(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114477
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】行動推定装置
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240816BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020273
(22)【出願日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 洋子
(72)【発明者】
【氏名】的野 晃整
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 盛義
(72)【発明者】
【氏名】岡本 和也
(72)【発明者】
【氏名】松浦 慶伍
(72)【発明者】
【氏名】小出 幸和
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301BB07
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301FF06
5H301FF11
5H301FF15
5H301GG07
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】移動体が規則を実施するか否かを判定すること。
【解決手段】制御装置は、領域における移動体の位置を示す位置情報を取得する。制御装置は、移動体の行動を推定する。制御装置は、移動体が規則領域に位置している場合、当該規則領域に設定された規則を移動体が実施するか否かを移動体の行動を推定した結果に基づき判定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の行動を推定することによって前記移動体が規則を実施するかを判定する行動推定装置であって、
前記移動体が行動する領域を表し、前記領域の一部である規則領域に前記移動体が実施する前記規則を設定した意味地図データを記憶する記憶装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記領域における前記移動体の位置を示す位置情報を取得し、
前記移動体の行動を推定し、
前記移動体が前記規則領域に位置している場合、当該規則領域に設定された規則を前記移動体が実施するか否かを前記移動体の行動を推定した結果に基づき判定する、行動推定装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
経過時間に対する前記移動体の位置情報の変化から前記移動体の移動速度を推定し、
前記移動体の移動速度を基に、前記規則領域に設定された移動速度に関する規則を前記移動体が実施するか否かを判定する、請求項1に記載の行動推定装置。
【請求項3】
前記規則は、前記移動体である車両の移動速度の上限値以下での移動を含み、
前記制御装置は、前記移動速度の上限値以下での移動の実施がされていない場合、前記移動速度の上限値以下での移動の実施がされるように前記車両に対して指令を送信する、請求項1又は請求項2に記載の行動推定装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記移動体の行動を推定することによって、前記移動体の行動を表す動作ラベルを設定し、
前記制御装置は、前記移動体が前記規則領域に位置している場合、当該規則領域に設定された規則と前記動作ラベルによって表される前記移動体の行動とが一致する場合、前記規則を前記移動体が実施すると判定する、請求項1又は請求項2に記載の行動推定装置。
【請求項5】
前記移動体は車両であり、
前記制御装置は、
前記車両が備える操作部材の操作状態を取得し、
前記操作状態から前記規則領域に設定された規則を前記移動体が実施するか否かを判定する、請求項1に記載の行動推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、行動推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の物流管理システムは、搬送機器の位置情報を取得する。搬送機器は、例えば、物流倉庫内で移動するフォークリフトである。物流管理システムは、搬送機器から取得した位置情報に基づいて物流倉庫内の物流状況を表示部に表示させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物流倉庫には、物流倉庫で作業を行う搬送機器が実施する規則が定められている場合がある。搬送機器が規則を実施するか否かを判定することが求められる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する行動推定装置は、移動体の行動を推定することによって前記移動体が規則を実施するかを判定する行動推定装置であって、前記移動体が行動する領域を表し、前記領域の一部である規則領域に前記移動体が実施する前記規則を設定した意味地図データを記憶する記憶装置と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記領域における前記移動体の位置を示す位置情報を取得し、前記移動体の行動を推定し、前記移動体が前記規則領域に位置している場合、当該規則領域に設定された規則を前記移動体が実施するか否かを前記移動体の行動を推定した結果に基づき判定する。
