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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116270
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】大口径炭化ケイ素ウェハ
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/36 20060101AFI20240820BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
C30B29/36 A
H01L21/304 611W
H01L21/304 611Z
【審査請求】有
【請求項の数】54
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024092924
(22)【出願日】2024-06-07
(62)【分割の表示】P 2022539343の分割
【原出願日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】62/954,082
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】フレーブニコフ,ユーリ
(72)【発明者】
【氏名】サクハルカル,バラド・アール
(72)【発明者】
【氏名】ケント,カレブ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ツベトコフ,バレリ・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ペイズリー,マイケル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】クラマレンコ,オレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】コンラッド,マシュー・デビッド
(72)【発明者】
【氏名】デイネカ,ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】グリフィス,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ブベル,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】パウエル,エイドリアン・アール
(72)【発明者】
【氏名】レナード,ロバート・タイラー
(72)【発明者】
【氏名】バルカス,エリフ
(72)【発明者】
【氏名】シーマン,ジェフリー・シー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】半導体製造に適するウェハ形状特性を有する大口径SiCウェハを含む炭化ケイ素(SiC)ウェハ及び関連する方法を提供する。
【解決手段】ウェハの形状及び平坦度特性は、SiC結晶ブール又はインゴットの成長の過程における結晶応力プロファイルを低減することによって改善され得る。ウェハの形状及び平坦度特性は、個々のSiCウェハが対応するSiC結晶ブールから分離された後にも改善され得る。これに関して、ウェハのボウ、ワープ、及び厚さ変動の値が低いことを含む適切な結晶品質並びにウェハ形状特性を有する大口径SiCウェハを含むSiCウェハ及び関連する方法が開示される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも195ミリメートル(mm)の直径、
300ミクロン(μm)~1000μmの範囲内の厚さ、及び
7μm未満の全厚さ変動(TTV)、
を有する炭化ケイ素(SiC)ウェハであって、
前記TTVは、前記ウェハの裏側面に対する前記ウェハの表側面の最大高さと最小高さとの間の差として定義される、
炭化ケイ素(SiC)ウェハ
【請求項2】
前記全厚さ変動(TTV)が2.6μm未満である、請求項1に記載のSiCウェハ。
【請求項3】
前記全厚さ変動(TTV)が2.2μm未満である、請求項1に記載のSiCウェハ。
【請求項4】
前記全厚さ変動(TTV)は、前記ウェハが吸着された場合に測定される、請求項1に記載のSiCウェハ。
【請求項5】
前記全厚さ変動(TTV)は、前記ウェハの裏側面に適用された真空チャックによって適切な位置に保持された場合に測定される、請求項1に記載のSiCウェハ。
【請求項6】
前記直径が、195mm~455mmの範囲内である、請求項1に記載のSiCウェハ。
【請求項7】
前記直径が、195mm~305mmの範囲内である、請求項1に記載のSiCウェハ。
【請求項8】
前記厚さが、300~500μmの範囲内である、請求項1に記載のSiCウェハ。
【請求項9】
前記厚さが、300~800μmの範囲内である、請求項1に記載のSiCウェハ。
【請求項10】
1cmのサイト領域に対して4μm未満の局所的厚さ変動(LTV)をさらに有し、
前記LTVは、前記ウェハが吸着状態で保持された場合の、前記ウェハの前記サイト領域における裏側面に対する表側面の局所的最大高さと局所的最小高さとの差として定義される、
請求項1に記載のSiCウェハ。
【請求項11】
1cmのサイト領域に対して1.5μm未満のサイト表面最小二乗(SFQR)最大値をさらに有し、
前記サイト領域に対する前記SFQRは、前記ウェハの局所的焦点面から前記局所的焦点面の上にある前記ウェハの表面までの最大距離と前記ウェハの局所的焦点面から前記局所的焦点面の下にある前記ウェハの表面までの最大距離との絶対値の合計と定義され、ここで、前記局所的焦点面は、前記サイト領域に対して局所的な最小二乗フィッティング法によって定められる、
請求項1に記載のSiCウェハ。
【請求項12】
4-H SiCを含む、請求項1に記載のSiCウェハ。
【請求項13】
半絶縁性SiCを含む、請求項1に記載のSiCウェハ。
【請求項14】
n型SiCを含む、請求項1に記載のSiCウェハ。
【請求項15】
n型ドーパントのための窒素を含む、請求項14に記載のSiCウェハ。
【請求項16】
前記n型ドーパントが、高ドープ領域と低ドープ領域とを、前記高ドープ領域が横方向に前記低ドープ領域と境界を接するように形成する、請求項15に記載のSiCウェハ。
【請求項17】
前記高ドープ領域が、前記SiCウェハの中心領域に合わせられる、請求項16に記載のSiCウェハ。
【請求項18】
前記高ドープ領域が、前記SiCウェハの中心領域からずれている、請求項16に記載のSiCウェハ。
【請求項19】
ホウ素、アルミニウム、ゲルマニウム、ベリリウム、ガリウム、スズ、ヒ素、リン、チタン、及びバナジウムのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項15に記載のSiCウェハ。
【請求項20】
少なくとも195ミリメートル(mm)の直径、
300ミクロン(μm)~1000μmの範囲内の厚さ、及び
1cmのサイト領域に対して4μm未満の局所的厚さ変動(LTV)、
を有する炭化ケイ素(SiC)ウェハであって、
前記LTVは、前記ウェハの前記サイト領域における裏側面に対する表側面の局所的最大高さと局所的最小高ささとの差として定義される、
炭化ケイ素(SiC)ウェハ。
【請求項21】
前記局所的厚さ変動(LTV)は、前記ウェハが吸着状態で保持された場合に測定される、請求項20に記載のSiCウェハ。
【請求項22】
前記局所的厚さ変動(LTV)は、前記ウェハが真空チャックによって保持された場合に測定される、請求項20に記載のSiCウェハ。
【請求項23】
前記局所的厚さ変動(LTV)が、1cmのサイト領域に対して1.3μm未満である、請求項20に記載のSiCウェハ。
【請求項24】
前記局所的厚さ変動(LTV)が、1cmのサイト領域に対して1μm未満である、請求項20に記載のSiCウェハ。
【請求項25】
7μm未満の全厚さ変動(TTV)をさらに有し、
前記TTVは、前記ウェハの裏側面に適用された真空チャックによって適切な位置に保持された場合の、前記ウェハの裏側面に対する前記ウェハの表側面の最大高さと最小高さとの間の差として定義される、
請求項20に記載のSiCウェハ。
【請求項26】
1cmのサイト領域に対して1.5μm未満のサイト表面最小二乗(SFQR)最大値をさらに有し、
前記サイト領域に対する前記SFQRは、前記ウェハの局所的焦点面から前記局所的焦点面の上にある前記ウェハの表面までの最大距離と前記ウェハの局所的焦点面から前記局所的焦点面の下にある前記ウェハの表面までの最大距離との絶対値の合計と定義され、ここで、前記局所的焦点面は、前記サイト領域に対して局所的な最小二乗フィッティング法によって定められる、
請求項20に記載のSiCウェハ。
【請求項27】
少なくとも195ミリメートル(mm)の直径、
300ミクロン(μm)~1000μmの範囲内の厚さ、及び
1cmのサイト領域に対して1.5μm未満のサイト表面最小二乗(SFQR)最大値、
を有する炭化ケイ素(SiC)ウェハであって、
前記サイト領域に対する前記SFQRは、前記ウェハの局所的焦点面から前記局所的焦点面の上にある前記ウェハの表面までの最大距離と前記ウェハの局所的焦点面から前記局所的焦点面の下にある前記ウェハの表面までの最大距離との絶対値の合計と定義され、ここで、前記局所的焦点面は、前記サイト領域に対して局所的な最小二乗フィッティング法によって定められる、
炭化ケイ素(SiC)ウェハ。
【請求項28】
前記サイト表面最小二乗(SFQR)最大値が、1cmのサイト領域に対して0.6μm未満である、請求項27に記載のSiCウェハ。
【請求項29】
前記サイト表面最小二乗(SFQR)最大値が、1cmのサイト領域に対して0.43μm未満である、請求項27に記載のSiCウェハ。
【請求項30】
前記サイト表面最小二乗(SFQR)最大値は、前記ウェハが吸着された場合に測定される、請求項27に記載のSiCウェハ。
【請求項31】
前記サイト表面最小二乗(SFQR)最大値は、前記ウェハが真空チャックによって保持された場合に測定される、請求項27に記載のSiCウェハ。
【請求項32】
7μm未満の全厚さ変動(TTV)をさらに有し、
前記TTVは、前記ウェハの裏側面に対する前記ウェハの表側面の最大高さと最小高さとの間の差として定義される、
請求項27に記載のSiCウェハ。
【請求項33】
1cmのサイト領域に対して4μm未満の局所的厚さ変動(LTV)をさらに有し、
前記LTVは、前記ウェハが吸着状態で保持された場合の、前記ウェハの前記サイト領域における裏側面に対する表側面の局所的最大高さと局所的最小高さとの差として定義される、
請求項27に記載のSiCウェハ。
【請求項34】
第一のウェハ形状を形成する炭化ケイ素(SiC)ウェハを提供すること、
前記SiCウェハに機械的負荷を適用すること、及び
前記SiCウェハが前記第一のウェハ形状とは異なる第二のウェハ形状を形成するように、前記機械的荷重の適用中に前記SiCウェハをアニーリングすること、
を含む方法。
【請求項35】
前記機械的荷重が、前記SiCウェハの1又は複数の局所部分に適用される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記機械的荷重が、前記SiCウェハの全体に適用される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記SiCウェハが、前記機械的荷重の適用中、エッジ支持配置によって支持される、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記SiCウェハの前記第二の形状が、195ミリメートル(mm)~455mmの範囲内の直径、500ミクロン(μm)以下の厚さ、25μm以下のボウ、及び40μm以下のワープを有する、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記直径が、195mm~305mmの範囲内である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
炭化ケイ素(SiC)の結晶材料の成長を、ある成長温度で、前記結晶材料の少なくとも20パーセントに対する応力を前記成長温度でのSiCの臨界分解せん断応力未満に維持しながら行うこと、及び
前記SiCの結晶材料からSiCウェハを分離して、少なくとも195ミリメートル(mm)の直径を有する前記SiCウェハを形成すること、
を含む方法。
【請求項41】
前記SiCの結晶材料の成長が、前記結晶材料の少なくとも40パーセントに対する応力を、前記SiCの臨界分解せん断応力未満に維持することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記SiCの結晶材料の成長が、前記結晶材料の少なくとも80パーセントに対する応力を、前記SiCの臨界分解せん断応力未満に維持することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記SiCウェハが、300ミクロン(μm)~1000μmの範囲内の厚さ、及び-25μm~25μmの範囲内のボウを有する、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記直径が、195mm~305mmの範囲内である、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記直径が、195mm~455mmの範囲内である、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
炭化ケイ素(SiC)の結晶材料を成長させること、
前記SiCの結晶材料又は前記SiCの結晶材料から分離された初期SiCウェハの特性評価を行って、結晶欠陥プロファイル、ドーププロファイル、結晶応力プロファイル、及び形状のうちの1又は複数を特定すること、及び
前記結晶欠陥プロファイル、前記ドーププロファイル、前記結晶応力プロファイル、及び前記形状のうちの1又は複数に基づいて前記結晶材料全体にわたって切断深さを様々に調節することによって、前記SiCの結晶材料から後続のSiCウェハを分離すること、
を含む方法。
【請求項47】
前記後続のSiCウェハが、少なくとも195ミリメートル(mm)の直径、及び-25ミクロン(μm)~25μmの範囲内のボウを有する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記形状が、前記初期SiCウェハのウェハ形状特性を有する、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記形状が、前記後続のSiCウェハが分離される前の前記結晶材料の上面の形状を有する、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記後続のSiCウェハを分離することが、前記結晶材料のレーザー分離を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記後続のSiCウェハを分離することが、前記結晶材料のソーイングを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
少なくとも195ミリメートル(mm)の直径、
300ミクロン(μm)~1000μmの範囲内の厚さ、及び
40μm以下のワープ、
を有する炭化ケイ素(SiC)ウェハであって、
前記ワープは、前記焦点面から前記焦点面の上にある前記ウェハの表面までの最大距離と前記焦点面から前記焦点面の下にある前記ウェハの表面までの最大距離との絶対値の合計と定義される、
炭化ケイ素(SiC)ウェハ。
【請求項53】
前記ワープは、前記SiCウェハが未吸着で測定される、請求項52に記載のSiCウェハ。
【請求項54】
前記焦点面は、前記SiCウェハのエッジから等間隔の3点によって定められ、
前記3点は、前記SiCウェハのエッジから2mmのエッジトリム距離から測定されて、ウェハ半径の97%のところに位置する、請求項53に記載のSiCウェハ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その全開示内容が参照により本明細書に援用される2019年12月27日に出願された米国仮特許出願第62/954,082号の利益を主張するものである。
【0002】
開示の分野
本開示は、結晶材料に関し、より詳細には、大口径炭化ケイ素ウェハに関する。
【背景技術】
【0003】
炭化ケイ素(SiC)は、多くの魅力的な電気的及び熱物理学的特性を呈する。SiCは、その物理的強度及び化学的浸食に対する高い耐性、さらには耐放射性、高絶縁破壊電界、比較的広いバンドギャップ、高飽和電子ドリフト速度、高動作温度、並びにスペクトルの青色、紫色、及び紫外領域における高エネルギー光子の吸収と放出を含む様々な電気的特性のために特に有用である。シリコン及びサファイアを含む従来のウェハ又は基板材料と比較すると、SiCは、そのような特性のために、パワーエレクトロニクスデバイス、高周波デバイス、及びオプトエレクトロニクスデバイスなどの高出力密度半導体デバイスのためのウェハ又は基板の製造に対してより適するものとなっている。SiCは、ポリタイプと称される多くの異なる結晶構造で存在し、ある特定のポリタイプ(例:4H-SiC及び6H-SiC)は、六方晶構造を有している。
【0004】
