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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117599
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】可変利得IFアンプ
(51)【国際特許分類】
   H03G 3/10 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
H03G3/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023777
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三柴 竹太郎
(72)【発明者】
【氏名】岡部 孝弘
【テーマコード(参考)】
5J100
【Fターム(参考)】
5J100AA03
5J100AA16
5J100AA20
5J100BA05
5J100BB08
5J100BB15
5J100BC04
5J100CA11
5J100FA02
(57)【要約】
【課題】回路規模の増加を抑制しつつ、可変利得範囲の制限を緩和し、ひいては、後段の受信回路のダイナミックレンジを拡大することが可能な可変利得IFアンプを提供する。
【解決手段】実施形態の可変利得IFアンプは、入力端子から入力電圧信号が入力され、電圧/電流変換を行う電圧電流変換器と、ソース端子が電源または基準電圧源に接続され、ドレイン端子が当該可変利得IFアンプの出力端子及び電圧電流変換器の出力端子に接続されたMOSトランジスタを有し、入力電圧信号に対応する電圧を出力端子から出力する能動負荷部と、入力された利得制御信号に基づいて、MOSトランジスタのドレイン端子-ゲート端子間の抵抗値を設定する利得制御部と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子から入力電圧信号が入力され、電圧/電流変換を行う電圧電流変換器と、
ソース端子が電源または基準電圧源に接続され、ドレイン端子が出力端子及び前記電圧電流変換器の出力端子に接続されたMOSトランジスタを有し、前記入力電圧信号に対応する電圧を出力端子から出力する能動負荷部と、
入力された利得制御信号に基づいて、前記MOSトランジスタのドレイン端子-ゲート端子間の抵抗値を設定する利得制御部と、
を備えた、可変利得IFアンプ。
【請求項2】
前記入力端子は、差動入力電圧信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子を有し、
前記可変利得IFアンプの出力端子は、前記第1入力端子からの入力電圧信号に対応する利得倍された第1出力電圧を出力する第1出力端子及び前記第2入力端子からの入力電圧信号に対応する利得倍された第2出力電圧を出力する第2出力端子を有し、
前記能動負荷部は、前記MOSトランジスタとして、ソース端子が前記電源または基準電圧源に接続され、ドレイン端子が前記第1出力端子に接続された第1MOSトランジスタと、ソース端子が前記電源に接続され、ドレイン端子が前記第2出力端子に接続された第2MOSトランジスタと、
を備えた請求項1記載の可変利得IFアンプ。
【請求項3】
前記利得制御部は、一端が前記第1MOSトランジスタのドレイン端子に接続され、他端が前記第1MOSトランジスタのゲート端子及び前記第2MOSトランジスタのゲート端子に接続され、少なくとも一部が直列接続された複数の抵抗を有する第1抵抗群と、
一端が前記第1MOSトランジスタのゲート端子及び前記第2MOSトランジスタのゲート端子に接続され、前記第1抵抗群を構成する抵抗の一部を前記第1MOSトランジスタのゲート端子及び前記第2MOSトランジスタのゲート端子に電気的に接続する一または複数の第1スイッチと、
一端が前記第2MOSトランジスタのドレイン端子に接続され、他端が前記第1MOSトランジスタのゲート端子及び前記第2MOSトランジスタのゲート端子に接続され、少なくとも一部が直列接続された複数の抵抗を有する第2抵抗群と、
一端が前記第1MOSトランジスタのゲート端子及び前記第2MOSトランジスタのゲート端子に接続され、前記第2抵抗群を構成する抵抗の一部を前記第1MOSトランジスタのゲート端子及び前記第2MOSトランジスタのゲート端子に電気的に接続する一または複数の第2スイッチと、
を備えた請求項2記載の可変利得IFアンプ。
【請求項4】
前記第1スイッチは、複数設けられ、一端が前記第1MOSトランジスタのゲート端子及び前記第2MOSトランジスタのゲート端子に接続され、他端が前記第1抵抗群を構成する一対の抵抗の接続点に接続されて、排他的にオン状態とされ、あるいは、全てオフ状態とされ、
前記第2スイッチは、複数設けられ、一端が前記第1MOSトランジスタのゲート端子及び前記第2MOSトランジスタのゲート端子に接続され、他端が前記第2抵抗群を構成する一対の抵抗の接続点に接続されて、排他的にオン状態とされ、あるいは、全てオフ状態とされる、
請求項3記載の可変利得IFアンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、可変利得IFアンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、電流制御で利得を可変する可変利得IFアンプが提案されている。
