特開 2024-115019 光ファイバテープ心線、光ファイバユニット、光ファイバテープ心線の製造方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024115019

(43)【公開日】2024-08-26

(54)【発明の名称】光ファイバテープ心線、光ファイバユニット、光ファイバテープ心線の製造方法

(51)【国際特許分類】

   G02B 6/44 20060101AFI20240819BHJP

   C03C 25/1065 20180101ALI20240819BHJP

   C03C 25/6226 20180101ALI20240819BHJP

   C03C 25/26 20180101ALI20240819BHJP

   C03C 25/47 20180101ALI20240819BHJP

   C03C 25/48 20060101ALI20240819BHJP

   C03C 25/16 20060101ALI20240819BHJP

【ＦＩ】

G02B6/44 371

G02B6/44 391

C03C25/1065

C03C25/6226

C03C25/26

C03C25/47

C03C25/48

C03C25/16

【審査請求】未請求

【請求項の数】8

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023020455

(22)【出願日】2023-02-14

(71)【出願人】

【識別番号】000005290

【氏名又は名称】古河電気工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100096091

【弁理士】

【氏名又は名称】井上 誠一

(72)【発明者】

【氏名】石村 友洋

(72)【発明者】

【氏名】中島 勝

【テーマコード（参考）】

2H201

4G060

【Ｆターム（参考）】

2H201BB06

2H201BB12

2H201BB23

2H201BB24

2H201BB85

2H201DD04

2H201DD06

2H201DD09

2H201DD14

2H201DD15

2H201DD28

2H201DD33

2H201KK02

2H201KK17

2H201KK42C

2H201KK62

2H201KK63

2H201MM03

2H201MM23

2H201MM32

2H201MM34

2H201MM36

4G060AA01

4G060AA03

4G060AC15

4G060AD22

4G060AD43

4G060AD58

(57)【要約】

【課題】 間欠接着型の光ファイバテープ心線において、必要時には光ファイバ心線同士を容易に集合させることが可能且つ光ケーブルへの高密度実装可能な光ファイバテープ心線等を提供する。
【解決手段】 光ファイバ心線３は、光ファイバ素線７の外周に被覆層９が設けられた構造である。被覆層９は、最外周に配置される樹脂層であり、例えば着色層であってもよく、着色層のさらに外周に配置された樹脂層であってもよい。被覆層９には、周方向の一部に全長にわたって磁性体が含まれている。光ファイバテープ心線１は、複数の光ファイバ心線３が並列され、少なくとも一部の隣り合う光ファイバ心線３同士の接着部が、光ファイバ心線３の長手方向に対して間欠的に配置される。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

複数の光ファイバ心線が並列され、少なくとも一部の隣り合う前記光ファイバ心線同士の接着部が、前記光ファイバ心線の長手方向に対して間欠的に配置された光ファイバテープ心線であって、
前記光ファイバ心線は、光ファイバ素線の外周に被覆層が設けられ、
前記光ファイバ心線の長手方向の少なくとも一部において、前記被覆層の周方向の一部には、磁性体が含まれた磁性体配合部が設けられることを特徴とする光ファイバテープ心線。

【請求項2】

前記磁性体配合部は、前記光ファイバ心線の周方向に対して１箇所に配置されることを特徴とする請求項１記載の光ファイバテープ心線。

【請求項3】

前記磁性体配合部は、前記光ファイバ心線の周方向に対して複数箇所に配置されることを特徴とする請求項１記載の光ファイバテープ心線。

【請求項4】

複数の前記光ファイバ心線において、前記磁性体配合部の周方向の長さが同一ではなく、少なくとも１本の前記光ファイバ心線における前記磁性体配合部の周方向長さが、他の前記光ファイバ心線における前記磁性体の配合部の周方向長さよりも長いことを特徴とする請求項１記載の光ファイバテープ心線。

【請求項5】

前記磁性体配合部は、前記光ファイバ心線の長手方向に対して間欠的に配置されることを特徴とする請求項１記載の光ファイバテープ心線。

【請求項6】

複数の前記光ファイバ心線における、それぞれ間欠的に配置された前記磁性体配合部の配置が、前記光ファイバ心線の長手方向に対して互いに重なり合うことを特徴とする請求項５記載の光ファイバテープ心線。

【請求項7】

請求項１記載の光ファイバテープ心線からなる光ファイバユニットであって、
複数の光ファイバテープ心線同士が、互いの磁性体配合部で吸着しあって集合し、撚り合わせられることを特徴とする光ファイバユニット。

【請求項8】

請求項１記載の光ファイバテープ心線の製造方法であって、
前記光ファイバ素線を、周方向に分割された複数のダイスで構成された塗布装置を通過させ、長手方向の少なくとも一部において、一部の前記ダイスから前記磁性体を含む樹脂を前記光ファイバ素線の外周に被覆するとともに、他の前記ダイスから前記磁性体を含まない樹脂を前記光ファイバ素線の外周に被覆して前記被覆層を形成することを特徴とする光ファイバテープ心線の製造方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、複数の光ファイバ心線が間欠的に接着された光ファイバテープ心線等に関するものである。

