IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスケーシー ソルミックス カンパニー,リミテッドの特許一覧

特開2024-115509半導体工程用研磨組成物及びこれを用いた基板の研磨方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115509
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】半導体工程用研磨組成物及びこれを用いた基板の研磨方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240819BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20240819BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
H01L21/304 622B
B24B37/00 H
C09K3/14 550Z
C09K3/14 550D
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023199314
(22)【出願日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2023-0019421
(32)【優先日】2023-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケー エンパルス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK enpulse Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ドクス
(72)【発明者】
【氏名】キム、ファンチョル
(72)【発明者】
【氏名】ホン、スンチョル
(72)【発明者】
【氏名】パク、ハンテ
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CB01
3C158CB03
3C158CB10
3C158DA02
3C158DA12
3C158EA11
3C158EB01
3C158ED03
3C158ED04
3C158ED08
3C158ED10
3C158ED11
3C158ED12
3C158ED23
5F057AA03
5F057AA07
5F057AA09
5F057AA21
5F057AA28
5F057BA15
5F057BB16
5F057BB25
5F057BB34
5F057CA11
5F057CA25
5F057DA03
5F057DA38
5F057EA01
5F057EA06
5F057EA07
5F057EA08
5F057EA09
5F057EA16
5F057EA32
5F057EA40
5F057EC30
5F057FA37
(57)【要約】      (修正有)
【課題】化学的機械的研磨(CMP)工程に適用する際に、研磨対象の基板の表面で研磨粒子由来のディフェクトが形成されることを効果的に抑制することができ、かつ、安定した研磨特性を示す半導体工程用研磨組成物を提供する。
【解決手段】半導体工程用研磨組成物は研磨粒子を含み、研磨粒子の下記式1によるDs値が700nm~1400nmである。
[式1]
Ds=MPS-D10
前記式1において、MPSは、研磨粒子の一次粒子の平均粒子サイズ(Mean particle size)である。D10は、研磨粒子の一次粒子の粒度分布の累積曲線において10%となる地点の粒径である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨粒子を含み、
前記研磨粒子の下記式1によるDs値が700nm~1400nmである、半導体工程用研磨組成物。
[式1]
Ds=MPS-D10
(前記式1において、
前記MPSは、前記研磨粒子の一次粒子の平均粒子サイズ(Mean particle size)であり、
前記D10は、前記研磨粒子の一次粒子の粒度分布の累積曲線において10%となる地点の粒径である。)
【請求項2】
下記式2によるDb値が500nm~850nmである、請求項1に記載の半導体工程用研磨組成物。
[式2]
Db=D90 -D50
(前記式2において、
前記D90は、前記研磨粒子の一次粒子の粒度分布の累積曲線において90%となる地点の粒径であり、
前記D50は、前記研磨粒子の一次粒子の粒度分布の累積曲線において50%となる地点の粒径である。)
【請求項3】
前記MPS値が25nm~55nmである、請求項1に記載の半導体工程用研磨組成物。
【請求項4】
前記研磨粒子は、限外濾過フィルター(ultra-filtration filter)によって濃縮されて精製されたものである、請求項1に記載の半導体工程用研磨組成物。
【請求項5】
前記限外濾過フィルターは空隙を含み、
前記空隙は5nm~25nmの直径を有する、請求項4に記載の半導体工程用研磨組成物。
【請求項6】
ゼータ電位が+10mV~+40mVである、請求項1に記載の半導体工程用研磨組成物。
【請求項7】
前記研磨粒子を0.5重量%~10重量%含む、請求項1に記載の半導体工程用研磨組成物。
【請求項8】
前記研磨粒子は金属酸化物粒子を含み、
前記金属酸化物粒子は、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、セリア、アルミナ、チタニア、及びジルコニアのうちの少なくともいずれか1つを含む、請求項1に記載の半導体工程用研磨組成物。
【請求項9】
pHが2~5である、請求項1に記載の半導体工程用研磨組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の半導体工程用研磨組成物をスラリーとして適用して基板を研磨する過程を含む、基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