このような可変利得IFアンプにおいては、負荷抵抗に流れる電流量が変化するため、利得に応じて出力電圧(直流電圧成分)が変化する構成となっていた。
このように、出力電圧(直流電圧成分)が変化すると後段回路の動作範囲に影響を及ぼし、可変利得範囲に制限が生じ、受信回路のダイナミックレンジが悪化する虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-028553号公報
【特許文献2】特開2003-218650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これを回避するため可変利得IFアンプと後段回路との間に、直流電流を遮断するためにコンデンサを用いた回路が提案されている。
このように、可変利得IFアンプと後段回路との間に、直流電流を遮断するためにコンデンサを用いた回路を構成した場合には、中間周波数帯において直流電流を遮断するため、必要とされるコンデンサの容量値も大きくなり、回路規模が増加するという課題があった。
【0005】
また、出力される直流電圧が不安定となると受信回路のIFアンプとしては用いることはできないため、従来においては、直流電圧を安定化させるためコモンフィードバック回路が必要とされていたが、このような構成においても回路規模が増加するという課題があった。
【0006】
上記課題に鑑み、回路規模の増加を抑制しつつ、可変利得範囲の制限を緩和し、ひいては、後段の受信回路のダイナミックレンジを拡大することが可能な可変利得IFアンプを提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の可変利得IFアンプは、入力端子から入力電圧信号が入力され、電圧/電流変換を行う電圧電流変換器と、ソース端子が電源または基準電圧源に接続され、ドレイン端子が当該可変利得IFアンプの出力端子及び電圧電流変換器の出力端子に接続されたMOSトランジスタを有し、入力電圧信号に対応する電圧を出力端子から出力する能動負荷部と、入力された利得制御信号に基づいて、MOSトランジスタのドレイン端子-ゲート端子間の抵抗値を設定する利得制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の可変利得IFアンプを有する実施形態の無線装置の概要構成ブロック図である。
図2図2は、第1実施形態の可変利得IFアンプの概要構成図である。
図3図3は、電圧電流変換器の回路構成の一例の説明図である。
図4図4は、第2実施形態の可変利得IFアンプの概要構成図である。
図5図5は、第3実施形態の可変利得IFアンプの概要構成図である。
図6図6は、第4実施形態の可変利得IFアンプの概要構成図である。
図7図7は、第5実施形態の可変利得IFアンプの概要構成図である。
図8図8は、第6実施形態の可変利得IFアンプの概要構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に実施形態について、図面を参照して説明する。
[1]第1実施形態
図1は、第1実施形態の可変利得IFアンプを有する実施形態の無線装置の概要構成ブロック図である。
無線装置10は、アンテナ11と、共用器12と、可変利得低雑音アンプ13と、RFバンドパスフィルタ14と、ミキサ15と、第1局部発振器16と、IFフィルタ17と、可変利得IFアンプ18と、第2局部発振器19と、直交復調器20と、ベースバンドフィルタ21-1、21-2と、信号強度検出器22と、信号強度判定器23と、を備えている。
アンテナ11は、無線信号を送受信する。
共用器12は、アンテナ1を送受信に共用するために分波を行う。
可変利得低雑音アンプ13は、受信信号を低雑音で、利得を可変可能に増幅する。
RFバンドパスフィルタ14は、増幅された受信信号の帯域を制限する。
ミキサ15は、RFバンドパスフィルタ14を通過した受信信号を中間周波数(IF)信号に変換する。
第1局部発振器16は、ミキサ15に第1局部発振信号Lo1を出力する。
IFフィルタ17は、ミキサ15の出力から不要成分を除去する。
可変利得IFアンプ18は、変換された中間周波数(IF)信号のレベルを調整して出力する。
第2局部発振器19は、中間周波数(IF)信号を変換するための第2局部発振信号Lo2を出力する。
直交復調器20は、第2局部発振信号Lo2に基づいて、直交検波を行って、I復調信号SI及びQ復調信号SQに復調して出力する。
ベースバンドフィルタ21-1は、I復調信号SIの不要成分を除去して出力する。
ベースバンドフィルタ21-2は、Q信復調号SQの不要成分を除去して出力する。
信号強度検出器22は、I復調信号SI及びQ復調信号SQの信号強度を検出する。
信号強度判定器23は、検出されたI復調信号SI及びQ復調信号SQの信号強度に基づいて可変利得低雑音アンプ13及び可変利得IFアンプ18の利得を制御する。このため、信号強度判定器23は、可変利得低雑音アンプ13に利得制御信号S0を出力し、可変利得IFアンプ18に利得制御信号Sを出力する。
【0010】
図2は、第2実施形態の可変利得IFアンプの概要構成図である。
第1実施形態の可変利得IFアンプ18は、大別すると、能動負荷部31と、利得制御部32と、電圧電流変換器33と、を備えている。
