(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011524
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】感覚呈示装置及び感覚呈示方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20240118BHJP
G09B 9/04 20060101ALN20240118BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G09B9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113560
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(72)【発明者】
【氏名】大山 潤爾
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555AA64
5E555BA20
5E555BA23
5E555BB20
5E555BB23
5E555BC04
5E555BE17
5E555CA42
5E555CA44
5E555CB21
5E555DA24
5E555DD06
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】ユーザに傾きの感覚を呈示する感覚呈示装置及び感覚呈示方法を提供する。
【解決手段】
ユーザと接触する基準面が傾いている感覚を上記ユーザへ呈示する感覚呈示装置1であって、上記基準面において、上記ユーザが接触している方向を正の方向としたときの上記基準面から上記基準面が傾いているように感じさせたい目標面への上記方向の変位量が最大となる第一の点と、上記変位量が最小となる第二の点の間において、空間的若しくは時間的に変調させた触覚刺激を上記ユーザへ与えるための触覚刺激情報を生成する触覚刺激情報生成部2と、上記第一の点と上記第二の点の間において、上記触覚刺激情報生成部2により生成された上記触覚刺激情報に応じて触覚刺激を呈示する触覚刺激部3を備えた感覚呈示装置1を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザと接触する基準面が傾いている感覚を前記ユーザへ呈示する感覚呈示装置であって、
前記基準面において、前記ユーザが接触している方向を正の方向としたときの前記基準面から前記基準面が傾いているように感じさせたい目標面への前記方向の変位量が最大となる第一の点と、前記変位量が最小となる第二の点の間において、空間的若しくは時間的に変調させた触覚刺激を前記ユーザへ与えるための触覚刺激情報を生成する触覚刺激情報生成手段と、
前記第一の点と前記第二の点の間において、前記触覚刺激情報生成手段により生成された前記触覚刺激情報に応じて触覚刺激を呈示する触覚刺激手段を備えた感覚呈示装置。
【請求項2】
前記触覚刺激情報生成手段は、前記触覚刺激情報として、前記第一の点と前記第二の点の間で周期的な空間周波数を持った第一の刺激強度係数と、前記第二の点から前記第一の点にかけて増加する第二の刺激強度係数の積からなる刺激強度パターンを生成する、請求項1に記載の感覚呈示装置。
【請求項3】
前記触覚刺激情報生成手段は、前記触覚刺激情報として、前記第二の点から前記第一の点にかけての各点の刺激強度が所定の周波数で時間変調すると共に、前記各点での最大刺激強度が増加する刺激強度パターンを生成する、請求項1に記載の感覚呈示装置。
【請求項4】
前記触覚刺激情報生成手段は、前記触覚刺激情報として、前記傾きが変化した時点で、前記第二の点及び前記第二の点の近傍において前記基準面上の他点より高い刺激強度を有すると共に、前記高い刺激強度が前記第二の点から前記第一の点の方向へ空間的に移動する刺激強度パターンを生成する、請求項1に記載の感覚呈示装置。
【請求項5】
前記触覚刺激情報生成手段は、前記触覚刺激情報として、前記傾きが変化した時点で、前記第一の点及び前記第一の点の近傍において前記基準面上の他点より高い刺激強度を有すると共に、前記高い刺激強度が減少しながら、前記第一の点から前記第二の点の方向へ空間的に移動する刺激強度パターンを生成する、請求項1に記載の感覚呈示装置。
【請求項6】
ユーザと接触する基準面が傾いている感覚を前記ユーザへ呈示する感覚呈示方法であって、
前記基準面において、前記ユーザが接触している方向を正の方向としたときの前記基準面から前記基準面が傾いているように感じさせたい目標面への前記方向の変位量が最大となる第一の点と、前記変位量が最小となる第二の点の間において、空間的若しくは時間的に変調させた触覚刺激を前記ユーザへ与えるための触覚刺激情報を生成する第一のステップと、
前記第一の点と前記第二の点の間において、前記ユーザへ前記触覚刺激情報に応じた触覚刺激を与える第二のステップを有する感覚呈示方法。
【請求項7】
