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特開2024-115540ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115540
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20240819BHJP
   C07C 33/28 20060101ALI20240819BHJP
   C07C 33/36 20060101ALI20240819BHJP
   C07C 39/225 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
G03F7/11 502
G03F7/11 503
C07C33/28
C07C33/36
C07C39/225
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024019573
(22)【出願日】2024-02-13
(31)【優先権主張番号】10-2023-0019582
(32)【優先日】2023-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】崔 熙 ▲せん▼
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲せい▼ 煥
【テーマコード(参考)】
2H225
4H006
【Fターム(参考)】
2H225AN11N
2H225AN28N
2H225AN29N
2H225AN39N
2H225AN42N
2H225BA01N
4H006AA03
4H006AB76
4H006AB80
4H006FC54
4H006FC56
4H006FE11
4H006FE13
(57)【要約】
【課題】優れた耐エッチング性を確保することができるハードマスク層を形成し得て、かつ架橋特性に優れたハードマスク組成物、前記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、および前記ハードマスク組成物を使用するパターン形成方法を提供する
【解決手段】下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含むハードマスク組成物。

(前記化学式1の定義は、明細書に記載した通りである)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物および溶媒を含む、ハードマスク組成物:
【化1】

上記化学式1中、
は、置換または非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、
は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせであり、
nは、Rに置換可能な数を上限とする、1以上の整数である。
【請求項2】
上記化学式1中のRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数10~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項3】
上記化学式1中のRは、置換または非置換の炭素原子数6~14の芳香族炭化水素基であり、Rは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素原子数10~30の芳香族炭化水素基であり、nは2である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項4】
上記化学式1中のRは、置換または非置換の、下記グループ1から選択される構造のうちの少なくとも1つからなる基である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化2】
【請求項5】
上記化学式1中のRは、それぞれ独立して、置換または非置換の、下記グループ2およびグループ3から選択される構造のうちの少なくとも1つからなる基である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化3】

【化4】

上記グループ3中、ZおよびZは、それぞれ独立して、-O-、-S-、または-NR’-(ここで、R’は水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基である。)である。
【請求項6】
上記化学式1中のRは、置換または非置換の、下記グループ1-1から選択される構造のうちの少なくとも1つからなる基であり、
は、置換または非置換の、下記グループ2-1から選択される構造のうちの少なくとも1つからなる基である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化5】
【請求項7】
上記化学式1中のnは2であり、2つのRは同一の基である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項8】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~化学式1-3から選択される化合物のうちのいずれか1つである、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化6】

上記化学式1-1~化学式1-3中、
およびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~5のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、チオール基、またはこれらの組み合わせであり、pは、それぞれ独立して、Rに置換可能な数を上限とする0以上の整数であり、qは、それぞれ独立して、Rに置換可能な数を上限とする0以上の整数である。