【0006】
制御装置は、位置情報から移動体が規則領域に位置しているか否かを判定できる。制御装置は、移動体が規則領域に位置している場合、当該規則領域に設定された規則を意味地図データから認識することができる。制御装置は、推定した移動体の行動と、意味地図データから認識した規則とに基づき、移動体が規則を実施するか否かを判定できる。
【0007】
上記行動推定装置について、前記制御装置は、経過時間に対する前記移動体の位置情報の変化から前記移動体の移動速度を推定し、前記移動体の移動速度を基に、前記規則領域に設定された移動速度に関する規則を前記移動体が実施するか否かを判定してもよい。
【0008】
上記行動推定装置について、前記規則は、前記移動体である車両の移動速度の上限値以下での移動を含み、前記制御装置は、前記移動速度の上限値以下での移動の実施がされていない場合、前記移動速度の上限値以下での移動の実施がされるように前記車両に対して指令を送信してもよい。
【0009】
上記行動推定装置について、前記制御装置は、前記移動体の行動を推定することによって、前記移動体の行動を表す動作ラベルを設定し、前記制御装置は、前記移動体が前記規則領域に位置している場合、当該規則領域に設定された規則と前記動作ラベルによって表される前記移動体の行動とが一致する場合、前記規則を前記移動体が実施すると判定してもよい。
【0010】
上記行動推定装置について、前記移動体は車両であり、前記制御装置は、前記車両が備える操作部材の操作状態を取得し、前記操作状態から前記規則領域に設定された規則を前記移動体が実施するか否かを判定してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、移動体が規則を実施するか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図1の領域で行動する車両の概略構成図である。
【
図3】
図2の制御装置が実行する規則実施判定制御を示すフローチャートである。
【
図4】
図3の実施表示で表示部に表示される表示内容を示す図である。
【
図5】
図3の未実施表示で表示部に表示される表示内容を示す図である。
【
図6】第2実施形態の規則実施判定制御を示すフローチャートである。
【
図7】
図6の実施表示で表示部に表示される表示内容を示す図である。
【
図8】規則実施判定制御の変更例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
行動推定装置の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、規則実施評価装置10は、少なくとも1つの車両20と、行動推定装置60と、を備える。車両20は、車両20に搭乗した人P1によって操作されることで動作する。車両20は、例えば、フォークリフトである。車両20は、移動体の一例である。
【0014】
<車両>
車両20は、予め定められた領域A11で行動する。行動は、停止と、移動と、作業と、を含む。車両20がフォークリフトであれば、作業は、例えば、荷役装置(図示せず)の昇降動作やティルト動作といった荷役作業である。領域A11は、例えば、工場、物流倉庫、港湾、商業施設、又は公共施設である。領域A11には、構造物O1,O2が存在している。構造物O1,O2には、マーカーM1が設けられている。マーカーM1は、例えば、AR(Augmented Reality)マーカーである。
【0015】
領域A11は、少なくとも1つの規則領域A1,A2,A3,A4を備える。規則領域A1,A2,A3,A4には、車両20が実施する規則が設定されている。本実施形態において、規則領域A1,A2,A3,A4は、速度制限領域A1,A2と、一時停止領域A3と、警告領域A4と、を含む。速度制限領域A1,A2は、規則として車両20の移動速度の上限値が設定された領域である。速度制限領域A1,A2では、規則として設定された移動速度の上限値を車両20の移動速度が上回らないようにすることが要求される。速度制限領域A1と速度制限領域A2とは、設定された移動速度の上限値が異なっていてもよい。一時停止領域A3は、規則として車両20の一時停止が設定された領域である。一時停止領域A3では、車両20を一時停止させることが要求される。警告領域A4は、規則として音を発することが設定された領域である。警告領域A4では、音を発することによって車両20の周囲に警告を行うことが要求される。
【0016】
