(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115200
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240819BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240819BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20240819BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20240819BHJP
C23C 16/509 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/302 101G
H01L21/205
H05H1/46 M
C23C16/455
C23C16/509
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020762
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】李 超
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 久
(72)【発明者】
【氏名】小倉 輝
(72)【発明者】
【氏名】辻本 宏
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA05
2G084BB30
2G084CC03
2G084CC04
2G084CC05
2G084CC08
2G084CC12
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD23
2G084DD24
2G084DD37
2G084DD38
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2G084FF13
2G084FF15
2G084FF32
2G084HH09
2G084HH35
2G084HH45
4K030EA05
4K030EA06
4K030EA11
4K030FA03
4K030HA12
4K030KA39
4K030KA41
5F004BA09
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB23
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5F045AA08
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5F045EH05
5F045EH13
5F045EH20
5F045EJ05
5F045GB06
(57)【要約】
【課題】プラズマ処理装置のクーリングプレートの表面形状を適切に予測し、プラズマ処理の安定性を向上させる。
【解決手段】プラズマ処理装置の制御部は、(a)電極プレートからチャンバ内にガスを導入し、圧力計で当該チャンバ内の圧力を測定する工程と、(b)圧力計の測定結果に基づいて、APCバルブの開度を調整する工程と、(c)APCバルブの開度に基づいて、クーリングプレートの表面形状を予測する工程と、を含む処理を実行するように構成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
前記チャンバ内に配置される基板支持部と、
前記チャンバ内で前記基板支持部に対向して配置され、ガス導入口が形成された電極プレートと、
前記電極プレートの上方に配置され、当該電極プレートを支持するクーリングプレートと、
前記チャンバ内の圧力を制御するAPCバルブと、
前記チャンバ内の圧力を測定する圧力計と、
前記チャンバ内でプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(a)前記電極プレートから前記チャンバ内にガスを導入し、前記圧力計で当該チャンバ内の圧力を測定する工程と、
(b)前記圧力計の測定結果に基づいて、前記APCバルブの開度を調整する工程と、
(c)前記APCバルブの開度に基づいて、前記クーリングプレートの表面形状を予測する工程と、
を含む処理を実行するように構成される、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記(a)工程において、前記基板支持部に基板が支持された状態で、第1のレシピでプラズマを生成するように構成される、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記(a)工程において、前記基板支持部に基板が支持されていない状態で、第2のレシピでプラズマを生成するように構成される、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、(d)前記クーリングプレートの表面形状の予測結果に基づいて、当該クーリングプレートの交換時期を予測する工程を実行するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、(d)前記APCバルブの開度に基づいて、当該クーリングプレートの交換時期を予測する工程を実行するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記(c)工程において前記APCバルブの開度が変動しない場合、前記クーリングプレートの表面形状が変形していないと予測し、
