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特開2024-115697ウレタン樹脂形成性組成物及び接着剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115697
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ウレタン樹脂形成性組成物及び接着剤
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/08 20060101AFI20240820BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20240820BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20240820BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20240820BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20240820BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20240820BHJP
   C09J 175/06 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
C08G18/08 038
C08L75/04
C08K3/36
C08G18/44
C09J175/04
C09J11/04
C09J175/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021486
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100211018
【弁理士】
【氏名又は名称】財部 俊正
(72)【発明者】
【氏名】相澤 考宏
【テーマコード(参考)】
4J002
4J034
4J040
【Fターム(参考)】
4J002CK021
4J002DJ016
4J002FD016
4J002GJ01
4J034BA05
4J034CA03
4J034CA05
4J034CC02
4J034CC08
4J034CC12
4J034CC23
4J034CD01
4J034CD05
4J034DA01
4J034DB03
4J034DC02
4J034DF02
4J034HA01
4J034HA07
4J034HA08
4J034HB05
4J034HB11
4J034HB12
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC45
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC54
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034KB02
4J034KB03
4J034KD07
4J034KD12
4J034KE02
4J034MA04
4J034QB10
4J034QB13
4J034RA08
4J040EF101
4J040EF121
4J040EF282
4J040JA13
4J040KA14
4J040KA16
4J040KA42
4J040LA06
4J040MA02
4J040NA16
(57)【要約】
【課題】油面接着性に優れた接着剤として有用なウレタン樹脂形成性組成物を提供すること。
【解決手段】ポリイソシアネート(A)と、ポリオール(B)と、M値が5%以上である疎水性シリカ(C)と、を含む、ウレタン樹脂形成性組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート(A)と、ポリオール(B)と、M値が5%以上である疎水性シリカ(C)と、を含む、ウレタン樹脂形成性組成物。
【請求項2】
前記疎水性シリカ(C)のM値が、30%以上75%以下である、請求項1に記載のウレタン樹脂形成性組成物。
【請求項3】
前記ポリイソシアネート(A)を含有する第一剤と、前記ポリオール(B)を含有する第二剤と、を含み、
前記第一剤及び前記第二剤の少なくとも一方が前記疎水性シリカ(C)を含有する、請求項1に記載のウレタン樹脂形成性組成物。
【請求項4】
前記第一剤及び前記第二剤の両方が前記疎水性シリカ(C)を含有する、請求項3に記載のウレタン樹脂形成性組成物。
【請求項5】
前記ポリオール(B)が、カーボネート基を有する第一のポリオール(b1)と、3つ以上のヒドロキシ基を有し、カーボネート基を有しない第二のポリオール(b2)と、を含有する、請求項1に記載のウレタン樹脂形成性組成物。
【請求項6】
前記第一のポリオール(b1)が、23℃で液状である、請求項5に記載のウレタン樹脂形成性組成物。
【請求項7】
前記ポリイソシアネート(A)が、23℃で液状である、請求項1に記載のウレタン樹脂形成性組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のウレタン樹脂形成性組成物からなる、接着剤。
【請求項9】
構造用接着剤である、請求項8に記載の接着剤。