【背景技術】

【0002】

多量のデータを高速で伝送するための光ファイバとして、ケーブルへの収納や作業の簡易化のため、複数本の光ファイバ心線が並列に配置されて接着された光ファイバテープ心線が用いられている。光ファイバテープ心線は、並列した光ファイバ心線を全長にわたって樹脂で固着されたものが用いられている他、光ファイバ心線同士が長手方向に間欠的に接着されたものがある（例えば特許文献１）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１４－２１５４９３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

このような間欠接着された光ファイバテープ心線を用いれば、光ファイバ心線が高密度に実装された光ファイバケーブルにおいても、光ファイバケーブルを曲げた際に、それぞれの光ファイバ心線に大きなひずみが加わりにくい。これは、光ファイバケーブルに実装された間欠接着型光ファイバテープ心線の非接着部においては、光ファイバ心線が単心の状態で自由に動くことができるため、光ファイバケーブルの変形の柔軟さを高めることができるためである。

【0005】

一方、隣り合う光ファイバ心線同士が自由に動くことでの不具合もある。例えば、光ファイバテープ心線同士を接続する場合には、まず、光ファイバテープ心線が保持された一対の光ファイバホルダを互いに対向するように融着機にセットする。その後、光ファイバホルダから突出するそれぞれの光ファイバ心線（ガラスファイバ）の先端を突き合わせて融着することで光ファイバテープ心線同士の接続作業が完了する。

【0006】

この際、光ファイバホルダにおいては、光ファイバ心線を整列させた状態で蓋部を閉じることで光ファイバ心線が上方から押さえられて保持される。しかし、光ファイバ心線同士が自由に移動可能であるため、例えば一部の光ファイバ心線が浮き上がるなどして、うまく整列されない場合がある。この場合には、光ファイバ心線を整列させて指で押さえながら蓋部を閉じるなどの作業が必要となる。

【0007】

また、このような間欠接着型の光ファイバテープ心線をユニット化する場合がある。この際、光ファイバテープ心線同士がばらけずに適度に集合させることができれば、取り扱いが容易となる。このため、光ファイバ心線同士の自由な移動を許容しつつ、必要に応じて光ファイバ心線同士を集合させて束ねることが可能な、扱い性の良好な光ファイバテープ心線が望まれる。

【0008】

これら高密度実装と融着作業性はトレードオフの関係にあり、間欠接着型の光ファイバテープ心線においても、所望の融着作業性を確保するためには、光ファイバ心線同士の自由度をあるレベルで抑える必要があり、どうしても高密度実装できる限界値が出来てしまう。

【0009】

本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、間欠接着型の光ファイバテープ心線において、必要時には光ファイバ心線同士を容易に集合させることが可能であり、且つ光ケーブルへの高密度実装可能な光ファイバテープ心線等を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0010】

前述した目的を達するために第１の発明は、複数の光ファイバ心線が並列され、少なくとも一部の隣り合う前記光ファイバ心線同士の接着部が、前記光ファイバ心線の長手方向に対して間欠的に配置された光ファイバテープ心線であって、前記光ファイバ心線は、光ファイバ素線の外周に被覆層が設けられ、前記光ファイバ心線の長手方向の少なくとも一部において、前記被覆層の周方向の一部には、磁性体が含まれた磁性体配合部が設けられることを特徴とする光ファイバテープ心線である。

【0011】

前記磁性体配合部は、前記光ファイバ心線の周方向に対して１箇所に配置されてもよく、前記磁性体配合部は、前記光ファイバ心線の周方向に対して複数箇所に配置されてもよい。

【0012】

複数の前記光ファイバ心線において、前記磁性体配合部の周方向の長さが同一ではなく、少なくとも１本の前記光ファイバ心線における前記磁性体配合部の周方向長さが、他の前記光ファイバ心線における前記磁性体の配合部の周方向長さよりも長くてもよい。

【0013】

前記磁性体配合部は、前記光ファイバ心線の長手方向に対して間欠的に配置されてもよい。

【0014】

この場合、複数の前記光ファイバ心線における、それぞれ間欠的に配置された前記磁性体配合部の配置が、前記光ファイバ心線の長手方向に対して互いに重なり合うことが望ましい。

【0015】

第１の発明によれば、光ファイバ心線の被覆層の周方向の一部にのみ磁性体が含まれているため、例えば磁性体（硬磁性体）を着磁することで磁化することができる。このため、必要に応じて、光ファイバ心線の接着部以外の部位においても、互いに接触させて集合させることができる。この際、周方向の一部には磁性体が含まれていないため、磁性体が着磁されていても、磁性体のない部位では光ファイバ心線同士が自由に移動することができる。

【0016】

例えば、光ファイバホルダに光ファイバ心線を配置する際にも、光ファイバホルダの本体部に対して磁化された光ファイバ心線が磁力で吸引されるため、浮き上がり等が抑制されてセットが容易となる。また、磁性体を消磁することで、必要に応じて磁力をなくして、光ファイバ心線同士を自由に移動可能とすることもできる。

【0017】

このような効果は、光ファイバ心線の周方向の１箇所にのみ磁性体を添加すればよく、全周に磁性体を配合しないことで、磁性体の使用量を抑制し、また、磁性体非配合部では、光ファイバ心線同士を自由に移動させることができる。

