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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115592
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】OVD箔層の密着性の検査方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/023 20190101AFI20240820BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20240820BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B32B7/023
G01N21/84 E
B32B7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021283
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】303017679
【氏名又は名称】独立行政法人 国立印刷局
(72)【発明者】
【氏名】松原 亘克
【テーマコード(参考)】
2G051
4F100
【Fターム(参考)】
2G051AA41
2G051AB20
2G051CA04
2G051EA17
2G051EB01
4F100AR00B
4F100AR00C
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100CB00
4F100CB00C
4F100EJ17
4F100EJ17B
4F100EJ42
4F100EJ42B
4F100JJ10B
4F100JL11
4F100JL11C
4F100JL14
4F100JL14A
4F100JN06
4F100JN06B
4F100JN28
4F100JN28B
(57)【要約】
【課題】
本発明は、基材に熱加圧により密着して貼り合わされた光学的変化素子であるOVD(Optical Variable Deviceの略)」が付された箔(以下「OVD箔」という。)の密着性を非破壊により検査する方法に関する。
【解決手段】
本発明は、熱加圧によりOVD箔のOVD箔層が基材に貼付され、OVD箔から剥がされた剥離層であるキャリアフィルム又は基材に貼付されたホログラム形成層の色彩変化によりOVD箔の密着性を確認するものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラム形成層と前記ホログラム形成層の下層に積層された接着層を有するOVD箔層と、前記OVD箔層の上層に積層されたキャリアフィルムから成る剥離層を備えたOVD箔において、
前記ホログラム形成層又は前記キャリアフィルムに、加熱により色彩変化又は異なる色に発光する感熱性変色パターンと、加圧により前記感熱性変色パターンと異なる色彩変化又は異なる色に発光する感圧性変色パターンから成る合成変色パターンを備えるOVD箔。
【請求項2】
ホログラム形成層と前記ホログラム形成層の下層に積層された接着層を有するOVD箔層と、前記OVD箔層の上層に積層されたキャリアフィルムから成る剥離層を備えたOVD箔において、
前記ホログラム形成層又は前記キャリアフィルムに、加熱により色彩変化又は異なる色に発光する感熱性変色パターンと、加圧により前記感熱性変色パターンと異なる色彩変化又は異なる色に発光する感圧性変色パターンから成る合成変色パターンを形成する形成工程と、
前記OVD箔を基材の上面と熱圧板の中間に未接触の状態で配置し、前記熱圧板を押圧して前記OVD箔を前記基材の上面に接触させて熱加圧を行い、前記接着層により前記OVD箔層を前記基材の上面に貼付する熱加圧工程と、
前記熱加圧工程の後に前記熱圧板を前記基材及び前記OVD箔から離隔し、前記基材に貼付された前記ホログラム形成層、前記OVD箔から剥がされた前記キャリアフィルムの前記合成変色パターンの色彩変化による色濃度又は異なる色に発光した色発光強度の少なくとも一方を検出する検出工程と、
