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特開2024-115961通信装置、USBデバイス、通信方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115961
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】通信装置、USBデバイス、通信方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 84/12 20090101AFI20240820BHJP
   H04L 67/59 20220101ALI20240820BHJP
   H04M 1/72415 20210101ALI20240820BHJP
【FI】
H04W84/12
H04L67/59
H04M1/72415
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021894
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】梁井 脩
【テーマコード(参考)】
5K067
5K127
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067EE02
5K127BA03
5K127DA07
5K127DA12
5K127GA21
5K127GD16
(57)【要約】
【課題】無線LAN通信とUSB通信とを行う通信装置において、USB通信の転送速度をより適切に制御できるようにする。
【解決手段】通信装置は、無線LAN通信を行う無線LAN通信部と、USB通信を行うUSB通信部と、前記無線LAN通信によるジョブデータの通信に応じて、前記USB通信の転送速度を制御する転送速度制御部と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN通信を行う無線LAN通信部と、
USB通信を行うUSB通信部と、
前記無線LAN通信によるジョブデータの通信に応じて、前記USB通信の転送速度を制御する転送速度制御部と、
を有する、通信装置。
【請求項2】
前記転送速度制御部は、前記USB通信部が予め定められた第1の転送速度で動作しているときに、前記無線LAN通信部が所定の周波数帯で前記ジョブデータの通信を開始した場合、前記USB通信部の転送速度を前記第1の転送速度とは異なる第2の転送速度に変更する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記転送速度制御部は、前記無線LAN通信部が前記ジョブデータの通信を完了した後に、前記USB通信部の転送速度を前記第1の転送速度に戻す、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記転送速度制御部は、前記USB通信部がUSB3.0で動作しているときに、前記無線LAN通信部が2.4GHz帯で前記ジョブデータの通信を開始した場合、前記USB通信部をUSB2.0で再接続させる、請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記転送速度制御部は、前記無線LAN通信部が前記ジョブデータの通信を完了した後に、前記USB通信部をUSB3.0で再接続させる、請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信装置は画像形成装置であり、
前記ジョブデータの通信は、印刷ジョブの受信を含む、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信装置は画像形成装置であり、
前記ジョブデータの通信は、スキャンジョブの送信を含む、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項8】
無線LAN通信を行う通信装置に搭載するUSBデバイスであって、
USB通信を行うUSB通信部と、
前記無線LAN通信によるジョブデータの通信に応じて、前記USB通信の転送速度を制御する転送速度制御部と、
を有する、USBデバイス。
【請求項9】
通信装置が、
無線LAN通信を行う無線LAN通信処理と、
USB通信を行うUSB通信処理と、
前記無線LAN通信によるジョブデータの通信に応じて、前記USB通信の転送速度を制御する転送速度制御処理と、
を実行する、通信方法。
【請求項10】
