(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115892
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】自律飛行装置、自律飛行システム、自律飛行方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/04 20060101AFI20240820BHJP
G01S 19/48 20100101ALI20240820BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20240820BHJP
B64U 20/87 20230101ALI20240820BHJP
B64C 13/18 20060101ALI20240820BHJP
G08G 5/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
G01C21/04
G01S19/48
B64U10/13
B64U20/87
B64C13/18 Z
G08G5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021785
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592095332
【氏名又は名称】NTTコム エンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124844
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 隆治
(72)【発明者】
【氏名】永井 彰
(72)【発明者】
【氏名】西村 佐和子
(72)【発明者】
【氏名】野副 忠佑
(72)【発明者】
【氏名】石田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】原 未來
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5J062
【Fターム(参考)】
2F129AA11
2F129BB02
2F129BB33
2F129BB50
2F129BB62
2F129CC15
2F129CC32
2F129EE77
2F129FF02
2F129FF15
2F129FF20
5H181AA26
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC01
5H181CC03
5H181CC14
5H181FF05
5H181FF07
5J062AA04
5J062BB03
5J062CC07
5J062FF01
5J062FF02
5J062FF04
(57)【要約】
【課題】本開示は、自律飛行装置が、より正確に目的地まで物資を配送することを目的とする。
【解決手段】本開示の自律飛行装置は、自装置の位置を特定することで自律飛行する自律飛行装置であって、地上の位置を示す位置情報が埋め込まれているコード情報を撮影可能な撮影部と、前記撮影部による撮影によって得られた前記位置情報に基づいて、前記地上における前記自装置の位置を特定する制御部と、前記特定された前記自装置の位置に基づいて、前記自律飛行装置の飛行動作を制御する飛行制御部と、を有する自律飛行装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置の位置を特定することで自律飛行する自律飛行装置であって、
地上の位置を示す位置情報が埋め込まれているコード情報を撮影可能な撮影部と、
前記撮影部による撮影によって得られた前記位置情報に基づいて、前記地上における前記自装置の位置を特定する制御部と、
前記特定された前記自装置の位置に基づいて、前記自律飛行装置の飛行動作を制御する飛行制御部と、
を有する自律飛行装置。
【請求項2】
前記自律飛行装置は、外部からの無線信号を受信して前記自装置の位置を特定することで自律飛行し、
前記飛行制御部は、前記無線信号の受信が行えなくなった場合、前記特定された前記自装置の位置に基づいて、前記自律飛行装置の飛行動作を制御する、
請求項1に記載の自律飛行装置。
【請求項3】
前記コード情報には、当該コード情報の認証に用いられる認証情報が埋め込まれており、
前記制御部は、前記撮影部による撮影によって得られた前記認証情報に基づいて、前記コード情報が正当であるかを判断し、
前記飛行制御部は、前記コード情報が正当である場合には、前記特定された前記自装置の位置に基づいて、前記自律飛行装置の飛行動作を制御する、
請求項1に記載の自律飛行装置。
【請求項4】
前記撮影部が所定の波長の光線を受光した場合には、前記飛行制御部は、前記光線の発光元に接近するように前記自律飛行装置の飛行動作を制御する、請求項1に記載の自律飛行装置。
【請求項5】
請求項1に記載の自律飛行装置であって、
所定の電波信号を受信する受信部を有し、
前記受信部が所定の電波信号を受信した場合には、前記飛行制御部は、前記所定の無線信号の発信元に接近するように前記自律飛行装置の飛行動作を制御する、
