(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011598
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】虫駆除システム、および空気処理装置
(51)【国際特許分類】
A01M 7/00 20060101AFI20240118BHJP
A01M 19/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
A01M7/00 L
A01M19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113733
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 利夫
(72)【発明者】
【氏名】黒井 聖史
(72)【発明者】
【氏名】神崎 亮平
(72)【発明者】
【氏名】光野 秀文
(72)【発明者】
【氏名】祐川 侑司
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA13
2B121AA14
2B121AA17
2B121CB06
2B121CB23
2B121CB42
2B121CB47
2B121CB61
2B121DA41
2B121DA70
2B121EA03
2B121FA13
(57)【要約】
【課題】対象空間に存在する虫の検出精度を向上させつつ、該対象空間の虫を低減する。
【解決手段】虫駆除システム(100)は、対象虫種の虫(I)が発するガスを検出するガスセンサ(10)と、対象空間(S)の空気をガスセンサ(10)の検知領域に搬送する気流生成部(34)と、対象空間(S)に存在する、虫(I)又は対象虫種の他の虫を駆除可能な駆除動作を行う駆除部(20)と、ガスセンサ(10)の検出値に基づいて駆除部(20)を制御する制御部(40)とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象虫種の虫(I)が発するガスを検出するガスセンサ(10)と、
対象空間(S)の空気を前記ガスセンサ(10)の検知領域に搬送する気流生成部(34)と、
前記対象空間(S)に存在する、前記虫(I)又は前記対象虫種の他の虫(I)を駆除可能な駆除動作を行う駆除部(20)と、
前記ガスセンサ(10)の検出値に基づいて前記駆除部(20)を制御する制御部(40)とを備える
虫駆除システム。
【請求項2】
前記制御部(40)は、前記対象空間(S)の空気を攪拌する第1運転を実行する
請求項1に記載の虫駆除システム。
【請求項3】
前記対象空間(S)の温度を測定する複数の温度センサ(64)を更に備え、
前記制御部(40)は、各前記温度センサ(64)の検出値に差があるときに前記第1運転を実行する
請求項2に記載の虫駆除システム。
【請求項4】
前記気流生成部(34)で発生する気流の向きを変更する風向調節部(35)を更に備え、
前記制御部(40)は、前記風向調節部(35)を前記対象空間(S)に面する天井面に向ける第2運転を実行する
請求項1~3のいずれか1つに記載の虫駆除システム。
【請求項5】
前記気流生成部(34)で発生する気流の向きを変更する風向調節部(35)を更に備え、
前記制御部(40)は、前記風向調節部(35)を前記対象空間(S)に面する壁面に向ける第3運転を実行する
請求項1~3のいずれか1つに記載の虫駆除システム。
【請求項6】
前記気流生成部(34)で発生する気流の向きを変更する風向調節部(35)を更に備え、
前記制御部(40)は、前記風向調節部(35)を前記対象空間(S)に面する床面に向ける第4運転を実行する
請求項1~3のいずれか1つに記載の虫駆除システム。
【請求項7】
前記気流生成部(34)で発生する気流の向きを変更する風向調節部(35)を更に備え、
前記制御部(40)は、虫(I)の種類に関する情報に基づいて前記風向調節部(35)を制御する
請求項1~3のいずれか1つに記載の虫駆除システム。
【請求項8】
前記気流生成部(34)は、前記対象空間(S)に流れる空気の速度を変更可能に構成される
請求項1~3のいずれか1つに記載の虫駆除システム。
【請求項9】
前記駆除部(20)は、虫(I)に対する駆除作用のある駆除剤を前記対象空間(S)に放散する放散部(21)を含み、
前記制御部(40)は、前記ガスセンサ(10)の検出値に基づいて前記放散部(21)から放散する前記駆除剤の量を調節する
請求項1~3のいずれか1つに記載の虫駆除システム。
【請求項10】
前記制御部(40)は、前記ガスセンサ(10)の検出値に基づいて虫の種類に関する情報を取得し、取得した前記虫の種類に関する情報に応じて前記放散部(21)から放散する前記駆除剤の種類を変更する
請求項9に記載の虫駆除システム。
【請求項11】
前記駆除部(20)は、虫(I)に対する駆除作用のある駆除剤を前記対象空間(S)に放散する放散部(21)を含み、
前記対象空間(S)に存在する人を検知する人検知センサ(61)を更に備え、
前記制御部(40)は、前記人検知センサ(61)の検出値に基づいて前記放散部(21)から放散する前記駆除剤の量を調節する
請求項1~3のいずれか1つに記載の虫駆除システム。
【請求項12】
前記駆除部(20)は、虫(I)に対する駆除作用のある駆除剤を前記対象空間(S)に放散する放散部(21)を含み、
前記制御部(40)は、前記対象空間(S)の換気量に関する換気情報に基づいて前記放散部(21)から放散する前記駆除剤の量を調節する
請求項1~3のいずれか1つに記載の虫駆除システム。
【請求項13】
前記対象空間(S)の二酸化炭素の濃度を測定する第1濃度センサ(62)を更に備え、
前記制御部(40)は、前記第1濃度センサ(62)の検出値および前記対象空間(S)に存在する人の数に関する情報に基づいて前記換気情報を推定し、推定した前記換気情報に基づいて前記放散部(21)から放散する前記駆除剤の量を調節する
請求項12に記載の虫駆除システム。
【請求項14】
前記駆除部(20)は、虫(I)に対する駆除作用のある駆除剤を前記対象空間(S)に放散する放散部(21)を含み、
前記対象空間(S)の前記駆除剤の濃度を測定する第2濃度センサ(63)を更に備え、
前記制御部(40)は、前記第2濃度センサ(63)の検出値に基づいて前記放散部(21)から放散される前記駆除剤の量を調節する
請求項1~3のいずれか1つに記載の虫駆除システム。
【請求項15】
前記駆除部(20)は、前記対象空間(S)の温度を調節する温度調節部(22)を含み、
前記制御部(40)は、前記ガスセンサ(10)の検出値に基づいて前記温度調節部(22)を制御する
請求項1~3のいずれか1つに記載の虫駆除システム。
【請求項16】
前記駆除部(20)は、前記対象空間(S)の湿度を調節する湿度調節部(23)を含み、
前記制御部(40)は、前記ガスセンサ(10)の検出値に基づいて前記湿度調節部(23)を制御する
請求項1~3のいずれか1つに記載の虫駆除システム。
【請求項17】
前記制御部(40)は、室外空間の環境に関する情報に基づいて前記駆除部(20)を制御する
請求項1~3のいずれか1つに記載の虫駆除システム。
【請求項18】
前記ガスセンサ(10)の検出値に基づいて前記対象空間(S)に存在する虫に関する情報を報知する報知部(52)を更に備える
請求項1~3のいずれか1つに記載の虫駆除システム。
【請求項19】
前記ガスセンサ(10)、前記駆除部(20)、および前記気流生成部(34)のうちの少なくとも1つを収容するケーシング(14)を更に備え、
前記ケーシング(14)は、持ち運び可能に構成される
請求項1~3のいずれか1つに記載の虫駆除システム。
【請求項20】
請求項1~3のいずれか1つに記載の虫駆除システムを備える空気処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、虫駆除システム、および空気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、虫は様々なフェロモンを空気中に放出していることが知られている。虫が放出するフェロモンは、同種の虫に作用することでその行動に影響を与える。近年、昆虫の嗅覚受容に関する解析が進んだことにより、昆虫の嗅覚機能を人工的に再現することで、虫のフェロモンを検出する技術が開発されている。特許文献1に記載された匂いセンサは、昆虫の嗅覚受容体タンパク質を遺伝子工学により再構成した細胞チップを備える。この細胞チップが検出対象となる虫のフェロモンを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
虫が放出するフェロモンなどのガスを検知するセンサを、例えば住宅のリビングルームやキッチンのような対象空間に配置することで、対象空間に存在する虫を検出することができる。しかし、対象空間の構造が複雑な場合や虫が放出するガスの量が少ない場合には、対象空間に存在する虫を検出できないことが考えられる。また、仮に虫が検出できたとしても、人が虫を捕獲または排除しなければならず、人が不快感や恐怖を感じてしまう。
【0005】
本開示の目的は、対象空間に存在する虫の検出精度を向上させつつ、該対象空間の虫を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、対象虫種の虫(I)が発するガスを検出するガスセンサ(10)と、対象空間(S)の空気を前記ガスセンサ(10)の検知領域に搬送する気流生成部(34)と、前記対象空間(S)に存在する、前記虫(I)又は前記対象虫種の他の虫(I)を駆除可能な駆除動作を行う駆除部(20)と、前記ガスセンサ(10)の検出値に基づいて前記駆除部(20)を制御する制御部(40)とを備える虫駆除システムである。
【0007】