前記検出工程により検出された前記色濃度又は前記色発光強度の少なくとも一方の検出値と、あらかじめ定めた色彩変化による色濃度又は色発光強度の少なくとも一方の適正貼付条件である基準値とを比較し、前記基準値の範囲内であるか否かにより前記OVD箔層の前記基材に対する密着性の良否を判定する判定工程から成ることを特徴とするOVD箔層の密着性の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材に熱加圧により密着して貼り合わされた光学的変化素子であるOVD(Optical Variable Deviceの略)」が付された箔(以下「OVD箔」という。)の密着性を非破壊により検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、基材等に貼り付けられたOVD箔の密着性を試験する方法として、例えば特許文献1及び特許文献2に提案されている。
【0003】
特許文献1に開示された剥離試験機では、粘着面を外向きにしたテープがローラの外周に固定された状態で、一軸ステージが往復動作することによりテープ剥離を行い、得られたテープ剥離後の被検査体から、基材層に対するテープの密着性を検査する方法が開示されている。
【0004】
他方、特許文献2に開示されたテープ剥離試験装置では、粘着テープに押圧力を付与しつつ転動させて、貼り付けるテープ貼着ローラから成る貼着ユニットを用いて被検査体に粘着テープを貼付した後、テープ剥離ローラを転動させる転動手段から成るテープ剥離ユニットを用いて、被検査体から粘着テープを剥離することによって、被検査体に対する密着性を検査する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-225518号公報
【特許文献2】特開2021-131328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の技術は、粘着テープを使用して、貼り合わせられたOVD箔の密着性を確認しているため、個人差による品質のあばれが発生していた。また、テーブル上で1枚ごと行われているため、機械稼働中における熱加圧の状態の把握が困難であり、密着不良による損紙の発生度合いが多くなる。
【0007】
本発明は、前述した問題の解決を目的としたものであり、基材に熱加圧により密着して貼り合わされた箔の密着性を、非破壊により検査する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ホログラム形成層とホログラム形成層の下層に積層された接着層を有するOVD箔層と、OVD箔層の上層に積層されたキャリアフィルムから成る剥離層を備えたOVD箔において、ホログラム形成層又はキャリアフィルムに、加熱により色彩変化又は異なる色に発光する感熱性変色パターンと、加圧により感熱性変色パターンと異なる色彩変化又は異なる色に発光する感圧性変色パターンから成る合成変色パターンを形成する形成工程と、OVD箔を基材の上面と熱圧板の中間に未接触の状態で配置し、熱圧板を押圧してOVD箔を基材の上面に接触させて熱加圧を行い、接着層によりOVD箔層を基材の上面に貼付する熱加圧工程と、熱加圧工程の後に熱圧板を基材及びOVD箔から離隔し、基材に貼付されたホログラム形成層、OVD箔から剥がされたキャリアフィルムの合成変色パターンの色彩変化による色濃度又は異なる色に発光した色発光強度の少なくとも一方を検出する検出工程と、検出工程により検出された色濃度又は色発光強度の少なくとも一方の検出値と、あらかじめ定めた色彩変化による色濃度又は色発光強度の少なくとも一方の適正貼付条件である基準値とを比較し、基準値の範囲内であるか否かによりOVD箔層の基材に対する密着性の良否を判定する判定工程から成ることを特徴とするOVD箔層の密着性の検査方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、機械的に検査を行うため、個人差のない検査を行うことが可能であり、品質の安定化を図れると共に、機械稼働中における熱加圧の状態を把握することによって、密着不良による損紙の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】OVD箔の構造を示す一例図である。
図2】合成変色パターンの形態を示す一例図である。
図3】合成変色パターンの色を示す一例図である。