前記(c)工程において前記APCバルブの開度が変動する場合、前記クーリングプレートの表面形状が変形していると予測する、請求項1~3のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記APCバルブは、前記チャンバの下部に配置され、
前記圧力計は、前記チャンバの上部に配置さられる、請求項1~3のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記電極プレートは、前記クーリングプレートにクランプで支持される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記電極プレートはシリコン製である、請求項1~3のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記クーリングプレートはアルミニウム製である、請求項1~3のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
プラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法であって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配置される基板支持部と、
前記チャンバ内で前記基板支持部に対向して配置され、ガス導入口が形成された電極プレートと、
前記電極プレートの上方に配置され、当該電極プレートを支持するクーリングプレートと、
前記チャンバ内の圧力を制御するAPCバルブと、
前記チャンバ内の圧力を測定する圧力計と、
前記チャンバ内でプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、
を備え、
前記プラズマ処理方法は、
(a)前記電極プレートから前記チャンバ内にガスを導入し、前記圧力計で当該チャンバ内の圧力を測定する工程と、
(b)前記圧力計の測定結果に基づいて、前記APCバルブの開度を調整する工程と、
(c)前記APCバルブの開度に基づいて、前記クーリングプレートの表面形状を予測する工程と、
(d)基板をプラズマ処理する工程と、
を含む、プラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、下部電極と上部電極を備えたプラズマ処理装置が開示されている。上部電極は、本体部と上部天板とを備えている。本体部は、下部に上部天板を支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、プラズマ処理装置のクーリングプレートの表面形状を適切に予測し、プラズマ処理の安定性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様のプラズマ処理装置は、チャンバと、前記チャンバ内に配置される基板支持部と、前記チャンバ内で前記基板支持部に対向して配置され、ガス導入口が形成された電極プレートと、前記電極プレートの上方に配置され、当該電極プレートを支持するクーリングプレートと、前記チャンバ内の圧力を制御するAPCバルブと、前記チャンバ内の圧力を測定する圧力計と、前記チャンバ内でプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、制御部と、を備え、前記制御部は、(a)前記電極プレートから前記チャンバ内にガスを導入し、前記圧力計で当該チャンバ内の圧力を測定する工程と、(b)前記圧力計の測定結果に基づいて、前記APCバルブの開度を調整する工程と、(c)前記APCバルブの開度に基づいて、前記クーリングプレートの表面形状を予測する工程と、を含む処理を実行するように構成される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、プラズマ処理装置のクーリングプレートの表面形状を適切に予測し、プラズマ処理の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】プラズマ処理システムの構成例を示す説明図である。
【
図2】APCバルブの角度(開度)を調整する様子を示す説明図である。
【
図3】シャワーヘッドの構成例を示す断面図である。
【
図4】クーリングプレートの表面形状が変形した様子を示す説明図である。
【
図5】第1のレシピのプロセスにおけるAPCバルブの角度の経時変化と、ソースRF電力の供給タイミングとを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイスの製造工程では、半導体基板(以下、単に「基板」という。)に対して、エッチング処理、成膜処理、拡散処理などの各種プラズマ処理が行われる。これらプラズマ処理は、例えば容量結合型(CCP:Capacitively Coupled Plasma)のプラズマ処理装置を用いて行われる。
