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
【0094】
酸化防止剤の含有量は、シロキサンポリマー(A)100重量部に対し、0~10重量部であると好ましい。
【0095】
<接着向上剤>
本発明のポリシロキサン接着剤は、シロキサンポリマー(A)の接着性を損なうことなく、接着性をさらに高める目的で接着向上剤を含有してもよい。
【0096】
接着向上剤は、シロキサンポリマー(A)や架橋剤と化学反応により結合する基を有していてもよい。接着性を高めつつ、本発明のポリシロキサン接着剤中のシロキサンポリマー(A)や任意に含まれる架橋剤と化学的に結合するため強固な接着層が得られる。この場合、接着向上剤は架橋剤の機能を兼ねてもよい。
【0097】
接着向上剤は、構造中に水酸基、Siに結合した水素、Siに結合したアルコキシおよびエポキシを有する有機ケイ素化合物が好ましく、少なくともSiに結合したアルコキシを1つ以上有するものであることがより好ましい。このような化合物は、本発明のポリシロキサン接着剤中の他の成分と架橋反応しつつ、本発明のポリシロキサン接着剤が積層される基材等の成分と結合反応することができ、得られる硬化物の接着性を高めることができる。さらに、接着付与剤は、耐熱性などの点から、シルセスキオキサン構造を有するものであることがより好ましい。このような好適な接着付与剤としては、式(Z)で表される化合物を挙げることができる。なお、上記の水酸基、Siに結合した水素、Siに結合したアルコキシを有する接着付与剤は、架橋剤としての機能を兼ねてもよい。
【0098】
式(Z)中、RG1は独立して、炭素数1~4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである。Zは独立して、式(Z1)、式(Z2)、式(Z31)、式(Z32)、式(Z33)、または式(Z41)で表される基である。式(Z)で表される化合物1分子あたりの式(Z1)で表される基の平均数をz1、式(Z2)で表される基の平均数をz2、式(Z31)、式(Z32)、または式(Z33)で表される基の平均数をz3、式(Z41)で表される基の平均数をz4としたとき、z1+2z2+z3+z4=4w、0.5w≦z1≦3w、0.25w≦z2≦w、0.1w≦z3≦2w、かつ0≦z4≦wを満たす。wは、1~100を満たす平均値である。
【0099】
R
G1としては、アルキルが好ましく、メチルがより好ましい。z
1、z
2、z
3、およびz
4は、それぞれ、w≦z
1≦2w、0.3w≦z
2≦w、0.3w≦z
3≦w、および0.3w≦z
4≦wであることが好ましい。wの好ましい下限は、3であってよく、5であってもよい。また、wの好ましい上限は、30であってよく、15であってもよい。
【0100】
式(Z1)、式(Z2)、式(Z31)、式(Z32)、式(Z33)、および式(Z41)中、*は、結合部位を表す。
【0101】
式(Z2)中、RG2は独立して、炭素数1~4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルである。gは、1~20を満たす平均値である。RG2としては、アルキルが好ましく、メチルがより好ましい。
【0102】
式(Z41)中、RG3は独立して、メチル、エチル、ブチル、またはイソプロピルである。RG3としては、メチルが好ましい。
【0103】
接着向上剤の含有量としては、本発明に用いられるシロキサンポリマー(A)100重量部に対し、0.1~10重量部が好ましく、0.3~9重量部がより好ましく、0.5~8重量部がさらに好ましい。
【0104】
<溶媒>
本発明のポリシロキサン接着剤は、取り扱いの容易さから溶媒を含有してもよい。
【0105】
本発明に用いることができる溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール(IPA)、ブタノール、t-ブチルアルコール、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル、キシイソ酪酸メチル、アセチルアセトン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、シクロヘキサノール、1,4-ブタンジオール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、アニソール、ベンズアルデヒド、ベンゾニトリル、1,3-ジメトキシベンゼン、アセトフェノン、4’-メトキシアセトフェノン、4’-エトキシアセトフェノン、フェニルアセテート、3-メトキシフェノール、1,2-メチレンジオキシベンゼン、2-フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、1,2,4-トリメトキシベンゼン、2’-ヒドロキシアセトフェノン、1,4-ジエトキシベンゼン、1,3,5-トリメトキシベンゼン、安息香酸-t-ブチル、ベンジルアルコール、1,4-ジメトキシベンゼン、1,2,3-トリメトキシベンゼン、2-メトキシトルエン、3-メトキシトルエン、4-メトキシトルエン、2,5-ジメチルアニソール、チオアニソール、4-エチルアニソール、t-ブチルベンゼン、4-t-ブチルトルエン、2-フェニルアニソール、t-アネトール、3,4-ジメトキシトルエン、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
