(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117425
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】媒体処理装置、画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20240822BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240822BHJP
B42B 5/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B65H37/04 Z
G03G15/00 431
B42B5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023531
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 英史
【テーマコード(参考)】
2H072
3F108
【Fターム(参考)】
2H072AA16
2H072AA24
2H072AA25
2H072GA07
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA11
3F108HA34
3F108HA45
3F108HA54
(57)【要約】
【課題】綴じ処理において、用紙束に対する綴じ処理時間の短縮を図ることができる媒体処理装置を提供する。
【解決手段】シート状の媒体を複数束ねた媒体束の一部を挟持し加圧変形させて綴じる圧着手段と、圧着手段に向けて移動する媒体の位置を検知する媒体検知手段と、媒体検知手段において検知された媒体の位置と、媒体の仕様に係る情報を含む媒体情報と、に基づいて、圧着手段の動作状態を制御する圧着動作制御手段と、を備え、圧着動作制御手段は、媒体の位置から推定される媒体の圧着手段への到達タイミングに基づいて、媒体による圧着手段へ衝突を避ける退避状態になるように圧着手段を制御し、媒体が圧着手段に到達するタイミングに基づいて退避状態から待機状態になるようにし、媒体束に対する綴じ処理の準備が整うタイミングに応じて、圧着手段を待機状態から加圧する状態へ変化させる、媒体処理装置による。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の媒体を複数束ねた媒体束の一部を挟持し加圧変形させて綴じる圧着手段と、
前記圧着手段に向けて移動する前記媒体の位置を検知する媒体検知手段と、
前記媒体検知手段において検知された前記媒体の位置と、前記媒体の仕様に係る情報を含む媒体情報と、に基づいて、前記圧着手段の動作状態を制御する圧着動作制御手段と、
を備え、
前記圧着動作制御手段は、前記媒体の位置から推定される当該媒体の前記圧着手段への到達タイミングに基づいて、当該媒体による当該圧着手段へ衝突を避ける退避状態になるように当該圧着手段を制御し、
当該媒体が当該圧着手段に到達するタイミングに基づいて、前記退避状態から前記媒体束を挟持するための待機状態になるように制御し、
当該媒体を含む媒体束に対する綴じ処理の準備が整うタイミングに応じて、当該圧着手段を前記待機状態から当該媒体束を挟持して加圧する状態へと変化させる、
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記圧着手段は一対の綴じ歯を備え、当該綴じ歯により前記媒体束を挟持し加圧変形させて綴じ処理を実行し、
前記圧着動作制御手段は、
前記媒体の位置と、前記媒体の仕様に係る情報を含む媒体情報に基づき、
当該媒体が前記綴じ歯の間口に進入するタイミングにおいて、当該綴じ歯の間口が前記媒体に衝突しない位置に退避位置にある状態にし、
当該媒体が当該綴じ歯の間口に進入して加圧変形をされる状態に至るまでのタイミングにおいて、当該綴じ歯の間口を狭めて前記加圧変形に備える待機位置にある状態にし、
当該媒体を含む媒体束に対する綴じ処理の準備が整うタイミングに応じて、当該一対の綴じ歯を前記待機位置から当該媒体束を挟持する位置へと移動させる、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記圧着動作制御手段は、
前記媒体情報に含まれる前記媒体束を形成する前記媒体の枚数を示す情報に基づいて、前記退避状態及び前記待機状態への動作の制御をする、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記圧着動作制御手段は、