【請求項9】
上記化学式1で表される化合物の分子量は、300g/mol~5,000g/molである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項10】
上記化学式1で表される化合物は、前記ハードマスク組成物の総質量100質量%を基準として、0.1質量%~30質量%含まれる、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項11】
前記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、またはエチル3-エトキシプロピオネートである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のハードマスク組成物の硬化物を含む、ハードマスク層。
【請求項13】
基板上に材料層を形成する段階と、
前記材料層の上に請求項1~11のいずれか一項に記載のハードマスク組成物を塗布する段階と、
前記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、
前記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階と、
前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、
前記フォトレジストパターンを利用して前記ハードマスク層を選択的に除去して前記材料層の一部を露出させる段階と、
前記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、を含む、パターン形成方法。
【請求項14】
前記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃で熱処理する段階を含む、請求項13に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードマスク組成物、上記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、および上記ハードマスク組成物を用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体産業は、数百ナノメートルサイズのパターンから数~数十ナノメートルサイズのパターンを有する超微細技術に発展している。このような超微細技術を実現するためには、効果的なリソグラフィック技法が必須である。
【0003】
典型的なリソグラフィック技法は、半導体基板上に材料層を形成し、その上にフォトレジスト層をコーティングし、露光および現像してフォトレジストパターンを形成した後、そのフォトレジストパターンをマスクとして材料層をエッチングする工程を含む。
【0004】
近年、形成しようとするパターンのサイズが減少するに伴い、上述した典型的なリソグラフィック技法のみによってでは、良好なプロファイルを有する微細パターンを形成することが困難になってきている。したがって、微細パターンの形成を補助するため、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間に、いわゆるハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる層を設ける技術が開発されてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2021-0113909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、優れた耐エッチング性を確保することができるハードマスク層を形成し得て、かつ架橋特性に優れたハードマスク組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、上記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、上記ハードマスク組成物を用いたパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含む:
【0010】
【化1】
【0011】
上記化学式1中、
は、置換または非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、
は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせであり、
nは、Rに置換可能な数を上限とする、1以上の整数である。
【0012】
上記化学式1中のRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数10~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせである。
【0013】
上記化学式1中のRは、置換または非置換の炭素原子数6~14の芳香族炭化水素基であり、Rは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素原子数10~30の芳香族炭化水素基であり、nは2であってもよい。
【0014】
上記化学式1中のRは、置換または非置換の、下記グループ1から選択される構造のうちの少なくとも1つからなる基であってもよい:
【0015】
【化2】
【0016】
上記化学式1中のRは、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ2およびグループ3から選択される構造のうちの少なくとも1つからなる基であってもよい:
【0017】
【化3】
【0018】
【化4】
【0019】