具現例は、半導体工程用研磨組成物及びこれを用いた基板の研磨方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子は、さらに微細化、高密度化されるに伴い、さらに微細なパターン形成技術が用いられており、それによって、半導体素子の表面構造がさらに複雑となり、層間膜の段差もさらに大きくなっている。半導体素子を製造するにおいて、基板上に形成された特定の膜での段差を除去するための平坦化技術として、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing:以下、「CMP」と称する)工程が用いられる。
【0003】
CMP工程は、研磨パッドにスラリーが提供されながら、基板が加圧、回転して表面が研磨される。工程の段階に応じて平坦化しようとする対象が変わり、このときに適用されるスラリーの物性にも差がある。
【0004】
金属配線が形成された後の研磨は、ディッシングまたはエロージョンなどを最小化しながら、十分な研磨率及び研磨速度を維持することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0341141号
【特許文献2】韓国登録特許第10-2291196号
【特許文献3】韓国登録特許第10-1406762号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
具現例の目的は、CMP工程に適用する際に、研磨対象の基板の表面で研磨粒子由来のディフェクトが形成されることを効果的に抑制することができ、安定した研磨特性を示す半導体工程用研磨組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書の一実施例に係る半導体工程用研磨組成物は研磨粒子を含む。
【0008】
前記研磨粒子の下記式1によるDs値が700nm~1400nmである。
【0009】
[式1]
Ds=MPS-D10
【0010】
前記式1において、前記MPSは、前記研磨粒子の一次粒子の平均粒子サイズ(Mean particle size)である。
【0011】
前記D10は、前記研磨粒子の一次粒子の粒度分布の累積曲線において10%となる地点の粒径である。
【0012】
前記半導体工程用研磨組成物は、下記式2によるDb値が500nm~850nmであってもよい。
【0013】
[式2]
Db=D90 -D50
【0014】
前記式2において、前記D90は、前記研磨粒子の一次粒子の粒度分布の累積曲線において90%となる地点の粒径である。
【0015】
前記D50は、前記研磨粒子の一次粒子の粒度分布の累積曲線において50%となる地点の粒径である。
【0016】
前記MPS値が25nm以上55nm以下であってもよい。
【0017】
前記研磨粒子は、限外濾過フィルターによって濃縮されて精製されたものであってもよい。
【0018】
前記限外濾過フィルターは空隙を含むことができる。
【0019】
前記空隙は5nm~25nmの直径を有することができる。
【0020】
前記半導体工程用研磨組成物のゼータ電位が+10mV~+40mVであってもよい。
【0021】
前記半導体工程用研磨組成物は、前記研磨粒子を0.5重量%~10重量%含むことができる。
【0022】
前記研磨粒子は金属酸化物粒子を含むことができる。
【0023】
前記金属酸化物粒子は、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、セリア、アルミナ、チタニア、及びジルコニアのうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。
【0024】
前記半導体工程用研磨組成物はpHが2~5であってもよい。
【0025】
本明細書の他の実施例に係る基板の製造方法は、前記半導体工程用研磨組成物をスラリーとして適用して基板を研磨する過程を含む。
【発明の効果】
【0026】
具現例の半導体工程用研磨組成物は、CMP工程に適用する際に、研磨対象の基板の表面に研磨粒子由来のディフェクトが形成されることが効果的に抑制され得、安定した研磨特性を示すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、具現例の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、実施例について詳細に説明する。しかし、具現例は、様々な異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0028】
本明細書で使用される程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造及び物質の許容誤差が提示されるとき、その数値で又はその数値に近接した意味で使用され、具現例の理解を助けるために正確又は絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。
【0029】
本明細書全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群から選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであって、前記構成要素からなる群から選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0030】
本明細書全体において、「A及び/又はB」の記載は、「A、B、または、A及びB」を意味する。
【0031】
本明細書全体において、「第1」、「第2」又は「A」、「B」のような用語は、特に説明がない限り、同一の用語を互いに区別するために使用される。
【0032】
本明細書において、A上にBが位置するという意味は、A上にBが位置したり、それらの間に別の層が位置しながらA上にBが位置したりすることができることを意味し、Aの表面に当接してBが位置することに限定されて解釈されない。
【0033】
本明細書において、単数の表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数又は複数を含む意味で解釈される。