【請求項10】
油面鋼板用接着剤である、請求項8に記載の接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウレタン樹脂形成性組成物、及び接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の工業製品に使用される構造用接着剤として、例えば、特許文献1には、ウレタン系接着剤組成物が記載されている。
【0003】
特許文献1は、ポリイソシアネートと特定の分子量のポリオールとを反応させて得られるプレポリマー及び特定の配合量のフィラーを含有する第1液と、特定の分子量のポリオール及び触媒を含有する第2液とからなり、第1液中のポリオール及び第2液中のポリオールに由来する水酸基のモル数が特定の関係を有するウレタン系接着剤組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2009/047962号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
構造用接着剤は、鋼板等の接着に用いられることがあるが、鋼板の表面には油がコートされている場合がある。このため、油がコートされた表面(すなわち、油面)を有する鋼板(すなわち、油面鋼板)を高強度で接着可能な接着剤は、構造用接着剤として有用である。
【0006】
しかし、従来のウレタン系接着剤は、油面に対する接着性が不十分であった。
【0007】
本開示の目的の一つは、油面接着性に優れた接着剤として有用なウレタン樹脂形成性組成物を提供することにある。また。本開示の目的の一つは、油面接着性に優れる接着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、以下の(1)~(10)の態様を含む。
(1):ポリイソシアネート(A)と、ポリオール(B)と、M値が5%以上である疎水性シリカ(C)と、を含む、ウレタン樹脂形成性組成物。
(2):前記疎水性シリカ(C)のM値が、30%以上75%以下である、(1)に記載のウレタン樹脂形成性組成物。
(3):前記ポリイソシアネート(A)を含有する第一剤と、前記ポリオール(B)を含有する第二剤と、を含み、前記第一剤及び前記第二剤の少なくとも一方が前記疎水性シリカ(C)を含有する、(1)又は(2)に記載のウレタン樹脂形成性組成物。
(4):前記第一剤及び前記第二剤の両方が前記疎水性シリカ(C)を含有する、(3)に記載のウレタン樹脂形成性組成物。
(5):前記ポリオール(B)が、カーボネート基を有する第一のポリオール(b1)と、3つ以上のヒドロキシ基を有し、カーボネート基を有しない第二のポリオール(b2)と、を含有する、(1)~(4)のいずれか一つに記載のウレタン樹脂形成性組成物。
(6):前記第一のポリオール(b1)が、23℃で液状である、(5)に記載のウレタン樹脂形成性組成物。
(7):前記ポリイソシアネート(A)が、23℃で液状である、(1)~(6)のいずれか一つに記載のウレタン樹脂形成性組成物。
(8):(1)~(7)のいずれか一つに記載のウレタン樹脂形成性組成物からなる、接着剤。
(9):構造用接着剤である、(8)に記載の接着剤。
(10):油面鋼板用接着剤である、(8)又は(9)に記載の接着剤。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、油面接着性に優れた接着剤として有用なウレタン樹脂形成性組成物が提供される。また。本開示の一態様によれば、油面接着性に優れる接着剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各態様を実施するための例示的な実施形態を詳細に説明する。
【0011】
本実施形態のウレタン樹脂形成性組成物は、ポリイソシアネート(A)と、ポリオール(B)と、M値が5%以上である疎水性シリカ(C)と、を含む。
【0012】
本実施形態のウレタン樹脂形成性組成物は、油面接着性に優れた接着剤、特に構造用接着剤又は油面鋼板用接着剤として、好適に用いることができる。
【0013】
上記効果が奏される理由は以下のように考えられる。本実施形態のウレタン樹脂形成性組成物は、疎水性シリカ(C)のM値が5%以上であり、油との親和性が高い。このため、油面鋼板上に組成物を適用した際、疎水性シリカ(C)によって油が組成物中に取り込まれ、鋼板と組成物との界面における油量が低減されて、鋼板と組成物との密着性が向上し、優れた接着強度が発現すると考えられる。
【0014】
以下、本実施形態のウレタン樹脂形成性組成物に含まれる各成分について詳述する。
【0015】
(ポリイソシアネート(A))
ポリイソシアネート(A)は、イソシアネート基を複数有する化合物であればよい。ウレタン樹脂形成性組成物は、ポリイソシアネート(A)を1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0016】
ポリイソシアネート(A)は、23℃で液状であることが好ましい。23℃で液状とは、23℃において流動性を有することをいい、他成分と混合可能であれば、粘度等には制限はない。なお、本明細書では、内径30mm、高さ120mmの平底円筒型のガラス製試験管に材料を収容し、材料の高さが55mmになるように入れ、試験管を23℃に保ち、試験管を水平にし、材料の液面先端が試験管の底から85mmの部分を90秒以内に通過するものを液状という。