【0011】
能動負荷部31は、高電位側電源VHと、第1出力端子Tout1及び第2出力端子Tout2との間に接続され、ゲート端子が共通接続点CPで接続された第1PチャネルMOSトランジスタTR1及び第2PチャネルMOSトランジスタTR2を備えている。
【0012】
この場合において、第1PチャネルMOSトランジスタTR1は、第1トランジスタとして機能し、第2PチャネルMOSトランジスタTR2は、第2トランジスタとして機能している。
【0013】
利得制御部32は、一端が第1出力端子Tout1に接続され、他端がPチャネルMOSトランジスタのゲート端子に接続され、複数の抵抗が直列接続された第1抵抗群RG1と、一端が第2出力端子Tout2に接続され、他端がPチャネルMOSトランジスタのゲート端子に接続され、複数の抵抗が直列接続された第2抵抗群RG2と、第1スイッチSW11、第2スイッチSW21を備えている。
【0014】
ここで、図2の例においては、第1抵抗群RG1は、直列接続された第1抵抗R11及び第2抵抗R12を備えており、第1抵抗R11の一端は、第1出力端子Tout1に接続され、第2抵抗R12の一端は、共通接続点CPに接続されている。
【0015】
同様に第2抵抗群RG2は、直列接続された第1抵抗R21及び第2抵抗R22を備えており、第1抵抗R21の一端は、第2出力端子Tout2に接続され、第2抵抗R22の一端は、共通接続点CPに接続されている。
【0016】
また、第1スイッチSW11及び第2スイッチSW21は、利得制御信号Sに基づいて、同じ動作を行う。すなわち、利得制御信号Sにより第1スイッチSW11がオフ状態(開状態)とされる場合には、第2スイッチSW21はオフ状態(開状態)とされる。また、利得制御信号Sにより第1スイッチSW11がオン状態(閉状態)とされる場合には、第2スイッチSW21はオン状態(閉状態)とされる。
【0017】
図3は、電圧電流変換器の回路構成の一例の説明図である。
電圧電流変換器33は、第1入力端子Tin1にゲート端子が接続され、ドレイン端子が第1出力端子Tout1に接続された第1NチャネルMOSトランジスタ41と、第2入力端子Tin2にゲート端子が接続され、ドレイン端子が第2出力端子Tout2に接続された第2NチャネルMOSトランジスタ42と、一端が第1NチャネルMOSトランジスタのソース端子及び第2NチャネルMOSトランジスタのソース端子に接続され、他端が低電位側電源に接続された定電流源43と、を備えている。
この場合において、第1入力端子Tin1及び第2入力端子Tin2には、差動電圧入力信号が入力される。
【0018】
上記構成によれば、第1NチャネルMOSトランジスタ41のドレイン端子-ソース端子間には、第1入力端子Tin1の電圧に比例する電流が流れ、第2NチャネルMOSトランジスタ42のドレイン端子-ソース端子間には、第2入力端子Tin2の電圧に比例する電流が流れ、それらの和は、定電流源43を流れる一定電流となる。
【0019】
したがって、第1出力端子Tout1から出力される出力電圧は、第1入力端子Tin1の電圧及び利得制御部32で設定された利得に比例する電圧となる。
また、第2出力端子Tout2から出力される出力電圧は、第2入力端子Tin2の電圧及び利得制御部32で設定された利得に比例する電圧となる。
【0020】
ここで、第1実施形態における利得の設定について説明する。
以下の説明においては、理解の容易のため、抵抗値を対応する抵抗の符号で表すものとする。例えば抵抗R11の抵抗値については、「R11」と表記するものとする。また、電圧電流変換器33の変換係数をgmで表すものとする。
【0021】
利得制御信号Sにより第1スイッチSW11及び第2スイッチSW21がオフ状態(開状態)の場合の利得GainHは、次式で表される。
GainH=gm×(R11+R12+R22+R21)
【0022】
また、利得制御信号Sにより第1スイッチSW11及び第2スイッチSW21がオン状態(閉状態)の場合の利得GainLは、次式で表される。
GainL=gm×(R11+R21)
【0023】
そして、いずれの場合でも、第1入力端子Tin1の入力電圧信号の電圧に対し、利得(GainHまたはGainL)倍した電圧が第1出力端子Tout1から出力される。
【0024】
同様に第2入力端子Tin2の入力電圧信号の電圧に対し、利得(GainHまたはGainL)倍した電圧が第2出力端子Tout2から出力される。
【0025】
以上の説明のように、第1実施形態によれば、第1スイッチSW11及び第2スイッチSW21によって、利得設定抵抗(第1抵抗群RG1及び第2抵抗群RG2を構成する抵抗R11、R12、R21、R22のうち、実効的に第1PチャネルMOSトランジスタTR1のゲート端子-ドレイン端子間及び第2PチャネルMOSトランジスタTR2のゲート端子-ドレイン端子間に接続されている抵抗)が切り替わることで利得が変更されるようになっている。
【0026】
図2の構成においては、第1入力端子Tin1及び第2入力端子Tin2が無信号状態の場合には、利得設定抵抗には電流が流れないため、利得を変更したとしても、第1出力端子Tout1及び第2出力端子Tout2からの出力直流電圧が変化することはない。
【0027】