第1の態様では、気流生成部(34)が対象空間(S)の空気をガスセンサ(10)の検知領域に搬送するので、例えば複雑な間取りや面積の広い対象空間(S)であっても、対象空間(S)の構造に関係なく、対象空間(S)に対象虫種の虫(I)がいる場合には該虫(I)の発するガスをガスセンサ(10)の検知領域に搬送できる。これにより、対象空間(S)に存在する虫(I)の検出精度を向上できる。そして、制御部(40)は検出精度が向上したガスセンサ(10)の検出値に基づいて駆除部(20)を制御するので、対象空間(S)に存在するガスを発する虫(I)又は該虫(I)と同一種の虫(I)を確実に駆除できる。これにより、対象空間(S)の虫を低減することができる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、前記制御部(40)は、前記対象空間(S)の空気を攪拌する第1運転を実行する。
【0009】
第2の態様では、制御部(40)が対象空間(S)の空気を攪拌する第1運転を実行するので、対象空間(S)の空気が攪拌されることで虫(I)が発するガスをより確実にガスセンサ(10)の検知領域に搬送できる。これにより、ガスセンサ(10)で虫(I)のガスをより確実に検出できる。
【0010】
第3の態様は、第2の態様において、前記対象空間(S)の温度を測定する複数の温度センサ(64)を更に備え、前記制御部(40)は、各前記温度センサ(64)の検出値に差があるときに前記第1運転を実行する。
【0011】
複数の温度センサ(64)の各検出値が異なる場合には、対象空間(S)に温度の異なる空気の層が形成されている。第3の態様では、このような場合に第1運転を実行することで、攪拌された空気とともに虫(I)が発するガスがガスセンサ(10)の検知領域に搬送される。これにより、ガスセンサ(10)で虫(I)のガスをより確実に検出できる。
【0012】
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記気流生成部(34)で発生する気流の向きを変更する風向調節部(35)を更に備え、前記制御部(40)は、前記風向調節部(35)を前記対象空間(S)に面する天井面に向ける第2運転を実行する。
【0013】
第4の態様では、制御部(40)が、風向調節部(35)を対象空間(S)に面する天井面に向ける第2運転を実行することにより、対象空間(S)の天井面周辺に存在する虫(I)のガスを集中的にガスセンサ(10)の検知領域に搬送できる。
【0014】
第5の態様は、第1~第4のいずれか1つの態様において、前記気流生成部(34)で発生する気流の向きを変更する風向調節部(35)を更に備え、前記制御部(40)は、前記風向調節部(35)を前記対象空間(S)に面する壁面に向ける第3運転を実行する。
【0015】
第5の態様では、制御部(40)が、風向調節部(35)を対象空間(S)に面する壁面に向ける第3運転を実行することにより、対象空間(S)の壁面周辺に存在する虫(I)のガスを集中的にガスセンサ(10)の検知領域に搬送できる。
【0016】
第6の態様は、第1~第5のいずれか1つの態様において、前記気流生成部(34)で発生する気流の向きを変更する風向調節部(35)を更に備え、前記制御部(40)は、前記風向調節部(35)を前記対象空間(S)に面する床面に向ける第4運転を実行する。
【0017】
第6の態様では、制御部(40)が風向調節部(35)を対象空間(S)に面する床面に向ける第4運転を実行するので、対象空間(S)の床面周辺に存在する虫(I)のガスを集中的にガスセンサ(10)の検知領域に搬送できる。
【0018】
第7の態様は、第1~第6のいずれか1つの態様において、前記気流生成部(34)で発生する気流の向きを変更する風向調節部(35)を更に備え、前記制御部(40)は、虫(I)の種類に関する情報に基づいて前記風向調節部(35)を制御する。
【0019】
第7の態様では、制御部(40)が虫(I)の種類に関する情報に基づいて風向調節部(35)を制御するので、より確実に虫(I)の発するガスをガスセンサ(10)の検知領域に搬送できる。
【0020】
第8の態様は、第1~第7のいずれか1つの態様において、前記気流生成部(34)は、前記対象空間(S)に流れる空気の速度を変更可能に構成される。
【0021】
第8の態様では、気流生成部(34)が対象空間(S)に流れる空気の速度を変更することにより、対象空間(S)において局所的に滞留した虫(I)が発するガスを拡散させることができる。これにより、ガスセンサ(10)の検知領域に虫(I)のガスをより確実に搬送できる。
【0022】
第9の態様は、第1~第8のいずれか1つの態様において、前記駆除部(20)は、虫(I)に対する駆除作用のある駆除剤を前記対象空間(S)に放散する放散部(21)を含み、前記制御部(40)は、前記ガスセンサ(10)の検出値に基づいて前記放散部(21)から放散する前記駆除剤の量を調節する。
【0023】
第9の態様では、例えばガスセンサ(10)の検出値が小さい場合には、駆除剤の放散量を抑えることができる。これにより、対象空間(S)に適切な量の駆除剤を放散できる。
【0024】
第10の態様は、第9の態様において、前記制御部(40)は、前記ガスセンサ(10)の検出値に基づいて虫(I)の種類に関する情報を取得し、取得した前記虫(I)の種類に関する情報に応じて前記放散部(21)から放散する前記駆除剤の種類を変更する。
【0025】
第10の態様では、制御部が虫(I)の種類に関する情報に応じて放散する駆除剤の種類を変更するので、対象空間(S)に存在する虫(I)をより確実に駆除できる。
【0026】
第11の態様は、第1~第10のいずれか1つの態様において、前記駆除部(20)は、虫(I)に対する駆除作用のある駆除剤を前記対象空間(S)に放散する放散部(21)を含み、前記対象空間(S)に存在する人を検知する人検知センサ(61)を更に備え、前記制御部(40)は、前記人検知センサ(61)の検出値に基づいて前記放散部(21)から放散する前記駆除剤の量を調節する。
【0027】
第11の態様では、例えば人検知センサ(61)の検出値によって対象空間(S)に人が存在すると判断された場合には、駆除剤の放散量を抑えることができる。これにより、駆除剤の人の健康への影響を低減できる。
【0028】
第12の態様は、第1~第11のいずれか1つの態様において、前記駆除部(20)は、虫(I)に対する駆除作用のある駆除剤を前記対象空間(S)に放散する放散部(21)を含み、前記制御部(40)は、前記対象空間(S)の換気量に関する換気情報に基づいて前記放散部(21)から放散する前記駆除剤の量を調節する。
【0029】
対象空間(S)の換気量は、対象空間(S)における駆除剤の濃度に影響する。第12の態様では、制御部(40)が換気情報に基づいて放散する駆除剤の量を調節することにより、目的に応じた適切な量の駆除剤を対象空間(S)に放散できる。
【0030】
第13の態様は、第12の態様において、前記対象空間(S)の二酸化炭素の濃度を測定する第1濃度センサ(62)を更に備え、前記制御部(40)は、前記第1濃度センサ(62)の検出値および前記対象空間(S)に存在する人の数に関する情報に基づいて前記換気情報を推定し、推定した前記換気情報に基づいて前記放散部(21)から放散する前記駆除剤の量を調節する。
【0031】
第13の態様では、例えば対象空間(S)の二酸化炭素の濃度が低いにも関わらず、対象空間(S)に存在する人数が多い場合には、換気情報として対象空間(S)の換気量が多いと推定できる。対象空間(S)の換気量は、対象空間(S)における駆除剤の濃度に影響する。制御部(40)が換気情報に基づいて放散する駆除剤の量を調節することにより、目的に応じた適切な量の駆除剤を対象空間(S)に放散できる。
【0032】
第14の態様は、第1~第13のいずれか1つの態様において、前記駆除部(20)は、虫(I)に対する駆除作用のある駆除剤を前記対象空間(S)に放散する放散部(21)を含み、前記対象空間(S)の前記駆除剤の濃度を測定する第2濃度センサ(63)を更に備え、前記制御部(40)は、前記第2濃度センサ(63)の検出値に基づいて前記放散部(21)から放散される前記駆除剤の量を調節する。
【0033】
第14の態様では、第2濃度センサ(63)の検出値に応じて駆除剤の放散量が調節されるので、対象空間(S)における駆除剤の濃度を、虫(I)を駆除するのに適切な濃度に維持できる。
【0034】
第15の態様は、第1~第14のいずれか1つの態様において、前記駆除部(20)は、前記対象空間(S)の温度を調節する温度調節部(22)を含み、前記制御部(40)は、前記ガスセンサ(10)の検出値に基づいて前記温度調節部(22)を制御する。
【0035】
第15の態様では、制御部(40)がガスセンサ(10)の検出値に基づいて駆除部(20)としての温度調節部(22)を制御する。これにより、対象空間(S)の温度を虫(I)が住みにくい温度に調節することで、対象空間(S)に存在する虫を低減できる。
【0036】
第16の態様は、第1~第15のいずれか1つの態様において、前記駆除部(20)は、前記対象空間(S)の湿度を調節する湿度調節部(23)を含み、前記制御部(40)は、前記ガスセンサ(10)の検出値に基づいて前記湿度調節部(23)を制御する。
【0037】
第16の態様では、制御部(40)がガスセンサ(10)の検出値に基づいて駆除部(20)としての湿度調節部(23)を制御する。これにより、対象空間(S)の湿度を虫(I)が住みにくい湿度に調節することで、対象空間(S)に存在する虫(I)を低減できる。
【0038】
第17の態様は、第1~第16のいずれか1つの態様において、前記制御部(40)は、室外空間の環境に関する情報に基づいて前記駆除部(20)を制御する。
【0039】
例えば外気温度、外気湿度、季節の室外空間の環境によって虫(I)の発生のしやすさが異なる。第17の態様では、制御部(40)が室外空間の環境に関する情報に基づいて駆除部(20)を制御するので、室外空間の環境が虫(I)の発生し易い環境であった場合には、より多くの虫(I)を駆除するように駆除部(20)を制御できる。これにより、より確実に対象空間(S)に存在する虫(I)を低減できる。
【0040】