【0018】

また、光ファイバ心線の周方向の複数箇所に磁性体配合部を配置してもよい。この場合でも、磁性体非配合部では、光ファイバ心線同士を自由に移動させることができる。また、光ファイバテープ心線を構成する光ファイバ心線の磁性部同士が互いに吸着しあって集合した際にも、光ファイバ心線の外周側に磁性部を露出させることができる。このため、他の光ファイバテープ心線を構成する光ファイバと吸着させることもできる。

【0019】

また、複数の光ファイバ心線の中で、少なくとも１本の光ファイバ心線には、他の光ファイバ心線における磁性体配合部の周方向長さよりも長い範囲で磁性体を配合することもできる。この場合も同様に、光ファイバテープ心線を構成する光ファイバ心線の磁性部同士が互いに吸着しあって集合した際にも、光ファイバ心線の外周側に磁性部を露出させることができる。このため、他の光ファイバテープ心線同士を集合させることができる。

【0020】

また、磁性体配合部を長手方向に対して間欠的に添加することで、磁性体の使用量を削減することができる。また、全長にわたって連続して着磁させた際にも、部分的に自由に移動可能な部位を残すことができる。

【0021】

また、間欠的に配置された磁性体配合部の配置が、それぞれの光ファイバ心線の長手方向に対して互いに重なり合うようにすることで、当該部位においては、全光ファイバ心線を着磁して光ファイバホルダ等に吸引させることができる。

【0022】

第２の発明は、第１の発明にかかる光ファイバテープ心線からなる光ファイバユニットであって、複数の光ファイバテープ心線同士が、互いの磁性体配合部で吸着しあって集合し、撚り合わせられることを特徴とする光ファイバユニットである。

【0023】

第２の発明によれば、光ファイバテープ心線同士は、完全に拘束されないため、ある程度の自由度で移動することができる。

【0024】

第３の発明は、第１の発明にかかるファイバテープ心線の製造方法であって、前記光ファイバ素線を、周方向に分割された複数のダイスで構成された塗布装置を通過させ、長手方向の少なくとも一部において、一部の前記ダイスから前記磁性体を含む樹脂を前記光ファイバ素線の外周に被覆するとともに、他の前記ダイスから前記磁性体を含まない樹脂を前記光ファイバ素線の外周に被覆して前記被覆層を形成することを特徴とする光ファイバテープ心線の製造方法である。

【0025】

第３の発明によれば、容易に被覆層の周方向の一部に磁性体が添加された光ファイバテープ心線を得ることができる。

【発明の効果】

【0026】

本発明によれば、間欠接着型の光ファイバテープ心線において、必要時には光ファイバ心線同士を容易に集合させることができ、且つ光ケーブルへの高密度実装が可能な光ファイバテープ心線等を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0027】

【図1】光ファイバテープ心線１を示す斜視図。

【図2】（ａ）は光ファイバ心線３の断面図、（ｂ）は光ファイバテープ心線１の断面図。

【図3】（ａ）は、光ファイバホルダ１１を示す図、（ｂ）、（ｃ）は、（ａ）のＡ部の断面図。

【図4】本体部１３にＶ溝１９ａが設けられた状態を示す図。

【図5】（ａ）は、複数本の光ファイバ心線３が並列している状態の光ファイバテープ心線１を示す図、（ｂ）は、光ファイバ心線３の被覆層９が着磁して磁性部１０同士が吸着している状態を示す図。

【図6】（ａ）は、光ファイバ心線３の製造方法を示す図、（ｂ）は、塗布装置２１の構造を示す図、（ｃ）は、光ファイバテープ心線１の着磁又は消磁を行う工程を示す図。

【図7】（ａ）は、光ファイバテープ心線１ａを示す図、（ｂ）は、複数の光ファイバテープ心線１ａが吸着して集合した状態を示す図。

【図8】（ａ）は光ファイバテープ心線１ｂを示す図、（ｂ）は光ファイバテープ心線１ｃを示す図、（ｃ）は光ファイバテープ心線１ｄを示す図、（ｄ）は光ファイバテープ心線１ｅを示す図。

【図9】（ａ）は、光ファイバテープ心線１ｆを示す図、（ｂ）は、複数の光ファイバテープ心線１ｆが吸着して集合した状態を示す図。

【図10】（ａ）は、光ファイバテープ心線１ｇを示す図、（ｂ）は、光ファイバテープ心線１ｈを示す図。

【図11】（ａ）は、光ファイバテープ心線１ｉを示す図、（ｂ）は、光ファイバテープ心線１ｊを示す図。

【図12】光ファイバ心線３の他の製造方法を示す図。

【図13】光ファイバケーブル３０を示す図。

【発明を実施するための形態】

【0028】

以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図１は、光ファイバテープ心線１を示す斜視図である。

【0029】

光ファイバテープ心線１は、複数の光ファイバ心線３ａ～３ｄ（以下、総称して、光ファイバ心線３とする場合がある）が並列されて、隣り合う光ファイバ心線３同士が、接着部５によって接着されて一体化されたものである。なお、以下の説明において、４本の単心の光ファイバ心線３ａ～３ｄにより構成される例を示すが、本発明はこれに限られず、複数の光ファイバ心線からなる光ファイバテープ心線であれば適用可能である。