前記媒体情報に含まれる前記媒体束を形成する前記媒体の厚みを示す情報に基づいて、前記退避状態及び前記待機状態への動作の制御をする、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成された複数の前記媒体を加圧変形させて綴じる請求項1に記載の媒体処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記媒体に画像を形成する画像形成部を備えた画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された複数の前記媒体を加圧変形させて綴じる請求項1に記載の媒体処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置、画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像が形成されたシート状の媒体を積層状にした束(シート束)に対し綴じ処理を行う媒体処理装置が知られている。また、省資源化や環境負荷の低減を鑑みる観点から、金属製の綴じ針(ステイプル針)を用いずに「針無し」にて綴じ処理を行う媒体処理装置も知られている。この針無しの綴じ処理を行う媒体処理装置は、凹凸状の綴じ歯を備え、この綴じ歯でシート束を挟持して加圧することで変形させる所謂「圧着綴じ」を行うための圧着処理部を備える。なお、シート状の媒体の例として用紙が広く知られている。そこで本明細書では、シート束に関する記載をするとき、複数の媒体としての用紙を束にして構成される「用紙束」を例に用いることとする。
【0003】
シート状の媒体に画像を形成する画像形成部と、画像が形成された媒体からなる用紙束を綴る媒体処理部と、を兼ね備える画像形成装置も知られている。また、用紙に画像を形成する画像形成装置と、用紙束を綴る綴じ処理装置としての媒体処理装置と、を連携可能に構成した画像形成システムも知られている。
【0004】
従来、厚さが薄い用紙束の綴じ処理時間を短縮する目的で、可動する圧着部材(圧着処理部)の待機させるとき、その位置を加圧位置(綴じ位置)に近い位置にさせる構成および制御が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の媒体処理装置では、用紙束を構成する用紙の端部が湾曲する状態である「用紙カール」の度合いによって、用紙の端部が引っ掛かる可能性が高くなる。用紙カールの度合いが大きくなると、用紙の端部の浮き上がり状態が大きくなる、特に、用紙束の最終紙であれば、その端部の位置が、間口の狭くなっている圧着部材に引っかかり易くなる。
【0006】
すなわち、従来技術では、多様な種類の用紙を用いた用紙束に対する綴じ処理時間の短縮処理を行うには課題がある。
【0007】
本発明は、綴じ処理において、用紙束に対する綴じ処理時間の短縮を図ることができる媒体処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、シート状の媒体を複数束ねた媒体束の一部を挟持し加圧変形させて綴じる圧着手段と、前記圧着手段に向けて移動する前記媒体の位置を検知する媒体検知手段と、前記媒体検知手段において検知された前記媒体の位置と、前記媒体の仕様に係る情報を含む媒体情報と、に基づいて、前記圧着手段の動作状態を制御する圧着動作制御手段と、を備え、前記圧着動作制御手段は、前記媒体の位置から推定される当該媒体の前記圧着手段への到達タイミングに基づいて、当該媒体による当該圧着手段へ衝突を避ける退避状態になるように当該圧着手段を制御し、当該媒体が当該圧着手段に到達するタイミングに基づいて、前記退避状態から前記媒体束を挟持するための待機状態になるように制御し、当該媒体を含む媒体束に対する綴じ処理の準備が整うタイミングに応じて、当該圧着手段を前記待機状態から当該媒体束を挟持して加圧する状態へと変化させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、用紙束に対する綴じ処理時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本実施形態に係る後処理装置の内部構造を示す図。
【
図4】本実施形態に係る圧着手段が備える綴じ具の側面図である。
【
図5】本実施形態に係る圧着手段が備える綴じ具の正面図である。
【
図6】本実施形態に係る圧着手段が備える綴じ具の駆動部を示す正面図である。
【
図7】本実施形態に係る圧着手段が備える綴じ歯を示す模式図。
【
図8】本実施形態の比較例として従来技術に係る綴じ具の状態変化を示す図。
【
図9】従来技術に係る綴じ処理における課題を説明する図。
【
図10】本実施形態に係る綴じ処理における綴じ具の状態変化を示す図。
【
図11】本実施形態に係る綴じ処理における綴じ具の状態変化を示す図。
【
図12】本実施形態に係る後処理装置の動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図。
【
図13】本実施形態に係る綴じ処理のフローチャート。
【
図14】本実施形態に係る綴じ処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る画像形成システム1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、画像形成システム1の全体構成を示す図である。画像形成システム1は、シート状の媒体としての用紙Pに画像を形成し、画像が形成された用紙Pに対して後処理を施す機能を有する。
図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置2と、本発明に係る媒体処理装置としての後処理装置3と、を連動するように構成されている。
【0012】