図2に示すように、車両20は、車両制御装置21を備える。車両制御装置21は、プロセッサ22と、記憶部23と、を備える。プロセッサ22は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)である。記憶部23は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部23は、処理をプロセッサ22に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部23、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。車両制御装置21は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である車両制御装置21は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0017】
車両20は、走行モータ24を備える。走行モータ24は、車両20を走行させるためのモータである。走行モータ24の駆動によって車両20は走行する。
車両20は、モータドライバ25を備える。モータドライバ25は、走行モータ24の制御を行う。例えば、モータドライバ25は、車両制御装置21からの指令に応じて走行モータ24を制御する。これにより、車両20の速度が調整される。
【0018】
車両20は、衛星航法装置31を備える。衛星航法装置31は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星から送信される衛星信号を受信する。衛星航法装置31は、衛星信号を用いて位置を測定する。
【0019】
車両20は、撮像装置32を備える。撮像装置32は、車両20の周囲を撮像するように配置されている。撮像装置32は、例えば、デジタルカメラである。撮像装置32は、撮像素子を備える。撮像素子は、例えば、CCDイメージセンサ(Charge Coupled Device image sensor)、又はCMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor image sensor)である。撮像装置32は、所定のフレームレートで撮像を行って画像データを生成する。
【0020】
車両20は、補助記憶装置33を備える。補助記憶装置33は、データを書き換え可能な不揮発性記憶装置である。補助記憶装置33は、例えば、ハードディスクドライブ、又はソリッドステートドライブである。
【0021】
補助記憶装置33は、地図データMD1を記憶している。地図データMD1は、領域A11の構造を地図座標系の座標で表したデータである。地図座標系は、2次元座標系であってもよいし、3次元座標系であってもよい。地図座標系は、車両20が用いられる領域A11の任意の一点を原点とする座標系である。
【0022】
車両20は、ホーン41を備える。ホーン41は、人P1に操作されることによって鳴動する。
車両20は、通信装置51を備える。通信装置51は、通信制御部やポート等を備え、通信網を通じて情報の送受信を行うことができるネットワーク機器である。
【0023】
車両制御装置21は、車両20の自己位置を推定する。自己位置とは、地図座標系での車両20の一点を示す座標である。車両20の一点は任意であるが、例えば、車両20の水平方向での中心位置を挙げることができる。
【0024】
車両制御装置21は、衛星航法装置31の測定結果によって自己位置を推定してもよい。例えば、衛星航法装置31によって経緯度を測定することができる。地図座標系を経緯度によって規定することによって車両制御装置21は、衛星航法装置31によって自己位置を推定できる。
【0025】
車両制御装置21は、衛星航法装置31と撮像装置32との組み合わせによって自己位置を推定してもよい。例えば、マーカーM1に地図座標系における座標を対応付けておく。そして、撮像装置32によってマーカーM1が撮像されると、車両制御装置21がマーカーM1に対応付けられた地図座標系の座標を取得できるようにしてもよい。車両制御装置21は、撮像装置32によって撮像されたマーカーM1のサイズ、及び角度に基づいて車両20とマーカーM1との相対位置、及び車両20とマーカーM1との相対姿勢を算出する。車両制御装置21は、マーカーM1に対応付けられた地図座標系の座標、車両20とマーカーM1との相対位置、及び車両20とマーカーM1との相対姿勢から自己位置を推定する。そして、車両制御装置21は、衛星航法装置31の測定結果によって推定した自己位置を、撮像装置32を用いて推定した自己位置によって補正することで自己位置を推定してもよい。
【0026】
車両制御装置21は、所定の間隔で通信装置51から行動情報を送信する。行動情報は、推定した自己位置を示す位置情報、当該自己位置を取得した時刻を示す時刻情報、及び車両20のIDコードを含む。自己位置は、領域A11における車両20の位置を示す。車両20のIDコードは、車両20毎に設定された個別の識別情報である。
【0027】
<行動推定装置>