図4】適正貼付条件と合成変色パターンの色の関係を示す一例図である。
図5】本発明の検査方法の工程を示す一例図である。
図6】熱加圧工程(S2)を示す一例図である。
図7】検出工程(S3)を示す一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
【0012】
本発明は、熱加圧によりOVD箔(8)のOVD箔層(8a)が基材(9)に貼付され、OVD箔(8)から剥がされた剥離層(8b)であるキャリアフィルム(1)又は基材(9)に貼付されたホログラム形成層(3)の色彩変化によりOVD箔(8)の密着性を確認するものである。
【0013】
まず、図1により、本発明の検査対象であるOVD箔(8)について説明する。図1に示すように、OVD箔(8)は、剥離層(8b)とOVD箔層(8a)の順に積層されて成る。詳細には、図1(a)に示すように、OVD箔層(8a)は、剥離性保護層(2)、ホログラム形成層(3)、反射性薄膜層(4)、樹脂層(5)と接着層(6)の順から成り、剥離層(8b)は、合成変色パターン(13)を備えたキャリアフィルム(1)から成る。
【0014】
図1(a)は、キャリアフィルム(1)自体を合成変色パターン(13)とした一例である。他の形態として、ホログラム形成層(3)自体を合成変色パターン(13)としてもよいが、OVD箔層(8a)の光学的変化の機能を阻害するおそれがあるため、キャリアフィルム(1)に色彩変化する材料を含有させて、合成変色パターン(13)とすることが望ましい。あるいは、図1(b)に示すように、合成変色パターン(13)は、キャリアフィルム(1)に対して、後述する材料を使用して印刷により形成してもよい。
【0015】
次に、図2を使用して、合成変色パターン(13)について説明する。図2(a)は、キャリアフィルム(1)上に合成変色パターン(13)を形成した一例である。図2(b)に示すように、合成変色パターン(13)は、直線を第一の方向(T1)に配置された感熱性変色パターン(11)と、直線を第二の方向(T2)に配置された感圧性変色パターン(12)が積層されて形成された格子状の合成変色パターン(13)から成る。
【0016】
本実施の形態では、感熱性変色パターン(11)と感圧性変色パターン(12)は直線により形成されているが、曲線、点線、破線等の線状、ベタ、模様により形成してもよく、形成する形態は特に限定されない。
【0017】
感熱性変色パターン(11)と感圧性変色パターン(12)は、非熱加圧状態では互いに無色であるが、熱加圧状態では互いに異なる色として発現する。なお、感熱性変色パターン(11)及び感圧性変色パターン(12)、更に両方を合成した合成変色パターン(13)は、熱圧を加えない場合は、無色透明の材料で形成されているため視認できないが、発明の便宜上、直線により示す状態により説明する。
【0018】
感熱性変色パターン(11)を形成する材料としては、加熱により可逆的又は不可逆的に色彩変化する必要があり、ロイコ染料及び顕減色剤等が存在する。例えば、ロイコ染料としては、クリスタルバイオレットラクトン、3-インドリノ-3-p-ジメチルアミノフェニル-6-ジメチルアミノフタリド、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、2-(2-クロルフェニルアミン)-ジエチルアミノフルオラン等を公知の材料を使用することができる。
【0019】
また、顕減色剤としては、(N-(p-ヒドロキシフェニル)-N’-n-オクタデシルチオ尿素、N-(p-ヒドロキシフェニル)-N’-n-オクタデシル尿素、N-(p-ヒドロキシフェニル)-N’-n-オクタデシルチオアミド、4’-オクタデカンアニリド、2-オクタデシルテレフタル酸等の公知の材料を使用する事ができる。
【0020】
また、加熱により色発光する材料としては、ジ-α、β-ナフトイソスピロピラン、ベンゾ-β-ナフトイソスピロピラン、3-アルキル-ジ-β-ナフトスピロピラン、ビアントロン、ジキサンチレン、キサンチリジエンアントロン等の公知のサーモクロミック材料を使用することができる。
【0021】
感圧性変色パターン(12)を形成する材料としては、加圧により可逆的又は不可逆的に色彩変化する必要がある。前述の顕減色剤を含有するマイクロカプセル等が存在する。また、加圧により色発光する材料としては、ストロンチウム系応力発光材料、ピエゾクロミック材料等の公知の材料を使用することができる。