画像形成装置2は、用紙Pに画像を形成し、画像を形成した用紙Pを後処理装置3に排出する。画像形成装置2は、用紙Pが収容される収容トレイと、収容トレイに収容された用紙Pを搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された用紙Pに画像を形成する画像形成部とを備える。画像形成部は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。画像形成装置2の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0013】
図1に示すように、後処理装置3には、用紙Pを束ねた状態で一部分に加圧をして綴じ処理を行う圧着綴じ手段500と、用紙Pを束ねた状態で針を貫通させて綴じ処理を行う針綴じ手段600と、を備える。また、後処理装置3は、用紙Pを束ねて端部を整合させる整合処理を行う機能も備える。整合処理は綴じ処理の前段階で実行されることもある。
【0014】
図2は、第一実施形態に係る後処理装置3の内部構造を示す図である。後処理装置3は、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pに所定の後処理を施す。本実施形態に係る後処理は、画像が形成された複数枚の用紙Pの束(シート束)を、綴じ針を用いずに綴じる「圧着綴じ処理」と、綴じ針を用いてに綴じる「針綴じ処理」である。以下、用紙Pの束を媒体束としての「用紙束Pb」と表記する。
【0015】
図2に示すように、後処理装置3は、画像形成装置2から排出されてきた画像形成済みの用紙Pを受け入れる入口搬送経路101と、用紙Pを上トレイ110に積載するための上搬送経路107と、用紙Pを一時積載して用紙束として綴じ、シフトトレイ121へ積載するための水平搬送経路111を有する。
【0016】
入口搬送経路101には、入口搬送ローラ103と入口センサ102が配置され、用紙Pが後処理装置3内へ搬入されたことを検知する。入口搬送ローラ103の下流には用紙穿孔装置104が配置されており、その下流には中間搬送ローラ105、水平搬送ローラ113とスティプルトレイ排紙センサ112が配置された水平搬送経路111があり、これを経てスティプルトレイ114へ用紙Pは搬送される。
【0017】
上搬送経路107は、用紙Pを上トレイ110へ搬送する経路である。入口搬送経路101から分岐爪106により進行方向を上方へ変えた用紙Pが、上排出ローラ109によって上トレイ110へと搬送される。
【0018】
スティプルトレイ114には、シフト排紙ローラ120が配置され、シフト機構を有する水平搬送ローラ113が駆動手段により、搬送中に搬送方向と直角方向に一定量移動する。これによって、用紙Pは一定量シフトし、シフト排紙ローラ120によりシフトトレイ121に排出され順次積載されていく。シフトトレイ121への排出口部は、シフト排紙ローラ120とシフト排紙従動ローラ119とで用紙P又は用紙束Pbを挟持し排出する構造となっている。これは、シフト排紙ローラ120に対するシフト排紙従動ローラ119を備えた排出ガイドの接離動作で、用紙P又は用紙束Pbを挟持し排出可能な閉状態と、挟持しない開状態とを選択的に取り得るようになっており、用紙Pのシフト動作が完了した後、用紙Pを挟持し排出される。
【0019】
スティプルトレイ114には、叩きコロ116が配置されている。スティプルトレイ114の終端位置には、用紙Pの主走査方向へ進退する圧着綴じ手段500と針綴じ手段600と、及び後端揃え118が配置されている。さらに主走査方向に進退して、スティプルトレイ114に積載される用紙束Pbの主走査方向の整合を行うジョガー115を有する。スティプルモード時にスティプルトレイ114に搬送されてきた用紙Pは、叩きコロ116によって後端揃え118の方向にスイッチバックし、後端揃え118に突き当てることで用紙束Pbの副走査方向を整合し、ジョガー115によって主走査方向を整合する。このようにして整合された用紙束Pbは、綴じモード時は圧着綴じ手段500と針綴じ手段600が主走査方向に移動して用紙束Pbの縁部の適所を処理することで綴じられ、シフト排紙ローラ120、シフト排紙従動ローラ119が挟持してシフトトレイ121方向へ押し出すことで、シフトトレイ121上に排紙される。
【0020】
[圧着綴じ手段500と針綴じ手段600]
図3は、圧着綴じ手段500と針綴じ手段600の両方を搭載した後処理装置3の構成例を示した斜視図である。
図3に示すように、圧着綴じ手段500と針綴じ手段600は、スティプルトレイ114の終端位置に配置されていて、後端揃え118(118a、118b)において後端を整合させる整合処理が済み、幅方向の整合処理も済んだ用紙束Pbに対して、所定の綴じ位置に移動して綴じ処理を実行する。
【0021】
[綴じ具320の詳細構成]
次に、圧着綴じ手段500が備える綴じ具320の詳細構成について説明する。綴じ具320の構成を、
図4、
図5、
図6を用いて説明する。尚、ここでは綴じ具320の側面図を
図4に示し、綴じ具320の内部構成を示す正面図を
図5に示す。また、クランク525を駆動させる構成を示す正面図を
図6に示す。
図4は、綴じ具320の側面図である。また、
図5は、綴じ具320の内部構成を示す正面図(