【0009】
容量結合型のプラズマ処理装置は、下部電極と上部電極を備える。下部電極はチャンバ内に設けられ、下部電極を備える基板支持部上には基板が載置される。上部電極は、チャンバ天部の少なくとも一部を構成するシャワーヘッドにおいて、電極プレートとして設けられる。そして、シャワーヘッドからチャンバ内に処理ガスが供給され、下部電極又は上部電極に高周波電力が供給されることによって、チャンバ内にプラズマが生成され、当該プラズマにより基板に対してプラズマ処理が施される。
【0010】
上述した特許文献1に開示のプラズマ処理装置は、容量結合型のプラズマ処理装置の一例である。特許文献1に開示のシャワーヘッド(上部電極)は、本体部と上部天板とを備え、本体部は、その下部に上部天板を支持する。本体部は、冷却液が通流する図示しない配管を備えており、クーリングプレートとして機能する。また本体部は、アルミニウムで形成される。上部天板は、電極プレートとして機能し、シリコンで形成される。
【0011】
ここで、プラズマ処理を行う際、チャンバ内に生成されたプラズマによって熱が発生し、この熱が電極プレートを介してクーリングプレートに伝わる。また、クーリングプレートへの入熱は外周部に比べて中央部が大きくなり、中央部の温度が高くなる。このため、中央部の熱膨張が大きく、クーリングプレートの表面(下面)は下方に凸に変形する。特に近年、プラズマ処理で供給される高周波電力が高くなり、高パワー化しており、このようなクーリングプレートの表面形状の変形は大きくなってきている。
【0012】
クーリングプレートの表面形状が変形すると、クーリングプレートと電極プレートの間に隙間が生じ、この隙間から処理ガスが漏れるおそれがある。また、クーリングプレートの表面形状が変形することで、電極プレートが割れるおそれもある。かかる場合、プラズマ処理を安定して行うことができない。
【0013】
そこで、クーリングプレートの表面形状を把握することが必要になるが、従来、この表面形状の把握には、プラズマ処理を停止した状態で、チャンバからクーリングプレートを取り外す必要があった。このため、プラズマ処理装置における生産性が低下していた。
【0014】
本開示にかかる技術は、上記事情に鑑みてなされたものであり、プラズマ処理装置のクーリングプレートの表面形状を適切に予測し、プラズマ処理の安定性を向上させる。以下、本実施形態にかかるプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
<プラズマ処理システム及びプラズマ処理装置>
以下に、プラズマ処理システムの構成例について説明する。
図1は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0016】
プラズマ処理システムは、容量結合型のプラズマ処理装置1及び制御部2を含む。容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。シャワーヘッド13は、絶縁性遮蔽部材14を介して、プラズマ処理チャンバ10の側壁10aに支持される。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、絶縁性遮蔽部材14、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。プラズマ処理チャンバ10には、プラズマ処理空間10s内の圧力を測定する圧力計15が設けられる。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0017】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0018】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF(Radio Frequency)電源31及び/又はDC(Direct Current)電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0019】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0020】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板Wのうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0021】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含み、例えば後述する電極プレート200を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0022】