【0034】
具現例の発明者らは、研磨粒子の粒度分布に関連するパラメータであるDs値などを制御することで、CMP工程に適用する際に、研磨対象の基板の表面に研磨粒子に由来するディフェクトが発生することを効果的に抑制しながらも、優れた研磨特性を示す半導体工程用研磨組成物を実現できることを実験的に確認し、具現例を完成した。
【0035】
以下、具現例について具体的に説明する。
【0036】
研磨粒子の粒度分布
具現例に係る半導体工程用研磨組成物は研磨粒子を含む。
【0037】
研磨粒子の下記式1によるDs値が700nm~1400nmである。
【0038】
[式1]
Ds=MPS-D10
【0039】
前記式1において、前記MPSは、前記研磨粒子の一次粒子の平均粒子サイズ(Mean particle size)である。
【0040】
前記D10は、前記研磨粒子の一次粒子の粒度分布の累積曲線において10%となる地点の粒径である。
【0041】
CMP用スラリーを用いてウエハの表面などを研磨する場合、研磨対象の表面には研磨粒子によるディフェクトが形成され得る。ディフェクトは、相対的に大きいサイズを有する研磨粒子によるスクラッチにより形成されるだけでなく、相対的に小さいサイズを有する研磨粒子によっても発生し得る。比較的小さいサイズを有する研磨粒子は、高い表面エネルギーを有するため、研磨対象の表面に強く吸着することができる。また、吸着された粒子は、有機物と容易に結合する特性を有するため、ウエハ表面上に有機物が残留する問題を誘発することがある。このような研磨粒子は、洗浄工程によっても容易に除去されない。
【0042】
具現例は、研磨粒子のDs値を制御することによって、研磨対象の表面上のディフェクトの発生を効果的に抑制することができる。このような場合、研磨粒子中の研磨対象の表面に容易に吸着するほどに小さい直径の研磨粒子の数を、具現例で予め設定した範囲内に制御できるので、ウエハ表面のディフェクトの発生を効果的に抑制することができる。
【0043】
研磨粒子のMPS値及びD10値は、粒度測定装置を用いてDLS(Dynamic Light Scattering)方式で測定する。例示的に、Malvern社のNano-ZS装備を用いて前記値を測定することができる。
【0044】
測定したMPS値及びD10値からDs値を算出する。
【0045】
研磨粒子のDs値は700nm~1400nmであり得る。前記Ds値は800nm以上であってもよい。前記Ds値は900nm以上であってもよい。前記Ds値は1000nm以上であってもよい。前記Ds値は1100nm以上であってもよい。前記Ds値は1200nm以上であってもよい。前記Ds値は1380nm以下であってもよい。前記Ds値は1370nm以下であってもよい。このような研磨組成物をCMP工程に適用する際に、研磨粒子の吸着によるウエハ表面上の欠陥の発生を効果的に抑制することができる。
【0046】
研磨粒子の下記式2によるDb値が500nm~830nmであってもよい。
【0047】
[式2]
Db=D90 -D50
【0048】
前記式2において、前記D90は、前記研磨粒子の一次粒子の粒度分布の累積曲線において90%となる地点の粒径である。
【0049】
前記D50は、前記研磨粒子の一次粒子の粒度分布の累積曲線において50%となる地点の粒径である。
【0050】
具現例は、研磨粒子のDb値を制御することができる。これを通じて、CMP工程の過程において研磨対象の基板に研磨粒子によるスクラッチなどの欠陥が発生する頻度を効果的に下げることができる。
【0051】
研磨粒子のD90値及びD50値は、粒度測定装置を用いてDLS(dynamic light scattering)方式で測定する。例示的に、Malvern社のNano-ZS装備を用いて前記値を測定することができる。
【0052】
測定したD90値及びD50値からDb値を算出する。
【0053】
研磨粒子のDb値は500nm~850nmであり得る。前記Db値は600nm以上であってもよい。前記Db値は650nm以上であってもよい。前記Db値は700nm以上であってもよい。前記Db値は750nm以上であってもよい。前記Db値は820nm以下であってもよい。前記Db値は800nm以下であってもよい。このような場合、過度に大きい直径を有する研磨粒子の数が制御されることで、研磨対象の表面にスクラッチが発生する頻度を効果的に下げることができる。
【0054】
研磨粒子のMPS値は25nm~55nmであり得る。前記MPS値は50nm以下であってもよい。前記MPS値は45nm以下であってもよい。前記MPS値は43.5nm以下であってもよい。前記MPS値は30nm以上であってもよい。前記MPS値は35nm以上であってもよい。前記MPS値は40nm以上であってもよい。
【0055】
研磨粒子のD50値は35nm~51nmであり得る。前記D50値は38nm以上であってもよい。前記D50値は40nm以上であってもよい。前記D50値は42nm以上であってもよい。前記D50値は50nm以下であってもよい。
【0056】
研磨粒子のD90値は45nm~56nmであり得る。前記D90値は48nm以上であってもよい。前記D90値は50nm以上であってもよい。
【0057】
このような研磨組成物をCMP工程に適用する際に、研磨を終えた研磨対象の表面にスクラッチが形成される程度を下げながら、優れた研磨率を示すことができる。
【0058】
研磨粒子のD10値は15nm~35nmであり得る。前記D10値は18nm以上であってもよい。前記D10値は20nm以上であってもよい。前記D10値は22nm以上であってもよい。前記D10値は32nm以下であってもよい。前記D10値は30nm以下であってもよい。前記D10値は28nm以下であってもよい。このような場合、CMP工程中に研磨粒子が基板の表面に固着する頻度を下げることができる。
【0059】
研磨粒子は、限外濾過フィルターによって濃縮されて精製されたものであってもよい。
【0060】
限外濾過フィルターは空隙を含むことができる。前記空隙は5nm~25nmの直径を有することができる。
【0061】