自律飛行装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の自律飛行装置と、
前記コード情報が設けられた位置特定装置と、
を有する自律飛行システム。
【請求項7】
自装置の位置を特定することで自律飛行する自律飛行装置が実行する自律飛行方法であって、
前記自律飛行装置は、
地上の位置を示す位置情報が埋め込まれているコード情報を撮影し、
前記撮影によって得た前記位置情報に基づいて、前記地上における前記自装置の位置を特定し、
前記特定した前記自装置の位置に基づいて、前記自律飛行装置の飛行動作を制御する、
自律飛行方法。
【請求項8】
コンピュータに、請求項7に記載の方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、ドローン等の自律飛行装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンを使った物資の配送の実用化が着実に進んできており、特にオーストラリアでは、飲料や食品、料理、日用品に対し、既に10万回以上の配送がドローンを用いて行われている(非特許文献1)。ドローンの自律航法及び遠隔操作には、天空上のGNSS衛星、携帯電話網、LPWA(Low Power Wide Area)網によるデータ通信が用いられている。
【0003】
また、日本においては、平野が多い外国と比較して地形が複雑であったり、高層ビル等の障害物が多かったりするため、きめ細かい飛行制御が必要となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】三浦龍, 他, "災害現場等でのドローンの活動範囲を広げるための無線通信技術", 日本ロボット学会誌 vol.38 No3 pp253-256,2020
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、高層ビル等の障害物によりGNSS信号が途絶えてしまう場所、又は携帯電話網の基地局の電波が届かない範囲(圏外)にドローンが入り込んだ場合、災害時の基地局若しくはLPWA機器の破損、又は停電による基地局の休止等が起きた場合には、適切に目的地に物資を届けることが困難である。また、LPWA網の全国的な整備には、時間とコストが掛かってしまう。更に、たとえGNSS信号等が届いていても、配送先の位置が少し異なるだけで、本来受け取るべき人以外の別の人の所に物資が届いてしまうことがあり、本来受け取るべき人と別の人との間でトラブルが起きてしまうという問題が生じる。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、自律飛行装置が、より正確に目的地まで物資を配送することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、自装置の位置を特定することで自律飛行する自律飛行装置であって、地上の位置を示す位置情報が埋め込まれているコード情報を撮影可能な撮影部と、前記撮影部による撮影によって得られた前記位置情報に基づいて、前記地上における前記自装置の位置を特定する制御部と、前記特定された前記自装置の位置に基づいて、前記自律飛行装置の飛行動作を制御する飛行制御部と、を有する自律飛行装置である。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、自律飛行装置が、より正確に目的地まで物資を配送することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る自律飛行システムが利用される環境を示した概念図である。
【
図3】自律飛行装置の処理又は動作を示すフローチャートである。
【
図4】自律飛行装置の処理又は動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0011】
〔自律飛行システムが利用される環境〕
図1を用いて、実施形態に係る自律飛行システム1が利用される環境を説明する。
図1は、実施形態に係る自律飛行システムが利用される環境を示した概念図である。
【0012】
図1に示されているように、自律飛行システム1は、自律飛行装置2及び位置特定装置5によって構築されている。なお、
図1では紙面の制約上、自律飛行装置2、物資3、電信柱4、位置特定装置5、2次元コード6、ソーラーパネル7、発光器8、GNSS衛星9、及びビル10が1つずつ示されているが、それぞれ複数であってもよい。
【0013】
自律飛行装置2は、無人で遠隔操作及び自動制御により飛行することができ、例えばドローン等が挙げられる。自律飛行装置2は、外部からの無線信号を受信して自装置の位置を特定することで自律飛行する。通常状態では、複数のGNSS(Global Navigation Satellite System)衛星9から発信されるGNSS信号(無線信号の一例)を受信して、GNSSの発信時刻と受信時刻との差からGNSS衛星9と自律飛行装置2の距離を計算することで、自装置の地球上の位置を特定する。または、自律飛行装置2は、携帯電話事業者が通話や電子メール等の通信を成立させる前提として取得している基地局に係る電波の信号(無線信号の一例)を、この基地局から取得することで、自装置の地球上の位置を特定する。なお、自律飛行装置2は、携帯電話機の基地局でなく、Wi-Fiの基地局(AP:Access Point)に係る無線信号を、この基地局から取得することで、自装置の地球上の位置を特定してもよい。
