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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115836
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20240820BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20240820BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20240820BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240820BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B23Q11/00 Z
B23Q11/00 P
B23Q17/00 A
B24B55/06
H01L21/78 F
H01L21/304 601
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021703
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横井 一広
(72)【発明者】
【氏名】對馬 隆幸
【テーマコード(参考)】
3C011
3C029
3C047
5F057
5F063
【Fターム(参考)】
3C011BB02
3C011BB06
3C011BB15
3C029EE01
3C047FF06
3C047FF11
3C047HH12
5F057AA19
5F057AA48
5F057BA11
5F057BB03
5F057BB06
5F057BB11
5F057BB12
5F057DA01
5F057DA11
5F057DA14
5F057EC01
5F057FA01
5F057FA48
5F057GA01
5F057GB02
5F057GB11
5F057GB40
5F063AA43
5F063BA17
5F063BA33
5F063BA43
5F063BA47
5F063BA48
5F063DD02
5F063DD58
5F063DE01
5F063DE11
5F063DE16
5F063DE23
5F063DE33
5F063DE35
5F063EE21
5F063FF33
5F063FF42
5F063FF43
5F063FF51
5F063FF54
5F063FF57
(57)【要約】
【課題】省電力化を図ることができる加工装置を提供すること。
【解決手段】加工装置1は、被加工物200を保持するチャックテーブル10と、チャックテーブル10に保持された被加工物200を切削加工する切削ユニット20と、切削ユニット20が配設される加工領域4に発生するミストを外部に排出する排気口8と、排気口8に接続され、加工装置1に配設された排気ファン70と、各構成要素を制御する制御ユニット100と、加工装置1の加工状況を検知する検知ユニット110とを備え、制御ユニット100は、排気ファン70の回転を制御するとともに、加工装置1の加工状況を検知ユニット110が検知し、加工装置1が加工していないときに、制御ユニット100が排気ファン70の回転数を減らすか休止して、加工装置1を省エネ状態にする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を加工する加工装置であって、
該加工装置は、
被加工物を保持するチャックテーブルと、
該チャックテーブルに保持された被加工物を加工する加工ユニットと、
該加工ユニットが配設される加工領域に発生するミストを外部に排出する排気口と、
該排気口に接続され、該加工装置に配設された排気ファンと、
各構成要素を制御する制御ユニットと、
該加工装置の加工状況を検知する検知ユニットと、
を備え、
該制御ユニットは、該排気ファンの回転を制御するとともに、
該加工装置の加工状況を該検知ユニットが検知し、
該加工装置が加工していないときに、
該制御ユニットが該排気ファンの回転数を減らすか休止して、該加工装置を省エネ状態にすることを特徴とする加工装置。
【請求項2】
該加工装置の加工後の数分後の所定時間後に該制御ユニットが該排気ファンの回転数を減らすか休止して、該加工装置を省エネ状態にすることを特徴とする請求項1記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