【0030】

光ファイバテープ心線１は、光ファイバ心線３の長手方向に所定の間隔をあけて間欠的に接着された接着部５により接着される。すなわち、隣り合う光ファイバ心線３同士の接着部５は、光ファイバ心線３の長手方向に対して間欠的に配置される。接着部５は、例えば、紫外線硬化樹脂や熱可塑性樹脂等を適用することができる。

【0031】

図示した例では、それぞれの隣り合う光ファイバ心線３同士の間において、光ファイバ心線３の長手方向に対する接着部５の長さとピッチは略同一である。また、幅方向に隣り合う接着部５同士が、光ファイバ心線３の長手方向に対して半ピッチずれた千鳥状に配置される。

【0032】

すなわち、光ファイバ心線３ａ、３ｂ間の接着部５と、光ファイバ心線３ｃ、３ｄ間の接着部５とが、長手方向の略同一の位置に配置され、幅方向に併設される。また、光ファイバ心線３ｂ、３ｃ間の接着部５は、光ファイバ心線３ａ、３ｂ間の接着部５に対して長手方向に半ピッチずれた位置に配置される。なお、光ファイバテープ心線１の長手方向に対して、いずれの接着部５も配置されていない非接着部が存在することが好ましい。すなわち、幅方向に隣り合う接着部５同士は、長手方向に重なり合わないことが望ましい。

【0033】

なお、全ての隣り合う光ファイバ心線３同士の接着部５が間欠的に配置されなくてもよい。例えば、光ファイバ心線３ａ、３ｂ間は、長手方向に連続して接着され、光ファイバ心線３ｂ、３ｃ間と、光ファイバ心線３ｃ、３ｄ間の接着部５のみが長手方向に間欠的に配置されてもよい。すなわち、光ファイバテープ心線１は、複数の光ファイバ心線３が並列され、少なくとも一部の隣り合う光ファイバ心線３同士の接着部５が、光ファイバ心線３の長手方向に対して間欠的に配置されたものであればよい。

【0034】

図２（ａ）は光ファイバ心線３の断面図、図２（ｂ）は、光ファイバテープ心線１の断面図である。光ファイバテープ心線１は複数本の光ファイバ心線３からなり、光ファイバ心線３は、光ファイバ素線７の外周に被覆層９が設けられた構造である。なお、光ファイバ素線７は、例えば単心のコア及びクラッドからなるガラスファイバの外周に、プライマリ及びセカンダリの樹脂が被覆されたものである。また、被覆層９は、光ファイバ心線３の最外周に配置される樹脂層であり、例えば着色層であってもよく、着色層のさらに外周に配置された他の樹脂層であってもよい。

【0035】

被覆層９には、周方向の一部に磁性体が含まれている磁性体配合部９ａが設けられる。図示した例では、磁性体は、前記光ファイバ心線の周方向に対して１箇所に配置される。すなわち、被覆層９の周方向の他の部位は、磁性体が含まれていない磁性体非配合部となる。磁性体配合部９ａは、被覆層９の全長にわたってほぼ直線状に形成される。また、それぞれの光ファイバ心線３の磁性体配合部９ａの向きは一定であり、光ファイバ心線３の並列方向に垂直な同一方向に揃う。また、図示した例では、磁性体配合部９ａは、周方向の１／４程度（１／２未満）に配置されるため、光ファイバ心線３の互いの並列方向には、磁性体非配合部同士が接触する。

【0036】

このように、被覆層９の一部が磁性体配合部９ａとなっており、磁性体が着磁されている場合には、被覆層９の磁性体配合部９ａは磁力を有する磁性部１０となる。なお、磁性体としては、例えば金属粉末等である。また、特に説明がない限り、以下の説明では、磁性体が硬磁性体である場合について説明する。すなわち、磁性体は外部磁場がない状態でも、磁力を保持することが可能である。

【0037】

このような磁性体は、公知の着磁装置（例えば、京都機械工具株式会社製「マグネタイザ」等）を使用することで、着磁させることができるとともに、同装置を用いることで、逆に消磁することもできる。なお、以下の説明では、被覆層９の磁性体配合部９ａにおいて、着磁されている部位（磁力を有する部位）を磁性部１０とする。すなわち、磁性体配合部９ａは、着磁すると磁性部１０となり、消磁すると磁性部ではなくなる。

【0038】

次に、光ファイバテープ心線１の効果について説明する。図３（ａ）は、光ファイバテープ心線１同士の融着等を行う際に使用される光ファイバホルダ１１を示す図であり、図３（ｂ）は、図３（ａ）のＡ部における断面概念図である。光ファイバホルダ１１は、複数の光ファイバ心線３を一括して保持することが可能であり、主に本体部１３、蓋部１５等から構成される。本体部１３は、光ファイバテープ心線１が配置される部位であり、本体部１３の幅方向の一方の側方には、本体部１３に対してヒンジにより開閉可能な蓋部１５が設けられる。なお、蓋部１５は例えば磁石によって本体部１３に対して吸着して閉じた状態を維持することができる。

【0039】

本体部１３の上面（蓋部１５との対向面）には、光ファイバテープ心線１を構成する各光ファイバ心線３が配置される溝１９が形成される。溝１９は、光ファイバテープ心線１の位置決めを行うものである。また、溝１９の下方には、蓋部１５の固定用の磁石とは別に、磁石１７が配置される。