行動推定装置60は、車両20の行動を推定することによって車両20が規則を実施するか否かを判定する装置である。行動推定装置60は、領域A11に設けられていてもよいし、領域A11とは異なる場所に設けられていてもよい。
【0028】
行動推定装置60は、制御装置61を備える。制御装置61は、例えば、車両制御装置21と同様のハードウェア構成を備える。制御装置61は、プロセッサ62と、記憶部63と、を備える。
【0029】
行動推定装置60は、通信装置64を備える。通信装置64は、例えば、車両20が備える通信装置51と同様の装置である。通信装置64は、通信装置51から送信された行動情報を取得可能である。通信装置64は、通信装置51に情報を送信可能である。
【0030】
行動推定装置60は、表示部65を備える。表示部65は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。表示部65は、行動推定装置60のユーザが視認可能である。
【0031】
行動推定装置60は、補助記憶装置66を備える。補助記憶装置66は、意味地図データMD2を記憶している。意味地図データMD2は、地図座標系によって表される領域A11のうち所定の場所に意味を付与したデータである。意味地図データMD2は、車両20が作業を行う領域A11を表す。意味地図データMD2は、領域A11の一部である規則領域A1,A2,A3,A4に車両20が実施する規則を設定したデータである。即ち、地図座標系の座標に対して規則を対応付けたデータが意味地図データMD2である。例えば、地図座標系で速度制限領域A1,A2に対応する座標には、規則として移動速度の上限値以下での移動が設定されている。地図座標系で一時停止領域A3に対応する座標には、規則として一時停止が設定されている。地図座標系で警告領域A4に対応する座標には、規則として音を発することが設定されている。意味地図データMD2は、規則領域A1,A2,A3,A4に設定された規則を地図データMD1に反映したデータである。補助記憶装置66は、意味地図データMD2を記憶する記憶装置の一例である。
【0032】
<規則実施判定制御>
制御装置61が行う規則実施判定制御について説明する。規則実施判定制御は、所定の制御周期で繰り返し行われる。規則実施判定制御は、IDコード毎に個別に行われる。即ち、領域A11に複数の車両20が存在する場合には、車両20毎に規則実施判定制御が行われる。
【0033】
図3に示すように、ステップS1において、制御装置61は、通信装置64を介して車両20から行動情報を取得する。これにより、制御装置61は、通信装置64を介して車両20の位置情報を取得する。
【0034】
次に、ステップS2において、制御装置61は、車両20の移動速度を推定する。制御装置61は、経過時間に対する車両20の位置情報の変化から車両20の移動速度を推定する。制御装置61は、過去の制御周期で取得した位置情報である過去位置情報とステップS1で取得した位置情報との差から車両20の移動距離を算出する。制御装置61は、時刻情報に基づいて過去位置情報を取得した時刻とステップS1で取得した位置情報を取得した時刻との差を移動時間として算出する。そして、制御装置61は、移動距離を移動時間で除算することによって車両20の移動速度を推定する。車両20に搭乗した人P1は、車両20と同一の速度で移動している。このため、車両20の移動速度は、車両20に搭乗した人P1の移動速度である。車両20の移動速度は、制御装置61が推定する車両20の行動の一例である。
【0035】
次に、ステップS3において、制御装置61は、車両20が規則領域A1,A2,A3,A4に位置しているか否かを判定する。制御装置61は、車両20の位置情報によって示される自己位置が規則領域A1,A2,A3,A4に含まれている場合、車両20が規則領域A1,A2,A3,A4に位置していると判定する。ステップS3の判定結果が肯定の場合、制御装置61は、ステップS4の処理を行う。ステップS3の判定結果が否定の場合、制御装置61は、規則実施判定制御を終了する。
【0036】
ステップS4において、制御装置61は、ステップS3で車両20が位置していると判定された規則領域A1,A2,A3,A4に設定された規則が実施されるか否かを車両20の行動を推定した結果に基づき判定する。一例として、速度制限領域A1,A2で車両20の移動速度の上限値以下での移動の実施がされるか否かを判定する場合を説明する。移動速度の上限値以下での移動の実施は、移動速度に関する規則の一例である。制御装置61は、ステップS3で車両20が速度制限領域A1,A2に位置していると判定された場合、意味地図データMD2から速度制限領域A1,A2に設定された移動速度の上限値を認識する。制御装置61は、ステップS2で推定した車両20の移動速度が意味地図データMD2から認識した移動速度の上限値以下か否かを判定する。制御装置61は、車両20の移動速度が意味地図データMD2から認識した移動速度の上限値以下の場合、速度制限領域A1,A2に設定された規則を車両20が実施すると判定する。制御装置61は、車両20の移動速度が意味地図データMD2から認識した移動速度の上限値を上回っている場合、速度制限領域A1,A2に設定された規則を車両20が未実施であると判定する。ステップS4の判定結果が肯定の場合、制御装置61は、ステップS5の処理を行う。ステップS4の判定結果が否定の場合、制御装置61は、ステップS6の処理を行う。