SiCが優れた材料特性を呈する一方で、SiCを成長させるために必要とされる結晶成長技術は、他の結晶材料のための従来の成長プロセスと比べて非常に異なっており、著しくより困難なものである。シリコン及びサファイアなどの半導体製造に用いられる従来の結晶材料は、非常により低い融点を有しているため、大口径の結晶材料を製造することができる溶融原料物質からの直接結晶成長技術を行うことが可能である。対照的に、バルク結晶SiCは、種結晶を用いた高温での昇華成長プロセスによって製造されることが多いが、この場合の様々な課題として、中でも、不純物の取り込み、熱及び結晶応力に伴う構造的欠陥、並びに異なるポリタイプの形成が挙げられる。典型的なSiC成長技術では、基材及び原料物質の両方が、反応坩堝の内部に配置される。坩堝が加熱されると発生する熱勾配によって、原料物質から基材に向かう物質の気相の動きが促進され、続いて基材上で凝縮して、バルク結晶成長が得られる結果となる。SiCにドーパントとして不純物を導入可能であること、及びこれらのドーパントによってある特定の特性を制御可能であることは公知である。SiCの昇華成長の場合、ドーパントは、このプロセスから製造されるSiC結晶中にドーパントが存在するような様々な方法で、チャンバー中に導入され得る。プロセスは、特定の用途に対して適切な濃度のドーパントが得られるように制御される。バルク結晶成長の後、SiCの個々のウェハは、SiCのバルク結晶インゴット又はブールをスライスすることによって得ることができ、個々のウェハは、続いて、ラッピング又は研磨などのさらなるプロセスに供され得る。
【0005】
SiCウェハの独特の特性によって、高出力及び/又は高周波半導体デバイスのアレイの設計及び製造が可能となる。継続する開発によって、SiCウェハの製造は、ますます広がりつつある商業的用途のためのそのような半導体デバイスの製造を可能とするレベルの成熟度にまで到達した。半導体デバイス産業が成長を続けていることから、有効径がより大きいSiCウェハが望まれている。SiCウェハの有効径は、SiCの材料組成物中のある特定の構造的欠陥、さらにはある特定のウェハ形状特性によって制限され得る。材料組成物中の構造的欠陥としては、中でも、マイクロパイプ、転位(例:貫通、刃状、らせん、及び/又は基底面転位)、六角形ボイド(hexagonal voids)、及び積層欠陥が挙
げられ得る。SiCに付随するウェハ形状特性としては、ウェハの平坦度を変化させ得るワープ、ボウ、及び厚さ変動が挙げられ得る。これらの様々な構造的欠陥及びウェハ形状特性は、続いて従来のSiCウェハ上に形成される半導体デバイスの製造及び適切な動作にとって有害であり得る結晶応力に寄与し得る。そのような結晶応力は、一般に、ウェハ半径の二乗に比例し、その結果、高品質の大口径SiC半導体ウェハを経済的に製造することは困難である。
【0006】
本技術分野では、従来のSiCウェハに伴う課題を克服しながら、より大口径の改善されたSiCウェハ、及び関連する半導体デバイスが求められ続けている。
【発明の概要】
【0007】
半導体製造に適するウェハ形状特性を有する大口径SiCウェハを含む炭化ケイ素(SiC)ウェハ及び関連する方法が開示される。変形が低減された大口径SiCウェハが開示される。変形は、そのようなSiCウェハの形成に伴う応力及び歪み効果に関連し得る。本明細書で述べるように、ウェハの形状及び平坦度特性は、SiC結晶ブール又はインゴットの成長の過程における結晶応力プロファイルを低減することによって改善され得る。ウェハの形状及び平坦度特性は、個々のSiCウェハが対応するSiC結晶ブールから分離された後にも改善され得る。これに関して、ウェハのボウ、ワープ、及び厚さ変動の値が低いことを含む適切な結晶品質並びにウェハ形状特性を有する大口径SiCウェハを含むSiCウェハ及び関連する方法が開示される。
【0008】
1つの態様では、SiCウェハは、少なくとも195ミリメートル(mm)の直径、300ミクロン(μm)~1000μmの範囲内の厚さ、及び-25μm~25μmの範囲内のボウを有する。ある特定の実施形態では、SiCウェハは、さらに、40μm以下のワープを有する。ある特定の実施形態では、直径は、195mm~455mmの範囲内、又は195mm~305mmの範囲内である。ある特定の実施形態では、厚さは、100μm~500μmの範囲内、又は200μm~500μmの範囲内である。ある特定の実施形態では、SiCウェハは、7μm未満又は2.6μm未満の全厚さ変動(TTV)を有する。ある特定の実施形態では、SiCウェハは、1cmのサイト領域に対して4μm未満の局所的厚さ変動(LTV)を有する。ある特定の実施形態では、SiCウェハは、1cmのサイト領域に対して1.5μm未満のサイト表面最小二乗範囲(site front
least-squares range:SFQR)最大値を有する。ある特定の実施形態では、SiCウェハは、4-H SiCを含む。SiCウェハは、半絶縁性SiC又はn型SiCを含み得る。n型SiCの場合、SiCは、n型ドーパントとして窒素を含み得る。ある特定の実施形態では、n型ドーパントは、高ドープ領域と低ドープ領域とを、高ドープ領域が横方向に低ドープ領域と境界を接するように形成する。高ドープ領域は、SiCウェハの中心領域に合わせられてよく、又は高ドープ領域は、SiCウェハの中心領域からずれていてもよい。ある特定の実施形態では、SiCウェハは、さらに、ホウ素、アルミニウム、ゲルマニウム、ベリリウム、ガリウム、スズ、ヒ素、リン、チタン、及びバナジウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0009】
別の態様では、方法は、SiCの結晶材料を成長させること;及びSiCの結晶材料からSiCウェハを分離して、少なくとも195mmの直径、300μm~1000μmの範囲内の厚さ、及び-25μm~25μmの範囲内のボウを有するSiCウェハを形成することを含む。ある特定の実施形態では、SiCウェハは、40μm以下のワープを有する。ある特定の実施形態では、直径は、195mm~455mmの範囲内である。ある特定の実施形態では、SiCの結晶材料を成長させることは、成長中のSiCの結晶材料全体にわたる半径方向の熱勾配を減少させることによって、又は成長中のSiCの結晶材料全体にわたる半径方向の熱勾配を増加させることによって、半径方向のバルク材料特性を制御することを含む。ある特定の実施形態では、SiCの結晶材料を成長させることは、
SiCウェハの周辺部分に沿った結晶欠陥の形成を増加させることを含む。ある特定の実施形態では、方法はさらに、SiCウェハに機械的荷重が適用された状態で、SiCウェハをアニーリングすることを含む。ある特定の実施形態では、方法はさらに、SiCウェハのカーボン面の周辺部分に沿って、選択的にSiCウェハに注入を行うことを含む。ある特定の実施形態では、方法はさらに、SiCウェハに選択的に注入を行った後、SiCウェハをアニーリングすることを含む。ある特定の実施形態では、方法はさらに、SiCウェハのカーボン面の周辺部分に沿って、選択的に膜を堆積させることを含む。ある特定の実施形態では、方法はさらに、選択的に膜を堆積させた後、SiCウェハをアニーリングすることを含む。ある特定の実施形態では、方法はさらに、SiCウェハをアニーリングした後、膜を除去することを含む。
【0010】
ある特定の実施形態では、SiCウェハを分離することは、結晶材料の欠陥プロファイルに基づいて、結晶材料全体にわたって切断深さを様々に調節することを含む。ある特定の実施形態では、SiCウェハを分離することは、結晶材料のドーププロファイルに基づいて、結晶材料全体にわたって切断深さを様々に調節することを含む。ある特定の実施形態では、SiCウェハを分離することは、結晶材料から既に分離された別のSiCウェハのウェハ形状特性に基づいて、結晶材料全体にわたって切断深さを様々に調節することを含む。ある特定の実施形態では、SiCウェハを分離することは、結晶材料の上面の形状に基づいて、結晶材料全体にわたって切断深さを様々に調節することを含む。
【0011】
別の態様では、方法は、第一のウェハ形状を形成するSiCウェハを提供すること、SiCウェハに機械的荷重を適用すること、及びSiCウェハが第一のウェハ形状とは異なる第二のウェハ形状を形成するように、機械的荷重の適用中にSiCウェハをアニーリングすること、を含む。ある特定の実施形態では、機械的荷重は、SiCウェハの1又は複数の局所部分に適用される。他の実施形態では、機械的荷重は、SiCウェハの全体に適用される。ある特定の実施形態では、SiCウェハは、機械的荷重の適用中にエッジ支持配置によって支持される。ある特定の実施形態では、SiCウェハの第二の形状は、195mm~455mmの範囲内の直径、500μm以下の厚さ、25μm以下のボウ、及び40μm以下のワープを有する。ある特定の実施形態では、直径は、195mm~305mmの範囲内である。
【0012】
別の態様では、SiCウェハは、少なくとも195mmの直径、500μm~2000μmの範囲内の厚さ、及び-25μm~25μmの範囲内のボウを有する。ある特定の実施形態では、厚さは、500μm~1500μmの範囲内である。ある特定の実施形態では、SiCウェハは、さらに、40μm以下のワープを有する。ある特定の実施形態では、直径は、195mm~455mmの範囲内である。ある特定の実施形態では、直径は、195mm~305mmの範囲内である。
【0013】
別の態様では、SiCウェハは、少なくとも195mmの直径、少なくとも500の直径対厚さ比、及び-25μm~25μmの範囲内のボウを有する。ある特定の実施形態では、SiCウェハは、さらに、40μm以下のワープを有する。ある特定の実施形態では、直径は、195mm~305mmの範囲内である。ある特定の実施形態では、直径対厚さ比は、少なくとも600である。ある特定の実施形態では、直径対厚さ比は、少なくとも900である。
【0014】
別の態様では、SiCウェハは、少なくとも195mmの直径、475μm~525μmの範囲内の厚さ、及び150μm以下の最大エッジ支持たわみ値(maximum edge-supported deflection value)を有する。ある特定の実施形態では、最大エッジ支持たわみ値
は、120μm以下である。ある特定の実施形態では、最大エッジ支持たわみ値は、110μm以下である。ある特定の実施形態では、最大エッジ支持たわみ値は、110μm~
150μmの範囲内である。ある特定の実施形態では、最大エッジ支持たわみ値は、50μm以下、又は10μm以下、又は5μm~150μmの範囲内、又は5μm~100μmの範囲内、又は5μm~50μmの範囲内、又は15μm~40μmの範囲内、又は5μm~20μmの範囲内である。ある特定の実施形態では、SiCウェハはさらに、-5μm~-20μmの範囲内のエッジ支持ボウ値を有する。ある特定の実施形態では、直径は、195mm~305mmの範囲内である。
【0015】
別の態様では、方法は、SiCの結晶材料の成長を、ある成長温度で、結晶材料の少なくとも20パーセントに対する応力を成長温度でのSiCの臨界分解せん断応力未満に維持しながら行うこと;及びSiCの結晶材料からSiCウェハを分離して、少なくとも195mmの直径を有するSiCウェハを形成すること、を含む。ある特定の実施形態では、SiCの結晶材料の成長は、結晶材料の少なくとも40パーセントに対する応力を、SiCの臨界分解せん断応力未満に維持することを含む。ある特定の実施形態では、SiCの結晶材料の成長は、結晶材料の少なくとも80パーセントに対する応力を、SiCの臨界分解せん断応力未満に維持することを含む。ある特定の実施形態では、SiCウェハは、300μm~1000μmの範囲内の厚さ、及び-25μm~25μmの範囲内のボウを有する。ある特定の実施形態では、直径は、195mm~305mmの範囲内である。ある特定の実施形態では、直径は、195mm~455mmの範囲内である。
【0016】
別の態様では、方法は、SiCの結晶材料を成長させること;及び結晶材料全体にわたって切断深さを様々に調節することによってSiCの結晶材料からSiCウェハを分離して、少なくとも195mmの直径及び-25μm~25μmの範囲内のボウを有するSiCウェハを形成すること、を含む。ある特定の実施形態では、SiCウェハの直径は、195mm~305mmの範囲内である。ある特定の実施形態では、SiCウェハの直径は、195mm~455mmの範囲内である。ある特定の実施形態では、SiCウェハは、300μm~1000μmの範囲内の厚さを有する。ある特定の実施形態では、SiCウェハを分離することは、結晶材料の欠陥プロファイルに基づいて、結晶材料全体にわたって切断深さを様々に調節することを含む。ある特定の実施形態では、SiCウェハを分離することは、結晶材料のドーププロファイルに基づいて、結晶材料全体にわたって切断深さを様々に調節することを含む。ある特定の実施形態では、SiCウェハを分離することは、結晶材料から既に分離された別のSiCウェハのウェハ形状特性に基づいて、結晶材料全体にわたって切断深さを様々に調節することを含む。ある特定の実施形態では、SiCウェハを分離することは、結晶材料の上面の形状に基づいて、結晶材料全体にわたって切断深さを様々に調節することを含む。ある特定の実施形態では、SiCウェハを分離することは、結晶材料のレーザー分離を含む。ある特定の実施形態では、SiCウェハを分離することは、結晶材料のソーイングを含む。
【0017】
別の態様では、方法は、SiCの結晶材料を成長させること、SiCの結晶材料又はSiCの結晶材料から分離された初期SiCウェハの特性評価を行って、結晶欠陥プロファイル、ドーププロファイル、結晶応力プロファイル、及び形状のうちの1又は複数を特定すること、並びに結晶欠陥プロファイル、ドーププロファイル、結晶応力プロファイル、及び形状のうちの1又は複数に基づいて結晶材料全体にわたって切断深さを様々に調節することによって、SiCの結晶材料から後続のSiCウェハを分離すること、を含む。ある特定の実施形態では、後続のSiCウェハは、少なくとも195mmの直径、及び-25μm~25μmの範囲内のボウを有する。ある特定の実施形態では、形状は、初期SiCウェハのウェハ形状特性を有する。ある特定の実施形態では、形状は、後続のSiCウェハが分離される前の結晶材料の上面の形状を有する。ある特定の実施形態では、後続のSiCウェハを分離することは、結晶材料のレーザー分離を含む。ある特定の実施形態では、後続のSiCウェハを分離することは、結晶材料のソーイングを含む。
【0018】
別の態様では、いかなる上述の個々の若しくは合わせた態様、並びに/又は本明細書で述べる様々な別個の態様及び特徴も、さらなる利点のために組み合わされてよい。本明細書で開示されるいかなる様々な特徴及び要素も、本明細書において相反する内容が示されていない限り、1又は複数の他の開示される特徴及び要素と組み合わされてよい。
【0019】
当業者であれば、添付の図面と合わせて好ましい実施形態の以下の詳細な記述を読むことで、本開示の範囲を理解し、そのさらなる態様を認識するであろう。
本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本開示のいくつかの態様を示すものであり、記述内容と合わせて、本開示の原理を説明する役割を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A図1Aは、本明細書で開示される実施形態に従う結晶炭化ケイ素(SiC)を成長させる方法を示す。
図1B図1Bは、本明細書で開示される実施形態に従う結晶炭化ケイ素(SiC)を成長させる方法を示す。
図2図2は、従来のワイヤソーツールに収容され、ワイヤソーイングプロセスを受けている結晶インゴットの斜視図を提供する第一のフレーム、及びワイヤソーイングプロセスによって得られた複数のウェハの斜視図を提供する第二のフレームを含む。
図3図3は、4H SiCなどの六方晶における座標系を示す結晶面の第一の斜視図である。
図4図4は、c面に対して平行ではない面を示す、六方晶における結晶面の第二の斜視図である。
図5A図5Aは、c面に対する微傾斜ウェハの方位を示す、ウェハ方位の斜視図である。
図5B図5Bは、インゴットの一部分に重ね合わせた図5Aの微傾斜ウェハの単純化した断面図である。
図6A図6Aは、結晶面を示す矢印を重ね合わせた例示的SiCウェハの平面図である。
図6B図6Bは、結晶面を示す矢印を重ね合わせた例示的SiCウェハの平面図である。
図7図7は、レーザー分離のために結晶材料の内部にレーザー放射を集光するように構成された例示的レーザーツールの模式的斜視図である。
図8A図8Aは、未吸着ウェハのワープ測定を示す模式的垂直断面図である。
図8B図8Bは、未吸着ウェハのボウ測定を示す模式的垂直断面図である。
図8C図8Cは、ウェハの全厚さ変動(TTV)測定を示す模式的垂直断面図である。
図8D図8Dは、ウェハの様々な場所での局所的厚さ変動(LTV)測定を示す模式的垂直断面図である。
図8E図8Eは、ウェハの様々な場所でのサイト表面最小二乗範囲(SFQR)測定を示す模式的垂直断面図である。
図9図9は、本明細書で開示される実施形態に従う、応力の勾配及び方向を示す矢印を重ね合わせた例示的なSiC結晶ブールの斜視図である。
図10A図10Aは、種結晶からSiC結晶材料の厚さ全体を通して、その中心部分に沿って上向きに延びる円柱形状の高ドープ領域を示す、種結晶上のSiC結晶材料の模式的垂直断面図である。
図10B図10Bは、図10AのSiC結晶材料から得られたSiCウェハの、その断面部分に沿った模式的平面図である。
図11図11は、種結晶からSiC結晶材料の厚さ全体を通して、その中心部分に沿って上向きに延びる円錐台形状の高ドープ領域を示す、種結晶上のSiC結晶材料の模式的垂直断面図である。
図12図12は、種結晶から上向きに、種結晶の中心に対して中心からずれた位置でSiC結晶材料の厚さ全体を通して上向きに延びる円錐台形状の高ドープ領域を示す、種結晶上のSiC結晶材料の模式的垂直断面図である。
図13A図13Aは、種結晶近くの高ドープ領域と横方向に境界を接している第一の低ドープ領域、及びそれに続いて、第二の低ドープ領域と横方向に境界を接している高ドープ領域を示す、種結晶上のSiC結晶材料の模式的垂直断面図である。