【0017】
ポリイソシアネート(A)が有するイソシアネート基の数は、例えば2~5、2~4又は2~3であってよい。
【0018】
ポリイソシアネート(A)は、3量化触媒を用いて一部をトリマー化したもの、アロファネート化触媒を用いて一部をアロファネート化したもの等であってよく、ポリオール等を変性剤として用いてプレポリマー化したものであってもよい。
【0019】
ポリイソシアネート(A)は、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香脂肪族イソシアネート、等が挙げられる。
【0020】
<芳香族イソシアネート>
芳香族イソシアネートは、芳香環を有し、且つ、芳香環に結合するイソシアネート基を複数有する化合物である。芳香族イソシアネートは、芳香環を複数有していてもよい。複数のイソシアネート基は、同じ芳香環に結合していてもよく、異なる芳香環に結合していてもよい。
【0021】
芳香族イソシアネートとしては、例えば2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート/2,6-トリレンジイソシアネート混合物、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート混合物、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2-ニトロジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニル-4,4’-ジイソシアネート等を挙げることができる。
【0022】
<脂肪族イソシアネート>
脂肪族イソシアネートは、脂肪族炭化水素(例えばアルカン)から複数の水素原子を除いてなる脂肪族炭化水素基を有し、且つ、脂肪族炭化水素基に結合するイソシアネート基を複数有する化合物である。脂肪族イソシアネートは、脂肪族炭化水素基を複数有していてもよい。複数のイソシアネート基は、同じ脂肪族炭化水素基に結合していてもよく、異なる脂肪族炭化水素基に結合していてもよい。
【0023】
脂肪族イソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2’-ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3-ブタジエン-1,4-ジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、2,5,7-トリメチル-1,8-ジイソシアネート-5-イソシアネートメチルオクタン、ビス(イソシアネートエチル)カーボネート、ビス(イソシアネートエチル)エーテル、1,4-ブチレングリコールジプロピルエーテル-α,α’-ジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、2-イソシアネートエチル-2,6-ジイソシアネートヘキサノエート、2-イソシアネートプロピル-2,6-ジイソシアネートヘキサノエート等を挙げることができる。
【0024】
<脂環族イソシアネート>
脂環族イソシアネートは、脂環式炭化水素から複数の水素原子を除いてなる脂環式基を有し、且つ、脂環式基に結合するイソシアネート基を複数有する化合物である。脂環族イソシアネートは、脂環式基を複数有していてもよい。複数のイソシアネート基は、同じ脂環式基に結合していてもよく、異なる脂環式基に結合していてもよい。なお、イソシアネート基は、脂環式基のうち、環に直接結合していてもよく、環に結合する脂肪族炭化水素基に結合していてもよい。
【0025】
脂環族イソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、2,2’-ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(4-イソシアネート-n-ブチリデン)ペンタエリスリトール、水素化された水添ダイマー酸ジイソシアネート、2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-5-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-6-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-5-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-6-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-5-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ-〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-6-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ-〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