研磨粒子を限外濾過フィルターによって濃縮及び精製することについての説明は、後述する内容と重複するので省略する。
【0062】
研磨粒子の組成
研磨粒子は金属酸化物粒子を含むことができる。金属酸化物粒子は、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、セリア、アルミナ、チタニア、及びジルコニアのうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。例示的に、金属酸化物粒子はコロイダルシリカであってもよい。
【0063】
研磨対象の表面と研磨粒子との親和力の制御及び研磨率の向上などのために、半導体工程用研磨組成物は、研磨粒子として、表面改質された金属酸化物粒子を含むことができる。特に、具現例は、アミン基又はウレイド基を含むシラン系化合物によって表面改質された金属酸化物粒子を含む研磨粒子を適用することができる。これを通じて、シリコン酸化膜に対する研磨粒子の静電気的反発力を減少させながらも、研磨粒子が基板の表面に過度に吸着することを抑制することができる。
【0064】
研磨粒子は、アミノシランによって表面改質された金属酸化物粒子を含むことができる。研磨粒子は、アミノシランによって表面改質された金属酸化物粒子が適用され得る。アミノシランは、例示的に、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス[(3-トリエトキシシリル)プロピル]アミン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス[(3-トリメトキシシリル)プロピル]アミン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エチレンジアミン、N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ジエチレントリアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ジエチルアミノメチルトリエトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]ブチルアミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つであってもよい。
【0065】
研磨粒子は、ウレイドシランによって表面改質された金属酸化物粒子を含むことができる。研磨粒子は、ウレイドシランによって表面改質された金属酸化物粒子が適用され得る。ウレイドシランは、例示的に、3-ウレイドトリメトキシシラン、3-ウレイドトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つであってもよい。
【0066】
研磨粒子は、金属酸化物粒子100重量部を基準として、アミン基又はウレイド基を有するシラン系化合物を1重量部~10重量部含むことができる。研磨粒子は、金属酸化物粒子100重量部を基準として、アミン基又はウレイド基を有するシラン系化合物を3重量部~8重量部含むことができる。このような場合、シリコン酸化膜に対する研磨組成物の研磨特性を効果的に向上させることができる。
【0067】
半導体工程用研磨組成物の組成及び物性
半導体工程用研磨組成物は、研磨粒子を0.5重量%~10重量%含むことができる。半導体工程用研磨組成物は研磨粒子を1重量%以上含んでもよい。半導体工程用研磨組成物は研磨粒子を1.5重量%以上含んでもよい。半導体工程用研磨組成物は研磨粒子を2重量%以上含んでもよい。半導体工程用研磨組成物は研磨粒子を8重量%以下含んでもよい。半導体工程用研磨組成物は研磨粒子を6重量%以下含んでもよい。このような研磨組成物は、研磨粒子が組成物内で安定的に分散しながらも、研磨過程でのディフェクトの発生頻度を下げるのに役立ち得る。
【0068】
半導体工程用研磨組成物は、添加剤をさらに含むことができる。添加剤は、CMP分野で通常適用されるものであれば、制限されない。例示的に、添加剤は、非イオン性高分子、キレート剤、酸化剤、酸成分、pH調節剤、分散剤、研磨率向上剤、研磨調節剤、研磨パッド保護剤、及び防腐剤のうちの少なくともいずれか1つであってもよい。
【0069】
半導体工程用研磨組成物は、非イオン性高分子をさらに含むことで、研磨組成物内の研磨粒子の分散性をさらに向上させることができる。具体的に、研磨組成物に含まれた非イオン性の高分子は、研磨粒子に吸着されて研磨粒子の分散性を増加させることができる。また、研磨粒子に吸着されなかった非イオン性高分子は立体障害効果などを有するので、研磨粒子の分散安定性をさらに高めることができる。特に、非イオン性高分子は、酸性環境でも前記半導体工程用研磨組成物がより安定した分散安定性を有するようにする。このような非イオン性高分子は、研磨過程において基板上に研磨による欠陥の発生を減少させることができる。
【0070】
前記非イオン性高分子は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアルキルオキシド、ポリオキシエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド-プロピレンオキシド共重合体、セルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、スルホエチルセルロース及びカルボキシメチルスルホエチルセルロースからなる群から選択される少なくともいずれか1つであってもよい。
【0071】
非イオン性高分子は、重量平均分子量が25,000g/mol未満であってもよい。前記重量平均分子量は1,000g/mol以上25,000g/mol未満であってもよい。このような場合、非イオン性高分子は、優れた溶解度を示すことができ、研磨粒子の分散安定性をさらに向上させることができる。
【0072】
半導体工程用研磨組成物は、非イオン性高分子を0.01重量%~5重量%含むことができる。半導体工程用研磨組成物は非イオン性高分子を0.1重量%以上含んでもよい。半導体工程用研磨組成物は非イオン性高分子を2重量%以下含んでもよい。このような場合、研磨を終えた研磨対象の基板の表面に欠陥が発生する頻度を減少させるのに役立ち得、前記表面にパーティクルが再付着するなどの汚染が発生することを抑制することができる。
