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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116013
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】データ変換装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/2343 20110101AFI20240820BHJP
【FI】
H04N21/2343
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021985
(22)【出願日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(72)【発明者】
【氏名】蛭間 信博
(72)【発明者】
【氏名】河村 侑輝
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 恭一
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164GA03
5C164MA03S
5C164PA32
5C164SB02P
(57)【要約】
【課題】3次元オブジェクトデータの伝送効率を向上させる。
【解決手段】被写体を複数のカメラで撮影してモデリングした3次元モデルのデータである実写ベースCGデータと、テクスチャの時間変化がない3次元CGモデルのデータであるCGデータと、を含む完成データを入力するデータ変換装置70は、完成データを、実写ベースCGデータと、CGデータとに分類する分類部71と、所定のフレームにおけるCGデータのテクスチャのデータを間引く間引き部73と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を複数のカメラで撮影してモデリングした3次元モデルのデータである実写ベースCGデータと、テクスチャの時間変化がない3次元CGモデルのデータであるCGデータと、を含む完成データを入力するデータ変換装置であって、
前記完成データを、前記実写ベースCGデータと、前記CGデータとに分類する分類部と、
所定のフレームにおけるCGデータのテクスチャのデータを間引く間引き部と、
を備えるデータ変換装置。
【請求項2】
各フレームにおける実写ベースCGデータのデータ量を計算し、所定のフレーム間隔毎に、前記データ量が大きいフレームを間引きフレームに決定する間引きフレーム決定部を備え、
前記間引き部は、前記間引きフレームにおけるCGデータのテクスチャのデータを間引く、請求項1に記載のデータ変換装置。
【請求項3】
前記間引きフレーム決定部は、所定のフレーム間隔毎に、前記データ量が最小でないフレームを前記間引きフレームに決定する、請求項2に記載のデータ変換装置。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1に記載のデータ変換装置として機能させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ変換装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、AR(Augmented Reality)/VR(Virtual Reality)技術の進歩により、AR/VR対応端末や、AR/VRコンテンツが普及し始めている。AR/VR対応端末とは、スマートフォン、タブレット型端末、VRゴーグル、ARグラスなどである。AR/VRは、コンテンツデータとして、3次元オブジェクトデータ(3次元モデルデータ)を取り扱う。
【0003】
特許文献1には、フレーム単位で3次元オブジェクトデータを受信装置(視聴端末)に伝送する技術が開示されている。この技術は、伝送する3次元オブジェクトデータが増えた場合に、処理負荷を削減してコンテンツ視聴品質の低下を抑制することを目的の一つとしている。例えば、メタデータを利用して静止オブジェクトと動的オブジェクトとを分離し、静止オブジェクトだけは低いフレームレートで伝送するような処理が可能であり、映像の品質を落とすこと無く受信装置に伝送するデータ量を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-32838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、フレーム間で動きがある動的オブジェクトのデータ量の削減は行っていないため、さらに伝送効率を改善する余地があった。