請求項9に記載の通信方法をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、USBデバイス、通信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)通信と、USB(Universal Serial Bus)通信とを行う通信装置において、USB3.0でUSB通信を行うと、接続コネクタ、又はケーブル等から高周波ノイズが発生し、無線LAN通信に電波干渉を起こす場合がある。
【0003】
また、USB3.0に準拠するインタフェースを有する通信装置において、USB通信による無線LAN通信への電波干渉を低減するために、USB3.0からUSB2.0に転送速度を落としてデータ転送を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された通信装置は、無線LAN通信の帯域周波数の設定値に基づいて、USB3.0とUSB2.0とを切り替えている。例えば、当該通信装置は、無線LAN通信が2.4GHz帯で動作している場合、USB通信を、USB3.0より低速なUSB2.0で動作させる。従って、当該通信装置は、無線LAN通信が2.4GHz帯で動作している場合、USB2.0より転送速度が高速なUSB3.0でUSB通信を行うことができないという問題がある。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、無線LAN通信とUSB通信とを行う通信装置において、USB通信の転送速度をより適切に制御できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る通信装置は、無線LAN通信を行う無線LAN通信部と、USB通信を行うUSB通信部と、前記無線LAN通信によるジョブデータの通信に応じて、前記USB通信の転送速度を制御する転送速度制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、無線LAN通信とUSB通信とを行う通信装置において、USB通信の転送速度をより適切に制御できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る通信装置のハードウェア構成の例を示す図である。
図2】一実施形態に係る通信装置の機能構成の例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る通信処理の例を示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態に係る転送速度の変更処理のイメージを示す図である。
図5】第2の実施形態に係る通信処理の例を示すフローチャートである。
図6】第2の実施形態に係る転送速度の変更処理のイメージを示す図である。
図7】第3の実施形態に係る通信処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
<通信装置の構成>
(ハードウェア構成)
図1は、一実施形態に係る通信装置のハードウェア構成の例を示す図である。通信装置10は、USB(Universal Serial Bus)ホストの機能を有する他の通信装置30とUSB通信を行うUSBデバイスの機能と、無線LAN(Local Area Network)通信機能と、を備えた電子機器である。図1の例では、通信装置10が、例えば、プリンタ、スキャナ、及びコピー等の複数の画像形成機能を備えた画像形成装置である場合のハードウェア構成の例を示している。
【0011】
ただし、通信装置10は、無線LAN通信機能と、USBデバイスの機能とを有する画像形成装置以外の電子機器であってもよい。例えば、通信装置10は、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)等の電子機器であっても良い。また、通信装置10は、デジタルサイネージ、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、デジタルカメラ、音楽プレーヤ、又はウェアラブル端末等の電子機器であってもよい。ここでは、通信装置10が、印刷機能とスキャン機能とを備えた画像形成装置であるものとして以下の説明を行う。
【0012】
図1の例では、通信装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、プリンタ13、スキャナ14、USBデバイス100、無線LANデバイス110、及びバスB等を有する。
【0013】