前記第二のステップで前記ユーザへ前記触覚刺激を与える際に、併せて、前記基準面が傾いている状況、若しくは前記基準面の傾きにより生じる前記ユーザの視界の傾きを示す映像を前記ユーザに呈示する、請求項6に記載の感覚呈示方法。
【請求項8】
前記第二のステップで前記ユーザへ前記触覚刺激を与える際に、併せて、前記基準面の傾きに起因する前記ユーザを取り巻く環境で発生する音の方向の傾きを前記ユーザに呈示する、請求項6に記載の感覚呈示方法。
【請求項9】
前記触覚刺激情報は、前記第一の点と前記第二の点の間で周期的な空間周波数を持った第一の刺激強度係数と、前記第二の点から前記第一の点にかけて増加する第二の刺激強度係数の積からなる刺激強度パターンである、請求項6に記載の感覚呈示方法。
【請求項10】
前記触覚刺激情報は、前記第二の点から前記第一の点にかけての各点の刺激強度が所定の周波数で時間変調すると共に、前記各点での最大刺激強度が増加する刺激強度パターンである、請求項6に記載の感覚呈示方法。
【請求項11】
前記触覚刺激情報は、前記傾きが変化した時点で、前記第二の点及び前記第二の点の近傍において前記基準面上の他点より高い刺激強度を有すると共に、前記高い刺激強度が前記第二の点から前記第一の点の方向へ空間的に移動する刺激強度パターンである、請求項6に記載の感覚呈示方法。
【請求項12】
前記触覚刺激情報は、前記傾きが変化した時点で、前記第一の点及び前記第一の点の近傍において前記基準面上の他点より高い刺激強度を有すると共に、前記高い刺激強度が減少しながら、前記第一の点から前記第二の点の方向へ空間的に移動する刺激強度パターンである、請求項6に記載の感覚呈示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理的には傾きを変化させずにユーザに傾きの感覚を呈示する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで、ヴァーチャルリアリティの疑似体験やドライビングシミュレータなどで、ユーザに仮想環境において地面や座面が傾いた感覚を呈示する技術として、油圧シリンダ等を複数使用して、ユーザの座る椅子を仮想環境に整合するように物理的に傾ける技術が種々考案されてきている。一方、ユーザに実際に触っている感覚と同様の感覚を再現する触覚呈示技術が考案されている。さらに、特許文献1には、触覚刺激を呈示した位置と異なる位置を刺激されたように感じさせる錯覚を生起させる技術が開示されており、同段落[0061]には、「個々の振動アクチュエータの配置位置以外でも、触覚刺激を提示することが可能となる」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の複数の油圧シリンダ等を制御して座面を物理的に傾ける装置は、大型で重量も大きく設置条件が限られていた。また、駆動するために多くの電力が必要であった。さらに、当該ユーザや周囲の安全性の観点でもリスクの面でも課題があった。また、特許文献1に記載された技術は、あくまで触覚を感じさせる知覚位置に関して実際に刺激している位置と異なる位置を刺激されているように感じさせる錯覚を生じさせるものにとどまっており、仮想環境において地面や座面が傾いた感覚を呈示する技術については何らの示唆もない。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、ユーザに傾きの感覚を呈示する感覚呈示装置及び感覚呈示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、ユーザと接触する基準面が傾いている感覚を上記ユーザへ呈示する感覚呈示装置であって、上記基準面において、上記ユーザが接触している方向を正の方向としたときの上記基準面から上記基準面が傾いているように感じさせたい目標面への上記方向の変位量が最大となる第一の点と、上記変位量が最小となる第二の点の間において、空間的若しくは時間的に変調させた触覚刺激を前記ユーザへ与えるための触覚刺激情報を生成する触覚刺激情報生成手段と、上記第一の点と上記第二の点の間において、触覚刺激情報生成手段により生成された上記触覚刺激情報に応じて触覚刺激を呈示する触覚刺激手段を備えた感覚呈示装置を提供する。
【0007】
また、上記課題を解決するため、本発明は、ユーザと接触する基準面が傾いている感覚を上記ユーザへ呈示する感覚呈示方法であって、上記基準面において、上記ユーザが接触している方向を正の方向としたときの上記基準面から上記基準面が傾いているように感じさせたい目標面への上記方向の変位量が最大となる第一の点と、上記変位量が最小となる第二の点の間において、空間的若しくは時間的に変調させた触覚刺激を上記ユーザへ与えるための触覚刺激情報を生成する第一のステップと、上記第一の点と上記第二の点の間において、上記ユーザへ上記触覚刺激情報に応じた触覚刺激を与える第二のステップを有する感覚呈示方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、実際に環境を傾けることなく、ユーザに傾きの感覚を呈示する感覚呈示装置及び感覚呈示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る感覚呈示装置1の構成を示すブロック図である。の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る感覚呈示方法を示すフローチャートである。