圧力計15は、プラズマ処理チャンバ10内、すなわちプラズマ処理空間10s内の圧力を測定する。一実施形態において、圧力計15は、プラズマ処理チャンバ10の上部(天部)に配置され、例えばシャワーヘッド13の側方に配置される。また、一実施形態において、圧力計15には、キャパシタンスマノメータが用いられる。キャパシタンスマノメータには、「250mTorr(33.3Pa)ヘッド」、「1Torr(133Pa)ヘッド」及び「10Torr(1330Pa)ヘッド」が含まれる。これらの数値は、圧力測定範囲を示し、すなわち測定可能な圧力の上限値を示す。250mTorr(33.3Pa)ヘッドと1Torr(133Pa)ヘッドは、プラズマ処理時の圧力測定に使用される。10Torr(1330Pa)ヘッドは、キャパシタンスマノメータのセルフチェックやオートチェックに使用される。
【0023】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0024】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0025】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0026】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0027】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のバイアスDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0028】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a、32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0029】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排気口10eに接続され得る。排気システム40は、APC(Adaptive Pressure Control)バルブ41、ターボ分子ポンプ(Turbo Molecular Pump:TMP)42及びドライポンプ43を含んでいてもよい。APCバルブ41、ターボ分子ポンプ42及びドライポンプ43は、ガス排気口10eからこの順で接続される。
【0030】
APCバルブ41は、圧力調整弁の一例であり、APCバルブ41の開度を調整することで、プラズマ処理空間10s内の圧力を制御する。具体的には、
図2に示すようにAPCバルブ41は、中心軸Cを回転軸として回転し、ターボ分子ポンプ42を開閉自在に構成される。そして、ターボ分子ポンプ42に対するAPCバルブ41の角度θを調整することで、APCバルブ41の開度、すなわちガス排気口10eとターボ分子ポンプ42の接続口の開度を調整する。なお、APCバルブ41の開度(角度)は、後述するように圧力計15の測定結果に基づいて調整される。
【0031】
ターボ分子ポンプ42は、プラズマ処理空間10s内のガス等を高速排気する真空ポンプである。ドライポンプ43は、プラズマ処理空間10s内のガス等を排気する真空ポンプである。これらターボ分子ポンプ42とドライポンプ43によって、プラズマ処理空間10s内を減圧し、所望の真空状態に維持する。
【0032】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0033】
<シャワーヘッド>
次に、上述したシャワーヘッド13の構成について説明する。
図3は、シャワーヘッド13の構成例の概略を示す断面図である。
【0034】
シャワーヘッド13は、電極プレート200とクーリングプレート210を備える。電極プレート200は、基板支持部11に対向して配置される。クーリングプレート210は、電極プレート200の上方(上面側)に配置され、クランプ220で電極プレート200を着脱自在に支持する。
【0035】
電極プレート200は、略円盤状のプレートである。電極プレート200は、プラズマに暴露され消耗するため、高純度で低発塵性の材料で形成され、一実施形態において例えばシリコンで形成される。電極プレート200は、上部電極として機能する。
【0036】
電極プレート200には、当該電極プレート200を厚み方向、すなわち上下方向に貫通して下面まで延在する複数のガス孔201が形成される。複数のガス孔201の上端はそれぞれ、後述するクーリングプレート210のガス孔211に接続され、複数のガス孔201はガス拡散室13bに連通する。各ガス孔201の下面側の下端は、上述したガス導入口13cとなる。
【0037】
クーリングプレート210は、略円盤状のプレートである。クーリングプレート210は、金属材料、すなわち導電性材料で形成され、一実施形態において例えばアルミニウムで形成される。また、一実施形態において、クーリングプレート210は電気的に接地される。
【0038】
クーリングプレート210内には、上述したガス拡散室13bが形成される。クーリングプレート210には、ガス拡散室13bから下方向に貫通して下面まで延在する複数のガス孔211が形成される。複数のガス孔211はそれぞれ、上述した電極プレート200のガス孔201に対応して形成される。
【0039】
