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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115591
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】用紙点検台
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/30 20060101AFI20240820BHJP
   B65H 23/16 20060101ALI20240820BHJP
   B65H 20/02 20060101ALI20240820BHJP
   B65H 19/10 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B65H23/30
B65H23/16
B65H20/02 Z
B65H19/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021282
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】303017679
【氏名又は名称】独立行政法人 国立印刷局
(72)【発明者】
【氏名】大胡田 一輝
【テーマコード(参考)】
3F064
3F103
3F104
【Fターム(参考)】
3F064AA01
3F064BA17
3F103AA01
3F103BA01
3F104AA01
3F104EA03
3F104FA01
(57)【要約】
【課題】
本発明は、紙を製造する抄紙工程において全幅巻取紙の用紙点検時に使用する用紙点検台の搬送路における点検用紙の詰まり及び破れを解消することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、点検用紙を通紙する通紙ベルトに固定機構を配置することによって、手動による引っ張りにて点検用紙の紙通しを行う必要がなく、通紙ベルトにより点検用紙を固定して自動で点検用紙を用紙搬送路に送出する構成を特徴とする用紙点検台とした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点検用紙を挟持又は接着して固定する固定機構を有する用紙通紙ベルトを回転駆動により連動駆動する用紙送出ローラと、
前記点検用紙の搬送距離を調整する機構を備えた少なくとも一つのテンションローラを備えた前記点検用紙を搬送する複数の搬送ローラと、
前記用紙通紙ベルトと連動した回転駆動により前記点検用紙を巻付ける機構を備えた用紙巻付けローラを有し、
前記用紙通紙ベルトが、前記用紙送出ローラから前記複数の搬送ローラに沿って前記用紙巻付けローラまで掛け渡されて配置され、
前記用紙送出ローラとの連動駆動により前記用紙通紙ベルトの前記固定機構に固定された前記点検用紙を巻取紙から送出して前記複数の搬送ローラに沿って搬送し、前記複数の搬送ローラから排出された前記点検用紙を前記用紙通紙ベルトと連動した回転駆動により前記用紙巻付けローラに巻付けることを特徴とする用紙点検台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙を製造する抄紙工程における全幅巻取紙の用紙点検時に使用する用紙点検台に関する。
【背景技術】
【0002】
巻取紙を製造する抄紙工程では、品質管理の一環として巻取紙に発生する周期的な欠点及び特異的な欠点の有無、すき入れの品質の確認のため、巻取紙を1本作製するたびに定期的に点検用紙を採取して用紙点検を行っている。
【0003】
用紙点検については、採取した点検用紙に対し、ライトテーブルを備えた用紙点検台を使用し、透過光と反射光により点検を行い、周期的な欠点及び特異的な欠点の有無、すき入れの品質の確認を行う方法がある。
【0004】
例えば、前述のライトテーブルとしては、位置調節装置と組合わせた使用によって、定位置すき入れの基準線との合致作業を容易にするとともに、移動による空スペースに抄造紙テールの通紙装置を設けた移動式のライトテーブルを本出願人は開示している(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、図1及び図2に示すライトテーブルを備えた用紙点検台(A1)を使用して、巻取紙に発生する周期的な欠点及び特異的な欠点の有無やすき入れ等の品質の確認を行っている。
【0006】
図1及び図2に示す用紙点検台(A1)における品質点検の確認は、一人、あるいは二人の作業員により行っている。なお、点検用紙を用紙点検台(A1)へと紙通しに要する時間は5分程度である。
【0007】
次に、前述した、図1及び図2に示す用紙点検台(A1)に点検用紙を紙通しする作業手順について説明する。一例として、図2の側面図に示すように、巻取紙から採取した点検用紙を巻取り、巻取紙(12)として用紙送出部(16)に配置し、巻取紙(12)から点検用紙の端部を紙通ししやすいよう斜めに切り出し(図示せず)、点検用紙を用紙送出部(16)の用紙送出ローラ(15)により挟持して、手動により点線に示す用紙搬送部(4)として点検用紙を搬送するために配置された第一搬送ローラ(X1)~第九搬送ローラ(X9)から成る複数の搬送ローラに対し、点検用紙を各搬送ローラに沿って、矢印に示す順番の用紙搬送路(T1~T10)により紙通しを行い、図1に示す用紙点検台(A1)の第一点検面(1)及び第二点検面(2)により、点検用紙の品質確認を行い、用紙巻付け部(3)の用紙巻付けローラ(20)に対し、作業員が点検用紙を手動で巻付けながら点検を行っている。
