(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115083
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240819BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
H01L21/302 101L
H01L21/302 101B
H05H1/46 A
H05H1/46 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020558
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(74)【代理人】
【識別番号】100131598
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 和宗
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】山邊 周平
(72)【発明者】
【氏名】俵 和真
(72)【発明者】
【氏名】原 祐太
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084BB02
2G084BB05
2G084BB07
2G084BB14
2G084BB23
2G084CC02
2G084CC03
2G084CC05
2G084CC06
2G084CC08
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC15
2G084CC16
2G084CC17
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD23
2G084DD24
2G084DD38
2G084DD55
2G084FF04
2G084FF07
2G084FF13
2G084FF15
2G084FF38
2G084FF39
5F004AA16
5F004BA09
5F004BB12
5F004BB23
5F004BB28
5F004BB29
5F004CA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】プラズマ処理装置のチャンバ内において、基板支持部上の基板のエッジ付近におけるプラズマ密度を向上するプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】プラズマ処理装置1において、チャンバ10は、プラズマ暴露面210aを有し、p型シリコン材料で形成される内側エッジリング210及びn型シリコン材料で形成される外側エッジリング211を含む基板支持部11と、p型シリコン材料で形成される上部電極プレート200と、n型シリコン材料で形成される上部環状プレート201と、n型シリコン材料で形成される環状バッフルプレート202と、プラズマ暴露面203aを有し、n型シリコン材料で形成され、チャンバ内で環状バッフルプレート202のエッジ領域近傍から上方に延在するライナ203と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
前記チャンバ内でプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、
前記チャンバ内に配置される基板支持部であって、前記基板支持部は、
プラズマ暴露面を有し、p型シリコン材料で形成される内側エッジリングと、
プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される外側エッジリングと、
を含む、前記基板支持部と、
前記基板支持部の上方に配置される上部電極プレートであって、前記上部電極プレートと前記基板支持部との間に前記プラズマが生成され、前記上部電極プレートは、プラズマ暴露面を有し、p型シリコン材料で形成される、前記上部電極プレートと、
前記上部電極プレートを囲むように配置される上部環状プレートであって、前記上部環状プレートは、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される、前記上部環状プレートと、
前記チャンバ内で前記基板支持部を囲むように配置される環状バッフルプレートであって、前記環状バッフルプレートは、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される、前記環状バッフルプレートと、
前記チャンバ内で前記環状バッフルプレートのエッジ領域近傍から上方に延在するライナであって、前記ライナは、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される、前記ライナと、
を含む、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記外側エッジリングは、前記内側エッジリングから離れている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記外側エッジリングと前記内側エッジリングとの間に配置される絶縁リングを更に含む、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記上部環状プレートは、前記上部電極プレートから離れている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記上部環状プレートと前記上部電極プレートとの間に配置される絶縁リングを更に含む、請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記上部環状プレートは、平面視で前記基板支持部上の基板よりも外側に配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記上部環状プレートは、接地電位に接続されている、請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
チャンバと、
前記チャンバ内でプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、
前記チャンバ内に配置される基板支持部であって、前記基板支持部は、プラズマ暴露面を有する内側エッジリングと、プラズマ暴露面を有する外側エッジリングと、を含む、前記基板支持部と、