【0073】
半導体工程用研磨組成物は、キレート剤をさらに含むことができる。研磨過程を通じて基板の表面から除去された金属又は金属イオンは、基板の表面に再付着または残留して欠陥を形成する可能性が大きい。特に、タングステンのような金属は、特定の条件で研磨組成物に容易に溶解され得るが、研磨対象の表面に付着し易い特性を有し得る。キレート剤は、このような金属又は金属イオンに吸着されて、前記金属などを容易に除去することができる。これを通じて、研磨組成物の研磨率をさらに高めることができ、パーティクルの再付着による基板表面の欠陥の形成を効果的に抑制することができる。
【0074】
例示的に、キレート剤は、酪酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、シュウ酸、酢酸、アジピン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、カルボン酸、グルタル酸、グルタミン酸、グリコール酸、チオグリコール酸、ギ酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸、ラウリン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シトラコン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、ステアリン酸、吉草酸、安息香酸、フェニル酢酸、ナフトエ酸、アスパラギン酸、アミノ酸及びエチレンジアミンテトラ酢酸からなる群から選択された少なくとも1つであってもよい。
【0075】
前記アミノ酸としては、グリシン、α-アラニン、β-アラニン、L-アスパラギン酸、N-メチルグリシン(メチルグリシン)またはこれらの組み合わせが適用されてもよい。
【0076】
キレート剤は、分子内にカルボキシル基又はアルコール基を2以上含むものであってもよい。キレート剤としては、分子内にカルボキシル基又はアルコール基を2以上含むものを2種以上適用することができる。具体的に、前記キレート剤は、EDTA(ethylenediaminetetraacetic acid)、グリシン(Glycine)、カルボン酸類及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つを含むことができる。前記カルボン酸類は、分子内に少なくとも1つ又は2つ以上のカルボキシル基を含む化合物を意味する。
【0077】
半導体工程用研磨組成物は、キレート剤を0.003重量%~0.5重量%含むことができる。半導体工程用研磨組成物はキレート剤を0.005重量%以上含んでもよい。半導体工程用研磨組成物はキレート剤を0.3重量%以下含んでもよい。このような場合、研磨組成物の研磨率が適切なレベルに制御され得、基板の表面欠陥が発生する頻度を下げることができる。
【0078】
半導体工程用研磨組成物は、酸化剤をさらに含むことができる。酸化剤は、タングステンのような金属を酸化させることで、基板の表面をより容易に平坦化できる環境を造成し、研磨速度及びエッチング速度を向上させる役割を果たす。
【0079】
酸化剤は、過酸化水素、尿素過酸化水素、尿素、過炭酸塩、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、過臭素酸、過臭素酸塩、過ホウ酸、過ホウ酸塩、過マンガン酸、過マンガン酸塩、過硫酸塩、臭素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、クロム酸塩、ヨウ素酸塩、ヨウ素酸、過酸化硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、過酸化ナトリウム及び過酸化尿素からなる群から選択される少なくともいずれか1つであってもよい。
【0080】
半導体工程用研磨組成物は、酸化剤を0.01重量%~5重量%含むことができる。このような場合、前記組成物は、金属に対する優れた研磨特性を示すことができ、研磨過程において研磨対象の金属に酸化膜が形成されることを抑制することができる。
【0081】
半導体工程用研磨組成物は酸性溶液であってもよい。具体的に、半導体工程用研磨組成物のpHは2~5であり得る。前記pHは3以上であってもよい。前記pHは4.5以下であってもよい。このような場合、研磨対象の基板の表面の金属成分や研磨装置の過度の腐食を防止すると共に、研磨速度及び品質を優れたレベルに維持することができる。
【0082】
半導体工程用研磨組成物は、酸成分をさらに含むことができる。酸成分は、例示的に、塩酸、リン酸、硫酸、フッ酸、臭素酸、ヨウ素酸、ギ酸、マロン酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、アジピン酸、クエン酸、プロピオン酸、フマル酸、乳酸、サリチル酸、ピメリン酸、安息香酸、コハク酸、フタル酸、酪酸、グルタル酸、グルタミン酸、グリコール酸、アスパラギン酸、酒石酸及びその塩からなる群から選択される少なくともいずれか1つであってもよい。
【0083】
半導体工程用研磨組成物は、酸成分と共にpH調節剤をさらに含むことができる。pH調節剤は、例示的に、アンモニア、アミノメチルプロパノール、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、イミダゾール及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つであってもよい。
【0084】
半導体工程用研磨組成物は、分散剤をさらに含むことができる。
【0085】
分散剤は、研磨組成物内で研磨粒子間の凝集を防止し、均一に分散させることができる。カチオン系分散剤は、研磨組成物のゼータ電位を正に増加させることができ、アニオン系分散剤は、研磨組成物のゼータ電位を負に減少させることができる。
【0086】
分散剤は、アニオン系低分子、カチオン系高分子、有機酸などを含むことができる。