CPU11は、例えば、メモリ12等の記憶媒体に記憶した所定のプログラムを実行することにより、通信装置10の全体を制御するプロセッサである。メモリ12には、例えば、CPU11のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリであるRAM(Random Access Memory)、及び起動用のプログラム等を予め記憶した不揮発性のメモリであるROM(Read Only Memory)等が含まれる。また、メモリ12には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュROM等のストレージデバイスが含まれていてもよい。このように、通信装置10は、コンピュータのハードウェア構成を備えている。
【0014】
プリンタ13は、印刷処理を実行するデバイスである。スキャナ14は、スキャン処理(原稿の読取処理)を実行するデバイスである。なお、例えば、通信装置10が、プロジェクタである場合、通信装置10は、プリンタ13、及びスキャナ14に代えて、画像投影処理を実行する画像投影デバイス等を有する。
【0015】
USBデバイス100は、例えば、他の通信装置30と、USB通信でデータを送受信するUSB I/F(Interface)101と、USB I/F101によるUSB通信を制御するUSBデバイスコントローラ102とを含む。なお、USBデバイスコントローラ102は、例えば、CPU11で実行されるプログラムによって実現されるものであってもよい。
【0016】
他の通信装置(USBホスト)30は、USBホストの機能を有する、例えば、PC(Personal Computer)、タブレット端末、又はスマートフォン等の情報処理装置である。他の通信装置30は、例えば、通信装置10と無線LAN通信の利用設定が行われていない場合、又は無線LAN通信に障害が発生している場合等でも、USB通信を用いて通信装置10とデータ通信を行うことができる。
【0017】
無線LANデバイス110は、例えば、無線LANのアクセスポイントである他の通信装置20に、無線LAN通信で接続する無線LAN I/F111と、無線LAN I/F111による無線LAN通信を制御する無線LANデバイスコントローラ112とを含む。無線LANI/F111は、例えば、無線通信回路、アンテナ、及び通信制御回路等を含む。無線LANデバイスコントローラ112は、例えば、CPU11で実行されるプログラムによって実現されるものであってもよい。
【0018】
他の通信装置(アクセスポイント)20は、例えば、他の通信装置20に無線LAN通信で接続する通信装置10を、インターネット、又はLAN等の通信ネットワークに接続する無線LAN通信のアクセスポイント等である。
【0019】
バスBは、上記の各構成要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号、及び各種の制御信号等を伝送する。
【0020】
(機能構成)
図2は、一実施形態に係る通信装置の機能構成の例を示す図である。通信装置10は、例えば、無線LAN通信部201、画像形成制御部202、エンドポイント制御部210、及び通信制御部220等の機能構成を有する。
【0021】
無線LAN通信部201は、例えば、CPU11が実行するプログラム、及び無線LANデバイス110等によって実現され、2.4GHz帯を含む1つ以上の周波数帯で無線LAN通信を行う。また、無線LAN通信部201は、無線LAN通信の状態を、画像形成制御部202、又は通信制御部220等に通知する機能を有している。
【0022】
画像形成制御部202は、例えば、CPU11が実行するプログラムによって実現され、プリンタ13、及びスキャナ14を制御して、印刷処理、スキャン処理、又はコピー処理等の画像形成処理を実行する。また、画像形成制御部202は、例えば、ジョブデータの通信状態、及びジョブの実行状態等をイベント処理部222に通知する機能を有している。
【0023】
エンドポイント制御部210は、例えば、CPU11が実行するプログラム、又はUSBデバイスコントローラ102等によって実現される。エンドポイント制御部210は、例えば、USB通信のデータを格納するFIFO(First In, First Out)バッファであるエンドポイントを有し、エンドポイントに対するデータの入出力を制御するエンドポイント制御処理を実行する。
【0024】
通信制御部220は、例えば、CPU11が実行するプログラム、又はUSBデバイスコントローラ102等によって実現され、エンドポイント制御部210を利用して、他の通信装置30とのUSB通信を制御する通信制御処理を実行する。通信制御部220は、例えば、USB通信部221、イベント処理部222、及び転送速度制御部223等を含む。
【0025】
USB通信部221は、例えば、エンドポイント制御部210を利用して、他の通信装置30とUSB通信を行うUSB通信処理を実行する。
【0026】