前記基板支持部の上方に配置される上部電極プレートであって、前記上部電極プレートと前記基板支持部との間に前記プラズマが生成され、前記上部電極プレートは、プラズマ暴露面を有する、前記上部電極プレートと、
前記上部電極プレートを囲むように配置され、プラズマ暴露面を有する上部環状プレートと、
前記チャンバ内で前記基板支持部を囲むように配置され、プラズマ暴露面を有する環状バッフルプレートと、
前記チャンバ内で前記環状バッフルプレートのエッジ領域近傍から上方に延在し、プラズマ暴露面を有するライナと、を含み、
前記外側エッジリング、前記上部環状プレート、前記環状バッフルプレート、前記ライナのうち少なくとも1つは、n型シリコン材料で形成されている、プラズマ処理装置。
【請求項9】
前記内側エッジリングは、p型シリコン材料で形成され、
前記上部電極プレートは、p型シリコン材料で形成されている、請求項8に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記外側エッジリングは、n型シリコン材料で形成され、前記内側エッジリングから離れている、請求項9に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記外側エッジリングと前記内側エッジリングとの間に配置される絶縁リングを更に含む、請求項10に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記上部環状プレートは、n型シリコン材料で形成され、前記上部電極プレートから離れている、請求項9に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記上部環状プレートと前記上部電極プレートとの間に配置される絶縁リングを更に含む、請求項12に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
前記上部環状プレートは、平面視で前記基板支持部上の基板よりも外側に配置されている、請求項8から13のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項15】
前記上部環状プレートは、接地電位に接続されている、請求項14に記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
チャンバと、
前記チャンバ内でプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、
前記チャンバ内に配置される基板支持部であって、前記基板支持部は、
プラズマ暴露面を有し、p型シリコン材料で形成される内側エッジリングと、
プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される外側エッジリングと、
を含む、前記基板支持部と、
前記チャンバ内で前記基板支持部を囲むように配置される環状バッフルプレートであって、前記環状バッフルプレートは、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される、前記環状バッフルプレートと、
前記チャンバ内で前記環状バッフルプレートのエッジ領域近傍から上方に延在するライナであって、前記ライナは、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される、前記ライナと、
を含む、プラズマ処理装置。
【請求項17】
前記外側エッジリングは、前記内側エッジリングから離れている、請求項16に記載のプラズマ処理装置。
【請求項18】
前記外側エッジリングと前記内側エッジリングとの間に配置される絶縁リングを更に含む、請求項17に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理システムにおいて使用するための交換可能なチャンバ要素に関する技術として、特許文献1に記載された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公報第2013/0200494号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、プラズマ処理装置のチャンバ内において、基板支持部上の基板のエッジ付近におけるプラズマ密度を向上する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一つの例示的実施形態におけるプラズマ処理装置は、チャンバと、チャンバ内でプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、チャンバ内に配置される基板支持部であって、基板支持部は、プラズマ暴露面を有し、p型シリコン材料で形成される内側エッジリングと、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される外側エッジリングと、を含む、基板支持部と、基板支持部の上方に配置される上部電極プレートであって、上部電極プレートと基板支持部との間にプラズマが生成され、上部電極プレートは、プラズマ暴露面を有し、p型シリコン材料で形成される、上部電極プレートと、上部電極プレートを囲むように配置される上部環状プレートであって、上部環状プレートは、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される、上部環状プレートと、チャンバ内で基板支持部を囲むように配置される環状バッフルプレートであって、環状バッフルプレートは、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される、環状バッフルプレートと、チャンバ内で環状バッフルプレートのエッジ領域近傍から上方に延在するライナであって、ライナは、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される、ライナと、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一つの例示的実施形態によれば、プラズマ処理装置のチャンバ内において、基板支持部上の基板のエッジ付近におけるプラズマ密度を向上する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。
【
図2】プラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【
図3】一実施形態におけるチャンバ内の構造を平面視で示す説明図である。
【
図4】一実施形態における基板支持部のエッジ領域の構造を示す説明図である。