さらに第1出力端子Tout1及び第2出力端子Tout2からの出力直流電圧は、第1PチャネルMOSトランジスタTR1、第2PチャネルMOSトランジスタTR2のゲートソース間電圧(Vgs)によって定まることとなる。
【0028】
以上の説明のように、本第1実施形態によれば、可変利得IFアンプにおいて、利得を変更した場合でも直流電圧が変化しないので、無線装置10において、受信回路のダイナミックレンジを拡大することが可能となる。
さらに利得を変更した場合でも直流電圧が変化しないので、実際に可変利得IFアンプを用いる場合に、利得可変範囲の制限が緩和され、ひいては広い利得可変範囲を実現することが可能となる。
【0029】
[2]第2実施形態
図4は、第2実施形態の可変利得IFアンプの概要構成図である。
図4において、図2の第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
第2実施形態の可変利得IFアンプ18Aは、大別すると、能動負荷部31と、利得制御部32Aと、電圧電流変換器33と、を備えている。
【0030】
能動負荷部31は、高電位側電源VHと、第1出力端子Tout1及び第2出力端子Tout2との間に接続され、ゲート端子が共通接続点CPで接続された第1PチャネルMOSトランジスタTR1及び第2PチャネルMOSトランジスタTR2を備えている。
【0031】
利得制御部32Aは、一端が第1出力端子Tout1に接続され、他端がPチャネルMOSトランジスタのゲート端子に接続され、複数の抵抗が直列接続された第1抵抗群RG1と、一端が第2出力端子Tout2に接続され、他端がPチャネルMOSトランジスタのゲート端子に接続され、複数の抵抗が直列接続された第2抵抗群RG2と、第1スイッチSW11、第2スイッチSW21と、第1抵抗群RG1及び第2抵抗群RG2と並列に接続された抵抗R3と、を備えている。
【0032】
ここで、図4の例においても、第1抵抗群RG1は、直列接続された第1抵抗R11及び第2抵抗R12を備えており、第1抵抗R11の一端は、第1出力端子Tout1に接続され、第2抵抗R12の一端は、共通接続点CPに接続されている。
【0033】
同様に第2抵抗群RG2は、直列接続された第1抵抗R21及び第2抵抗R22を備えており、第1抵抗R21の一端は、第2出力端子Tout2に接続され、第2抵抗R22の一端は、共通接続点CPに接続されている。
【0034】
また、第1スイッチSW11及び第2スイッチSW21は、利得制御信号Sに基づいて、同じ動作を行う。すなわち、利得制御信号Sにより第1スイッチSW11がオフ状態(開状態)とされる場合には、第2スイッチSW21はオフ状態(開状態)とされる。また、利得制御信号Sにより第1スイッチSW11がオン状態(閉状態)とされる場合には、第2スイッチSW21はオン状態(閉状態)とされる。
【0035】
ここで、第2実施形態における利得の設定について説明する。
以下の説明においては、理解の容易のため、抵抗値を対応する抵抗の符号で表すものとする。例えば抵抗R11の抵抗値については、「R11」と表記するものとする。また、電圧電流変換器33の変換係数をgmで表すものとする。
【0036】
利得制御信号Sにより第1スイッチSW11及び第2スイッチSW21がオフ状態(開状態)の場合の利得GainH’は、次式で表される。
この場合において、利得制御部32Aとして利得制御に関係する全体の抵抗値をRALとする。
GainH’=gm×RAL
ここで、
RAL=R3・(R11+R12+R22+R21)
/(R3+R11+R12+R22+R21)
である。
【0037】
また、利得制御信号Sにより第1スイッチSW11及び第2スイッチSW21がオン状態(閉状態)の場合の利得GainL’は、次式で表される。
GainL’=gm×RAL
ここで、
RAL=R3・(R11+R21)/(R3+R11+R21)
である。
【0038】
そして、いずれの場合でも、第1入力端子Tin1の入力電圧信号の電圧に対し、利得(GainH’まはたGainL’)倍した電圧が第1出力端子Tout1から出力される。
【0039】
同様に第2入力端子Tin2の入力電圧信号の電圧に対し、利得(GainH’またはGainL’)倍した電圧が第2出力端子Tout2から出力される。
【0040】
以上の説明のように、第2実施形態においても、第1スイッチSW11及び第2スイッチSW21によって、利得設定抵抗(第1抵抗群RG1及び第2抵抗群RG2を構成する抵抗R11、R12、R21、R22のうち、実効的に第1PチャネルMOSトランジスタTR1のゲート端子-ドレイン端子間及び第2PチャネルMOSトランジスタTR2のゲート端子-ドレイン端子間に接続されている抵抗)が切り替わることで利得が変更されるようになっている。
【0041】
図4の構成においても、第1入力端子Tin1及び第2入力端子Tin2が無信号状態の場合には、利得設定抵抗には電流が流れないため、利得を変更したとしても、第1出力端子Tout1及び第2出力端子Tout2からの出力直流電圧が変化することはない。
【0042】
さらに第1出力端子Tout1及び第2出力端子Tout2からの出力直流電圧は、第1PチャネルMOSトランジスタTR1、第2PチャネルMOSトランジスタTR2のゲートソース間電圧(Vgs)によって定まることとなる。
【0043】