上記グループ3中、ZおよびZは、それぞれ独立して、-O-、-S-、または-NR’-(ここで、R’は水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基である。)である。
【0020】
上記化学式1中のRは、置換または非置換の、下記グループ1-1から選択される構造のうちの少なくとも1つからなる基であってもよく、Rは、置換または非置換の、下記グループ2-1から選択される構造のうちの少なくとも1つからなる基であってもよい。
【0021】
【化5】
【0022】
上記化学式1中のnは2であってもよく、この際、2つのRは、同一の基であってもよい。
【0023】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~化学式1-3のうちのいずれか1つで表される化合物であってもよい:
【0024】
【化6】
【0025】
上記化学式1-1~化学式1-3中、
およびRはそれぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~5のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、またはチオール基であり、pは、それぞれ独立して、Rに置換可能な数を上限とする0以上の整数であり、qは、それぞれ独立して、Rに置換可能な数を上限とする0以上の整数である。
【0026】
上記化合物の分子量は、300g/mol~5,000g/molであってもよい。
【0027】
上記化合物は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準として0.1質量%~30質量%含まれ得る。
【0028】
上記溶媒としては、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、またはエチル3-エトキシプロピオネートが挙げられうるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明の他の態様によれば、上述したハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0030】
本発明のさらに他の態様によれば、基板上に材料層を形成する段階と、上記材料層の上に上述したハードマスク組成物を塗布する段階と、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階と、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、上記フォトレジストパターンを利用して上記ハードマスク層を選択的に除去して上記材料層の一部を露出させる段階と、上記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、を含む、パターン形成方法を提供する。
【0031】
上記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃で熱処理する段階を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によるハードマスク組成物は、架橋特性に優れ、上記組成物から形成されたハードマスク層は、優れた耐エッチング性を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は、多様な異なる形態に具現化することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0034】
本明細書において、別途の定義がない限り、「置換された」とは、化合物中の水素原子が、ハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、ホルミル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基(アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基)、カルボキシル基およびその塩、スルホン酸基およびその塩、リン酸およびその塩、ビニル基、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数2~20のアルケニル基、炭素原子数2~20のアルキニル基、炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基(アリール基)、炭素原子数7~30のアリールアルキル基、炭素原子数9~30のアリルアリール基、炭素原子数1~30のアルコキシ基、炭素原子数1~20のアルキルアミノ基、炭素原子数2~20のジアルキルアミノ基、炭素原子数3~20の芳香族複素環基(ヘテロアリール基)、炭素原子数4~20のヘテロアリールアルキル基、炭素原子数3~30のシクロアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルケニル基、炭素原子数6~15のシクロアルキニル基、炭素原子数3~30の脂肪族複素環基(ヘテロシクロアルキル基)、ならびにこれらの組み合わせから選択される置換基で置換されたことを意味する。
【0035】
また、置換基としてのハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、ホルミル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基もしくはその塩、スルホン酸基もしくはその塩、リン酸もしくはその塩、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数2~30のアルケニル基、炭素原子数2~30のアルキニル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基、炭素原子数1~30のアルコキシ基、炭素原子数1~20のアルキルアミノ基、炭素原子数2~20のジアルキルアミノ基、炭素原子数3~20のヘテロアリール基、炭素原子数4~20のヘテロアリールアルキル基、炭素原子数3~30のシクロアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルケニル基、炭原子素数6~15のシクロアルキニル基、または炭素原子数2~30のヘテロ環基の中の隣接した2つの置換基が結合または縮合して環を形成することもできる。