【0022】
感熱性変色パターン(11)と感圧性変色パターン(12)は、前述に示す材料を使用して、感熱性変色パターン(11)と感圧性変色パターン(12)のそれぞれのインキを形成し、キャリアフィルム(1)に合成パターン(13)を印刷して合成変色パターン(13)を形成する。なお、印刷方法については、公知の方法を使用することができる。
【0023】
次に、合成変色パターン(13)の色の一例について、図3により説明する。図3(a)に示すように、加熱温度が100℃~120℃の範囲内が適正貼付条件(10)とするOVD箔(8)において、感熱性変色パターン(11)を100℃~120℃の加熱温度により透明から赤色に色彩変化するロイコ染料を使用して形成する。また、図3(b)に示すように、50トン~60トンの範囲内を加圧の適正貼付条件(10)とするOVD箔(8)において、感圧性変色パターン(12)を加圧が50トン~60トンの範囲で透明から青色に色彩変化する材料を使用して形成する。
【0024】
次に、図4により、適正貼付条件(10)と合成変色パターン(13)に色の関係の一例について説明する。図4に示すように、前述の感熱性変色パターン(11)は、100℃~120℃の加熱温度により透明から赤色に色彩変化し、感圧性変色パターン(12)は、加圧が50トン~60トンの範囲で透明から青色に色彩変化するため、加熱と加圧の双方が適切である適正貼付条件(10)では、感熱性変色パターン(11)の赤色と、感圧性変色パターン(12)の青色により、感熱性変色パターン(11)と感圧性変色パターン(12)のそれぞれの直線が交差する合成変色パターン(13)の格子点が紫色として発現する。
【0025】
本発明は、感熱性変色パターン(11)と感圧性変色パターン(12)の各々の色が合成された合成変色パターン(13)により、OVD箔層(8a)の密着性の検査を行うことが可能となる。本実施の形態では、感熱性変色パターン(11)と感圧性変色パターン(12)のそれぞれの直線が交差する格子点が変色するが、感熱性変色パターン(11)と感圧性変色パターン(12)をそれぞれベタにより形成して発現する変色としてもよい。
【0026】
また、感熱性変色パターン(11)と感圧性変色パターン(12)をそれぞれ発光材料で形成する場合においても、直線が交差する格子点が色発光、感熱性変色パターン(11)と感圧性変色パターン(12)をそれぞれベタにより形成した色発光による混色として合成変色パターン(13)を形成してもよい。
【0027】
なお、本実施の形態では、熱加圧により無色から色彩変化する形態であるが、OVD箔層(8a)の光学的な機能に影響を与えない場合であれば、無色ではなく、有色から異なる色に変化してもよい。あるいは、熱加圧による色彩変化も、OVD箔層(8a)の光学的な機能に影響を与えない範囲で、可逆的に色彩変化又は不可逆的に色彩変化する形態であってもよい。
【0028】
(検査方法)
図5は、本発明の検査方法の工程を示す一例図である。図5に示すように、キャリアフィルム(1)又はホログラム形成層(3)に合成変色パターン(13)を形成する形成工程(S1)と、熱加圧によりOVD箔層(8a)を基材の上面に貼付する熱加圧工程(S2)と、熱加圧工程(S2)の後にキャリアフィルム(1)又はホログラム形成層(3)の合成変色パターン(13)の色彩変化による色濃度又は色発光強度を検出する検出工程(S3)と、検出工程(S3)により検出された合成変色パターン(13)の色濃度又は色発光強度の検出値と、あらかじめ定めた合成変色パターン(13)の色濃度又は色発光強度の適正貼付条件(10)である基準値とを比較し、適正貼付条件(10)である基準値の範囲内である否かにより密着性の良否を判定する判定工程(S4)から成る。
【0029】
(形成工程)
形成工程(S1)は、キャリアフィルム(1)又はホログラム形成層(3)に感熱性変色パターン(11)と感圧性変色パターン(12)を積層した合成変色パターン(13)を形成する。合成変色パターン(13)の形成は、図1に示すOVD箔(8)を形成する各層を積層する段階で、キャリアフィルム(1)又はホログラム形成層(3)にあらかじめ形成してもよく、あるいはOVD箔(8)を形成した後であれば、後述する熱加圧工程(S2)より前の段階で、印刷によりキャリアフィルム(1)に形成してもよい。