【0006】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、伝送効率を向上させることが可能なデータ変換装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係るデータ変換装置は、被写体を複数のカメラで撮影してモデリングした3次元モデルのデータである実写ベースCGデータと、テクスチャの時間変化がない3次元CGモデルのデータであるCGデータと、を含む完成データを入力するデータ変換装置であって、前記完成データを、前記実写ベースCGデータと、前記CGデータとに分類する分類部と、所定のフレームにおけるCGデータのテクスチャのデータを間引く間引き部と、を備える。
【0008】
さらに、一実施形態において、各フレームにおける実写ベースCGデータのデータ量を計算し、所定のフレーム間隔毎に、前記データ量が大きいフレームを間引きフレームに決定する間引きフレーム決定部を備え、前記間引き部は、前記間引きフレームにおけるCGデータのテクスチャのデータを間引いてもよい。
【0009】
さらに、一実施形態において、前記間引きフレーム決定部は、所定のフレーム間隔毎に、前記データ量が最小でないフレームを前記間引きフレームに決定してもよい。
【0010】
また、一実施形態係るプログラムは、コンピュータを、上記データ変換装置として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、3次元オブジェクトデータの伝送において、伝送効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る放送型の3次元空間コンテンツ伝送システムの構成例を示す図である。
図2】第1の実施形態に係るデータ変換装置の構成例を示す図である。
図3】実写ベースCGデータ及びCGデータのデータ構造を示す図である。
図4】ジオメトリ及びテクスチャの一例を示す図である。
図5】実写ベースCGデータの一例を示す図である。
図6】CGデータの一例を示す図である。
図7】第1の実施形態に係るデータ変換装置の効果を説明する図である。
図8】第2の実施形態に係るデータ変換装置の構成例を示す図である。
図9】第2の実施形態に係るデータ変換装置において、CGデータが1種類の場合の処理を示すフローチャートである。
図10A】第2の実施形態に係るデータ変換装置の効果を説明する図である。
図10B】第2の実施形態に係るデータ変換装置の効果を説明する図である。
図11】第2の実施形態に係るデータ変換装置において、CGデータが複数種類の場合の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、「3次元オブジェクト」を単に「オブジェクト」と称する。
【0014】
<3次元空間コンテンツ伝送システム>
図1は、本発明の一実施形態に係る放送型の3次元空間コンテンツ伝送システムの構成例を示す図である。図1に示す3次元空間コンテンツ伝送システム1は、撮影・制作システム50と、完成データ記憶部60と、データ変換装置70と、送出データ記憶部80と、送信装置10と、ネットワークノード20と、受信装置(視聴端末)30と、を備える。本実施形態では、データ変換装置70と送信装置10とを別個の装置としているが、データ変換装置70及び送信装置10は一つの装置として一体化されていてもよい。
【0015】
撮影・制作システム50は、3次元空間コンテンツを制作し、完成データとして完成データ記憶部60に出力する。完成データとは、例えば、非圧縮・可逆圧縮、又は劣化の少ない軽量圧縮で符号化された、1つ以上のオブジェクトデータを含むコンテンツデータである。
【0016】
データ変換装置70は、完成データ記憶部60から入力した完成データを送出データに変換し、送出データ記憶部80に出力する。詳細については後述する。
【0017】
送出データ記憶部80は、送出データと、3次元コンテンツの各種補助情報を記述するコンテンツ構成メタデータと、を記憶する。
【0018】
送信装置10は、伝送路90を介して、放送型の3次元空間コンテンツの構成要素であるオブジェクトをオブジェクトデータとして、複数のネットワークノード20又は受信装置30に送信する。送信装置10は、オブジェクトごとに伝送フレームを構成する。伝送フレームは、オブジェクトのジオメトリデータ及びテクスチャデータを含む。そして、送信装置10は、伝送フレームを伝送に用いるパケットに分割し、パケットにオブジェクトID及びパケットIDを付与し、伝送路90に送信する。
【0019】
伝送路90は、グローバルなインターネットや回線事業者が運営するクローズドネットワークなどの通信伝送路であってもよいし、地上放送・衛星放送などの放送伝送路であってもよい。
【0020】
ネットワークノード20は、回線事業者やコンテンツ提供事業者が設備として設置するエッジサーバや、ユーザが宅内に設置するホームゲートウェイである。ネットワークノード20と受信装置30との間は一般に双方向通信が可能であり、一つのネットワークノード20に複数の受信装置30が紐づく場合もある。伝送路90を介してコンテンツを受信する受信装置30は無数に存在し得るため、コンテンツの配信者(送信装置10)は必ずしも全てのユーザ(受信装置30)の存在を把握していない。