図4A-A矢視図)である。また、
図6は、下綴じ歯32bの駆動部を
図5の接離モータ32d側から見た状態を示す正面図である。尚、
図6において、下綴じ歯32bが接離モータ32dによりどのように駆動されるかをわかりやすく説明するために、後側板502は、透明な状態(点線)で示されている。
【0022】
綴じ具320の筐体は、前側板501、後側板502、上フレーム503、下フレーム504によって構成される。また圧着綴じをする一対の綴じ歯(上綴じ歯32bと下綴じ歯32b)において、上綴じ歯32bは上フレーム503に固定されている。一方、下綴じ歯32cは、回動軸507と、回動軸507に回動可能に取り付けられた上加圧リンク508を備えている。また、下フレーム504の上面には、下フレーム支持部504aが固定されている。下フレーム支持部504aは、回動軸512と、回動軸512に回動可能に取り付けられた下加圧リンク509を備えている。そして、上加圧リンク508と下加圧リンク509は、回動軸510で連結されている。つまり、下綴じ歯32cは、上加圧リンク508、回動軸510、及び下加圧リンク509から構成されたリンク機構により上下方向に移動可能に構成されている。
【0023】
そして、リンク機構の回動軸510には、連結部材515の一方端側が回動可能に取り付けられている。連結部材515の他方端側は、クランク525に設けられた回転軸525aに回動可能に取り付けられている。クランク525は、クランク回転軸525bに固定されている。クランク回転軸525bは、加圧フレーム520によって回転可能に保持されており、これによりクランク525は、クランク回転軸525bを中心に回転可能となっている。また、
図4及び
図6に示すように、クランク回転軸525bの一方端側には、駆動力伝達ギヤ530が固定されており、駆動力伝達ギヤ530は、接離モータ32dの出力ギヤ33dと噛み合っている。
【0024】
そして、圧着移動手段としての接離モータ32dが駆動すると、その駆動力が駆動力伝達ギヤ530を介してクランク回転軸525bに伝達される。その結果、クランク525が、
図5の反時計回りに回転する。そうすると、回転軸525aに連結されている連結部材515が、クランク525の回転に連動して、
図5の左方向側に向かって移動する。連結部材515が
図5の左方向側に向かってに移動すると、上加圧リンク508と下加圧リンク509を連結している回動軸510も同じように
図5の左方向側に向かって移動する。その結果、リンク機構が伸長することにより、下綴じ歯32cは、上綴じ歯32bの方向に向かって移動する。
【0025】
以上のとおり、クランク525が規定方向に回転することで、一対の圧着部材(上綴じ歯32b、下綴じ歯32c)同士は、その間口を広げた離間状態と、間口を狭めて用紙束Pbを挟持して加圧変形させる押圧状態とを繰り返すことができ、それにより、一対の圧着部材により用紙束Pbを加圧変形させて綴じることが可能となる。
【0026】
クランク回転軸525bの他方端には、クランク525の回転と連動して回転するホームポジションシャッター541とクランクポジションシャッター546が固定されている。また、各シャッターに対してホームポジションセンサ540とクランクポジションセンサ545が配置される。コントローラ100(後述する)は、各センサからの検知信号を入力し、この検知信号に応じて接離モータ32dの回転を制御する。
【0027】
クランクポジションセンサ545は、赤外線を照射する照射部と、赤外線を受光する受光部とを有する構成となっている。クランクポジションシャッター546は、クランク525と同じ方向で回転する、外周に段差を設けた円状部材であり(
図5参照)、段の高い区間(円中心からの半径が長い区間)、および段の低い区間(円中心からの半径が短い区間(規定範囲))の2つの区間が設けられている。
【0028】
クランクポジションセンサ545の照射部と受光部は、クランクポジションシャッター546を挟んで対面している。クランクポジションシャッター546の回転により段の高い区間が照射部と受光部の間になると、照射が遮られてクランクポジションセンサ545での検知信号はOFFとなる。一方、段の低い区間が照射部と受光部の間になると、赤外線が通過して受光部に到達し、クランクポジションセンサ545での検知信号はONとなる。 ホームポジションシャッター541とホームポジションセンサ540についても、これと同様の構成となっている。
【0029】
加圧フレーム520は、下フレーム504の上面をスライド可能に取り付けられている。また、下フレーム支持部504aは、下フレーム504の上面には、おり、下フレーム支持部504aと加圧フレーム520の間に設けた加圧バネ521によって、下フレーム支持部504aから押圧されている。また加圧フレーム520の移動範囲は、加圧バネ521その対抗側にあるストッパ部504bによって規制される。
【0030】
図4に示すように、綴じ具320が綴じ動作を行ったときに、綴じ具320に掛かる負荷の大きさを検知するための綴じ負荷検知部としての綴じ負荷センサ60が設置されている。綴じ負荷センサ60は綴じ具320が用紙束Pbに加圧変形を加えるときの、接離モータ32dに加わる負荷を検知する。すなわち、用紙束Pbの厚さや、用紙P又は用紙束Pbへの液体付与の状態によって、綴じ負荷センサ60の検知結果は変化する。