【0040】

次に、光ファイバテープ心線１を光ファイバホルダ１１へセットする方法について説明する。まず、光ファイバテープ心線１の先端部近傍において、被覆層９の磁性体配合部９ａを着磁する。前述したように、着磁の際には公知の着磁装置を用いればよい。次に、光ファイバホルダ１１の蓋部１５を開き、光ファイバテープ心線１を本体部１３の溝１９に配置する。この際、それぞれの磁性体配合部９ａは、本体部１３との対向面側に配置される。このため、磁石１７とそれぞれの光ファイバ心線３の磁性体とを吸着させることで、光ファイバ心線３が溝１９に整列して配置される。その後、蓋部１５を閉じることで、蓋部１５の裏面に設けられた押さえ部材で光ファイバ心線３が押さえられて光ファイバ心線３を所定の位置に保持することができる。

【0041】

なお、前述したように、磁性体が硬磁性体である場合には、部分的な着磁が可能であるが、軟磁性体の場合でも、光ファイバ心線３は磁石１７によって磁化されるため、着磁させた場合と比較して吸引力は劣るが、光ファイバ心線３を溝１９へ吸引させつつ配置することは可能である。同様に、磁性体が硬磁性体の場合であっても、着磁せずに光ファイバ心線３を溝１９へ配置しても、磁石１７によって光ファイバ心線３を溝１９へ吸引させつつ（磁化しつつ）配置することも可能である。

【0042】

ここで、磁石１７を本体部１３に対して着脱可能としてもよい。図３（ｃ）は、磁石１７を取り外した状態を示す図である。このようにすることで、光ファイバ心線３の溝１９方向への吸着力を低減（又は消失）させることができる。このため、例えば融着作業後において、光ファイバホルダ１１から光ファイバテープ心線１を取り外す際には、磁石１７を取り外すことで、作業が容易となる。

【0043】

なお、図４に示すように、光ファイバ心線３が配置される溝が複数のＶ溝１９ａであってもよい。この場合、それぞれのＶ溝１９ａに光ファイバ心線３が吸引されて配置される。このように、光ファイバテープ心線１を用いれば、光ファイバホルダ１１へ容易に各光ファイバ心線３を配置することができる。

【0044】

なお、図示した例では、Ｖ溝１９ａのピッチは、光ファイバテープ心線１における光ファイバ心線３の配列ピッチ（被覆層９の外径）と略一致するがこれには限られない。例えば、Ｖ溝１９ａのピッチをさらに大きくして、光ファイバテープ心線１におけるピッチと、融着時における光ファイバ心線３のピッチを変えてもよい。このようにピッチ変換が可能な光ファイバホルダを用いることで、例えば、異なるピッチ同士の光ファイバ心線同士を融着することもできる。なお、Ｖ溝１９ａの断面形態は、必ずしも完全なＶ字状でなくてもよく、底部が曲線や平坦であってもよい。

【0045】

次に、光ファイバテープ心線１の他の利用方法について説明する。図５（ａ）は、光ファイバテープ心線１の非接着部（すべての接着部５が存在していない部位）における、各光ファイバ心線３が並列した状態を示す図である。例えば、磁性体配合部９ａにおける磁性体が着磁されていない状態や、着磁されていても互いに吸着されていない状態である。前述したように、光ファイバ心線３同士の非接着部では、光ファイバ心線３は自由に動くことが可能である。このため、光ファイバテープ心線１を曲げた際や捻じった際に、それぞれの光ファイバ心線３の大きなひずみが抑制されるが、光ファイバ心線３同士がばらけてしまい、光ファイバ心線３同士の隙間に異物が挟まるなどの恐れがある。

【0046】

これに対し、図５（ｂ）に示すように、光ファイバテープ心線１の長手方向に対して略全長にわたって磁性体を着磁し、磁性体配合部９ａを磁性部１０とすることで、隣り合う光ファイバ心線３の磁性体配合部９ａ同士を吸着することができる。このため、光ファイバ心線３同士が集合し、非接着部における大きな隙間の形成等を抑制することができる。また、複数の光ファイバテープ心線１を集合させてユニット化する際においても、光ファイバ心線３同士をばらけさせずに、容易に集合させた状態とすることができる。

【0047】

なお、磁性部１０によって光ファイバ心線３同士を吸着させた場合でも、接着部５のように、隣り合う光ファイバ心線３同士を完全に接合して拘束することが無い。このため、光ファイバ心線３は、容易に互いの位置を移動することができ、また、わずかな力で光ファイバ心線３同士の吸着を離すことができる。

【0048】

次に、光ファイバテープ心線１に用いられる光ファイバ心線３の製造方法について説明する。図６（ａ）は、光ファイバ心線３の製造工程の一部を示す概略図である。従来の公知の方法で製造された光ファイバ素線７を略筒状の塗布装置２１を通過させる。この際、塗布装置２１から一部に磁性体を含む樹脂を光ファイバ素線７の外周に被覆して被覆層９を形成する。なお、樹脂としては、例えば紫外線硬化樹脂である。