図13B図13Bは、図13AのSiC結晶材料から得られたSiCウェハの、その断面部分に沿った模式的平面図である。
図14図14は、種結晶近くの高ドープ領域と横方向に境界を接している複数の第一の低ドープ領域、及びそれに続いて、第二の低ドープ領域と横方向に境界を接している高ドープ領域を示す、種結晶上のSiC結晶材料の模式的垂直断面図である。
図15図15は、SiC結晶材料の厚さ全体を通して非対称形状を形成する高ドープ領域を示す、種結晶上のSiC結晶材料の模式的垂直断面図である。
図16図16は、SiC結晶材料の厚さ全体を通して非対称形状を形成する高ドープ領域を示す、種結晶上のSiC結晶材料の模式的垂直断面図である。
図17図17は、SiC結晶材料の厚さ全体を通して非対称形状を形成する高ドープ領域を示す、種結晶上のSiC結晶材料の模式的垂直断面図である。
図18図18は、SiC結晶材料の厚さ全体を形成する高ドープ領域を示す、種結晶上のSiC結晶材料の模式的垂直断面図である。
図19A図19Aは、ウェハ形状を改善するために機械的応力下でSiCウェハをアニーリングするための製造プロセスの様々な状態におけるSiCウェハの模式的断面図である。
図19B図19Bは、ウェハ形状を改善するために機械的応力下でSiCウェハをアニーリングするための製造プロセスの様々な状態におけるSiCウェハの模式的断面図である。
図19C図19Cは、ウェハ形状を改善するために機械的応力下でSiCウェハをアニーリングするための製造プロセスの様々な状態におけるSiCウェハの模式的断面図である。
図19D図19Dは、図19A図19Cに従って機械的応力下でアニーリングした後の、SiCウェハの転位プロファイルマップを示す平面画像である。
図19E図19Eは、図19A図19Cに従う機械的応力下でのアニーリングを施さなかった比較SiCウェハの転位プロファイルマップを示す平面画像である。
図20A図20Aは、ウェハ形状を改善するためにSiCウェハに選択的に注入を行うための製造プロセスの様々な状態におけるSiCウェハの模式的断面図である。
図20B図20Bは、ウェハ形状を改善するためにSiCウェハに選択的に注入を行うための製造プロセスの様々な状態におけるSiCウェハの模式的断面図である。
図20C図20Cは、ウェハ形状を改善するためにSiCウェハに選択的に注入を行うための製造プロセスの様々な状態におけるSiCウェハの模式的断面図である。
図21A図21Aは、ウェハ形状を改善するためにSiCウェハに選択的に膜を堆積させるための製造プロセスの様々な状態におけるSiCウェハの模式的断面図である。
図21B図21Bは、ウェハ形状を改善するためにSiCウェハに選択的に膜を堆積させるための製造プロセスの様々な状態におけるSiCウェハの模式的断面図である。
図21C図21Cは、ウェハ形状を改善するためにSiCウェハに選択的に膜を堆積させるための製造プロセスの様々な状態におけるSiCウェハの模式的断面図である。
図22A図22Aは、本明細書で開示される実施形態に従うたわみ特性評価のためのエッジ支持構成にある、SiCウェハの模式的垂直断面図である。
図22B図22Bは、本明細書で開示される実施形態に従ってたわみ値を特定するために用いられる、SiCウェハに対して測定した場合のエッジ支持ずれ値を示すコンタープロットである。
図22C図22Cは、本明細書で開示される実施形態に従ってたわみ値を特定するために用いられる、別のSiCウェハに対して測定した場合のエッジ支持ずれ値を示すコンタープロットである。
図22D図22Dは、本明細書で開示される実施形態に従ってたわみ値を特定するために用いられる、別のSiCウェハに対して測定した場合のエッジ支持ずれ値を示すコンタープロットである。
図22E図22Eは、本明細書で開示される実施形態に従うたわみ特性評価のための中心支持構成にある、SiCウェハの模式的垂直断面図である。
図23A図23Aは、SiC結晶ブールから分離され得るSiCウェハの位置を示す破線を重ね合わせた、SiC結晶ブールの模式的垂直断面図である。
図23B図23Bは、分離後の図23AのSiCウェハの模式的垂直断面図である。
図23C図23Cは、可変の分離技術によってSiC結晶ブールから分離され得るSiCウェハの位置を示す破線を重ね合わせた、図23AのSiC結晶ブールの模式的垂直断面図である。
図23D図23Dは、分離後の図23CのSiCウェハの模式的垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に示す実施形態は、実施形態を当業者が実践可能とするために必要である情報を表し、実施形態を実践する最良モードを示す。添付の図面に照らして以下の記述を読むことによって、当業者であれば、本開示の発想を理解し、本明細書で特に取り扱わないこれらの発想の応用も認識するであろう。これらの発想及び応用が、本開示及び添付の請求項の範囲内に包含されることは理解されたい。
【0022】
第一の、第二の、などの用語が、様々な要素を記載するために本明細書で用いられ場合があるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことは理解される。これらの用語は、1つの要素を別の要素と区別するためだけに用いられるものである。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第一の要素が第二の要素と称されることも可能であり、同様に、第二の要素が第一の要素と称されることも可能である。本明細書で用いられる場合、「及び/又は」の用語は、それに付随して列挙される項目の1又は複数のあらゆるすべての組み合わせを含む。
【0023】
層、領域、又は基材などの要素が、別の要素の「上に」存在する又は「上へ」延びているとして言及される場合、それは、他の要素の上に直接存在してよく、若しくは直接上へ延びていてよく、又は介在する要素が存在してもよいことは理解される。対照的に、要素が、別の要素の「直接上に」存在する又は「直接上へ」延びているとして言及される場合は、介在する要素は存在しない。同様に、層、領域、又は基材などの要素が、別の要素の「上方に」存在する又は「上方に」延びているとして言及される場合、それは、他の要素の上方に直接存在してよく、若しくは直接上方に延びていてよく、又は介在する要素が存在してもよいことは理解される。対照的に、要素が、別の要素の「直接上方に」存在する又は「直接上方に」延びているとして言及される場合は、介在する要素は存在しない。また、要素が、別の要素と「接続されている」又は「結合されている」として言及される場合、それは、他の要素と直接接続若しくは結合されていてよく、又は介在する要素が存在してもよいことは理解される。対照的に、要素が、別の要素と「直接接続されている」又は「直接結合されている」として言及される場合は、介在する要素は存在しない。
【0024】
「下」又は「上」又は「上側」又は「下側」又は「水平」又は「垂直」などの相対的な
用語は、本明細書において、図に示されるように、1つの要素、層、又は領域と別の要素、層、又は領域との関係性を述べるために用いられ得る。これらの用語及び上記で考察した用語は、図に示される方向に加えて、デバイスの異なる方向も包含することを意図していることは理解される。
【0025】
本明細書で用いられる専門用語は、特定の実施形態について述べることのみを目的とするものであり、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で用いられる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈からそれ以外が明らかに示されない限り、複数形も含むことを意図している。「含む(comprises
)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、及び/又は「含んでいる(including)」の用語は、本明細書で用いられる場合、記載される特徴、整数、工程、
操作、要素、及び/又は成分の存在を指定するが、1若しくは複数の他の特徴、整数、工程、操作、要素、成分、及び/若しくはこれらの群の存在又は追加を除外するものではないことはさらに理解される。
【0026】
特に定めのない限り、本明細書で用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で用いられる用語は、本明細書及び該当技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書において明示的にそのように定めのない限り、理想化された又は過剰に形式的な意味で解釈されるものではないことはさらに理解される。
【0027】
半導体製造に適するウェハ形状特性を有する大口径SiCウェハを含む炭化ケイ素(SiC)ウェハ及び関連する方法が開示される。大口径SiCウェハの形成に伴う応力及び歪み効果に関連する変形が低減された大口径SiCウェハが開示される。本明細書で述べるように、ウェハの形状及び平坦度特性は、SiC結晶ブール又はインゴットの成長の過程における結晶応力プロファイルを低減することによって改善され得る。ウェハの形状及び平坦度特性は、個々のSiCウェハが対応するSiC結晶ブールから分離された後にも改善され得る。これに関して、ウェハのボウ、ワープ、及び厚さ変動の値が低いことを含む適切な結晶品質並びにウェハ形状特性を有する大口径SiCウェハを含むSiCウェハ及び関連する方法が開示される。
【0028】
SiCは、常圧では液体状態を有さず、直接固体から気体へ変換し、固体に戻ることから、成長させることが非常に困難な結晶材料であり得る。このことにより、SiCは、液相成長が利用不可であるという点で、ほとんどの材料と異なっている。SiC結晶成長の別の主たる課題は、SiCで観察される積層欠陥エネルギーが非常に低いことであり、そのため、さらなる原子の面及びそれに伴う欠陥構造が結晶格子中に非常に容易に導入される。この低い積層欠陥エネルギーが、SiCの従来の物理的気相輸送成長で用いられる非常に高い温度と組み合わされることで、局所的応力場から利用可能なエネルギーが積層欠陥を発生させるのに要するエネルギーよりも低い状態で成長を維持することが困難となる。SiCにおける結晶応力は、多くの因子によって制御可能である。応力は、結晶高さに比例して、及び直径の二乗に比例して増加し得ることから、結晶高さ及び結晶直径が重要な役割を果たし得る。従来のSiC成長技術は、直径100及び150ミリメートル(mm)のSiC結晶を実現してきた。そのようなSiC結晶の長さは、高密度の転位が形成されるSiC結晶に対する臨界分解せん断応力を超える結晶応力が誘導されることを防止するために、制限され得る。本明細書で開示されるように、より大口径のSiC結晶(例:150mm超)の場合、直径が増加される量に対して過剰に結晶応力が増加し得ることから、より短い結晶高さで製造される。この点に関して、従来の結晶成長技術は、より大口径なものに合わせたスケール変更が必ずしも可能ではない。
【0029】
SiCのための種結晶を用いた昇華成長プロセスの一般的態様は、充分に確立されている。このため、結晶成長の分野の当業者であれば、特にSiC成長及び関連システムの分野の当業者であれば、ある技術又はプロセスの具体的詳細が、多くの該当する状況、処理条件、及び設備構成に応じて様々となり得ることは認識される。したがって、本明細書で与えられる記述は、当業者であれば、提供された開示内容に基づいて、過度な実験を行うことなく、本明細書で開示される様々な実施形態を実行し、使用することができるという認識の下、一般的で概略的な意味で最も適切に与えられる。加えて、当業者であれば、本明細書で述べるタイプのSiC昇華システムが、様々な標準的構成で市販されていることも認識される。別の選択肢として、昇華システムは、必要である場合又は該当する場合、カスタム構成で設計し、実行されてもよい。したがって、本明細書で述べる実施形態は、昇華システムの特定のサブセットにも、又は特定のいかなるシステム構成にも限定されない。そうではなく、昇華システムの多くの異なるタイプ及び構成が、本明細書で開示される実施形態に従う結晶SiC材料の成長に用いられ得る。
【0030】
図1A及び図1Bは、本明細書で開示される実施形態に従う結晶を成長させる方法を示す。図1Aでは、坩堝100が原料物質102を含有し、坩堝100の内部が、成長ゾーンとして働く。原料物質102としては、シリコン、カーボン、SiC、シリコン化合物、カーボン化合物、又はこれらのいずれか若しくはすべての、固体、粉末、及び気体の1つ以上の組み合わせを含むがこれらに限定されない様々ないかなる形態であってもよい組み合わせ、などの適切ないずれの物質も挙げられ得る。ドーパント(例:中でも、窒素)及び歪み調整成分(例:中でも、ゲルマニウム、スズ、ヒ素、及びリン)などの他の所望に応じて存在してよい元素も、原料物質102に含まれていてもよい。歪み調整成分は、存在する場合、好ましくは、等電子である、又はドーパントと同じ多数キャリア型(例:n型又はp型、ドナー又はアクセプタ)を有する。別の選択肢として、他の元素のうちの1つ、一部、又はすべてが、原料物質102に含まれる以外の方法で、成長ゾーンに導入されてもよい。結晶SiCなどの種結晶104は、坩堝の蓋110の近くに配置されてよく、この蓋は、続いて、図1Aの破線矢印によって示されるように、坩堝100の上に配置される。この方法により、種結晶104は、坩堝100が加熱される際、坩堝100中、原料物質102の上方に吊り下げられる。他の装置では、種結晶104は、坩堝100の底又は側面に沿って、など、坩堝100内のどこに配置されてもよい。
【0031】
結晶成長の過程で、原料物質102は昇華し、種結晶104上でSiCを形成する。昇華は、原料物質102が、様々な温度範囲の中でも、1200℃~3000℃、又は1800℃~3000℃、又は1800℃~2500℃、又は1800℃~2000℃、又は2000℃~2200℃の範囲内の温度に加熱されると発生し得る。原料物質102の温度が上昇されている間、種結晶104の成長面の温度は、同様に原料物質102の温度に近い温度まで上昇される。典型的には、種結晶104の成長面は、様々な温度範囲の中でも、1200℃~3000℃、又は1800℃~3000℃、又は1800℃~2500℃、又は1700℃~2400℃、又は1800℃~2000℃、又は2000℃~2200℃の範囲内の温度に加熱される。成長プロセスの過程で、坩堝100は、減圧状態までゆっくり脱気される。ある特定の実施形態では、成長は、様々な圧力範囲の中でも、0.1トル~50トル、又は0.1トル~25トル、又は0.1トル~15トル、又は1トル~15トルの範囲内の圧力で実施されてよい。成長温度及び成長圧力は、一般に、互いに変更されてよい。例えば、成長条件に応じて、より高い成長温度が、より高い成長圧力を伴っていてよく、又はより低い成長温度が、より低い成長圧力を伴っていてもよい。原料物質102及び種結晶104の成長面を、それらの対応する温度に充分な時間にわたって維持することによって、所望されるポリタイプの単結晶SiCの巨視的成長が、種結晶104の上で形成され得る。
【0032】
図1Bを参照すると、SiC結晶112が、物理的気相輸送プロセスを用いて、坩堝1
00中の原料物質102の昇華から成長される。結晶成長は、SiC結晶112の成長がある特定の長さに到達するまで行われる。この長さは、部分的には、用いられることになっている形成後の加工の種類に依存する。SiC結晶112の成長が停止される時点はまた、坩堝100のサイズ及び種類、並びに原料物質102中に存在する場合のドーパント及び歪み調整成分の濃度などのパラメータにも依存する。この時点は、実験的成長を、得られたSiC結晶112を検査して不純物の濃度を特定することと合わせて行うことによって、前もって決定することができる。SiC結晶112が所望されるサイズに到達した後、システムは、圧力を上げて戻すために不活性ガスで充填されてよく、温度は、中間の温度まではゆっくりと、その後室温まではより素早く低下されてよい。ある特定の実施形態では、中間の温度は、様々な温度の中でも、成長温度の約90%、又は80%、又は70%であってよい。中間の温度としては、様々な温度範囲の中でも、150℃~2000℃、又は150℃~1200℃、又は150℃~500℃、又は175℃~225℃の範囲が挙げられ得る。得られるSiC結晶112は、結晶ブール又はインゴットを形成し得る。
【0033】
SiCの昇華成長は、様々な成長システム、サイズの異なる坩堝、様々な材料の異なる種類の坩堝、及び様々な加熱方法の使用によって達成されてよい。具体的な成長温度及び圧力は、当業者であれば、これらの可変要素に合わせるように適合させることができる。典型的なケースでは、坩堝の種類又はサイズなどのような可変要素が変更される場合、上述したように、特定のシステムに対する最良の成長条件を決定するために、いくつかの実験的成長を行う必要があり得る。結晶成長後、SiC結晶112は、ブール又はインゴットと称される場合もあるバルク結晶材料を形成する。
【0034】