【0031】
[綴じ具320が備える圧着歯32の構成]
図7は、綴じ具320が備える圧着歯32の構成を示す模式図である。
図7に示すように、綴じ具320には、一対の綴じ歯(上綴じ歯32bと下綴じ歯32b)である綴じ具320を備える。一対の綴じ歯は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbを挟んで、用紙束Pbの厚み方向に対向して配置されている。一対の綴じ歯の互いに対向する面は、凹部及び凸部が交互に形成された凹凸状に形成されている。また、一対の綴じ歯は、互いに噛合うように、凹部及び凸部がずれて形成されている。そして、一対の綴じ歯は、接離モータ32dの駆動力によって接離する。
【0032】
用紙束Pbを構成する複数の用紙Pが内部トレイ22に供給される過程では、
図7(A)に示すように、一対の綴じ歯(上綴じ歯32bと下綴じ歯32b)は互いに離間している。そして、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pが内部トレイ22に載置されると、
図7(B)に示すように、一対の綴じ歯(上綴じ歯32bと下綴じ歯32b)が噛み合って、用紙束Pbを厚み方向から加圧変形させる。これにより、内部トレイ22に載置された用紙束Pbが圧着綴じされる。また、圧着綴じされた用紙束Pbは、搬送ローラ対15によって、排出トレイ26に排出される。
【0033】
尚、圧着手段としての圧着歯32の構成としては、圧着機構を構成する一対の上綴じ歯32b、下綴じ歯32cが噛み合えばよいので、上述した本実施例のように、正転のみ、又は正逆転する駆動源とリンク機構を使って一対の上綴じ歯32b、下綴じ歯32cの圧着及び離間動作を行うリンク機構方式の圧着機構であっても良いし、駆動源の回転運動を直線運動に変換するねじ機構により、一対の上綴じ歯32b、下綴じ歯32cの圧着及び離間動作を直線的に行う直動方式の圧着機構であってもよい。
【0034】
[圧着歯32の綴じ動作の実施形態]
次に、本実施形態に係る圧着歯32の綴じ動作における動作幅に関する実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る後処理装置3が備える綴じ具320の説明では、一対の圧着歯32において、上綴じ歯32bに対し下綴じ歯32bが移動することで用紙束Pbを挟持する動作を説明したが、以下の説明では、上綴じ歯32bが下綴じ歯32bに対して移動することで用紙束Pbを挟持するように説明をしている。なお、用紙束Pbを加圧変形する綴じ処理を行うことができれば、上綴じ歯32bと下綴じ歯32bのいずれが移動することで綴じてもよい。
【0035】
まず、
図8及び
図9を用いて、本実施形態に係る綴じ動作に対する比較例(従来技術に基づく)を説明する。
【0036】
[比較例の説明]
図8は、従来技術における綴じ動作を説明する図である。
図8(A)は、用紙束Pbが最大厚さの場合の位置関係を示し、
図8(B)は、用紙束Pbが最小厚さの場合の位置関係を示している。
図8(a-1)及び
図8(b-1)は、イニシャライズ実施後のホームポジションを示しており、最大用紙束厚も最小用紙束厚も同じ位置にある。
図8(A)に示すように、圧着綴じ処理の対象とする用紙束Pbが最大厚さの場合は、用紙束Pbを形成するために用紙Pが圧着歯32の間に搬送されてくるときに、その離間距離(間口の広さ)を最大にする位置に上綴じ歯32bを待機させる。すなわち、上綴じ歯32bの待機状態において上綴じ歯32bを移動させる必要は無いので、この場合は「上綴じ歯32bの移動量無し」の状態である。そのため、上綴じ歯32bは既定の待機位置から移動せず、
図8(a-2)に示すように待機位置は、いわゆるホームポジションから変動していない。
【0037】
一方、
図8(B)のように、圧着する用紙束Pbが最小厚さの場合は、間口の広さを最小にする位置に上綴じ歯32bを待機させる。すなわち、上綴じ歯32bの待機状態において上綴じ歯32bを移動させる必要があるので、この場合は「上綴じ歯32bの移動量有り」である。そのため、上綴じ歯32bを移動させて、
図8(b-2)に示すように待機位置をホームポジションから下方へ変化させる。
【0038】
次に、
図8(b-3)は圧着綴じ加圧位置を示す。
図8(a-2)と
図8(a-3)および
図8(b-2)と
図8(b-3)は、それぞれ待機位置と加圧位置(綴じポジション)の位置関係と移動距離を示している。これらによれば、用紙束Pb厚さによる待機位置、加圧位置が異なっても待機位置から加圧位置までの移動距離は同じとなる。
【0039】
そして、圧着後に上綴じ歯32bを待機位置へ移動させるときの待機位置は、
図8(b-4)に示すように、圧着処理の前に上綴じ歯32bを事前に下綴じ歯32cに近づけた
図8(a-2)で示す位置とする。このように上綴じ歯32bを待機位置へ移動させることで、圧着後の用紙が上綴じ歯32bから剥離される。よって、
図8(a-3)(a-4)および
図8(b-3)(b-4)で示す剥離の際の、加圧位置から待機位置の移動距離も用紙束Pb厚さが異なっても同じとなる。
【0040】