【0036】
本明細書で別途の定義がない限り、「芳香族炭化水素環」は、芳香族炭化水素部位を1つ以上有する環(芳香族複素環を除く)を意味し、非縮合芳香族炭化水素環、縮合芳香族炭化水素環だけでなく、芳香族炭化水素部位が単結合で連結された形態、および芳香族炭化水素部位が直接または間接的に縮合された、非芳香族部位を含む縮合環形態、ならびにこれらの組み合わせを含む。
【0037】
より具体的には、置換または非置換の芳香族炭化水素環は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントリル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のテルフェニル基、置換もしくは非置換のクォーターフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、これらの組み合わせ、またはこれらの組み合わせが結合または縮合された形態の基であり得るが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書において、別途の定義がない限り、「ヘテロ」とは、N、O、S、SeおよびPから選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有するものを意味する。
【0039】
本明細書において、別途の定義がない限り、「芳香族複素環」とは、N、O、S、SeおよびPから選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有する芳香族性を有する環を意味する。2個以上の芳香族複素環はシグマ結合を通じて直接連結され得て、2個以上の芳香族複素環は互いに縮合され得る。芳香族複素環が縮合環である場合、縮合環全体の構造中または縮合環を構成する1つの環中にヘテロ原子を1~3個含むことができる。
【0040】
本明細書において、重合体は、オリゴマー(oligomer)と重合体(polymer)とを含み得る。
【0041】
本明細書において、特に言及しない限り、「分子量」とは、分子中に含まれる原子の原子量の総和をいう。
【0042】
半導体産業において、チップのサイズを減少させる要求が絶えずに持続しており、これに対応するため、リソグラフィ技術でパターニングされるフォトレジストの線幅が、数十ナノサイズであることが必要とされている。したがって、フォトレジストパターンの線幅に耐えることができる高さが制限され、フォトレジストがエッチング段階で十分な耐性を有することができない場合が発生する。これを補完するためにエッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間にいわゆるハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる補助層を使用する。このようなハードマスク層は、選択的エッチングを通じてフォトレジストの微細パターンを材料層に転写する中間膜としての役割を果たすため、ハードマスク層は、パターン転写時に必要なエッチング工程に耐えることができるように優れた耐エッチング性、およびハードマスク組成物の架橋特性、すなわちハードマスク組成物の硬化効率が良好であることが要求される。
【0043】
既存のハードマスク層の形成方法として、化学的または物理的蒸着方法が採用されてきたが、これは大規模な設備を必要とし、工程単価が高く、経済効率が低下するという問題がある。そこで、近年、スピンコーティング法を経てハードマスク層を形成する技術が開発されている。スピンコーティング法は、従来の方法に比べて工程が容易であり、これから製造されるハードマスク層のギャップフィル特性および平坦化特性がより優れるようになり得るが、一方でハードマスク層の耐エッチング性は多少低下する傾向を示す。したがって、スピンコーティング法を適用することができるハードマスク組成物であり、かつ、この方法により形成されたハードマスク層が化学的または物理的蒸着方法で形成されたハードマスク層と同等の耐エッチング性を有することが好ましい。
【0044】
そこで、ハードマスク層の耐エッチング性を改善するために、ハードマスク組成物が含有する炭素含有量を増加させる研究が活発に行われている。しかしながら、ハードマスク組成物に含まれる化合物の炭素含有量が増加するほど溶媒に対する溶解度が低下する傾向がある。したがって、ハードマスク組成物に含まれる化合物の炭素含有量を増加させ、それから形成されるハードマスク層の耐エッチング性を改善しながらも、上記化合物の溶媒に対する溶解度を良好に維持することが要求される。
【0045】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、一分子内に芳香族炭化水素環または芳香族複素環を多数含む化合物を含むことによって炭素含有量を高めることができる。したがって、上記組成物から得られるハードマスク層は、耐エッチング性が改善され得る。また、上記化合物は、上記芳香族炭化水素環または芳香族複素環上に特定の官能基を有することによって、芳香族炭化水素環または芳香族複素環を多数含みながらも、上記の化合物の溶媒に対する溶解性を改善することができる。
【0046】