【0008】
また、点検用紙は、種類ごとに大きさが異なるため、品質確認を行う箇所も各々異なり、点検用紙の大きさに応じて、点検用紙の搬送距離の長さを調整する必要がある。そのため、一部の搬送ローラ、例えば、第六搬送ローラ(X6)に紙通しを行い、第六a搬送ローラ(X6a)には紙通しを行わない場合と、第六搬送ローラ(X6)と第六a搬送ローラ(X6a)の双方の搬送ローラに紙通しを行うことによって、点検用紙の搬送距離を調整する場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第2645411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、点検用紙が、例えば全幅約1,000mm以上ある場合、それを斜めに切り出した紙の先を手動により引っ張りながら紙通しを行うため、破れや折れによって紙通しができなくなることもあった。
【0011】
また、作業員が手動で巻き取りながら点検を行うため、用紙巻付け部において、巻き取った点検用紙を押さえながら作業する必要があり、不慣れな新人の作業員などは作業に慣れるまでの労力が生じていた。
【0012】
また、点検用紙の種類によっては大きさが異なることから、紙通しする搬送ローラの順番が異なるため、間違えた場合は、再度点検用紙の端部を斜めに切り出す工程からやり直す必要があると共に、紙通しの失敗により点検分の用紙が減ってしまうと十分な用紙点検ができないという課題があった。
【0013】
本発明は、上記課題の解決を目的とするものであり、用紙点検台において、用紙搬送路に点検用紙を挟持する固定機構を設けた用紙通紙ベルトを配置し、用紙送出部に用紙通紙ベルトを駆動する駆動機構、用紙巻付け部に排出した用紙を咥えて巻付ける巻付け機構を有することによって、用紙搬送路に沿って自動的に用紙を紙通しすることが可能となり、労力の低減を図ることである。
【0014】
また、点検する用紙の種類によって用紙搬送路を調整していた作業を、張力又は搬送距離を調整するテンションローラを使用することによって、紙通しの後でも搬送距離の調整ができるとともに、通紙の失敗をなくせることで失敗した際に起こりうる、点検用紙が不足して十分な用紙点検ができなくなるという課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、点検用紙を挟持又は接着して固定する固定機構を有する用紙通紙ベルトを回転駆動により連動駆動する用紙送出ローラと、点検用紙の搬送距離を調整する機構を備えた少なくとも一つのテンションローラを備えた点検用紙を搬送する複数の搬送ローラと、用紙通紙ベルトと連動した回転駆動により点検用紙を巻付ける機構を備えた用紙巻付けローラを有し、用紙通紙ベルトが、用紙送出ローラから複数の搬送ローラに沿って用紙巻付けローラまで掛け渡されて配置され、用紙送出ローラとの連動駆動により用紙通紙ベルトの固定機構に固定された点検用紙を巻取紙から送出して複数の搬送ローラに沿って搬送し、複数の搬送ローラから排出された点検用紙を用紙通紙ベルトと連動した回転駆動により用紙巻付けローラに巻付けることを特徴とする用紙点検台である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の用紙点検台は、通紙ベルトに固定機構を配置することによって、手動による引っ張りにて紙通しを行う必要がなく、通紙ベルトにより点検用紙を固定して自動で点検用紙を用紙搬送路に送出する構成であることから、点検用紙の詰まり及び破れを解消できる。
【0017】
また、用紙搬送路に通紙ベルトを掛け渡すことによって、手作業による点検用紙の用紙搬送路を間違えることは無くなり、券種別の通紙ルートの切替えについては、テンションローラによる搬送調整機構を設けたことによって、通紙後でもテンションローラにより点検用紙の搬送距離を調整することが可能となるという効果も奏する。
【0018】
更に、用紙巻取り部にはオペレーターの手元部に巻付け機構を設置したことで、従来手動で巻き取っていたのが、用紙のテンションを一定に保ったまま自動で巻きつけられ、用紙を押さえながらの作業をする必要がなくなるという更なる効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来の用紙点検台を示す斜視図である
図2】従来の用紙点検台の側面図である。
図3】本発明の用紙点検台を示す一例図である。
図4】本発明の固定機構を示す拡大図である。
図5】本発明の用紙点検台の側面拡大図である。
図6】本発明のテンションローラの搬送調整機構を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図3に、本発明における用紙点検台(A1)を示す。用紙点検台(A1)は、点検用紙(10)を送出する用紙送出部(16)と、用紙送出部(16)から送出された点検用紙(10)を搬送する複数の搬送ローラから成る用紙搬送部(4)と、用紙搬送部(4)から排出された点検用紙(10)を巻付ける用紙巻付け部(3)を有する。用紙送出部(16)は、後述する駆動機構(17)を備え、用紙搬送部(4)は、点検用紙を搬送する複数の搬送ローラ(第一搬送ローラ(X1)~第九搬送ローラ(X9))を備え、用紙巻付け部(3)は、後述する巻付け機構(18)を備えている。
【0021】