以上説明したように、
図8に示す従来例に係る綴じ手段によれば、加圧する用紙束Pbの厚さが所定厚さより薄い場合は、上綴じ歯32bの待機位置を加圧位置方向に近づけておくことで、剥離後の上綴じ歯32bの待機位置を加圧位置方向に近くなるように制御をしている。このような制御によって、待機位置と加圧位置間の移動時間の短縮になるので、次の用紙束Pbへの綴じ処理への速やかな移行を狙いとしている。
【0041】
図9は、
図8において説明した従来例の綴じ動作における課題を示すための図である。
図9に示すように、圧着する用紙束Pbが最小厚さである場合に、上綴じ歯32bの待機位置を下方へ変動させた状態とする。このとき、先行用紙P1がすでに、圧着歯32に挟持される位置に移動済みであり、それに続き後続用紙P2が同一に搬送されてくる様子を
図9(A)とする。
【0042】
このとき、後続用紙P2の搬送方向の端部、言い換えると上綴じ歯32bと下綴じ歯32cとの間口から進入するとき先頭に当たる後続用紙P2の端部に湾曲がある場合、その湾曲度合いが大きいと、
図9(B)に示すように、上綴じ歯32bに端部が衝突をすることになる。この場合、後続用紙P2が圧着歯32による綴じ位置に到達できずに、綴じ処理を正常に行うことができない。
【0043】
[本実施形態に係る圧着歯32の動作に関する説明]
次に、本実施形態に係る綴じ手段としての圧着歯32における、用紙Pを受け入れる時の退避位置と、用紙Pの受け入れタイミングにおいて退避位置から綴じ動作の待機位置への移動開始タイミングの制御について
図10及び
図11を用いて説明する。
【0044】
図10(A)は、圧着する用紙束Pbを受け入れる前の上綴じ歯32bの退避位置である。搬送される用紙Pが用紙束Pbの最終紙でない場合、
図10(B)~
図10(C)に示すように、上綴じ歯32bは退避位置から移動しない。
【0045】
搬送されてきた用紙Pが用紙束Pbを構成する最終紙である場合、
図10(D)に示すように、上綴じ歯32bと下綴じ歯32cの間口の端部であって、用紙Pが間口に進入するときの入口に相当する間口先端部Xに用紙Pが至る前は、上綴じ歯32bは退避位置から移動しない。
【0046】
その後、
図11(A)に示すように、用紙Pが間口先端部Xを通過したときに、
図11(B)に示すように、上綴じ歯32bが退避位置からの移動を開始し、上綴じ歯32bが待機位置において待機する状態になる。
【0047】
ここで、上綴じ歯32bの待機位置とは、用紙束Pbを構成する用紙Pの搬送がされて、用紙端部の整合が終了した後に、圧着歯32を駆動させる圧着綴じ処理を開始するときの位置をいう。すなわち、圧着綴じ動作が開始されるまでに、あらかじめ、上綴じ歯32bが移動して、綴じ動作の指示を待つための位置をいう。
【0048】
すなわち、
図11(C)のように最終紙となる用紙Pが後端揃え118に到達して、搬送方向端部が整合されて、その後、用紙束Pbの幅方向(搬送方向との直交方向であって主走査方向に相当する)における端部の整合が終了するまで、上綴じ歯32bは待機位置で待機する。
【0049】
その後、
図11(D)に示すように、最終紙としての用紙Pが後端揃え118に到達して、所定の端部揃え動作が完了してから、駆動手段によって上綴じ歯32bが待機位置からの移動を開始して、圧着綴じ加圧位置への移動を完了することで、用紙束Pbへの綴じ処理が施される。
【0050】
以上のとおり、保実施形態に係る圧着歯32の動作制御によれば、用紙カールの高い用紙Pが搬送された場合でも、圧着歯32の間口に用紙束Pbが引っ掛かってしまう懸念を解消することができる。
【0051】
[本実施形態に係る制御ブロック]
次に、本実施形態に係る後処理装置3の動作を制御する制御手段としてのコントローラ100の実施形態について、
図12を用いて説明する。
図12に示すように、後処理装置3が備えるコントローラ100は、CPU100-1、I/Oインターフェイス100-2等を有するマイクロコンピュータを搭載した制御回路を備え、CPU100-1には、画像形成装置2の制御ブロックあるいは操作パネル1-1の各スイッチ等、及び図示しない各センサからの信号が通信インターフェイス1-2を介して入力され、CPU100-1は入力された信号に基づいて所定の制御を実行する。
【0052】
さらに、CPU100-1は、ドライバ、モータドライバを介してソレノイド及びモータを駆動制御し、インターフェイスから装置内のセンサ情報を取得する。なお、このセンサ情報には、媒体検知手段として、圧着歯32の間口に用紙Pが到達するタイミングを推定するために、途中の搬送路に設置されるスティプルトレイ排紙センサ112からの情報が含まれる。
【0053】
また、制御対象やセンサに応じてI/Oインターフェイス100-2を介してモータドライバによってモータの駆動制御を行い、スティプルトレイ排紙センサ112等からセンサ情報を取得する。なお、前記制御は、図示しないROMに格納されたプログラムコードをCPU100-1が読み込んでRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに基づいて実行される。また、制御に使用するデータを記憶する不揮発性のメモリも備えている。
【0054】