第18の態様は、第1~第17のいずれか1つの態様において、前記ガスセンサ(10)の検出値に基づいて前記対象空間(S)に存在する虫(I)に関する情報を報知する報知部(52)を更に備える。
【0041】
第18の態様では、報知部(52)を備えることにより、人に対して対象空間(S)に存在する虫(I)に関する情報を提供できる。これにより、人に安心感を与えることができる。
【0042】
第19の態様は、第1~第18のいずれか1つの態様において、前記ガスセンサ(10)、前記駆除部(20)、および前記気流生成部(34)のうちの少なくとも1つを収容するケーシング(14)を更に備え、前記ケーシング(14)は、持ち運び可能に構成される。
【0043】
第19の態様では、ガスセンサ(10)、駆除部(20)、および気流生成部(34)のうち少なくとも1つが収容されたケーシング(14)が持ち運び可能に構成されるので、ケーシング(14)に収容されたものの機能を、対象空間においてより効果的に発揮させることができる。
【0044】
第20の態様は、第1~第19のいずれか1つの態様を備える空気処理装置である。
【0045】
第20の態様では、対象空間(S)に存在する虫(I)の検出精度を向上させつつ、対象空間(S)の虫(I)を低減できる虫駆除システム(100)を備える空気処理装置(30)を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る虫駆除システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る虫駆除システムのブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る虫駆除システムの動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態1の変形例1に係る虫駆除システムのブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態1の変形例1に係る第4制御を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態1の変形例2に係る虫駆除システムのブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態1の変形例3に係る虫駆除システムのブロック図である。
【
図8】
図7は、実施形態2に係る虫駆除システムのブロック図である。
【
図9】
図8は、実施形態2に係る虫駆除システムの動作を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態3に係る虫駆除システムのブロック図である。
【
図11】
図11は、実施形態4に係る虫駆除システムのブロック図である。
【
図12】
図12は、その他の変形例1に係る虫駆除システムのブロック図である。
【
図13】
図13は、その他の変形例1に係る虫の種類と対応する風向のデータを示す表である。
【
図14】
図14は、その他の変形例2に係る虫駆除システムのブロック図である。
【
図15】
図15は、その他の変形例9に係る虫駆除システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0048】
《実施形態1》
(1)虫駆除システム
本開示の虫駆除システム(100)は、対象空間(S)に存在する虫(I)を駆除するためのシステムである。本開示の虫駆除システム(100)では、対象空間(S)に発生した虫(I)を追い払う、または対象空間(S)を虫(I)が住みにくい環境を構築することにより、対象空間(S)を虫(I)の数が低減された環境に整えることができる。ここで「駆除」には、虫(I)が本能的に嫌う忌避作用を用いるものと、虫(I)の嗅覚受容体の活動を阻害して嗅覚機能の感度を低下させる阻害作用を用いるものとを含む。
【0049】
図1に示すように、対象空間(S)は、例えばオフィスや、住宅の寝室、リビングルーム、キッチンなどの人が滞在する室内空間である。虫駆除システム(100)で駆除の対象とする対象虫種は、例えば蚊、蛾、蝿、ゴキブリ、蜘蛛、ダニなどである。これらの対象虫種の虫(I)は、人が生活する対象空間(S)において比較的多く発生している害虫である。
【0050】
実施形態1の虫駆除システム(100)は、ガスセンサ(10)と、放散部(21)と、空気処理装置である空気調和機(30)と、制御部(40)と、通信端末(50)とを備える。
【0051】
空気調和機(30)は、対象空間(S)の空気の温度および湿度を調節する。空気調和機(30)の室内ユニット(31)は、壁掛け式である。具体的には、室内ユニット(31)は、建造物の内壁の上部に設置される。
【0052】
通信端末(50)は、空気調和機(30)と通信可能な機器である。通信端末(50)には、スマートフォンや、タブレット端末、携帯電話等が含まれる。
【0053】
(1-1)ガスセンサ
ガスセンサ(10)は、対象虫種の虫(I)が発するガスを検出する。ガスセンサ(10)は、虫(I)の発するガスの強さ又は濃度を検出値として出力する。本実施形態のガスセンサ(10)は、対象空間(S)内に2つ設けられる。
【0054】
第1ガスセンサ(11)は、ガスセンサユニット(13)に設けられる。ガスセンサユニット(13)は、センサケース(14)と、第1ガスセンサ(11)と、第1通信部(15)とを有する。センサケース(14)は、中空箱状に構成される。センサケース(14)には、第1ガスセンサ(11)および第1通信部(15)が収容される。センサケース(14)は、持ち運び可能に構成される。センサケース(14)は、本開示のケーシングに対応する。第1ガスセンサ(11)は、例えば対象空間(S)の床面に置かれる。第1通信部(15)は、第1ガスセンサ(11)の検出値を制御部(40)に送信する送信部を含む。
【0055】
第2ガスセンサ(12)は、室内ユニット(31)に収容される。第2ガスセンサ(12)は、例えば室内ユニット(31)内の吸込口(32a)の付近に取り付けられる。
【0056】
対象空間(S)に複数のガスセンサ(10)を配置することにより、虫(I)が発するガスを確実に検出できる。なお、ガスセンサ(10)は、対象空間(S)内に1つだけ配置されてもよい。更に、第1ガスセンサ(11)は持ち運び可能なケーシング(14)に収容されている。これにより、対象空間(S)における虫(I)が発生しやすい場所(例えば、対象空間(S)の隅や家具の下などの暗い場所)にガスセンサ(10)を配置することができ、虫(I)が発するガスをより確実に検出できる。
【0057】
ここで、本実施形態におけるガスセンサ(10)が検出するガスは、虫(I)が発する固有のガスである。具体的には、ガスセンサ(10)は、虫(I)のフェロモンを検出する。フェロモンは、虫(I)が発する固有のガスであり、虫(I)の体内で作られ体外へ放出することで同種の個体間において特有の行動や生理作用を引き起こす有機化合物である。フェロモンの多くは、嗅覚刺激として受容される。フェロモンには、同種の他個体に危険を知らせる警報フェロモンや、同種の異性個体を呼び寄せる性フェロモンなどがある。ガスセンサ(10)が検出するガスは、フェロモン以外の固有のガスであってもよい。
【0058】
ガスセンサ(10)としては、虫(I)が発するガスを検出できる公知のセンサを用いる。ガスセンサ(10)としては、例えば、虫(I)のフェロモン受容細胞から生成された細胞チップのような湿式のセンサや、複数の電子センサを組み合わせて構成される乾式のセンサを用いてもよい。
【0059】
(1-2)放散部
放散部(21)は、駆除剤を対象空間(S)に放散する。放散部(21)は、虫(I)を駆除可能な駆除動作を行う駆除部(20)を構成する。放散部(21)は、室内ユニット(31)に収容される。放散部(21)は、例えば室内ユニット(31)の吹出口(32b)の付近に配置される。
【0060】
本実施形態の放散部(21)は、液体の駆除剤をミスト状にして放出する噴霧装置である。放散部(21)は、駆除動作として放散動作を行う。本実施形態の放散部(21)は、噴霧ノズルと、タンクと、エアポンプと、流量調節弁とを有する。噴霧ノズルには、タンクが接続される。タンクには、液体の駆除剤が貯留される。タンクは、噴霧ノズルに着脱可能なカートリッジ式である。これにより、駆除剤の交換や補充が簡単にできる。タンクは1つ設けられてもよく、複数設けられてもよい。放散部(21)は、種類の異なる駆除剤が貯留された複数のタンクを有してもよい。
【0061】
エアポンプは、吸い込んだ空気を噴霧ノズルへ供給する。タンクと噴霧ノズルとの間には、流量調節弁が設けられる。流量調節弁は、その開度が変更可能に構成される。流量調節弁の開度を変更することにより、放散部(21)から放散される駆除剤の量を調節する。駆除剤の放散量の調節は、流量調節弁の開度を調節する以外の手段で調節されてもよい。例えば、エアポンプの運転を間欠的に行うことにより、駆除剤の放散量を調節してもよい。
【0062】
本実施形態で用いられる駆除剤は、虫(I)が本能的に嫌がる忌避作用を有する忌避剤、または虫(I)の嗅覚受容体の活動を阻害して嗅覚機能の感度を低下させる阻害作用を有する阻害剤である。忌避作用または阻害作用を有する駆除剤を用いることで、人の健康への影響を少なくできる。
【0063】
(1-3)空気調和機
空気調和機(30)は、冷房運転、暖房運転、および除湿運転を行う。冷房運転では、空気調和機(30)が対象空間(S)の空気を冷却する。暖房運転では、空気調和機(30)が対象空間(S)の空気を加熱する。除湿運転では、空気調和機(30)が対象空間(S)の空気の湿度を下げる。
【0064】
空気調和機(30)は、対象空間(S)に設置される室内ユニット(31)と、室外に設置される室外ユニット(図示省略)とを有する。室内ユニット(31)は、室外ユニットと冷媒配管によって連結される。空気調和機(30)は、温度調節機能を有する。具体的には、空気調和機(30)は、冷凍サイクルを行う冷媒によって、室内空気を冷却又は加熱する。これにより、対象空間(S)の空気の温度が調整される。空気調和機(30)は、温度調節機能に加えて、湿度調節機能を有する。具体的には、空気調和機(30)は、冷凍サイクルを行う冷媒によって、室内空気の湿度を下げる。これにより、対象空間(S)の空気の湿度が調整される。