本発明における用紙点検台(A1)は、矢印の順番に示す用紙搬送路(T1~T10)、すなわち用紙送出ローラ(15)から複数の搬送ローラ(第一搬送ローラ(X1)~第九搬送ローラ(X9))に沿って用紙巻付けローラ(20)まで用紙通紙ベルト(6)を掛け渡すことによって、巻取紙(12)から点検用紙(10)を前述の用紙搬送路(T1~T10)に沿って送り出し、用紙搬送部(4)から排出された点検用紙(10)を用紙巻付け部(3)の用紙巻付けローラ(20)に設置された巻付け機構(18)により、点検用紙(10)を巻付けることができる。
【0022】
用紙巻付けローラ(20)に設置された巻付け機構(18)は、用紙通紙ベルト(6)と連動駆動することにより用紙巻付けローラ(20)を回転駆動させて、用紙搬送部(4)から排出された点検用紙(10)のテンションを一定に保持した状態で点検用紙(10)を用紙巻付けローラ(20)に巻付けることができるため、排出された点検用紙(10)を手で押さえながら作業する必要がなくなる仕組みである。なお、用紙巻付けローラ(20)の点検用紙(10)を固定する手段は、つめによる咥え機構、エアーによる吸着機構などの公知の手段を使用することができる(図示せず)。
【0023】
図4は、点線で示す用紙送出部(16)において、用紙通紙ベルト(6)と用紙通紙ベルト(6)に設置する固定機構(8)と、用紙通紙ベルト(6)の駆動機構(17)である駆動モータ(9)を示した拡大図である。本実施形態においては、固定機構(8)としてクリップを使用し、一本の用紙通紙ベルト(6)に固定機構(8)としてクリップで固定しているが、その他の固定機構(8)の形態としては、用紙通紙ベルト(6)の一部の幅を太くして挟み込む構成にしてもよく、あるいは用紙通紙ベルト(6)を二本にしてクリップを使用せずに用紙を用紙通紙ベルト(6)により挟みこんでもよい。また、用紙通紙ベルト(6)は、片側にのみ配置されているが、両端部に配置して点検用紙(10)の両端を挟み込んでもよい。なお、用紙通紙ベルト(6)の材質は、樹脂系であれば特に限定されず、また、用紙通紙ベルト(6)の態様として、平ベルトのほか、メッシュベルトその他のベルト形態であってもよく、公知の材料を使用する事ができる。
【0024】
図5は、用紙送出部(16)の側面図である。用紙送出部(16)の用紙送出ローラ(15)を回転駆動する駆動機構(17)は、用紙送出ローラ(15)の軸に駆動モータ(9)を設置し、用紙送出ローラ(15)の回転により用紙通紙ベルト(6)が駆動する機構である。よって、用紙通紙ベルト(6)の固定機構(8)に点検用紙(10)をテープによる接着、あるいは点検用紙(10)をクリップ又はベルトによる挟み込む形態として固定することによって、用紙通紙ベルト(6)を通じて用紙搬送部(4)に点検用紙(10)が搬送される仕組みである。
【0025】
また、図6は、複数の搬送ローラの一つをテンションローラ(5)による搬送調整機構(7)とした構成である。図6の拡大図に示すように、用紙点検台(A1)のフレーム(13、14)に近傍する搬送ローラの一つをテンションローラ(5)とした構成である。本実施の形態では、テンションローラ(5)による搬送調整機構(7)と、テンションローラ(5)の可動方向(19)を調整する操作スイッチ(11)を有している。
【0026】
本実施の形態では、用紙点検台(A1)のフレーム(13、14)に搬送調整機構(7)を設けて、テンションローラ(5)の可動方向(19)を上下方向に駆動することによって、点検用紙(10)の種類ごとに用紙搬送路の搬送距離の変更が可能となる。つまり、点検用紙(10)の大きさに応じて、テンションローラ(5)を上下方向に移動させることで、用紙搬送路の搬送距離を調整することができ、従来、搬送ローラの用紙搬送路の調整により行っていた、点検用紙(10)に応じた用紙搬送路の距離の調整を通紙後でも行える構成としたものである。なお、本実施の形態では、用紙点検台(A1)のフレーム(13、14)に近傍する搬送ローラをテンションローラ(5)としているが、テンションローラ(5)の本数及び配置位置は、点検用紙(10)の搬送に影響が与えない限り、特に限定されるものではない。
【0027】
本実施の形態では、テンションローラ(5)の可動方向(19)を上下方向としているが、テンションローラ(5)の角度を変更、あるいは回転速度を変化可能な駆動機構を形成することによって、点検用紙(10)の用紙搬送路を調整してもよい。また、搬送調整機構(7)の昇降可変操作については、エアシリンダーによる昇降機構の操作スイッチ(11)により上下方向に調整を行う構成である。
【0028】
このような機構とすることで、点検用紙(10)の自動通紙が可能となり、用紙詰まりや破れが解消されることによる作業効率の向上、また、作業員の個人差により生じていた余剰な点検作業時間が削減できる。
【符号の説明】
【0029】
A1 用紙点検台
1 第一点検面
2 第二点検面
3 用紙巻付け部
4 用紙搬送部
5 テンションローラ
6 用紙通紙ベルト
7 搬送調整機構
8 固定機構
9 駆動モータ
10 点検用紙
11 スイッチ
12 巻取紙
13 フレーム
14 フレーム
15 用紙送出ローラ
16 用紙送出部
17 駆動機構
18 巻付け機構
19 可動方向
20 用紙巻付けローラ
X1 第一搬送ローラ
X2 第二搬送ローラ
X3 第三搬送ローラ
X4 第四搬送ローラ
X5 第五搬送ローラ
X6 第六搬送ローラ
X6a 第六a搬送ローラ
X7 第七搬送ローラ
X8 第八搬送ローラ
X9 第九搬送ローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6