具体的には、本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含む:
【0047】
【化7】
【0048】
上記化学式1中、
は、置換または非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、
は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせであり、
nは、Rに置換可能な数を上限とする、1以上の整数である。
【0049】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、上記化学式1で表される化合物中の中心芳香族炭化水素環(R)の炭素原子に、エチニレン基(-C≡C-)が直接導入されることによって、炭素含有量をさらに高めることができ、これを含む組成物の架橋特性を改善させることができる。したがって、上記組成物から得られるハードマスク層は、優れた耐エッチング性を確保することができる。また、上記化合物はヒドロキシ基を含むことによって、芳香族炭化水素環または芳香族複素環を複数個含む化合物の溶媒に対する溶解性を改善することができる。
【0050】
上記化学式1中のRは、置換または非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、例えば、置換または非置換の炭素原子数6~14の芳香族炭化水素基であり、例えば、置換または非置換の、下記グループ1から選択される構造のうちの少なくとも1つからなる基である。
【0051】
【化8】
【0052】
一例として、化学式1中のRは、置換または非置換の、下記グループ1-1から選択される構造のうちの少なくとも1つからなる基である。
【0053】
【化9】
【0054】
一例として、化学式1中のRは、置換または非置換の、ベンゼン、ナフタレン、およびピレンからなる群より選択される少なくとも1つからなる基であり得て、一例として、ベンゼン、またはナフタレンであり得るが、これらに限定されない。
【0055】
上記化学式1中のRは、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、Rは、置換もしくは非置換の炭素原子数10~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族複素環基、またはこれらの組み合わせであり得る。例えば、Rは、置換または非置換の、下記グループ2およびグループ3から選択される構造のうちの少なくとも1つからなる基であってもよい。
【0056】
【化10】
【0057】
【化11】
【0058】
上記グループ3中、ZおよびZは、それぞれ独立して、-O-、-S-、または-NR’-(ここで、R’は水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基である。)である。
【0059】
例えば、上記化学式1中のRは、置換された炭素原子数10~30の芳香族炭化水素基であり、例えば、Rは、置換または非置換の4個以上の環を含む芳香族炭化水素基であり、一例として、Rは、置換または非置換の下記グループ2-1から選択される構造のうちの少なくとも1つからなる基である。
【0060】
【化12】
【0061】
一例として、Rは、置換または非置換の、ピレン、ペリレン、ベンゾペリレン、およびコロネンからなる群より選択される少なくとも1つからなる基であるが、これらに限定されない。上記化学式1中のRが上記の構造を有するとき、化学式1で表される化合物を含む組成物から製造されるハードマスク層の耐エッチング性を高めることができる。
【0062】
上記化学式1中のnは、Rに置換可能な数を上限とする1以上の整数である。本明細書において、「置換可能な数」は、基または構造が他の基と結合し得る数を意味する。例えば、Rがベンゼン環である場合を例に取ると、ベンゼン環の核炭素数は6であるため、ベンゼン環の「置換可能な数」は6となる。したがって、Rがベンゼン環の場合のnの範囲は、1以上6以下となる。また、Rがフェナントレン環の場合、フェナントレン環の核炭素数は14であるが、置換基が入り得る炭素原子の数は10個であるため、フェナントレン環の「置換可能な数」は10となる。したがって、Rがフェナントレン環の場合のnの範囲は、1以上10以下となる。
【0063】
上記化学式1中のnは、例えば1~6の整数、例えば1~4の整数、例えば1~3の整数であり、例えば1または2であり、例えば2であるが、これらに限定されない。上記nが2以上の整数である場合、2以上のRは互いに同一の基であってもよいし、または異なる基であってもよいし、一部が同一の基であり残りが異なる基であってもよい。
【0064】
一例として、化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~化学式1-3のうちのいずれか1つで表される。
【0065】
【化13】
【0066】
上記化学式1-1~化学式1-3中、
およびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~5のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、チオール基、またはこれらの組み合わせであり、pは、それぞれ独立して、Rに置換可能な数を上限とする0以上の整数であり、qは、それぞれ独立して、Rに置換可能な数を上限とする0以上の整数である。すなわち、化学式1-1および化学式1-3において、pおよびqは、それぞれ独立して、0~9の整数のうちの1つであり、化学式1-2において、pおよびqは、それぞれ独立して、0~11の整数のうちの1つである。
【0067】
上記RおよびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、またはチオール基であり、例えば、ヒドロキシ基またはメトキシ基である。上記pおよびqは、例えば0~5の整数であり、例えば0~2の整数であり、これらに限定されない。
