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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115221
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】粉体シーブ装置
(51)【国際特許分類】
   B07B 1/46 20060101AFI20240819BHJP
   B07B 1/38 20060101ALI20240819BHJP
   B07B 1/54 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
B07B1/46 A
B07B1/38 Z
B07B1/54 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020806
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】山下 拓也
【テーマコード(参考)】
4D021
【Fターム(参考)】
4D021AA01
4D021AB02
4D021BA18
4D021BA20
4D021CA04
4D021DB15
(57)【要約】
【課題】 篩い効率を向上させた粉体シーブ装置を提供すること。
【解決手段】 本発明は、周囲を側壁によって囲まれた枠体と、前記枠体の頂面に張り渡されたシーブ体と、前記枠体の底面に張り渡された網体と、前記網体の上面側に水平方向に移動可能に配置されたクリーナー体と、前記枠体を水平方向に振動させるシェーキング装置と、を備え、前記網体は、フラットトップ金網であることを特徴とする粉体シーブ装置である。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲を側壁によって囲まれた枠体と、
前記枠体の頂面に張り渡されたシーブ体と、
前記枠体の底面に張り渡された網体と、
前記網体の上面側に水平方向に移動可能に配置されたクリーナー体と、
前記枠体を水平方向に振動させるシェーキング装置と、
を備え、
前記網体は、フラットトップ金網である
ことを特徴とする粉体シーブ装置。
【請求項2】
前記枠体は、中間壁によって、複数の空間室に区分されており、
前記クリーナー体は、前記複数の空間室の各々に1つずつが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の粉体シーブ装置。
【請求項3】
前記枠体は、縦横で2×3の6室に区分されている
ことを特徴とする請求項2に記載の粉体シーブ装置。
【請求項4】
前記網体は、空間率が25~95%であり、線径が1.0~4.5mmであり、メッシュ数が1~6個/インチであり、目開きが3~40mmである
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の粉体シーブ装置。
【請求項5】
前記網体は、空間率が45~85%であり、線径が1.3~3.5mmであり、メッシュ数が1.5~4個/インチであり、目開きが5~25mmである
ことを特徴とする請求項4に記載の粉体シーブ装置。
【請求項6】
前記網体は、空間率が65~75%であり、線径が1.8~2.5mmであり、メッシュ数が2~2.5個/インチであり、目開きが7~15mmである
ことを特徴とする請求項5に記載の粉体シーブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲を側壁によって囲まれた枠体と、前記枠体の頂面に張り渡されたシーブ体と、前記枠体の底面に張り渡された網体と、前記網体の上面側に配置されたクリーナー体と、前記枠体を水平方向に振動させるシェーキング装置と、を備えた粉体シーブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体用のシーブ装置として、周囲を側壁によって囲まれた枠体と、前記枠体の頂面に張り渡されたシーブ体と、前記枠体の底面に張り渡された網体と、前記網体の上面側に配置されたクリーナー体と、前記枠体を水平方向に振動させるシェーキング装置と、を備えた構成が既に利用されている。
【0003】
枠体、シーブ体及び網体の構成は、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された枠体50は、図8に示すように、平面視で矩形状であり、中間壁によって縦横で2×3の6個の空間室に区分されている。特許文献1に記載されたシーブ体9は、枠体50の頂面に接着剤により張設されており、特許文献1に記載された網体40は、クリンプ金網であり、枠体50の底面に嵌合固定されている。
【0004】
特許文献1において「第2のクリーナー32」として説明されているクリーナー体は、網体40の上面側に遊動可能に配置されているが、例えばシーブクリーナーである。より具体的には、例えば、「田中三次郎商店」製のシーブクリーナー(Shuriken HSC-01)である。「第2のクリーナー32」(シーブクリーナー)は、6個の空間室の各々に1つずつが設けられている。
【0005】
枠体50を水平方向に振動させるシェーキング装置は、例えば、明治機械株式会社製の「アルミ・スケヤーシフター SF-AL型」である。当該シェーキング装置は、枠体(ふるい枠)を積み重ねて(最高30段まで)使用することができ、それらを水平面内で円運動させることができる(フリースイング方式と呼ばれている)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-18375
