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特開2024-115388半導体装置、および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115388
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】半導体装置、および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240819BHJP
【FI】
H01L27/146 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021059
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】葛西 大樹
(72)【発明者】
【氏名】黒田 理人
(72)【発明者】
【氏名】須川 成利
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA02
4M118EA14
4M118FA27
4M118FA38
4M118GB03
4M118GB08
4M118HA25
(57)【要約】
【課題】リーク電流の発生を抑制することができる半導体装置及びその半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】第1の導電型の半導体基板と、フォトダイオードと、第1の導電型のウェル領域を有し、フォトダイオードにおいて生成された電荷を増幅するトランジスタと、半導体基板と同じ第1の導電型のウェル領域を有し、トランジスタからの電荷を蓄積して保持するMOS型容量部と、をそれぞれ有する複数の画素と、トランジスタのウェル領域及びMOS型容量部のウェル領域を覆うように半導体基板に形成され、第2の導電型用の不純物が注入された第1の拡散層と、各画素のトランジスタのウェル領域とMOS型容量部のウェル領域とをそれぞれ覆うように半導体基板に形成され、第2の導電型用の不純物が注入された複数の第2の拡散層と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型の半導体基板と、
前記半導体基板に形成されたフォトダイオードと、前記半導体基板に形成され、前記第1の導電型のウェル領域を有し、前記フォトダイオードにおいて生成された電荷を増幅するトランジスタと、前記半導体基板に形成され、前記半導体基板と同じ第1の導電型のウェル領域を有し、前記トランジスタからの電荷を蓄積して保持するMOS型容量部と、をそれぞれ有する複数の画素と、
複数の前記画素の全面に亘って、前記トランジスタのウェル領域及び前記MOS型容量部のウェル領域を覆うように前記半導体基板に形成され、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型用の不純物が注入された第1の拡散層と、
各画素の前記トランジスタのウェル領域と前記MOS型容量部のウェル領域とをそれぞれ覆うように前記半導体基板に形成され、前記第2の導電型用の不純物が注入された複数の第2の拡散層と、
を有する半導体装置。
【請求項2】
前記半導体基板において前記フォトダイオードが形成される面から見て、前記第2の拡散層は、前記第1の拡散層よりも深く形成される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の導電型はP型であり、前記第2の導電型はN型である請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記フォトダイオードは、X線検出用のフォトダイオードである請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
第1の導電型の半導体基板に、ドライエッチングにより溝を設けて酸化膜を埋め込むことで素子分離部を設け、化学機械研磨により前記半導体基板の表面を平坦化する工程と、
後に形成される複数の画素の全面に亘って、各画素が有するトランジスタのウェル領域及びMOS型容量部のウェル領域を覆う領域で、前記半導体基板に、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型用の不純物を注入して熱拡散を行い第1の拡散層を形成する工程と、
後に形成される複数の各画素の前記トランジスタのウェル領域と前記MOS型容量部のウェル領域とをそれぞれ覆う領域で、前記半導体基板に、前記第2の導電型用の不純物を注入して熱拡散を行い第2の拡散層を形成する工程と、