【0065】
図1に示すように、室内ユニット(31)は、筐体(32)、室内熱交換器(33)、室内ファン(34)、およびフラップ(35)を有する。なお、
図1では、室内ユニット(31)の概略の構成を説明するために室内ユニット(31)を断面図で示している。
【0066】
筐体(32)は、横長の中空箱状に形成される。筐体(32)は、断面が略矩形状に形成される。筐体(32)の前面および上面のそれぞれには、吸込口(32a)が形成される。筐体(32)の下部前面側には、吹出口(32b)が形成される。本実施形態では、筐体(32)の上部に形成された吸込口(32a)付近に第2ガスセンサ(12)が配置される。
【0067】
室内熱交換器(33)は、筐体(32)に収容される。室内熱交換器(33)は、冷媒回路における凝縮器(暖房運転時)や蒸発器(冷房運転時)として機能する。
【0068】
室内ファン(34)は、本開示の気流生成部に対応する。室内ファン(34)は、筐体(32)に収容される。室内ファン(34)は、クロスフローファンである。室内ファン(34)は、対象空間(S)の空気をガスセンサ(10)の検知領域に搬送する。室内ファン(34)は、対象空間(S)における空気の流れを生成する。室内ファン(34)は、対象空間(S)全体の空気が循環するような流れを生成する。ここで、ガスセンサ(10)の検知領域は、該ガスセンサ(10)が虫(I)の発するガスを検知できる範囲のことである。ガスセンサ(10)の検知領域は、該ガスセンサ(10)の周囲の空間である。
【0069】
室内ファン(34)が作動すると、室内ユニット(31)の吹出口(32b)から吹出された空気が、対象空間(S)に面する床面、壁面、および天井面を順にそれぞれの面に沿うように流れた後、吸込口(32a)に戻る。このように対象空間(S)を循環する流れを形成することにより、この空気の流れに虫(I)が発するガスが乗る。これにより、ガスが発生した場所にかかわらず、該ガスがガスセンサ(10)の検知領域まで確実に搬送される。
【0070】
室内ファン(34)は、放散部(21)から放出された駆除剤が混合された空気を対象空間(S)内に拡散させる。室内ファン(34)によって生成された気流にミスト状の駆除剤を混合して、この気流が対象空間(S)を循環することにより、対象空間(S)全体に駆除剤を行き渡らせることができる。
【0071】
フラップ(35)は、本開示の風向調節部に対応する。フラップ(35)は、室内ユニット(31)の吹出口(32b)に設けられる。フラップ(35)は、吹出口(32b)に沿って略水平方向に延びる。フラップ(35)は、不図示のモータによって回転駆動される。フラップ(35)は、室内ファン(34)で発生する気流の向きを変更する。フラップ(35)の姿勢を変更することにより、例えば対象空間(S)に面する床面、壁面、天井面や特定の家具などに向けて空気が搬送される。
【0072】
(1-4)制御部
図2に示す制御部(40)は、放散部(21)、室内ファン(34)、およびフラップ(35)を制御する。制御部(40)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイス(具体的には半導体メモリ)とを含む。制御部(40)は、空気調和機(30)の制御装置に兼用されてもよく、通信端末(50)の制御装置に兼用されてもよい。
【0073】
制御部(40)は、ガスセンサ(10)の検出値に基づいて放散部(21)から放散する駆除剤の量を調節する。本実施形態では、制御部(40)は、ガスセンサ(10)の検出値に基づいて放散部(21)の流量調節弁を制御することで、放散する駆除剤の量を調節する。
【0074】
制御部(40)は、機能部としての第2通信部(41)および判定部(42)を有する。第2通信部(41)は、有線又は無線の通信回線を介して、ガスセンサユニット(13)および通信端末(50)と接続する。第2通信部(41)は、例えば無線ルータを介した無線通信によって他の機器と接続される。第2通信部(41)は、各ガスセンサ(10)から送信された検出値を受信する受信部を含む。第2通信部(41)は、通信端末(50)に虫に関する情報を送信する送信部を含む。
【0075】
判定部(42)は、第2通信部(41)で受信した各ガスセンサ(10)の検出値から、対象空間(S)における虫の多さのレベルを判定する。虫の多さのレベルは、例えば5段階で判定される。詳細には、例えば、レベル0では虫がいない、レベル1では虫が少しいる、レベル2では虫がある程度いる、レベル3では虫が多くいる、レベル4では虫が非常に多くいることを示す。判定部(42)は、ガスセンサ(10)の検出値が0(ゼロ)の場合には、レベル0の判定を行う。判定部(42)は、ガスセンサ(10)の検出値が大きいほど、高いレベルの判定を行う。
【0076】
(1-5)通信端末
通信端末(50)は、人が操作する端末である。本実施形態の通信端末(50)は、スマートフォンである。通信端末(50)は、マイクロコンピュータ及びメモリディバイスを含む。メモリディバイスは、マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納する。通信端末(50)は、機能部としての操作部(51)と、報知部(52)と、第3通信部(53)とを有する。
【0077】
本実施形態の操作部(51)は、通信端末(50)のタッチパネルで構成される。人が操作部(51)を用いて通信端末(50)に記憶されたアプリケーションソフトを操作することにより、虫駆除システム(100)を作動または停止させたり、報知部(52)に虫に関する情報を表示させたりできる。
【0078】
報知部(52)は、対象空間(S)に存在する虫に関する情報を報知する。本実施形態の報知部(52)は、通信端末(50)の液晶パネルで構成される。報知部(52)に表示される虫に関する情報は、対象空間(S)における虫(I)の有無、対象空間(S)に存在する虫の多さのレベル、対象空間(S)における虫の発生のしやすさなどである。報知部(52)には、ガスセンサ(10)で虫(I)の発するガスを検出したときに虫(I)を検知したことを表示してもよく、操作部(51)から制御部(40)に虫に関する情報を表示するよう指令が送られたときに虫に関する情報を表示してもよい。このように、対象空間(S)に存在する虫(I)に関する情報を人に提供することにより、人に安心感を与えることができる。
【0079】
第3通信部(53)は、操作部(51)で入力された指令を制御部(40)に送信する送信部を含む。第3通信部(53)は、制御部(40)から送信された虫に関する情報を受信する受信部を含む。
【0080】
(2)虫駆除システムの運転動作
虫駆除システム(100)の運転動作について説明する。虫駆除システム(100)の運転動作は、駆除運転モードを含む。
【0081】
駆除運転モードでは、虫駆除システム(100)の運転が開始すると、制御部(40)は、室内ファン(34)をONさせる。室内ファン(34)は、対象空間(S)全体の空気が循環するような気流を生成する。なお、制御部(40)は、虫駆除システム(100)の運転が停止するまで室内ファン(34)をONの状態を維持する。
【0082】
室内ファン(34)をONにした後、
図3に示すように、制御部(40)は、ステップST1において、対象空間(S)に虫(I)がいるか否かを判断する。具体的には、第1ガスセンサ(11)および第2ガスセンサ(12)の検出値を制御部(40)に送信する。制御部(40)の判定部(42)は、例えば送信された第1ガスセンサ(11)および第2ガスセンサ(12)の検出値の合算値に基づいて、対象空間(S)における虫の多さのレベルを判定する。第1ガスセンサ(11)または第2ガスセンサ(12)において虫(I)の発するガスが検出されると、判定部(42)はレベル1以上の判定を行う。判定部(42)においてレベル1以上の判定がされると、対象空間(S)に虫(I)がいると判断され、ステップST2が実行される(ステップST1のYES)。
【0083】
ステップST2では、制御部(40)は、放散部(21)に放散動作を開始させる。具体的には、制御部(40)は、判定部(42)で判定されたレベルに応じた量の駆除剤を対象空間(S)に放散するように放散部(21)を制御する。
【0084】
ステップST3において、制御部(40)は、所定時間が経過していれば、ステップST4を実行する。ステップST4において、制御部(40)は、対象空間(S)における虫の数が減少したか否かを判断する。具体的には、例えば制御部(40)の判定部(42)は、第1ガスセンサ(11)の検出値と第2ガスセンサ(12)の検出値の合算値に基づいて、虫の多さのレベルを判定する。判定したレベルが下がっていた場合には、対象空間(S)における虫(I)の数が減ったと判断する。対象空間(S)の虫の数が減少していた場合には、ステップST5が実行される(ステップST4のYES)。
【0085】
ステップST5において、制御部(40)は、放散される駆除剤の量を減少させる。具体的には、制御部(40)は、放散部(21)の流量調節弁の開度を小さくした後、放散部(21)に放散動作を実行させる。
【0086】
ステップST6において、制御部(40)は、対象空間(S)に虫がいないか否かを判断する。具体的には、制御部(40)は、第1ガスセンサ(11)および第2ガスセンサ(12)の検出値がともに0(ゼロ)になったか否かを判断する。対象空間(S)に虫がいなくなったと判断できた場合(ステップST6のYES)には、ステップST7において、制御部(40)は、放散部(21)の放散動作を停止させる。
【0087】
ステップST4において、対象空間(S)における虫の数が減少していなかった場合には、制御部(40)は、ステップST8を実行する(ステップST4のNO)。
【0088】