様々なマイクロエレクトロニクス、オプトエレクトロニクス、及びマイクロファブリケーションには、様々な有用なシステムを製造するための出発構造として、結晶材料の薄層が必要である。バルク結晶材料から結晶材料の薄層を形成するための様々な方法としては、ソーイング及びレーザー分離技術が挙げられる。ある特定の実施形態では、結晶ブール又はインゴットから薄層(例:ウェハ又は基板)を切り出すための方法は、ワイヤソーの使用を含む。ワイヤソーイング技術は、シリコン(Si)、サファイア、及びSiCなどの様々な結晶材料に適用されてきた。ワイヤソーツールは、1つ又は多くのガイドローラーの溝に通される極細スチールワイヤ(典型的には、0.2mm以下の直径を有する)を含み得る。2種類のスライシング法、すなわち、遊離砥粒スライシング及び固定砥粒スライシングが存在する。遊離砥粒スライシングは、高速で動いているスチールワイヤにスラリー(典型的には、油中の砥粒懸濁液)を適用することを含み、それにより、ワイヤと工作物との間での砥粒の回転運動の結果、ブール又はインゴットが切断される。固定砥粒スライシングの場合は、ダイヤモンド砥粒が固定されたワイヤが、水溶性冷却液体(すなわち、スラリーではない)のみを必要とする方法で用いられ得る。高効率の平行スライシングにより、単一のスライシング手順で多数のウェハを製造することが可能となる。図2は、ローラー118A~118Cの間に延び、インゴット120を同時にソーイングして各々がインゴット120の端面120’に対して概略平行である面を有する複数の薄片(例:ウェハ122A~122G)とするように配列された平行ワイヤセクション116を含む、典型的なワイヤソーツール114を示す。ソーイングプロセスの過程で、ローラー118A~118Cによって支持されたワイヤセクション116は、インゴット120の下にあるホルダー126に向かって下方向124に押し付けられ得る。端面120’がインゴット120の結晶c面に対して平行であり、ワイヤセクション116が端面120’に対して平行にインゴット120をソーイングする場合、得られるウェハ122A~122Gの各々は、結晶c面に対して平行である「オンアクシス(on-axis)」端面120’’
を有する。ワイヤソーイングは、分離プロセスに関連する様々な応力を導入する可能性があり、それらは、特に大口径ウェハの場合、得られるウェハの形状に影響を与える。
【0035】
図3は、4H-SiCなどの六方晶における座標系を示す結晶面の第一の斜視図であり、図中、エピタキシャル結晶成長の[0001](垂直)方向に対応するc面((0001)面)は、m面((1-100)面)及びa面((11-20)面)の両方に対して直角であり、r面((1-102)面)に対しては直角ではない。オフカットの小さい(例:結晶c面から0.5度未満)オンアクシスSiCウェハは、SiCさらには他の材料(例:AlN及び他の第III族窒化物)のホモエピタキシャル層の高品質エピタキシャル成長のための成長基材として用いられることが多い。
【0036】
結晶c面に対して平行ではない端面を有する微傾斜(オフカット又は「オフアクシス」としても知られる)ウェハを製造することも可能である。様々な角度(例:0.1度、0.25度、0.5度、0.75度、1度、2度、4度、6度、8度、又はそれ以上)のオフカットである微傾斜ウェハ(例:SiCの)は、SiCさらには他の材料(例:AlN及び他の第III族窒化物)のホモエピタキシャル層の高品質エピタキシャル成長のための成長基材として用いられることが多い。微傾斜ウェハは、c軸からずれた方向にブール又はインゴットを成長させることによって(例:微傾斜種結晶材料上に成長させて、インゴットの側壁に対して直角にインゴットをソーイングする)、又はオンアクシスの種結晶材料でインゴットの成長を開始し、インゴットの側壁に対する直角からずれた角度でインゴットをソーイング又は切断することによって製造され得る。
【0037】
図4は、c面に対して平行ではない面128を示す、六方晶における結晶面の第二の斜視図であり、図中、ベクトル130(面128に対して直角)は、[0001]方向から傾き角β傾いており、傾き角βは、[11-20]方向に向かって(僅かに)傾いている。
【0038】
図5Aは、c面((0001)面)に対する微傾斜ウェハ132の方位を示す、ウェハ方位の斜視図であり、図中、ベクトル130A(ウェハ面132’に対して直角)は、[0001]方向から傾き角β傾いている。この傾き角βは、(0001)面とウェハ面132’の投射線(projection)134との間に及ぶ直交傾斜(orthogonal tilt)(又は
方位差角)βに等しい。図5Bは、インゴット135(例:微傾斜ウェハ132が画定され得る基準となる(0001)面に対して平行である端面135’を有するオンアクシスインゴット)の一部分に重ね合わせた微傾斜ウェハ132の単純化した断面図である。図5Bは、微傾斜ウェハ132のウェハ面132’が、(0001)面に対して傾き角βずれていることを示している。
【0039】
図6A及び図6Bは、上側面136’(例:(0001)面(c面)に対して平行であり、[0001]方向に対して直角である)を含み、横の境界が概略円形のエッジ136’’(直径Φを有する)である例示的SiCウェハ136-1及び136-2の平面図である。図6Aでは、SiCウェハ136-1の円形エッジ136’’は、(11-20)面に対して直角、[11-20]方向に対して平行である主フラット138(長さLFを有する)含む。図6Bでは、SiCウェハ136-2の円形エッジ136’’は、図6Aに示される主フラット138の代わりに、ノッチ140を含む。特定の用途に応じて、ノッチ140は、SiCウェハ136-2が加工され得る様々な半導体製造ツールとの互換性のために提供され得る。既に述べたように、SiCウェハ136-1、136-2は、c面とずれていてもよい(例:c面に対して斜めの角度でオフアクシスであってもよい)。
【0040】
ウェハ又は基板をバルク結晶材料から分離するための別の方法は、バルク結晶材料中にレーザーによる表層損傷を形成し、続いてレーザーによる表層損傷に沿ってバルク結晶材料からウェハを分離することを含む、レーザー分離技術を含む。結晶材料中に表層損傷を形成するためのツールは、結晶材料の内部にレーザー放射を集光することを可能とするも
のであり、及び結晶材料に対してレーザーを横方向に移動可能とするものである。典型的なレーザー損傷パターンは、結晶材料内のある深さで、互いに対して横方向に間隔を置いた平行ラインの形成を含み得る。集光深さ、レーザー出力、移動速度、及び表層損傷ライン間隔などのパラメータを調節して、レーザー損傷を付与することができるが、ある特定の因子の調節は、トレードオフを含む。レーザー出力の増加は、破壊し易さを向上させ得る(例:完全な破壊に要する応力を低下させることによって)より大きい表層損傷を付与する傾向にあるが、より大きい表層損傷は、破壊によって露出する面に沿った面不規則性を増加させ、そのため、そのような面を続いての加工(例:電子デバイスへの組み込みのため)のために充分に平滑とするために、追加の加工が必要となる可能性があり、この追加の加工は、さらなるカーフロスに繋がる。表層レーザー損傷ラインの横方向間隔を減少させることも、破壊し易さを向上させ得るが、レーザー損傷ライン間の間隔を減少させると、基板とレーザーとの間の移動パス数が増加することで、ツールのスループットが低下する。そのようなレーザー分離技術は、ワイヤソーイング技術と比較して、カーフロスを低減させ得る。カーフロスとは、バルク結晶材料から個々のウェハを形成することに伴う材料ロスの合計量を意味する。
【0041】
図7は、表層損傷146を形成するために結晶材料144(例:SiCなど)の内部にレーザー放射を集光するように構成されたレーザーツール142の一例の模式的斜視図である。結晶材料144は、上側面144’及び反対側にある下側面144’’を含み、表層損傷146は、上側面144’と下側面144’’との間の結晶材料144の内部に形成される。レーザー放射148は、レンズアセンブリ150によって集光されて、集光ビーム152が得られ、その焦点は、結晶材料144の内部に存在する。そのようなレーザー放射148は、適切ないかなる周波数(典型的には、ナノ秒、ピコ秒、又はフェムト秒範囲)及びビーム強度のパルスとされてもよく、結晶材料144のバンドギャップ未満の波長とすることで、その表面よりも下の標的とする深さでレーザー放射148を集光することが可能となる。焦点では、ビームサイズ及び短パルス幅の結果、エネルギー密度が、表層損傷146を形成する非常に局所的な吸収をもたらすのに充分に高くなる。集光ビーム152の焦点を結晶材料144内の所望される深さに調節するために、レンズアセンブリ150の1又は複数の特性が変更され得る。破線によって模式的に示されるように、表層損傷146を所望される方向154へ進行させるために、レンズアセンブリ150と結晶材料144との間の相対的な横方向の動き(例:横移動)が行われ得る。そのような横方向の動きは、以降で記載するようなパターンを含む様々なパターンで繰り返され得る。
【0042】
本明細書で用いられる場合、「基板」又は「ウェハ」は、単結晶半導体材料などの結晶材料を意味する。ある特定の実施形態では、基板は、(i)1又は複数の半導体材料層のエピタキシャル堆積を支持するために表面加工(例:ラッピング及び研磨)を行うのに充分な厚さ、及び所望に応じて(ii)剛性キャリアから分離される場合は、自立するのに充分な厚さ、を有し得る。ある特定の実施形態では、基板は、概略円柱形状若しくは円形状を有してよく、及び/又は以下の厚さ:200ミクロン(μm)、300μm、350μm、500μm、750μm、1ミリメートル(mm)、2mm、又はこれらを超える若しくはこれら未満の厚さ、のうちの少なくとも約1又は複数の厚さを有してよい。ある特定の実施形態では、基板は、2つのより薄いウェハに分割可能であるより厚いウェハを含み得る。ある特定の実施形態では、基板は、複数の電気動作デバイスを備えたデバイスウェハの一部としてウェハ上に1又は複数のエピタキシャル層(所望に応じて、1又は複数の金属接点と共に)が配置されたより厚い基板又はウェハの一部であってもよい。デバイスウェハは、本開示の態様に従って分割されて、より薄いデバイスウェハと第二のより薄いウェハとが得られてよく、第二のより薄いウェハ上には、続いて、1又は複数のエピタキシャル層(所望に応じて、1又は複数の金属接点と共に)が形成され得る。ある特定の実施形態では、大口径ウェハ又は基板は、195mm以上、又は200mm以上、又は300mm以上、又は450mm以上、又は195mm~455mmの範囲内の直径を有
し得る。ある特定の実施形態では、ウェハ又は基板は、直径が195mm以上又は200mm以上であり、厚さが100μm~1000μmの範囲内、又は100μm~800μmの範囲内、又は100μm~600μmの範囲内、又は150μm~500μmの範囲内、又は150μm~400μmの範囲内、又は200μm~500μmの範囲内、又は300μm~1000μmの範囲内、又は500μm~2000μmの範囲内、又は500μm~1500μmの範囲内、又は本明細書で指定する他のいずれかの厚さ範囲若しくは他のいずれかの厚さ値である、4H-SiCを含み得る。ある特定の実施形態では、「基板」及び「ウェハ」の用語は、ウェハが、典型的には、その上に形成され得る半導体デバイスのための基板として用いられることから、交換可能に用いられてよい。このため、基板又はウェハは、より大きいバルク結晶材料又は基板から分離された自立する結晶材料を意味し得る。
【0043】
本明細書で開示される実施形態は、単結晶及び多結晶の両方の種類の様々な結晶材料の基板又はウェハに適用することができる。ある特定の実施形態では、基板又はウェハは、立方晶、六方晶、及び他の結晶構造を含んでよく、オンアクシス及びオフアクシスの結晶方位を有する結晶材料を含んでもよい。例示的な実施形態は、4H-SiC、6H-SiCなどの六方晶構造を有する単結晶半導体材料を含み得る。本明細書の以降で述べる様々な例示的実施形態は、SiC全体について、又は具体的に4H-SiCについて言及するが、他の適切な結晶材料が用いられてもよいことは理解されたい。様々なSiCポリタイプの中で、4H-SiCポリタイプは、その高い熱伝導率、広いバンドギャップ、及び等方性の電子移動度のために、パワーエレクトロニクスデバイスにおいて特に魅力的である。本明細書で開示される実施形態は、オンアクシスSiC(すなわち、そのc面からの意図的な角度のずれがない)又はオフアクシスSiC(すなわち、典型的には、c軸などの成長軸からゼロではない角度で、典型的には0.5~10度の範囲内、又は2~6度若しくは別のサブ範囲などのそのサブ範囲内でずれている)に適用することができる。本明細書で開示されるある特定の実施形態は、オンアクシス4H-SiC、又はオフカットが1~10度若しくは2~6度の範囲内又は約2、4、6、若しくは8度である微傾斜(オフアクシス)4H-SiCを用い得る。本明細書で開示される実施形態はまた、ドープ結晶半導体材料(例:N-ドープ導電性SiC及び/又はP-ドープSiC)、共ドープ、及び/又は未ドープ結晶半導体材料(例:半絶縁性SiC又は高抵抗率SiC)のいずれにも適用され得る。ある特定の実施形態では、SiCブール及びSiCウェハを含むSiC結晶材料は、中でも1×1017cm-3~1×1021cm-3の範囲内、又は1×1017cm-3~3×1018cm-3の範囲内、又は1×1018cm-3~1×1019cm-3の範囲内、又は1×1018cm-3~3×1018cm-3の範囲内、又は1×1017cm-3未満の濃度でのN型ドープ(窒素などの意図的な及び意図的ではないドーパントを含む)を含み得る。ある特定の実施形態では、N-ドープSiC結晶材料は、0.001Ω・cm~0.05Ω・cmの範囲内、又は0.001Ω・cm~0.03Ω・cmの範囲内、又は0.005Ω・cm~0.05Ω・cmの範囲内、又は0.005Ω・cm~0.03Ω・cmの範囲内の抵抗率を有し得る。他の実施形態では、半絶縁性SiCブール及び半絶縁性SiCウェハを含むより高い抵抗率のSiC結晶材料は、少なくとも1500Ω・cm、又は少なくとも5000Ω・cm、又は少なくとも50,000Ω・cm、又は少なくとも1×10Ω・cm、又は少なくとも1×10Ω・cm、又は少なくとも1×10Ω・cm、又は1500Ω・cm~1×10Ω・cmの範囲内、又は1×10Ω・cm~1×10Ω・cmの範囲内の抵抗率を有する、意図的ではないドープ又は未ドープのSiCを含み得る。半絶縁性SiCウェハは、バナジウム、アルミニウム、又はこれらの組み合わせでドープされていてよい。共ドープSiCウェハは、実施形態に応じて、中でも、窒素、アルミニウム、及びバナジウムなどの2つ以上のドーパントの組み合わせを含み得る。
【0044】
結晶SiCは、中でも、マイクロパイプ、転位(例:中でも、貫通、刃状、らせん、及
び/又は基底面転位)、六角形ボイド、及び積層欠陥を含む様々な構造的結晶欠陥を含み得る。構造的結晶欠陥は、結晶成長の過程で、及び/又は成長後の冷却の過程で形成される可能性があり、結晶SiCの材料格子構造中に1又は複数の不連続部が形成される。そのような構造的結晶欠陥は、SiCウェハ上に続いて形成される半導体デバイスの製造、適切な動作、デバイスの歩留まり、及び信頼性にとって有害であり得る。様々な構造的結晶欠陥の存在は、自立するSiCウェハに応力をもたらす可能性があり、それは、ウェハ形状における様々なずれに寄与し得る(例:以下で考察するように、平坦度特性の低下)。ウェハ形状に対するさらなるずれは、既に述べたように、ワイヤカッティング又はレーザー分離技術のいずれかによってブール又はインゴットからウェハを分離する過程で形成され得る。
【0045】
ウェハの平坦度特性は、ワープ、ボウ、全厚さ変動(TTV)、局所的厚さ変動(LTV)、サイト表面最小二乗範囲(SFQR)、及びウェハたわみ値のうちの1又は複数によって定められ得る。「ワープ」は、未吸着ウェハの焦点面からの最大の正及び負のずれの合計として定義され得る。別の選択肢として、ワープは、基準面からの非吸着ウェハの中央面の最大距離と最小距離との差として定義され得る。「ボウ」は、未吸着ウェハの中心で測定した場合の、ウェハの表面と焦点面との間の距離として定義され得る。別の選択肢として、ボウは、未吸着ウェハの中央面の中心点の、ウェハの公称直径未満の指定された量である直径を有する円に沿って等間隔とされた3点によって定められる中央面基準面からのずれとして定義され得る。SiCに関連するある特定の実施形態では、ボウは、SiCウェハのSi面から測定され得る。「TTV」は、ウェハの最厚部分と最薄部分との間の厚さの差として定義され得る。「LTV」は、ウェハの特定の領域における最厚部分と最薄部分との間の厚さの差として定義され得る。「SFQR」は、ウェハの特定のサイトについて、最小二乗法によって算出された表側参照面からの最大及び最小のずれの範囲として定義され得る。ある特定の実施形態では、TTV、LTV、及びSFQRは、吸着ウェハ又は真空チャック下に保持されたウェハから測定されてもよい。「たわみ」は、ウェハ表面全体にわたって測定される、水平面からの最大及び最小のずれに対する値の間の広がりとして定義され得る。
【0046】
本明細書で開示される実施形態に従うウェハ平坦度特性の測定には、様々な技術が用いられ得る。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるウェハ平坦度特性は、Corning Tropel Corporation,Fairport,NYが製造する市販のTropel UltraSort自動ウェハ平坦度分析システムによって測定される。そのような分析システムの場合、ワープ及びボウの測定値を得るために用いられる未吸着ウェハの焦点面は、ウェハ上の特定の3点での表面高さによって定められ得る。この特定の3点は、Tropel UltraSort Operator’s Manual, revision number J, February, 2007に記載のように、ウェハの表面に沿って互いに120度離れ、ウェハの半径からある特定のエッジトリム又は除外領域を差し引いたものの97%の配置とされた位置で定められ得る。
【0047】
図8A図8Eは、本明細書においてウェハ平坦度特性を定量した方法を示すために提供される。これに関して、他の測定ツール及び設備を用いて、同様にウェハ平坦度特性を定量してもよい。図8Aは、未吸着ウェハのワープ測定を示す模式的垂直断面図である。上記で述べた焦点面(FP)は、水平破線として示される。AMAXは、FPからFPの上にあるウェハの表面までの最大距離を表し、BMAXは、FPからFPの下にあるウェハの表面までの最大距離を表す。そしてワープは、AMAX及びBMAXの絶対値の合計として特徴付けられ得る。図8Bは、未吸着ウェハのボウ測定を示す模式的垂直断面図である。ボウは、FPとウェハ表面の中心点(CP)との間の距離として特徴付けられ得る。図8Cは、ウェハのTTV測定を示す模式的垂直断面図である。TTV測定の場合、ウェハは、ウェハの裏側面(BS)に適用された真空チャックによって適切な位置に保持さ