【0068】
上記化合物は、300g/mol~5,000g/molの分子量を有し得る。例えば、300g/mol~4,500g/mol、例えば、300g/mol~4,000g/mol、例えば、350g/mol~4,500g/mol、例えば、350g/mol~4,000g/mol、例えば、400g/mol~5,000g/mol、例えば、400g/mol~4,500g/mol、例えば、400g/mol~4,000g/mol、例えば、400g/mol~3,500g/molの分子量を有することができ、これらに限定されない。上記範囲の分子量を有することによって、上記化合物を含むハードマスク組成物の炭素含有量および溶媒に対する溶解度を調節して最適化することができる。
【0069】
上記化合物は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準として0.1質量%~30質量%含まれ得る。例えば、0.2質量%~30質量%、例えば、0.5質量%~30質量%、例えば、1質量%~30質量%、例えば、1質量%~25質量%、例えば、1質量%~20質量%であり得るが、これらに限定されない。上記の範囲で化合物が含まれることによって、上記ハードマスク組成物から形成されるハードマスク層の、厚さ、表面粗さ、および平坦化の程度などを容易に調節することができる。
【0070】
上記化学式1で表される化合物は、従来公知の方法を適宜参照して合成することができる。より具体的には、実施例に記載の合成方法を参照しながら、当業者であれば容易に合成することができる。
【0071】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は溶媒を含むことができ、溶媒としては、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネート等から選択される少なくとも1つを含むことができるが、これらに限定されない。上記溶媒は、上記化合物に対する十分な溶解性および/または分散性を有するものであれば、特に限定されない。
【0072】
上記ハードマスク組成物は、界面活性剤、架橋剤、熱酸発生剤、可塑剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0073】
上記界面活性剤としては、例えば、フルオロアルキル系化合物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩などを使用することができるが、これらに限定されない。
【0074】
上記架橋剤としては、例えば、メラミン系、置換尿素系、またはこれらをモノマーとするポリマーなどが挙げられる。好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であり、例えば、メトキシメチル化グリコルリル、ブトキシメチル化グリコルリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはブトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0075】
また、上記架橋剤としては、耐熱性が高い架橋剤を使用することができる。耐熱性が高い架橋剤としては、例えば、分子内に芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環)構造、および架橋形成置換基を有する化合物を使用することができる。
【0076】
上記熱酸発生剤としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの、それ自体が酸性である化合物、および/または2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、有機スルホン酸アルキルエステルなどの、熱分解により酸を発生する化合物を使用することができるが、これらに制限されない。
【0077】
本発明の他の態様によれば、上述したハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0078】
以下、上述したハードマスク組成物を使用してパターンを形成する方法について説明する。
【0079】
本発明の一実施形態によるパターン形成方法は、基板上に材料層を形成する段階と、上記材料層の上に上述した化合物および溶媒を含むハードマスク組成物を塗布する段階と、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階と、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、上記フォトレジストパターンを利用して上記ハードマスク層を選択的に除去して上記材料層の一部を露出する段階と、上記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、を含む。
【0080】
上記基板は、例えばシリコンウェーハ、ガラス基板または高分子基板であり得る。上記材料層は、最終的にパターン化しようとする材料であり、例えばアルミニウム、銅などの金属層、シリコンなどの半導体層または酸化ケイ素、窒化ケイ素などの絶縁層であり得る。上記材料層は、例えば、化学気相蒸着法で形成され得る。
【0081】
上記ハードマスク組成物は、上述したとおりであり、溶液の形態で製造されてスピンコーティング法で塗布され得る。このとき、上記ハードマスク組成物を塗布する際の厚さは特に限定されないが、例えば50~200,000Åの厚さに塗布され得る。
【0082】