【0049】

図６（ｂ）は、塗布装置２１の構造を示す図である。塗布装置２１は筒状であって、周方向に分割された複数のダイス２２ａ、２２ｂで構成される。光ファイバ素線７を、塗布装置２１を通過させる際に、一方のダイス２２ａから磁性体を含む樹脂を光ファイバ素線７の外周に被覆するとともに、他方のダイス２２ｂから磁性体を含まない樹脂を光ファイバ素線７の外周に被覆して全周にわたって被覆層９を形成する。このようにすることで、周方向の一部にのみ磁性体配合部９ａを形成することができる。

【0050】

その後、被覆層９が形成された光ファイバ素線７を硬化装置２３に通過させて、被覆層９を硬化させる。硬化装置２３は、被覆層９を構成する樹脂が紫外線硬化樹脂である場合には、紫外線照射装置である。得られた光ファイバ心線３は、公知の方法でボビン等に巻き取られる。以上により光ファイバ心線３を製造することができる。

【0051】

なお、光ファイバテープ心線１は、上述の方法で製造された複数の光ファイバ心線３を集合させて、間欠的に接着剤を塗布して硬化させることで形成することができる。すなわち、光ファイバテープ心線１の製造方法は従来の公知の方法を適用可能である。

【0052】

なお、前述したように、全長にわたって光ファイバテープ心線１を着磁する際には、図６（ｃ）に示すように、光ファイバテープ心線１の搬送ライン上に着磁・消磁装置２５を配置して、連続して着磁すればよい。また、消磁を行う際にも同様に、着磁された光ファイバテープ心線１を着磁・消磁装置２５を通して、消磁することができる。なお、着磁・消磁装置２５は、光ファイバテープ心線の製造ライン上に配置されてもよい。

【0053】

また、光ファイバ心線３を製造する際、又は光ファイバ心線３を製造後、光ファイバテープ心線とする前に、全長にわたって着磁又は消磁することもできる。この場合、複数の光ファイバ心線３を予め着磁装置で着磁させた状態で集合させることで、確実に光ファイバ心線３同士を接触させて整列させることができる。

【0054】

なお、前述した例では、光ファイバ心線３の周方向に１箇所のみ磁性体配合部９ａを形成したが、２箇所に形成してもよい。図７（ａ）は、光ファイバテープ心線１ａを示す図である。光ファイバテープ心線１ａを構成する光ファイバ心線３は、周方向に２箇所の磁性体配合部９ａが形成される。図示した例では、それぞれの光ファイバ心線３において、２箇所の磁性体配合部９ａは互いに対向する位置に配置される。また、光ファイバテープ心線１ａにおいては、光ファイバ心線３の並列方向（図中左右方向）に垂直な方向（図中上下方向）に揃うように磁性体配合部９ａが配置される。

【0055】

光ファイバテープ心線１ａは、光ファイバテープ心線１と同様に、被接着部において、光ファイバ心線３同士が折りたたまれるように集合することもできるが、図７（ｂ）に示すように、複数の光ファイバテープ心線１ａ同士が、互いの磁性体配合部９ａ（磁性部１０）で吸着しあって集合することができる。なお、光ファイバテープ心線１ａ同士は、完全に拘束されないため、ある程度の自由度で移動することができる。

【0056】

同様に、図８（ａ）～図８（ｄ）は、それぞれ光ファイバテープ心線１ｂ～光ファイバテープ心線１ｅを示す図である。光ファイバテープ心線１ｂを構成する光ファイバ心線３は、周方向に３箇所の磁性体配合部９ａが配置される。光ファイバテープ心線１ｃを構成する光ファイバ心線３は、周方向に４箇所の磁性体配合部９ａが配置される。光ファイバテープ心線１ｄを構成する光ファイバ心線３は、周方向に５箇所の磁性体配合部９ａが配置される。光ファイバテープ心線１ｅを構成する光ファイバ心線３は、周方向に６箇所の磁性体配合部９ａが配置される。

【0057】

このように、光ファイバ心線３の周方向において、磁性体配合部９ａは１箇所のみに形成されてもよく、複数箇所に形成されてもよい。この場合には、図６（ｂ）に示す塗布装置２１においてさらに周方向に複数のダイスに分割し、磁性体を含む樹脂と磁性体を含まない樹脂を周方向に交互に被覆すればよい。なお、周方向の複数箇所に磁性体配合部９ａを配置する際には、周方向に均一な間隔で配置されることが望ましい。

【0058】

また、図９（ａ）は、光ファイバテープ心線１ｆを示す図である。光ファイバテープ心線１ｆは、それぞれの光ファイバ心線３において、磁性体が配置される磁性体配合部９ａの周方向の長さが同一ではない。例えば、図示したように並列方向の端に配置される光ファイバ心線３は、他の光ファイバ心線３よりも磁性体配合部９ａの長さが長い。

【0059】

なお、両端のそれぞれの光ファイバ心線３の磁性体配合部９ａの長さを長くしてもよい。このように、少なくとも１本の光ファイバ心線３における磁性体配合部９ａの周方向長さを、他の光ファイバ心線３における磁性体配合部９ａの周方向長さよりも長くしてもよい。なお、図６（ｂ）においてダイス２２ａ、２２ｂの周方向の長さを変えることで、磁性体配合部９ａの長さを変えることができる。

