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特開2024-117793ワーク加工装置及びワーク加工装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117793
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ワーク加工装置及びワーク加工装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 27/06 20060101AFI20240822BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240822BHJP
   B24B 49/04 20060101ALI20240822BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240822BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B24B27/06 M
B24B49/12
B24B49/04 Z
H01L21/78 C
H01L21/78 F
G01B11/24 D
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024096626
(22)【出願日】2024-06-14
(62)【分割の表示】P 2019216162の分割
【原出願日】2019-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊行
(72)【発明者】
【氏名】長田 慎司
(72)【発明者】
【氏名】清水 翼
(57)【要約】
【課題】白色干渉計を用いたワークの被加工部の加工品質の測定を短時間で実行可能なワーク加工装置及びワーク加工装置の制御方法を提供する。
【解決手段】加工ヘッド(ブレード22A,22B)及び相対移動機構49を駆動してワークWに被加工部を形成する加工制御部78と、加工ヘッド及び白色干渉計24を一体にテーブルに対して垂直な方向に相対的にステップ走査させる走査制御部85と、白色干渉計24から干渉信号を取得する干渉信号取得部81と、干渉信号の強度がピークとなる白色干渉計24の位置を推定する推定部82と、推定部82の推定結果に基づき、被加工部の加工位置及び加工形状の少なくとも一方を測定する加工品質測定部83と、を備え、加工制御部78が、第1溝を形成する第1加工処理と、第1溝の底部に第2溝を形成する第2加工処理とを実行する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状のワークを保持するテーブルと、
前記テーブルに保持された前記ワークの加工を行う加工ヘッドと、
前記テーブルに対して前記加工ヘッドを相対移動させる相対移動機構と、
前記加工ヘッド及び前記相対移動機構を駆動して、前記加工ヘッドにより前記ワークに被加工部を形成する加工制御部と、
前記加工ヘッドと一体に設けられた白色干渉計であって、前記ワークに形成されている前記被加工部に向けて白色光を出射し且つ前記被加工部で反射された前記白色光と参照面で反射された前記白色光との干渉信号を画素ごとに検出する白色干渉計と、
前記相対移動機構を駆動して、前記加工ヘッド及び前記白色干渉計を一体に前記テーブルに対して垂直な方向に相対的に走査させて、前記被加工部で反射される前記白色光の光路長を変化させる走査制御部と、
前記被加工部に対して前記白色光を照射可能な位置で前記白色干渉計及び前記走査制御部を作動させる測定制御部と、
前記走査中に間欠的に前記白色干渉計から前記画素ごとの前記干渉信号を取得する干渉信号取得部と、
前記干渉信号取得部が取得した前記画素ごとの前記干渉信号に基づき、前記干渉信号の強度がピークとなる前記白色干渉計の位置を前記画素ごとに推定する推定部と、
前記推定部の推定結果に基づき、前記被加工部の加工品質として、前記被加工部の加工位置及び加工形状の少なくともいずれか一方を測定する加工品質測定部と、
を備え、
前記加工ヘッドとして第1加工ヘッド及び第2加工ヘッドを有し、
前記加工制御部が、
前記相対移動機構及び前記第1加工ヘッドを駆動して、前記被加工部として第1溝を前記ワークに形成する第1加工処理と、
前記相対移動機構及び前記第2加工ヘッドを駆動して、前記被加工部として前記第1溝の底部に第2溝を形成して前記ワークを切断する第2加工処理と、
を実行するワーク加工装置。
【請求項2】