-5-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ-〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-6-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ-〔2.2.1〕-ヘプタン、2,5-ビス(イソシアネートメチル)-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、水素化された水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素化された水添トリレンジイソシアネート、水素化された水添キシレンジイソシアネート、水素化された水添テトラメチルキシレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0026】
<芳香脂肪族イソシアネート>
芳香脂肪族イソシアネートは、芳香環と芳香環に結合する脂肪族炭化水素基とを有し、且つ、芳香環に結合する脂肪族炭化水素基に結合するイソシアネート基を複数有する化合物である。芳香脂肪族イソシアネートは、芳香環を複数有していてもよく、脂肪族炭化水素基を複数有していてもよい。複数の脂肪族炭化水素基は、同じ芳香環に結合していてもよく、異なる芳香環に結合していてもよい。複数のイソシアネート基は、同じ脂肪族炭化水素基に結合していてもよく、異なる脂肪族炭化水素基に結合していてもよい。
【0027】
芳香脂肪族イソシアネートとしては、例えば1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物、ω,ω’-ジイソシアナト-1,4-ジエチルベンゼン等を挙げることができる。
【0028】
(ポリオール(B))
ポリオール(B)は、ヒドロキシ基を複数有する化合物であればよい。
【0029】
ポリオール(B)は、カーボネート基を有する第一のポリオール(b1)と、3つ以上のヒドロキシ基を有し、カーボネート基を有しない第二のポリオール(b2)と、を含有していてよい。第一のポリオール(b1)及び第二のポリオール(b2)の使用により、接着強度、耐熱性、耐候性及び耐久性の観点で、接着剤(特に構造用接着剤)としてより好適な組成物となる傾向がある。
【0030】
第一のポリオール(b1)及び第二のポリオール(b2)の合計含有量は、ポリオール(B)の全量基準で、例えば80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上又は95質量%以上であってよく、100質量%であってもよい。
【0031】
第一のポリオール(b1)の含有量は、ポリオール(B)の全量基準で、例えば40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上又は70質量%以上であってもよい。また、第一のポリオール(b1)の含有量は、ポリオール(B)の全量基準で、例えば90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下又は50質量%以下であってもよい。
【0032】
第二のポリオール(b2)の含有量は、ポリオール(B)の全量基準で、例えば10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上又は40質量%以上であってもよい。また、第二のポリオール(b2)の含有量は、ポリオール(B)の全量基準で、例えば60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下又は30質量%以下であってもよい。
【0033】
<第一のポリオール(b1)>
第一のポリオール(b1)は、カーボネート基(-O-C(=O)-O-)を有し、且つ、ヒドロキシ基を複数有する化合物である。ポリオール(B)は、第一のポリオール(b1)を1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0034】
第一のポリオール(b1)は、カーボネート基を1つ有する化合物であってよく、カーボネート基を複数有する化合物であってもよい。
【0035】
第一のポリオール(b1)が有するヒドロキシ基の数は、例えば2~8、2~4又は2~3であってよい。
【0036】
第一のポリオール(b1)は、23℃で液状であることが好ましい。
【0037】
第一のポリオール(b1)としては、例えば、ポリオール類の1種以上とカーボネート類の1種以上との反応(例えば、脱アルコール反応又は脱フェノール反応)により得られる化合物が挙げられる。ポリオール類としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド(例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド)付加物、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール等が挙げられる。カーボネート類としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート類、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジアントリルカーボネート、ジフェナントリルカーボネート、ジインダニルカーボネート等が挙げられる。