また、コントローラ100の制御は画像形成装置2の制御ブロックからの指示若しくは情報に基づいて実行される。ユーザの操作指示は画像形成装置2の操作パネル1-1から行われる。これにより、画像形成装置2からは後処理装置3が備えるコントローラ100へ操作パネル1-1からの操作信号が送信され、また、後処理装置3が備えるコントローラ100の処理状態や機能が操作パネル1-1を介してユーザに通知される。
【0055】
[本実施形態に係る制御処理フロー]
次に、本実施形態に係る後処理装置3において実行される綴じ処理の制御フローについて、
図13及び
図14のフローチャートを参照しながら説明する。以下において説明する綴じ処理の制御フローは、後処理装置3が備えるコントローラ100において実行される処理である。すなわち、コントローラ100のハードウェア資源を用いて以下の制御処理を実行する構成が、本実施形態に係る圧着移動制御手段と圧着動作制御手段を構成する。
【0056】
まず、コントローラ100は、画像形成装置2から、後処理の実行指示としての後処理モード指示を受信する(S1301)。
【0057】
後処理モード指示において、圧着綴じ処理を実行することが指示されているか否かを判定し(S1302)、圧着綴じ処理の実行指示が含まれていない場合は(S1302:NO)、圧着綴じ処理以外の処理の実行を行う(S1306)。
【0058】
圧着綴じ処理の実行指示が含まれている場合は(S1302:YES)、圧着綴じ処理に係る用紙Pの仕様を示す情報、用紙束Pbを構成するための情報を含む媒体情報としての搬送用紙情報を受信する(S1303)。ここで、「用紙Pの仕様を示す情報」とは、圧着綴じ処理に付される用紙Pの厚みを示す情報などである。また、「用紙束Pbを構成するための情報」とは、用紙束Pbを構成する用紙Pの枚数を示す情報などである。
【0059】
コントローラ100は、搬送用紙情報の受信が完了するまで、処理を待機する(S1303:NO)。そして搬送用紙情報の受信が完了したとき(S1303:YES)、続いて、搬送用紙情報に基づいて、圧着歯32の一の動作状態である退避状態から、他の動作状状態である待機状態へと、圧着歯32の状態を変化させるための待機位置移動量を計算する(S1304)。待機位置移動量とは、退避状態にあるときの上綴じ歯32bが退避位置にある状態から、所定のタイミングをもって待機状態になるときの待機位置に上綴じ歯32bの位置を変化させるために、上綴じ歯32bを移動させる移動量に相当する。
【0060】
待機位置移動量を算出した後、圧着歯32を構成する上綴じ歯32bを退避位置から待機位置まで移動させ、その後、圧着綴じ動作を実行する(S1305)。圧着綴じ動作の詳細については、
図14のフローチャートを用いて説明する。
【0061】
図14に示すように、コントローラ100が、圧着綴じ処理の指示を受け取ってから、上綴じ歯32bの待機位置移動量を算出して、圧着綴じ処理を開始するとき、まず、圧着歯32の間口に向けて搬送されている用紙Pが、用紙束Pbを構成するための最終媒体に相当するか否かを判定する(S1401)。最終媒体でなれば、並行して実行されている用紙Pの受け入れ処理を継続する(S1401:NO)。
【0062】
搬送中の用紙Pが最終媒体であれば(S1401:YES)コントローラ100は、最終媒体の搬送により、スティプルトレイ排紙センサ112がOFFになるか否かを判定する(S1402)。スティプルトレイ排紙センサ112は、用紙Pが通過したか否かを検知するセンサであって、用紙Pがスティプルトレイ排紙センサ112を通過したときに「OFF」となる。したがって、コントローラ100は、スティプルトレイ排紙センサ112からの検知信号が「ON」から「OFF」なるか否かを検知し続ける(S1402:NO)。
【0063】
スティプルトレイ排紙センサ112からの検知信号が「OFF」になったとき(S1403:YES)、最終媒体がスティプルトレイ排紙センサ112を通過してから圧着歯32の間口に至り進入までの任意の時間の経過を待つ(S1404)。ここで「任意の時間」とは、用紙Pの搬送方向先端が間口先端部Xに進入する到達タイミングを推定した時間である。言い換えると、最終の用紙Pの搬送方向先端がスティプルトレイ排紙センサ112を通過してから、この用紙Pの端部(上記の搬送方向端部の反対側の端部に相当する)が間口先端部Xを通過するまでに要する時間を推定し、この推定した時間に基づいて到達タイミングを判定する。この「任意の時間」は、例えば、搬送経路の距離と用紙Pの搬送速度から算出される時間であって、コントローラ100の記憶手段において、予め設定値として格納しておき、それを読み出して参照してもよい。
【0064】
この「任意の時間」が経過するまで、上綴じ歯32bの位置は、間口を最大幅まで開けた状態になる位置としての退避位置にある。
【0065】
「任意の時間」が経過したタイミングで上綴じ歯32bの下降を開始し(S1404)、待機位置で停止させる(S1405)。S1404における上綴じ歯32bの下降量は、S1304において算出された待機位置移動量である。すなわち、上綴じ歯32bが待機位置移動量に相当する移動をするようにコントローラ100は制御をする。
【0066】