ステップST8では、制御部(40)は、対象空間(S)における虫の数が増加したか否かを判断する。具体的には、例えば制御部(40)の判定部(42)は、第1ガスセンサ(11)の検出値と第2ガスセンサ(12)の検出値の合算値に基づいて、虫の多さのレベルを判定する。判定したレベルが上がっていた場合には、対象空間(S)における虫(I)の数が増加したと判断する。対象空間(S)の虫の数が増加していた場合には、ステップSTが実行される(ステップST8のYES)。
【0089】
ステップST9において、制御部(40)は、放散される駆除剤の量を増加させる。具体的には、制御部(40)は、放散部(21)の流量調節弁の開度を大きくした後、放散部(21)に放散動作を実行させる。
【0090】
ステップST8において、対象空間(S)における虫の数が増加していなかった場合には、制御部(40)は、ステップST10を実行する(ステップST8のNO)。ステップST10では、制御部(40)は、放散部(21)から放散される駆除剤の量を変えず、維持する。
【0091】
このように、駆除運転モードにおいて、制御部(40)は、ガスセンサ(10)の検出値に基づいて、放散部(21)から放散される駆除剤の量を調節する。これにより、ガスセンサ(10)の検出値が小さい場合には、駆除剤の放散量を抑制できるので、駆除剤の過剰な消費を抑えることができる。ガスセンサ(10)の検出値が大きい場合には、多くの虫を駆除するのに必要十分な量の駆除剤を放散できる。その結果、対象空間(S)に適切な量の駆除剤を放散できる。
【0092】
(3)実施形態1の特徴
(3-1)本実施形態の虫駆除システム(100)は、対象虫種の虫(I)が発するガスを検出するガスセンサ(10)と、対象空間(S)の空気をガスセンサ(10)の検知領域に搬送する気流生成部(34)と、対象空間(S)に存在する虫(I)又は対象虫種の他の虫(I)を駆除可能な駆除動作を行う駆除部(20)と、ガスセンサ(10)の検出値に基づいて駆除部(20)を制御する制御部(40)とを備える。
【0093】
気流生成部(34)が対象空間(S)の空気をガスセンサ(10)の検知領域に搬送するので、例えば複雑な間取りや面積の広い対象空間(S)であっても、対象空間(S)の構造に関係なく、対象空間(S)に対象虫種の虫(I)がいる場合には該虫(I)の発するガスを確実にガスセンサ(10)の検知領域に搬送できる。これにより、対象空間(S)に存在する虫の検出精度を向上できる。そして、制御部(40)は検出精度が向上したガスセンサ(10)の検出値に基づいて駆除部(20)を制御するので、対象空間(S)に存在するガスを発する虫(I)又は該虫(I)と同一種の虫(I)を確実に駆除できる。これにより、対象空間(S)の虫を低減することができる。
【0094】
(3-2)駆除部(20)は、虫に対する駆除作用のある駆除剤を対象空間(S)に放散する放散部(21)を含む。制御部(40)は、ガスセンサ(10)の検出値に基づいて放散部(21)から放散する駆除剤の量を調節する。このため、例えばガスセンサ(10)の検出値が小さい場合には、駆除剤の放散量を抑えることができる。ガスセンサ(10)の検出値が大きい場合には、対象空間(S)の虫を駆除するのに必要十分は量の駆除剤を放散できる。これにより、対象空間(S)に適切な量の駆除剤を放散できる。
【0095】
(3-3)虫駆除システム(100)は、ガスセンサ(10)の検出値に基づいて対象空間(S)に存在する虫に関する情報を報知する報知部(52)を有する。このため、人に対して対象空間(S)に存在する虫に関する情報を提供できる。これにより、人に安心感を与えることができる。
【0096】
(3-4)第1ガスセンサ(11)は、持ち運び可能なケーシング(14)に収容される。このため、対象空間(S)において虫(I)の発生しやすい場所にケーシング(14)を配置することができ、対象空間(S)に存在する虫(I)の発するガスをより確実に検出できる。これにより、ケーシング(14)に収容されたガスセンサ(10)の機能を対象空間(S)においてより効果的に発揮させることができる。
【0097】
(4)実施形態1の変形例
上記実施形態については以下のような変形例としてもよい。なお、以下の説明では、原則として上記実施形態と異なる点について説明する。
【0098】
(4-1)変形例1:人検知センサに基づく制御
図4に示すように、虫駆除システム(100)は、人検知センサ(61)を有してもよい。人検知センサ(61)は、対象空間(S)に存在する人を検出する。人検知センサ(61)は、人の多さや人の数を検知してもよい。人検知センサ(61)は、例えば室内ユニット(31)の吹出口(32b)の付近に取り付けられる。
【0099】
制御部(40)は、人検知センサ(61)の検出値に基づいて放散部(21)から放散する駆除剤の量を調節する。具体的には、本変形例では、虫駆除システム(100)の駆除運転モードにおいて、制御部(40)は、第1制御、第2制御、または第3制御を行う。第1制御~第3制御について説明する。
【0100】
(4-1-A)第1制御
第1制御では、実施形態1の虫駆除システム(100)の運転動作に対して、ステップST1、ステップST4、ステップST6、およびステップST8が異なる。
【0101】
具体的には、第1制御のステップST1において、制御部(40)は、放散動作を開始する条件が成立したか否かを判断する。第1制御における放散動作を開始する条件は、対象空間(S)に虫(I)がいる、且つ対象空間(S)に人が居ることである。対象空間(S)に虫(I)がいるか否かの判断は、実施形態1と同様に行う。対象空間(S)に人が居るか否かの判断は、制御部(40)が人検知センサ(61)の検出値から判断する。
【0102】
第1制御のステップST4において、制御部(40)は、対象空間(S)における人の数が減少したか否かを判断する。具体的には、制御部(40)は、人検知センサ(61)の検出値が小さくなった場合には、対象空間(S)に居る人が減少したと判断する。対象空間(S)の人の数が減少していた場合には、ステップST5が実行される(ステップST4のYES)。
【0103】
第1制御のステップST6において、制御部(40)は、放散動作を停止する条件が成立したか否かを判断する。第1制御における放散動作を停止する条件は、対象空間(S)に虫(I)がいない、または対象空間(S)に人が居ないことである。対象空間(S)に虫(I)がいないか否かの判断は、実施形態1と同様に行う。対象空間(S)に人が居ないか否かの判断は、制御部(40)が人検知センサ(61)の検出値が0(ゼロ)になったか否かによって判断する。
【0104】
このように、対象空間(S)に虫(I)または人がいない場合には、放散部から駆除剤が放散されないので、駆除剤の消費を抑制できる。
【0105】
第1制御のステップST8において、制御部(40)は、対象空間(S)における人の数が増加したか否かを判断する。具体的には、制御部(40)は、人検知センサ(61)の検出値が大きくなった場合には、対象空間(S)に居る人が増加したと判断する。対象空間(S)の人の数が増加していた場合には、ステップST9が実行される。
【0106】
(4-1-B)第2制御
第2制御では、実施形態1の虫駆除システム(100)の運転動作に対して、ステップST1、およびステップST6が異なる。
【0107】
第2制御のステップST1において、制御部(40)は、放散動作を開始する条件が成立したか否かを判断する。第2制御における放散動作を開始する条件は、対象空間(S)に虫(I)がいる、且つ対象空間(S)に人が居ないことである。対象空間(S)に虫(I)がいるか否かの判断は、実施形態1と同様に行う。対象空間(S)に人が居ないか否かの判断は、制御部(40)が人検知センサ(61)の検出値が0(ゼロ)になったか否かによって判断する。
【0108】
第2制御のステップST6において、制御部(40)は、放散動作を停止する条件が成立したか否かを判断する。第2制御における放散動作を停止する条件は、対象空間(S)に虫(I)がいない、または対象空間(S)に人が居ることである。対象空間(S)に虫(I)がいないか否かの判断は、実施形態1と同様に行う。対象空間(S)に人が居るか否かの判断は、制御部(40)が人検知センサ(61)の検出値に基づいて判断する。
【0109】
このように、対象空間(S)に人がいない場合に放散部から駆除剤が放散されるので、人が居ない間に対象空間(S)に虫(I)が住みつくことを抑制できる。加えて、対象空間(S)に人が居るときには駆除剤が放散されないので、人の健康への影響を低減できる。
【0110】
(4-1-C)第3制御
第3制御では、実施形態1の虫駆除システム(100)の運転動作に対して、ステップST2が異なる。
【0111】
第3制御のステップST2では、制御部(40)は放散部(21)に放散動作を開始させる。その際、制御部(40)は、人検知センサ(61)の検出値から対象空間(S)に人が居るか否かを判断する。人が居ると判断した場合には、制御部(40)は、放散部(21)から放散される駆除剤の量を、例えば判定部(42)で判定された虫の多さのレベルに応じた量から所定量だけ減らした量に設定する。このように、対象空間(S)に人が居る場合に駆除剤の放散量を減少させることにより、人の健康への影響を低減できる。
【0112】
(4-2)変形例2:換気情報に基づく制御
虫駆除システム(100)では、制御部(40)が対象空間(S)の換気量に関する換気情報に基づいて放散部(21)を制御してもよい。対象空間(S)の換気量は、対象空間(S)における駆除剤の濃度に影響するからである。
【0113】
(4-2-1)
本変形例の虫駆除システムでは、
図5に示すように、対象空間(S)の二酸化炭素濃度を測定する第1濃度センサ(62)と、対象空間(S)に存在する人を検出する人検知センサ(61)とを備える。第1濃度センサ(62)および人検知センサ(61)は、例えば空気調和機(30)に取り付けられる。
【0114】