前記MOS型容量部、前記トランジスタ及びフォトダイオードを形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、特に、同一の半導体基板上にフォトダイオードと、トランジスタなどの回路素子と、信号電荷の一時保存用としてのMOS容量とを混載した画素部を持つ軟X線CMOSイメージセンサ等に対して好適な半導体装置、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
変換部(フォトダイオード)、転送トランジスタ及び増幅トランジスタを含む軟X線検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の軟X線検出装置は、いわゆる、表面照射型イメージセンサであり、互いに隣接する2つの変換部の間にN型のトランジスタを配置しないことで、検出精度を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-38174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の表面照射型イメージセンサの場合、例えばフォトダイオードの面積が画素部の50%だとすると、入射光のうちのフォトダイオードにより遮光されない50%分の光しか信号として活用できないという問題点があった。
【0005】
この問題を解決するために、信号光をイメージセンサの裏面側から入射させる裏面照射型イメージセンサがある。裏面照射型イメージセンサによれば、イメージセンサの裏面には遮光するものが無いため、入射光の全てを信号光として活用できる。ただし、軟X線を用いるセンサの場合、入射したX線がシリコン基板内で吸収されずに突き抜けてしまう場合、表面側に形成したトランジスタの誤動作を引き起こす可能性がある。このため、大部分のX線がシリコン内で吸収されるように、シリコン支持基板の厚さを例えば50μm等に厚く設けることが考えられる。大部分のX線がシリコン支持基板内で吸収されることは、入射したX線をより多く信号として活用できることも意味している。
【0006】
ここで、入射したX線は、シリコン基板内でシリコン原子と衝突して信号電荷となり得る電子正孔対を発生させる。この信号電荷をフォトダイオードで効率的に収集するためには、支持基板裏面に数十Vの電圧を印加して、フォトダイオードから広げる空乏層を支持基板裏面まで到達させる必要がある。
【0007】
一方で、支持基板表面に形成したトランジスタ及びMOS容量については0Vの電圧を印加しているため、トランジスタ及びMOS容量のウェル領域のPN型が支持基板と同じ型であった場合に、ウェル領域と支持基板裏面との電位差でリーク電流が発生してしまうという問題がある。
本発明は、上記の事情に鑑みて、リーク電流の発生を抑制することができる半導体装置及びその半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置は、第1の導電型の半導体基板と、
前記半導体基板に形成されたフォトダイオードと、前記半導体基板に形成され、前記第1の導電型のウェル領域を有し、前記フォトダイオードにおいて生成された電荷を増幅するトランジスタと、前記半導体基板に形成され、前記半導体基板と同じ第1の導電型のウェル領域を有し、前記トランジスタからの電荷を蓄積して保持するMOS型容量部と、をそれぞれ有する複数の画素と、複数の前記画素の全面に亘って、前記トランジスタのウェル領域及び前記MOS型容量部のウェル領域を覆うように前記半導体基板に形成され、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型用の不純物が注入された第1の拡散層と、各画素の前記トランジスタのウェル領域と前記MOS型容量部のウェル領域とをそれぞれ覆うように前記半導体基板に形成され、前記第2の導電型用の不純物が注入された複数の第2の拡散層と、を有するものである。