続いて、最終の用紙Pの端部が後端揃え118に到達する時間経過を待ち(S1406)、上綴じ歯32bを待機位置から下降させて(S1407)、上綴じ歯32bを加圧位置で停止させる(S1408)。その後、上綴じ歯32bを上昇させて(S1409)、綴じ処理が完了した用紙束Pbの排出処理を行う(S1410)。
【0067】
以上のとおり、本実施形態に係る後処理装置3によれば、圧着綴じ処理に用いられる圧着歯32において、所定の用紙Pの受け入れが完了するまでは退避位置において上綴じ歯32bを待機させる。その後、最終の用紙Pが圧着歯32の間口に到達するタイミングを関しして、上綴じ歯32bを退避位置から待機位置まで移動させる。なお、上綴じ歯32bが退避位置にあるときの間口よりも、上綴じ歯32bが待機位置にあるときの間口の方が狭くなる。
【0068】
その後、最終の用紙Pの受け入れが完了したタイミングで上綴じ歯32bを下降させて加圧し、圧着綴じ処理を実行する。これによって、用紙カールが高い用紙Pを圧着歯32の間口から受け入れるときも、用紙Pの端部が圧着歯32に引っ掛かることを防止して、綴じ処理を精度よく実行することができる。また、用紙Pの端部が間口を通過してから綴じ可能状態(端部の整合など)に至るまでの間に、上綴じ歯32bを綴じ処理の待機位置に移動させるために退避位置から下降させておく。これによって、綴じ可能状態になってから上綴じ歯32bを加圧位置に下降させるまでの時間を短縮することができるので、綴じ処理の生産性を向上できる。
【0069】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0070】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> シート状の媒体を複数束ねた媒体束の一部を挟持し加圧変形させて綴じる圧着手段と、
前記圧着手段に向けて移動する前記媒体の位置を検知する媒体検知手段と、
前記媒体検知手段において検知された前記媒体の位置と、前記媒体の仕様に係る情報を含む媒体情報と、に基づいて、前記圧着手段の動作状態を制御する圧着動作制御手段と、
を備え、
前記圧着動作制御手段は、前記媒体の位置から推定される当該媒体の前記圧着手段への到達タイミングに基づいて、当該媒体による当該圧着手段へ衝突を避ける退避状態になるように当該圧着手段を制御し、
当該媒体が当該圧着手段に到達するタイミングに基づいて、前記退避状態から前記媒体束を挟持するための待機状態になるように制御し、
当該媒体を含む媒体束に対する綴じ処理の準備が整うタイミングに応じて、当該圧着手段を前記待機状態から当該媒体束を挟持して加圧する状態へと変化させる、
ことを特徴とする媒体処理装置。
である。
<2> 前記圧着手段は一対の綴じ歯を備え、当該綴じ歯により前記媒体束を挟持し加圧変形させて綴じ処理を実行し、
前記圧着動作制御手段は、
前記媒体の位置と、前記媒体の仕様に係る情報を含む媒体情報に基づき、
当該媒体が前記綴じ歯の間口に進入するタイミングにおいて、当該綴じ歯の間口が前記媒体に衝突しない位置に退避位置にある状態にし、
当該媒体が当該綴じ歯の間口に進入して加圧変形をされる状態に至るまでのタイミングにおいて、当該綴じ歯の間口を狭めて前記加圧変形に備える待機位置にある状態にし、
当該媒体を含む媒体束に対する綴じ処理の準備が整うタイミングに応じて、当該一対の綴じ歯を前記待機位置から当該媒体束を挟持する位置へと移動させる、
前記<1>に記載の媒体処理装置である。
<3> 前記圧着動作制御手段は、
前記媒体情報に含まれる前記媒体束を形成する前記媒体の枚数を示す情報に基づいて、前記退避状態及び前記待機状態への動作の制御をする、前記<1>又は前記<2>に記載の媒体処理装置である。
<4> 前記圧着動作制御手段は、前記媒体情報に含まれる前記媒体束を形成する前記媒体の厚みを示す情報に基づいて、前記退避状態及び前記待機状態への動作の制御をする、前記<1>乃至前記<3>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<5>前記媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成された複数の前記媒体を加圧変形させて綴じる前記<1>乃至前記<4>のいずれか一つに記載の媒体処理装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。
<6>前記媒体に画像を形成する画像形成部を備えた画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された複数の前記媒体を加圧変形させて綴じる前記<1>乃至前記<4>のいずれか一つに記載の媒体処理装置と、を備えることを特徴とする画像形成システムである。
【符号の説明】
【0071】
1 :画像形成システム
2 :画像形成装置
3 :後処理装置
32 :圧着歯
32b :上綴じ歯
32b :下綴じ歯
32d :接離モータ
100 :コントローラ
100-1 :CPU
112 :スティプルトレイ排紙センサ
118 :後端揃え
320 :綴じ具
500 :圧着綴じ手段
600 :針綴じ手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】