前記測定制御部が、前記加工ヘッドにより形成された前記被加工部の既知の位置に基づき、前記相対移動機構を駆動して前記被加工部に前記白色光を照射可能な位置に前記白色干渉計を相対移動させる請求項1に記載のワーク加工装置。
【請求項3】
前記加工品質測定部の測定結果に基づき、前記被加工部の前記加工位置及び前記加工形状の少なくともいずれか一方を補正する補正値を決定する補正値決定部を備え、
前記加工制御部が、前記補正値決定部が決定した前記補正値に基づき、前記加工ヘッド及び前記相対移動機構を駆動して前記ワークに前記被加工部を形成する請求項1又は2に記載のワーク加工装置。
【請求項4】
前記加工ヘッドが、回転する円盤状のブレードにより前記ワークを切削加工する請求項1から3のいずれか1項に記載のワーク加工装置。
【請求項5】
前記加工ヘッドが、回転する円盤状のブレードにより前記ワークを切削加工し、
前記加工品質測定部が、前記加工品質として、前記被加工部の断面形状を測定し、
前記加工品質測定部による前記断面形状の測定結果に基づき、前記ブレードの先端形状を測定するブレード形状測定部を備える請求項1から3のいずれか1項に記載のワーク加工装置。
【請求項6】
テーブルに保持された平板状のワークの加工を行う加工ヘッドと、前記テーブルに対して前記加工ヘッドを相対移動させる相対移動機構とを駆動して、前記加工ヘッドにより前記ワークに被加工部を形成する加工制御工程と、
前記被加工部に向けて白色光を出射し且つ前記被加工部で反射された前記白色光と参照面で反射された前記白色光との干渉信号を画素ごとに検出する白色干渉計を、前記加工ヘッドと一体に前記テーブルに対して垂直な方向に沿って相対的に走査させて、前記被加工部で反射される前記白色光の光路長を変化させる走査制御工程と、
前記走査中に間欠的に前記白色干渉計から前記画素ごとの前記干渉信号を取得する干渉信号取得工程と、
前記干渉信号取得工程で取得した前記画素ごとの前記干渉信号に基づき、前記干渉信号の強度がピークとなる前記白色干渉計の位置を前記画素ごとに推定する推定工程と、
前記推定工程での推定結果に基づき、前記被加工部の加工品質として、前記被加工部の加工位置及び加工形状の少なくともいずれか一方を測定する加工品質測定工程と、
を有し、
前記加工ヘッドとして第1加工ヘッド及び第2加工ヘッドを有する場合に、前記加工制御工程では、
前記相対移動機構及び前記第1加工ヘッドを駆動して、前記被加工部として第1溝を前記ワークに形成する第1加工処理と、
前記相対移動機構及び前記第2加工ヘッドを駆動して、前記被加工部として前記第1溝の底部に第2溝を形成して前記ワークを切断する第2加工処理と、
を実行するワーク加工装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの加工を行うワーク加工装置及びワーク加工装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スピンドルによって高速に回転される円盤状のブレードによってウェーハ等のワークを切削加工するダイシング装置(ワーク加工装置)が知られている。また、ダイシング装置として、ブレードが装着されるスピンドルを2本備えたツインスピンドルダイサが知られている。そして、このツインスピンドルダイサによりワークを切削又は切断する方式としてミーティング切削方式とステップカット方式とが知られている。
【0003】
ミーティング切削方式は、2枚のブレードによって一度に2本のストリートを切断する方式である。また、ステップカット方式は、第1ブレードでストリートに沿って所定深さの溝を切削し、その後、第2ブレードでその第溝の底部を切削することにより、ウェーハをストリートに沿って切断する方式である。
【0004】
このようなダイシング装置のブレードは使用により磨耗するため、ブレードによるワークの切断面にチッピングが生じる場合がある。また、ブレードの熱変形の影響を受けて、ブレードによりワークに形成された溝(カーフ)の位置がストリートの中心からずれる場合がある。このためダイシング装置では、予め設定されたタイミングでブレードのカーフチェックを実施している。
【0005】
例えば、特許文献1及び特許文献2に記載のダイシング装置では、ブレードによりワークに形成された溝をカメラ(アライメント用の顕微鏡等)で撮影し、このカメラの撮影画像に基づき溝のカーフ位置、カーフ幅、及びチッピングの有無等を測定している。
【0006】