制御部(40)は、第1濃度センサ(62)の検出値および人検知センサ(61)の検出値に基づいて換気情報を推定し、推定した換気情報に基づいて放散部(21)から放散する駆除剤の量を調節する。本変形例では、虫駆除システム(100)の駆除運転モードにおいて、制御部(40)は、第4制御または第5制御を行う。第4制御および第5制御は、それぞれの目的に応じて実行される。以下に第4制御および第5制御について説明する。
【0115】
(4-2-1A)第4制御
図6に示すように、第4制御では、実施形態1の運転動作と同様に、室内ファン(34)をONにした後に、制御部(40)は、ステップST101からステップST103を実行する。第4制御におけるステップST101からステップST103は、実施形態1のステップST1からステップST3と同じである。
【0116】
ステップST103において、制御部(40)は、所定時間が経過していれば、ステップST104を実行する。ステップST104において、制御部(40)は、対象空間(S)に人が居るか否かを判断する。具体的には、制御部(40)は、人検知センサ(61)の検出値に基づいて判断する。ステップST104において、人が居ると判断された場合には、ステップST105が実行される(ステップST104のYES)。人が居ないと判断された場合には、ステップST107が実行される(ステップST104のNO)。
【0117】
ステップST105において、制御部(40)は、対象空間(S)の二酸化炭素の濃度Cが基準濃度C1以上であるか否かを判断する。対象空間(S)の二酸化炭素の濃度Cは、第1濃度センサ(62)から取得する。制御部(40)は、第1濃度センサ(62)の検出値と基準濃度C1とを比較することにより判断を行う。基準濃度C1は、例えば800ppmである。
【0118】
ステップST105において、濃度Cが基準濃度C1以上であると判断された場合には、ステップST106が実行される(ステップST105のYES)。濃度Cが基準濃度C1よりも小さいと判断された場合には、ステップST107が実行される(ステップST105のNO)。
【0119】
ここで、ステップST105において、濃度Cが基準濃度C1以上であると判断された場合、対象空間(S)において人が存在しかつ二酸化炭素の濃度が高いので、対象空間(S)では換気がされていないまたは換気量が少ないと言える。一方で、ステップST105において、濃度Cが基準濃度C1よりも小さいと判断された場合、対象空間(S)において人が存在するにもかかわらず二酸化炭素の濃度が低いので、対象空間(S)では換気がされているまたは換気量が多いと言える。
【0120】
ステップST106において、制御部(40)は、放散される駆除剤の量を増加させる。具体的には、制御部(40)は、放散部(21)の流量調節弁の開度を大きくした後、放散部(21)に放散動作を実行させる。
【0121】
ステップST107において、制御部(40)は、放散される駆除剤の量を減少させる。具体的には、制御部(40)は、放散部(21)の流量調節弁の開度を小さくした後、放散部(21)に放散動作を実行させる。
【0122】
このように、制御部(40)は、対象空間(S)において換気がされていないまたは換気量が少ない場合には、駆除剤の放散量を増加させる。一方、制御部(40)は、対象空間(S)において換気がされているまたは換気量が多い場合には、駆除剤の放散量を減少させる。対象空間(S)において換気量が多い場合には、放散した駆除剤が室外に放出されてしまい駆除剤が無駄に消費されてしまう。本変形例では、対象空間(S)の換気量が多い場合に駆除剤の放散量を減少させるので、駆除剤を無駄に消費することを抑制できる。
【0123】
第4制御におけるステップST108およびステップST109は、実施形態1のステップST6からステップST7と同じである。
【0124】
(4-2-1B)第5制御
第5制御では、第4制御に対してステップST105が異なる。具体的には、ステップST105において、制御部(40)は、対象空間(S)の二酸化炭素の濃度Cが基準濃度C1より小さいか否かを判断する。
【0125】
ステップST105において、濃度Cが基準濃度C1より小さいと判断された場合には、ステップST106が実行される(ステップST105のYES)。濃度Cが基準濃度C1以上であると判断された場合には、ステップST107が実行される(ステップST105のNO)。
【0126】
このように、制御部(40)は、対象空間(S)において換気がされているまたは換気量が多い場合には、駆除剤の放散量を増加させる。一方、制御部(40)は、対象空間(S)において換気がされていないまたは換気量が少ない場合には、駆除剤の放散量を減少させる。対象空間(S)において換気量が多い場合には、放散した駆除剤が室外に放出されてしまう。本変形例では、対象空間(S)の換気量が多い場合に駆除剤の放散量を増加させるので、室外に放出されてしまう駆除剤を補うことができ、対象空間(S)の駆除剤の濃度を、虫(I)を駆除するのに適切な濃度に保つことができる。
【0127】
(4-2-2)
人検知センサ(61)は、人の多さや人の人数を検知してもよい。制御部(40)は、人検知センサ(61)の検出値から対象空間(S)に存在する人の数に関する人数情報を取得する。なお、ここで「人数情報」には、対象空間に人が居ないという情報を含む。
【0128】
制御部(40)は、第1濃度センサ(62)の検出値および人数情報に基づいて、換気情報を推定する。制御部(40)は、推定した換気情報に基づいて放散部(21)から放散する駆除剤の量を調節する。
【0129】
例えば制御部(40)は、第1濃度センサ(62)の検出値が小さく対象空間(S)の二酸化炭素の濃度が低いにもかかわらず、対象空間(S)に人が多いという人数情報を取得した場合には、対象空間(S)の換気量が多いという換気情報を出力する。
【0130】
(4-2-3)
換気情報の取得は、第1濃度センサ(62)および人検知センサ(61)を用いる手段に限られない。例えば、虫駆除システム(100)が、空気処理装置として換気装置を備える場合には、該換気装置の換気量から換気情報を取得してもよい。
【0131】
(4-3)変形例3:駆除剤の濃度に基づく制御
図7に示すように、虫駆除システム(100)は、対象空間(S)の駆除剤の濃度を測定する第2濃度センサ(63)を有してもよい。第2濃度センサ(63)は、例えばガスセンサユニット(13)に取り付けられる。
【0132】
制御部(40)は、第2濃度センサ(63)の検出値に基づいて放散部(21)から放散する駆除剤の量を調節する。具体的には、制御部(40)は、第2濃度センサ(63)の検出値に基づいて、対象空間(S)における駆除剤の濃度が設定された目標値に維持されるように、放散量を制御する。ここで、設定された目標値とは、対象空間(S)に存在する虫(I)を駆除できる駆除剤の濃度であり、ガスセンサ(10)の検出値に応じて異なる値に設定されてもよい。
【0133】
詳細には、第2濃度センサ(63)の検出値が目標値よりも小さい場合には、制御部(40)は、放散部(21)から放散される駆除剤の量が増加するように流量調節弁の開度を大きくする。一方で、第2濃度センサ(63)の検出値が目標値より大きい場合には、制御部(40)は、放散部(21)から放散される駆除剤の量が減少するように流量調節弁の開度を小さくする。
【0134】
このように、第2濃度センサ(63)の検出値に応じて駆除剤の放散量が調節されるので、対象空間(S)における駆除剤の濃度を、虫を駆除するのに適切な濃度に維持できる。
【0135】
(4-4)変形例4:虫の種類に基づく制御
虫駆除システム(100)のガスセンサ(10)は、虫の種類を検出してもよい。この場合、制御部(40)は、ガスセンサ(10)の検出値に基づいて対象空間(S)に存在する虫の種類に関する情報を取得する。
【0136】
制御部(40)は、取得した虫の種類に関する情報に応じて、放散部(21)から放散する駆除剤の種類を変更してもよい。これにより、対象空間(S)で発生した虫(I)の種類に応じて適切な駆除剤を放散できる。その結果、対象空間(S)に存在する虫(I)をより確実に駆除できる。
【0137】
(4-5)変形例5:放散部
虫駆除システム(100)の放散部(21)は、静電噴霧式の噴霧装置でもよい。静電噴霧式の噴霧装置では、噴霧ノズルの先端から帯電した液体(駆除剤)が噴霧される。帯電した駆除剤を対象空間(S)に放出することにより、駆除剤が対象空間(S)に面する床面、壁面、または天井面に付着し易くなる。
【0138】
また、虫駆除システム(100)の放散部(21)は、超音波式や圧電式の噴霧装置であってもよい。超音波式の噴霧装置では、超音波振動子で生じさせた振動エネルギーによって液体を微粒化する。圧電式の噴霧装置では、圧電素子が変形と復元とを繰り返すことにより液体を微粒化する。これらの噴霧装置では、放散部(21)を安価に構成でき、かつ放散部(21)の駆動に伴う音を低減できる。加えて、これらの噴霧装置では、微量の液体供給を安定して実現することができる。
【0139】
《実施形態2》
実施形態2の虫駆除システム(100)は、実施形態1の虫駆除システム(100)において、駆除部(20)を変更したものである。ここでは、本実施形態の駆除部(20)について、実施形態1の駆除部(20)と異なる点を説明する。
【0140】
図8に示すように、本実施形態の虫駆除システム(100)は、駆除部(20)として温度調節部(22)を有する。温度調節部(22)は、対象空間(S)の温度を調節する。本実施形態の温度調節部(22)は、空気調和機(30)の温度調節機能によって構成される。制御部(40)は、ガスセンサ(10)の検出値に基づいて温度調節部(22)を制御する。
【0141】
本実施形態の虫駆除システム(100)の運転動作について説明する。虫駆除システム(100)の駆除運転モードでは、実施形態1と同様に、虫駆除システム(100)の運転が開始すると、制御部(40)は、室内ファン(34)をONさせる。室内ファン(34)は、対象空間(S)全体の空気が循環するような気流を生成する。なお、制御部(40)は、虫駆除システム(100)の運転が停止するまで室内ファン(34)をONの状態を維持する。
【0142】