【0014】
図1では、自律飛行装置2が遠隔の目的地に物資3を搬送する状態が示されている。また、ビル10が障害物になり、GNSS衛星9からのGNSS信号が遮断された位置に自律飛行装置2が位置している。なお、携帯電話網、LPWA網、Wi-Fiによる電波信号の遮断も考えられるが、ここでは、一例としてGNSS信号が遮断された場合が示されている。
【0015】
更に、地上には電信柱4が設置されており、電信柱4の頂上部には位置特定装置5が設置されている。
【0016】
また、位置特定装置5の上面には、2次元コード6が取り付けられている。2次元コードには、位置特定装置5の地球上の絶対位置(緯度、経度、高度)を示す位置情報、及び認証情報が埋め込まれている。
【0017】
なお、2次元コードは、情報(ここでは、位置情報及び認証情報)が埋め込まれたコード情報の一例である。このコード情報には、一次元コード(バーコード)も含まれる。
【0018】
認証情報は、例えば、署名検証に必要な公開鍵である。自律飛行装置2が認証情報を読み取って認証することで、悪意のある者が、2次元コードを取り換えたり位置特定装置5を電信柱4から取り換えたりすることで、2次元コードを改ざんする場合や、2次元コードを偽造したりする場合等に対応することができる。
【0019】
また、位置特定装置5の上面には、ソーラーパネル7と、このソーラーパネル7による発電により動作する発光器8が設けられている。なお、位置特定装置5内には、ソーラーパネル7で発電された電気を蓄えるバッテリが設けられ、発光器8はバッテリからの給電により非可視光線Lを常に発信している。なお、発光器8は、バッテリを介さずにソーラーパネルから直接電力を受けてもよい。また、位置特定装置5は、この位置特定装置5が設置された電信柱等から電力を受けてもよい。
【0020】
自律飛行装置2は、非可視光線Lを受信することで、位置特定装置が設置されている位置を特定することができる。これに関しては、後ほど詳細に説明する。
【0021】
〔自律飛行装置の構成〕
続いて、
図2を用いて、自律飛行装置2の構成について説明する。
図2は、自律飛行装置の構成図である。
【0022】
図2に示すように、自律飛行装置2は、制御部20、GNSSアンテナ21、飛行制御部23、記憶部24、設定部25、無線アンテナ26、通信部27、及び複数のプロペラ31,32,33,34を備えている。なお、ここでは、4つのプロペラ31,32,33,34が示されているが、1つでも2つでも6つでも、それ以外でもよい。また、プロペラが1つの場合は、別途、主翼、水平尾翼及び垂直尾翼等が設けられ、水平尾翼及び垂直尾翼は飛行制御部23によって動作制御される。
【0023】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)等により構成され、自律飛行装置2全体の動作を制御する。
【0024】
これらのうち、GNSSアンテナ21は、航法衛星から発射されるGNSS信号を受信するアンテナである。GNSS信号は、UTC(Coordinated Universal Time: 協定世界時)に同期した時刻情報を含む。
【0025】
受信部22は、GNSS受信器を内蔵し、GNSSアンテナ21によって受信されたGNSS信号を受信し、UTCに同期した時刻情報を管理する。
【0026】
飛行制御部23は、複数のプロペラ31,32,33,34をそれぞれ独立制御する。飛行制御部23は、複数のプロペラ31,32,33,34のそれぞれの回転速度及び回転方向(右回転又は左回転)を変えることで、自律飛行装置2の進行方向を変えたり、自律飛行装置2を空中で止まらせたりすることができる。
【0027】
記憶部24は、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)によって構築されている。記憶部24には、地図データ、目的地を示すデータ等が記憶されている。なお、RAMは、制御部20に設けられていてもよい。また、記憶部24には、RAMで構成され、SSDは無くてもよい。制御部20のCPUは、RAMに記憶されたプログラムを用いて、各部(飛行制御部23等)への命令を出す。
【0028】
設定部25は、操作ボタンやディスプレイ等によって構成され、ユーザからの目的地の設定等を受け付けたり、設定内容を表示したりする。
【0029】
無線アンテナ26は、携帯電話網、LPWA網、又はWi-Fi等によるデータ通信を行うための無線アンテナである。
【0030】
通信部27は、携帯電話網、LPWA網、又はWi-Fi等によるデータ通信を行うための通信回路などである。通信部27は、遠隔のコントローラからの操作データを受信して、制御部20に操作データを出力し、制御部20が飛行制御部23に対して操作データに基づく操作内容を命令する。一方、通信部27は、自装置の位置を示す位置データ等を、遠隔のコントローラに送信する。