【0021】
受信装置30は、コンテンツデータを受信し、3次元空間コンテンツをARで視聴する視聴端末である。受信装置30は、オブジェクトのレンダリング画像とカメラで撮影した画像とを合成し、表示する。受信装置30は、オブジェクトのレンダリング画像のみを表示してもよい。
【0022】
完成データ記憶部60は、完成データ(1つ以上のオブジェクトデータ)と、補助情報と、を記憶する。オブジェクトデータは、被写体を複数のカメラで撮影してモデリングした3次元モデルのデータ(以下、「実写ベースCGデータ」と称する。)と、テクスチャの時間変化がない3次元CGモデルのデータ(以下、「CGデータ」と称する。)に分類できる。実写ベースCGデータは、フレーム間でテクスチャが変化する。3次元CGモデルは、一般的には、3次元ソフトウェアによりモデル化される。補助情報は、コンテンツに含まれるオブジェクトの構成、コンテンツタイトル、各オブジェクトの名称などを示す情報である。
【0023】
<第1の実施形態に係るデータ変換装置>
図2は、第1の実施形態に係るデータ変換装置70の構成例を示す図である。図2に示すデータ変換装置70は、圧縮部71と、分類部72と、間引き部73と、送出データ生成部74と、コンテンツ構成メタデータ生成部75と、を備える。データ変換装置70の処理は、非リアルタイム又はリアルタイムのオフライン処理でもよいし、リアルタイムのオンライン処理でもよい。
【0024】
データ変換装置70は、完成データ記憶部60から、実写ベースCGデータと、CGデータと、を含む完成データを入力する。
【0025】
圧縮部71は、完成データを、ユーザがコンテンツを視聴する際の品質劣化を許容できるレベルで、非可逆を含む圧縮方式により圧縮し、圧縮データを生成する。例えば、ジオメトリデータ及びテクスチャデータを1つにまとめてバイナリ形式に変換する。このとき、1つのオブジェクトに対して複数の解像度パターンで圧縮されたオブジェクトデータが生成され得る。そして、圧縮部71は、圧縮データを分類部72に出力する。なお、圧縮部71と分類部72の処理順は逆であってもよい。
【0026】
図3は、実写ベースCGデータ及びCGデータのデータ構造を示す図である。データ構造は、オブジェクト毎及びフレーム毎に、図3に示すように、3次元メタデータ、ジオメトリ、及びテクスチャを有する。このデータ構造をもつファイルフォーマットは、例えばglTF(The GL Transmission Format)である。3次元メタデータは、テクスチャファイルのディレクトリ情報など、様々なメタデータを含んでよい。
【0027】
図4に示すように、実写ベースCGデータ及びCGデータは、複数のポリゴンで構成されるジオメトリGに、テクスチャTを張り付けたデータである。なお、ジオメトリの各ポリゴンと、テクスチャとの対応関係は、ジオメトリに含まれる。
【0028】
図5は、フレーム毎の実写ベースCGデータの一例を示す図であり、図6は、フレーム毎のCGデータの一例を示す図である。本実施形態における圧縮部71は、glb(glTF-Binary)データを生成する。glbデータは、glTFで保存された3Dモデルのバイナリファイル形式表現である。図5に示すように、実写ベースCGデータは、フレーム間でジオメトリG及びテクスチャTが変化する。一方、図6に示すように、CGデータは、フレーム間でジオメトリGだけが変化し、テクスチャTは変化しない。
【0029】
再び図2を参照する。分類部72は、圧縮部71により圧縮されたデータを、実写ベースCGデータとCGデータに分類する。そして、分類部72は、実写ベースCGデータを送出データ生成部74に出力し、CGデータを間引き部73に出力する。
【0030】
間引き部73は、所定のフレームにおけるCGデータのテクスチャのデータを間引く。例えば、3フレーム間隔で2フレームのCGデータのテクスチャのデータを間引く。そして、間引き部73は、間引き処理後のCGデータ(以下、「間引きCGデータ」という。)を送出データ生成部74に出力する。
【0031】
送出データ生成部74は、分類部72から実写ベースCGデータを入力し、間引き部73から間引きCGデータを入力する。そして、送出データ生成部74は、フレーム毎に、タイミングを調整した実写ベースCGデータ及び間引きCGデータを送出データとして生成する。送出データ生成部74は、生成した送出データを送出データ記憶部80に出力する。完成データの時点では、オブジェクトは互いに独立した、オブジェクト固有のタイムラインをもっている。そこで、送出データ生成部74は、タイミングを調整して共通のタイムラインにのせる。これにより、各オブジェクトを適切に組み合わせることが可能となる。
【0032】