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本件発明者は、従来はクリンプ金網であった網体を、フラットトップ金網に変更することで、篩い効率が顕著に向上する(特には、目詰まり発生が効果的に抑制される)ことを知見した。
【0008】
クリンプ金網とは、図9に示すように、線材を歯車によって波状にクリンプ加工した線を縦横に組み合わせて製作した金網であり、フラットトップ金網とは、図10に示すように、表面が平らになっている金網である。
【0009】
従来この網体にクリンプ網が使用されてきた理由は、上に置かれるシーブクリーナーの形状との組み合わせの相性にある。従来からのシーブクリーナーは三角や四角など形状は様々だが、シーブクリーナー下面中央に一つ張り出している鋲と呼ばれる突起が、クリンプ金網表面の凹凸との引っ掛かりでスイング動作(シーソーのように傾きシーブ体を叩くような動作)を生み出し、篩い効率を高める(特には、目詰まりの発生の抑制)という利点があった。しかし、鋲を中心としたスイング動作をせず、水平方向への移動で枠に衝撃を与えて篩い効率向上を図るタイプのシーブクリーナー、例えばShuriken HSC-01を使用する場合に於いてはクリンプ金網を用いないことの特段の不利はない。
【0010】
本件発明者は、フラットトップ金網を採用する場合、遊動可能なシーブクリーナーの水平方向移動がより円滑となり、空間室内でのシーブクリーナーの移動速度が増大してシーブクリーナーが枠体の側壁に衝突する際の衝撃の程度が大きくなり、当該衝突に起因する枠体の振動によって篩い効率が向上するのであろう、と分析している。
【0011】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、篩い効率を向上させた粉体シーブ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、周囲を側壁によって囲まれた枠体と、前記枠体の頂面に張り渡されたシーブ体と、前記枠体の底面に張り渡された網体と、前記網体の上面側に水平方向に移動可能に配置されたクリーナー体と、前記枠体を水平方向に振動させるシェーキング装置と、を備え、前記網体は、フラットトップ金網であることを特徴とする粉体シーブ装置である。
【0013】
本発明によれば、クリンプ金網ではなくフラットトップ金網を採用したことにより、篩い効率が向上する。これは、フラットトップ金網を採用したことにより、クリーナー体の移動速度が増大してクリーナー体が側壁に衝突する際の衝撃の程度が大きくなり、当該衝突に起因する枠体の振動によって篩い効率が向上する(特には、目詰まりの発生が効果的に抑制される)からであると考えられる。
【0014】
好ましくは、前記枠体は、中間壁によって、複数の空間室に区分されており、前記クリーナー体は、前記複数の空間室の各々に1つずつが設けられている。
【0015】
これによれば、例えば市販のクリーナー体のサイズに合わせて、各空間室のサイズを調整することにより、篩い効率をより一層向上させることができる。
【0016】
例えば、前記枠体は、縦横で2×3の6室に区分され得る。あるいは、縦横で2×2の4室に区分されてもよいし、縦横で2×4の8室に区分されてもよい。
【0017】
網体の詳細な仕様について、本件発明者は、空間率が25~95%であり、線径が1.0~4.5mmであり、メッシュ数が1~6個/インチであり、目開きが3~40mmであれば、本発明の有用性が認められることを検証している。また、これらの範囲のうち、空間率が45~85%であり、線径が1.3~3.5mmであり、メッシュ数が1.5~4個/インチであり、目開きが5~25mmであることが好ましく、更に、空間率が65~75%であり、線径が1.8~2.5mmであり、メッシュ数が2~2.5個/インチであり、目開きが7~15mmであることがより好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、クリンプ金網ではなくフラットトップ金網を採用したことにより、篩い効率が向上する。これは、フラットトップ金網を採用したことにより、シーブクリーナーの移動速度が増大してクリーナー体が側壁に衝突する際の衝撃の程度が大きくなり、当該衝突に起因する枠体の振動によって篩い効率が向上するからであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る粉体シーブ装置における枠体(シーブ体、網体及びクリーナー体を含む)の上面側を示す写真である。
図2図1の枠体(シーブ体、網体及びクリーナー体を含む)の底面側を示す写真である。
図3図1の枠体(シーブ体、網体及びクリーナー体を含む)の1ヶ月使用後の写真である。
図4】クリンプ金網を用いた比較例についての、図3に対応する写真である。
図5図1の枠体(シーブ体、網体及びクリーナー体を含む)の3ヶ月使用後の写真である。
図6】クリンプ金網を用いた比較例についての、図5に対応する写真である。
図7図5及び図6の各写真を画像処理して求めた目詰まり率を示すグラフである。
図8】特許文献1における枠体(シーブ体、網体及びクリーナー体を含む)を示す概略図である(特許文献1の図1に概ね対応している)。
図9】クリンプ金網の拡大写真である。
図10】フラットトップ金網の拡大写真である。
図11】中央部に鋲が配置されたシーブクリーナーの従来例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
【0021】
(構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る粉体シーブ装置における枠体101(シーブ体102、網体103及びクリーナー体104を含む)の上面側を示す写真であり、図2は、当該枠体101(シーブ体102、網体103及びクリーナー体104を含む)の底面側を示す写真である。