れる。TTVは、BSに対するウェハの表側面(FS)の最大高さ(MAX)と最小高さ(MIN)との間の差として特徴付けられ得る。図8Dは、ウェハの様々な位置でのLTV測定を示す模式的垂直断面図である。LTVは、吸着状態で又は真空チャックに対して保持されたウェハの特定の領域における局所的最大高さ(LMAX)と局所的最小高さ(LMIN)との差として特徴付けられ得る。図8Dでは、5つの領域又はウェハサイト(サイト1~サイト5)が示され、LMAX及びLMINは、各サイト内の水平実線で示される。図8Eは、ウェハの様々な位置でのSFQR測定を示す模式的垂直断面図である。ウェハは、吸着状態で又は真空チャックに対して保持され得る。各サイトにおいて(図8Eのサイト1~サイト3)、局所的焦点面(LFP)は、示されるように、局所的な最小二乗フィッティング法によって定められる。AMAXは、LFPからLFPの上にあるウェハの表面までの最大距離を表し、BMAXは、LFPからLFPの下にあるウェハの表面までの最大距離を表す。そしてSFQRは、ウェハの各局所領域又はサイトにおけるAMAX及びBMAXの絶対値の合計として特徴付けられ得る。
【0048】
ある特定の実施形態では、そのような測定技術は、インターフェロメトリーを含み得る。ある特定の実施形態では、測定技術は、ウェハの平坦度又は平坦ではないことを特定するために用いられるオプティカルフラットの使用を含み得る。ワープ、ボウ、及びTTVは、全体形状特性と称される場合があり(すなわち、ウェハ表面の一部分だけではなく、ウェハ全体に影響を及ぼす特性)、一方LTV及びSFQRは、局所形状特性と称される場合がある。そのような全体形状又は局所形状特性のいずれかを有するウェハは、いくつかの理由から望ましくない可能性がある。例えば、エピタキシャル成長プロセスの過程で、ワープ、ボウ、又はTTV値が高いと、ウェハと支持サセプタとの間の接触が不均一となる場合があり、このことは、ウェハ全体にわたる熱変動を引き起こす可能性があり、それによって、不均一なエピタキシャル層、及びその上に形成して得られるデバイスの加工歩留まりの低下がもたらされる。加えて、ワープ、ボウ、又はTTVの値が高いと、ウェハが真空チャック、ウェハキャリアなどによって固定される際に導入される応力に起因して、ある特定のデバイス製造工程の過程におけるウェハのクラック形成のリスクが高まり得る。様々なLTV及びSFQR値を有するウェハは、エピタキシャル成長の局所的な変動を引き起こす可能性があり、このこともまた、その上に形成されるデバイスの加工歩留まりを低下させ得る。
【0049】
結晶成長の過程で形成される構造的結晶欠陥に関連する、又はブール若しくはインゴットからウェハを分離する過程で形成されるウェハ形状特性由来のウェハの応力は、特に大口径SiCウェハ(例:150mmを超える直径)の場合に、ウェハの平坦度に対して負の影響をもたらし得る。本明細書で開示される実施形態によると、適切なウェハ平坦度値を有し、少なくともおよそ200mmの直径を有するSiCウェハが開示される。相対的な寸法に関して、「およそ」の用語は、直径寸法からプラス又はマイナス5mmなどのある特定の許容差以内の公称寸法を意味するものと定義される。例えば、本明細書で用いられる場合、直径「200mm」のウェハは、195mm~205mmを含む直径範囲を包含してよく、直径「300mm」のウェハは、295mm~305mmを含む直径範囲を包含してよく、直径「450mm」のウェハは、445mm~455mmを含む直径範囲を包含してよい。さらなる実施形態では、そのような許容差はこれより小さくてもよく、プラス若しくはマイナス1mm又はプラス若しくはマイナス0.25mmなどである。ある特定の実施形態では、適切なウェハ平坦度値を有し、およそ200mm~450mmの範囲内又はおよそ200mm~300mmの範囲内の直径、及び100μm~1000μmの範囲内、又は100μm~800μmの範囲内、又は200μm~600μmの範囲内、又は100μm~500μmの範囲内、又は200μm~500μmの範囲内、又は300μm~1000μmの範囲内、又は500μm~2000μmの範囲内、又は500μm~1500μmの範囲内の厚さを有するSiCウェハが開示される。このため、ある特定の実施形態では、SiCウェハは、少なくとも250、又は少なくとも350、又
は少なくとも400、又は少なくとも500、又は少なくとも600、又は少なくとも1250、又は250~1250の範囲内である直径対厚さ比を有する。ある特定の例では、直径200mmのSiCウェハは、250の直径対厚さ比の場合、800μm(0.8mm)の厚さを有し、又は400の直径対厚さ比の場合、500μm(0.5mm)の厚さを有し、又は571(四捨五入後)の直径対厚さ比の場合、350μm(0.35mm)の厚さを有する。他の例では、直径300mmのSiCウェハは、375の直径対厚さ比の場合、800μm(0.8mm)の厚さを有し、又は600の直径対厚さ比の場合、500μm(0.5mm)の厚さを有し、又は857(四捨五入後)の直径対厚さ比の場合、350μm(0.35mm)の厚さを有する。なお他の例では、直径450mmのSiCウェハは、563(四捨五入後)の直径対厚さ比の場合、800μm(0.8mm)の厚さを有し、又は900の直径対厚さ比の場合、500μm(0.5mm)の厚さを有し、又は1286(四捨五入後)の直径対厚さ比の場合、350μm(0.35mm)の厚さを有する。
【0050】
そのような直径及び厚さ寸法を有するSiCウェハの場合、より小さくより厚いウェハと比較して、機械的剛性を維持することが困難となり得る。このように、大口径SiCウェハの形成に伴って応力及び歪みの変形効果が拡大される。本明細書で述べるように、改善された機械的剛性及びウェハ平坦度特性を有するSiCウェハを提供する、SiCウェハ並びに関連する方法が開示される。本明細書で開示されるある特定の実施形態では、少なくともおよそ200mmの直径及び300μm~1000μmの範囲内又は500μm~2000μmの範囲内の厚さを有するSiCウェハは、-25μm~25μm、又は-10μm~10μm、又は-4μm~4μmの範囲内のボウを有する。さらなる実施形態によると、少なくともおよそ200mmの直径及び少なくとも500又は少なくとも600又は少なくとも900の直径対厚さ比を有するSiCウェハは、-25μm~25μm、又は-10μm~10μm、又は-4μm~4μmの範囲内のボウを有する。本明細書で開示されるある特定の実施形態では、上述の厚さ範囲及び/又は直径対厚さ比と共に少なくともおよそ200mmの直径であることを含む寸法を有するSiCウェハは、40μm未満、又は16μm未満、又は12μm未満のワープを有する。本明細書で開示されるある特定の実施形態では、そのような寸法を有するSiCウェハは、7μm未満、又は2.6μm未満、又は2.2μm未満のTTVを有する。本明細書で開示されるある特定の実施形態では、そのような寸法を有するSiCウェハは、4μm未満、又は1.3μm未満、又は1μm未満である1cmのサイト領域におけるLTV値又は平均値を有する。本明細書で開示されるある特定の実施形態では、そのような寸法を有するSiCウェハは、1.5μm未満、又は0.6μm未満、又は0.43μm未満である1cmのサイト領域におけるSFQR最大値を有する。上述のボウ、ワープ、TTV、LTV、及びSFQR値は、上述のTropel UltraSort自動ウェハ平坦度分析システムによって測定されて提供される。ボウ及びワープの測定において、焦点面は、未吸着ウェハ上の3点によって定められ、第一の点は、主フラットから180度離れたウェハの上部に位置し、他の2点は、第一の点から120度離れた別々の場所に置かれる。3点の各々は、ウェハエッジから間隔をあけられて、ウェハの半径からエッジトリム又は除外領域の距離2mmを差し引いたものの97%の位置とされる。例えば、200mmウェハの場合、半径からエッジトリム値を差し引くと、98mmとなる。したがって、3点は、98mmの97%の値又は95.06mmに配置されることになる。
【0051】
本明細書で開示されるある特定の実施形態では、大口径SiCウェハにおけるウェハ形状及び平坦度特性は、成長させたSiC結晶ブール又はインゴット中の、中でもフープ応力などの結晶応力を低下させることによって改善される。図9は、本明細書で開示される実施形態に従う例示的なSiC結晶ブール156の斜視図である。図示されるように、SiC結晶ブール156は、端面156’、概略円筒形状を形成し得るSiC結晶ブール156の周囲に沿った側面156’’、及び中心軸線158を含む。用途に応じて、端面1
56’は、結晶c面に相当してよく、中心軸線158は、[0001]方向に相当していてよい。他の実施形態では、端面156’は、結晶c面に対してオフアクシス面に相当してよく、又は端面156’は、SiCの他の結晶面に相当してもよい。結晶成長及び続いての高温工程の過程で、応力は、主として熱勾配に起因して結晶中に存在し得るが、ドープのばらつき(differential doping)及び点欠陥濃度などの他の因子も関与し得る。そ
のような応力が、その材料に対する臨界分解せん断応力を超えると、転位を誘導し移動させるすべり機構及び上昇機構が活性化され得る。これらの機構の正味の結果として、結晶の異なる領域で異なる密度の原子面が作り出され得る。これは、原子面の「喪失」又は「追加」と称され得る。SiC結晶の成長の典型的な例において、「喪失した」原子面は、SiC結晶ブール156の周辺部分に沿ってより多く発生し得るものであり、それによって、「喪失した」原子面は、中心軸線158よりも側面156’’に近い位置にある。成長後、SiC結晶ブール156の「喪失した」原子面を含有する領域は、低密度SiC領域を形成し得る。ある特定の例では、そのような低密度SiC領域は、SiC結晶ブール156の周囲全体に環状リングを形成し得る。このようにして、半径方向の応力勾配160が、中心軸線158から側面156’’に向かって形成され、そしてそれは、中心軸線158に対して回転する方向に分布するフープ応力162又は円周方向応力に寄与し得る。ある特定の例では、「喪失した」原子面に起因する応力は、「ミラー応力(mirror stress)」とも称され得る。図9において、SiC結晶ブール156から分離され得るSi
Cウェハ164の位置を示すために、曲線の破線がSiC結晶ブール156上に重ね合わされている。フープ応力162は、SiCウェハ164中に存在し、それに応じて、SiCウェハ164におけるボウ、ワープ、TTV、LTV、及びSFQRの値のうちの1又は複数の増加などのウェハ形状の変形に寄与し得る。少なくともおよそ200mmの直径を有するSiCウェハの成長などの大口径結晶成長において、追加の又は喪失した原子面及び対応するフープ応力162の形成の増加は、さらに大きいウェハ形状変形に寄与する可能性がある。
【0052】
本明細書で開示される実施形態によると、大口径結晶成長におけるフープ応力162が低減されて、半導体製造に適するウェハ形状及び平坦度特性を有する大口径SiCウェハを形成することができる。ある特定の実施形態では、フープ応力162、さらには他の結晶応力は、SiC結晶ブール156の1又は複数の周辺部分及び中心部分に沿った1又は複数の結晶成長条件を変更することによって低減することができる。変更される結晶成長条件は、成長開始条件(例:図1Bの種結晶104上でのSiCの初期成長)を改変すること、及び/又は結晶ブール156の成長全体にわたって成長条件を変更すること、及び/又は結晶ブール156の成長後の冷却条件を変更することによって得られ得る。これに関して、SiCの結晶材料の成長は、ある成長温度で、結晶材料の1又は複数の部分における応力をその成長温度でのSiCの臨界分解せん断応力未満に維持しながら行われ得る。
【0053】
SiC結晶の成長条件は、典型的には、Si-及びC-含有ガス種を種結晶の表面に供給すること、及び続いてSi及びC構成成分を種結晶表面上に堆積させることによって実施することができる。これを実現するための方法は多く存在し、本明細書で述べる実施形態は、SiC結晶成長のある特定の態様を変更して、大口径SiCブール及び得られるSiCウェハにおける成長関連応力を低減するために提供される。Si-及びC-含有ガス種は、多結晶SiC、単結晶SiC、Si及びCのポリマー、Si対C比1:1若しくは比1:1の20%許容差範囲内のSi及びC粉末の混合物、Si対C比が1:1又は比1:1の20%許容差範囲内であるSiC、Si、及びC粉末の混合物、アモルファス若しくは結晶SiC(例:多結晶又は単結晶)のパック(pucks)又は塊、及びSiCの多孔
質メッシュのうちの1又は複数が挙げられ得る固体原料物質の加熱を通してSiC、SiC、SiC、及びSiガスのうちの1又は複数を発生させることによって提供され得る。ある特定の実施形態では、上述した固体原料物質とは別に又はこれに加えて、Si-
及びC-含有ガス種の供給のためにガス原料が用いられてもよい。そのようなガス原料としては、SiH、Si、SiCl、SiClH SiCl、CH、C、及びSi(CHなどの1又は複数の種が挙げられ得る。ガス原料及び固体原料の組み合わせを含む実施形態では、Si又はCの供給の一部がガスによって供給されることから、固体原料のSi:C比は、1:1から離れるように変更されてもよい。
【0054】
ある特定の実施形態では、これらの原料は、主として純SiCを含んでよいが、結晶の意図的なドープ、表面エネルギーの改変、点欠陥の意図的な生成、及び格子サイズの改変を実現するために、不純物が多くの場合添加され得る。これらの不純物としては、周期律表のほとんどいかなる元素も挙げられ得るものであり、多くの場合、p型ドープを導入するためのBなどの第III族元素、又はn型ドープ導入のためのN、Ge及びSnを含む原子半径のより大きい原子、V、並びに一部のランタニドが、表面エネルギーの改変、及び得られる結晶格子パラメータサイズの変化、又は深い準位の電気的欠陥の誘導のために含まれ得る。
【0055】
ある特定の実施形態では、原料供給領域は、坩堝の原料供給領域から種結晶領域に向かって温度勾配が作り出されるように、種結晶よりも高い温度で維持され得る。この温度勾配は、Si及びC種の種結晶への輸送を補助する。固体原料が昇華して、種結晶上で凝縮する際に、ガス原料が、原料領域から種結晶領域へのガス流によって送られてもよい。ある特定の実施形態では、ガス原料は、種結晶表面と相互作用を起こすための構成成分の部分にガスを分解可能とするために、高温領域を通して送られてよく、又はガス種は、種結晶表面と直接相互作用を起こしてもよい。ある特定の実施形態では、ガスの分解プロセスを補助するために、1又は複数の高周波電界が用いられる。
【0056】
原料領域及び種結晶領域の両方は、一般的に、坩堝の中に含まれ、原料領域は、種結晶領域に対して上、下、又は隣接して配置され得る。ある特定の実施形態では、坩堝は、Si-及びC-含有ガスに対して比較的安定である材料から作製され得る。ある特定の実施形態では、坩堝は、中でも、グラファイト、TaC及びNbCコーティンググラファイト、並びに固体TaC及びNbCのうちの1又は複数を含み得る。ある特定の実施形態では、坩堝は、ガスの漏出を防ぐために密封されていてよく、又は坩堝から一部のガスを流出させるように部分的に開いていてもよい。ある特定の実施形態では、坩堝は、誘導加熱を可能とするために電気伝導性であってよく、一方他の実施形態では、放射加熱が用いられてもよく、さらに他の実施形態では、誘導加熱と放射加熱との組み合わせが用いられてもよい。ある特定の実施形態では、これらの坩堝内での温度プロファイルは、系への熱注入量の考慮と、断熱バッフルの使用による熱流制御との両方が成されるように制御され得る。
【0057】
原料領域は、一般的に、種結晶領域よりも高い温度とされ得ることから、種結晶領域に熱勾配が誘導され得る。このため、種結晶、及び続いて成長するSiC結晶は、等温ではなく、熱勾配を有し得る。SiC結晶の成長の過程での高い応力の発生を防止するために、結晶成長条件を制御して、成長プロセスの過程で又は成長後の室温への冷却の過程で、SiCの臨界分解せん断応力を超える結晶の領域を減少させることができる。例えば、SiCの結晶材料の成長は、ある成長温度で、結晶材料の1又は複数の部分における応力をその成長温度でのSiCの臨界分解せん断応力未満に維持しながら行われ得る。ある特定の実施形態では、応力は、大口径SiCウェハ(例:およそ200mmの直径)が形成されることになる結晶材料の少なくとも20パーセントに対して、臨界分解せん断応力未満に維持され得る。さらなる実施形態では、応力は、SiCウェハが形成されることになる結晶材料の少なくとも40パーセント、又は少なくとも60パーセント、又は少なくとも80パーセント、又はさらには100パーセントに対して、臨界分解せん断応力未満に維持され得る。これに関して、既に述べたように、ボウ、ワープ、TTV、LTV、及びS
FQR値のうちの1又は複数を含む適切なウェハ平坦度特性を有する大口径SiCウェハを提供するために、成長の過程で応力が管理され得る。SiC結晶の成長及び冷却時に低い熱応力をもたらすための機構は多く存在し、充分に低い応力は、概説される技術の1又は複数の組み合わせによって実現され得る。
【0058】