【0037】
ステップS5において、制御装置61は、実施表示を行う。実施表示は、行動推定装置60のユーザに、車両20が規則を実施することを通知する表示である。例えば、
図4に示すように、表示部65に速度制限領域A1,A2を表す地図を表示し、地図に車両20の軌跡T1を表示してもよい。そして、速度制限領域A1,A2及び軌跡T1に実施を示すマーク71を重畳して表示させてもよい。
図4に示す例では、速度制限領域A1,A2のみを表示しているが、表示部65には領域A11の全体が表示されてもよい。領域A11に複数の車両20が存在している場合、表示部65には複数の車両20に対応した表示が行われてもよい。
図4に示す例では、速度制限領域A2で車両20が移動速度の上限値以下での移動の実施をすることを認識できる。
【0038】
ステップS6において、制御装置61は、未実施表示を行う。未実施表示は、行動推定装置60のユーザに、車両20が規則を実施しないことを通知する表示である。例えば、
図5に示すように、速度制限領域A1,A2及び軌跡T1に未実施を示すマーク72を重畳して表示させてもよい。未実施を示すマーク72は、実施を示すマーク71と異なっていれば、どのようなマークであってもよい。
図5に示す例では、速度制限領域A1で車両20が移動速度の上限値以下での移動の実施をしないことを認識できる。
【0039】
[第1実施形態の作用]
制御装置61は、車両20から位置情報を取得する。制御装置61は、取得した位置情報から車両20が規則領域A1,A2,A3,A4に位置しているか否かを判定できる。制御装置61は、車両20が規則領域A1,A2,A3,A4に位置している場合、当該規則領域A1,A2,A3,A4に設定された規則を意味地図データMD2から認識することができる。制御装置61は、推定した車両20の行動と、意味地図データMD2から認識した規則とに基づき、車両20が規則を実施するか否かを判定できる。制御装置61は、規則が実施されているか否かに応じた表示を表示部65に行う。行動推定装置60のユーザは、表示部65を確認することによって、車両20が規則を実施するか否かを判定できる。車両20は人P1によって操作されているため、行動推定装置60は、車両20に搭乗した人P1が規則を実施するか否かを判定している。この場合、人P1を移動体と捉えてもよい。
【0040】
[第1実施形態の効果]
(1-1)制御装置61は、車両20の移動速度を推定している。制御装置61は、推定した車両20の移動速度と、意味地図データMD2から認識した移動速度の上限値とに基づき、車両20が規則を実施するか否かを判定できる。
【0041】
(1-2)制御装置61は、経過時間に対する車両20の位置情報の変化から車両20の移動速度を推定する。位置情報から車両20の移動速度を推定することで行動推定装置60の汎用性を向上させることができる。例えば、車両20が備える速度センサから車両20の移動速度を推定する場合、速度センサから車両20の移動速度を取得する処理を追加する必要がある。これに対し、車両20が規則領域A1,A2,A3,A4に位置しているか否かを判定するための位置情報を用いて車両20の移動速度を推定することで、行動推定装置60の汎用性を向上させることができる。
【0042】
(1-3)制御装置61は、車両20が規則を実施するか否かを表示部65に表示する。これにより、行動推定装置60のユーザに、車両20が規則を実施するか否かを評価させることができる。
【0043】
[第2実施形態]
行動推定装置の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、規則実施判定制御が第1実施形態とは異なる。第1実施形態と異なる点について説明する。
【0044】
図6に示すように、第2実施形態では、ステップS2に代えてステップS12が行われる。
ステップS12において、制御装置61は、車両20の行動を推定することによって動作ラベルを設定する。動作ラベルは、車両20の行動を表すラベルである。動作ラベルは、停止ラベル、移動ラベル、及び作業ラベルを含む。停止ラベルは、車両20が停止していることを意味する。移動ラベルは、車両20が移動していることを意味する。作業ラベルは、車両20が作業中であることを意味する。制御装置61は、位置情報から推定した車両20の移動速度に基づいて動作ラベルを設定する。停止、移動、及び作業は、制御装置61が推定する車両20の行動の一例である。
【0045】
制御装置61は、車両20の移動速度が停止判定用閾値未満の場合、車両20が停止していると推定する。車両20の移動速度は、第1実施形態と同様の手法で推定することができる。停止判定用閾値は、車両20が停止しているか否かを判定できるように設定されている。停止判定用閾値は、例えば、0.1m/sである。制御装置61は、車両20が停止している場合、動作ラベルとして停止ラベルを設定する。