【0038】
<第二のポリオール(b2)>
第二のポリオール(b2)は、3つ以上のヒドロキシ基を有し、カーボネート基を有しない化合物である。ポリオール(B)は、第二のポリオール(b2)を1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0039】
第二のポリオール(b2)が有するヒドロキシ基の数は、例えば3~8、3~6又は3~4であってよい。なお、第二のポリオール(b2)が有するヒドロキシ基の数は、第二のポリオール(b2)の平均官能基数ということもできる。
【0040】
第二のポリオール(b2)としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、N,N-ビスヒドロキシプロピル-N-ヒドロキシエチルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミンプロピレンオキサイド変性体、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性体、ペンタエリスリトールプロピレンオキシド変性体等が挙げられる。また、第二のポリオール(b2)としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオールを開始剤として、ε-カプロラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン等の環状エステル類を開環付加させて得られる、ポリカプロラクトンポリオールも挙げられる。
【0041】
(架橋性基)
ウレタン樹脂形成性組成物中の架橋性基の含有量は、ポリイソシアネート(A)中の架橋性基の含有量と、ポリオール(B)中の架橋性基の含有量と、の総和である。
ポリイソシアネート(A)において、1分子中の2個のイソシアネート基は直鎖の形成に寄与し、1分子中の3個目以降のイソシアネート基は架橋に寄与する架橋性基と見做すことができる。すなわち、ポリイソシアネート(A)において、(1分子中のイソシアネート基の総数)-2を、架橋性基の数ということができる。1分子中のイソシアネート基の総数にばらつきがある場合、(平均イソシアネート基数)-2を、架橋性基の数と見做してもよい。
ポリオール(B)において、1分子中の2個のヒドロキシ基は直鎖の形成に寄与し、1分子中の3個目以降のヒドロキシ基は架橋に寄与する架橋性基と見做すことができる。すなわち、ポリオール(B)において、(1分子中のヒドロキシ基の総数)-2を、架橋性基の数ということができる。1分子中のヒドロキシ基の総数にばらつきがある場合、(平均ヒドロキシ基数)-2を、架橋性基の数と見做してもよい。
【0042】
架橋性基の含有量は、ポリイソシアネート(A)及びポリオール(B)の総量基準で、例えば0.1mmol/g以上であってよく、接着強度の観点からは0.3mmol/g以上、0.5mmol/g以上又は0.6mmol/g以上であってもよい。また、架橋性基の含有量は、ポリイソシアネート(A)及びポリオール(B)の総量基準で、例えば1.7mmol/g以下であってよく、樹脂物性の観点からは1.6mmol/g以下、1.5mmol/g以下又は1.4mmol/g以下であってもよい。
【0043】
(疎水性シリカ(C))
疎水性シリカ(C)は、M値が5%以上のシリカであればよい。
【0044】
本明細書中、M値は、疎水性の指標であり、水とメタノールの混合溶液に粉体が湿潤し始めるメタノールの容量%で表される値である。M値は、以下の方法で測定される。
<M値の測定>
水とメタノールとの混合溶液を調整し、これを容積10mlの試験管に5ml入れる。次いで粉体を0.1~0.2g入れ、振り混ぜた後、静置して、粉体の懸濁の有無を観察する。混合溶液のメタノール濃度を適宜変更し、粉体が懸濁する最小のメタノールの濃度を求め、これをM値とする。
【0045】
疎水性シリカ(C)のM値は、5%以上であり、油面接着性がより向上する観点からは、10%以上、より好ましくは20%以上、30%以上、35%以上、40%以上又は45%以上であってもよい。疎水性シリカ(C)のM値が高いと、油との親和性がより高くなり、上述の効果がより顕著に奏される。
【0046】
また、疎水性シリカ(C)のM値は、例えば90%以下であってよく、油面接着性がより向上する観点からは、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、67%以下または65%以下であってもよい。疎水性シリカ(C)のM値が低いことで、疎水性シリカ(C)の表面を樹脂(ポリイソシアネート(A)及びポリオール(B))が覆いにくくなり、油面鋼板との界面に疎水性シリカ(C)が露出しやすくなり、上述の組成物中への油の取り込みがより効率的に起こり、接着強度がより向上する。
【0047】