ある特定の実施形態では、結晶の上及び下での断熱材又は断熱バッフルの使用が、軸線方向の熱勾配を低減するように構成され得る。ある特定の実施形態では、断熱材又はバッフルは、種結晶ゾーンの横の周りに提供されて、軸線方向の勾配が低減され得る。ある特定の実施形態では、直接誘導加熱、坩堝若しくは系のより高温の領域からの放射、又は成長系のより高温の領域からの高伝導性材料を通しての熱伝導のうちの1又は複数による坩堝の様々な領域の選択的な加熱が、軸線方向の勾配を低減するように構成され得る。ある特定の実施形態では、熱プロファイルは、成長系の1又は複数のより低温の領域に熱を引き抜くための1又は複数の高伝導性経路を提供することによって一部の熱を除去することでも変更され得る。ある特定の実施形態では、種結晶及び原料物質を含む坩堝は、断熱材料の中に配置されてよく、及び種結晶領域が原料領域よりも低い温度で維持可能となるように、熱伝導性材料による上部ロッド部(top rod)が、熱を消散させるための経路を提
供するように配置されてもよい。ある特定の実施形態では、種結晶領域の下に配置される中実バッフル又は管が、熱エネルギーのための移動機構としても作用し得るガスフラックスの指向性制御を可能とするために提供されてもよい。
【0059】
ある特定の実施形態では、坩堝及び/又は坩堝の蓋を加熱するために用いられる加熱要素は、SiC結晶ブール156のための成長の開始、成長の全体、及び冷却の過程のうちの1又は複数の過程で、中心軸線158と側面156’’との間の半径方向熱勾配を変更するために調節され得る。フープ応力162の改善のために、特定の半径方向熱勾配は、結晶成長装置間で独特であり得る。特定の成長装置における結晶成長プロセス条件、さらには得られる結晶の応力プロファイルに応じて、半径方向の熱勾配を変更することは、中心軸線158と側面156’’との間の熱勾配を増加又は減少させることを含み得る。このため、半径方向の成長プロファイルは、フープ応力162の軽減のために、余剰原子面及び対応するBPDの減少した又はより均一な形成をもたらす目的で、特定の成長プロセス及び装置に合わせて調整され得る。ある特定の実施形態では、熱勾配は、種結晶(図1Bの104)と坩堝の蓋(図1Bの110)又は他の種結晶ホルダーとの間の熱接触を、中心軸線158と比較して、得られるSiC結晶ブール156の側面156’’に対して段階的とすることによって変更され得る。ある特定の実施形態では、成長条件は、形成され得る余剰原子面を抑制することでフープ応力162を軽減するために結晶の弾性率プロファイルを変更し得る結晶欠陥を、SiC結晶ブール156の周辺部分に沿って意図的に提供するために変更され得る。他の実施形態では、成長条件は、フープ応力162を抑制する又は軽減するために、結晶欠陥をSiC結晶ブール156の中心部分に沿って意図的に提供するために変更され得る。そのような結晶欠陥としては、中でも、欠陥クラスター、結晶及び/又は六角形ボイド、積層欠陥、異なるポリタイプ、マイクロパイプ、及びさらなる転位(例:貫通、刃状、らせん、及び/又は基底面転位)が挙げられ得る。ある特定の実施形態では、種結晶(図1Bの104)は、得られるSiC結晶ブール156の対応する領域(周辺又は中心)での欠陥形成増加を促進するために、周辺部分又は中心部分に沿って欠陥が増加するように構成され得る。ある特定の実施形態では、種結晶(図1Bの104)の平坦度を意図的に変更するために、種結晶(図1Bの104)と坩堝の蓋(図1Bの110)との間に機械的応力が意図的に形成され得る。このため、SiC結晶ブール156の周辺部分及び中心部分に沿った成長条件は、種結晶平坦度の相対的な変動に基づいて調節され得る。
【0060】
選択される結晶成長設備の相対的な構成に応じて、応力を低減し及び/又は半導体製造に適する平坦度特性を有する改善されたウェハ形状である大口径SiCウェハを提供する
ために、上述の変更された結晶成長条件の各々及び様々な組み合わせが提供され得る。これに関して、変更された結晶成長条件は、大口径ブール全体にわたる結晶応力の低減を促進するために、中心部の結晶成長条件と異なって構成される周辺部の結晶成長条件を含み得る。そのような変更された結晶成長条件は、ドープ結晶SiC(例:N-ドープ導電性SiC)及び意図的ではないドープ又は未ドープのSiC(例:半絶縁性SiC又は高抵抗率SiC)の両方に適用可能であり得る。
【0061】
ドープ結晶SiCの場合、窒素などのn型ドーパントの存在は、特に大口径SiCウェハにおいて、結晶応力及び低下したウェハ平坦度にさらに寄与し得る追加の結晶欠陥を誘導し得る。高導電性SiCウェハの場合、SiCウェハ中の窒素ドープ濃度は、典型的には、1×1018cm-3~4×1021cm-3の範囲内であり、SiC結晶がファセット成長する特徴に起因して、可変の半径方向のドーププロファイルが存在する。図10A図18は、可変のドーププロファイルを有するバルクSiC結晶材料の様々な図を示す。図10Aは、種結晶104からSiC結晶材料166の厚さ全体を通して、その中心部分に沿って上向きに延びる円柱形状の高ドープ領域168を示す、種結晶104上のSiC結晶材料166の模式的垂直断面図である。ある特定の実施形態では、高ドープ領域168は、SiC結晶材料166の周に沿って配置された低ドープ領域170と横方向に境界を接している。ある特定の実施形態では、低ドープ領域170は、意図的にドープされていても、意図的でなくドープされていても、又は未ドープであってもよい。図10Aでは、高ドープ領域168のサイズ(例:幅又は直径)がSiC結晶材料166の厚さ全体を通して実質的に一定であるとして示されているが、高ドープ領域168のサイズは、SiC結晶材料166中の縦位置と共に変動してよい(例:典型的には、種結晶104に近づくに従って幅又は直径が大きくなり、種結晶104からの距離が増えるに従って小さくなる)。加えて、高ドープ領域168中のドープの強さも、SiC結晶材料166中の縦位置と共に変動してよい。SiC結晶材料166の薄断面部分172-1が、破線で示される。図10Bは、断面部分172-1に沿って図10AのSiC結晶材料166から得られるSiCウェハ174-1の模式的平面図である。示されるように、高ドープ領域168は、SiCウェハ174-1の中心領域に合わせられて、SiCウェハ174-1のリング形状低ドープ領域170と横方向に境界を接している円形状を形成する。
【0062】
図11は、種結晶104からSiC結晶材料166の厚さ全体を通して、その中心部分に沿って上向きに延びる円錐台形状の高ドープ領域168を有する、種結晶104上のSiC結晶材料166の模式的垂直断面図である。ある特定の実施形態では、微傾斜(例:c面に対して平行ではない角度のオフカット)種結晶104がSiC結晶材料166の成長に用いられる場合、高ドープ領域168の横位置及び形状は、図11に示される構成に対して異なっていてもよい。例えば、微傾斜結晶成長の場合、高ドープ領域168は、ある断面において円形状よりも楕円形状であってよく、及び/又はSiC結晶材料166の中心に対して横方向にずれていてもよい。図12は、種結晶104からSiC結晶材料166の厚さ全体を通して、種結晶104の中心に対して中心からずれた位置で上向きに延びる高ドープ領域168を示す、種結晶104上のSiC結晶材料166の模式的垂直断面図である。図12において、種結晶104は、微傾斜(例:オフカット)種結晶を含んでよく、高ドープ領域168は、上から見た場合に中心からずれた概略楕円形状を形成し得る。ある特定の実施形態では、高ドープ領域168は、中心からずれた他の形状を形成してもよい。
【0063】
図13Aは、高ドープ領域168が種結晶104の中心に最初は形成することができない実施形態における、種結晶104上のSiC結晶材料166の模式的垂直断面図である。このため、第一の低ドープ領域170-1は、最初、高ドープ領域168と横方向に境界を接して、SiC結晶材料166の中心で形成し得る。ある成長時間の後、高ドープ領域168は、高ドープ領域168が第二の低ドープ領域170-2と横方向に境界を接す
るように、中心に沿って形成し続け得る。この方法により、破線で示されるSiC結晶材料166の薄断面部分172-1は、図10Bに示されるようなSiCウェハ174-1を定め得るものであり、一方SiC結晶材料166の下の方の薄断面部分172-2は、図13Bに示されるSiCウェハ174-2を定め得る。図13Bは、断面部分172-2に沿って図13AのSiC結晶材料166から得られるSiCウェハ174-2の模式的平面図である。示されるように、高ドープ領域168は、低ドープ領域170-1と横方向に境界を接している円形状を形成する。
【0064】
図14は、高ドープ領域168が種結晶104の1又は複数の位置に沿っては最初は形成することができない実施形態における、種結晶104上のSiC結晶材料166の模式的垂直断面図である。このため、最初は、SiC結晶材料166の1又は複数の様々な位置に合わせられた1又は複数の第一の低ドープ領域170-1が形成し得る。ある特定の実施形態では、1又は複数の第一の低ドープ領域170-1は、高ドープ領域168と横方向に境界を接している。ある成長時間の後、高ドープ領域168は、高ドープ領域168が第二の低ドープ領域170-2と横方向に境界を接するように、中心に沿って形成し続け得る。
【0065】
図15図17は、高ドープ領域168がSiC結晶材料166の厚さ全体を通して非対称形状を形成し得る実施形態における、種結晶104上のSiC結晶材料166の模式的垂直断面図である。図15に示されるように、成長条件は、最初、種結晶104にわたって広い面積の高ドープ領域168を形成し得、続いて狭い面積となり得、そしてSiC結晶材料166の端部に向かって広い面積に戻り得る。図16では、成長条件は、種結晶104の近くに低ドープ領域170を形成し得、続いて非対称形状で、SiC結晶材料166の厚さ方向に沿って半径領域に延びる高ドープ領域168を形成し得る。図17では、成長条件は、種結晶104の大部分に沿って高ドープ領域168を形成し得、続いて、SiC結晶材料166の厚さ方向に沿って半径領域に延びる非対称形状の高ドープ領域168を形成し得る。
【0066】
図18は、高ドープ領域168がSiC結晶材料166の大部分に沿って均一に提供される実施形態における、種結晶104上のSiC結晶材料166の模式的垂直断面図である。ある特定の実施形態では、成長条件は、SiC結晶材料166の実質的な部分にわたって、又はSiC結晶材料166全体にわたって高ドープ領域168を形成し得る。
【0067】
図10A図18の高ドープ領域168の可変の形状によって裏付けられるように、高ドープ領域168及び低ドープ領域170、170-1、170-2の横方向寸法は、SiC結晶材料166中の縦位置及び横位置に応じて様々であり得る。このような場合、ドープに関連する結晶応力は、同じバルクSiC結晶材料から形成されるn型SiCウェハにわたって可変であり得、それによって、特に少なくともよそ200mm超の直径のn型SiCウェハの場合に、ウェハ形状の望ましくないずれに寄与する。ある特定の実施形態では、共ドーパント又は歪み調整成分の1又は複数の組み合わせが、n型ドーパントの高められた濃度によって誘導される結晶欠陥に関連する応力及び/又は歪みを抑制するために、結晶成長の過程で添加され得る。共ドーパント及び/又は歪み調整成分は、ホウ素、アルミニウム、ゲルマニウム、ベリリウム、ガリウム、スズ、ヒ素、リン、チタン、バナジウム、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含み得る。ある特定の実施形態では、SiC結晶のファセット成長特性に起因して、共ドーパント及び歪み調整成分は、n型ドーパントの高及び低ドープ領域168、170の可変の半径方向プロファイルに類似する可変の半径方向プロファイルで組み込まれ得る。このように、大口径n型SiCウェハ(例:少なくともおよそ200mm)の平坦度特性が、半導体製造に適する改善されたウェハ形状と共に開示される。
【0068】
ある特定の実施形態では、大口径SiCウェハのウェハ形状は、個々のSiCウェハが対応するSiC結晶ブールから分離された後に改善され得る。これに関して、自立する大口径SiCウェハ(例:少なくともおよそ200mm)は、結晶成長条件及び/又は続いてのウェハ分離プロセスに伴う応力関連変形に起因して、ワープ、ボウ、TTV、LTV、及びSFQRのうちの1又は複数の望ましくない平坦度値を有し得る。このため、機械的負荷又は応力下でのSiCウェハのアニーリング、SiCウェハ表面への選択的注入、及びSiCウェハ表面への選択的な膜の堆積を含む、自立するSiCウェハの結晶応力を軽減し、ウェハ形状を改善するための様々な手法が開示される。
【0069】
図19A図19Cは、機械的応力下でSiCウェハをアニーリングするための製造プロセスの様々な状態におけるSiCウェハ176の模式的断面図である。図19Aでは、SiCウェハ176は、結晶ブール(図示せず)からの分離後に自立しており、変形したウェハ形状を呈している。図示の目的で、SiCウェハ176は波状に湾曲した形状で示されているが、望ましくない平坦度値をもたらすウェハ形状は、いくつも存在し得る。既に述べたように、変形したウェハ形状は、様々な結晶成長条件及び続いてのウェハ分離プロセスの1又は複数に伴う応力関連変形によって形成され得る。図19Bでは、図19Aに示される変形したウェハ形状を変更する目的で、機械的負荷178又は応力が、SiCウェハ176に適用されている。機械的負荷178は、SiCウェハ176の1又は複数の部分に適用される、SiCウェハ176を少なくとも一時的により平坦なウェハ形状に保持するのに充分である荷重又は他の力を含み得る。これに関して、機械的負荷178は、結晶成長及び/又はウェハ分離プロセスからの結晶応力を抑制する応力を、SiCウェハ176に提供し得る。機械的負荷178下のままで、続いてSiCウェハ176は、SiCウェハ176がアニーリング後に図19Cに示されるようにより平坦なウェハ形状を維持するように、SiCウェハ176が加熱され、その後冷却されるアニーリングプロセスに掛けられ得る。ある特定の実施形態では、アニーリングは、1000℃以上の温度で、又は1000℃~2000℃の範囲内の温度で実施され得る。他の実施形態では、SiCウェハ176は、ウェハ形状特性を改善するための機械的負荷178に掛けられることなく、アニーリングされ得る。本明細書で開示されるように、SiCウェハ176は、図19Aに示される第一のウェハ形状を形成してよく、機械的負荷178下でのSiCウェハ176のアニーリングによって、図19Cに示される第二のウェハ形状を形成してよい。ある特定の実施形態では、第二のウェハ形状は、ワープ、ボウ、TTV、LTV、及びSFQRのうちの1又は複数の改善された平坦度値を有し得る。この方法により、SiCウェハ176の応力プロファイル及び対応する欠陥プロファイルは、機械的負荷178下でSiCウェハ176をアニーリングすることによって変更され得る。例えば、SiCウェハ176の他の位置に存在する構造的欠陥を抑制するために、転位が形成され得る、若しくはSiCウェハ176のある特定の位置に移動され得る、又は既存の構造的欠陥と同じ位置に転位が追加若しくは移動され得る。ある特定の実施形態では、機械的負荷178は、SiCウェハ176のある特定の部分にわたって均一に、又はSiCウェハ176の全体にわたって均一に適用されてよい。他の実施形態では、機械的負荷178は、ウェハ形状変形の種類に応じて、SiCウェハ176にわたって不均一に適用されてもよい。例えば、機械的負荷178は、SiCウェハ176の中心、又はSiCウェハ176の周辺部分に沿って、又はその両方など、SiCウェハ176の1又は複数の局所的部分に適用され得る。エピタキシャル成長及び他のデバイス製造工程などの様々な下流の半導体製造プロセスにおいて、SiCウェハ176は、連続平坦表面又はエッジ支持構成のいずれかによって支持され得る。特定の下流用途に応じて、SiCウェハ176は、機械的負荷178適用の過程で、連続平坦面又はエッジ支持構成(例:3点支持、リング形状支持など)のいずれかによって、状況に応じて支持され得る。この方法により、特定の下流用途に合わせて調整されたウェハ形状を有するSiCウェハ176が提供され得る。他の実施形態では、SiCウェハ176は、応力プロファイル及び対応する欠陥プロファイルを変更して改善されたウェハ形状特性を提供するための機械的負荷178に掛けられることなく
、アニーリングされ得る。
【0070】
図19D及び図19Eは、本明細書で開示される実施形態に従うSiCウェハに対する転位プロファイルマップを示すSiCウェハの平面画像である。図19Dは、図19A図19Cに従って機械的応力下でアニーリングした後の、SiCウェハ180の平面画像である。例えば、機械的負荷(図19Bの178)は、約1500℃でのアニーリングの過程で、SiCウェハ180の中心に沿ったディスク形状の力としてSiCウェハ180に適用した。画像中、暗い領域は、SiCウェハ180の転位の高い領域に対応し、明るい領域は、転位の低い領域に対応する。図で示されるように、転位が増加した暗い領域は、SiCウェハ180の中心領域と比較して、SiCウェハ180の周エッジ近くに配置される傾向にある。既に述べたように、そのような転位密度の変動は、大口径ウェハにおける平坦度特性を低下させる応力プロファイルに繋がる可能性がある。ディスク形状の機械的負荷をSiCウェハ180の中心に適用することでのアニーリング後、対応する転位の増加は、画像のx軸及びy軸に沿って約-30mmから30mmの値の暗い円形領域として視認可能である。参照の目的で、図19Eは、機械的応力下でのアニーリングを施していないSiCウェハ182の平面画像である。比較のために、SiCウェハ182は、図19DのSiCウェハ180と同じ結晶ブールの近傍のスライスから形成されたウェハである。この方法により、SiCウェハ182は、アニーリング前のSiCウェハ180と同じ又は同様の転位プロファイルに相当する。図示されるように、SiCウェハ182の中心部分は、周部分よりも全体として低い転位プロファイルを含む。これに関して、機械的負荷下でのSiCウェハのアニーリングは、SiCウェハ中の応力を抑制する又は均衡させるように合わせて調整することができる転位又は他の構造的欠陥プロファイルの変更を提供し得る。ディスク形状の機械的負荷を、図19Dで例証したが、機械的負荷は、存在し得る様々な応力関連の形状変形を支援するために、異なる形状で、及びSiCウェハの異なる位置で提供されてもよい。転位を識別するために、転位の位置に対応するエッチングピットを明らかにする目的で、SiCウェハ180、182を表面エッチングプロセス(例:水酸化カリウム(KOH))に掛けた。加えて、図19D及び図19EのSiCウェハ180、182を、150mmの直径で選択したが、機械的負荷下でのアニーリングは、150mm未満の直径及びおよそ200mm~450mmの範囲内の直径を含むいかなる直径のウェハにも適用され得る。