制御部(40)は、室内ファン(34)をONにした後、
図9に示すように、ステップST201において、対象空間(S)に虫(I)がいるか否かを判断する。ステップST201における判断は、実施形態1のステップST1と同様に行う。ステップST201において、対象空間(S)に虫(I)がいると判断されると、ステップST202が実行される(ステップST201のYES)。
【0143】
ステップST202では、制御部(40)は、温度調節部(22)に温度調節動作を開始させる。温度調節動作では、対象空間(S)を虫(I)が住みにくい温度になるように制御部(40)が温度調節部(22)を制御する。具体的には、温度調節動作では、室外ユニットの室外熱交換器を放熱器として機能させ、室内熱交換器(33)を蒸発器として機能させる冷房運転を行う。冷房運転により、室内熱交換器(33)を通過する空気は冷却される。これにより、対象空間(S)の温度を目標温度まで低下させられる。対象空間(S)の温度を低下させるのは、虫(I)が低温の環境を嫌うからである。
【0144】
なお、ここでいう「目標温度」は、虫(I)が住み着きにくい温度であり、対象空間(S)に存在する虫(I)の種類に応じて異なってもよい。また「目標温度」は、対象空間(S)に人がいる場合には、快適性を損なわない温度に設定されてもよい。
【0145】
ステップST203において、制御部(40)は、所定時間が経過していれば、ステップST204を実行する。ステップST204において、制御部(40)は、対象空間(S)に虫がいないか否かを判断する。ステップST204における判断は、実施形態1のステップST6と同様に行う。対象空間(S)に虫(I)がいなくなったと判断できた場合(ステップST204のYES)には、ステップST205において、制御部(40)は、温度調節動作を停止させる。
【0146】
このように、制御部(40)が温度調節部(22)を制御して対象空間(S)の温度を低下させることにより、虫(I)が住みにくい環境を構築して、対象空間(S)に存在する虫(I)を対象空間(S)の外に追い払うことができる。その結果、対象空間(S)に存在する虫(I)を低減できる。
【0147】
本実施形態では、虫駆除システム(100)は、駆除剤を用いることなく温度調節部(22)の温度調節動作のみによって対象空間(S)に存在する虫(I)を低減するので、人の健康への影響をより低減できる。なお、本実施形態において、制御部(40)は、ガスセンサ(10)の検出値に基づいて温度調節部(22)の能力を変更させてもよい。
【0148】
《実施形態3》
実施形態3の虫駆除システム(100)は、実施形態2の虫駆除システム(100)において、駆除部(20)を変更したものである。ここでは、本実施形態の駆除部(20)について、実施形態2の駆除部(20)と異なる点を説明する。
【0149】
図10に示すように、本実施形態の虫駆除システム(100)は、駆除部(20)として湿度調節部(23)を有する。湿度調節部(23)は、対象空間(S)の湿度を調節する。本実施形態の湿度調節部(23)は、空気調和機(30)の湿度調節機能によって構成される。制御部(40)は、ガスセンサ(10)の検出値に基づいて湿度調節部(23)を制御する。
【0150】
本実施形態の虫駆除システム(100)の運転動作について説明する。本実施形態の虫駆除システム(100)の駆除運転モードは、実施形態2の運転動作に対して、ステップST202が異なる。
【0151】
ステップST202では、制御部(40)は、湿度調節部(23)に湿度調節動作を開始させる。湿度調節動作では、対象空間(S)を虫(I)が住みにくい湿度になるように制御部(40)が湿度調節部(23)を制御する。具体的には、湿度調節動作では、室外ユニットの室外熱交換器を放熱器として機能させ、室内熱交換器(33)を蒸発器として機能させる除湿運転を行う。除湿運転により、室内熱交換器(33)を通過した空気は、露点温度以下まで冷却される。このため、空気中の水分が結露し、この空気が除湿される。これにより、対象空間(S)の湿度を低下させられる。対象空間(S)の湿度を低下させるのは、虫(I)が低湿の環境を嫌うからである。
【0152】
なお、ここでいう「目標湿度」は、虫(I)が住み着きにくい湿度であり、対象空間(S)に存在する虫(I)の種類に応じて異なってもよい。また「目標湿度」は、対象空間(S)に人がいる場合には、快適性を損なわない湿度に設定してもよい。
【0153】
このように、制御部(40)が湿度調節部(23)を制御して対象空間(S)の湿度を低下させることにより、虫(I)が住みにくい環境を構築して、対象空間(S)に存在する虫(I)を対象空間(S)の外に追い払うことができる。その結果、対象空間(S)に存在する虫(I)を低減できる。なお、本実施形態において、制御部(40)は、ガスセンサ(10)の検出値に基づいて湿度調節部(23)の能力を変更させてもよい。
【0154】
《実施形態4》
実施形態4の虫駆除システム(100)は、実施形態2の虫駆除システム(100)において、駆除部(20)を変更したものである。ここでは、本実施形態の駆除部(20)について、実施形態2の駆除部(20)と異なる点を説明する。
【0155】
図11に示すように、本実施形態の虫駆除システム(100)は、駆除部(20)として音発生部(24)を有する、音発生部(24)は、対象空間(S)に向かって虫(I)だけが嫌う周波数の音を発する。音発生部(24)が発する音の周波数は、例えば15kHz~20kHzである。音発生部(24)は、例えば空気調和機(30)に取り付けられる。制御部(40)は、ガスセンサ(10)の検出値に基づいて音発生部(24)を制御する。
【0156】
本実施形態の虫駆除システム(100)の運転動作における駆除運転モードは、実施形態2の運転動作に対して、ステップST202が異なる。
【0157】
本実施形態のステップST202では、制御部(40)は、音発生部(24)に虫(I)が嫌う周波数の音を発生させる。このように、虫(I)だけが嫌う周波数の音を発することにより、対象空間(S)から虫(I)が追い払われ、虫(I)の数が低減する。
【0158】
ここで発生させる音は、人が聞き取れない周波数の音である。音発生部(24)が人には聞き取れないので、人に不快感を与えることなく、対象空間(S)から虫(I)を追い払うことができる。
【0159】
《その他の変形例》
上記各実施形態においては、以下のような変形例の構成を採用してもよい。
【0160】
(1)変形例1:記憶部
図12に示すように、制御部(40)は、機能部としての記憶部(43)を有してもよい。制御部(40)は、制御基板とは別体の記憶部(43)を有してもよい。
【0161】
記憶部(43)は、複数種の虫(I)と、各虫(I)に対応する気流の向き(風向)を含むデータを有する(
図13を参照)。このデータは、対象となる虫と、該虫が発生しやすい場所とを関連づけたデータである。
【0162】
本変形例の虫駆除システム(100)では、該虫駆除システム(100)の出荷時において、本虫駆除システム(100)が設置される地域(仕向地)に応じて駆除の対象とする虫(I)の種類を予め設定してもよく、虫駆除システム(100)を対象空間(S)に設置する際に作業者が駆除の対象とする虫(I)の種類を予め設定してもよい。この場合には、ガスセンサ(10)が虫(I)の発するガスを検知すると、制御部(40)は、記憶部(43)に記憶されたデータに基づき、予め設定された虫(I)の種類に対応する風向になるように室内ユニット(31)のフラップ(35)を制御する。なお、虫(I)の種類の設定は、例えばディップスイッチを操作することにより行われる。
【0163】
ガスセンサ(10)が対象空間(S)に存在する虫の種類を検出する場合には、虫駆除システム(100)の運転中において、制御部(40)が記憶部(43)に記憶されたデータに基づき、検出された虫(I)の種類に対応する風向を取得し、取得した風向になるように室内ユニット(31)のフラップ(35)を制御してもよい。
【0164】
(2)変形例2:攪拌運転
制御部(40)は、対象空間(S)の空気を攪拌する攪拌運転を実行してもよい。攪拌運転は、本開示の第1運転で対応する。攪拌運転では、制御部(40)は、フラップ(35)の姿勢を短時間の間に周期的に変更する。対象空間(S)の空気が攪拌されることで、局所的に滞留していた虫(I)の発したガスを、対象空間(S)を循環する空気の流れに乗せることができる。これにより、虫(I)が発したガスをガスセンサ(10)に搬送することができ、虫(I)のガスを確実に検出できる。
【0165】
加えて、虫駆除システム(100)が放散部(21)を備える場合には、制御部(40)が攪拌運転を行うことにより、放散部(21)から放散された駆除剤を対象空間(S)全体に拡散させることができる。
【0166】
制御部(40)は、虫駆除システム(100)の運転中において、攪拌運転を所定時間毎(例えば、1時間毎)に実行してもよい。
【0167】
図14に示すように、虫駆除システム(100)が、対象空間(S)の温度を測定する複数の温度センサ(64)を備え、各温度センサ(64)が対象空間(S)における異なる位置に配置される場合に、制御部(40)は、各温度センサ(64)の検出値に差があるときに攪拌運転を実行してもよい。各温度センサ(64)の検出値が異なる場合には、対象空間(S)において温度の異なる空気の層が形成されている可能性が高い。このような場合に攪拌運転を実行することにより、攪拌された空気とともに虫(I)が発したガスがガスセンサ(10)に搬送される。これにより、ガスセンサ(10)で虫の発したガスをより確実に検出できる。
【0168】
(3)変形例3:集中運転
制御部(40)は、天井集中運転、壁集中運転、床集中運転、および什器集中運転のうち少なくとも1つの集中運転を実行してもよい。天井集中運転、本開示の第2運転に対応する。壁集中運転は、本開示の第3運転に対応する。床集中運転は、本開示の第4運転に対応する。
【0169】