研磨や切削等の加工を行う加工装置の場合、加工室内には加工屑がミスト化された加工中に供給される加工用冷却水と混じって内部に飛散する。そのため、飛散したミストや加工屑を加工室の壁に形成された排気口から加工装置に接続される設備側のダクトへ吸引し、加工装置の外部に排出している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献等に示された現在の排気ファンは、電源から供給された電力により定格回転数で回転し、一定風量で排気している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-094616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示された加工装置の排気ファンは、ミストが飛散していない状況であっても、定格回転数で回転し、一定風量で排気しているために、電源から供給された電力を無駄に消費することが考えられる。このために、特許文献1に示された加工装置は、省電力化が求められている。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、省電力化を図ることができる加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の加工装置は、被加工物を加工する加工装置であって、該加工装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を加工する加工ユニットと、該加工ユニットが配設される加工領域に発生するミストを外部に排出する排気口と、該排気口に接続され、該加工装置に配設された排気ファンと、各構成要素を制御する制御ユニットと、該加工装置の加工状況を検知する検知ユニットと、を備え、該制御ユニットは、該排気ファンの回転を制御するとともに、該加工装置の加工状況を該検知ユニットが検知し、該加工装置が加工していないときに、該制御ユニットが該排気ファンの回転数を減らすか休止して、該加工装置を省エネ状態にすることを特徴とする。
【0008】
前記加工装置において、該加工装置の加工後の数分後の所定時間後に該制御ユニットが該排気ファンの回転数を減らすか休止して、該加工装置を省エネ状態にしても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、省電力化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示された加工装置の要部を断面で示す側面図である。
図3図3は、図2に示された加工装置の排気ファンの羽根車を示す斜視図である。
図4図4は、図1に示された加工装置の制御ユニットが排気ファンに出力する制御信号を示す図である。
図5図5は、図1に示された加工装置の加工動作中の排気ファンの制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る加工装置を図面に基いて説明する。図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。図2は、図1に示された加工装置の要部を断面で示す側面図である。図3は、図2に示された加工装置の排気ファンの羽根車を示す斜視図である。図4は、図1に示された加工装置の制御ユニットが排気ファンに出力する制御信号を示す図である。図5は、図1に示された加工装置の加工動作中の排気ファンの制御の流れを示すフローチャートである。
【0013】
(加工装置)
実施形態1に係る加工装置1は、設備である工場設備300に設置される。工場設備300は、図1に例示する加工装置1を複数設置する。工場設備300は、加工装置1に接続される吸引源301と、加工装置1と吸引源301とを接続する排気ダクト302と、を備える。吸引源301は、排気ダクト302に接続し、排気ダクト302内の雰囲気を加工装置1外に排気する。吸引源301は、例えば、真空ポンプなどにより構成される。排気ダクト302は、筒状に形成されている。
【0014】
実施形態1において、図1に示された加工装置1は、被加工物200を切削(加工に相当)する切削装置である。実施形態1では、被加工物200は、シリコン、サファイア、ガリウムなどを母材とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハである。被加工物200は、表面201に格子状に形成された複数の分割予定ラインによって格子状に区画された領域にデバイスが形成されている。
【0015】
また、本発明の被加工物200は、中央部が薄化され、外周部に厚肉部が形成された所謂TAIKO(登録商標)ウェーハでもよく、ウェーハの他に、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックスされた基板、フェライト基板、又はニッケル及び鉄の少なくとも一方を含む基板、ガラス基板等でも良い。実施形態1において、被加工物200は、裏面202が外周縁に環状フレーム203が装着された粘着テープ204に貼着されて、環状フレーム203に支持されている。
【0016】