また、特許文献3及び特許文献4に記載のレーザ加工機は、ワークに形成されている被加工部に向けて白色光を出射し且つ被加工部で反射された白色光と参照面で反射された白色光との干渉信号を検出する白色干渉計を備える。このレーザ加工機は、白色干渉計をZ軸方向に垂直走査し、Z軸方向の各位置で白色干渉計の各画素(干渉信号を撮像する撮像素子の画素)から出力される干渉信号を取得する。そして、このレーザ加工機は、干渉信号の強度がピークとなる白色干渉計のZ軸方向位置を画素ごとに検出した検出結果に基づき、ワークの3次元画像を生成することで、被加工部の加工状態を検証している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-165826号公報
【特許文献2】特開2001-129822号公報
【特許文献3】特開2015-099026号公報
【特許文献4】特開2015-38438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1及び特許文献2のダイシング装置では、顕微鏡により溝を撮影しているが、この溝の撮影画像は溝をワークの上面側から見た2次元画像であるので、溝の撮影画像に基づき溝の深さ及び断面形状等を検出することができない。また、このダイシング装置で既述のステップカット方式の切削加工を行った場合には、第2ブレードにより形成された溝が第1ブレードにより形成された溝と重なる。このため、顕微鏡の撮影画像に基づき第2ブレードにより形成された溝の加工品質(カーフ位置及びカーフ幅等)を確認することが困難である。
【0009】
そこで、ワークの未切削箇所を第1ブレードによって切削加工すると共に、ワークの別の未切削箇所を第2ブレードによって切削加工し、各ブレードにより形成された2本の溝をカメラでそれぞれ撮影した撮影画像に基づき、各ブレードのカーフチェックを行うステップカーフチェックが知られている(上記特許文献2参照)。この場合には、顕微鏡の撮影画像に基づき第2ブレードにより形成された溝の加工品質を確認可能である。
【0010】
しかしながら、この方法では第2ブレードでワークの未切削箇所を切削加工する必要があるが、第2ブレードは第1ブレードよりも厚みが薄いので第2ブレードで未切削箇所を切削加工すると、この第2ブレードへの負荷が大きくなる。また、ステップカット時とカーフチェック時とにおいて第2ブレードによるワークの加工条件が異なるため、例えばカーフチェック時には第2ブレードがよれることでステップカット時とは異なる位置に溝が形成される可能性がある。すなわち、ステップカット時とカーフチェック時とにおいて同一位置に溝が形成されない可能性があり、その結果、ステップカット時の溝の加工品質を正確に測定することができない可能性がある。
【0011】
一方、特許文献3及び特許文献4に記載のレーザ加工機では、白色干渉計をZ軸方向に垂直走査し、Z軸方向の各位置で白色干渉計から出力される干渉信号に基づき溝の深さ及び断面形状を測定するため、上記特許文献1及び特許文献2のダイシング装置で説明した課題は発生しない。
【0012】
しかしながら、特許文献3及び特許文献4に記載のように白色干渉計を垂直走査して、白色干渉計の画素ごとに干渉信号の強度がピークとなる白色干渉計のZ軸方向位置(以下、ピーク位置)を検出する場合には、画素ごとのピーク位置を確実に検出できるような高サンプリングレート(細かいピッチ)で白色干渉計から干渉信号を取得する必要がある。また、白色干渉計を用いて溝の断面形状等を測定する場合には、一般的な各種測定対象物の表面粗さ測定を行う場合よりも垂直走査の移動範囲(移動量)を増加させる必要がある。このため、既述のような高サンプリングレートで干渉信号の検出を行うと、溝の断面形状の測定に著しく時間がかかるという問題が発生する。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、白色干渉計を用いたワークの被加工部の加工品質の測定を短時間で実行可能なワーク加工装置及びワーク加工装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的を達成するためのワーク加工装置は、平板状のワークを保持するテーブルと、テーブルに保持されたワークの加工を行う加工ヘッドと、テーブルに対して加工ヘッドを相対移動させる相対移動機構と、加工ヘッドと一体に設けられた白色干渉計であって、ワークに形成されている被加工部に向けて白色光を出射し且つ被加工部で反射された白色光と参照面で反射された白色光との干渉信号を画素ごとに検出する白色干渉計と、相対移動機構を駆動して、加工ヘッド及び白色干渉計を一体にテーブルに対して垂直な方向に相対的にステップ走査させる走査制御部と、ステップ走査のステップごとに白色干渉計から画素ごとの干渉信号を取得する干渉信号取得部と、干渉信号取得部がステップごとに取得した画素ごとの干渉信号に基づき、干渉信号の強度がピークとなる白色干渉計の位置を画素ごとに推定する推定部と、を備える。