天井集中運転は、フラップ(35)を対象空間(S)に面する天井面に向けて空気を流す運転である。壁集中運転は、フラップ(35)を対象空間(S)に面する壁面に向けて空気を流す運転である。床集中運転は、フラップ(35)を対象空間(S)に面する床面に向けて空気を流す運転である。什器集中運転は、フラップ(35)を、例えばソファなどの家具や布団などの寝具等の什器に向けて空気を流す運転である。
【0170】
制御部(40)が、天井集中運転、壁集中運転、床集中運転、および什器集中運転のいずれかの集中運転を実行することにより、対象空間(S)の天井面、壁面、床面、または什器の周辺に発生した虫(I)のガスを集中的にガスセンサ(10)に搬送できる。これにより、対象空間(S)に存在する虫をより低減できる。
【0171】
加えて、虫駆除システム(100)が放散部(21)を備える場合には、制御部(40)が天井集中運転、壁集中運転、床集中運転、または什器集中運転を行うことにより、放散部(21)から放散された駆除剤を虫(I)が特に発生しやすい場所に集中的に放散させることができる。
【0172】
ガスセンサ(10)が虫の種類を検出できる場合には、制御部(40)は、ガスセンサ(10)の検出値から取得した虫に関する情報に基づいて、実行する集中運転を決定してもよい。その際、制御部(40)は、複数の集中運転を組み合わせて実行してもよい。これにより、対象空間(S)に存在する虫(I)の種類に応じてより確実に虫(I)の発したガスを検知できるとともに、効率よく虫(I)に駆除剤を放散することで確実に虫(I)を駆除できる。
【0173】
なお、制御部(40)は、ガスセンサ(10)の検出値から取得した虫に関する情報に基づいて、実行する集中運転を決定することに限られず、虫(I)を駆除するのに適切な風向になるようにフラップ(35)を制御してもよい。具体的には、制御部(40)は、天井面と壁面との境目、壁面同士の境目、壁面と床面との境目などに空気を流すようにフラップ(35)を制御してもよい。
【0174】
(4)変形例4:予防運転モード
虫駆除システム(100)の運転動作は、駆除運転モードに加えて、予防運転モードを含んでもよい。予防運転モードでは、対象空間(S)に虫(I)がいないときに、制御部(40)が駆除動作を実行する。具体的には、予防運転モードでは、ガスセンサ(10)の検出値が0(ゼロ)であった場合に、制御部(40)が対象空間(S)に虫がいないと判断し駆除動作を実行する。
これにより、対象空間(S)に虫がいない場合でも、予防的に対象空間(S)を虫(I)が侵入しにくい環境に整えることができる。予防運転モードは、例えば予め設定された時間毎に定期的に実行されても、対象空間(S)に人が居ないときに実行されてもよい。
【0175】
(5)変形例5:室外環境に基づく制御
制御部(40)は、室外空間の環境に関する情報に基づいて駆除部(20)を制御してもよい。室外空間の環境は、虫(I)の発生のしやすさに影響する。ここでいう室外空間の環境に関する情報とは、室外空間の温度または湿度、季節などである。室外空間の環境に関する情報は、例えば室外ユニットに配置された温度センサおよび湿度センサから取得してもよく、通信回線を介して現在の日付、気温、湿度等の電子情報を取得してもよい。
【0176】
制御部(40)は、機能部として、室外空間の環境に関する情報に基づいて、虫の発生のしやすさを予測する予測部を有する。予測部は、虫の発生のしやすさを虫発生リスクとして複数段階のレベルで出力する。例えば予測部は、夏季ではリスクが高い、春季または秋季ではリスクが中程度、冬季ではリスクが低いことを出力する。
【0177】
虫駆除システム(100)の運転動作における駆除運転モードにおいて、予測部で出力されたリスクのレベルを駆除動作に反映する。具体的には、例えば駆除部(20)が放散部(21)である場合、予測部の出力がリスク高を出力したときには、制御部(40)は、放散する駆除剤の量を放散動作の全体を通じて所定量だけ多くなるように放散部(21)を制御する。一方、予測部の出力がリスク低を出力したときには、制御部(40)は、放散する駆除剤の量を放散動作の全体を通じて所定量だけ少なくなるように放散部(21)を制御する。
【0178】
このように、制御部(40)は、室外空間の環境に関する情報に基づいて駆除部(20)を制御するので、室外空間の環境が虫の発生し易い環境であった場合には、より多くの虫を駆除するように駆除部(20)を制御できる。これにより、より確実に対象空間(S)に存在する虫を低減できる。一方で、室外空間の環境が虫の発生しにくい環境であった場合には、駆除部(20)の動作を抑制できる。
【0179】
また、予測部の出力がリスク低を出力したときには、制御部(40)は、室内ファン(34)の風量を低下させてもよい。これにより、虫(I)が発生しにくい環境において、虫駆除システム(100)を運転するのに必要なエネルギーを低減でき、省エネになる。
【0180】
なお、室外空間の環境に関する情報に基づく制御は、予防運転モードに適用してもよい。この場合、例えば予測部の出力がリスク高であった場合には予防運転モードを実行し、予測部の出力がリスク低であった場合には予防運転モードを実行しないようにすることができる。
【0181】
(6)変形例6:気流生成部の動作
室内ファン(34)は、対象空間(S)に流れる空気の速度を変更可能に構成されてもよい。具体的には、例えば低速の空気と高速の空気とを短時間の間に周期的に繰り返すことで間欠的な気流を生成してもよい。これにより、対象空間(S)において局所的に滞留している虫が発したガスを対象空間(S)に拡散させることができる。拡散されたガスが対象空間(S)を循環する流れに乗ることで、ガスセンサ(10)に虫のガスをより確実に搬送できる。
【0182】
(7)変形例7:報知部に表示される情報
報知部(52)には、検出した虫の種類、対象空間(S)に人が居ない間の虫(I)の有無または虫の多さのレベル、過去の虫に関する情報の履歴などを表示してもよい。対象空間(S)に人が居ない間の虫に関する情報や、過去の虫に関する情報は、例えば制御部(40)の記憶部(43)に記憶される。このように、対象空間(S)における様々な虫(I)に関する情報を提供することで、人に安心感を与えることができる。
【0183】
(8)変形例8:駆除部、気流生成部の配置
上記各実施形態の虫駆除システム(100)は、1つの駆除部(20)を備えていたが、複数の駆除部(20)を備えてもよい。複数の駆除部(20)を備える場合には、駆除部(20)が持ち運び可能なケーシングに収容されてもよい。駆除部(20)が持ち運べることにより、対象空間(S)における虫(I)が発生しやすい場所に駆除部(20)を配置できる。これにより、より効果的に虫(I)を駆除できる。駆除部(20)が放散部(21)である場合には、放散部(21)が持ち運び可能であることにより、駆除剤を貯留するタンクの交換が容易に行うことができる。
【0184】
上記各実施形態の虫駆除システム(100)は、1つの気流生成部(34)を備えていたが、複数の気流生成部(34)を備えてもよい。複数の気流生成部(34)は、互いに連動して動作してもよい。また、複数の気流生成部(34)を備える場合には、気流生成部(34)が持ち運び可能なケーシングに収容されてもよい。気流生成部(34)が持ち運べることにより、例えば空気が滞留しやすい場所に気流生成部(34)を配置することで、対象空間(S)の空気をより効率よく循環させることができる。これにより、虫(I)が発するガスをより確実にガスセンサ(10)に搬送できる。加えて、駆除部(20)の効果を対象空間(S)の全体に作用させることができる。
【0185】
このように、ガスセンサ(10)だけでなく、駆除部(20)および気流生成部(34)を持ち運び可能にすることで、各機能をより効果的に発揮させることができる。なお、ガスセンサ(10)、駆除部(20)、および気流生成部(34)を必ずしも別のケーシングに収容する必要はなく、例えばガスセンサ(10)と駆除部(20)とを1つのケーシングに収容してもよい。
【0186】
(9)変形例9:室内ユニットの形式
室内ユニット(31)は、天井設置式(天井埋込式や天井吊下げ式)、や床置き式であってもよい。天井設置式の室内ユニット(31)の場合には、
図15に示すように、ガスセンサ(10)は、室内ユニット(31)の中央部に設けられた吸込口付近に配置される。放散部(21)は、吸込口を囲むように設けられた吹出口付近に配置される。
【0187】
(10)変形例10:駆除部の組み合わせ
虫駆除システム(100)の駆除部(20)は、放散部(21)、温度調節部(22)、湿度調節部(23)、および音発生部(24)を組み合わせてもよい。様々な種類の駆除部(20)を組み合わせることにより、より効果的に対象空間(S)に存在する虫(I)を低減できる。
【0188】
(11)変形例11:空気処理装置
空気処理装置(30)は、空気の流れをできる装置であれば、空気調和機(30)以外の他の装置であってもよい。空気処理装置(30)は、調湿装置、換気装置、および空気清浄機であってもよい。調湿装置は、対象空間(S)の空気の湿度を調節する。換気装置は、対象空間(S)の換気をする。空気清浄機は、対象空間(S)の空気を浄化する。
【0189】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態に係る要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0190】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0191】
以上説明したように、本開示は、虫駆除システム、および空気処理装置について有用である。
【符号の説明】
【0192】
10 ガスセンサ
14 センサケース(ケーシング)
20 駆除部
21 放散部
22 温度調節部
23 湿度調節部
30 空気調和機(空気処理装置)
34 室内ファン(気流生成部)
35 フラップ(風向調節部)
40 制御部
52 報知部
61 人検知センサ
62 第1濃度センサ
63 第2濃度センサ
64 温度センサ
100 虫駆除システム
I 虫
S 対象空間