【
図3】
図2に示された感覚呈示方法の実施例を示す図である。
【
図4】
図2に示された感覚呈示方法を
図3に示された実施例に適用した場合を説明するための第一の図である。
【
図5】
図2に示された感覚呈示方法を
図3に示された実施例に適用した場合を説明するための第二の図である。
【
図6】
図2に示された触覚刺激情報に係る刺激強度パターンの実施例1を説明するための図であり、
図6(a)は点Xと点Yの間における各点の触覚刺激強度を示すグラフ、
図6(b)は
図6(a)に示された刺激強度パターンを示す平面図である。
【
図7】
図2に示された触覚刺激情報に係る刺激強度パターンの実施例2を説明するための図である。
【
図8】
図2に示された触覚刺激情報に係る刺激強度パターンの実施例3及び実施例4を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る感覚呈示装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、感覚呈示装置1は、ノードNに接続されたバスBと、それぞれバスBに接続された触覚刺激情報生成部2、触覚刺激部3、及び記憶部4を備え、ユーザと接触する面(基準面)が傾いている感覚を当該ユーザへ呈示する機能を有する。
【0012】
ここで、触覚刺激情報生成部2は、中央演算処理装置(CPU)により構成され、空間的若しくは時間的に変調させた触覚刺激を当該ユーザへ与えるための触覚刺激情報を生成する。なお、触覚刺激には、触覚を生起させる振動刺激、電気刺激、剪断刺激等が含まれる。
【0013】
また、触覚刺激部3は、ピエゾ素子、振動モータ、若しくは電気刺激電極等の触覚刺激デバイスにより構成され、上記ユーザへ触覚刺激を与えるよう上記触覚刺激情報に応じて駆動し、触覚刺激を呈示する。
【0014】
図2は、本発明の実施の形態に係る感覚呈示方法を示すフローチャートである。以下においては、
図2を参照しつつ、
図1に示された感覚呈示装置1の動作により本感覚呈示方法を実現する場合について説明するが、本感覚呈示方法の実現手段は、本感覚呈示装置1に限られないことは言うまでもない。
【0015】
図2に示される感覚呈示方法は、ユーザと接触する基準面が傾いている感覚を当該ユーザへ呈示する方法であるが、ステップS1において、触覚刺激情報生成部2が、外部からノードNを介して、若しくは記憶部4からバスBを介して供給された基準面の形状を示す形状情報と、基準面の傾きを示す傾き情報に基づいて、傾いているように感じさせたい目標の角度をなす目標面と上記基準面の位置の比較において、ユーザが接触している方向を正の方向としたときの上記基準面と上記目標面の上記方向の変位量が最大となる点Xと、上記変位量が最小となる点Yの間において空間的若しくは時間的に変調させた触覚刺激を当該ユーザへ与えるための触覚刺激情報を生成する。ここで、上記目標面は、傾いているように感じさせたい角度をユーザが指定し、上記基準面を指定された当該角度で実際に傾けた場合の面として、その姿勢(位置や角度)を決定するようにしても良い。
【0016】
なお、上記傾き情報については、現実の車や床などの場合は、センサまたは画像処理などにより車体等の傾きを検出することによって得ることができる。また、サイバー空間における物や環境の傾きについては、その物理特性を計算し、若しくは、当該サイバー空間に表示された車体の傾きを画像等から検出することによって得ることができる。
【0017】
次に、ステップS2において、触覚刺激部3が、上記点Xと上記点Yの間において、当該ユーザへ上記触覚刺激情報に応じた触覚刺激を与える。
【0018】
以下において、
図3から
図8を参照しつつ、
図2に示された感覚呈示方法の実施例について説明する。なお、以下の実施例における触覚刺激情報についても、
図1に示された感覚呈示装置1においては、触覚刺激情報生成部2により生成されることになる。
【0019】
図3は、
図2に示された感覚呈示方法の実施例を示す図である。
図3に示されるように、本実施例は、車両を運転するユーザが座る座席に上記感覚呈示方法を適用したものである。ここで、ユーザは傾いていない座面をなす基準面HPで当該座席と接触しており、目標面TPは当該ユーザへ右斜め後方に傾いているかのように感じさせたい目標をなす面を示す。また、矢印で示される方向Dは、基準面HPに当該ユーザの体が接している方向を示す。
【0020】
最初に、
図4に示されるように、
図3に示されたユーザに対して、接している基準面HPが目標面TPのように傾いていることを感じさせたい場合、上記方向Dの変位量が最大になる点Xを特定する。また同様に、基準面HPにおいて、方向Dの変位量が最小になる点Yを特定する。