イベント処理部222は、例えば、無線LAN通信部201、又は画像形成制御部202から、様々なイベントの通知を受け付け、受け付けたイベントに応じた処理を実行する。
【0027】
転送速度制御部223は、無線LAN通信によるジョブデータの通信に応じて、USB通信の転送速度を制御する転送速度制御処理を実行する。例えば、転送速度制御部223は、USB通信部221が予め定められた第1の転送速度で動作しているときに、無線LAN通信部201が所定の周波数帯でジョブデータの通信を開始した場合、USB通信部221の転送速度を第2の転送速度に変更する。ここで、第1の転送速度は、無線LAN通信の所定の周波数帯に電波干渉が発生する転送速度であり、第2の転送速度は、当該電波干渉が発生しない転送速度であるものとする。また、転送速度制御部223は、無線LAN通信部201がジョブデータの通信を完了した後に、USB通信部221の転送速度を第1の転送速度に戻す。
【0028】
具体的な処理の一例として、転送速度制御部223は、USB通信部221がUSB3.0で動作しているときに、無線LAN通信部201が2.4GHz帯でジョブデータの通信を開始した場合、USB通信部221をUSB2.0で再接続させる。これは、USB3.0でUSB通信を行うと、接続コネクタ、又はケーブル等から高周波ノイズが発生し、2.4GHz帯の無線LAN通信に電波干渉が発生し、通信エラーになることがあるためである。なお、USB3.0で動作しているUSB通信部221を、USB2.0で再接続させる処理は、第1の転送速度を第2の転送速度に変更する処理の一例である。
【0029】
また、転送速度制御部223は、無線LAN通信部201がジョブデータの通信を完了した後に、USB通信部221をUSB3.0で再接続させる。なお、USB2.0で動作しているUSB通信部221をUSB3.0で再接続させる処理は、第2の転送速度を第1の転送速度に戻す処理の一例である。
【0030】
上記の処理により、通信装置10は、例えば、2.4GHz帯の無線LAN通信でジョブデータを通信しているときでも、USB通信の影響によりジョブデータにエラーが発生することを抑制することができる。また、通信装置10は、2.4GHzの無線LAN通信によるジョブデータの通信が完了した後は、USB3.0でより高速にUSB通信を行うことができる。
【0031】
ここで、USB3.0は、USB通信の規格であり、最大転送速度が5GbpsのUSB3.0、USB3.1(Gen1)、最大転送速度が10GbpsのUSB3.1(Gen2)、及び最大転送速度が20GbpsのUSB3.2等を含むものとする。また、USB2.0は、USB通信の規格であり、最大転送速度が480Mbpsである。なお、USBホスト(例えば、他の通信装置30)のUSB規格と、USBデバイス(例えば、通信装置10)のUSB規格が異なる場合、より低い方の規格でデータ転送が行われる。
【0032】
USB3.0は、第1の転送速度の一例であり、USB2.0は、USB通信の第2の転送速度の一例である。また、2.4GHz帯は、無線LAN通信の所定の周波数帯の一例である。
【0033】
例えば、新たなUSB規格でUSB通信を行ったときに、無線LAN通信の5GHz帯に電波干渉が発生したものとする。この場合、新たなUSB規格を第1の転送速度とし、5GHz帯を無線LAN通信の所定の周波数帯としてもよい。また、第2の転送速度は、USB通信により電波干渉が発生しない、任意の転送速度であってよい。
【0034】
<処理の流れ>
続いて、本実施形態に係る通信方法の処理の流れについて説明する。
【0035】
[第1の実施形態]
図3は、第1の実施形態に係る通信処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、図1、2で説明した通信装置10が実行する通信処理の一例を示している。
【0036】
ステップS301において、通信制御部220は、USB I/F101にUSBケーブルが接続されているか否かを判断する。USBケーブルが接続されていない場合、通信制御部220は、図3の処理を終了する。一方、USBケーブルが接続されている場合、通信制御部220は、処理をステップS302に移行させる。
【0037】
ステップS302において、通信制御部220は、無線LAN通信部201が、無線LAN通信でジョブデータの通信を開始すると、処理をステップS303に移行させる。ここで、ジョブデータの通信には、例えば、通信装置10が画像形成装置である場合、通信装置10に印刷を要求する印刷ジョブの受信、又は通信装置10が原稿をスキャンしたスキャンデータの送信等が含まれる。
【0038】