【0106】
これらの中でも、シロキサンポリマー(A)の溶解性の観点から、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、アセチルアセトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、アニソール、ベンズアルデヒド、ベンゾニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、1,3-ジメトキシベンゼン、アセトフェノン、4’-メトキシアセトフェノン、4’-エトキシアセトフェノン、フェニルアセテート、3-メトキシフェノール、1,2-メチレンジオキシベンゼン、2-フェノキシエタノール、1,2,4-トリメトキシベンゼン、2’-ヒドロキシアセトフェノン、1,4-ジエトキシベンゼン、1,3,5-トリメトキシベンゼン、ベンジルアルコール、1,4-ジメトキシベンゼン、1,4-ジエトキシベンゼン、1,2,3-トリメトキシベンゼン、2-メトキシトルエン、3-メトキシトルエン、4-メトキシトルエン、2,5-ジメチルアニソール、チオアニソール、4-エチルアニソール、t-ブチルベンゼン、4-t-ブチルトルエン、2-フェニルアニソール、3,4-ジメトキシトルエン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、およびジメチルスルホキシドが好ましい。
【0107】
溶媒は1種または2種以上混合して用いることができる。
【0108】
溶媒の含有量は、シロキサンポリマー(A)100重量部に対し、0~900重量部が好ましく、0~400重量部であるとより好ましい。
【0109】
<調製方法>
本発明のポリシロキサン接着剤の調製方法は特に限定されず、公知の混合機を用いて各成分を混合する方法により調製することができる。
【0110】
例えば、スターラー、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリウムミキサー、ニーダー、三本ロールまたはビーズミルの混合機を用いて、常温または加温下で、シロキサンポリマー(A)、および必要に応じて架橋剤、触媒、充填剤、界面活性剤、酸化防止剤、接着向上剤および溶媒等の各所定量を混合する方法が挙げられる。
【0111】
本発明のポリシロキサン接着剤において、必要に応じて含有してもよい上記各成分は、1種単独または2種以上を混合して用いることができる。また、本発明のポリシロキサン接着剤は、2液型や3液型等の各成分を用意し、使用直前に混ぜ合わせてもよい。
【0112】
<使用方法>
本発明のポリシロキサン接着剤の使用方法を以下に説明する。
【0113】
ポリシロキサン接着剤の使用方法の一態様は、第2の被着材への第1の被着材の接着方法であって、
(i)第1の被着材にポリシロキサン接着剤を塗布する工程と、
(ii)第2の被着材を接触させる工程と、
(iii)第1、第2の被着材を接着させる工程と、を含む。
【0114】
(i)第1の被着材にポリシロキサン接着剤を塗布する工程
本発明のポリシロキサン接着剤は、例えばディスペンサー、スピンコーター、アプリケーターの装置を用いて、第1の被着材に塗布することができる。
【0115】
(ii)第2の被着材を接触させる工程
(i)工程に続いて、溶媒を含む場合は必要に応じて乾燥させた後に、ポリシロキサン接着剤に第2の被着材が接触すれば、接触方法は特に限定されない。この工程では圧力を加えてもよく、例えば、ガラスの貼り合わせに用いる場合、圧力0.01MPa~0.1MPaの条件で圧着すればよい。
【0116】
(iii)第1、第2の被着材を接着させる工程
(ii)工程に続いて、被着材の耐熱温度やポリシロキサン接着剤の反応温度に応じて、加熱することで第1、第2の被着材を接着させることができる。
【0117】
本発明のポリシロキサン接着剤の使用方法としては、(i)~(iii)を同時に行ってもよい。例えば、第1の被着材としてガラス基板を用い、その上にポリシロキサン接着剤を塗布し、100℃で1時間加熱し、その上に第2の被着材としてガラス基板を載せて、250℃で1時間、オーブン中で加熱する方法が挙げられる。
【0118】
<被着材>