上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃の温度で10秒~1時間行うことができる。一例として、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、複数の熱処理段階を含むことができ、例えば、1次熱処理段階、および2次熱処理段階を含むことができる。
【0083】
一実施形態では、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1000℃の温度で10秒~1時間行われる1つの熱処理段階を含むことができ、一例として、上記熱処理段階は、空気、または窒素雰囲気下で行うことができ、または酸素濃度1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0084】
一実施形態では、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃、例えば、100℃~800℃、例えば、100℃~500℃、例えば、150℃~400℃の温度において、例えば30秒~1時間、例えば30秒~30分、例えば30秒~10分、例えば30秒~5分間行われる1次熱処理段階を含む。
【0085】
また、例えば、100℃~1,000℃、例えば、300℃~1,000℃、例えば、500℃~1,000℃、例えば、500℃~600℃の温度において、例えば、30秒~1時間、例えば、30秒~30分、例えば、30秒~10分、例えば、30秒~5分間行われる2次熱処理段階を連続的に含むことができる。一例として、上記1次および2次熱処理段階は、空気、または窒素雰囲気下で行うことができ、または酸素濃度1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0086】
上記ハードマスク組成物を熱処理する段階のうちの少なくとも1つの段階を200℃以上の高温で行うことによって、エッチング工程を含む後続工程で曝露するエッチングガスおよび化学液に耐えることができる高い耐エッチング性を示すことができる。
【0087】
一実施形態では、上記ハードマスク層を形成する段階は、紫外/可視光(UV/Vis)硬化段階および/または近赤外線(near IR)硬化段階を含むことができる。
【0088】
一実施形態では、上記ハードマスク層を形成する段階は、上記1次熱処理段階、2次熱処理段階、紫外/可視光(UV/Vis)硬化段階、および近赤外線(near IR)硬化段階のうちの少なくとも1つの段階を含むか、または2つ以上の段階を連続的に含むことができる。
【0089】
一実施形態では、上記ハードマスク層の上にシリコン含有薄膜層を形成する段階をさらに含むことができる。上記シリコン含有薄膜層は、例えばSiCN、SiOC、SiON、SiOCN、SiC、SiOおよび/またはSiNなどの物質で形成することができる。
【0090】
一実施形態では、上記フォトレジスト層を形成する段階の前に、上記シリコン含有薄膜層上部またはハードマスク層上部に下層反射防止膜(bottom anti-reflective coating、BARC)をさらに形成することもできる。
【0091】
一実施形態で、上記フォトレジスト層に露光する段階は、例えば、ArF、KrFまたはEUVなどを使用して行うことができる。また、露光後、100℃~700℃で熱処理工程を行うことができる。
【0092】
一実施形態で、上記材料層の露出した部分をエッチングする段階は、エッチングガスを使用した乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスは、例えば、N/O、CHF、CF、Cl、BClおよびこれらの混合ガスを使用することができる。
【0093】
上記エッチングされた材料層は、複数のパターンで形成され得て、上記複数のパターンは、金属パターン、半導体パターン、絶縁パターンなど、多様化することができ、例えば、半導体集積回路デバイス内の多様なパターンとして適用され得る。
【実施例0094】
以下、実施例を通じて上述した本発明の実施形態をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0095】
化合物の合成
合成例1
窒素雰囲気下において、フラスコに1,4-ジエチニルベンゼン3mmol(0.33mL)、ジエチル亜鉛1.5mmol(0.75mL)、およびトルエン4mLを入れた後、120℃で5時間攪拌した。反応溶液を0℃に冷却した後、ピレン-1-カルボキシアルデヒド1mmol(230mg)をトルエン)10mLに溶かした溶液を20分にわたって徐々に添加した後、常温で12時間攪拌した。反応が終了したことを薄層クロマトグラフィー(TLC)により確認した後、反応溶液に飽和塩化アンモニウム(sat.NHCl)水溶液10mLを加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を硫酸ナトリウム(NaSO)を使用して乾燥させ、濾過した後、溶媒を除去した。得られた残留物を、カラムクロマトグラフィーで精製して、化学式2で表される化合物を得た。(分子量=586.69g/mol)
【0096】
【化14】
【0097】
合成例2
ピレン-1-カルボキシアルデヒドの代わりに、ペリレン-1-カルボキシアルデヒドを使用したことを除いて、合成例1と同様の方法で、下記化学式3で表される化合物を得た。(分子量=688.83g/mol)
【0098】
【化15】
【0099】
合成例3
1,4-ジエチニルベンゼンの代わりに、2,7-ジエチニルナフタレンを使用したことを除いて、合成例1と同様の方法で、下記化学式4で表される化合物を得た。(分子量=636.75g/mol)
【0100】
【化16】
【0101】
合成例4
1,4-ジエチニルベンゼンの代わりに、2,7-ジエチニルナフタレンを使用し、かつピレン-1-カルボキシアルデヒドの代わりに、6-ヒドロキシピレン-1-カルバルデヒドを使用したことを除いて、合成例1と同様の方法で、化学式5で表される化合物を得た。(分子量=668.75g/mol)