【0087】
分散剤のアニオン系低分子は、シュウ酸、クエン酸、ポリスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びその組み合わせから選択された1つ以上であってもよい。
【0088】
分散剤のカチオン系高分子は、ポリリジン、ポリエチレンイミン、塩化ベンゼトニウム、ブロニドックス、臭化セトリモニウム、塩化セトリモニウム、塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、ジステアリルジメチル塩化アンモニウム、ポリアリールアミン及びその組み合わせから選択された1つ以上であってもよい。
【0089】
分散剤の有機酸は、ヒドロキシル安息香酸、アスコルビン酸、ピコリン酸、グルタミン酸、トリプトファン、アミノ酪酸及びその組み合わせから選択された1つ以上であってもよい。
【0090】
研磨率向上剤は、研磨対象の基板又は配線の研磨率を高めるための添加剤であって、硝酸カリウム、硝酸鉄、水酸化アンモニウム、クエン酸、酢酸及びその組み合わせから選択された1つ以上であってもよい。
【0091】
研磨調節剤は、研磨組成物が金属表面に吸着されることを最小化するためのものであって、アンモニウム化合物、硝酸カリウム、アミノ酸、その塩などを含むことができる。
【0092】
半導体工程用研磨組成物は溶媒を含むことができる。前記溶媒は水であってもよく、具体的に超純水であり得る。
【0093】
半導体工程用研磨組成物のゼータ電位が+10mV~+40mVであり得る。前記ゼータ電位の値が+20mV以上であってもよい。前記ゼータ電位の値が+22mV以上であってもよい。前記ゼータ電位の値が+35mV以下であってもよい。前記ゼータ電位の値が+26mV以下であってもよい。このような場合、研磨対象の基板の表面に対する研磨組成物の親和性が制御されることで、優れた研磨特性を示しながらも、研磨対象の表面に研磨粒子が吸着する程度が一定レベル以下に制御された研磨組成物を提供することができる。
【0094】
前記研磨組成物のゼータ電位の値は、ゼータ電位測定機器を通じて測定する。
【0095】
半導体工程用研磨組成物の研磨特性
半導体工程用研磨組成物は、シリコン酸化膜の研磨に適用されてもよい。半導体工程用研磨組成物は、シリコン酸化膜、及びタングステン素材の配線が露出された基板表面の研磨に適用されてもよい。半導体工程用研磨組成物は、シリコン酸化膜、タングステン素材の配線及びチタン素材の層が露出された基板表面の研磨に適用されてもよい。
【0096】
半導体工程用研磨組成物のシリコン酸化膜に対する研磨率は1350Å/min以上であってもよい。前記研磨率は1450Å/min以上であってもよい。前記研磨率は1550Å/min以上であってもよい。前記研磨率は1650Å/min以上であってもよい。前記研磨率は3500Å/min以下であってもよい。前記研磨率は3000Å/min以下であってもよい。前記研磨率は2500Å/min以下であってもよい。
【0097】
シリコン酸化膜に対する研磨率は、圧力2.2psi、キャリア速度103rpm、プラテン速度57rpm、スラリー流速300ml/minの条件で測定する。
【0098】
半導体工程用研磨組成物の下記式3によるPI値が380Å/(min・wt%)~800Å/(min・wt%)であってもよい。
【0099】
[式3]
【0100】
前記式3において、前記Pは、半導体工程用研磨組成物のシリコン酸化膜に対する研磨率[単位:Å/min]である。
【0101】
前記Cは、半導体工程用研磨組成物内の研磨粒子の含量[単位:wt%]である。
【0102】
前記PI値が400Å/(min・wt%)以上であってもよい。前記PI値が450Å/(min・wt%)以上であってもよい。前記PI値が500Å/(min・wt%)以上であってもよい。前記PI値が550Å/(min・wt%)以上であってもよい。前記PI値が700Å/(min・wt%)以下であってもよい。前記PI値が600Å/(min・wt%)以下であってもよい。
【0103】
このような研磨組成物は、シリコン酸化膜に対する安定した研磨特性を示すことができる。
【0104】
半導体工程用研磨組成物のタングステンに対する研磨率は150Å/min以上であってもよい。前記研磨率は180Å/min以上であってもよい。前記研磨率は200Å/min以上であってもよい。前記研磨率は250Å/min以上であってもよい。前記研磨率は400Å/min以下であってもよい。
【0105】
タングステンに対する研磨率は、圧力2.2psi、キャリア速度63rpm、プラテン速度57rpm、スラリー流速300ml/minの条件で測定する。
【0106】
半導体工程用研磨組成物の下記式4によるPI値が45Å/(min・wt%)~100Å/(min・wt%)であってもよい。
【0107】
[式4]
【0108】
前記式4において、前記Pは、半導体工程用研磨組成物のタングステンに対する研磨率[単位:Å/min]である。
【0109】
前記Cは、半導体工程用研磨組成物内の研磨粒子の含量[単位:wt%]である。
【0110】
前記PI値が50Å/(min・wt%)以上であってもよい。前記PI値が55Å/(min・wt%)以上であってもよい。前記PI値が60Å/(min・wt%)以上であってもよい。前記PI値が90Å/(min・wt%)以下であってもよい。前記PI値が80Å/(min・wt%)以下であってもよい。前記PI値が75Å/(min・wt%)以下であってもよい。
【0111】
このような研磨組成物は、タングステンの研磨に適用する際に、基板表面に過度の欠陥の発生が抑制されながら、優れた研磨特性を示すことができる。
【0112】
半導体工程用研磨組成物の製造方法
具現例に係る半導体工程用研磨組成物の製造方法は、精製前の研磨粒子の粒度分布を制御して精製後の研磨粒子を設ける粒度分布制御ステップと、前記精製後の研磨粒子を含む半導体工程用研磨組成物を設ける製造ステップとを含む。
【0113】