【0046】
制御装置61は、直近所定回数分の位置情報のうち最も古い位置情報と最も新しい位置情報から、所定回数分の位置情報を取得する間の車両20の移動距離を算出する。所定回数は、任意に設定することができる。制御装置61は、算出した移動距離が所定距離以上の場合、車両20が移動していると推定する。所定距離は、車両20が移動しているか否かを判定できるように設定されている。所定距離は、位置情報の取得間隔、及び所定回数に基づき設定されている。制御装置61は、車両20が移動している場合、動作ラベルとして移動ラベルを設定する。
【0047】
制御装置61は、車両20が停止も移動もしていない場合、車両20が作業中であると推定する。即ち、制御装置61は、動作ラベルとして停止ラベルも移動ラベルも設定されない場合、動作ラベルとして作業ラベルを設定する。
【0048】
ステップS4において、制御装置61は、車両20が位置する規則領域A1,A2,A3,A4に設定された規則と動作ラベルによって表される行動が一致するか否かを判定する。一例として、車両20が一時停止領域A3に位置している場合について説明する。一時停止領域A3には、規則として一時停止が設定されている。一時停止は、移動速度に関する規則の一例である。制御装置61は、動作ラベルが停止ラベルであれば、車両20が位置する一時停止領域A3に設定された規則と動作ラベルによって表される行動が一致すると判定する。制御装置61は、動作ラベルが停止ラベルとは異なる動作ラベルであれば、車両20が位置する一時停止領域A3に設定された規則と動作ラベルによって表される行動が一致しないと判定する。制御装置61は、車両20が位置する一時停止領域A3に設定された規則と動作ラベルによって表される行動が一致する場合、規則が実施されていると判定する。制御装置61は、車両20が位置する一時停止領域A3に設定された規則と動作ラベルによって表される行動が一致しない場合、規則が未実施であると判定する。動作ラベルは、車両20の移動速度に応じて設定される。このため、制御装置61は、車両20の移動速度から一時停止領域A3に設定された規則を車両20が実施するか否かを判定している。
【0049】
ステップS5において、制御装置61は、実施表示を行う。実施表示は、第1実施形態と同様に、マーク71によって行われてもよい。
図7に示すように、制御装置61は、表示部65に、実施状態を文字で表示することによって実施表示を行ってもよい。ステップS6における未実施表示についても、同様である。
【0050】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(2-1)制御装置61は、動作ラベルを設定する。規則領域A1,A2,A3,A4に設定された規則と動作ラベルで表される行動とが一致しているか否かを判定することによって、制御装置61は、規則が実施されているか否かを判定できる。動作ラベルの設定を変更することによって、車両20の行動を容易に追加することができる。従って、領域A11での規則が増えた場合であっても、これに対応した動作ラベルを追加することによって、規則が実施されているか否かを判定できる。
【0051】
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0052】
○各実施形態において、制御装置61は、規則が実施されていない場合に、車両20に指令を送信してもよい。一例として、第1実施形態の規則実施判定制御を用いて説明を行う。
【0053】
図8に示すように、ステップS4の判定結果が否定の場合、制御装置61は、ステップS21の処理を行う。ステップS4の判定結果が否定の場合、車両20の移動速度は意味地図データMD2から認識できる移動速度の上限値より高い。即ち、速度制限領域A1,A2に設定された移動速度の上限値以下での移動の実施がされていない。
【0054】
ステップS21において、制御装置61は、移動速度の上限値以下での移動の実施がされるように車両20に指令を送信する。指令は、例えば、車両20に対する速度指令値であってもよいし、移動速度の上限値を車両制御装置21に通知する指令であってもよい。車両20に速度指令値を送信する場合、移動速度の上限値以下の値が送信される。車両制御装置21は、モータドライバ25に指令を与えることによって、車両20の移動速度が規則として設定された移動速度の上限値を実施するように制御を行う。
【0055】
指令は、車両20に搭乗している人P1に対して警告を行うために送信されてもよい。例えば、指令は、ブザーを動作させる指令、又は人P1が視認可能な表示部に警告表示をさせる指令であってもよい。ブザーは、車両20に設けられていてもよいし、領域A11に設けられていてもよい。人P1が視認可能な表示部は、車両20に設けられていてもよいし、領域A11に設けられていてもよい。
【0056】
制御装置61が指令を送信する場合、表示部65の表示は行われてもよいし、行われなくてもよい。