図1に示された加工装置1は、被加工物200をチャックテーブル10で保持し分割予定ラインに沿って切削ブレード21で切削する切削装置である。加工装置1は、図1に示すように、被加工物200を保持面11で吸引保持するチャックテーブル10と、チャックテーブル10に保持された被加工物200を切削ブレード21で切削する切削ユニット20と、チャックテーブル10に保持された被加工物200を撮影する撮像ユニット30と、制御ユニット100とを備える。
【0017】
また、加工装置1は、図1に示すように、チャックテーブル10と切削ユニット20とを相対的に移動させる移動ユニットを備える。移動ユニットは、チャックテーブル10を水平方向及び装置本体2の短手方向と平行なX軸方向に加工送りするX軸移動ユニットと、切削ユニット20を水平方向及び装置本体2の長手方向と平行でかつX軸方向に直交するY軸方向に割り出し送りするY軸移動ユニットと、切削ユニット20をX軸方向とY軸方向との双方と直交する鉛直方向に平行なZ軸方向に切り込み送りするZ軸移動ユニットと、チャックテーブル10をZ軸方向と平行な軸心回りに回転するとともにX軸移動ユニットによりチャックテーブル10とともにX軸方向に加工送りされる回転移動ユニットとを備える。
【0018】
X軸移動ユニットは、チャックテーブル10を加工送り方向であるX軸方向に移動させることで、チャックテーブル10と切削ユニット20とを相対的にX軸方向に沿って加工送りするものである。X軸移動ユニットは、チャックテーブル10を被加工物200が搬入出される搬入出領域3と、チャックテーブル10に保持された被加工物200が切削ユニット20により切削加工される加工領域4とに亘ってX軸方向に移動させる。
【0019】
Y軸移動ユニットは、切削ユニット20を割り出し送り方向であるY軸方向に移動させることで、チャックテーブル10と切削ユニット20とを相対的にY軸方向に沿って割り出し送りするものである。Z軸移動ユニットは、切削ユニット20を切り込み送り方向であるZ軸方向に移動させることで、チャックテーブル10と切削ユニット20とを相対的にZ軸方向に沿って切り込み送りするものである。
【0020】
X軸移動ユニット、Y軸移動ユニット及びZ軸移動ユニットは、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及びチャックテーブル10又は切削ユニット20をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0021】
チャックテーブル10は、円盤形状であり、被加工物200を保持する保持面11がポーラスセラミック等から形成されている。また、チャックテーブル10は、X軸移動ユニットにより搬入出領域3と加工領域4とに亘ってX軸方向に移動自在に設けられ、かつ回転移動ユニットによりZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられている。チャックテーブル10は、図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源により吸引されることで、保持面11に載置された被加工物200を吸引、保持する。実施形態1では、チャックテーブル10は、粘着テープ204を介して被加工物200の裏面202側を吸引、保持する。
【0022】
切削ユニット20は、加工領域4に配設され、チャックテーブル10に保持された被加工物200を切削(加工に相当)する切削ブレード21を着脱自在に装着した加工ユニットである。切削ユニット20は、チャックテーブル10に保持された被加工物200に対して、Y軸移動ユニットによりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、Z軸移動ユニットによりZ軸方向に移動自在に設けられている。切削ユニット20は、Y軸移動ユニット及びZ軸移動ユニットにより、チャックテーブル10の保持面11の任意の位置に切削ブレード21を位置付け可能となっている。
【0023】
切削ユニット20は、Y軸移動ユニット及びZ軸移動ユニットによりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられたスピンドルハウジング22と、スピンドルハウジング22に軸心回りに回転可能に設けられかつ図示しないモータにより回転されるとともに先端に切削ブレード21が装着されるスピンドル23と、切削ブレード21に切削水を供給する図示しない切削水供給ノズルとを備える。
【0024】
切削ブレード21は、略リング形状を有する極薄の切削砥石である。実施形態1において、切削ブレード21は、円環状の円形基台と、円形基台の外周縁に配設されて被加工物200を切削する円環状の切り刃とを備える所謂ハブブレードである。切り刃は、ダイヤモンドやCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒と、金属や樹脂等のボンド材(結合材)とからなり所定厚みに形成されている。なお、本発明では、切削ブレード21は、切り刃のみで構成された所謂ワッシャーブレードでもよい。