以上の説明のように、本第2実施形態によっても、可変利得IFアンプにおいて、利得を変更した場合でも直流電圧が変化しないので、無線装置10において、受信回路のダイナミックレンジを拡大することが可能となる。
さらに利得を変更した場合でも直流電圧が変化しないので、実際に可変利得IFアンプを用いる場合に、利得可変範囲の制限が緩和され、ひいては広い利得可変範囲を実現することが可能となる。
【0044】
[3]第3実施形態
図5は、第3実施形態の可変利得IFアンプの概要構成図である。
図5において、図4の第2実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとし、その詳細な説明を援用するものとする。
第3実施形態の可変利得IFアンプ18Bは、大別すると、能動負荷部31と、利得制御部32Bと、電圧電流変換器33と、を備えている。
【0045】
利得制御部32Bが第2実施形態と異なる点は、抵抗R3に代えて、抵抗R31、スイッチSW3及び抵抗R41が直列接続されて、第1抵抗群RG1及び第2抵抗群RG2と並列に接続されている点、利得制御信号Sに代えて利得制御信号S1が入力されている点及びスイッチSW3に利得制御信号S1とは独立な第2の利得制御信号S2が入力されている点である。
【0046】
ここで、図5の例においても、第1抵抗群RG1は、直列接続された第1抵抗R11及び第2抵抗R12を備えており、第1抵抗R11の一端は、第1出力端子Tout1に接続され、第2抵抗R12の一端は、共通接続点CPに接続されている。
【0047】
同様に第2抵抗群RG2は、直列接続された第1抵抗R21及び第2抵抗R22を備えており、第1抵抗R21の一端は、第2出力端子Tout2に接続され、第2抵抗R22の一端は、共通接続点CPに接続されている。
【0048】
また、第1スイッチSW11及び第2スイッチSW21は、利得制御信号S1に基づいて、同じ動作を行う。すなわち、利得制御信号S1により第1スイッチSW11がオフ状態(開状態)とされる場合には、第2スイッチSW21はオフ状態(開状態)とされる。また、利得制御信号S1により第1スイッチSW11がオン状態(閉状態)とされる場合には、第2スイッチSW21はオン状態(閉状態)とされる。
【0049】
ここで、第3実施形態における利得の設定について説明する。
以下の説明においては、理解の容易のため、抵抗値を対応する抵抗の符号で表すものとする。例えば抵抗R11の抵抗値については、「R11」と表記するものとする。また、電圧電流変換器33の変換係数をgmで表すものとする。
【0050】
利得制御信号S1により第1スイッチSW11及び第2スイッチSW21がオフ状態(開状態)の場合の利得GainHは、利得制御信号S2によりスイッチSW3がオフ状態の場合は第1実施形態と同様に次式で表される。
GainH=gm×(R11+R12+R22+R21)
【0051】
また、利得制御信号S1により第1スイッチSW11及び第2スイッチSW21がオン状態(閉状態)の場合の利得GainLは、利得制御信号S2によりスイッチSW3がオフ状態の場合は第1実施形態と同様に次式で表される。
GainL=gm×(R11+R21)
【0052】
また、利得制御信号S1により第1スイッチSW11及び第2スイッチSW21がオフ状態(開状態)の場合の利得GainH’は、利得制御信号S2によりスイッチSW3がオン状態の場合には、次式で表される。
この場合において、利得制御部32Bとして利得制御に関係する全体の抵抗値をRALとする。
GainH’=gm×RAL
ここで、
RAL=(R31+R41)・(R11+R12+R22+R21)
/(R31+R41+R11+R12+R22+R21)
である。
【0053】
また、利得制御信号S1により第1スイッチSW11及び第2スイッチSW21がオン状態(閉状態)の場合の利得GainL’は、利得制御信号S2によりスイッチSW3がオン状態の場合には、次式で表される。
GainL’=gm×RAL
ここで、
RAL=(R31+R41)・(R11+R21)
/(R31+R41+R11+R21)
である。
【0054】
そして、いずれの場合でも、第1入力端子Tin1の入力電圧信号の電圧に対し、利得(GainH’またはGainL’)倍した電圧が第1出力端子Tout1から出力される。
【0055】
同様に第2入力端子Tin2の入力電圧信号の電圧に対し、利得(GainH’またはGainL’)倍した電圧が第2出力端子Tout2から出力される。
【0056】
以上の説明のように、第3実施形態においても、第1スイッチSW11、第2スイッチSW21及びスイッチSW3によって、利得設定抵抗(第1抵抗群RG1及び第2抵抗群RG2を構成する抵抗R11、R12、R21、R22と、利得制御部32Bの抵抗R31、R41とのうち、実効的に第1PチャネルMOSトランジスタTR1のゲート端子-ドレイン端子間及び第2PチャネルMOSトランジスタTR2のゲート端子-ドレイン端子間に接続されている抵抗)が切り替わることで利得が変更されるようになっている。
【0057】
図5の構成においても、第1入力端子Tin1及び第2入力端子Tin2が無信号状態の場合には、利得設定抵抗には電流が流れないため、利得を変更したとしても、第1出力端子Tout1及び第2出力端子Tout2からの出力直流電圧が変化することはない。
【0058】