ステップS303に移行すると、通信制御部220は、USB通信部221がUSB3.0で動作しているか否かを判断する。USB3.0で動作していない場合、通信制御部220は、図3の処理を終了する。一方、USB3.0で動作している場合、通信制御部220は、処理をステップS304に移行させる。
【0039】
ステップS304に移行すると、通信制御部220は、無線LAN通信部201が、2.4GHz帯で動作しているか否かを判断する。例えば、通信制御部220は、無線LAN通信部201に、動作中の周波数帯を問い合わせる。無線LAN通信部201が2.4GHz帯で動作していない場合、通信制御部220は、図3の処理を終了させる。一方、無線LAN通信部201が2.4GHz帯で動作している場合、通信制御部220は、処理をステップS305に移行させる。
【0040】
ステップS305に移行すると、通信制御部220は、USB通信でデータ転送中であるか否かを判断する。一例として、通信制御部220は、USB通信部221がDMA(Direct Memory Access)転送を行っている場合、USB通信でデータ転送中であると判断してもよい。USB通信でデータ転送中でない場合、通信制御部220は、処理をステップS306に移行させる。一方、USB通信でデータ転送中である場合、通信制御部220は、例えば、USB通信によるデータ転送が終了するまで、ステップS305の処理を繰り返し実行する。或いは、通信制御部220は、USB通信によるデータ転送が終了するまで待機してもよい。
【0041】
ステップS306に移行すると、通信制御部220は、USB3.0で動作中のUSB通信を切断し、USB2.0でUSB通信を再接続する。この処理により、通信制御部220は、USB通信の転送速度を第1の転送速度から第2の転送速度に変更することができる。なお、USB通信の転送速度を変更する処理は、例えば、通信制御部220の転送速度制御部223が実行する。これは、以下の各処理についても同様である。
【0042】
また、ステップS303~S306の処理と並行して、画像形成制御部202は、ステップS311、S312の処理を実行する。
【0043】
ステップS311において、画像形成制御部202は、ジョブ処理を開始する。例えば、ステップS302において、無線LAN通信で印刷ジョブを受信した場合、画像形成制御部202は、受信した印刷ジョブをプリンタ13で印刷する印刷処理を実行する。
【0044】
ステップS312において、画像形成制御部202は、ジョブ処理を完了する。このとき、画像形成制御部202は、例えば、ジョブ処理が完了したことを示すジョブ処理完了通知を通信制御部220に通知する。
【0045】
ステップS307において、通信制御部220は、ジョブ処理が完了したか否かを判断する。例えば、通信制御部220は、画像形成制御部202から、ジョブ処理完了通知を受け付けた場合、ジョブ処理が完了したと判断する。ジョブ処理が完了した場合、通信制御部220は、処理をステップS308に移行させる。一方、ジョブ処理が完了していない場合、通信制御部220は、例えば、ジョブ処理が完了するまで、ステップS307の処理を繰り返し実行する。或いは、通信制御部220は、画像形成制御部202からジョブ処理完了通知を受け付けるまで待機してもよい。
【0046】
ステップS308に移行すると、通信制御部220は、USB通信でデータ転送中であるか否かを判断する。USB通信でデータ転送中でない場合、通信制御部220は、処理をステップS309に移行させる。一方、USB通信でデータ転送中である場合、通信制御部220は、例えば、USB通信によるデータ転送が終了するまで、ステップS308の処理を繰り返し実行する。或いは、通信制御部220は、USB通信によるデータ転送が終了するまで待機してもよい。
【0047】
ステップS309において、通信制御部220は、USB2.0で動作中のUSB通信を切断し、USB3.0でUSB通信を再接続する。この処理により、通信制御部220は、USB通信の転送速度を第2の転送速度から第1の転送速度に戻すことができる。
【0048】
図3の処理により、通信装置10の通信制御部220は、無線LAN通信によるジョブデータの通信に応じて、USB通信の転送速度を制御することができる。
【0049】
(転送速度変更処理のイメージ)
図4は、第1の実施形態に係る転送速度の変更処理のイメージを示す図である。なお、図4において、無線LAN通信部201は、2.4GHz帯で動作しており、USB通信部221は、USB3.0で動作しているものとする。
【0050】
ステップS401において、無線LAN通信部201が、ジョブデータの受信を開始するものとする。
【0051】
ステップS402において、画像形成制御部202は、無線LAN通信部201が受信したデータがジョブデータである場合、ジョブデータの受信通知を通信制御部220に通知する。