【0060】

図９（ａ）は、複数の光ファイバテープ心線１ｆを構成する光ファイバ心線３がそれぞれ集合した状態を示す図である。図５（ｂ）に示す例では、磁性部１０同士が吸着して光ファイバ心線３同士が集合すると、集合体の外周面側には磁性体配合部９ａが存在しないが，光ファイバテープ心線１ｆでは、光ファイバ心線３同士が折りたたまれて集合しても、集合部の外周面側に磁性体配合部９ａ（磁性部１０）が存在する。このため、それぞれ集合した状態の複数の光ファイバテープ心線１ｆ同士が吸着しあってさらに集合させることができる。この場合でも、光ファイバ心線３の周方向の一部には磁性体が配合されていない部位が存在するため、光ファイバ心線３同士の拘束力が強くなりすぎることを抑制することができる。

【0061】

また、上述した例では、光ファイバテープ心線の全長に磁性部１０を形成したが、図１０（ａ）に示す光ファイバテープ心線１ｇのように、長手方向に間欠的に磁性部１０を配置してもよい。図１０（ａ）に示す例では、周方向の一部において全長にわたって磁性体配合部９ａが形成されているが、その一部にのみ着磁されて磁性部１０が形成される。この場合には、図６（ｃ）の装置において、光ファイバテープ心線が通過する際に、着磁・消磁装置２５を間欠的に動作させればよい。

【0062】

また、図１０（ｂ）に示すように、磁性部１０を長手方向に対して間欠的に形成するとともに、光ファイバ心線によって、磁性部１０の配置を変えてもよい。図１０（ｂ）に示す例では、周方向の一部において全長にわたって磁性体配合部９ａが形成されているが、その一部にのみ着磁されて磁性部１０が形成され、磁性部１０の配置がそれぞれの光ファイバ心線の配置によって異なる。例えば、図示した例では、光ファイバ心線３ａ、３ｂと光ファイバ心線３ｃ、３ｄの磁性部１０が、互いに半ピッチずれるように形成される。このようにすることで、必要に応じて再度全長にわたって着磁して全長にわたって磁性部１０を形成していわゆるフラットケーブルのように扱うこともできる。

【0063】

なお、図１０（ａ）、図１０（ｂ）に示すように、磁性部１０を間欠的に形成する場合でも、長手方向の少なくとも一部において、幅方向の全ての光ファイバ心線３に磁性部１０が形成されて重なり合う部位があることが望ましい。すなわち、それぞれの光ファイバ心線３における、磁性部１０の長手方向の配置範囲が、光ファイバ心線３の並列方向に対して互いに重なり合うことが望ましい。

【0064】

また、上述した例では、長手方向の略全長にわたって、光ファイバ心線３の被覆層９に磁性体を混入させて磁性体配合部９ａを形成し、長手方向の一部のみを着磁して磁性部１０を形成したが、これには限られない。例えば、図１１（ａ）、図１１（ｂ）は、図１０（ａ）、図１０（ｂ）にそれぞれ対応するものであるが、光ファイバテープ心線１ｉ、１ｊは、それぞれ光ファイバ心線３の長手方向に対して間欠的に磁性体配合部９ａが形成される。すなわち、光ファイバ心線３の長手方向に対して、一部の被覆層９には磁性体が添加され、残りの被覆層９には磁性体が添加されていなくてもよい。この場合には、図６（ｃ）において、連続して着磁を行っても、磁性部１０を間欠的に形成することができる。また、一度消磁しても、再度間欠的な磁性部１０を容易に形成することができる。

【0065】

図１２は、このような光ファイバ心線３を製造する工程の一例と示す概略図である。本実施形態では、図６（ａ）の塗布装置２１に代えて、第１の塗布装置２１ａと第２の塗布装置２１ｂとを用いる。図６（ａ）と同様に、光ファイバ素線７を塗布装置２１ａと塗布装置２１ｂとに通過させて、被覆層９を形成するが、塗布装置２１ａと塗布装置２１ｂとによる被覆層９の形成を交互に行う。

【0066】

ここで、塗布装置２１ａは、塗布装置２１と同様に、周方向に分割された複数のダイス２２ａ、２２ｂ（図６（ｂ）参照）で構成された略筒状である。塗布装置２１ａに光ファイバ素線７を通過させる際には、塗布装置２１ａの一部のダイス２２ｂから磁性体を含む樹脂を光ファイバ素線７の外周に被覆し、他のダイス２２ａからは磁性体を含まない樹脂を光ファイバ素線７の外周に被覆する。一方、略筒状の塗布装置２１ｂを通過させる際には、塗布装置２１ｂからは磁性体を含まない樹脂を光ファイバ素線７の全周に被覆する。このようにすることで、間欠的に磁性体配合部９ａを形成することができる。

【0067】

すなわち、図１０（ａ）、図１０（ｂ）に示す光ファイバテープ心線１ｇ、１ｈでは、長手方向に連続して配置される磁性体に対して、部分的に着磁することで磁性部１０を間欠的に設けたが、図１１（ａ）、図１１（ｂ）に示す光ファイバテープ心線１ｉ、１ｊでは、全長にわたって着磁を行っても、磁性部１０を間欠的に配置することができる。なお、磁性体の添加されている磁性体配合部９ａの部位が、例えば、磁性体が添加されていない部位に対して色が異なるようにすることで磁性体の配置位置を把握することができる。