【0021】
次に、
図5に示されるように、上記の点Xと点Yの二点を結ぶ線分における鉛直方向の断面PLにおいて、以下の実施例1から4のいずれかの刺激強度パターン、又はこれらを組み合わせた刺激強度パターンを有する触覚刺激情報を生成する。以下においては、上記実施例1から4の刺激強度パターンについて説明する。
【0022】
[実施例1]
図6(a)の実線で示されるように、上記の点Xと点Yの間に所定周期の空間周波数による係数と、上記点Yから上記点Xにかけて単調増加関数、若しくは指数関数など、線形又は非線形に増加する係数の積からなる刺激強度パターン、つまり、
図6(b)に示されるように、基準面HPにおいて、一定の距離間隔の縞状で、かつ、上記点Xに近いほど当該縞の刺激強度が高い刺激強度パターンとする。なお、
図6(b)において、縞状模様の各格子の濃淡は、基準面HPに設置したデバイスの素子の空間解像度に対応させた素子の位置と刺激強度の例を模式的に示すものであり、黒表記の格子は刺激強度が強い部分を、白表記の格子は刺激強度が弱い部分を、灰色表記の格子は、当該灰色の濃さにしたがって、刺激強度の強弱を示すものとする。
【0023】
ここで例えば、上記実線で示される刺激強度パターンは、以下の式で示されるものとすることができる。
【0024】
【0025】
[実施例2]
図7に示されるように、上記点Yから上記点Xにかけての各点の刺激強度を所定周波数で時間変動させつつ、上記各点での最大刺激強度を単調増加、若しくは指数関数など、線形又は非線形に増加させた刺激強度パターン、つまり、空間的に刺激強度を変えつつ、刺激が全体的に時間変調するような刺激強度パターンとする。
【0026】
[実施例3]
図8に示されるように、呈示したい傾きが変化した時点で、基準面HPにおいて、上記点Y及びその付近のみが刺激強度の高い状態から、その高い刺激強度の刺激位置が上記点Yから上記点X方向へ、すなわち
図8の矢印で示されるように、同図の黒色部分で示された時刻Tにおける縞状刺激が、その少し前の時刻(T-2)の位置から、少し後の時刻(T+3)の位置へ空間的に移動するような刺激強度パターン、端的には、上記点Y側に刺激が出現して、上記点X側に同じ刺激強度の刺激が移動してゆくような刺激強度パターンとする。
【0027】
[実施例4]
傾きの変化した時点で、上記実施例3とは逆に、基準面HPにおいて、上記点X及びその付近のみが刺激強度の高い状態から、その高い刺激強度を減少させながら、その刺激位置が上記点Xから上記点Y方向へ、すなわち
図8の矢印の逆向きに縞状刺激T1が縞状刺激T2へ空間的に移動するような刺激強度パターン、すなわち、上記点X側に刺激が出現して、当該刺激が小さくなりながら上記点Y側に移動してゆくような刺激強度パターンとする。
【0028】
次に、上記のように生成された刺激強度パターンと、実際の基準面HP内の触覚刺激デバイスの配置位置を比較し、各触覚刺激デバイスの位置における刺激強度パターンと当該触覚刺激デバイスの特性に応じて、当該触覚刺激デバイスへの入力値を求める。
【0029】
具体的には、触覚刺激デバイスがピエゾ素子であるか、振動モータであるか、電気刺激電極であるかにより、ユーザが感じる刺激強度、当該触覚刺激デバイスの物理的な出力強度、その触覚刺激デバイスの出力強度に対応した当該触覚刺激デバイスへの入力値の3つの値の関係は異なるため、触覚刺激デバイスの特性を考慮して人が感じる刺激強度の時空間的な変化が所望の刺激強度パターンになるよう、触覚刺激デバイスへの入力値を求める。
【0030】
なお、ユーザへ上記のような感覚呈示を行う際には、併せて、基準面HPが傾いている状況や、基準面HPが傾いていることによりユーザが乗車している車の車体や運転席から見える路面など視界の傾きを、映像により当該ユーザに対して視覚的に見せるという、いわゆるマルチモーダル呈示を行うことによって、当該ユーザに傾きの感覚を呈示する効果をより高めることができる。
【0031】
また、ユーザへ上記のような感覚呈示を行う際には、併せて、上記基準面HPが傾いていることに起因するユーザを取り巻く環境で発生する音の方向の傾きをマルチモーダル呈示することによっても、当該ユーザに傾きの感覚を呈示する効果をより高めることができる。
【0032】
また、上記刺激強度パターンは、リアルタイムで算出してもよいが、傾きに対応した刺激強度パターンや各触覚刺激デバイスにおける刺激強度に関する対応表を事前に生成し、
図1に示された記憶部4や外部の記憶装置に保存しておき、それを参照することによって生成するようにしても良い。
【0033】
以上より、本発明の実施の形態に係る感覚呈示装置1及び感覚呈示方法によれば、実際には傾いていない上記基準面HPが傾いているかのような感覚を当該ユーザへ呈示することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 感覚呈示装置、2 触覚刺激情報生成部、3 触覚刺激部、HP 基準面、TP 目標面。