【0052】
ステップS403において、通信制御部220は、画像形成制御部202からジョブデータの受信通知を受け付けると、USB通信をUSB2.0に切り替える。なお、この処理は、例えば、図3のステップS305、S306の処理に対応している。
【0053】
ステップS404において、画像形成制御部202は、無線LAN通信部201が受信したジョブデータに基づいて、ジョブ処理を実行する。
【0054】
ステップS405において、画像形成制御部202は、ジョブ処理が完了すると、ジョブ処理の完了通知を通信制御部220に通知する。
【0055】
ステップS406において、通信制御部220は、画像形成制御部202からジョブ処理の完了通知を受け付けると、USB通信をUSB3.0に切り替える。なお、この処理は、例えば、図3のステップS308、S309の処理に対応している。
【0056】
図4の処理により、通信制御部220は、2.4GHz帯の無線LAN通信でジョブデータの受信を開始してから、ジョブ処理を完了するまで、USB2.0でUSB通信を行うので、ジョブデータの受信不良を抑制することができる。また、通信制御部220は、ジョブ処理が完了すると、USB3.0でUSB通信を行うので、ジョブ処理を実行中以外は、より高速にUSB通信を行うことができる。
【0057】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る通信処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、図1、2で説明した通信装置10が実行する通信処理の別の一例を示している。通信制御部220は、例えば、無線LAN通信部201が、2.4GHz帯で動作しているときに、図5の処理を実行する。
【0058】
ステップS501において、通信制御部220は、無線LAN通信による印刷ジョブの受信を開始すると、処理をステップS502に移行させる。例えば、通信制御部220は、画像形成制御部202から、印刷ジョブの受信通知を受け付けたときに、無線LAN通信による印刷ジョブの受信を開始したと判断する。
【0059】
ステップS502に移行すると、通信制御部220は、USB通信部221がUSB3.0で動作しているか否かを判断する。USB3.0で動作していない場合、通信制御部220は、図5の処理を終了する。一方、USB3.0で動作している場合、通信制御部220は、処理をステップS503に移行させる。
【0060】
ステップS503に移行すると、通信制御部220は、USB通信でデータ転送中であるか否かを判断する。USB通信でデータ転送中でない場合、通信制御部220は、処理をステップS504に移行させる。一方、USB通信でデータ転送中である場合、通信制御部220は、例えば、USB通信によるデータ転送が終了するまで、ステップS503の処理を繰り返し実行する。或いは、通信制御部220は、USB通信によるデータ転送が終了するまで待機してもよい。
【0061】
ステップS504に移行すると、通信制御部220は、USB3.0で動作中のUSB通信を切断し、USB2.0でUSB通信を再接続する。この処理により、通信制御部220は、USB通信の転送速度を第1の転送速度から第2の転送速度に変更することができる。
【0062】
ステップS505において、通信制御部220は、無線LAN通信による印刷ジョブの受信を完了すると、処理をステップS506に移行させる。例えば、通信制御部220は、画像形成制御部202から、印刷ジョブの受信完了通知を受け付けたときに、無線LAN通信による印刷ジョブの受信を完了したと判断する。
【0063】
ステップS506において、通信制御部220は、USB通信でデータ転送中であるか否かを判断する。USB通信でデータ転送中でない場合、通信制御部220は、処理をステップS507に移行させる。一方、USB通信でデータ転送中である場合、通信制御部220は、例えば、USB通信によるデータ転送が終了するまで、ステップS506の処理を繰り返し実行する。或いは、通信制御部220は、USB通信によるデータ転送が終了するまで待機してもよい。
【0064】
ステップS507に移行すると、通信制御部220は、USB2.0で動作中のUSB通信を切断し、USB3.0でUSB通信を再接続する。この処理により、通信制御部220は、USB通信の転送速度を2の転送速度から第1の転送速度に戻すことができる。
【0065】
図5の処理により、通信装置10の通信制御部220は、無線LAN通信部201が2.4GHz帯で動作しているときに、無線LAN通信によるジョブデータの受信に応じて、USB通信の転送速度を制御することができる。