クーリングプレート210は、冷却機構を備え、電極プレート200を冷却する。冷却機構は任意であるが、例えば冷却液が通流する図示しない配管を有する。電極プレート200は、プラズマからの入熱により高温になる。そこで、一実施形態にかかるプラズマ処理装置1では、電極プレート200とクーリングプレート210とを密着させ、電極プレート200の熱をクーリングプレート210に抜熱させることで電極プレート200の放熱を行い、電極プレート200を冷却する。
【0040】
クランプ220は、電極プレート200の下面外周部を保持する。クランプ220は、ネジ221を介して電極プレート200の外周部をクーリングプレート210の表面(下面)210aに押し付けることで、電極プレート200をクーリングプレート210に固定する。
【0041】
<プラズマ処理方法>
次に、以上のように構成されたプラズマ処理装置1を用いて行われるプラズマ処理について説明する。
【0042】
先ず、プラズマ処理チャンバ10の内部に基板Wが搬入され、基板支持部11の静電チャック1111上に基板Wが載置される。次に、静電チャック1111の静電電極1111bに電圧が印加され、これにより、静電力によって基板Wが静電チャック1111に吸着保持される。
【0043】
静電チャック1111に基板Wが吸着保持されると、続けて、排気システム40によってプラズマ処理空間10s内が所望の真空度まで減圧される。次に、ガス供給部20からシャワーヘッド13を介してプラズマ処理空間10sに処理ガスが導入される。この際、シャワーヘッド13からの処理ガスは、プラズマ処理空間10sを下方に流れ、ガス排気口10eから排出される。
【0044】
また、第1のRF生成部31aからプラズマ生成用のソースRF電力が下部電極に供給され、これにより、処理ガスを励起させて、プラズマを生成する。この際、第2のRF生成部31bからバイアスRF電力が供給されてもよい。そして、プラズマ処理空間10sにおいて、生成されたプラズマの作用によって、基板Wにプラズマ処理が施される。
【0045】
<クーリングプレートの表面形状予測方法>
プラズマ処理装置1でプラズマ処理を行う前、すなわちプラズマ処理空間10s内にプラズマが生成される前、クーリングプレートの表面(下面)210aは平坦になっている。
【0046】
次に、プラズマ処理を行うと、プラズマ処理空間10s内に生成されたプラズマによって熱が発生し、この熱が電極プレート200を介してクーリングプレート210に伝わる。この際、クーリングプレート210はアルミニウムで形成されているため、熱変形する。また、クーリングプレート210への入熱は外周部に比べて中央部が大きくなり、中央部の温度が高くなる。このため、
図4に示すように中央部の熱膨張が大きく、クーリングプレートの表面210aは下方に凸に変形する。特に近年、プラズマ処理で供給される高周波電力が高くなり、高パワー化しており、このようなクーリングプレート210の表面210aの形状(以下、単に「表面形状」という場合がある。)の変形は大きくなってきている。
【0047】
クーリングプレート210の表面210aの中央部が下方に凸に変形すると、クーリングプレート210と電極プレート200の間の外周部に隙間が生じ、この隙間から側方に処理ガスが漏れるおそれがある(
図4中の太線矢印GL)。漏れた処理ガスは、さらにクーリングプレート210とクランプ220の間を通って圧力計15に流れ、プラズマ処理空間10sに導入されない。すなわち、シャワーヘッド13からプラズマ処理空間10s内に処理ガスが流れて(
図4中の点線矢印GF)、プラズマに励起されるところ、上述したようにクーリングプレート210と電極プレート200の隙間から漏れる処理ガスはプラズマ生成に寄与しない。このため、プラズマ処理装置1においてプラズマ処理を安定して行うことができない。
【0048】
また、クーリングプレート210の表面210aの中央部が下方に凸に変形すると、電極プレート200の下面中央部が押圧される。そして、電極プレート200の下面外周部がクランプ220で固定されているため、電極プレート200の中央部が割れるおそれがある(
図4中の太線円PC)。かかる場合、プラズマ処理装置1においてプラズマ処理を安定して行うことができない。
【0049】
そこで、クーリングプレート210の表面形状を把握することが必要になるが、従来、この表面形状の把握には、プラズマ処理を停止した状態で、プラズマ処理チャンバ10からクーリングプレート210を取り外す必要があった。このため、プラズマ処理装置1における生産性が低下していた。換言すれば、プラズマ処理を停止することなく、クーリングプレート210表面形状を適切に予測することが求められる。
【0050】
以上を鑑みて、本実施形態では、APCバルブ41の開度に基づいて、クーリングプレート210の表面形状を予測する。クーリングプレート210の表面形状予測は、基板Wのプロセス中に行ってもよいし、基板Wのプロセス中以外において行ってもよい。
【0051】
[第1の実施形態]
第1の実施形態では、基板Wのプロセス中にクーリングプレート210の表面形状を予測する。基板Wのプロセスは、第1のレシピで行われる。
【0052】