コンテンツ構成メタデータ生成部75は、補助情報を参照し、コンテンツ構成メタデータを生成する。そして、コンテンツ構成メタデータ生成部75は、生成したコンテンツ構成メタデータを送出データ記憶部80に出力する。コンテンツ構成メタデータには、3次元空間コンテンツに含まれるオブジェクト・解像度パターンの一覧などのデータ構成情報や、コンテンツタイトル、各オブジェクトの名称などの情報が含まれ得る。コンテンツ構成メタデータは、シーン記述などと呼ばれる場合もある。
【0033】
図7は、データ変換装置70の効果を説明する図である。CGの3次元モデルは、表面の柄に時間変化がなければ、すべてのフレームで使用するテクスチャ画像が同一である。このことに着目して、データ変換装置70は図7に示すようにCGデータからテクスチャデータを間引く。受信装置30は、テクスチャデータが間引かれていた場合には、受信済みのテクスチャデータを繰り返し使用する。これにより、視聴品質を落とすことなく伝送するデータ量を削減することが可能となる。
【0034】
<第2の実施形態に係るデータ変換装置>
次に、第2の実施形態に係るデータ変換装置について説明する。図8は、第2の実施形態に係るデータ変換装置70aの構成例を示す図である。図8に示すデータ変換装置70aは、圧縮部71と、分類部72と、間引き部73aと、送出データ生成部74と、コンテンツ構成メタデータ生成部75と、間引きフレーム決定部76と、を備える。第2の実施形態に係るデータ変換装置70aは第1の実施形態に係るデータ変換装置70と比較して、間引き部73に代えて間引き部73aを備え、間引きフレーム決定部76を更に備える点が相違する。その他の構成については第1の実施形態と同一であるため、同一の参照番号を付して適宜説明を省略する。
【0035】
第1の実施形態では、間引き部73によりCGデータのテクスチャのデータを間引くが、このとき、テクスチャを間引かないフレームにおいて、相対的にレートが高くなってしまう場合がある。そこで、第2の実施形態では、テクスチャを間引かないフレームを、合計のデータ量が低いフレームに決定する。
【0036】
送出データ生成部74は、実写ベースCGデータの送出データを間引きフレーム決定部76に出力する。
【0037】
間引きフレーム決定部76は、各フレームにおける実写ベースCGデータの送出データのデータ量を計算し、所定のフレーム間隔毎に、該データ量が大きいフレームを、CGデータのテクスチャを間引くフレーム(以下、「間引きフレーム」という。)に決定する。具体的には、間引きフレーム決定部76は、間引きフレームを決定する所定のフレーム間隔をXフレームとした場合、Xフレーム毎に、実写ベースCGデータの送出データのデータ量が小さいフレームから順位付けする。そして、順位が下のフレーム(すなわち、伝送する実写ベースCGデータ量が大きいフレーム)を、間引きフレームに決定する。そして、間引きフレーム決定部76は、決定した間引きフレームを間引き部73aに通知する。
【0038】
本実施形態では、間引きフレーム決定部76は、Xフレーム間隔毎に、実写ベースCGデータの送出データのデータ量が最小でないフレームを間引きフレームに決定する。
【0039】
間引き部73aは、間引きフレーム決定部76により決定された間引きフレームにおけるCGデータのテクスチャのデータを間引く。そして、間引き部73aは、間引きCGデータを送出データ生成部74に出力する。
【0040】
次に、データ変換装置70aの処理について説明する。
【0041】
図9は、CGデータが1種類の場合のデータ変換装置70aの処理を示すフローチャートである。ステップS101では、データ変換装置70aは、完成データ記憶部60から各オブジェクトデータを受信する。
【0042】
ステップS102では、処理開始フレームS=1とする。Sはフレーム番号である。
【0043】
ステップS103では、送出データ生成部74により、S~(S+X-1)区間の各フレームにおける各実写ベースCGデータの送出データを作成する。
【0044】
ステップS104では、間引きフレーム決定部76により、S~(S+X-1)区間の各フレームにおける実写ベースCGデータの送出データの合計データ量を計算し、データ量が最小のフレームFminを決定する。
【0045】
ステップS105では、間引き部73aにより、CGデータについて、フレームFmin以外のフレームでテクスチャのデータを間引きく。そして、送出データ生成部74により、CGデータの送出データを生成する。
【0046】
ステップS106では、フレーム番号Sの値をS+Xに更新する。
【0047】
ステップS107では、フレーム番号Sがコンテンツの最後のフレーム番号Eを超えるか否かを判定する。フレーム番号Sがコンテンツの最後のフレーム番号E以下である場合には、処理をステップS103に戻し、フレーム番号Sがコンテンツの最後のフレーム番号Eを超えるまでステップS103からステップS106までの処理を繰り返す。