さらに第1出力端子Tout1及び第2出力端子Tout2からの出力直流電圧は、第1実施形態と同様に第1PチャネルMOSトランジスタTR1、第2PチャネルMOSトランジスタTR2のゲートソース間電圧(Vgs)によって定まることとなる。
【0059】
以上の説明のように、本第3実施形態によっても、可変利得IFアンプにおいて、利得を変更した場合でも直流電圧が変化しないので、無線装置10において、受信回路のダイナミックレンジを拡大することが可能となる。
さらに利得を変更した場合でも直流電圧が変化しないので、実際に可変利得IFアンプを用いる場合に、利得可変範囲の制限が緩和され、ひいては広い利得可変範囲を実現することが可能となる。
【0060】
[4]第4実施形態
図6は、第4実施形態の可変利得IFアンプの概要構成図である。
図6において、図4の第2実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとし、その詳細な説明を援用するものとする。
第4実施形態の可変利得IFアンプ18Cは、大別すると、能動負荷部31と、利得制御部32Cと、電圧電流変換器33と、を備えている。
【0061】
利得制御部32Cが第2実施形態と異なる点は、抵抗R3に代えて、抵抗R31、R32、R42及び抵抗R41が直列接続されて、第1抵抗群RG1及び第2抵抗群RG2と並列に接続されている点、第3スイッチSW31及び第3スイッチSW32を備えている点、利得制御信号Sに代えて利得制御信号S1が入力されている点及び第3スイッチSW31及び第3スイッチSW32に利得制御信号S1とは独立な第2の利得制御信号S2が入力されている点である。
【0062】
ここで、図6の例においても、第1抵抗群RG1は、直列接続された第1抵抗R11及び第2抵抗R12を備えており、第1抵抗R11の一端は、第1出力端子Tout1に接続され、第2抵抗R12の一端は、共通接続点CPに接続されている。
【0063】
同様に第2抵抗群RG2は、直列接続された第1抵抗R21及び第2抵抗R22を備えており、第1抵抗R21の一端は、第2出力端子Tout2に接続され、第2抵抗R22の一端は、共通接続点CPに接続されている。
【0064】
また、第1スイッチSW11及び第2スイッチSW21は、利得制御信号S1に基づいて、同じ動作を行う。すなわち、利得制御信号S1により第1スイッチSW11がオフ状態(開状態)とされる場合には、第2スイッチSW21はオフ状態(開状態)とされる。また、利得制御信号S1により第1スイッチSW11がオン状態(閉状態)とされる場合には、第2スイッチSW21はオン状態(閉状態)とされる。
【0065】
同様に、第3スイッチSW31及び第3スイッチSW32は、利得制御信号S2に基づいて、同じ動作を行う。すなわち、利得制御信号S2により第3スイッチSW31がオフ状態(開状態)とされる場合には、第3スイッチSW32はオフ状態(開状態)とされる。また、利得制御信号S2により第3スイッチSW31がオン状態(閉状態)とされる場合には、第3スイッチSW32はオン状態(閉状態)とされる。
【0066】
この第4実施形態においても、利得は、第1PチャネルMOSトランジスタTR1のゲート端子と第2PチャネルMOSトランジスタTR2のゲート端子と、第1PチャネルMOSトランジスタTR1のドレイン端子あるいは、第2PチャネルMOSトランジスタTR2のドレイン端子に電気的に接続された抵抗の合成抵抗値によって定まる利得となる。
【0067】
以上の説明のように、第4実施形態においても、第1スイッチSW11、第2スイッチSW21、第3スイッチSW31及び第3スイッチSW32によって、利得設定抵抗(第1抵抗群RG1及び第2抵抗群RG2を構成する抵抗R11、R12、R21、R22と利得制御部32Cの抵抗R31、R32、R41、R42のうち、実効的に第1PチャネルMOSトランジスタTR1のゲート端子-ドレイン端子間及び第2PチャネルMOSトランジスタTR2のゲート端子-ドレイン端子間に接続されている抵抗)が切り替わることで利得が変更されるようになっている。
【0068】
図6の構成においても、第1入力端子Tin1及び第2入力端子Tin2が無信号状態の場合には、利得設定抵抗には電流が流れないため、利得を変更したとしても、第1出力端子Tout1及び第2出力端子Tout2からの出力直流電圧が変化することはない。
【0069】
さらに第1出力端子Tout1及び第2出力端子Tout2からの出力直流電圧は、第1実施形態と同様に第1PチャネルMOSトランジスタTR1、第2PチャネルMOSトランジスタTR2のゲートソース間電圧(Vgs)によって定まることとなる。
【0070】
以上の説明のように、本第4実施形態によっても、可変利得IFアンプにおいて、利得を変更した場合でも直流電圧が変化しないので、無線装置10において、受信回路のダイナミックレンジを拡大することが可能となる。
さらに利得を変更した場合でも直流電圧が変化しないので、実際に可変利得IFアンプを用いる場合に、利得可変範囲の制限が緩和され、ひいては広い利得可変範囲を実現することが可能となる。
[5]第5実施形態
図7は、第5実施形態の可変利得IFアンプの概要構成図である。
図7において、図6の第4実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとし、その詳細な説明を援用するものとする。