【0031】
更に、
図2に示すように、自律飛行装置2は、撮影部41、発信部42、受信部43、ジャイロセンサ44、及び加速度センサ45を備えている。
【0032】
これらのうち、撮影部41は、カメラ等により構成されており、地上から地面側の物体を撮影する。撮影部41は、可視光だけでなく、非可視光の撮影も可能である。
【0033】
発信部42は、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging)、TOF(Time Of Flight)等の発信器である。
【0034】
受信部43は、例えば、LiDAR、TOF等の受信器である。
【0035】
ジャイロセンサ44は、自律飛行装置2の角速度を検出するセンサである。
【0036】
加速度センサ45は、自律飛行装置2の加速度を計測するセンサである。
【0037】
なお、制御部20は、例えば、受信部22からのGNSS信号の品質が良好でない場合、良好になるまで、ジャイロセンサ44及び加速度センサ45からの検出データを用いて、自律飛行装置2の相対変位を計測することにより、自律飛行装置2の位置を推定する。
【0038】
〔自律飛行システムの処理又は動作〕
続いて、
図3及び
図4を用いて、自律飛行システムの処理又は動作を説明する。
図3及び
図4は、自律飛行装置の処理又は動作を示すフローチャートである。
【0039】
S11:制御部20は、受信部22がGNSS信号の受信ができないか否かを判断する。そして、GNSS信号の受信ができない場合には(S11,YES)、処理S13に進む。
【0040】
S12:GNSS信号の受信ができている場合(S11,NO)、制御部20は、地図データ、目的地データ、及び自装置の位置に基づいて、目的地に到着しているか否かを判断する。そして、目的地に到着している場合には(S12;YES)、
図3及び
図4の処理は終了する。一方、目的地に到着していない場合には(S12;NO)、処理S11に戻る。
【0041】
S13:制御部20は、ジャイロセンサ44及び加速度センサ45を利用して、地図データ上で最も近い電信柱4を検索し、飛行制御部23に最も近い電信柱4に移動するように制御信号を送る。これにより、飛行制御部23は、複数のプロペラ31,32,33,34をそれぞれ制御することで、自律飛行装置2は最も近い電信柱4に移動する。この場合、自律飛行装置2は、GNSS信号を受信できていないため、地球上の絶対位置を特定することはできないが、GNSS信号を受信していた時間までの位置と、ジャイロセンサ44及び加速度センサ45からの検出データに基づいて、最も近い電信柱4付近までの移動は可能である。
【0042】
S14:自律飛行装置2が電信柱4に接近した際に、撮影部41が電信柱4の頂上部に設置されている位置特定装置5の発光器8が常に発光している所定の波長の非可視光線Lを受光する。制御部20は、撮影部41で所定の波長の非可視光線Lを受光したと判断し、発光元である位置特定装置5の位置を特定する。
【0043】
S15:制御部20は、自律飛行装置2が位置特定装置5から所定距離(50cm等)以内で位置特定装置5の真上にするように、飛行制御部23に対して制御信号を送る。これにより、飛行制御部23は、複数のプロペラ31,32,33,34をそれぞれ制御することで、自律飛行装置2が位置特定装置5の真上の所定距離の位置に接近する。
【0044】
S16:自律飛行装置2が位置特定装置5に接近した際に、撮影部41が位置特定装置5上の2次元コードを撮影し、制御部20が2次元コードに埋め込まれている認証情報を認識する。
【0045】
S17:制御部20は、認証情報を用いて正当な2次元コードか否かを判断する。この場合、制御部20は、例えば、ECDSA(Elliptic Curve Digital Signature Algorithm)を用いる。楕円曲線暗号を用いることで、RSA(Rivest-Shamir-Adleman cryptosystem)による署名アルゴリズムと比較して署名コードのサイズを小さくすることができる。
【0046】
そして、正当な2次元コードでない場合には(S17;NO)、上述の処理S11に戻り、自律飛行装置2は再び移動を開始する。
【0047】
S18:一方、正当な2次元コードの場合には(S17;YES)、制御部20は、同じ2次元コードに埋め込まれている位置情報を読み出して、地上(地球上)の絶対位置を特定する。電信柱4は基本的に移動させずに同じ位置に設置されており、設置位置が管理されているため、地上(地球上)の絶対位置の特定が可能となる。
【0048】
S19:制御部20は、処理S18で特定した絶対位置を起点に、ジャイロセンサ44及び加速度センサ45を利用して、目的地に向かって自律飛行装置2が移動するように、飛行制御部23に制御信号を送る。これにより、飛行制御部23は、複数のプロペラ31,32,33,34をそれぞれ制御することで、自律飛行装置2は目的地に向かって再出発する。
【0049】