【0068】

なお、光ファイバテープ心線１ｉ、１ｊも、全ての光ファイバ心線３において、それぞれ間欠的に配置された磁性体配合部９ａの長手方向の配置範囲が、光ファイバ心線３の並列方向に対して互いに重なり合うようにすることが望ましい。すなわち、光ファイバテープ心線１ｉ、１ｊの長手方向において、それぞれの光ファイバ心線３の間欠的に配置された磁性体配合部９ａが幅方向で全て揃う部位が存在することが望ましい。

【0069】

以上のように、光ファイバ素線７の長手方向の少なくとも一部において、塗布装置の一部から磁性体を含む樹脂を光ファイバ素線７の外周に被覆して被覆層９を形成することで、光ファイバ心線３の長手方向の少なくとも一部において、被覆層９の周方向の一部に、磁性体が含まれている磁性体配合部９ａを有する光ファイバ心線３を得ることができる。

【0070】

次に、光ファイバテープ心線１を用いた光ファイバケーブルについて説明する。図１３は、光ファイバテープ心線１を用いた光ファイバケーブル３０を示す概略図である。なお、光ファイバテープ心線１を用いた例を説明するが、他の光ファイバテープ心線にも適用可能である。複数の光ファイバテープ心線１が撚り合わせられて、光ファイバユニット３５が形成される。また、さらに複数の光ファイバユニット３５が撚り合わせられてコアが形成され、外周に押さえ巻き３７が縦添え巻きで巻き付けられる。

【0071】

押さえ巻き３７の外周には、一対の引き裂き紐３１がコアを挟んで対向する位置に配置される。また、押さえ巻き３７の外部であって、引き裂き紐３１の対向位置とは異なる位置に、一対のテンションメンバ３９がコアを挟んで対向する位置に配置される。押さえ巻きの外周であって、引き裂き紐３１及びテンションメンバ３９を一括して被覆するように外被３３が形成される。なお、光ファイバケーブルの断面形態や、光ファイバ心線の心数は図示した例には限られない。

【0072】

光ファイバケーブル３０においては、光ファイバテープ心線１は、全て消磁されていてもよい。すなわち、それぞれの光ファイバ心線３が自由に移動可能としてもよい。この場合には、例えば、光ファイバテープ心線１を集合させる際に、着磁・消磁装置２５によってそれぞれの光ファイバテープ心線１を消磁すればよい。また、光ファイバケーブル３０においては、光ファイバテープ心線１は、長手方向の少なくとも一部が着磁されていてもよい。この場合には、例えば、光ファイバテープ心線１を集合させる際に、着磁・消磁装置２５によって光ファイバテープ心線１の全長の一部又は全長を着磁すればよい。

【0073】

以上、本実施形態によれば、光ファイバ心線３の被覆層９に磁性体が含まれているため、着磁することで、互いに吸着させることができる。このため、光ファイバ心線３同士がばらけることを抑制することができる。この際、光ファイバ心線３の被覆層９の周方向の一部にのみ磁性体が配置されるため、着磁しても周方向の一部には磁性部１０が形成されることがない。このため、光ファイバ心線３同士が吸着されない部位を残すことができ、光ファイバ心線３同士が過剰に拘束されることを抑制することができる。

【0074】

また、光ファイバホルダ１１に光ファイバ心線３を保持させる際にも、磁石１７が配置されているため、光ファイバ心線３の浮き上がり等が抑制され、光ファイバ心線３同士を確実に整列させることができる。この際、光ファイバ心線３の先端部近傍が着磁されていれば、より強い力で吸着させることができる。また、磁石１７を取り外すことで、光ファイバ心線３を本体部１３から取り外すのが容易となる。

【0075】

また、光ファイバ心線３は、必要のない場合には磁性体を消磁することで、通常の光ファイバ心線と同様に取り扱うことができる。

【0076】

また、光ファイバ素線７を、周方向に分割された複数のダイス２２ａ、２２ｂで構成された塗布装置２１を通過させ、長手方向の少なくとの一部において、一方のダイス２２ａから磁性体を含む樹脂を光ファイバ素線７の外周に被覆するとともに、他のダイス２２ｂから磁性体を含まない樹脂を光ファイバ素線７の外周に被覆して被覆層を形成することで、周方向の一部に磁性体が配合された光ファイバ心線３を得ることができる。さらに、複数の塗布装置２１ａ、２１ｂを交互に用いることで、光ファイバ心線３の全長ではなく間欠的に磁性部１０を容易に形成することができる。このため、光ファイバ心線３の長手方向に対して、間欠的に非磁性部を形成することができる。

【0077】

以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

【符号の説明】

【0078】

１、１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄ、１ｅ、１ｆ、１ｇ、１ｈ、１ｉ、１ｊ………光ファイバテープ心線
３、３ａ～３ｄ………光ファイバ心線
５………接着部
７………光ファイバ素線
９………被覆層
９ａ………磁性体配合部
１０……磁性部
１１………光ファイバホルダ
１３………本体部
１５………蓋部
１７………磁石
１９………溝
１９ａ………Ｖ溝
２１、２１ａ、２１ｂ………塗布装置
２３………硬化装置
２５………着磁・消磁装置
３０………光ファイバケーブル
３１………引き裂き紐
３３………外被
３５………光ファイバユニット
３７………押さえ巻き
３９………テンションメンバ

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】