第1のレシピでは、基板支持部11に基板Wが支持された状態で、シャワーヘッド13からプラズマ処理空間10sに処理ガスが導入されるともに、第1のRF生成部31aからソースRF電力が下部電極に供給される。これにより、プラズマ処理空間10s内にプラズマが生成され、当該プラズマにより基板Wにプラズマ処理が施される。
【0053】
図5は、第1のレシピのプロセスにおけるAPCバルブ41の角度の経時変化(実線)と、ソースRF電力の供給タイミング(点線)とを示す説明図である。
図5の左側縦軸はAPCバルブ41の角度を示し、右側縦軸はソースRF電力を示し、横軸はプロセス時間を示す。
図5に示すように第1のレシピでは、処理ガスの導入と停止を繰り返し行い、プラズマ処理P1~P22とプラズマ処理の停止を繰り返し行う。また、第1のレシピでは、ソースRF電力の供給と停止も繰り返し行う。
【0054】
各プラズマ処理P1~P22では、プラズマ処理空間10sに処理ガスが導入され、ガス排気口10eから排出される。このため、
図5に示すように、各プラズマ処理P1~P22ではAPCバルブ41の角度は大きくなる。一方、プラズマ処理を停止する際には、プラズマ処理空間10sに処理ガスが導入されないため、APCバルブ41の角度は小さくなる。
【0055】
ここで、クーリングプレート210の表面210aが平坦で変形しない場合、クーリングプレート210と電極プレート200の間のガス漏れは生じないため、各プラズマ処理P1~P22におけるAPCバルブ41の角度は略同一になる。
【0056】
しかしながら、
図5に示すようにプラズマ処理を繰り返し行うと、APCバルブ41の角度は徐々に大きくなる。すなわち、プラズマ処理P1~P10では、APCバルブ41の角度は徐々に大きくなる。その後、ソースRF電力の供給が停止されるため、プラズマ処理P11ではAPCバルブ41の角度は一旦小さくなるが、プラズマ処理P11~P16ではAPCバルブ41の角度は徐々に大きくなる。また、プラズマ処理P17~P22でも同様に、APCバルブ41の角度は徐々に大きくなる。
【0057】
このようにAPCバルブ41の角度が大きくなる要因は、クーリングプレート210の表面210aの変形である。プラズマ処理では、プラズマ処理空間10s内のプラズマからクーリングプレート210への入熱によって、当該クーリングプレート210の温度が徐々に高くなる。そうすると、
図4に示したようにクーリングプレート210が熱膨張して、表面210aが下方に凸に変形する。クーリングプレート210の表面210aが変形すると、クーリングプレート210と電極プレート200の隙間から、処理ガスが漏れ、圧力計15に流れる。この漏れた処理ガスによって、圧力計15で測定される圧力が上昇する。そうすると、プラズマ処理空間10s内を所望の圧力に維持するため、ターボ分子ポンプ42が真空引きする方向に作動し、APCバルブ41の角度が大きくなる。そして、プラズマ処理を繰り返し行うと、プラズマからクーリングプレート210に伝わる熱が蓄積されて、当該クーリングプレート210の温度が徐々に高くなる。そうすると、プラズマ処理の回数を重ねる毎に、APCバルブ41の角度は徐々に大きくなる。
【0058】
以上のようにクーリングプレート210の表面形状とAPCバルブ41の角度には相関がある。そこで、この相関関係を予め把握しておき、APCバルブ41の角度に基づいて、クーリングプレート210の表面210aの形状を予測する。具体的には、以上の第1のレシピで基板Wのプロセス中、下記ステップS1~S3を行って、クーリングプレート210の表面形状を予測する。
【0059】
(ステップS1)
ステップS1では、第1のレシピでのプロセス中に、圧力計15でプラズマ処理空間10s内の圧力を測定する。
【0060】
(ステップS2)
ステップS2では、圧力計15の測定結果に基づいて、プラズマ処理空間10s内の圧力が所望の圧力に維持されるように、APCバルブ41の角度が自動で調整される。具体的には
図2を用いて説明したとおり、APCバルブ41の開度として、APCバルブ41の角度が調整される。
【0061】
(ステップS3)
ステップS3では、APCバルブ41の角度に基づいて、クーリングプレート210の表面形状とAPCバルブ41の角度との相関関係から、クーリングプレート210の表面210aの形状を予測する。
【0062】
ステップS2においてAPCバルブ41の角度が変動しない場合、ステップS3ではクーリングプレート210の表面形状の変形は無いと予測される。一方、ステップS2においてAPCバルブ41の角度が変動する場合、ステップS3ではクーリングプレート210の表面形状は変形していると予測される。
【0063】
図5に示した例においては、プラズマ処理毎にAPCバルブ41の角度が上昇するため、クーリングプレート210の表面形状は変形していると予測される。そして、このクーリングプレート210の表面形状の変形の程度、すなわち表面210aの下方への変形量は、上述したクーリングプレート210の表面形状とAPCバルブ41の角度との相関関係に基づいて予測される。
【0064】
(ステップS4)