被着材としては、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等のガラスおよび疎水化ガラス;シリコンウェハおよび疎水化シリコンウェハ、SiC、GaAs、GaN等のウェハ;アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板等の金属;ITO等の金属酸化物;ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド、トリアセテート、ジアセテート等の合成樹脂製シート、フィルム:ノルボルネン系樹脂を含むシクロオレフィン系樹脂(商品名:ゼオノア、ゼオネックス、日本ゼオン(株)製、商品名:アートン、JSR(株)製)、メタクリルスチレン、ポリサルフォン、脂環式アクリル樹脂、ポリアリレート等の光学用途に用いる透明樹脂基板;セラミック板;ウレタンゴム、スチレンゴム等が挙げられる。
【0119】
これらの被着材は前処理をされていてもよく、前処理の例には、シランカップリング剤等による薬品処理、サンドブラスト処理、コロナ放電処理、紫外線処理、プラズマ処理、イオンプレーティング法、スパッタリング法、気相反応法、真空蒸着法等が含まれる。
【0120】
<接着層の厚さ>
本発明のポリシロキサン接着剤よりなる接着層の厚みは、用途に応じて調整が可能であるが、0.001mm~1mmが好ましく、0.01mm~0.5mmがより好ましく、0.05~0.3mmがさらに好ましい。
【0121】
<本発明の接着剤の特性>
本発明の接着剤は、100℃以上の高温下においても高い接着特性を有する。例えば、本発明の接着剤を使用して接着されたSUS304基材は、100℃での引張せん断強度が5MPa以上、200℃での引っ張りせん断強度が1MPa以上である。
【0122】
<用途>
本発明の接着剤は、例えば、自動車等の車両の構造用、電子材料用、光学部品接合用が挙げられる。電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、ACF、ACP、NCF、NCP等の実装用接着剤等が挙げられる。
【実施例0123】
以下において、実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明するが、これらの記載により本発明の範囲が限定されることはない。
実施例における各測定は、以下のように行った。
【0124】
<数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)>
測定には、日本分光(株)製の高速液体クロマトグラフシステム(AS-4050、PU-4180、CO-4060、RI-4030)を用いた。試料はTHFに溶解して、0.5重量%の溶液となるように調製し、この溶液100μLを試料室に導入した。以下の条件で測定し、ポリスチレン換算することにより、数平均分子量および重量平均分子量を求めた。
カラム:Shodex KF805L[昭和電工(株)製]
カラム:Shodex KF804L[昭和電工(株)製]
(直列に2本接続)
カラム温度:40℃
検出器:RI
溶離液:THF
溶離液流速:1.0mL毎分
【0125】
<NMR(核磁気共鳴スペクトル)>
測定には、日本電子(株)製のJNM-ECZ500Rを用いた。
1H-NMRの測定では、試料を重アセトン(和光純薬工業(株)製)等の重水素化溶媒に溶解させ、室温、500MHz、積算回数16回の条件で測定した。
29Si-NMRの測定では、試料をテトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)に溶解させ、テトラメチルシラン(99.9+%,NMRグレード)(fisher scientific社製)を添加し、室温、500MHz、積算回数800回の条件で測定した。
1H-NMRの積分比、および
29Si-NMRの積分比より、後述する式(α1)式(β1)および(β2)中の式(1α)に示すシルセスキオキサン基に対する、(2α)、(3α)、(4α)に示す構成単位の成分比率a’、b’,c’を決定した。
式(2α)におけるAαは下記構造を表す。なお、式(1α)、(2α)、(3α)、(4α)およびAα中の*は結合部位を表す。
【0126】
<DMA(動的粘弾性測定)>
測定には、(株)日立ハイテクサイエンス製のDMS6100を用いた。-60℃から300℃まで昇温速度5℃/minで昇温し、サンプル形状は幅10mm、長さ5mm、測定周波数1Hzの条件で測定した。
また、200℃における引張貯蔵弾性率E’から、下記の式を用いて架橋密度を求めた。
n = E’/3RT
n:架橋密度[mmol/cc]
E’:引張貯蔵弾性率[Pa]
R:気体定数[8.31×J/mol・K] T:絶対温度[K]
【0127】
<引張せん断接着強度>
測定には、(株)島津製作所製のオートグラフAGS-Xおよび恒温槽TCR1W-200を用いた。接着面積が25mm×12.5mmになるよう作製した接着試験片を、引張速度10mm/min、つかみ具間距離112.5mmで、20℃、100℃、150℃、200℃の各温度で測定した。
【0128】
[合成例]