○各実施形態において、制御装置61は、車両20が警告領域A4に位置していると判定した場合、車両20に搭乗している人P1がホーン41を動作させることによって音を発したか否かを判定してもよい。ホーン41は、車両20が備える操作部材の一例である。ホーン41の操作状態は、ホーン41が動作されている状態と、ホーン41が動作されていない状態と、を含む。
【0057】
ホーン41は、ホーン41を動作させる電子制御ユニットを備える。この電子制御ユニットと車両制御装置21とは、車両用通信プロトコルによって通信可能に構成されている。車両制御装置21は、電子制御ユニットとの通信によりホーン41が動作されたか否かを判定できる。車両制御装置21は、ホーン41が動作されたか否かを示す情報を含む行動情報を行動推定装置60に送信する。制御装置61は、行動情報からホーン41の操作状態を取得する。制御装置61は、車両20が警告領域A4に位置している際にホーン41が動作された場合、規則が実施されたと判定する。制御装置61は、車両20が警告領域A4に位置している際にホーン41が動作されていない場合、規則が未実施であると判定する。車両20がマイクを備える場合、車両制御装置21は、ホーン41の鳴動による音がマイクに入力された場合にホーン41が動作されたと判定してもよい。このように、制御装置61は、ホーン41の操作状態から規則領域A4に設定された規則を車両20が実施するか否かを判定する。
【0058】
車両20が備える操作部材は、例えば、ブレーキ、又は灯具であってもよい。この場合、制御装置61は、規則として減速が設定される規則領域でブレーキが操作されたかを判定することができる。制御装置61は、規則として灯具の点灯が設定される規則領域で灯具が点灯されているか否かを判定できる。
【0059】
○各実施形態において、規則領域は、立入禁止領域を含んでいてもよい。立入禁止領域は、規則として立ち入り禁止が設定された領域である。制御装置61は、位置情報から車両20が立入禁止領域に位置しているか否かを判定できる。制御装置61は、車両20が立入禁止領域に位置している場合、規則が未実施であると判定する。
【0060】
○各実施形態において、規則領域は、方向指示領域を含んでいてもよい。方向指示領域は、規則として方向指示器の点灯が設定された領域である。車両制御装置21は、例えば、方向指示器を制御する電子制御ユニットから方向指示器が動作されたか否かを示す情報を取得する。車両制御装置21は、方向指示器が動作されたか否かを示す情報を含む行動情報を行動推定装置60に送信する。制御装置61は、車両20が方向指示領域に位置している際に方向指示器が動作された場合、規則が実施されたと判定する。制御装置61は、車両20が方向指示領域に位置している際に方向指示器が動作されていない場合、規則が未実施であると判定する。方向指示器は、車両20が備える操作部材の一例である。
【0061】
○各実施形態において、規則領域は、一方通行領域を含んでいてもよい。一方通行領域は、規則として移動方向が設定された領域である。制御装置61は、例えば、時間経過に伴う位置情報の変化から車両20の移動方向を推定する。制御装置61は、車両20の移動方向が一方通行領域に設定された移動方向と一致する場合、規則が実施されたと判定する。制御装置61は、車両20の移動方向が一方通行領域に設定された移動方向と一致しない場合、規則が未実施であると判定する。
【0062】
○各実施形態において、車両制御装置21は、測距センサの測定結果と地図データMD1との照合によって自己位置を推定してもよい。測距センサは、例えば、レーザー距離計、ミリ波レーダー、又はステレオカメラであり、測距センサから推定される周辺環境の形状と、地図データMD1の形状とを照合する周知の方法で実現できる。
【0063】
○各実施形態において、移動体は、車両20に搭乗していない人であってもよい。この場合、制御装置61、衛星航法装置31、撮像装置32、及び通信装置51を備える携帯端末を人が所持していればよい。
【0064】
この場合、意味地図データMD2には、車両20に対応する規則と、人に対応する規則とが個別に設定されていてもよい。また、車両20と人との関係を表す規則が設定されていてもよい。例えば、規則領域に、車両20よりも人の通行が優先されることが規則として設定されていてもよい。制御装置61は、上記した規則領域に人が位置している場合に、車両20が人の通行を優先するか否かを判定してもよい。
【0065】
○各実施形態において、車両20が行動推定装置を備えていてもよい。この場合、規則実施判定制御は、車両制御装置21が行ってもよい。補助記憶装置33には、地図データMD1に代えて、又は加えて意味地図データMD2が記憶される。この場合、車両制御装置21が制御装置である。補助記憶装置33は、意味地図データMD2を記憶する記憶装置である。
【0066】
○制御装置61は、第1実施形態の実施判定制御と第2実施形態の実施判定制御との両方を行ってもよい。
【符号の説明】
【0067】
A1,A2,A3,A4…規則領域、MD2…意味地図データ、20…移動体である車両、60…行動推定装置、61…制御装置、66…記憶装置である補助記憶装置。