ステップS4では、ステップS3におけるクーリングプレート210の表面形状の予測結果に基づいて、当該クーリングプレート210の交換時期を予測してもよい。例えば、クーリングプレート210の表面210aの変形量が、予め定められた閾値に達した際に、クーリングプレート210を交換するようにしてもよい。閾値は、プラズマ処理に要求される仕様に応じて任意に設定される。例えば、クーリングプレート210の表面形状の変形によってプラズマ処理が影響を受けない範囲を、表面形状の変形の閾値(許容範囲)としてもよい。
【0065】
また、ステップS4では、ステップS2で調整されるAPCバルブ41の角度が、予め定められた閾値に到達した際に、クーリングプレート210の交換時期であると予測してもよい。この閾値も、プラズマ処理に要求される仕様に応じて任意に設定される。
【0066】
以上の第1の実施形態によれば、APCバルブ41の開度に基づいてクーリングプレート210の表面形状を予測することができる。すなわち、APCバルブ41の開度の変動をモニタリングすることで、クーリングプレート210の表面形状の経時的変化を予測することができる。この際、従来のようにプラズマ処理チャンバ10からクーリングプレート210を取り外す必要がないため、プラズマ処理装置1の生産性を向上させることができる。
【0067】
また、クーリングプレート210の表面形状を適切に予測できるので、クーリングプレート210の交換時期を適切に把握することができる。その結果、クーリングプレート210の表面形状の変形によるガス漏れを抑制して、プラズマ処理を安定させることができる。また、クーリングプレート210の表面形状の変形による電極プレート200の割れを防止して、プラズマ処理を安定させることができる。従って、プラズマ処理装置1の生産性を向上させることができる。
【0068】
なお、本実施形態では、ステップS4においてクーリングプレート210の交換時期を予測したが、この交換時期は、基板Wの処理可能な時間とも換言できる。従って、クーリングプレート210の表面形状を適切に予測することで、プラズマ処理装置1における基板Wの処理可能な時間を予測することができる。
【0069】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、基板Wのプロセス中以外においてクーリングプレート210の表面形状を予測する。すなわち、第2の実施形態では、基板Wのプロセスが行われていないときに、クーリングプレート210の表面形状を予測することを目的として、上記第1のレシピとは異なる、専用の第2のレシピでプラズマを生成する。
【0070】
第2のレシピでは、基板支持部11に基板Wが支持されていない状態で、シャワーヘッド13からプラズマ処理空間10sに処理ガスが導入されるともに、第1のRF生成部31aからソースRF電力が下部電極に供給される。これにより、プラズマ処理空間10s内にプラズマが生成される。
【0071】
第2の実施形態でも、上述した第1の実施形態と同様にステップS1~S3を行い、APCバルブ41の角度に基づいて、クーリングプレート210の表面210aの形状を予測する。また、ステップS4を行い、クーリングプレート210の交換時期を予測してもよい。
【0072】
以上の第2の実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様の効果を享受することができる。すなわち、APCバルブ41の開度に基づいてクーリングプレート210の表面形状を予測することができる。その結果、クーリングプレート210の表面形状の変形によるガス漏れを抑制し、また電極プレート200の割れを防止して、プラズマ処理を安定させることができる。また、第2の実施形態を定期的に実施してクーリングプレート210の表面形状を予測することで、クーリングプレート210の交換時期を適切に予測し、プラズマ処理装置1における基板Wの処理可能な時間を予測することもできる。
【0073】
なお、ソースRF電力が高パワーの場合、第1の実施形態又は第2の実施形態のいずれを実施しても、クーリングプレート210の表面形状を予測することができる。一方、ソースRF電力が低パワーの場合、クーリングプレート210の表面形状が変化しにくいので、第2の実施形態のように第2のレシピ(専用レシピ)で基板Wのプロセス中以外でクーリングプレート210の表面形状を予測するのが好ましい。
【0074】
また、第1の実施形態と第2の実施形態ではいずれにおいても、プラズマを生成するプロセス中にクーリングプレート210の表面形状を予測したが、プラズマの生成は必須ではない。例えば、クーリングプレート210の表面形状の変形が大きい場合、プラズマ処理空間10sに処理ガスを導入するだけで、プラズマを生成しなくてもよい。かかる場合、圧力計15でプラズマ処理空間10sの圧力変動を測定し、APCバルブ41の開度を調整することで、クーリングプレート210の表面形状を予測することができる。
【0075】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。例えば、上記実施形態の構成要件は任意に組み合わせることができる。当該任意の組み合せからは、組み合わせにかかるそれぞれの構成要件についての作用及び効果が当然に得られるとともに、本明細書の記載から当業者には明らかな他の作用及び他の効果が得られる。