【0030】
(熱加圧工程)
熱加圧工程(S2)は、基材(9)の上面及び熱圧板(7)の中間に未接触でOVD箔(8)を配置し、一定温度に加熱した熱圧板(7)を一定の圧力で押圧してOVD箔(8)を基材(9)の上面に接触させて適正貼付条件(10)により熱加圧を行い、接着層(6)によりOVD箔層(8a)を基材(9)の上面に貼付する。
【0031】
(検出工程)
検出工程(S3)は、熱加圧工程(S2)の後におけるキャリアフィルム(1)又は基材(9)に貼付されたOVD箔層(8a)の合成変色パターン(13)の色彩濃度又は色発光強度を検出する。検出器(14)として色彩濃度の場合においては公知のセンサ又はRGBカメラを用いることができ、色発光強度の場合においては公知の蛍光センサ又はカメラ等を用いることが可能である。
【0032】
(判定工程)
判定工程(S4)は、検出工程(S3)により検出された合成変色パターン(13)の色濃度又は色発光強度の検出値と、あらかじめ定めた合成変色パターン(13)の色濃度又は色発光強度の適正貼付条件(10)である基準値とを比較し、基準値の範囲内である否かにより密着性の良否を判定する判定工程から成る。判定方法としては、パターンマッチング又は閾値を用いた方法がある。判定後、適正貼付条件(10)である基準値の範囲内となった場合は「良」、範囲外の場合は「不良」として判断し良否判定を行い、「不良」の要因が温度である場合は加熱板の温度を調整し、「不良」の要因が圧力である場合は圧力調整を実施する。
【0033】
次に、図6及び図7により、本発明の検査方法について詳細に説明する。なお、キャリアフィルム(1)の感熱性変色パターン(11)及び感圧性変色パターン(12)、両方を合成した合成変色パターン(13)、OVD箔層(8a)の適正貼付条件(10)についは、図3及び図4を使用して説明する。
【0034】
図6は、熱加圧工程(S2)を示す一例図である。図6(a)に示すように、熱加圧工程(S2)においては、まず初めに基材(9)の上面に未接触でOVD箔(8)が配置され、更にOVD箔(8)の上面に熱圧板(7)が配置されている。この状態では、非熱加圧であるため、剥離層(8b)であるキャリアテープ(1)の合成パターン(13)は無色である。次に、図6(b)に示すように、基材(9)の上面にOVD箔(8)に熱圧板(7)が接触した状態で熱加圧されて、OVD箔層(8a)が基材(9)の上に貼付される。
【0035】
次に、図7により、検出工程(S3)及び判定工程(S4)について説明する。図7(a)に示すように、熱加圧工程(S2)の後、熱圧板(7)は、基材(9)及びOVD箔(8)から離隔され、OVD箔(8)から剥離層(8b)であるキャリアテープ(1)が剥がされ、キャリアフィルム(1)に熱圧板(7)の熱加圧により色彩変化した合成変色パターン(13)が発生する。なお、キャリアフィルム(1)を剥がされたOVD箔(8)の残された部分であるOVD箔層(8a)は、基材(9)へ接着されている。
【0036】
次に、図7(b)に示すように、キャリアフィルム(1)に発現した合成変色パターン(13)の色彩変化により発現した格子となった部分の交点を、検出工程(S3)における公知のRGBカメラ等の検出器(14)により検出する。次に、判定工程(S4)において、検出した合成変色パターン(13)の色濃度が、設定した適正貼付条件(10)の基準値の範囲内であるか否かを判定する。本例では、交差する部分の色彩変化によって発現する紫色の濃度により基準値の範囲内である否かにより密着性の良否を判定する判定できるため、OVD箔層(8a)の基材(9)に対する貼付が、適性か否か容易に判定することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 キャリアフィルム
2 剥離性保護層
3 ホログラム形成層
4 反射性薄膜層
5 樹脂層
6 接着層
7 熱圧板
8 OVD箔
8a OVD箔層
8b 剥離層
9 基材
10 適正貼付条件
11 感熱性変色パターン
12 感圧性変色パターン
13 合成変色パターン
14 検出器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7