疎水性シリカ(C)の含有量は、ポリイソシアネート(A)及びポリオール(B)の合計含有量100質量に対して、例えば1質量部以上であってよく、上述の効果がより顕著に奏される観点から、2質量部以上、3質量部以上、5質量部以上又は7質量部以上であってもよい。また、疎水性シリカ(C)の含有量は、ポリイソシアネート(A)及びポリオール(B)の合計含有量100質量部に対して、例えば50質量部以下であってよく、ハンドリング(液性)の観点からは、40質量部以下、30質量部以下又は20質量部以下であってもよい。
【0048】
ウレタン樹脂形成性組成物は、上記以外の成分を更に含んでいてもよい。
【0049】
ウレタン樹脂形成性組成物は、例えば、疎水性シリカ(C)以外の無機フィラーを更に含んでいてもよい。無機フィラーとしては、例えば、タルク、ゼオライト等が挙げられる。ウレタン樹脂形成性組成物は、タルク及びゼオライトからなる群より選択される少なくとも一種の無機フィラーを含んでいてよく、タルク及びゼオライトの両方を含んでいてもよい。
【0050】
無機フィラー(疎水性シリカ(C)は除く)の含有量は、ポリイソシアネート(A)及びポリオール(B)の合計含有量100質量に対して、例えば1質量部以上であってよく、硬化物の強度がより向上しやすい観点からは、3質量部以上、5質量部以上又は10質量部以上であってもよい。また、無機フィラー(疎水性シリカ(C)は除く)の含有量は、ポリイソシアネート(A)及びポリオール(B)の合計含有量100質量に対して、例えば70質量部以下であってよく、ハンドリング(液性)の観点からは、60質量部以下、50質量部以下又は40質量部以下であってもよい。
【0051】
ウレタン樹脂形成性組成物は、例えば、ポリマー粒子等の有機フィラーを更に含んでいてもよい。ポリマー粒子としては、例えば、ポリウレタン粒子、ポリアミド粒子等があげられる。
【0052】
有機フィラーの含有量は、ポリイソシアネート(A)及びポリオール(B)の合計含有量100質量に対して、例えば70質量部以下であってよく、ハンドリング(液性)の観点からは、60質量部以下、40質量部以下又は30質量部以下であってもよい。有機フィラーの含有量は、ポリイソシアネート(A)及びポリオール(B)の合計含有量100質量に対して、例えば0質量部以上であってよく、硬化物の物性向上の観点からは、1質量部以上又は5質量部以上であってもよい。
【0053】
ウレタン樹脂形成性組成物は、例えば、溶剤を更に含んでいてもよい。溶剤の含有量は、ウレタン樹脂形成性組成物の全量基準で、1質量%以下が好ましい。これにより、粘度の著しい低下による液垂れが抑制される。
【0054】
ウレタン樹脂形成性組成物は、溶剤を実質的に含まないこと、すなわち、無溶剤型であることが好ましい。なお、溶剤を実質的に含まない(無溶剤型)とは、例えば溶剤の含有量が1質量%以下(好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下)であることを示す。すなわち、無溶剤型のウレタン樹脂形成性組成物は、例えば、精製による除去が困難な微量の溶剤等を含んでいてもよい。
【0055】
ウレタン樹脂形成性組成物は、ポリイソシアネート(A)とポリオール(B)との反応を促進する目的で触媒を更に含んでいてもよい。触媒としては、イソシアヌレート化触媒、ウレタン化触媒等が挙げられる。触媒は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
触媒の含有量は、ポリイソシアネート(A)及びポリオール(B)の合計含有量100質量に対して、例えば0.1質量部以下であってよく、反応性の制御が容易となる観点からは、0.08質量部以下、0.06質量部以下又は0.05質量部以下であってよい。また、触媒の含有量は、例えば、ポリイソシアネート(A)及びポリオール(B)の合計含有量100質量に対して、例えば0質量部以上であってよく、0.01質量部以上又は0.05質量部以上であってもよい。
【0057】
イソシアヌレート化触媒は、例えば、公知のイソシアヌレート化触媒であってよい。イソシアヌレート化触媒としては、例えばトリエチルアミン、N-エチルピペリジン、N,N’-ジメチルピペラジン、N-エチルモルフォリン、フェノール化合物のマンニッヒ塩基等の第三級アミン、酢酸カリウム等が挙げられる。
【0058】
ウレタン化触媒は、例えば、公知のウレタン化触媒であってよい。ウレタン化触媒としては、例えば、アミン系触媒、イミダソール系触媒、金属触媒系等を挙げることができる。
【0059】
アミン系触媒としては、例えばトリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル等を挙げることができる。
【0060】
イミダソール系触媒としては、例えば1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-ジメチルアミノプロピルイミダゾール等を挙げることができる。
【0061】
金属系触媒としては、例えばスタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート等の有機スズ触媒等を挙げることができる。
【0062】
ウレタン樹脂形成性組成物は、上記成分以外に、酸化防止剤、安定剤、反応抑制剤、消泡剤等を更に含んでいてもよい。
【0063】
ウレタン樹脂形成性組成物は、ポリイソシアネート(A)を含有する第一剤と、ポリオール(B)を含有する第二剤と、を含む、多液型組成物(例えば2液型組成物)であってよい。