粒度分布制御ステップにおいて、一定レベル以下の直径を有する研磨粒子の少なくとも一部を精巧に除去して、粒度分布が制御された研磨粒子を設けることができる。これを通じて、研磨に実質的に参加しない小さい直径の研磨粒子が基板表面に吸着されて欠陥を形成することをさらに効果的に抑制することができる。
【0114】
研磨粒子から一定レベル以下の直径を有する研磨粒子を除去する方法として、フィルターを用いた精製工程、遠心分離工程などを適用することができる。
【0115】
研磨粒子は、空隙を有するフィルターによって濃縮されて精製されたものであってもよい。具体的に、研磨粒子を溶媒に混合して混合物を作製した後、混合物に含まれた空隙よりも小さい直径の研磨粒子及び溶媒がフィルターを透過するようにして、前記混合物を濃縮、精製することができる。これを通じて、空隙よりも小さいサイズの研磨粒子を効果的に除去して、研磨粒子に由来する基板表面の欠陥の発生頻度を下げることができる。
【0116】
フィルターは、中空糸、平板、及びチューブのいずれか1つの形態を有することができる。特に、具現例は、中空糸の形態のフィルターを適用することができる。
【0117】
前記フィルターは限外濾過フィルター(ultra-filtration filter)であってもよい。限外濾過膜とは、1nm~50nmの直径を有する空隙を含む分離膜である。
【0118】
限外濾過フィルターの空隙は、5nm~25nmの直径を有することができる。前記直径は10nm以上であってもよい。前記直径は20nm以下であってもよい。
【0119】
限外濾過フィルターの分画分子量(Molecular Weight CutOff、MWCO)は、300Dalton~300,000daltonであり得る。前記分画分子量は1,000Dalton以上であってもよい。前記分画分子量は10,000Dalton以上であってもよい。前記分画分子量は50,000Dalton以上であってもよい。前記分画分子量は100,000Dalton以上であってもよい。前記分画分子量は150,000Dalton以上であってもよい。前記分画分子量は280,000Dalton以下であってもよい。分画分子量とは、分離膜によって90%以上の排除度を示す溶質の最小分子量である。
【0120】
このような場合、基板表面に容易に残留する特性を有する研磨粒子の相当数を効果的に除去することができる。
【0121】
限外濾過フィルターは、限外濾過フィルターの分野で通常用いられるものであれば、制限されない。例示的に、限外濾過フィルターは、ポリアクリロニトリル分離膜、ポリフッ化ビニリデン分離膜、ポリスルホン分離膜、ポリエーテルスルホン分離膜、セルロースアセテート分離膜、セルロースニトレート分離膜及びこれらの共重合体素材のフィルターのうちの少なくともいずれか1つであってもよい。
【0122】
限外濾過フィルターによる研磨粒子の精製は、1回または複数回行われてもよい。特に、限外濾過フィルターによる研磨粒子の精製を複数回行う場合、研磨対象の基板の表面に発生するディフェクトの数がさらに効果的に減少することができる。
【0123】
このような場合、研磨粒子の粒度分布を、具現例で予め設定した範囲内に制御することが容易であり得る。これと同時に、研磨粒子と共に含まれている浮遊物質や高分子物質などの異物、各種細菌及びウイルスなどを効果的に除去することができる。
【0124】
遠心分離工程によって、精製前の研磨粒子を精製して精製後の研磨粒子を設けることができる。遠心分離工程は、5000rpm~30000rpmの速度で行われ得る。前記速度は25000rpm以下であってもよい。前記速度は20000rpm以下であってもよい。前記速度は15000rpm以下であってもよい。前記速度は12000rpm以下であってもよい。前記速度は8000rpm以下であってもよい。これを通じて、精製された研磨粒子の粒度分布を効果的に調節することができる。
【0125】
遠心分離工程による研磨粒子の精製は、1回または複数回行われてもよい。
【0126】
粒度分布制御ステップは、前記精製前の研磨粒子が添加剤と共に溶媒に混合される前に行われてもよい。研磨粒子の精製工程は、前記研磨粒子が添加剤と共に溶媒に混合された状態で行われてもよい。
【0127】
精製後の研磨粒子の粒度分布、組成及び物性についての説明は、前述の内容と重複するので省略する。
【0128】
製造ステップにおいて、半導体工程用研磨組成物は、精製後の研磨粒子及び溶媒を含むことができる。半導体工程用研磨組成物は、精製後の研磨粒子及び溶媒と共に、添加剤をさらに含むことができる。
【0129】
半導体工程用研磨組成物内の精製後の研磨粒子の含量、溶媒の種類、添加剤の種類及び含量についての説明は、前述の内容と重複するので省略する。
【0130】
粒度分布制御ステップにおいて、精製前の研磨粒子が添加剤と共に溶媒に混合されなかった場合、製造ステップで精製後の研磨粒子と添加剤を溶媒に投入及び混合して、半導体工程用研磨組成物を設けることができる。研磨粒子と添加剤を溶媒に投入及び混合する方法は、CMP分野で通常適用される方法を適用できる。
【0131】
基板の製造方法
具現例の基板の製造方法は、半導体工程用研磨組成物をスラリーとして適用して基板を研磨する過程を含む。
【0132】
前記基板は、上面に絶縁膜、金属配線及びバリア層のうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。金属配線は、銅またはタングステンを含むことができる。金属配線が銅を含む場合、バリア層はタンタル及びその窒化物を含むことができる。金属配線がタングステンを含む場合、バリア層はチタン及びその窒化物を含むことができる。
【0133】
具体的に、基板を研磨する過程は、研磨対象である基板を、噴射ノズルから供給される半導体工程用研磨組成物と共に研磨パッド上に接触させるものの、前記基板を固定する研磨ヘッドが回転し、研磨パッドが付着された定盤も回転しながら行われ得る。
【0134】
基板を研磨する過程は、必要に応じて、研磨前に、前記研磨パッドの表面をコンディショニングする工程をさらに含むことができる。
【0135】
半導体工程用研磨組成物は、基板に向かって浸透しながら、研磨パッドと接触するウエハを研磨することができる。
【0136】