なお、電信柱4付近では、GNSS信号の受信状況又は携帯電話網等の電波状況は良好なことが多いため、電信柱4付近で、自律飛行装置2は目的地に向かって再出発し易い。但し、受信状況又は電波状況は良好とは限らないため、自律飛行装置2は、再出発後、所定時間(例えば5分)又は所定距離(例えば1km)の移動を行った場合でGNSS信号の受信ができない場合には(S11;YES)、制御部20は、ジャイロセンサ44及び加速度センサ45を利用して、地図データ上で最も近い次の電信柱4(前回とは異なる電信柱)を検索し、飛行制御部23に最も近い次の電信柱4に移動するように制御信号を送る。これにより、飛行制御部23は、複数のプロペラ31,32,33,34をそれぞれ制御することで、自律飛行装置2は最も近い次の電信柱4に移動する。
【0050】
〔実施形態の主な効果〕
(1)以上説明したように、本実施形態の自律飛行装置2は、より正確に目的地まで物資を配送することができるという効果を奏する。
【0051】
(2)また、GNSS衛星からのGNSS信号が途切れても、又は、携帯電話網等による電波の信号が途切れても、位置特定装置5から地球上の絶対位置を取得することができるため、目的地に向かって再出発することで、適切に目的地まで物資を配送することができるという効果を奏する。
【0052】
(3)また、自律飛行装置2は、2次元コードに埋め込まれている認証情報に基づいて、2次元コードが正当であるか否かを判断するため、悪意のある者が2次元コードを取り換えたり、位置特定装置5を電信柱4から取り換えたりすることで、2次元コードを改ざんしたり偽造したりした場合であっても、自律飛行装置2が目的地とは異なった方向に移動しなくて済むという効果を奏する。
【0053】
(4)更に、自律飛行装置2は、位置特定装置5が発光した非可視光線Lを受光し、この発光元を頼りに位置特定装置5に接近することができるため、GNSS信号等が遮断された場合であっても、位置特定装置5に接近することができる。
【0054】
〔その他の例〕
(1)上記実施形態では、位置特定装置5は非可視光線Lを発光したが、これに限らない。例えば、位置特定装置5は非可視光線の代わりに、Bluetooth(登録商標)等のビーコンの電波信号(所定の電波信号)を発信してもよい。この場合、自律飛行装置2側では、受信部22等によってビーコンの電波信号を受信することで、制御部20が位置特定装置5の位置を特定し、飛行制御部23が電波信号の発信元に接近するようにプロペラ31等の動作を制御する。なお、ビーコンの電波を発信する位置特定装置を複数の電信柱4のそれぞれに設置して、自律飛行装置2が複数のビーコンの電波強度の差を利用することによって、位置特定装置5の設置位置を高精度に測位することができる。
【0055】
(2)また、位置特定装置5は非可視光線の代わりに、Wi-Fiの無線の電波信号を発信してもよい。この場合、自律飛行装置2側では、受信部22等によってWi-Fiの無線の電波信号を受信することで、制御部20が位置特定装置5の位置を特定し、飛行制御部23が電波信号の発信元に接近するようにプロペラ31等の動作を制御する。
【0056】
(3)更に、自律飛行装置2の制御部20は、撮影部41によって得られた地上の画像データを画像認識することで電信柱4の形状を認識して、位置特定装置5の位置を特定してもよい。
【0057】
(4)また、電信柱4の地上近くに宅配ボックスを設置し、宅配ボックスに自律飛行装置2が物資3を届けることができれば、物資3を受け取る人は、電信柱4に荷物を取りに行けばよく、自分自身の住所を配送元に知らせる必要が無くなり、個人情報の保護の観点からもメリットがある。
【0058】
(5)上記実施形態では、自律飛行装置2が外部からの無線信号を受信できなくなった場合に、位置特定装置5を探して自装置の位置を特定したが(処理S11;YES参照)、これに限るものではない。例えば、自律飛行装置2は外部からの無線信号を受信できている場合であっても、より正確な位置を特定するために、位置特定装置5を探して自装置の位置を特定してもよい。
【0059】
〔補足〕
以上、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、例えば以下に示すように、種々の変更及び応用が可能である。
【0060】
(1)自律飛行装置2は、コンピュータとプログラムによって実現できるが、このプログラムを(非一時的)記録媒体に記録することも、インターネット等の通信ネットワークを介して提供することも可能である。
【0061】
(2)制御部20を構成するCPU(マイクロプロセッサ)は、単一だけでなく、複数であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 自律飛行システム
2 自律飛行装置
3 物資
4 電信柱
5 位置特定装置
6 2次元コード
7 ソーラーパネル
8 発光器
9 GNSS衛星
10 ビル
20 制御部
21 GNSSアンテナ
22 受信部
23 飛行制御部
24 記憶部
25 設定部
26 無線アンテナ
27 通信部
41 撮影部
42 発信部
43 受信部
44 ジャイロセンサ
45 加速度センサ