【0102】
【化17】
【0103】
比較合成例1
窒素雰囲気下において、フラスコにジビニルベンゼン3mmol(0.33mL)、ジエチル亜鉛1.5mmol(0.75mL)、およびトルエン4mLを入れた後、120℃で5時間攪拌した。反応溶液を0℃に冷却した後、ピレン-1-カルボキシアルデヒド1mmol(230mg)をトルエン10mLに溶かした溶液を20分にわたって徐々に添加した後、常温で12時間攪拌した。反応が終了したことを薄層クロマトグラフィー(TLC)により確認した後、中間生成物に飽和塩化アンモニウム(sat.NHCl)水溶液10mLを入れた後、酢酸エチルで抽出した。その後、有機層を硫酸ナトリウム(NaSO)を使用して乾燥させ、濾過した後、溶媒を除去した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、下記化学式6で表される化合物を得た。(分子量=590.72g/mol)
【0104】
【化18】
【0105】
比較合成例2
ピレン-1-カルボキシアルデヒドの代わりに、6-ヒドロキシピレン-1-カルバルデヒドを使用し、ジビニルベンゼンの代わりにジビニルナフタレンを用いたことを除いて、比較合成例1と同様の方法で、下記化学式7で表される化合物を得た。(分子量=672.78g/mol)
【0106】
【化19】
【0107】
ハードマスク組成物の製造
実施例1
合成例1で得られた化学式2で表される化合物3.5gを、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)およびシクロヘキサノン(ANONE)を7:3の比率で混合した溶媒10gに溶かした後、シリンジフィルターでろ過して、ハードマスク組成物を製造した。
【0108】
実施例2
化学式2の代わりに、化学式3で表される化合物を使用したことを除いて、実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0109】
実施例3
化学式2の代わりに、化学式4で表される化合物を使用したことを除いて、実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0110】
実施例4
化学式2の代わりに、化学式5で表される化合物を使用したことを除いて、実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0111】
比較例1
化学式2の代わりに、化学式6で表される化合物を使用したことを除いて、実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0112】
比較例2
化学式2の代わりに、化学式7で表される化合物を使用したことを除いて、実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0113】
評価1:耐エッチング性の評価
シリコンウェーハの上に実施例1~4、比較例1および2によるハードマスク組成物を、PGMEAまたはPGMEA/ANONE溶液中において、固形分(各化合物)が15質量%の濃度となるように希釈し、これを塗布した後、ホットプレートの上で400℃で2分間熱処理して、4,000Åの厚さの薄膜を形成した後、K-MAC社製の薄膜厚測定装置で薄膜の厚さを測定した。次いで、薄膜をCFx混合ガスまたはN/O混合ガスを使用してそれぞれ乾式エッチングを行い、薄膜の厚さを再び測定した。エッチング前後の薄膜の厚さとエッチング時間から、下記計算式1によりエッチング率(bulk etch rate、BER)を計算し、その結果を下記表1に示す。
【0114】
【数1】
【0115】
【表1】
【0116】
上記表1を参照すると、実施例1~実施例4によるハードマスク組成物から形成されたハードマスクは、比較例1および2によるハードマスク組成物から形成されたハードマスクに比べてN/O混合ガスおよびCFxガスのエッチングの際にエッチング率が同等であることを確認することができ、実施例1~4の組成物によるハードマスクは、比較例1および2の組成物によるハードマスクの耐エッチング性が同等であることが明らかとなった。
【0117】
評価2:架橋特性の評価
実施例1~4、ならびに比較例1および2による組成物の、架橋特性の評価のために、アンモニア、過酸化水素、および水を1:1:5の比率で混合してSC1溶液を製造した。
【0118】
シリコンウェーハの上に実施例1~4、比較例1および2によるハードマスク組成物を、PGMEAまたはPGMEA/ANONE溶液中において、固形分(各化合物)が10質量%の濃度となるように希釈し、これを塗布した後、Si基板上に塗布し、400℃で1分間熱処理して、膜厚が200nmのハードマスク層を形成した。60℃で加熱したSC1溶液にハードマスク層が形成されたSi基板を5分間浸漬し、その後、ハードマスク層の膜厚を測定し、膜厚の減少の有無を確認することによって、架橋特性を評価した。評価の結果を下記表2に示す。
【0119】
【表2】
【0120】
上記表2を参照すると、実施例1~4による組成物から形成されたハードマスク層は、SC1溶液に浸漬後に膜厚の減少が発生しなかったが、比較例1および2による組成物から形成されたハードマスク層は、一部に減少が観察された。これにより、実施例1~4によるハードマスク組成物が、比較例1および2によるハードマスク組成物に比べて架橋特性が向上したことを確認することができた。
【0121】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下に記載された特許請求の範囲で定義している発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。