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置の製造方法は、第1の導電型の半導体基板に、ドライエッチングにより溝を設けて酸化膜を埋め込むことで素子分離部を設け、化学機械研磨により前記半導体基板の表面を平坦化する工程と、後に形成される複数の画素の全面に亘って、各画素が有するトランジスタのウェル領域及びMOS型容量部のウェル領域を覆う領域で、前記半導体基板に、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型用の不純物を注入して熱拡散を行い第1の拡散層を形成する工程と、後に形成される複数の各画素の前記トランジスタのウェル領域と前記MOS型容量部のウェル領域とをそれぞれ覆う領域で、前記半導体基板に、前記第2の導電型用の不純物を注入して熱拡散を行い第2の拡散層を形成する工程と、前記MOS型容量部、前記トランジスタ及びフォトダイオードを形成する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リーク電流の発生を抑制することができる半導体装置及びその半導体装置の製造方法を提供することが可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
図2】第1の実施の形態に係る半導体装置の平面図である。
図3】第1の実施の形態に係る半導体装置の一部拡大平面図である。
図4】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図5】第1の実施の形態に係る半導体装置の構成の変形例を示す断面図である。
図6】第2の実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
図7】比較例としての半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
(第1の実施の形態)
(半導体装置の構造)
図1図3を用いて、第1の実施の形態の半導体装置の構造について説明する。
最初に、第1の実施の形態の半導体装置の構造について、主に図1を参照しつつ、適宜図2及び図3を参照して、説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を示す断面図である。図2は、第1の実施の形態に係る半導体装置の平面図である。図3は、第1の実施の形態に係る半導体装置の一部拡大平面図である。
【0014】
本実施の形態では、図1に示すように、半導体装置10は、半導体基板12、画素部80、第1の拡散層60、及び第2の拡散層70を有する。なお、図1において、第1の拡散層60は、右上がり斜線でハッチングして表し、第2の拡散層70は、右下がりの斜線でハッチングして表している。
【0015】
半導体基板12は、第1の導電型の半導体基板である。第1の導電型は、例えば、P型であり、第1の導電型用の不純物であるボロンが注入されて拡散されている。半導体基板12の導電型は、N型であっても良い。以下、本実施形態では、半導体基板12の導電型がP型である場合を例に説明する。
【0016】
画素部80は、複数の画素81を有する。複数の画素81は、半導体基板12に形成されており、例えば、図2に示すように、所定のパターンで繰り返し形成されている。複数の画素81は、素子分離部としてのSTI(Shallow trench isolation)20により、相互に分離される。各画素81は、フォトダイオード部40、トランジスタ部30、及びMOS型容量部50を有する。
【0017】
フォトダイオード部40は、半導体基板12に形成されたフォトダイオード41を有する。フォトダイオード41は、受光により電荷を生成する。フォトダイオード41は、例えば、X線検出用のフォトダイオードである。
【0018】
トランジスタ部30は、半導体基板12に形成されたトランジスタ31を有する。トランジスタ31は、半導体基板12と同じ第1の導電型のウェル領域32、例えば、P型のウェル領域32を有する。トランジスタ31は、フォトダイオード41により生成された電荷を増幅する。ウェル領域32には、N型のソース領域33及びドレイン領域34が設けられる。
【0019】
MOS型容量部50は、ゲート絶縁膜53により分離されたゲート51を有する。また、MOS型容量部50は、半導体基板12に形成され、半導体基板12と同じ第1の導電型のウェル領域52、例えば、P型のウェル領域52を有する。MOS型容量部50は、トランジスタからの電荷を蓄積して保持する。ウェル領域52には、N型のソース領域54及びドレイン領域55が設けられる。
【0020】
第1の拡散層60は、複数の画素81の全面に亘って、トランジスタ31のウェル領域32及びMOS型容量部50のウェル領域52を覆う(覆い包む)ように半導体基板12に形成されている。第1の拡散層60は、例えば、図2及び図3の平面図において、右上がり斜線で示す範囲のように、画素部80の全面に亘って、すなわち、複数の画素81に亘って形成されている。なお、図2に示すように、画素部80の周囲には、画素81以外の周辺回路が設けられる周辺回路トランジスタ部35が形成されている。
【0021】