【0064】
疎水性シリカ(C)は、第一剤に配合されていてもよく、第二剤に配合されていてもよく、第一剤と第二剤の両方に配合されていてもよい。第一剤と第二剤との粘度差が小さくなり、均一に混合しやすくなる観点からは、第一剤と第二剤との両方が疎水性シリカ(C)を含有することが好ましい。
【0065】
第一剤は、ポリイソシアネート(A)を含有し、疎水性シリカ(C)を更に含有していてもよい。第一剤は、無機フィラー、有機フィラー、溶剤、触媒、酸化防止剤、安定剤、反応抑制剤、消泡剤等を更に含有していてもよい。
【0066】
第二剤は、ポリオール(B)を含有し、疎水性シリカ(C)を更に含有していてもよい。第一剤は、無機フィラー、有機フィラー、溶剤、触媒、酸化防止剤、安定剤、反応抑制剤、消泡剤等を更に含有していてもよい。
【0067】
ウレタン樹脂形成性組成物は、第一剤と第二剤とを混合し、反応させて用いられる。混合した後は、室温(23℃)で硬化させてもよく、加熱硬化(例えば、80~180℃、1~60分程度)させてもよい。
【0068】
本実施形態のウレタン樹脂形成性組成物は、常温(23℃)、油面鋼板において優れた接着強度(例えば5MPa以上、好ましくは10MPa以上)を発現する。なお、接着強度は、JIS K6850:1999の接着剤の引張りせん断接着強さに準拠して測定される値を示す。
【0069】
本実施形態のウレタン樹脂形成性組成物は、様々な用途の接着剤(特に、2液型接着剤)として好適に用いることができる。適用分野としては、例えば、自動車分野、ディスプレイ分野、記録媒体分野、電子材料分野、電池分野、光部品分野、建築分野、電子機器分野、航空分野等が挙げられる。
【0070】
自動車分野としては、例えば、自動車の構造部分、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンクに用いることができる。ディスプレイ分野としては、例えば、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、発光ダイオード表示装置に用いることができる。記録媒体分野としては、例えば、ビデオディスク、CD、DVD、MD、ピックアップレンズ、VCMマグネット、スピンドルモーター、ハードディスク周辺部材、ブルーレイディスクに用いることができる。
【0071】
電子材料分野としては、例えば、電子部品、電気回路、電気接点あるいは半導体素子に用いることができ、これらの用途としては、さらに詳しくは、封止材料、ダイボンド剤、導電性接着剤、異方性導電性接着剤、ビルドアップ基板を含む多層基板の層間接着剤等が挙げられる。電池分野としては、例えば、リチウムイオン電池、マンガン電池、アルカリ電池、ニッケル系電池、燃料電池、シリコン系太陽電池、色素増感型太陽電池、有機太陽電池に用いることができる。光部品分野としては、例えば、光通信システムでの光スイッチ周辺、光コネクタ周辺の光ファイバー材料、光受動部品、光回路部品、光電子集積回路周辺に用いることができる。電子機器分野としては、例えば、カメラモジュールに用いることができる。
【0072】
本実施形態のウレタン樹脂形成性組成物は、油面接着性に優れるため、構造用接着剤(特に自動車構造用接着剤)として好適に用いることができる。
【0073】
本実施形態のウレタン樹脂形成性組成物は、油面接着性に優れるため、油面鋼板用接着剤として好適に用いることができる。なお、油面鋼板用とは、接着剤による接着対象の少なくとも一つが油面鋼板であることを意味する。すなわち、油面鋼板用接着剤は、例えば、油面鋼板同士の接着、油面鋼板とアルミ合金板との接着、油面鋼板と樹脂材料との接着等の用途に使用される接着剤であってよい。
【0074】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【実施例0075】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0076】
(合成例1:ポリイソシアネート(A1)の合成)
窒素を満たした2Lの撹拌容器内に、ミリオネートNM(東ソー社製、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート混合物、NCO含量=33.5%、官能基数(f)=2)を1000g投入し、液温を60℃とした後、触媒として、2-ジメチルアミノメチルフェノールを0.05g投入し、ヌレート化反応を進行させ、適当なタイミングで停止剤(塩化ベンゾイル)を0.1g投入し触媒を失活させて、ポリイソシアネート(A1)を得た。得られたポリイソシアネート(A1)のヌレート含量は45%、NCO含量は26%であった。
【0077】
(合成例2:ポリオール(B1)の準備)
窒素を満たした2Lの撹拌容器内に、Kuraray Polyol C-1090(クラレ社製、ポリカーボネートポリオール、水酸基価=112KOHmg/g、官能基数(f)=2)を724g、レオコンMA-170(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、N,N-ビスヒドロキシプロピル-N-ヒドロキシエチルアミン、水酸基価=950KOHmg/g、f=3)を276g投入し、撹拌した。その後、撹拌容器内の温度を40~70℃に保ちながら、1~3時間程度混合したものを、ポリオール(B1)とした。