【
図5】一実施形態における基板支持部のエッジ領域の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の各実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、チャンバと、チャンバ内でプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、チャンバ内に配置される基板支持部であって、基板支持部は、プラズマ暴露面を有し、p型シリコン材料で形成される内側エッジリングと、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される外側エッジリングと、を含む、基板支持部と、基板支持部の上方に配置される上部電極プレートであって、上部電極プレートと基板支持部との間にプラズマが生成され、上部電極プレートは、プラズマ暴露面を有し、p型シリコン材料で形成される、上部電極プレートと、上部電極プレートを囲むように配置される上部環状プレートであって、上部環状プレートは、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される、上部環状プレートと、チャンバ内で基板支持部を囲むように配置される環状バッフルプレートであって、環状バッフルプレートは、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される、環状バッフルプレートと、チャンバ内で環状バッフルプレートのエッジ領域近傍から上方に延在するライナであって、ライナは、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される、ライナと、を含む、プラズマ処理装置が提供される。
【0010】
一つの例示的実施形態において、外側エッジリングは、内側エッジリングから離れている。
【0011】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、外側エッジリングと内側エッジリングとの間に配置される絶縁リングを更に含む。
【0012】
一つの例示的実施形態において、上部環状プレートは、上部電極プレートから離れている。
【0013】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、上部環状プレートと上部電極プレートとの間に配置される絶縁リングを更に含む。
【0014】
一つの例示的実施形態において、上部環状プレートは、平面視で基板支持部上の基板よりも外側に配置されている。
【0015】
一つの例示的実施形態において、上部環状プレートは、接地電位に接続されている。
【0016】
一つの例示的実施形態において、チャンバと、チャンバ内でプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、チャンバ内に配置される基板支持部であって、基板支持部は、プラズマ暴露面を有する内側エッジリングと、プラズマ暴露面を有する外側エッジリングと、を含む、基板支持部と、基板支持部の上方に配置される上部電極プレートであって、上部電極プレートと基板支持部との間にプラズマが生成され、上部電極プレートは、プラズマ暴露面を有する、上部電極プレートと、上部電極プレートを囲むように配置され、プラズマ暴露面を有する上部環状プレートと、チャンバ内で基板支持部を囲むように配置され、プラズマ暴露面を有する環状バッフルプレートと、チャンバ内で環状バッフルプレートのエッジ領域近傍から上方に延在し、プラズマ暴露面を有するライナと、を含み、外側エッジリング、上部環状プレート、環状バッフルプレート、ライナのうち少なくとも1つは、n型シリコン材料で形成されている、プラズマ処理装置が提供される。
【0017】
一つの例示的実施形態において、内側エッジリングは、p型シリコン材料で形成され、上部電極プレートは、p型シリコン材料で形成されている。
【0018】
一つの例示的実施形態において、外側エッジリングは、n型シリコン材料で形成され、内側エッジリングから離れている。
【0019】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、外側エッジリングと内側エッジリングとの間に配置される絶縁リングを更に含む。
【0020】
一つの例示的実施形態において、上部環状プレートは、n型シリコン材料で形成され、上部電極プレートから離れている。
【0021】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、上部環状プレートと上部電極プレートとの間に配置される絶縁リングを更に含む。
【0022】
一つの例示的実施形態において、上部環状プレートは、平面視で基板支持部上の基板よりも外側に配置されている。
【0023】
一つの例示的実施形態において、上部環状プレートは、接地電位に接続されている。
【0024】
一つの例示的実施形態において、チャンバと、チャンバ内でプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、チャンバ内に配置される基板支持部であって、基板支持部は、プラズマ暴露面を有し、p型シリコン材料で形成される内側エッジリングと、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される外側エッジリングと、を含む、基板支持部と、チャンバ内で基板支持部を囲むように配置される環状バッフルプレートであって、環状バッフルプレートは、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される、環状バッフルプレートと、チャンバ内で環状バッフルプレートのエッジ領域近傍から上方に延在するライナであって、ライナは、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される、ライナと、を含む、プラズマ処理装置。
【0025】
一つの例示的実施形態において、外側エッジリングは、内側エッジリングから離れている。
【0026】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、外側エッジリングと内側エッジリングとの間に配置される絶縁リングを更に含む。
【0027】