【0048】
図10は、データ変換装置70aの効果を説明する図である。なお、横方向は時間軸であり、この例では1フレーム1モデル表示という条件のもと、時刻tに表示する1フレーム目のファイルを00001.glb、時刻t+1に表示する2フレーム目のファイルを00002.glb、時刻t+2に表示する3フレーム目のファイルを00003.glbとしている。また、簡易的に1フレーム目の実写ベースCGデータの送出データのデータ量(ジオメトリとテクスチャの合計のデータ量)を100kBとし、2フレーム目の実写ベースCGデータの送出データのデータ量を50kBとし、3フレーム目の実写ベースCGデータの送出データのデータ量を75kBとする。また、CGデータは1種類であり、各フレームのCGデータの送出データのデータ量(ジオメトリとテクスチャの合計のデータ量)を100kBとする。各フレームのCGデータのテクスチャのデータ量を50kBとする。実写ベースCGデータはフレーム毎にジオメトリとテクスチャが変化するため、データ量が低いフレームが発生する。CGデータは、テクスチャは同一であり、頂点数や頂点の結合関係が変わらないため、基本的にフレーム間でデータ量は変わらない(ただし、頂点の圧縮をする場合にはデータ量が変わり得る。)。
【0049】
図10Aは、先頭フレームでCGデータのテクスチャを間引かない場合を示している。この場合、実写ベースCGデータ及びCGデータの送出データの合計データ量は、1フレーム目では200kBとなり、2フレーム目では100kBとなり、3フレーム目では125kBとなる。図10Bは、本実施形態のように、データ量が少ない2フレーム目でCGデータのテクスチャを間引かない場合を示している。この場合、合計データ量は、1フレーム目では150kBとなり、2フレーム目では150kBとなり、3フレーム目では125kBとなる。両者を比較すると、図10Aよりも図10Bの方がピークレートを低減でき、伝送レートを平滑化できていることが分かる。
【0050】
図11は、CGデータが複数の場合のデータ変換装置70aの処理を示すフローチャートである。ステップS201からステップS203は、図9のステップS101からステップS103と同一であるため、説明を省略する。
【0051】
ステップS204では、間引きフレーム決定部76により、ここまでに作成したS~(S+X-1)区間の各フレームにおける実写ベースCGデータ及びCGデータの送出データの合計データ量を計算し、データ量が最小のフレームFminを決定する。
【0052】
ステップS205では、間引き部73aにより、まだ間引き処理を行ってない(すなわち、送出データを作成していない)CGデータのうち、データ量が最大のCGデータについて、フレームFmin以外のフレームでテクスチャのデータを間引く。そして、送出データ生成部74により、該CGデータの送出データを生成する。
【0053】
ステップS206では、送出データを作成していないCGデータがあるか否かを判定する。送出データを作成していないCGデータがある場合には、処理をステップS204に戻し、送出データを作成していないCGデータがなくなるまで、ステップS204及びステップS205の処理を繰り返す。
【0054】
ステップS207では、フレーム番号Sの値をS+Xに更新する。
【0055】
ステップS208では、フレーム番号Sがコンテンツの最後のフレーム番号Eを超えるか否かを判定する。フレーム番号Sがコンテンツの最後のフレーム番号E以下である場合には、処理をステップS203に戻し、フレーム番号Sがコンテンツの最後のフレーム番号Eを超えるまでステップS203からステップS207までの処理を繰り返す。
【0056】
次に、ステップS204からステップS206の処理の一例について説明する。この例では、CGデータを第1CGデータ及び第2CGデータの2種類とし、X=3とし、各データ量を下記の表1で示す値とする。この場合、ステップS204の1回目の処理では、合計データ量が最小となる、フレーム番号S=2のフレームをFminに決定する。
【0057】
【表1】
【0058】
ステップS205の1回目の処理では、CGデータのうちデータ量が最大となる第2CGデータについて、Fmin(フレーム番号S=2のフレーム)以外のフレームでテクスチャのデータを間引いた後、送出データを作成する。表1において、第2CGデータの各フレームのテクスチャのデータ量を60kBとすると、該間引き処理後の各データ量は、下記の表2に示す値となる。
【0059】
【表2】
【0060】
ステップS206の1回目の処理では、送出データを作成していないCGデータとして第1CGデータが残っているため、処理をステップS204に戻す。
【0061】
ステップS204の2回目の処理では、表2に基づいて、合計データ量が最小となる、フレーム番号S=3のフレームをFminに決定する。
【0062】