第4実施形態の可変利得IFアンプ18Dは、大別すると、能動負荷部31と、利得制御部32Dと、電圧電流変換器33と、を備えている。
【0071】
利得制御部32Dが第4実施形態と異なる点は、抵抗R32と抵抗R42との間に、直列にスイッチSW4を設け、スイッチSW4に利得制御信号S1及び利得制御信号S2とは独立な第3の利得制御信号S3が入力されている点である。
【0072】
この第5実施形態においても、利得は、第1PチャネルMOSトランジスタTR1のゲート端子と第2PチャネルMOSトランジスタTR2のゲート端子と、第1PチャネルMOSトランジスタTR1のドレイン端子あるいは、第2PチャネルMOSトランジスタTR2のドレイン端子に電気的に接続された抵抗の合成抵抗値によって定まる利得となる。
【0073】
以上の説明のように、第5実施形態においても、第1スイッチSW11、第2スイッチSW21、第3スイッチSW31、第3スイッチSW32及びスイッチSW4によって、利得設定抵抗(第1抵抗群RG1及び第2抵抗群RG2を構成する抵抗R11、R12、R21、R22と、利得制御部32Dの抵抗R31、R32、R41、R42と、のうち、実効的に第1PチャネルMOSトランジスタTR1のゲート端子-ドレイン端子間及び第2PチャネルMOSトランジスタTR2のゲート端子-ドレイン端子間に接続されている抵抗)が切り替わることで利得が変更されるようになっている。
【0074】
図7の構成においても、第1入力端子Tin1及び第2入力端子Tin2が無信号状態の場合には、利得設定抵抗には電流が流れないため、利得を変更したとしても、第1出力端子Tout1及び第2出力端子Tout2からの出力直流電圧が変化することはない。
【0075】
さらに第1出力端子Tout1及び第2出力端子Tout2からの出力直流電圧は、第1実施形態と同様に第1PチャネルMOSトランジスタTR1、第2PチャネルMOSトランジスタTR2のゲートソース間電圧(Vgs)によって定まることとなる。
【0076】
以上の説明のように、本第5実施形態によっても、可変利得IFアンプにおいて、利得を変更した場合でも直流電圧が変化しないので、無線装置10において、受信回路のダイナミックレンジを拡大することが可能となる。
さらに利得を変更した場合でも直流電圧が変化しないので、実際に可変利得IFアンプを用いる場合に、利得可変範囲の制限が緩和され、ひいては広い利得可変範囲を実現することが可能となる。
【0077】
[6]第6実施形態
図8は、第6実施形態の可変利得IFアンプの概要構成図である。
図8において、図2の第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
第6実施形態の可変利得IFアンプ18Eは、大別すると、能動負荷部31と、利得制御部32Eと、電圧電流変換器33と、を備えている。
【0078】
能動負荷部31は、高電位側電源VHと、第1出力端子Tout1及び第2出力端子Tout2との間に接続され、ゲート端子が共通接続点CPで接続された第1PチャネルMOSトランジスタTR1及び第2PチャネルMOSトランジスタTR2を備えている。
【0079】
利得制御部32Eは、一端が第1出力端子Tout1に接続され、他端がPチャネルMOSトランジスタのゲート端子に接続され、複数の抵抗が直列接続された第1抵抗群RG1と、一端が第2出力端子Tout2に接続され、他端がPチャネルMOSトランジスタのゲート端子に接続され、複数の抵抗が直列接続された第2抵抗群RG2と、第1スイッチSW11、第1スイッチSW12、第1スイッチSW13、第2スイッチSW21、第2スイッチSW22、第2スイッチSW23を備えている。
【0080】
ここで、図8の例においては、第1抵抗群RG1は、直列接続された第1抵抗R11~第3抵抗R13および第4抵抗R14を備えており、第1抵抗R11の一端は、第1出力端子Tout1に接続され、第4抵抗R14の一端は、共通接続点CPに接続されている。
【0081】
同様に第2抵抗群RG2は、直列接続された第1抵抗R21~第3抵抗R23および第4抵抗R24を備えており、第1抵抗R21の一端は、第2出力端子Tout2に接続され、第4抵抗R24の一端は、共通接続点CPに接続されている。
【0082】
また、第1スイッチSW11及び第2スイッチSW21は、利得制御信号S1に基づいて、同じ動作を行う。すなわち、利得制御信号S1により第1スイッチSW11がオフ状態(開状態)とされる場合には、第2スイッチSW21はオフ状態(開状態)とされる。同様に、利得制御信号S1により第1スイッチSW11がオン状態(閉状態)とされる場合には、第2スイッチSW21はオン状態(閉状態)とされる。
【0083】
また、第1スイッチSW12及び第2スイッチSW22は、利得制御信号S2に基づいて、同じ動作を行う。すなわち、利得制御信号S2により第1スイッチSW12がオフ状態(開状態)とされる場合には、第2スイッチSW22はオフ状態(開状態)とされる。同様に、利得制御信号S2により第1スイッチSW12がオン状態(閉状態)とされる場合には、第2スイッチSW22はオン状態(閉状態)とされる。
【0084】