国際公開第2022/030353号パンフレット、国際公開第2022/030354号パンフレットに記載の方法で、下記式(α1)に示すシロキサンポリマー(α-1)、(α-2)、(α-3)、(α-4)、(α-5)を合成した。
【0129】
[比較合成例]
特開2010-116464号公報記載の方法にて、下記式(β1)に示すシロキサンポリマー(β-1)を合成した。また、国際公開第2022/030353号パンフレットに記載の方法で、下記式(β2)に示すシロキサンポリマー(β-2)を合成した。
【0130】
合成例で合成したシロキサンポリマー(α-1)、(α-2)、(α-3)の重量平均分子量(Mw)、多分散度(Mw/Mn)および、a’、b’、c’の関係、比較合成例で合成したポリマー(β-1)、(β-2)の量平均分子量(Mw)、多分散度(Mw/Mn)および、b’、c’の関係を表1に示す。
【表1】
【0131】
以下に、ポリシロキサン接着剤の調製に用いた各成分、および引張せん断接着強度評価に用いた被着材を示す。
<架橋剤>
MS51:テトラメトキシシランの部分縮合物(三菱ケミカル(株)製商品名「MKC(登録商標)シリケート MS51」)
<触媒>
ZC-150:ジルコニウムテトラアセチルアセトネート(マツモトファインケミカル(株)製商品名「オルガチックスZC-150」)
Pt-VTSC-3.0X:白金の1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体(ユミコアジャパン(株)製)
<溶媒>
アニソール(富士フイルム和光純薬(株)製)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(富士フイルム和光純薬(株)製)
<被着材>
SUS304-2B:SUS304基材((株)スタンダードテストピース製)
C1020P-1/2H:銅基材((株)スタンダードテストピース製)
A1050P-H24:アルミニウム基材((株)スタンダードテストピース製)
SPCC-SD:ステンレス基材((株)スタンダードテストピース製)
【0132】
[実施例1~5および比較例1、2]
<ポリシロキサン接着剤組成物1~5およびC1、C2の調製>
各成分を表2に示す重量で均一に混合・溶解させ、ポリシロキサン接着剤組成物1~5およびC1、C2を調製した。
【0133】
<DMA測定用自立膜の作製>
自立膜は、フッ素樹脂が塗布された10cm×10cm角のガラス基板上に塗布、250℃以上の温度で3時間以上加熱後、放冷した後ガラス基板からはがし、膜厚が100μmの自立膜を得た。
【0134】
<引張せん断接着強度測定用接着試験片の作製>
第1の被着材をIPAで洗浄、UV/O3処理(出力20mW/cm2)を10分間行い、表面を洗浄した。洗浄後の表面にポリシロキサン接着剤組成物を塗布、乾燥後の膜厚が50μm、塗布面積が12.5mm×25mmになるようアプリケーターを用いて調整した。その後、100℃のオーブンで1時間乾燥し、第1の被着材と同様に洗浄した第2の被着材を塗布面に重ね合わせてクリップで固定し、250℃のオーブンで3時間かけて硬化および接着させることで、接着試験片を得た。
【0135】
表3に、DMA測定結果、および第1、第2の被着材としてSUS基材を用いた各温度での引張せん断接着強度の測定結果を示す。
【0136】
表4に、DMA測定結果、および第1、第2の被着材としてSUS基材、銅基材、アルミニウム基材、ステンレス基材を、第1の被着材にSUS基材を用い、第2の被着材に銅基材、アルミニウム基材、ステンレス基材を用いた異種基材の引張せん断接着強度の測定結果を示す。
【0137】
【0138】
【0139】
表3に示す通り、本発明のポリシロキサン接着剤は100℃における接着強度が5MPa以上、200℃における接着強度が1MPa以上であり、高温環境であっても高い接着強度を有している。
比較例2の結果の通り、ガラス転移温度、架橋密度が高くても、本発明のポリシロキサン接着剤に比べて高温下での接着強度が低いことから、架橋密度を高めることよりも、ポリマーの側鎖を修飾して運動性を抑制することにより高温下での接着強度を向上できることが分かる。
【0140】
【0141】
表4に示す通り、本発明のポリシロキサン接着剤は、異なる被着材に対しても高い接着強度を有しており、異種材接合用の接着剤としても有用であることが分かる。
本発明のポリシロキサン接着剤は、100℃以上の高温下においても高い接着性を有するほか、異なる被着材どうしに対しても高い接着性を有することから、高温プロセスが必要なエレクトロニクス分野や異種材接合が必要な自動車用接着剤分野等で好適に使用できる。例えば、自動車用接着剤分野では、自動車等の車両の構造用、電子材料用、光学部品接合用が挙げられる。エレクトロニクス分野における電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、ACF、ACP、NCF、NCP等の実装用接着剤等が挙げられる。