第1の拡散層60は、第1の導電型とは異なる第2の導電型用の不純物が注入され拡散されている。第1の導電型とは異なる第2の導電型用の不純物は、例えばリンである。
【0022】
第2の拡散層70は、各画素81のトランジスタ31のウェル領域32とMOS型容量部50のウェル領域52とをそれぞれ覆う(覆い包む)ように半導体基板12に複数形成されている。第2の拡散層70は、第1の導電型とは異なる第2の導電型用の不純物が注入され拡散されている。第1の導電型とは異なる第2の導電型用の不純物は、例えばリンである。
【0023】
このように、第1実施形態の半導体装置10では、第1の拡散層60及び第2の拡散層70が形成されていない半導体基板12の部分(以下、支持基板部分14と呼ぶ)と、トランジスタ部30のウェル領域32及びMOS型容量部50のウェル領域52との間に、第1の拡散層60及び第2の拡散層70が配置される構造を有する。すなわち、P型のウェル領域32及びウェル領域52と、P型の支持基板部分14との間に、N型用のリンがドーピングされた第1の拡散層60及び第2の拡散層70が介在する。同じ導電型のP型のウェル領域32及びウェル領域52と、P型の支持基板部分14とが、第1の拡散層60及び第2の拡散層70の介在により非連続となる。従って、第1の拡散層60及び第2の拡散層70と、支持基板部分14との間のリーク電流を低減させることができ、結果として、支持基板部分14を空乏化できる。
【0024】
また、第1の拡散層60及び第2の拡散層70がオーバーラップする部分(ハッチングが重なる部分)は、ウェル領域32及びウェル領域52を含む。従って、トランジスタ部30のウェル領域32及びMOS型容量部50のウェル領域52で発生した信号電荷をロスなくフォトダイオード41に運べる。また、第2の拡散層70に注入するリンの濃度を調整することにより、フォトダイオード41を空乏化でき、フォトダイオード41で発生した信号電荷をロス無くゲートに運べる。
【0025】
また、半導体基板12においてフォトダイオード41が形成される面(図1において上面)から見て、第2の拡散層70は、第1の拡散層60よりも深く形成される。これにより、ウェル領域32及びウェル領域52の底面から、支持基板部分14に向かって、リンの濃度が段階的に薄くなる。つまり、第1の拡散層60及び第2の拡散層70がオーバーラップする部分がリンの濃度が最も高く、第1の拡散層60よりも深い第2の拡散層70の部分のリンの濃度がその次に高く、支持基板部分14がリンの濃度が最も低い(ゼロ)。リンの濃度が段階的になるため、支持基板部分14へよりリーク電流が流れにくくできる。
【0026】
また、本実施形態では、半導体基板12の入射光側(図1において下面)の全面に亘って、半導体基板12よりも第1の導電型用の不純物であるボロンの濃度が濃い裏面P型層90が形成されている。裏面P型層90は、例えば、半導体基板12のボロンの濃度が1012cm-3であり、裏面P型層90のボロンの濃度が1020cm-3である。なお、裏面P型層90は、例えばその厚さが半導体基板12に比べ薄い厚さとなるように形成される。
【0027】
また、本実施の形態では、図2に示すように、半導体装置10の外周、より詳しくは、周辺回路トランジスタ部35の外側に、P型層100が続くように形成されている。
【0028】
(半導体装置の製造方法)
次に、第1の実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。
図4は、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0029】
ステップS10において、P型の半導体基板12に、ドライエッチングにより溝を設けて酸化膜を埋め込むことで素子分離部としてのSTI(Shallow trench isolation)20を設け、化学機械研磨により半導体基板12の表面を平坦化する。STI20は、フォトリソグラフィ、エッチング、及び化学蒸着法(CVD)等のいずれの方法により形成されてもよい。
【0030】
ステップS11において、後に形成される複数の画素81の全面に亘って、各画素81が有するトランジスタ部30のウェル領域32及びMOS型容量部50のウェル領域52を覆う領域で、半導体基板12に、P型とは異なる導電型用の不純物としてリンを注入して、熱拡散を行い第1の拡散層60を形成する。具体的には、不純物注入のためのパッド酸化膜を、酸化によって例えば300オングストロームの厚さに形成する。そして、図2の画素部80の範囲を開口したフォトレジストをフォトリソグラフィにより形成し、リンを注入する。リンの条件としては、例えば、3000keV、1.0E+11cm-2等であり、注入深さが深くなるため、フォトリソグラフィのフォトレジストの厚みは例えば7μm程度の厚いレジストが必要となる。厚いフォトレジストを用いた場合、マスクずれや寸法バラツキが大きくなってしまうため、第1の拡散層60は画素部80の全体に注入する。