【0066】
(転送速度変更処理のイメージ)
図6は、第2の実施形態に係る転送速度の変更処理のイメージを示す図である。なお、図6において、無線LAN通信部201は、2.4GHz帯で動作しており、USB通信部221は、USB3.0で動作しているものとする。
【0067】
ステップS601において、無線LAN通信部201が、印刷ジョブ(ジョブデータの一例)の受信を開始するものとする。
【0068】
ステップS602において、画像形成制御部202は、無線LAN通信部201が受信したデータが印刷ジョブである場合、印刷ジョブの受信通知をUSB通信部221に通知する。
【0069】
ステップS603において、通信制御部220は、画像形成制御部202から印刷ジョブの受信通知を受け付けると、USB通信をUSB2.0に切り替える。なお、この処理は、例えば、図5のステップS503、S504の処理に対応している。
【0070】
ステップS604において、画像形成制御部202は、無線LAN通信部201を介して、印刷ジョブの受信を続ける。また、ステップS605において、画像形成制御部202は、受信した印刷ジョブに基づいて印刷処理を実行する。
【0071】
ステップS606において、画像形成制御部202は、印刷ジョブの受信を完了すると、印刷ジョブの受信完了通知を通信制御部220に通知する。例えば、画像形成制御部202は、最終ページの印刷データの受信を完了したときに、印刷ジョブの受信を完了したと判断してもよい。或いは、印刷ジョブは、印刷ジョブの終了を示すデータを含み、画像形成制御部202は、当該データを受信したときに、印刷ジョブの受信を完了したと判断してもよい。或いは、画像形成制御部202は、最後の印刷データを受信してから、所定の時間を経過したときに、印刷ジョブの受信を完了したと判断してもよい。
【0072】
ステップS607において、USB通信部221は、画像形成制御部202から印刷ジョブの受信完了通知を受け付けると、USB通信をUSB3.0に切り替える。なお、この処理は、例えば、図5のステップS506、S507の処理に対応している。
【0073】
図6に示すように、通信制御部220は、2.4GHz帯の無線LAN通信による印刷データの受信が完了した後であれば、印刷処理を実行中であってもUSB通信をUSB3.0に戻してもよい。
【0074】
図6の処理により、通信制御部220は、2.4GHz帯の無線LAN通信でジョブデータ(印刷ジョブ)の受信を開始してから、ジョブデータの受信を完了するまで、USB2.0でUSB通信を行うので、ジョブデータの受信不良を抑制することができる。また、通信制御部220は、ジョブデータの受信が完了すると、USB3.0でUSB通信を行うので、ジョブデータを受信中以外は、より高速にUSB通信を行うことができる。
【0075】
[第3の実施形態]
図7は、第3の実施形態に係る通信処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、図1、2で説明した通信装置10が実行する通信処理の別の一例を示している。通信制御部220は、例えば、無線LAN通信部201が、2.4GHz帯で動作しているときに、図7の処理を実行する。
【0076】
ステップS701において、通信制御部220は、無線LAN通信によるスキャンジョブの送信を開始すると、処理をステップS702に移行させる。画像形成制御部202から、スキャンジョブの送信通知を受け付けたときに、無線LAN通信による印刷ジョブの受信を開始したと判断する。
【0077】
ステップS702に移行すると、通信制御部220は、USB通信部221がUSB3.0で動作しているか否かを判断する。USB3.0で動作していない場合、通信制御部220は、図7の処理を終了する。一方、USB3.0で動作している場合、通信制御部220は、処理をステップS703に移行させる。
【0078】
ステップS703に移行すると、通信制御部220は、USB通信でデータ転送中であるか否かを判断する。USB通信でデータ転送中でない場合、通信制御部220は、処理をステップS704に移行させる。一方、USB通信でデータ転送中である場合、通信制御部220は、例えば、USB通信によるデータ転送が終了するまで、ステップS703の処理を繰り返し実行する。或いは、通信制御部220は、USB通信によるデータ転送が終了するまで待機してもよい。
【0079】
ステップS704に移行すると、通信制御部220は、USB3.0で動作中のUSB通信を切断し、USB2.0でUSB通信を再接続する。この処理により、通信制御部220は、USB通信の転送速度を第1の転送速度から第2の転送速度に変更することができる。
【0080】