以下、図面を参照して、本開示の各実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一または同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づいて上下左右等の位置関係を説明する。図面の寸法比率は実際の比率を示すものではなく、また、実際の比率は図示の比率に限られるものではない。
【0028】
<プラズマ処理装置1の一例>
図1は、プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理システムは、基板処理システムの一例であり、プラズマ処理装置1は、基板処理装置の一例である。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ(以下、「チャンバ」ともいう。)10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0029】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(Radio Frequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、 100kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0030】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aを含んでもよい。コンピュータ2aは、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)2a1、記憶部2a2、及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0031】
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合型のプラズマ処理装置の構成例について説明する。
図2は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0032】
容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)10dの少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10とは電気的に絶縁される。
【0033】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0034】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、RF又はDC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよく、この場合、RF又はDC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号又はDC信号がRF又はDC電極に接続される場合、RF又はDC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材とRF又はDC電極との両方が2つの下部電極として機能してもよい。
【0035】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、リングアセンブリ112は、後述の内側エッジリング210及び外側エッジリング211を含む。
【0036】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110 内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0037】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0038】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0039】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0040】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0041】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0042】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0043】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。この場合、DCに基づく電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0044】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0045】
<チャンバ10の内部構造>
図2に示すように、プラズマ処理装置1は、チャンバ10内のプラズマ処理空間10sの周囲に、基板支持部11と、上部電極プレート200と、上部環状プレート201と、環状バッフルプレート202と、ライナ203とを有している。
【0046】
図3は、一実施形態におけるチャンバ10内の構造を平面視で示す図である。一実施形態において、
図2及び
図3に示すように、基板支持部11は、本体部111の中央領域111aを囲むように配置された内側エッジリング210と、外側エッジリング211を有している。
【0047】
内側エッジリング210は、円環状に形成されてよい。内側エッジリング210は、環状領域111b上に配置されてよい。一実施形態において、内側エッジリング210は、プラズマ処理空間10sに面する上面を有し、当該上面がプラズマ暴露面210aを構成している。一実施形態において、内側エッジリング210は、p型シリコン材料で形成されている。p型シリコン材料は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)及びガリウム(Ga)のような3価の原子を不純物として含む(ドープした)シリコン材料である。一実施形態において、p型シリコン材料は、ホウ素をドープしたシリコン材料である。内側エッジリング210は、1又は複数の環状部材から構成されていてよい。
【0048】
外側エッジリング211は、内側エッジリング210を囲むように配置されてよい。一実施形態において、外側エッジリング211は、内側エッジリング210よりも径が大きい円環状に形成されている。
図4は、一実施形態における基板支持部11のエッジ領域の構造を示す説明図である。一実施形態において、