また、第1スイッチSW13及び第2スイッチSW23は、利得制御信号S3に基づいて、同じ動作を行う。すなわち、利得制御信号S3により第1スイッチSW13がオフ状態(開状態)とされる場合には、第2スイッチSW23はオフ状態(開状態)とされる。同様に、利得制御信号S3により第1スイッチSW13がオン状態(閉状態)とされる場合には、第2スイッチSW23はオン状態(閉状態)とされる。
【0085】
ここで、第6実施形態における利得の設定について説明する。
以下の説明においては、理解の容易のため、抵抗値を対応する抵抗の符号で表すものとする。例えば抵抗R11の抵抗値については、「R11」と表記するものとする。また、電圧電流変換器33の変換係数をgmで表すものとする。
【0086】
利得制御信号S1~S3により第1スイッチSW11、第2スイッチSW21、第1スイッチSW12、第2スイッチSW22、第1スイッチSW13、第2スイッチSW23の全てがオフ状態(開状態)の場合の利得Gain0は、次式で表される。
Gain0=gm×(R11+R12+R13+R14
+R24+R23+R22+R21)
【0087】
また、利得制御信号S1により第1スイッチSW11及び第2スイッチSW21のみがオン状態(閉状態)の場合の利得Gain1は、次式で表される。
Gain1=gm×(R11+R12+R13+R23+R22+R21)
【0088】
また、利得制御信号S2により第1スイッチSW12及び第2スイッチSW22がオン状態(閉状態)の場合の利得Gain2は、次式で表される。
Gain2=gm×(R11+R12+R22+R21)
【0089】
また、利得制御信号S3により第1スイッチSW13及び第2スイッチSW23がオン状態(閉状態)の場合の利得Gain3は、次式で表される。
Gain3=gm×(R11+R21)
【0090】
そして、いずれの場合でも、第1入力端子Tin1の入力電圧信号の電圧に対し、利得倍した電圧が第1出力端子Tout1から出力される。
【0091】
同様に第2入力端子Tin2の入力電圧信号の電圧に対し、利得倍した電圧が第2出力端子Tout2から出力される。
【0092】
図8の構成においても、第1入力端子Tin1及び第2入力端子Tin2が無信号状態の場合には、利得設定抵抗には電流が流れないため、利得を変更したとしても、第1出力端子Tout1及び第2出力端子Tout2からの出力直流電圧が変化することはない。
【0093】
さらに第1出力端子Tout1及び第2出力端子Tout2からの出力直流電圧は、第1実施形態と同様に第1PチャネルMOSトランジスタTR1、第2PチャネルMOSトランジスタTR2のゲートソース間電圧(Vgs)によって定まることとなる。
【0094】
以上の説明のように、本第6実施形態によっても、可変利得IFアンプにおいて、利得を変更した場合でも直流電圧が変化しないので、無線装置10において、受信回路のダイナミックレンジを拡大することが可能となる。
さらに利得を変更した場合でも直流電圧が変化しないので、実際に可変利得IFアンプを用いる場合に、利得可変範囲の制限が緩和され、ひいては広い利得可変範囲を実現することが可能となる。
【0095】
[7]実施形態の変形例
以上の説明においては、第1MOSトランジスタ及び第2MOSトランジスタとしてPチャネルMOSトランジスタを用いていたが、電位関係を反転して第1MOSトランジスタ及び第2MOSトランジスタとしてNチャネルMOSトランジスタを用いた構成にすることも可能である。その場合、第1MOSトランジスタ及び第2MOSトランジスタのソース端子は、GNDや定電圧源などの基準電圧源に接続される。
また、以上の説明では、利得を最大4段階で切替可能な場合について説明したが、これに制限されるものではなく、任意数の切替可能な構成とすることができる。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
10 無線装置
11 アンテナ
12 共用器
13 可変利得低雑音アンプ
14 RFバンドパスフィルタ
15 ミキサ
16 第1局部発振器
17 IFフィルタ
18、18A~18E 可変利得IFアンプ
19 第2局部発振器
20 直交復調器
21 ベースバンドフィルタ
22 信号強度検出器
23 信号強度判定器
31 能動負荷部
32、32A~32E 利得制御部
33 電圧電流変換器
41 第1NチャネルMOSトランジスタ
42 第2NチャネルMOSトランジスタ
43 定電流源
CP 共通接続点
GainH 利得
GainL 利得
GainH’ 利得
GainL’ 利得
Gain0~Gain3 利得
R11 第1抵抗
R12 第2抵抗
R13 第3抵抗
R14 第4抵抗
R21 第1抵抗
R22 第2抵抗
R23 第3抵抗
R24 第4抵抗
R31 抵抗
R41 抵抗
R42 抵抗
R3 抵抗
RG1 第1抵抗群
RG2 第2抵抗群
S、S1~S3 利得制御信号
SW11 第1スイッチ
SW12 第1スイッチ
SW13 第1スイッチ
SW21 第2スイッチ
SW22 第2スイッチ
SW23 第2スイッチ
SW3 スイッチ
SW31 第3スイッチ
SW32 第3スイッチ
SW4 スイッチ
Tin1 第1入力端子
Tin2 第2入力端子
Tout1 第1出力端子
Tout2 第2出力端子
TR1 第1PチャネルMOSトランジスタ
TR2 第2PチャネルMOSトランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8