ステップS705において、通信制御部220は、無線LAN通信によるスキャンジョブの送信を完了すると、処理をステップS706に移行させる。例えば、通信制御部220は、画像形成制御部202から、スキャンジョブの送信完了通知を受け付けたときに、無線LAN通信によるスキャンジョブの送信を完了したと判断する。
【0081】
ステップS706において、通信制御部220は、USB通信でデータ転送中であるか否かを判断する。USB通信でデータ転送中でない場合、通信制御部220は、処理をステップS707に移行させる。一方、USB通信でデータ転送中である場合、通信制御部220は、例えば、USB通信によるデータ転送が終了するまで、ステップS706の処理を繰り返し実行する。或いは、通信制御部220は、USB通信によるデータ転送が終了するまで待機してもよい。
【0082】
ステップS707に移行すると、通信制御部220は、USB2.0で動作中のUSB通信を切断し、USB3.0でUSB通信を再接続する。この処理により、通信制御部220は、USB通信の転送速度を2の転送速度から第1の転送速度に戻すことができる。
【0083】
図7の処理により、通信装置10の通信制御部220は、無線LAN通信部201が2.4GHz帯で動作しているときに、無線LAN通信によるジョブデータの送信に応じて、USB通信の転送速度を制御することができる。
【0084】
以上、本発明の各実施形態によれば、無線LAN通信とUSB通信とを行う通信装置において、USB通信の転送速度をより適切に制御できるようになる。
【0085】
<補足>
上記で説明した各実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0086】
<付記>
本明細書には、下記の各項の通信装置、USBデバイス、通信方法、及びプログラムが開示されている。
(第1項)
無線LAN通信を行う無線LAN通信部と、
USB通信を行うUSB通信部と、
前記無線LAN通信によるジョブデータの通信に応じて、前記USB通信の転送速度を制御する転送速度制御部と、
を有する、通信装置。
(第2項)
前記転送速度制御部は、前記USB通信部が予め定められた第1の転送速度で動作しているときに、前記無線LAN通信部が所定の周波数帯で前記ジョブデータの通信を開始した場合、前記USB通信部の転送速度を前記第1の転送速度とは異なる第2の転送速度に変更する、第1項に記載の通信装置。
(第3項)
前記転送速度制御部は、前記無線LAN通信部が前記ジョブデータの通信を完了した後に、前記USB通信部の転送速度を前記第1の転送速度に戻す、第2項に記載の通信装置。
(第4項)
前記転送速度制御部は、前記USB通信部がUSB3.0で動作しているときに、前記無線LAN通信部が2.4GHz帯で前記ジョブデータの通信を開始した場合、前記USB通信部をUSB2.0で再接続させる、第1項に記載の通信装置。
(第5項)
前記転送速度制御部は、前記無線LAN通信部が前記ジョブデータの通信を完了した後に、前記USB通信部をUSB3.0で再接続させる、第4項に記載の通信装置。
(第6項)
前記通信装置は画像形成装置であり、
前記ジョブデータの通信は、印刷ジョブの受信を含む、
第1項~第5項のいずれかに記載の通信装置。
(第7項)
前記通信装置は画像形成装置であり、
前記ジョブデータの通信は、スキャンジョブの送信を含む、
第1項~第6項のいずれかに記載の通信装置。
(第8項)
無線LAN通信を行う通信装置に搭載するUSBデバイスであって、
USB通信を行うUSB通信部と、
前記無線LAN通信によるジョブデータの通信に応じて、前記USB通信の転送速度を制御する転送速度制御部と、
を有する、USBデバイス。
(第9項)
通信装置が、
無線LAN通信を行う無線LAN通信処理と、
USB通信を行うUSB通信処理と、
前記無線LAN通信によるジョブデータの通信に応じて、前記USB通信の転送速度を制御する転送速度制御処理と、
を実行する、通信方法。
(第10項)
第9項に記載の通信方法をコンピュータに実行させる、プログラム。
【0087】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、及び応用が可能である。
【符号の説明】
【0088】
10 通信装置
100 USBデバイス
110 無線LANデバイス
201 無線LAN通信部
202 画像形成制御部
220 通信制御部
221 USB通信部
223 転送速度制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0089】
【特許文献1】特開2020-113899号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7