【0025】
スピンドル23は、モータにより軸心回りに回転することで、切削ブレード21を回転させる。切削ブレード21は、スピンドル23により軸心回りに回転されるため、被加工物200を切削する切り刃の下端から被加工物200を切削して生じる切削屑とともに切削水を飛散する。なお、スピンドル23の回転数が、例えば30000rpm以上でかつ100000rpm以下の高速であるために、切削ブレード21の切り刃の下端より飛散される切削水は、ミストになった状態で飛散される。
【0026】
撮像ユニット30は、チャックテーブル10の保持面11で保持された被加工物200を撮像するものである。撮像ユニット30は、チャックテーブル10に保持された切削前の被加工物200の分割すべき領域を撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像ユニット30は、チャックテーブル10に保持された被加工物200を撮像して、被加工物200の分割予定ラインと切削ブレード21との位置合わせを行なうアライメントを遂行するため等の画像を得、得た画像を制御ユニット100に出力する。
【0027】
制御ユニット100は、加工装置1の各構成要素をそれぞれ制御して、被加工物200に対する加工動作を加工装置1に実施させるものである。なお、制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理装置が演算処理を実施して、加工装置1を制御するための制御信号を入出力インターフェース装置を介して加工装置1の上述した構成要素に出力する。
【0028】
また、制御ユニット100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニットと、オペレータが加工条件などを登録する際に用いる入力ユニットとに接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等の外部入力装置とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0029】
また、加工装置1は、チャックテーブル10のX軸方向の位置を検出するため図示しないX軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出するためのZ軸方向位置検出ユニットとを備える。X軸方向位置検出ユニット及びY軸方向位置検出ユニットは、X軸方向、又はY軸方向と平行なリニアスケールと、読み取りヘッドとにより構成することができる。Z軸方向位置検出ユニットは、モータのパルスで切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出する。X軸方向位置検出ユニット、Y軸方向位置検出ユニット及びZ軸方向位置検出ユニットは、チャックテーブル10のX軸方向、切削ユニット20のY軸方向又はZ軸方向の位置を制御ユニット100に出力する。なお、実施形態1では、各位置は、予め定められた基準位置からのX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の距離で定められる。
【0030】
また、加工装置1は、図1に示すように、切削前後の被加工物200を収容するカセット41が載置されかつカセット41をZ軸方向に移動させるカセットエレベータ40と、切削後の被加工物200を洗浄する洗浄ユニット50と、カセット41に被加工物200を出し入れするとともに被加工物200を搬送する搬送ユニット60とを備える。
【0031】
また、加工装置1は、装置本体2の上方を囲む複数の外装側壁5と、複数の外装側壁5の上端に連なって複数の外装側壁5の上側の開口を塞ぐ天井壁6とを備える。外装側壁5は、チャックテーブル10、切削ユニット20、撮像ユニット30、移動ユニット、カセットエレベータ40、洗浄ユニット50及び搬送ユニット60を囲い加工装置1自体の側壁となる壁である。天井壁6は、複数の外装側壁5の上側の開口を塞いで加工装置1自体の天井となる壁である。
【0032】
また、加工装置1は、図2に示すように、複数の外装側壁5内に設けられかつ加工領域4の外側を外装側壁5及び天井壁6とともに囲って切削水のミストの拡散を抑制する加工室壁7と、切削ユニット20が配設される加工領域4に発生するミストを外部に排出する排気口8と、該排気口8と排気ダクト302とに接続する接続ダクト9と、加工装置1に配設された排気ファン70と、を備える。
【0033】
排気口8は、加工室壁7に開口している。接続ダクト9は、筒状に形成され、一端が排気口8に接続し、他端が排気ダクト302の一端に接続している。排気ファン70は、排気ダクト302を介して排気口8に接続され、加工装置1に配設されている。排気ファン70は、接続ダクト9内に配設された羽根車71(図3に示す)と、排気ファン70の羽根車71を回転するモーター72と、該排気ファン70の羽根車71の回転数を検知するセンサ73と、を有している。