【0031】
ステップS12において、後に形成される複数の各画素81のトランジスタ部30のウェル領域32とMOS型容量部50のウェル領域52とをそれぞれ覆う領域で、半導体基板12に、N型用の不純物としてリンを注入して、熱拡散を行い第2の拡散層70を形成する。第2の拡散層70における不純物注入の条件としては、例えば、 1600keV、1.0E+11cm-2等である。フォトリソグラフィのフォトレジストの厚さは4μm程度とする。これにより、画素81毎にパターンを形成しても、マスクずれや寸法バラツキは画素81のサイズに対して十分許容できる程度となる。
【0032】
ステップS13において、第1の拡散層60及び第2の拡散層70を、例えば、1100度で24時間程度加熱することにより熱拡散を行い、N型のウェル領域32及びウェル領域52に拡散されたボロンの濃度に比べて、深くて薄い濃度の拡散層を得る。
また、ここで、半導体基板12に、P型の不純物としてボロンを注入して、熱拡散を行い裏面P型層90を形成する。
ステップS14において、トランジスタ部30、フォトダイオード部40、MOS型容量部50、及び配線を有する中間膜13(層間膜)等を形成する。トランジスタ部30等については、通常の方法により形成するため、ここでの説明を省略する。
【0033】
なお、上述した第1の実施の形態では、図1に示すように、半導体基板12においてフォトダイオード41が形成される面(図1において上面)まで、第2の拡散層70が形成され、トランジスタ部30のウェル領域32及びMOS型容量部50のウェル領域52を完全に覆うことで、リーク電流の発生を抑制している。しかし、第1の実施の形態のように、半導体基板12においてフォトダイオード41が形成される面(図1において上面)まで、第2の拡散層70が形成され、トランジスタ部30のウェル領域32及びMOS型容量部50のウェル領域52を完全に覆うことが望ましいが、半導体基板12においてフォトダイオード41が形成される面(図1において上面)まで第2の拡散層70が形成されない場合があってもよい。すなわち、図5に示すトランジスタ部30のウェル領域32の左側部分及びMOS型容量部50のウェル領域52の右側部分のそれぞれ一部に、第2の拡散層70に覆われていない部分Fがあってもよい。また、第2の拡散層70のリンの濃度は均一ではなく、半導体基板12においてフォトダイオード41が形成される面(図1において上面)に近づくにしたがって、第2の拡散層70のリンの濃度が低くなるように形成されてもよい。すなわち、図1に示すトランジスタ部30のウェル領域32の左側部分及びMOS型容量部50のウェル領域52の右側部分は、第2の拡散層70のリンの濃度が、ウェル領域32の下側部分及びウェル領域52の下側部分に比べ、低く形成されていてもよい。これは、半導体基板12に不純物としてリンを注入して熱拡散を行い第2の拡散層70を形成する際に、半導体基板12においてフォトダイオード41が形成される面(図1及び図5において上面)まで均一な濃度でリンを注入することが望ましいが、均一な濃度でリンを注入することは困難であり、半導体基板12においてフォトダイオード41が形成される面(図1及び図5において上面)までリンが到達せず第2の拡散層70に覆われていない部分Fが発生することや、到達しても濃度が低い場合が発生しうるためである。
【0034】
上述したように、半導体基板12は不純物としてボロンが注入されて拡散されており、又、第1の拡散層60は不純物としてリンが注入されて拡散されている。そして、半導体基板12が空乏化する前に第1の拡散層60と第2の拡散層70とが空乏化するとそれ以上半導体基板12が空乏化しなくなってしまうため、リーク電流を抑えつつ、光をフォトダイオード41に伝えることができるように、半導体基板12の厚さと不純物の濃度と、第1の拡散層60の厚さと不純物の濃度との関係は、以下のようになることが望ましい。
X(半導体基板12の厚さ)×A(半導体基板12の不純物の濃度)=Y(第1の拡散層60の厚さ)×B(第1の拡散層60の不純物の濃度)