【0078】
(疎水性シリカ)
疎水性シリカとして、以下のものを準備した。
・SS-72F(東ソー・シリカ社製、M値=0%、平均粒径2.6μm)
・SBY-61(東ソー・シリカ社製)、M値=35%、平均粒径5.0μm)
・SS-55YC(東ソー・シリカ社製)、M値=50%、平均粒径2.7μm)
・SS-50F(東ソー・シリカ社製)、M値=60(%)、平均粒径1.3μm)
・SS-50B(東ソー・シリカ社製)、M値=65(%)、平均粒径2.0μm)
・SS-10(東ソー・シリカ社製)、M値=70(%))
【0079】
(無機フィラー)
無機フィラーとして、以下のものを準備した。
・AY-200(シリカ、東ソー・シリカ社製、平均粒径2.2μm)
・K-500(シリカ、東ソー・シリカ社製、平均粒径2.1μm)
・ゼオラムA-3(ゼオライト、東ソー社製)
・クラウンタルクR(タルク、松村産業社製)
【0080】
(実施例1)
(i)第一剤の調製
合成例1で得られたポリイソシアネート(A1)100gに、10gのSBY-61と、8.4gのゼオラムA-3と、8.4gのクラウンタルクRとを添加し、公転自転撹拌機(商品名:カクハンター、写真化学社製)を使用して混合して、第一剤を得た。
(ii)第二剤の調製
合成例2で得られたポリオール(B1)100gに、10gのSBY-61と、8.4gのゼオラムA-3と、8.4gのクラウンタルクRとを添加し、公転自転撹拌機(商品名:カクハンター、写真化学社製)を使用して混合して、第二剤を得た。
(iii)試験片の作製
2枚の鋼鈑(縦100mm×横25mm×厚さ2.5mm、SPCC-SD、油面鋼鈑)の表面に第一剤及び第二剤を混合した接着剤を塗布し、鋼板の重なり領域が縦12.5mm×横25mmとなるように接着し、これを23℃の条件下、16時間放置後、180℃にて20分更に硬化させることにより、試験片を作製した。接着の際、ガラスビーズを用いて、接着層の厚みを0.25mmに調整した。
【0081】
得られた試験片について、以下の方法で接着強度を測定した。
<接着強度の測定>
上記で得られた試験片について、引張試験機(商品名:オートコム万能試験機AC-10kN-C、株式会社ティー・エス・イー製)により、接着部の引張せん断強度を測定した。この測定は、JIS K6850:1999の接着剤の引張りせん断接着強さに準拠して行った。測定条件は、温度23℃、チャック間距離111.5mmとし、テストスピードは10mm/分とした。結果を表1に示す。
【0082】
(実施例2)
SBY-61に代えてSS-55YCを用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験片の作製及び接着強度の測定を行った。結果を表1に示す。
【0083】
(実施例3)
SBY-61に代えてSS-50Fを用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験片の作製及び接着強度の測定を行った。結果を表1に示す。
【0084】
(実施例4)
SBY-61に代えてSS-50Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験片の作製及び接着強度の測定を行った。結果を表1に示す。
【0085】
(実施例5)
SBY-61に代えてSS-10を用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験片の作製及び接着強度の測定を行った。結果を表1に示す。
【0086】
(比較例1)
SBY-61に代えてSS-72Fを用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験片の作製及び接着強度の測定を行った。結果を表2に示す。
【0087】
(比較例2)
SBY-61に代えてシリカ(AY-200)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験片の作製及び接着強度の測定を行った。結果を表2に示す。
【0088】
(比較例3)
SBY-61に代えてシリカ(K-500)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験片の作製及び接着強度の測定を行った。結果を表2に示す。
【0089】
(比較例4)
SBY-61を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして試験片の作製及び接着強度の測定を行った。結果を表2に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
表1に示すとおり、実施例1~5により、M値が5%以上の疎水性シリカを含むウレタン樹脂形成性組成物により、良好な油面接着性が得られることが確認された。また、比較例1の組成物は、疎水性シリカを含むものの、疎水性シリカのM値が5%未満であり、十分な油面接着性が得られなかった。また、比較例2~3の組成物は、シリカを含むものの、疎水性シリカを含まず、十分な油面接着性が得られなかった。また、比較例4の組成物は、疎水性シリカを含まず、十分な油面接着性が得られなかった。