ステップS205の2回目の処理では、送出データを作成していない第1CGデータについて、Fmin(フレーム番号S=3のフレーム)以外のフレームでテクスチャのデータを間引いた後、送出データを作成する。表2において、第1CGデータの各フレームのテクスチャのデータ量を50kBとすると、該間引き処理後の各データ量は、下記の表3に示す値となる。
【0063】
【表3】
【0064】
ステップS206の2回目の処理では、この時点で送出データを作成していないCGデータはないため、処理をステップS207に進める。かかる処理により、図10に示した例と同様に、ピークレートを低減でき、伝送レートを平滑化できていることが分かる。
【0065】
このように、データ変換装置70aは、テクスチャを間引かないデータを送信するフレームを適応的に選択する。これにより、視聴品質を落とすことなく伝送するデータ量を削減するとともに、CGデータのテクスチャを間引かないフレームのレートの相対的な上昇を抑えることが可能となる。
【0066】
<変形例>
送信装置10がコンテンツをブロードキャストする場合には、上述した実施形態のように、データ変換装置70,70aはCGデータのテクスチャを周期的に出力する必要がある。しかし、送信装置10がコンテンツをユニキャストする場合には、データ変換装置70,70aはCGデータのテクスチャに変更がない限り、CGデータのテクスチャを1度のみ出力し、受信装置30は該テクスチャをキャッシュするようにしてもよい。これにより、伝送するデータ量をさらに削減することが可能となる。
【0067】
ネットワークノード20は、送信装置10から3次元空間コンテンツのパケットを受信し、フィルタ処理して受信装置30に送信してもよい。ネットワークノード20は、静止オブジェクトのデータ(静止物データ)をキャッシュし、周期的に(例えば30フレームに1回)静止物データを受信装置30に送信してもよい。ネットワークノード20は、各フレームにおける静止物データ以外のオブジェクトデータのデータ量を計算し、所定のフレーム間隔毎に、該データ量が大きいフレーム(例えば、該データ量が最小でないフレーム)では、静止物データを送信しないようにしてもよい。
【0068】
<プログラム>
上記のデータ変換装置70,70aとして機能させるために、それぞれプログラム命令を実行可能なコンピュータを用いることも可能である。コンピュータは、データ変換装置70,70aの機能を実現する処理内容を記述したプログラムを該コンピュータの記憶部に格納しておき、該コンピュータのプロセッサによってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができ、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェアで実現することとしてもよい。ここで、プログラム命令は、必要なタスクを実行するためのプログラムコード、コードセグメントなどであってもよい。プロセッサは、CPU,GPU,DSP,ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などであってもよい。
【0069】
また、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。このような記録媒体を用いれば、プログラムをコンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録された記録媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM、DVD-ROMなどの記録媒体であってもよい。また、このプログラムは、ネットワークを介したダウンロードによって提供することもできる。
【0070】
また、上述したデータ変換装置70,70aは、1つ又は複数の半導体チップにより構成されてもよい。この半導体チップは、表示制御装置1の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを実行するCPUを搭載してもよい。
【0071】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、実施形態に記載の構成ブロックについて、複数を1つに組み合わせたり、1つを複数に分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 3次元空間コンテンツ伝送システム
10 送信装置
20 ネットワークノード
30 受信装置
50 撮影・制作システム
60 完成データ記憶部
70,70a データ変換装置
71 圧縮部
72 分類部
73,73a 間引き部
74 送出データ生成部
75 コンテンツ構成メタデータ生成部
76 間引きフレーム決定部
80 送出データ記憶部
90 伝送路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11