【0071】
図20A図20Cは、SiCウェハ184に選択的に注入を行うための製造プロセスの様々な状態におけるSiCウェハ184の模式的断面図である。図20Aでは、SiCウェハ184は、結晶ブール(図示せず)からの分離後に自立しており、変形したウェハ形状を呈している。図示の目的で、SiCウェハ184は湾曲又は凸面形状で示されているが、望ましくない平坦度値をもたらすウェハ形状は、いくつも存在し得る。既に述べたように、変形したウェハ形状は、様々な結晶成長条件及び続いてのウェハ分離プロセスの1又は複数に伴う応力関連変形によって形成され得る。図20Bでは、ある特定の応力関連変形を相殺するために、選択的イオン注入が、SiCウェハ184の表側面又は裏側面の周部分(例:186-1、186-3)及び中心部分(例:186-2、186-4)のうちの1又は複数に適用される。イオン注入は、SiCウェハ184の結晶格子の一部に選択的にドープするための柔軟性及び利便性の高い方法である。イオン注入プロセスにおいて、ドーパントイオンは、keV又はMeVで通常は表される高いエネルギーまで加速され、SiCウェハ184の表側(又はカーボン面)に向かって指向される。他の実施形態では、イオン注入は、SiCウェハ184の裏側(又はシリコン面)に適用され得る。注入イオンは、SiCウェハ184の表面を貫通し、SiCウェハ184の結晶構造又は格子内のいずれかの場所で停止する。線量と称される注入されるイオンの数は、通常、平方センチメートル当たりのイオン数で表される。イオンの注入は、SiCウェハ184内の結晶構造の局所的な拡張、収縮、加熱、及び/又は置換のうちの1又は複数によって、応力及び歪みを変更し得る。このため、イオンは、応力関連変形を相殺するために、S
iCウェハ184のある特定の領域に選択的に注入され得る。したがって、注入されたイオンは、SiCウェハ184の1又は複数の領域に機械的負荷をもたらし得る。選択的イオン注入は、SiCウェハ184の他の部分をマスキングして、マスキング部分にイオンが貫通することを防止することによって実施され得る。ある特定の実施形態では、SiCウェハ184に積層ドープ領域(stacked doping areas)を作り出すために、複数のドーププロセスが実施され得る。イオン注入において、ドーパント原子としては、限定されないが、窒素、リン、アルミニウム、ゲルマニウム、及び/又はホウ素が挙げられ得る。イオン注入は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及び/又はラドンなど、電気的に活性な物質又は不活性な物質の注入を含み得る。ある特定の実施形態では、選択的イオン注入は、SiCウェハ184の周辺エッジからおよそ5mm以下の部分など、続いての半導体デバイスの形成が行われることのないSiCウェハ184の周部分186-1、186-3で実施される。図20Cに示されるように、186-1~186-4の部分のいずれかへの選択的イオン注入の1又は複数の組み合わせが、図20Aに示されるSiCウェハ184の応力関連変形を相殺し、それによってウェハ平坦度を改善するために提供され得る。イオン注入によってウェハ形状を改善するための例示的な(しかし限定するものではない)技術及び構造は、参照により本明細書に援用される本出願の譲受人に譲渡された米国特許出願第16/269,837号に示される。他の実施形態では、応力関連変形を相殺するために、表層損傷が、SiCウェハ184の186-1~186-4の部分のいずれかに適用され得る。表層損傷は、ダイヤモンド粒子、SiC粒子、又は粉末の1又は複数の組み合わせと共に機械力をSiCウェハ184に適用することによって形成され得る。ある特定の実施形態では、表層損傷は、SiCウェハ184の1又は複数の表面が研磨された後に適用され得る。ある特定の実施形態では、SiCウェハ184は、選択的イオン注入後、改善されたウェハ形状特性を維持するために、上述したようにアニーリングされ得る。
【0072】
図21A図21Cは、SiCウェハ188上に選択的に膜を堆積するための製造プロセスの様々な状態におけるSiCウェハ188の模式的断面図である。図21Aでは、SiCウェハ188は、結晶ブール(図示せず)からの分離後に自立しており、変形したウェハ形状を呈している。図示の目的で、SiCウェハ188は湾曲又は凸面形状で示されているが、望ましくない平坦度値をもたらすウェハ形状は、いくつも存在し得る。既に述べたように、変形したウェハ形状は、様々な結晶成長条件及び続いてのウェハ分離プロセスの1又は複数に伴う応力関連変形によって形成され得る。図21Bでは、ある特定の応力関連変形を相殺するために、膜190が、SiCウェハ188の表面の周部分に沿って選択的に堆積されている。膜190の材料及び/又は厚さは、SiCウェハ188の他の応力及び歪みを相殺する応力を提供するように構成された、SiCウェハ188との熱膨張係数(CTE)ミスマッチを提供するように選択され得る。この方法により、膜190は、SiCウェハ188の1又は複数の領域に機械的負荷をもたらし得る。ある特定の実施形態では、膜190は、SiC、SiN、又は他の様々な酸化物のうちの1又は複数を含み得る。ある特定の実施形態では、膜190の選択的堆積は、SiCウェハ188の周辺エッジからおよそ5mm以下の部分など、続いての半導体デバイスの形成が行われることのないSiCウェハ188の領域で実施され得る。図21Cに示されるように、膜190の選択的堆積が、図21Aに示されるSiCウェハ188の応力関連変形を相殺し、それによってウェハ平坦度を改善するために提供され得る。ある特定の実施形態では、SiCウェハ188は、膜190の堆積後、改善されたウェハ形状特性を維持するために、上述したようにアニーリングされ得る。これに関して、膜190は、ウェハ188上に維持されてよく、又は除去されてもよく、ウェハは、改善されたウェハ形状特性を維持し得る。
【0073】
図22Aは、本明細書で開示される実施形態に従うたわみ特性評価のためのエッジ支持構成にある、SiCウェハの模式的垂直断面図である。既に述べたように、SiCウェハ
は、様々なデバイス製造工程の過程で、エッジ支持構成に配置され得る。ある特定の厚さの大面積SiCウェハの場合、たわみ値は、エッジ支持構成にあるウェハの結晶応力、結晶歪み、及び重力のうちの1又は複数からの寄与を含み得る。図22Aでは、直径Φ及び厚さTを有するSiCウェハ192は、エッジ支持部194上に配置されている。ある特定の実施形態では、エッジ支持部194は、SiCウェハ192のための3点支持部を含む。他の実施形態では、エッジ支持部194は、連続リング又は一連の不連続リングセグメントを含んでいてもよい。そのような配置では、SiCウェハ192は、少なくとも3つの接触点から、連続リング又は一連の不連続リングセグメントと接触し得る。図示されるように、エッジ支持部194は、SiCウェハ192の周辺エッジから距離X離れており、エッジ支持部194は、SiCウェハ192の直径Φと同じ方向に厚さYを形成する。ある特定の直径Φ及び厚さTを有するSiCウェハ192の場合、結晶応力、結晶歪み、及び重力のうちの1又は複数の影響は、異なる形状及びエッジ支持ずれZを有するSiCウェハ192’を形成する変形を引き起こし得る。Z値は、SiCウェハ192’の上面全体にわたって得られ得る。SiCウェハ192’は、単一の接触点196によってエッジ支持部194の各々と接触し得る。このため、エッジ支持部194の各々に対する単一の接触点196は、距離Xと厚さYとの合計である距離を有し得る。ある特定の実施形態では、距離Xは、直径Φの約30%であってよいが、距離Xが比較の目的で測定グループ間で共通する限りにおいて、他の距離が用いられてもよい。
【0074】
SiCウェハ192’の上面から未変形のSiCウェハ192の上面まで測定される場合のSiCウェハ192’全体にわたるエッジ支持ずれ値Zは、オプティカルフラット、ドロップゲージなどを用いたインターフェロメトリーを含む様々な技術によって測定されてよい。未変形SiCウェハ192の上面は、既に述べたように、3点焦点面によって提供され得る。エッジ支持ずれ値ZがSiCウェハ192’全体にわたって特定された後、エッジ支持たわみ値が、エッジ支持ずれ値Zの最大値と最小値との間の広がりとして定められ得る。
【0075】
図22Bは、本明細書で開示される実施形態に従ってたわみ値を特定するために用いられる、SiCウェハに対して測定した場合のエッジ支持ずれ値を示すコンタープロットである。測定の目的のために、直径200mm及び厚さ500μmのSiCウェハを選択した。SiCウェハを、Tropel UltraSort自動ウェハ平坦度分析システムに、エッジ支持構成で配置し、この場合、距離Xと厚さY図22A)との合計をウェハエッジから2mmの値に設定した。図22Bでは、様々なコンターラインを図示して、測定したずれ値がSiCウェハ全体にわたって異なる様子を示す。加えて、コンターライン内で及びコンターラインを横切ってずれ値が変化する様子を示すために、具体的なずれ値を、ウェハを横切る異なる点で示す。図示されるように、最小ずれ値(Min)の-50.850μmは、SiCウェハの中心近くに示され、最大ずれ値(Max)の59.677μmは、SiCウェハの周近くに示されている。このため、図22BのSiCウェハにおける最大エッジ支持たわみ値は、MaxとMinとの間の広がりの絶対値として、すなわち110.527μmとして定められ得る。ある特定の実施形態では、少なくともおよそ200mmの直径及び475μm~525μmの範囲内の厚さを有する本明細書で開示されるSiCウェハは、150μm以下、又は120μm以下、又は110μm以下、又は110μm~150μmの範囲内の最大エッジ支持たわみ値を示した。ある特定の実施形態では、そのようなたわみ値を有するSiCウェハは、およそ200mm~300mmの範囲内の直径を有し得る。
【0076】
図22Cは、本明細書で開示される実施形態に従ってたわみ値を特定するために用いられる、別のSiCウェハに対して測定した場合のエッジ支持ずれ値を示すコンタープロットである。測定の目的のために、直径200mm及び厚さ489μmのSiCウェハを選択した。SiCウェハを、Tropel UltraSort自動ウェハ平坦度分析シス
テムに、エッジ支持構成で配置し、この場合、距離Xと厚さY図22A)との合計をウェハエッジから3mmの値に設定した。図22Cでは、様々なコンターラインを図示して、測定した3点焦点面からのずれ値がSiCウェハ全体にわたって異なる様子を示す。加えて、コンターライン内及びコンターラインを横切ってずれ値が変化する様子を示すために、具体的なずれ値を、ウェハを横切る異なる点で示す。図示されるように、最小ずれ値(Min)の-31.591μmは、SiCウェハの中心近くに示され、最大ずれ値(Max)の6.473μmは、SiCウェハの周近くに示されている。このため、図22CのSiCウェハにおける最大エッジ支持たわみ値は、MaxとMinとの間の広がりの絶対値として、すなわち38.064μmとして定められ得る。最大エッジ支持たわみ値は、SiCウェハにおけるリングワープ(ring warp)とも称され得る。既に述べたよう
に、ウェハのボウは、未吸着ウェハの中心で測定した場合の、ウェハの表面と焦点面との間の距離として定義され得る。図22Cのエッジ支持構成において、ウェハの中心点は、焦点面の下-29.956μmの値を有する。これに関して、図22Cのウェハは、-29.956μmのエッジ支持ボウ、又はリングボウ(ring bow)を有する。
【0077】
図22Dは、本明細書で開示される実施形態に従ってたわみ値を特定するために用いられる、さらに別のSiCウェハに対して測定した場合のエッジ支持ずれ値を示すコンタープロットである。測定の目的のために、直径200mm及び厚さ495μmのSiCウェハを選択した。SiCウェハを、Tropel UltraSort自動ウェハ平坦度分析システムに、エッジ支持構成で配置し、この場合、距離Xと厚さY図22A)との合計をウェハエッジから3mmの値に設定した。図22Dでは、様々なコンターラインを図示して、測定した3点焦点面からのずれ値がSiCウェハ全体にわたって異なる様子を示す。加えて、コンターライン内及びコンターラインを横切ってずれ値が変化する様子を示すために、具体的なずれ値を、ウェハを横切る異なる点で示す。図示されるように、最小ずれ値(Min)の-14.503μmは、SiCウェハの中心近くに示され、最大ずれ値(Max)の3.572μmは、SiCウェハの周近くに示されている。このため、図22DのSiCウェハにおける最大エッジ支持たわみ値又はリングワープは、18.075μmとして測定される。図22DのSiCウェハの中心点は、焦点面の下-14.469μmの値で測定される。これに関して、図22Cのウェハは、-14.469μmのエッジ支持ボウ又はリングボウを有する。
【0078】
少なくとも200mmの直径及び475μm~525μmの範囲内の厚さを有するさらなるSiCウェハを提供し、図22C及び図22Dに記載のようにして特性評価した。最大エッジ支持たわみ値又はリングワープは、50μm以下、又は10μm以下、又は5μm~150μmの範囲内、又は5μm~100μmの範囲内、又は5μm~50μmの範囲内、又は15μm~40μmの範囲内、又は5μm~20μmの範囲内の値で測定された。エッジ支持ボウ又はリングボウは、-5μm~-50μmの範囲内、又は-5μm~-20μmの範囲内、又は-5μm~-10μmの範囲内の値で測定された。標準ボウ及びワープ測定値も、非エッジ支持構成で収集した。これに関して、非エッジ支持ボウ測定値は、-20μm~25μmの範囲内又は-5μm~5μmの範囲内で得られ、非エッジ支持ワープ測定値は、2μm~31μmの範囲内又は2μm~15μmの範囲内で得られた。
【0079】
図22Eに示される別の選択肢としての構成では、SiCウェハ192は、半径Rによって定められるSiCウェハ192の中心点に合わせられた中心支持部198上に配置されている。この方法により、SiCウェハ192’の変形は、SiCウェハ192’全体にわたって中心支持ずれ値Zが測定され得るように、周エッジに沿って発生し得る。中心支持配置の場合、SiCウェハ192’は、変形して、中心支持部198の厚さYの間隔をあけた少なくとも2つの接触点196に沿って中心支持部198と接触し得る。この方法により、中心支持たわみ値は、中心支持ずれ値Zの最大と最小との間の広がりの
絶対値として定められ得る。
【0080】
加えて、上述の実施形態のいずれも、SiCウェハに対して、重力又は結晶応力に起因するそのようなウェハの変形、ボウ、又はサギング(sagging)に伴う製造上の問題を低
減するように構成された意図的な又は付与されたウェハ形状を提供するために適用可能であり得る。この方法により、SiCウェハにおける、特に大面積SiCウェハにおける変形、ボウ、又はサギングに伴う影響は、そのようなSiCウェハが続いての製造プロセスの過程でエッジ支持構成で配置される場合、低減され得る。本明細書で用いられる場合、ウェハにおける「正のボウ」は、ウェハのデバイス面から外向きの湾曲、ボウ、又はワープの形状を一般的には意味し、例えば、デバイス面からの凸面形状である。本明細書でやはり用いられる場合、「緩和された正のボウ(relaxed positive bow)」は、重力に起因するウェハのいずれの曲がりも無視される場合に確立されるウェハの正のボウを意味する。SiCウェハは、一般に、シリコン面とその反対側のカーボン面とを形成し、ウェハ厚さはそれらの間に形成される。多くの半導体用途において、デバイスは、典型的には、SiCウェハのシリコン面上に形成される。ウェハのボウ、ワープなどは、シリコン面及びカーボン面の1又は複数が参照面からの表面のずれを形成する場合に発生する。このため、SiCウェハにおける正のボウ又は緩和された正のボウは、SiCウェハのシリコン面から外向きの湾曲、ボウ、又はワープの形状を一般的には意味し、例えば、シリコン面からの凸面形状である。ある特定の実施形態では、カーボン面の形状は、SiCウェハのシリコン面の正のボウ又は緩和された正のボウに対応し得る。他の実施形態では、シリコン面だけが、正のボウ又は緩和された正のボウを形成し得る。ある特定の実施形態では、SiCウェハは、0μm超~50μm、又は0μm~40μm、又は0μm~15μm、又は30μm~50μm、又は8μm~16μmの範囲内の緩和された正のボウを有する。緩和された正のボウを有するSiCウェハを提供し、特性評価するための例示的な(しかし限定するものではない)技術及び構造は、参照により本明細書に援用される本出願の譲受人に譲渡された米国特許出願第16/415,721号に示される。
【0081】