【0034】
排気ファン70は、羽根車71が該排気口8と排気ダクト302とに接続する接続ダクト9内に配設されて、該排気口8と排気ダクト302とに接続されている。羽根車71は、軸心回りに回転自在に設けられている。モーター72は、羽根車71を軸心回りに回転する。実施形態1では、排気ファン70は、モーター72が直流電力を供給されて羽根車71を回転する、所謂DC(Direct Current)ファンである。
【0035】
センサ73は、羽根車71の回転数を検知して、検知結果を制御ユニット100に出力する。センサ73は、磁石の磁場の変化で回転数を検知するホールセンサ、又は、回転によりモーター72側に発生する電圧を検知するパルスセンサを用いることができる。
【0036】
排気ファン70は、モーター72が軸心回りに羽根車71を回転することで、排気口8を通して加工領域4内の雰囲気即ちミストを接続ダクト9及び排気ダクト302を介して排気する。
【0037】
実施形態1にかかる加工装置1は、制御ユニット100が図4に示す制御信号400を排気ファン70に出力して、排気ファン70の羽根車71の回転数を制御する。即ち、制御ユニット100は、排気ファン70の回転を制御する。具体的には、制御ユニット100は、CPU(Central Processing Unit)基板からFPGA(field-programmable gate array)を介して、図4に示す制御信号400を排気ファン70に出力する。実施形態1では、制御ユニット100が出力する制御信号400は、例えば、周波数が25kHz(即ち、波長T(図4に示す)が40μs)の複数のパルス信号401からなるPWM(Pulse Width Modulation)信号である。
【0038】
制御ユニット100は、制御信号400の波長Tに対するパルス信号401の継続時間T1の比(以下、デューティ比という)を増減することで、排気ファン70のファンの回転数を制御する。即ち、制御ユニット100は、所謂PWM制御により、排気ファン70の羽根車71の回転数を制御する。なお、デューティ比は、T1/Tである。また、実施形態1では、制御信号400のパルス信号401の電圧値は、5Vであり、パルス信号401以外の電圧値は、0Vである。図4の縦軸は、電圧値を示し、横軸は、時間を示す。
【0039】
また、実施形態1に係る加工装置1は、加工装置1の加工状況を検知する検知ユニット110を備える。検知ユニット110は、加工装置1が被加工物200を切削加工中であるか否かを検知するものであり、検知結果を制御ユニット100に出力する。なお、切削加工中とは、切削水供給ノズルから回転中の切削ブレード21に切削水を供給して切削水のミストを発生させている間である。
【0040】
なお、実施形態1では、検知ユニット110は、スピンドル23の回転数を検知するセンサである。しかしながら、本発明では、検知ユニット110は、スピンドル23の回転数を検知するセンサに限定されずに、例えば、登録された加工条件に基づいてカセット41内の被加工物200の切削加工が終了したことを検知するセンサでも良い。
【0041】
実施形態1に係る加工装置1は、オペレータが加工条件を制御ユニット100に登録し、被加工物200を収容したカセット51をカセットエレベータ40に載置し、オペレータからの加工動作の開始指示を制御ユニット100が受け付けると、加工動作を開始する。加工動作を開始すると、加工装置1は、制御ユニット100が、切削水供給ノズルから切削ブレード21に供給しながらスピンドル23により切削ブレード21を回転するとともに、排気ファン70の羽根車71を高回転数モードで回転する。
【0042】
すると、加工領域4内に切削水等からなるミストが発生する。実施形態1では、高回転数モードとは、例えば、前述したデューティ比=100%で排気ファン70の羽根車71を回転するモードであるが、高回転数モードのデューティ比は、100%に限定されない。また、加工装置1は、搬送ユニット60がカセット51内から被加工物200を一枚取り出して、チャックテーブル10の保持面11に粘着テープ204を介して裏面202側を載置する。
【0043】
加工装置1は、粘着テープ204を介して被加工物200を保持面11に吸引保持し、移動ユニットによりチャックテーブル10を撮像ユニット30の下方まで移動し、撮像ユニット30によりチャックテーブル10に吸引保持した被加工物200を撮像して、アライメントを遂行する。
【0044】