図2及び
図4に示すように、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を囲む環状絶縁部材230を有している。外側エッジリング211は、環状絶縁部材230上に配置されてよい。
図4に示すように、外側エッジリング211は、内側エッジリング210から離れている。つまり、外側エッジリング211は、内側エッジリング210と接触していない。一実施形態において、外側エッジリング211と内側エッジリング210との間に隙間231が形成されている。外側エッジリング211は、内側エッジリング210と電気的に絶縁されていてよい。さらに外側エッジリング211は、静電チャック1111に接しておらず、環状絶縁部材230により静電チャック1111と絶縁されてよい。
【0049】
一実施形態において、
図2及び
図4に示すように、外側エッジリング211は、プラズマ処理空間10sに面する上面を有し、当該上面がプラズマ暴露面211aを構成している。
【0050】
一実施形態において、外側エッジリング211は、n型シリコン材料で形成されている。n型シリコン材料は、リン(P)及びヒ素(As)のような5価の原子を不純物として含むシリコン材料である。一実施形態において、n型シリコン材料は、リンをドープしたシリコン材料である。外側エッジリング211は、1又は複数の環状部材から構成されていてよい。
【0051】
図2及び
図3に示すように、環状バッフルプレート202は、基板支持部11を囲むように配置されてよい。環状バッフルプレート202は、基板支持部11から側壁10a付近まで水平方向に延在している。一実施形態において、環状バッフルプレート202は、円環状の薄い板形状を有している。環状バッフルプレート202は、板面を上方に向けた状態で配置されていてよい。
【0052】
一実施形態において、
図2及び
図4に示すように、本体部111は、環状絶縁部材230を囲む環状支持部材240を有している。環状バッフルプレート202の内側端部は、環状支持部材240上に支持されてよい。
【0053】
環状バッフルプレート202は、複数の通気口250を有していてよい。複数の通気口250は、環状バッフルプレート202の上面から下面まで上下方向に貫通してよい。一実施形態において、
図3に示すように、複数の通気口250は、環状バッフルプレート202の全周にわたり設けられてよい。
【0054】
一実施形態において、
図2及び
図4に示すように、環状バッフルプレート202は、プラズマ処理空間10sに面する上面を有し、当該上面がプラズマ暴露面202aを構成している。一実施形態において、
図2に示すように、環状バッフルプレート202の下方には、環状バッフルプレート202、チャンバ10の側壁10a及び環状支持部材240で囲まれる排気空間10bが形成され、当該排気空間10bは、排気システム40のガス排出口10eに通じている。
【0055】
一実施形態において、環状バッフルプレート202は、n型シリコン材料で形成されている。
【0056】
一実施形態において、
図2に示すように、ライナ203は、環状バッフルプレート202のエッジ領域近傍から上方に延在している。ライナ203は、円筒形状を有してよい。ライナ203は、基板支持部11や環状バッフルプレート202と同心円状に配置されていてよい。ライナ203は、環状バッフルプレート202の外側端部上に配置されていてよい。ライナ203は、チャンバ10の側壁10aに沿って、チャンバ10の天部10dまで延設されていてよい。一実施形態において、ライナ203は、プラズマ処理空間10sの水平方向の側方に位置し、プラズマ処理空間10sに露出している。一実施形態において、ライナ203は、プラズマ処理空間10sに面する内側面を有し、当該内側面がプラズマ暴露面203aを構成している。ライナ203は、環状バッフルプレート202と一体化されてもよい。ライナ203は、環状バッフルプレート202と離れていてもよい。
【0057】
一実施形態において、ライナ203は、n型シリコン材料で形成されている。
【0058】
一実施形態において、
図2に示すように、上部電極プレート200は、基板支持部11の上方に配置されている。上部電極プレート200は、シャワーヘッド13に含まれてよい。上部電極プレート200は、略円盤形状を有してよい。上部電極プレート200は、RF電源31及びDC電源32の少なくとも一つに接続され得る。上部電極プレート200は、プラズマ生成部12により生成されるプラズマが基板支持部11との間に生成されるように配置されていてよい。
【0059】
一実施形態において、上部電極プレート200は、プラズマ処理空間10sに面する下面を有し、当該下面がプラズマ暴露面200aを構成している。一実施形態において、上部電極プレート200は、p型シリコン材料で形成されている。
【0060】
一実施形態において、上部環状プレート201は、上部電極プレート200を囲むように配置されている。上部環状プレート201は、上部電極プレート200よりも外径が大きい円環状に形成されてよい。上部環状プレート201は、平面視で基板支持部11上の基板Wよりも外側に配置されてよい。上部環状プレート201は、上部電極プレート200から離れている。つまり、上部環状プレート201は、上部電極プレート200と接触していない。上部環状プレート201と上部電極プレート200との間には、上部環状絶縁部材260が設けられてよい。上部環状絶縁部材260は、絶縁リングの一例である。上部環状プレート201は、上部環状絶縁部材260により上部電極プレート200と電気的に絶縁されていてよい。さらに上部電極プレート200は、上部環状絶縁部材260によりチャンバ10の側壁10aと電気的に絶縁されてよい。なお、上部環状プレート201と上部電極プレート200との間には、上部環状絶縁部材260が設けられず、隙間があってよい。
【0061】
一実施形態において、上部環状プレート201は、プラズマ処理空間10sに面する下面を有し、当該下面がプラズマ暴露面201aを構成している。一実施形態において、上部環状プレート201は、n型シリコン材料で形成されている。
【0062】
上部環状プレート201は、チャンバ10の側壁10aに接触してよい。上部環状プレート201は、チャンバ10を介して接地電位に接続されてよい。
【0063】
<プラズマ処理方法の一例>
プラズマ処理装置1で行われるプラズマ処理方法は、プラズマを用いて基板W上の膜をエッチングするエッチング処理を含む。一実施形態において、プラズマ処理方法は、制御部2により実行される。