ある特定の実施形態では、大口径SiCウェハのウェハ形状特性は、そのようなSiCウェハを対応するSiC結晶ブールから分離するための条件を様々に調節することによって改善され得る。既に述べたように、結晶材料内の様々な構造的欠陥プロファイル、ドーププロファイル、及び結晶応力プロファイルは、そのような結晶材料から分離されるウェハの望ましくない形状特性に繋がり得る。これに関して、ウェハ分離条件は、様々な構造的欠陥及び結晶応力を補正するために、各後続のウェハが結晶材料から分離されるに従って様々に調節され得る。ある特定の実施形態では、初期ウェハが結晶材料から分離されて、同じ結晶材料から形成される後続のウェハのための分離条件を様々に調節するのに続いて用いられ得る1又は複数のウェハ形状特性、結晶欠陥プロファイル、ドーププロファイル、及び結晶応力プロファイルを特定するために特性評価され得る。ある特定の実施形態では、結晶材料から分離される自立するウェハのウェハ形状特性を予測して、結晶材料から形成される実際のウェハのための分離条件を様々に調節するのに用いられ得る1又は複数の結晶欠陥プロファイル、ドーププロファイル、結晶応力プロファイル、及び結晶材料形状が、結晶材料に対して特性評価され得る。ある特定の実施形態では、ウェハ分離条件は、結晶材料の上面の形状に基づいて様々に調節され得る。したがって、SiC結晶材料及び/又はSiC結晶材料から分離された初期SiCウェハの1又は複数の予め特定しておいた特性に基づいて、SiC結晶材料からのSiCウェハのための分離条件を調節又は補正するフィードバックループが提供され得る。これに関して、自立する大口径SiCウェハ(例:少なくともおよそ200mm)は、可変のウェハ分離プロセスに基づいて、ワープ、ボウ、TTV、LTV、及びSFQRのうちの1又は複数の望ましい平坦度値を有し得る。
【0082】
図23Aは、SiC結晶ブール200から分離され得る初期SiCウェハ202-1の
位置を示す破線を重ね合わせた、SiC結晶ブール200の模式的垂直断面図である。図23Bは、SiC結晶ブール200から分離した後の初期SiCウェハ202-1の模式的垂直断面図である。図示されるように、初期SiCウェハ202-1は、分離後、望ましくないウェハ形状特性を有し得る。既に述べたように、そのようなウェハ形状特性は、少なくとも部分的に、SiC結晶ブール200内の可変の欠陥プロファイル、ドーププロファイル、又は可変の結晶応力のうちの1又は複数によって引き起こされ得る。このため、初期SiCウェハ202-1は、ウェハ形状特性、構造的欠陥、ドーププロファイル、及び結晶応力を含む1又は複数の特性について特性評価されてよく、そのような情報が、初期SiC結晶ブール202-1から分離される後続のウェハのための分離条件を調節するために用いられ得る。この方法により、結晶ブール200から後続のSiCウェハを分離する工程は、補正のために、結晶ブール200全体にわたって調整又は変動され得る。他の実施形態では、SiC結晶ブール200の構造的欠陥、ドーププロファイル、及び結晶応力を含む1又は複数の特性が、ウェハ形状特性を予測し、SiC結晶ブール200から分離されることになるSiCウェハのための分離条件を調節する方法を決定するために特性評価され得る。
【0083】
図23Cは、可変の分離技術によってSiC結晶ブール200から分離され得る後続のSiCウェハ202-2の位置を示す破線を重ね合わせた、SiC結晶ブール200の模式的垂直断面図である。図示されるように、図23A中の重ね合わされた破線は、直線ではなく、このことは、SiC結晶ブール200全体にわたる切断深さが、SiC結晶ブール200内の可変の欠陥プロファイル、ドーププロファイル、又は可変の結晶応力のうちの1又は複数に基づいて様々に調節されることを示している。例として、図23C中の重ね合わされた破線の形状は、図23Bの初期SiCウェハ202-1の形状に対して縦方向に反対であるように示されている。
【0084】
図23Dは、SiC結晶ブール200から分離した後の後続のSiCウェハ202-2の模式的垂直断面図である。そのようにして後続のSiCウェハ202-2を様々に切断することによって、後続のSiCウェハ202-2は、図23Bの初期SiCウェハ202-1と比較して、緩和状態での改善されたウェハ形状特性を有してSiC結晶ブール200から分離され得る。ある特定の実施形態では、後続のSiCウェハ202-2のための切断深さは、SiC結晶ブール200から既に分離された初期SiCウェハ202-1のウェハ形状特性に基づいて様々に調節され得る。他の実施形態では、後続のSiCウェハ202-2のための切断深さは、初期SiCウェハ202-1のウェハ形状特性に加えて、又はその代わりに、後続のSiCウェハ202-2が分離される前のSiC結晶ブール200の上面200’の形状(例:凸面)に基づいて様々に調節され得る。さらに他の実施形態では、後続のSiCウェハ202-2のための切断深さは、初期SiCウェハ202-1又はSiC結晶ブール200のうちの1又は複数の欠陥プロファイル、ドーププロファイル、又は応力プロファイルに基づいて様々に調節され得る。可変の切断深さは、集光レーザー放射をSiC結晶ブール200の中及び全体にわたって提供し、続いて集光レーザー放射領域に沿って後続のSiCウェハ202-2を分離するための力を適用することによる、レーザー分離を含み得る。他の実施形態では、可変の切断深さは、機械的ソーイングプロセスによって提供され得る。
【0085】
上記態様、並びに/又は本明細書で述べる様々な別個の態様及び特徴のいずれも、さらなる利点のために組み合わされてよいことは考慮される。本明細書で開示される様々な実施形態のいずれも、本明細書において相反する内容が示されていない限り、1又は複数の他の開示される実施形態と組み合わされてよい。
【0086】
当業者であれば、本開示の好ましい実施形態に対する改善及び改変を認識するであろう。そのような改善及び改変はすべて、本明細書及び以下の請求項に開示される発想の範囲内であると見なされる。
[1]少なくとも195ミリメートル(mm)の直径、300ミクロン(μm)~1000μmの範囲内の厚さ、及び-25μm~25μmの範囲内のボウを有する炭化ケイ素(SiC)ウェハ。
[2]40μm以下のワープをさらに有する、[1]に記載のSiCウェハ。
[3]前記直径が、195mm~455mmの範囲内である、[1]に記載のSiCウェハ。
[4]前記直径が、195mm~305mmの範囲内である、[1]に記載のSiCウェハ。
[5]前記厚さが、300~500μmの範囲内である、[1]に記載のSiCウェハ。
[6]前記厚さが、300~800μmの範囲内である、[1]に記載のSiCウェハ。
[7]7μm未満の全厚さ変動(TTV)をさらに有する、[1]に記載のSiCウェハ。
[8]2.6μm未満の全厚さ変動(TTV)をさらに有する、[1]に記載のSiCウェハ。
[9]1cmのサイト領域に対して4μm未満の局所的厚さ変動(LTV)をさらに有する、[1]に記載のSiCウェハ。
[10]1cmのサイト領域に対して1.5μm未満のサイト表面最小二乗(SFQR)最大値をさらに有する、[1]に記載のSiCウェハ。
[11]4-H SiCを含む、[1]に記載のSiCウェハ。
[12]半絶縁性SiCを含む、[1]に記載のSiCウェハ。
[13]n型SiCを含む、[1]に記載のSiCウェハ。
[14]n型ドーパントのための窒素を含む、[13]に記載のSiCウェハ。
[15]前記n型ドーパントが、高ドープ領域と低ドープ領域とを、前記高ドープ領域が横方向に前記低ドープ領域と境界を接するように形成する、[14]に記載のSiCウェハ。
[16]前記高ドープ領域が、前記SiCウェハの中心領域に合わせられる、[15]に記載のSiCウェハ。
[17]前記高ドープ領域が、前記SiCウェハの中心領域からずれている、[15]に記載のSiCウェハ。
[18]ホウ素、アルミニウム、ゲルマニウム、ベリリウム、ガリウム、スズ、ヒ素、リン、チタン、及びバナジウムのうちの少なくとも1つをさらに含む、[14]に記載のSiCウェハ。
[19]炭化ケイ素(SiC)の結晶材料を成長させること、及び
前記SiCの結晶材料からSiCウェハを分離して、少なくとも195ミリメートル(mm)の直径、300ミクロン(μm)~1000μmの範囲内の厚さ、及び-25μm~25μmの範囲内のボウを有する前記SiCウェハを形成すること、
を含む方法。
[20]前記SiCウェハが、40μm以下のワープをさらに有する、[19]に記載の方法。
[21]前記直径が、195mm~455mmの範囲内である、[19]に記載の方法。
[22]前記直径が、195mm~305mmの範囲内である、[19]に記載の方法。
[23]前記SiCの結晶材料の前記成長が、成長の過程で前記SiCの結晶材料全体にわたる半径方向の熱勾配を減少させることを含む、[19]に記載の方法。
[24]前記SiCの結晶材料の前記成長が、成長の過程で前記SiCの結晶材料全体にわたる半径方向の熱勾配を増加させることを含む、[19]に記載の方法。
[25]前記SiCの結晶材料の前記成長が、前記SiCウェハの周辺部分に沿った結晶欠陥の形成を増加させることを含む、[19]に記載の方法。
[26]前記SiCウェハに機械的荷重が適用された状態で、前記SiCウェハをアニーリングすることをさらに含む、[19]に記載の方法。
[27]前記SiCウェハのカーボン面の周辺部分に沿って、選択的に前記SiCウェハに注入を行うことをさらに含む、[19]に記載の方法。
[28]前記SiCウェハに選択的に注入を行った後、前記SiCウェハをアニーリングすることをさらに含む、[27]に記載の方法。
[29]前記SiCウェハのカーボン面の周辺部分に沿って、選択的に膜を堆積させることをさらに含む、[19]に記載の方法。
[30]選択的に前記膜を堆積させた後、前記SiCウェハをアニーリングすることをさらに含む、[29]に記載の方法。
[31]前記SiCウェハをアニーリングした後に、前記膜を除去することをさらに含む、[30]に記載の方法。
[32]前記SiCウェハを分離することが、前記結晶材料の欠陥プロファイルに基づいて、前記結晶材料全体にわたって切断深さを様々に調節することを含む、[19]に記載の方法。
[33]前記SiCウェハを分離することが、前記結晶材料のドーププロファイルに基づいて、前記結晶材料全体にわたって切断深さを様々に調節することを含む、[19]に記載の方法。
[34]前記SiCウェハを分離することが、前記結晶材料から既に分離された別のSiCウェハのウェハ形状特性に基づいて、前記結晶材料全体にわたって切断深さを様々に調節することを含む、[19]に記載の方法。
[35]前記SiCウェハを分離することが、前記結晶材料の上面の形状に基づいて、前記結晶材料全体にわたって切断深さを様々に調節することを含む、[19]に記載の方法。
[36]第一のウェハ形状を形成する炭化ケイ素(SiC)ウェハを提供すること、
前記SiCウェハに機械的負荷を適用すること、及び
前記SiCウェハが前記第一のウェハ形状とは異なる第二のウェハ形状を形成するように、前記機械的荷重の適用中に前記SiCウェハをアニーリングすること、
を含む方法。
[37]前記機械的荷重が、前記SiCウェハの1又は複数の局所部分に適用される、[36]に記載の方法。
[38]前記機械的荷重が、前記SiCウェハの全体に適用される、[36]に記載の方法。
[39]前記SiCウェハが、前記機械的荷重の適用中、エッジ支持配置によって支持される、[36]に記載の方法。
[40]前記SiCウェハの前記第二の形状が、195ミリメートル(mm)~455mmの範囲内の直径、500ミクロン(μm)以下の厚さ、25μm以下のボウ、及び40μm以下のワープを有する、[36]に記載の方法。
[41]前記直径が、195mm~305mmの範囲内である、[40]に記載の方法。
[42]少なくとも195ミリメートル(mm)の直径、500ミクロン(μm)~2000μmの範囲内の厚さ、及び-25μm~25μmの範囲内のボウを有する炭化ケイ素(SiC)ウェハ。
[43]前記厚さが、500μm~1500μmの範囲内である、[42]に記載のSiCウェハ。
[44]40μm以下のワープをさらに有する、[42]に記載のSiCウェハ。
[45]前記直径が、195mm~455mmの範囲内である、[42]に記載のSiCウェハ。
[46]前記直径が、195mm~305mmの範囲内である、[42]に記載のSiCウェハ。
[47]少なくとも195ミリメートル(mm)の直径、少なくとも500の直径対厚さ比、及び-25ミクロン(μm)~25μmの範囲内のボウを有する炭化ケイ素(SiC)ウェハ。
[48]40μm以下のワープをさらに有する、[47]に記載のSiCウェハ。
[49]前記直径が、195mm~305mmの範囲内である、[47]に記載のSiCウェハ。
[50]前記直径対厚さ比が、少なくとも600である、[47]に記載のSiCウェハ。
[51]前記直径対厚さ比が、少なくとも900である、[47]に記載のSiCウェハ。
[52]少なくとも195ミリメートル(mm)の直径、475ミクロン(μm)~525μmの範囲内の厚さ、及び150μm以下の最大エッジ支持たわみ値を有する炭化ケイ素(SiC)ウェハ。
[53]前記最大エッジ支持たわみ値が、120μm以下である、[52]に記載のSiCウェハ。
[54]前記最大エッジ支持たわみ値が、110μm以下である、[52]に記載のSiCウェハ。
[55]前記最大エッジ支持たわみ値が、110μm~150μmの範囲内である、[52]に記載のSiCウェハ。
[56]前記最大エッジ支持たわみ値が、50μm以下である、[52]に記載のSiCウェハ。
[57]前記最大エッジ支持たわみ値が、10μm以下である、[52]に記載のSiCウェハ。
[58]前記最大エッジ支持たわみ値が、5μm~50μmの範囲内である、[52]に記載のSiCウェハ。
[59]-5μm~-20μmの範囲内のエッジ支持ボウ値をさらに有する、[52]に記載のSiCウェハ。
[60]前記直径が、195mm~305mmの範囲内である、[52]に記載のSiCウェハ。
[61]炭化ケイ素(SiC)の結晶材料の成長を、ある成長温度で、前記結晶材料の少なくとも20パーセントに対する応力を前記成長温度でのSiCの臨界分解せん断応力未満に維持しながら行うこと、及び
前記SiCの結晶材料からSiCウェハを分離して、少なくとも195ミリメートル(mm)の直径を有する前記SiCウェハを形成すること、
を含む方法。
[62]前記SiCの結晶材料の成長が、前記結晶材料の少なくとも40パーセントに対する応力を、前記SiCの臨界分解せん断応力未満に維持することを含む、[61]に記載の方法。
[63]前記SiCの結晶材料の成長が、前記結晶材料の少なくとも80パーセントに対する応力を、前記SiCの臨界分解せん断応力未満に維持することを含む、[61]に記載の方法。
[64]前記SiCウェハが、300ミクロン(μm)~1000μmの範囲内の厚さ、及び-25μm~25μmの範囲内のボウを有する、[61]に記載の方法。
[65]前記直径が、195mm~305mmの範囲内である、[61]に記載の方法。
[66]前記直径が、195mm~455mmの範囲内である、[61]に記載の方法。
[67]炭化ケイ素(SiC)の結晶材料を成長させること、及び
前記結晶材料全体にわたって切断深さを様々に調節することによって前記SiCの結晶材料からSiCウェハを分離して、少なくとも195ミリメートル(mm)の直径及び-25ミクロン(μm)~25μmの範囲内のボウを有する前記SiCウェハを形成すること、
を含む方法。
[68]前記SiCウェハの直径が、195mm~305mmの範囲内である、[67]に記載の方法。
[69]前記SiCウェハの直径が、195mm~455mmの範囲内である、[67]に記載の方法。
[70]前記SiCウェハが、300μm~1000μmの範囲内の厚さを有する、[67]に記載の方法。
[71]前記SiCウェハを分離することが、前記結晶材料の欠陥プロファイルに基づいて、前記結晶材料全体にわたって前記切断深さを様々に調節することを含む、[67]に記載の方法。
[72]前記SiCウェハを分離することが、前記結晶材料のドーププロファイルに基づいて、前記結晶材料全体にわたって前記切断深さを様々に調節することを含む、[67]に記載の方法。
[73]前記SiCウェハを分離することが、前記結晶材料から既に分離された別のSiCウェハのウェハ形状特性に基づいて、前記結晶材料全体にわたって前記切断深さを様々に調節することを含む、[67]に記載の方法。
[74]前記SiCウェハを分離することが、前記結晶材料の上面の形状に基づいて、前記結晶材料全体にわたって前記切断深さを様々に調節することを含む、[67]に記載の方法。
[75]前記SiCウェハを分離することが、前記結晶材料のレーザー分離を含む、[67]に記載の方法。
[76]前記SiCウェハを分離することが、前記結晶材料のソーイングを含む、[67]に記載の方法。
[77]炭化ケイ素(SiC)の結晶材料を成長させること、
前記SiCの結晶材料又は前記SiCの結晶材料から分離された初期SiCウェハの特性評価を行って、結晶欠陥プロファイル、ドーププロファイル、結晶応力プロファイル、及び形状のうちの1又は複数を特定すること、及び
前記結晶欠陥プロファイル、前記ドーププロファイル、前記結晶応力プロファイル、及び前記形状のうちの1又は複数に基づいて前記結晶材料全体にわたって切断深さを様々に調節することによって、前記SiCの結晶材料から後続のSiCウェハを分離すること、
を含む方法。
[78]前記後続のSiCウェハが、少なくとも195ミリメートル(mm)の直径、及び-25ミクロン(μm)~25μmの範囲内のボウを有する、[77]に記載の方法。
[79]前記形状が、前記初期SiCウェハのウェハ形状特性を有する、[77]に記載の方法。
[80]前記形状が、前記後続のSiCウェハが分離される前の前記結晶材料の上面の形状を有する、[77]に記載の方法。
[81]前記後続のSiCウェハを分離することが、前記結晶材料のレーザー分離を含む、[77]に記載の方法。
[82]前記後続のSiCウェハを分離することが、前記結晶材料のソーイングを含む、[77]に記載の方法。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図19C
図19D
図19E
図20A
図20B
図20C
図21A
図21B
図21C
図22A
図22B
図22C
図22D
図22E
図23A
図23B
図23C
図23D