【0022】
本実施形態の粉体シーブ装置は、図1及び図2に示すように、周囲の四方を側壁101sによって囲まれた枠体101と、枠体101の頂面に張り渡されたシーブ体102と、枠体101の底面に張り渡された網体103と、網体103の上面側(シーブ体102の下面側)に水平方向に移動可能に配置されたクリーナー体104と、を備えている。
【0023】
本実施形態の枠体101は、図1及び図2に示すように、平面視で矩形状であり、中間壁101mによって縦横で2×3の6個の空間室に区分されている。枠体101全体のサイズは、縦62cm、横56.5cm、高さ2.1cmであり、各空間室のサイズは、縦16.3cm、横28.3cmである。
【0024】
本実施形態のシーブ体102は、枠体101の頂面に接着剤により張設されており、目開き118μmである。
【0025】
本実施形態の網体103は、ステンレス製の(あるいは鉄製の)フラットトップ金網であり、空間率が65~75%、線径が1.8~2.5mm、メッシュ数が2~2.5個/インチ、目開きが7~15mm、の各範囲から選択されている。
【0026】
本実施形態の網体103のメッシュ(開口)の形状は、正方形である。もっとも、メッシュの形状は、長方形、菱形、六角形(亀甲形)、等であってもよい。
【0027】
また、本実施形態の網体103は、図2に示すように、縦横で4×4の16個の留め具105を介してバランス良く枠体101に固定されている。
【0028】
なお、空間率={(目開き)2/(目開き+線径)2}×100 という相互関係が成り立っている。
【0029】
本実施形態のクリーナー体104は、シーブクリーナーであり、より具体的には、「田中三次郎商店」製のシーブクリーナー(Shuriken HSC-01)である。当該クリーナー体104は、6個の空間室の各々に1つずつが設けられている。
【0030】
そして、本実施形態の粉体シーブ装置は、枠体101(シーブ体102、網体103及びクリーナー体104を含む)が搭載されるシェーキング装置(不図示)を備えている。当該シェーキング装置は、枠体101(シーブ体102、網体103及びクリーナー体104を含む)を水平方向に(水平面内で)円運動させることで振動させるようになっている。より具体的には、本実施形態のシェーキング装置は、明治機械株式会社製の「アルミ・スケヤーシフター SF-AL型」である。当該シェーキング装置は、枠体101を積み重ねて(最高30段まで)使用することができる。
【0031】
(作用効果)
以上のような本実施形態の粉体シーブ装置によれば、クリンプ金網ではなくフラットトップ金網を網体103として採用したことにより、篩い効率が向上する。これは、フラットトップ金網を採用したことにより、クリーナー体104の移動速度が増大してクリーナー体104が側壁101s及び中間壁101mに衝突する際の衝撃の程度が大きくなり、当該衝突に起因する枠体101の振動によって篩い効率が向上する(特には、目詰まりの発生が効果的に抑制される)からであると考えられる。
【0032】
図3は、本実施形態を、小麦を粉砕するブレーキ工程の中の4番目の工程を担うシェーキング装置において使用した場合の枠体101(シーブ体102、網体103及びクリーナー体104を含む)の1ヶ月使用後の写真である。全体が略一様に白っぽく写っているが、枠体101に軽い衝撃を与えただけで粉体は落下し、目詰まりはほとんど確認されなかった。
【0033】
図4は、クリンプ金網を用いた比較例について、小麦を粉砕するブレーキ工程の中の4番目の工程を担うシェーキング装置において使用した場合の枠体(シーブ体102、網体及びクリーナー体104を含む)の1ヶ月使用後の写真である。斑(まだら)に白っぽく写っており、目詰まりが生じており、掃除用ブラシで擦らないと粉体を落下させられなかった。
【0034】
更に、図5は、本実施形態の枠体101(シーブ体102、網体103及びクリーナー体104を含む)の3ヶ月使用後の写真の一例である(使用形態は図3について説明されたのと同様)。当該写真を含む複数の例について画像処理して求めた目詰まり率の平均値は、30.9%であった。
【0035】
一方、図6は、図4の比較例と同様の枠体(シーブ体102、網体及びクリーナー体104を含む)の3ヶ月使用後の写真の一例である(使用形態は図4について説明されたのと同様)。当該写真を含む複数の例について画像処理して求めた目詰まり率の平均値は、65.1%であった。
【0036】
図7は、両者の目詰まり率を比較するグラフである。図7から明らかであるように、本実施形態の粉体シーブ装置によれば、目詰まりの発生が効果的に抑制される。
【0037】
また、本実施形態の粉体シーブ装置によれば、枠体101は、中間壁101mによって、複数の空間室に区分されており、クリーナー体104は、複数の空間室の各々に1つずつが設けられている。これにより、市販のクリーナー体104のサイズに合わせて、各空間室のサイズが調整される(逆に、各空間室のサイズに基づいて、適切なサイズのクリーナー体104が選択されてもよい)ことで、篩い効率がより一層向上している。また、中間壁101mには、粉の重みでシーブ体102が垂れ下がることを防ぐという効果もある。
【符号の説明】
【0038】
9 シーブ体(従来構成)
32 第2のクリーナー(従来構成)
40 網体(従来構成:クリンプ金網)
50 枠体(従来構成)
101 枠体
101s 側壁
101m 中間壁
102 シーブ体
103 網体(フラットトップ金網)
104 クリーナー体(シーブクリーナー)
105 留め具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11