【0064】
先ず、基板Wが、搬送アームによりチャンバ10内に搬入され、リフターにより基板支持部11に載置され、
図1に示すように基板支持部11上に吸着保持される。
【0065】
次に、処理ガスが、ガス供給部20によりシャワーヘッド13に供給され、シャワーヘッド13からプラズマ処理空間10sに供給される。このとき供給される処理ガスは、基板Wのエッチング処理のために必要な活性種を生成するガスを含む。
【0066】
1又は複数のRF信号がRF電源31から上部電極80及び/又は下部電極に供給される。プラズマ処理空間10s内の雰囲気はガス排出口10eから排気され、プラズマ処理空間10sの内部は減圧されてもよい。これにより、プラズマ処理空間10sにプラズマが生成され、基板Wがエッチング処理される。
【0067】
本例示的実施形態によれば、基板支持部の内側エッジリング210は、p型シリコン材料で形成され、外側エッジリング211は、n型シリコン材料で形成され、上部電極プレート200は、p型シリコン材料で形成され、上部環状プレート201は、n型シリコン材料で形成されている。そして、環状バッフルプレート202は、n型シリコン材料で形成され、ライナ203は、n型シリコン材料で形成されている。
【0068】
プラズマに曝された際には、n型シリコン材料を含む部材の電子放出量は、p型シリコン材料を含む部材の電子放出量よりも多くなる。このため、プラズマ処理空間10sにプラズマが生成された際には、n型シリコン材料を含む部材の周辺領域では、プラズマ密度が上昇する。この結果、外側エッジリング211、上部環状プレート201、環状バッフルプレート202及びライナ203をn型シリコン材料で形成することにより、これらの部材周辺のプラズマ密度を上昇させることができる。これにより、基板Wに対するプラズマ処理を効果的に行うことができる。一方、プラズマに曝された際のp型シリコン材料を含む部材の消耗量は、n型シリコン材料を含む部材の消耗量よりも少なくなる。また、プラズマ発生時における、p型シリコン材料を含む部材における放電発生リスクは、n型シリコン材料を含む部材における放電発生リスクよりも小さくなる。内側エッジリング210及び上部電極プレート200をp型シリコン材料で形成することにより、これらの部材の消耗量を低減することができ、放電発生リスクも低減することができる。
【0069】
外側エッジリング211、上部環状プレート201、環状バッフルプレート202及びライナ203は、プラズマ処理空間10sにおいて基板支持部11上にある基板Wのエッジ領域周辺に位置する。これらの上部環状プレート201、外側エッジリング211、環状バッフルプレート202及びライナ203をn型シリコン材料で形成することにより、基板Wのエッジ領域におけるプラズマ密度を上昇させ、これにより基板面内におけるプラズマ処理の均一性を向上することができる。また、チャンバ10内における基板Wのエッジ領域周辺の部材には、プラズマを制御する電位を印加することが難しいため、部材をn型シリコン材料で形成することでプラズマ密度を向上させることは効果的である。
【0070】
n型シリコン材料で形成された外側エッジリング211が、p型シリコン材料で形成された内側エッジリング210に接触しないので、外側エッジリング211から放出する電子が内側エッジリング210に伝わりにくくなる。その結果、内側エッジリング210における消耗や放電発生リスクを低減することができる。
【0071】
n型シリコン材料で形成された上部環状プレート201が、p型シリコン材料で形成された上部電極プレート200に接触しないので、上部環状プレート201から放出する電子が上部電極プレート200に伝わりにくくなる。その結果、上部電極プレート200における消耗や放電発生リスクを低減することができる。上部環状プレート201と上部電極プレート200との間に上部環状絶縁部材260が配置されているので、上部環状プレート201の放出電子が上部電極プレート200に伝わることを抑制することができる。
【0072】
図5は、一実施形態における基板支持部11のエッジ領域の構成を示す説明図である。
図5に示すように、外側エッジリング211と内側エッジリング210との間に絶縁リング300が配置されてよい。絶縁リング300は、環状絶縁部材230上に配置され、外側エッジリング211と内側エッジリング210との間の隙間を埋めるものであってもよい。絶縁リング300は、環状絶縁部材230と一体化されていてよい。かかる場合、内側エッジリング210が、外側エッジリング211の放出電子の影響を受けて摩耗することが抑制される。また、外側エッジリング211の放出電子の影響を受けて内側エッジリング210で放電発生リスクが高まることを抑制することができる。
【0073】
なお、一実施形態において、外側エッジリング211、上部環状プレート201、環状バッフルプレート202及びライナ203が、n型シリコン材料で形成されていたが、これらの部材のうち一つ、或いは複数がn型シリコン材料で形成され、残りの部材が、他の材料、例えばp型シリコン材料で形成されていてよい。n型シリコン材料で形成される複数の部材の組み合わせは、外側エッジリング211、上部環状プレート201、環状バッフルプレート202及びライナ203から選択される全ての組み合わせを含む。
【0074】
以上の例示的実施形態において、プラズマ処理方法及びプラズマ処理装置は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく種々の変形をなし得る。例えば、当業者の通常の創作能力の範囲内で、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態に追加することができる。また、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態の対応する構成要素と置換することができる。本開示は、例えば、以下の構成を含み得る。
【0075】
(付記1)
チャンバと、
前記チャンバ内でプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、
前記チャンバ内に配置される基板支持部であって、前記基板支持部は、
プラズマ暴露面を有し、p型シリコン材料で形成される内側エッジリングと、
プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される外側エッジリングと、
を含む、前記基板支持部と、