このため、本実施形態では、例えば、半導体基板12の厚さは45μmであり、第1の拡散層60の厚さは3μmなどとなる。なお、半導体基板12の厚さは、様々な環境で使用されるため、耐用年数を考慮し40μm以上であることが望ましい。また、A(半導体基板12の不純物の濃度)とB(第1の拡散層60の不純物の濃度)とは、不純物の濃度が半導体基板12や第1の拡散層60の部分によって異なる場合があるため、各不純物の平均濃度であることが望ましい。
【0035】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同様の構成については、同様の参照符号を付し、その説明を省略する。
図6は、第2の実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【0036】
図6に示すように、第2の実施の形態の半導体装置10Aは、第1の実施の形態と同様に、半導体基板12は、画素部80と、第1の拡散層60と、第2の拡散層70とを有する。一方、第2の実施の形態では、画素部80に含まれるMOS型容量部56が、第1の実施形態のMOS型容量部50と異なる。具体的には、MOS型容量部56は、第1の実施形態の平面構造から、トレンチ構造に変更されている。トレンチ構造を有することで、単位面積当りの容量値を大きく増加させられる。
【0037】
第2の実施の形態の半導体装置10Aの形成方法は、第1の実施の形態と同じようにまずは素子分離部(STI)20、第1の拡散層60(図1において、右上がり斜線で示す領域)、第2の拡散層70(図1において、右下がり斜線で示す領域)を形成する。そして、トレンチ構造を形成する。
【0038】
この後に、通常のトランジスタ31及びフォトダイオード41を形成する工程を行う。第1の実施の形態と同様に、第1の拡散層60及び第2の拡散層70の濃度により、トランジスタ部30のウェル領域32及びMOS型容量部56のウェル領域52と、支持基板部分14との間で、リーク電流を低減でき、半導体基板12(支持基板部分14)を完全空乏化させることが可能となる。第1の拡散層60及び第2の拡散層70は、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0039】
(比較例)
次に、比較例について説明する。
図7は比較例に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
図7に示す半導体装置100は、一般的な表面照射型イメージセンサである。
図7に示すように、表面照射型イメージセンサに係る半導体装置100では、第1の実施の形態と同様に、同一のウェハ上にフォトダイオード141を有するフォトダイオード部140と、トランジスタ131などの回路素子を有するトランジスタ部130と、信号電荷の一時保存用としてのMOS型容量部150とを混在させている。
【0040】
この構造では、入射光によるトランジスタ131等の誤動作の防止のために、トランジスタ131などの回路素子、及び信号電荷の一時保存用としてのMOS型容量部150を遮光メタル200で覆っている。このため、半導体装置100の表面側から入射した信号光のうち、フォトダイオード141領域近傍の遮光されていない部分に入射した光しか信号として活用できない。この場合、光が入射するのはSi表面から数μmの領域であるため、高感度化のためにフォトダイオード141の領域を空乏化させようとした場合でも、半導体基板112を接地し、フォトダイオード141に例えば3V程度の電圧を印加するだけでも、空乏層内に入射光を収めることが出来る。
【0041】
一方で、半導体装置100では、第1及び第2の実施の形態で説明したような第1の拡散層60、及び第2の拡散層70は、形成されていない。半導体装置100において、トランジスタ131のウェル領域132、及びMOS型容量部150のウェル領域152の導電型(PN型)が、半導体基板112と同一の型であった場合に、ウェル領域132、152と、半導体基板112(支持基板)との電位差でリーク電流が発生してしまうことになる。
【符号の説明】
【0042】
10、10A、 半導体装置
12、112 半導体基板
13 中間膜(層間膜)
14 支持基板部分
20 素子分離部(STI)
30、130 トランジスタ部
31、131 トランジスタ
32、132、52、152 ウェル領域
33、54 ソース領域
34、55 ドレイン領域
40、140 フォトダイオード部
41、141 フォトダイオード
50、56、150 MOS型容量部
60 第1の拡散層
70 第2の拡散層
80 画素部
81 1画素
90 裏面P型層
100 P型層
200 遮光メタル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7