IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本製粉株式会社の特許一覧

特開2024-114997R1バリゲノールを有効成分とするαグルコシダーゼ阻害剤
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114997
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】R1バリゲノールを有効成分とするαグルコシダーゼ阻害剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/704 20060101AFI20240819BHJP
   A61K 36/82 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240819BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240819BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20240819BHJP
   C07C 35/44 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
A61K31/704
A61K36/82
A61P43/00 111
A61P3/10
A23L33/10
A23L33/105
C07C35/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020407
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100130661
【弁理士】
【氏名又は名称】田所 義嗣
(72)【発明者】
【氏名】林 遼太郎
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C088
4H006
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB08
4B018LB10
4B018MD28
4B018MD59
4B018ME14
4B018MF01
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA10
4C086GA16
4C086GA17
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZC20
4C086ZC35
4C088AB45
4C088AC05
4C088BA08
4C088BA13
4C088BA32
4C088CA03
4C088CA22
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZC20
4C088ZC35
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB27
4H006FC36
4H006FC74
4H006FE11
4H006FE12
(57)【要約】
【課題】αグルコシダーゼ阻害剤を提供すること。
【解決手段】R1バリゲノールを有効成分とするαグルコシダーゼ阻害剤である。また、これを使用した、機能性表示食品、サプリメント、特定保健用食品である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
R1バリゲノールを有効成分とするαグルコシダーゼ阻害剤。
【請求項2】
請求項1に記載のαグルコシダーゼ阻害剤を使用した、機能性表示食品、サプリメント、特定保健用食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、R1バリゲノールを有効成分とするαグルコシダーゼ阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
茶の葉や花にはサポニンが含まれており、茶サポニンを構成するアグリコン(非糖部分)としてはR1バリゲノールや、テアサポゲノールBなどが知られている。
R1バリゲノールは抗菌活性(例えば非特許文献1参照)やオキシトシン受容体活性化作用(例えば特許文献1参照)、ミクログリア活性化抑制作用(例えば特許文献2参照)を有することが知られている。
αグルコシダーゼはヒトの小腸上皮で発現する消化酵素である。
摂取されたデンプンなどの多糖、オリゴ糖、又はスクロースはαグルコシダーゼによって単糖に分解され腸管から吸収される。
αグルコシダーゼを阻害することにより単糖への分解が阻害され糖の吸収を阻害、又は遅延することができ食後の急激な血糖値の上昇を抑制できることから、血糖値のコントロールが可能である。
αグルコシダーゼ阻害剤としてはマスリン酸、コロソリン酸(例えば非特許文献2参照)やモノリノレオイルフォスファチジルエタノールアミン(例えば特許文献3参照)などが知られている。
またαグルコシダーゼ阻害剤であるアカルボースは経口摂取によって血糖値が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-72837号公報
【特許文献2】特開2022-183626号公報
【特許文献3】特開2021-136865号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Jung-Hyun Oh 、外8名、「Antimicrobial Activities against Periodontopathic Bacteria of Pittosporum tobira and Its Active Compound」、molecules、(スイス連邦)、MDPI、2014年、第19巻、第3号、p.3607-3616
【非特許文献2】Wenli Hou、外6名、「Triterpene acids isolated from Lagerstroemia speciosa leaves as α-glucosidase inhibitors」、Phytotherapy Research、(英国)、Wiley Online Library、2009年、第23巻、第5号、p.614-618
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的はαグルコシダーゼ阻害剤及びこれを使用した、機能性表示食品、サプリメント、特定保健用食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、R1バリゲノールがαグルコシダーゼを阻害すること、マスリン酸、コロソリン酸に比較してその効果が高いことを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、R1バリゲノールを有効成分とするαグルコシダーゼ阻害剤である。
また、これを使用した、機能性表示食品、サプリメント、特定保健用食品である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のR1バリゲノールを有効成分とするαグルコシダーゼ阻害剤は、マスリン酸、コロソリン酸に比較してその効果が高い。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のR1バリゲノールは、化学式1で示され、茶に含まれるサポニンのアグリコンとして知られており、抗菌作用、オキシトシン受容体活性化作用、ミクログリア活性化抑制効果等が知られている。
【0009】
【化1】
【0010】
<R1バリゲノールの入手方法>
R1バリゲノールは、前記のとおり、茶に含まれるサポニンのアグリコンであり、茶の花部や葉部から抽出した抽出物を加水分解してカラムクロマトグラフィー等で精製することで得ることができる。
茶の品種や産地には特に限定はない。
また、R1バリゲノールは市販されており本発明では市販されているR1バリゲノールも使用することができる。
【0011】
<R1バリゲノールの使用方法>
R1バリゲノールの使用方法は、従来のR1バリゲノールと同様に扱うことができ特に限定はない。
例えば、機能性表示食品、サプリメント、特定保健用食品に配合することができる。
機能性表示食品や特定保健用食品とする場合の食品の例として、麺類、飯類、パン類、洋菓子類、和菓子類、ガム類、ジュース、酒類等を挙げることができる。
本発明のαグルコシダーゼ阻害剤の経口投与量は1日あたりのヒトのR1バリゲノール摂取量として、通常1mg~5000mg/日であり、好ましくは5mg~1000mg/日であり、更に好ましくは10mg~100mg/日である。
【実施例0012】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[試験例1 αグルコシダーゼ阻害率確認試験 マスリン酸との比較]
(1)R1バリゲノール(以下「R1B」ともいう)標準品(長良サイエンス社製)をDMSO(ジメチルスルホキシド)に500μM、マスリン酸を500μMとなるように溶解し試料溶液を調製した。
なお、試料を何も溶解していないDMSOを用意した。
(2)0.7mMp-ニトロフェニル-α-D-グルコピラノシドを50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解したものを基質溶液とし、α-グルコシダーゼを0.9U/mLで50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解したものを酵素溶液とした。
(3)料溶液10μLと酵素溶液50μLを混合した後、混合した液10μLに基質溶液100μLを加え、37℃で25分間インキュベートし0.5MTirs溶液を100μL加え反応を停止した
(4)この反応により分解され遊離したp-ニトロフェノールの400nmにおける吸光度を測定した。
(5)αグルコシダーゼ阻害率は以下の計算式で算出した。
αグルコシダーゼ阻害率(%)=(ブランク試料を添加した際の400nm吸光度-R1Bを添加した際の400nm吸光度)/ブランク試料を添加した際の400nm吸光度×100
(4)RIBのαグルコシダーゼ阻害率は、90.9%、マスリン酸のαグルコシダーゼ阻害率は、58.7%となり、マスリン酸より優れたαグルコシダーゼ阻害率が確認できた。
【0013】
[試験例2 αグルコシダーゼ阻害率確認試験 コロソリン酸との比較]
(1)R1バリゲノール(以下「R1B」ともいう)標準品(長良サイエンス社製)をDMSO(ジメチルスルホキシド)に50μM、コロソリン酸を50μMとなるように溶解し試料溶液を調製した。
なお、試料を何も溶解していないDMSOを用意した。
(2)前記試験例1と同様にしてαグルコシダーゼ阻害率を測定した。
(3)RIBのαグルコシダーゼ阻害率は、5.0%、コロソリン酸のαグルコシダーゼ阻害率は、1.4%となり、コロソリン酸より優れた、αグルコシダーゼ阻害率が確認できた。
【0014】
[実施例1 飲料]
果糖ブドウ糖液糖30g、乳化剤0.5g、R1バリゲノールを1質量%含む茶由来の抽出物1g、香料適量、精製水60gをミキサーによって常法により混合し、飲料を製造した。