前記基板支持部の上方に配置される上部電極プレートであって、前記上部電極プレートと前記基板支持部との間に前記プラズマが生成され、前記上部電極プレートは、プラズマ暴露面を有し、p型シリコン材料で形成される、前記上部電極プレートと、
前記上部電極プレートを囲むように配置される上部環状プレートであって、前記上部環状プレートは、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される、前記上部環状プレートと、
前記チャンバ内で前記基板支持部を囲むように配置される環状バッフルプレートであって、前記環状バッフルプレートは、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される、前記環状バッフルプレートと、
前記チャンバ内で前記環状バッフルプレートのエッジ領域近傍から上方に延在するライナであって、前記ライナは、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される、前記ライナと、
を含む、プラズマ処理装置。
【0076】
(付記2)
前記外側エッジリングは、前記内側エッジリングから離れている、付記1に記載のプラズマ処理装置。
【0077】
(付記3)
前記外側エッジリングと前記内側エッジリングとの間に配置される絶縁リングを更に含む、付記2に記載のプラズマ処理装置。
【0078】
(付記4)
前記上部環状プレートは、前記上部電極プレートから離れている、付記1から3のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0079】
(付記5)
前記上部環状プレートと前記上部電極プレートとの間に配置される絶縁リングを更に含む、付記4に記載のプラズマ処理装置。
【0080】
(付記6)
前記上部環状プレートは、平面視で前記基板支持部上の基板よりも外側に配置されている、付記1から5のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0081】
(付記7)
前記上部環状プレートは、接地電位に接続されている、付記1から6のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0082】
(付記8)
チャンバと、
前記チャンバ内でプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、
前記チャンバ内に配置される基板支持部であって、前記基板支持部は、プラズマ暴露面を有する内側エッジリングと、プラズマ暴露面を有する外側エッジリングと、を含む、前記基板支持部と、
前記基板支持部の上方に配置される上部電極プレートであって、前記上部電極プレートと前記基板支持部との間に前記プラズマが生成され、前記上部電極プレートは、プラズマ暴露面を有する、前記上部電極プレートと、
前記上部電極プレートを囲むように配置され、プラズマ暴露面を有する上部環状プレートと、
前記チャンバ内で前記基板支持部を囲むように配置され、プラズマ暴露面を有する環状バッフルプレートと、
前記チャンバ内で前記環状バッフルプレートのエッジ領域近傍から上方に延在し、プラズマ暴露面を有するライナと、を含み、
前記外側エッジリング、前記上部環状プレート、前記環状バッフルプレート、前記ライナのうち少なくとも1つは、n型シリコン材料で形成されている、プラズマ処理装置。
【0083】
(付記9)
前記内側エッジリングは、p型シリコン材料で形成され、
前記上部電極プレートは、p型シリコン材料で形成されている、付記8に記載のプラズマ処理装置。
【0084】
(付記10)
前記外側エッジリングは、n型シリコン材料で形成され、前記内側エッジリングから離れている、付記9に記載のプラズマ処理装置。
【0085】
(付記11)
前記外側エッジリングと前記内側エッジリングとの間に配置される絶縁リングを更に含む、付記10に記載のプラズマ処理装置。
【0086】
(付記12)
前記上部環状プレートは、n型シリコン材料で形成され、前記上部電極プレートから離れている、付記9から11のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0087】
(付記13)
前記上部環状プレートと前記上部電極プレートとの間に配置される絶縁リングを更に含む、付記12に記載のプラズマ処理装置。
【0088】
(付記14)
前記上部環状プレートは、平面視で前記基板支持部上の基板よりも外側に配置されている、付記8から13のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0089】
(付記15)
前記上部環状プレートは、接地電位に接続されている、付記8から14のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0090】
(付記16)
チャンバと、
前記チャンバ内でプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、
前記チャンバ内に配置される基板支持部であって、前記基板支持部は、
プラズマ暴露面を有し、p型シリコン材料で形成される内側エッジリングと、
プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される外側エッジリングと、
を含む、前記基板支持部と、
前記チャンバ内で前記基板支持部を囲むように配置される環状バッフルプレートであって、前記環状バッフルプレートは、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される、前記環状バッフルプレートと、
前記チャンバ内で前記環状バッフルプレートのエッジ領域近傍から上方に延在するライナであって、前記ライナは、プラズマ暴露面を有し、n型シリコン材料で形成される、前記ライナと、
を含む、プラズマ処理装置。
【0091】
(付記17)
前記外側エッジリングは、前記内側エッジリングから離れている、付記16に記載のプラズマ処理装置。
【0092】
(付記18)
前記外側エッジリングと前記内側エッジリングとの間に配置される絶縁リングを更に含む、付記17に記載のプラズマ処理装置。
【符号の説明】
【0093】
1……プラズマ処理装置、10……チャンバ、11……基板支持部、12……プラズマ生成部、200……上部電極プレート、200a……プラズマ暴露面、201……上部環状プレート、201a……プラズマ暴露面、202……環状バッフルプレート、202a……プラズマ暴露面、203……ライナ、203a……プラズマ暴露面、210……内側エッジリング、211……外側エッジリング、W…基板