加工装置1は、加工条件に基づいて、移動ユニットにより、切削ブレード21と被加工物200とを分割予定ラインに沿って相対的に移動させながら切削水供給ノズルから切削水を供給しながら、被加工物200の分割予定ラインに切削ブレード21を粘着テープ204に到達するまで切り込ませて切削する。加工装置1は、被加工物200の全ての分割予定ラインを切削すると、搬送ユニット60により被加工物200を洗浄ユニット50に搬送し、洗浄ユニット50で洗浄した後、搬送ユニット60によりカセット51内に搬入する。加工装置1は、カセット41内の被加工物200を全て切削すると、少なくとも切削水供給ノズルから切削ブレード21への切削水の供給を停止して、加工動作を終了する。
【0045】
また、加工装置1は、加工動作中、図5に示されたフローチャートを繰り返し実施する。図5に示されたフローチャートでは、加工装置1は、検知ユニット110が加工装置1の加工状況を検知し、制御ユニット100が検知ユニット110の検知結果により被加工物200の切削加工中か否かを判定する(ステップ1001)。加工装置1は、制御ユニット100が被加工物200の切削加工中であると判定する(ステップ1001:Yes)と、ステップ1002において排気ファン70の羽根車71の回転数を高回転数モードの回転数とする、又は高回転数モードの回転数に維持して(即ち、実施形態1では、デューティ比=100%として)、ステップ1001に戻る。
【0046】
また、加工装置1は、制御ユニット100が被加工物200の切削加工中ではないと判定する(ステップ1001:No)と、ステップ1003において排気ファン70の羽根車71の回転数を高回転数モードの回転数よりも低い低回転数モードの回転数まで低下させて、ステップ1001に戻る。実施形態1では、低回転数モードとは、例えば。前述したデューティ比=20%以上でかつ30%以下で排気ファン70の羽根車71を回転して、高回転数モードよりも消費電力を低下させるモードであるが、低回転数モードのデューティ比は、20%以上でかつ30%以下に限定されない。こうして、実施形態1では、加工装置1が切削加工していないときに、制御ユニット100が排気ファン70の回転数を減らして、加工装置1を省エネ状態にする。
【0047】
以上説明したように、実施形態1に係る加工装置1は、排気口8に接続され制御ユニット100により回転数が制御される排気ファン70を備え、検知ユニット110が加工装置1が切削加工中ではないことを検知すると、排気ファン70の回転数を減らして、加工装置1を省エネ状態にする。
【0048】
その結果、実施形態1に係る加工装置1は、省電力化を図ることができるという効果を奏する。
【0049】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。実施形態1では、加工装置1は、被加工物200を切削する切削装置であるが、本発明では、切削装置に限定されることなく、被加工物200を研削(加工に相当)する研削装置、研磨(加工に相当)する研磨装置等の種々の加工装置でも良い。
【0050】
また、本発明では、加工装置1は、加工装置1が切削加工していないときに、制御ユニット100が排気ファン70の回転を休止して、加工装置1を省エネ状態にしても良い。また、本発明では、加工装置1は、加工装置1を省エネ状態にする際に、加工装置1の切削加工後の所定時間後(即ち、検知ユニット110の加工装置1が切削加工中ではないと検知してから所定時間後)、制御ユニット100が排気ファン70の回転数を減らすか休止して、加工装置1を省エネ状態にしても良い。この場合、加工装置1は、工場設備300に設置される吸引源301が全く無回転だと他の加工装置1からの排気が回り込んでくる可能性を抑制することができる。また、この場合、加工装置1は、入力ユニット等から前述した所定時間を任意に設定できることが望ましい。
【0051】
また、本発明では、検知ユニット110は、加工領域4内のミストが舞うエリア内に設置され、ミストの量を検知するセンサでも良い。この場合、加工装置1は、制御ユニット100が、検知ユニット110が検知したミストの量に応じて排気ファン70の羽根車71の回転数を変化させる機能も有するのが望ましい。なお、ミストの量を検知する検知ユニット110として、LED(Light-Emitting Diode)からの光やレーザー光を投光、受光するセンサを用い、ミストが通過する際の光の増減を検出するものを用いることができる。この場合、制御ユニット100は、センサが受光した光量が所定の閾値を下回った場合には、排気ファン70の羽根車71の回転数を増加させ、閾値以上の場合は回転数を下げるのが望ましい。
【0052】
また、本発明では、検知ユニット110として、湿度センサーや温度センサーを追加してもよい。この場合、制御ユニット100が、検知した湿度、或いは温度が所定の閾値を下回ったら排気ファン70の羽根車71の回転数を下げ、閾値以上の場合、排気ファン70の羽根車71の回転数を上げるのが望ましい。
【符号の説明】
【0053】
1 加工装置
4 加工領域
8 排気口
10 チャックテーブル
20 切削ユニット(加工ユニット)
70 排気ファン
100 制御ユニット
110 検知ユニット
200 被加工物
図1
図2
図3
図4
図5