【0076】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は、上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0077】
なお、以下のような構成例も本開示の技術的範囲に属する。
(1)チャンバと、
前記チャンバ内に配置される基板支持部と、
前記チャンバ内で前記基板支持部に対向して配置され、ガス導入口が形成された電極プレートと、
前記電極プレートの上方に配置され、当該電極プレートを支持するクーリングプレートと、
前記チャンバ内の圧力を制御するAPCバルブと、
前記チャンバ内の圧力を測定する圧力計と、
前記チャンバ内でプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(a)前記電極プレートから前記チャンバ内にガスを導入し、前記圧力計で当該チャンバ内の圧力を測定する工程と、
(b)前記圧力計の測定結果に基づいて、前記APCバルブの開度を調整する工程と、
(c)前記APCバルブの開度に基づいて、前記クーリングプレートの表面形状を予測する工程と、
を含む処理を実行するように構成される、プラズマ処理装置。
(2)前記制御部は、前記(a)工程において、前記基板支持部に基板が支持された状態で、第1のレシピでプラズマを生成するように構成される、前記(1)に記載のプラズマ処理装置。
(3)前記制御部は、前記(a)工程において、前記基板支持部に基板が支持されていない状態で、第2のレシピでプラズマを生成するように構成される、前記(1)に記載のプラズマ処理装置。
(4)前記制御部は、(d)前記クーリングプレートの表面形状の予測結果に基づいて、当該クーリングプレートの交換時期を予測する工程を実行するように構成される、前記(1)~(3)のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
(5)前記制御部は、(d)前記APCバルブの開度に基づいて、当該クーリングプレートの交換時期を予測する工程を実行するように構成される、前記(1)~(3)のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
(6)前記制御部は、
前記(c)工程において前記APCバルブの開度が変動しない場合、前記クーリングプレートの表面形状が変形していないと予測し、
前記(c)工程において前記APCバルブの開度が変動する場合、前記クーリングプレートの表面形状が変形していると予測する、前記(1)~(5)のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
(7)前記APCバルブは、前記チャンバの下部に配置され、
前記圧力計は、前記チャンバの上部に配置される、前記(1)~(6)のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
(8)前記電極プレートは、前記クーリングプレートにクランプで支持される、前記(1)~(7)のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
(9)前記電極プレートはシリコン製である、前記(1)~(8)のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
(10)前記クーリングプレートはアルミニウム製である、前記(1)~(9)のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
(11)プラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法であって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配置される基板支持部と、
前記チャンバ内で前記基板支持部に対向して配置され、ガス導入口が形成された電極プレートと、
前記電極プレートの上方に配置され、当該電極プレートを支持するクーリングプレートと、
前記チャンバ内の圧力を制御するAPCバルブと、
前記チャンバ内の圧力を測定する圧力計と、
前記チャンバ内でプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、
を備え、
前記プラズマ処理方法は、
(a)前記電極プレートから前記チャンバ内にガスを導入し、前記圧力計で当該チャンバ内の圧力を測定する工程と、
(b)前記圧力計の測定結果に基づいて、前記APCバルブの開度を調整する工程と、
(c)前記APCバルブの開度に基づいて、前記クーリングプレートの表面形状を予測する工程と、
(d)基板をプラズマ処理する工程と、
を含む、プラズマ処理方法。
【符号の説明】
【0078】
1 プラズマ処理装置
2 制御部
10 プラズマ処理チャンバ
11 基板支持部
15 圧力計
31 RF電源
41 APCバルブ
200 電極プレート
210 クーリングプレート
W 基板