基板を研磨する過程において、6.89kPa~48.26kPaの圧力が加えられ得る。前記圧力は13.79kPa~34.47kPaであってもよい。
【0137】
基板を研磨する過程は、50秒~10分間行われ得る。但し、目的とする研磨の程度に応じて変更可能である。
【0138】
前記半導体工程用研磨組成物についての説明は、前述の内容と重複するので省略する。
【0139】
基板の製造方法は、研磨を終えた基板を洗浄する洗浄過程をさらに含むことができる。
【0140】
前記洗浄過程は、研磨を終えた基板を精製水及び不活性ガスを通じて洗浄する方式で行われ得る。
【0141】
以下、具体的な実施例についてより詳細に説明する。下記実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【0142】
製造例:研磨組成物の製造
実施例1:精製前の研磨粒子としてコロイダルシリカを準備した。前記精製前の研磨粒子を、アミノシランである(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(99%、シグマアルドリッチ社)で表面改質した。表面改質された精製前の研磨粒子のD50は44nm~46nmと測定された。
【0143】
その後、表面改質した研磨粒子を超純水に投入して、精製前の研磨粒子を5重量%含む混合物を作製した。前記混合物を、SYNOPEX社のUFフィルター(MWCO:200,000Dalton)を用いて1回濃縮する精製工程を行って、精製後の研磨粒子を設けた。濃縮は、前記混合物の精製前の研磨粒子の含量が30重量%になるまで行った。
【0144】
超純水に、精製後の研磨粒子、ソルビトール30重量%が適用されたYUNWOO CHEMICAL社の研磨パッド保護剤GC-30、及びBNOCHEM社のベンゾイソチアゾリノンBNO-B-3を投入及び混合して、研磨組成物を製造した。ベンゾイソチアゾリノンの場合、超純水を溶媒とした3重量%希釈液を投入した。前記研磨組成物内の精製後の研磨粒子の含量は3重量%、ソルビトールの含量は2重量%、ベンゾイソチアゾリノンの含量は0.01重量%で適用した。前記研磨組成物のゼータ電位は+20mV~+25mVと測定された。
【0145】
実施例2:実施例1に適用された精製工程を2回行って得た研磨粒子を精製後の研磨粒子として適用した以外は、実施例1と同様の条件で研磨組成物を製造した。
【0146】
実施例3:研磨組成物内の精製後の研磨粒子の含量を5重量%で適用した以外は、実施例2と同様の条件で研磨組成物を製造した。
【0147】
比較例1:研磨組成物に精製工程を経ていない研磨粒子を適用した以外は、実施例1と同様の条件で研磨組成物を製造した。
【0148】
比較例2:研磨組成物内の研磨粒子の含量を5重量%で適用した以外は、比較例1と同様の条件で研磨組成物を製造した。
【0149】
実施例及び比較例別の工程条件は、下記表1に記載した。
【0150】
評価例:研磨粒子の粒度分布の測定
実施例及び比較例別の研磨組成物内の研磨粒子のMPS、D10、D50及びD90を、Malvern社のNano-ZS装備を用いて測定した。その後、測定値からDs値及びDb値を算出した。
【0151】
実施例及び比較例別の測定値及び算出値は、下記表2に記載した。
【0152】
評価例:研磨率の測定
実施例及び比較例別の研磨組成物をスラリーとして適用して、直径300mmのウエハ上に形成された厚さ20,000Åのシリコン酸化膜に対する研磨率を測定した。シリコン酸化膜に対する研磨率は、研磨時間60秒、圧力2.2psi、キャリア速度103rpm、プラテン速度57rpm、スラリー流速300ml/minの条件で測定した。
【0153】
また、実施例及び比較例別の研磨組成物をスラリーとして適用して、直径300mmのウエハ上に形成された厚さ650Åのタングステン膜に対する研磨率を測定した。タングステン膜に対する研磨率は、研磨時間15秒、圧力2.2psi、キャリア速度63rpm、プラテン速度57rpm、スラリー流速300ml/minの条件で測定した。
【0154】
実施例及び比較例別の測定値は、下記表3に記載した。
【0155】
評価例:研磨対象の基板の表面の欠陥の測定
実施例及び比較例別の研磨組成物をスラリーとして適用して、ウエハ上に形成されたシリコン酸化膜及びタングステン膜をそれぞれ研磨した。測定条件は、先の研磨率の測定の評価に適用された条件と同様に適用した。
【0156】
研磨を終えたシリコン酸化膜及びタングステン膜に、ブラシの回転速度500rpm、ケミカル噴射速度2000cc/minの条件でクリーニング工程を行った。ケミカルは、SIC社のアンモニア水及びフッ酸希釈液製品を適用した。
【0157】
実施例及び比較例別のクリーニング工程を終えたウエハを、ウエハFOUPに密閉した後、AIT-XP+装備を用いて、シリコン酸化膜及びタングステン膜のそれぞれの上面に形成された総欠陥数を測定した。
【0158】
実施例及び比較例別の測定結果は、下記表3に記載した。
【0159】
【表1】
【0160】
【表2】
【0161】
【表3】
【0162】
前記表3において、実施例1~3で測定したシリコン酸化膜の欠陥数は500個未満と測定されたのに対し、比較例1及び2で測定したシリコン酸化膜の欠陥数は1000個以上と測定された。
【0163】
また、実施例1~3で測定したタングステン膜の欠陥数は50個未満と測定されたのに対し、比較例1及び2で測定したタングステン膜の欠陥数は100個以上と測定された。
【0164】
実施例1~3で測定したシリコン酸化膜に対する研磨率は、比較例1及び2に比べて高い値を有するものと測定され、実施例1~3で測定したタングステン膜に対する研磨率は、比較例1及び2の測定値に近接した値で測定された。すなわち、実施例1~3は、シリコン酸化膜とタングステン膜の両方で安定した研磨特性を示した。
【0165】
以上、好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義している具現例の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。
【外国語明細書】