【0015】
このワーク加工装置によれば、ステップ走査のステップごとに白色干渉計からその画素ごとに取得した干渉信号に基づき、干渉信号の強度がピークとなる白色干渉計の位置を画素ごとに推定することができるので、高サンプリングレート(細かいピッチ)で白色干渉計を垂直走査する必要がなくなる。
【0016】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置において、走査制御部が、ステップ走査のステップ幅を調整する機能を有する。これにより、被加工部の種類などに応じてステップ幅(ステップ数)を調整することができる。
【0017】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置において、ステップ走査の走査範囲が、被加工部の部位に応じて複数の走査範囲に分けられており、走査制御部が、走査範囲ごとに定められたステップ幅に基づき、走査範囲ごとにステップ走査のステップ幅を調整する。これにより、被加工部の加工品質の測定に重要な部分では白色干渉計のステップ走査を高サンプリングレートで実行し、且つ加工品質の測定にあまり影響を及ぼさない部分については白色干渉計のステップ走査を低サンプリングレートで実行することができる。その結果、被加工部の加工品質の測定を短時間で且つ精度良く行うことができる。
【0018】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置において、推定部の推定結果に基づき、被加工部の加工品質を測定する加工品質測定部を備える。白色干渉計をステップ走査させることで、白色干渉計を用いたワークの被加工部の加工品質の測定を短時間で実行することができる。
【0019】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置において、加工ヘッド及び相対移動機構を駆動して、加工ヘッドによりワークに被加工部を形成する加工制御部と、被加工部に対して白色光を照射可能な位置で白色干渉計及び走査制御部を作動させる測定制御部と、を備え、加工品質測定部が、加工品質として、被加工部の加工位置及び加工形状の少なくともいずれか一方を測定する。これにより、加工ヘッドにより形成された被加工部の加工品質の測定を短時間で実行することができる。
【0020】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置において、測定制御部が、加工ヘッドにより形成された被加工部の既知の位置に基づき、相対移動機構を駆動して被加工部に白色光を照射可能な位置に白色干渉計を相対移動させる。これにより、被加工部のサーチを行うことなく、被加工部に対する白色干渉計の位置調整を速やかに実行することができる。
【0021】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置において、加工品質測定部の測定結果に基づき、被加工部の加工位置及び加工形状の少なくともいずれか一方を補正する補正値を決定する補正値決定部を備え、加工制御部が、補正値決定部が決定した補正値に基づき、加工ヘッド及び相対移動機構を駆動してワークに被加工部を形成する。これにより、被加工部の加工精度をより向上させることができる。
【0022】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置において、加工ヘッドが、回転する円盤状のブレードによりワークを切削加工する。
【0023】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置において、加工ヘッドが、回転する円盤状のブレードによりワークを切削加工し、加工品質測定部が、加工品質として、被加工部の断面形状を測定し、加工品質測定部による断面形状の測定結果に基づき、ブレードの先端形状を測定するブレード形状測定部を備える。これにより、ブレードの先端形状の測定を短時間で実行することができる。
【0024】
本発明の目的を達成するためのワーク加工装置の制御方法は、テーブルに保持された平板状のワークに形成されている被加工部に向けて白色光を出射し且つ被加工部で反射された白色光と参照面で反射された白色光との干渉信号を画素ごとに検出する白色干渉計を、ワークの加工を行う加工ヘッドと一体にテーブルに対して垂直な方向に沿って相対的にステップ走査させる走査制御工程と、ステップ走査のステップごとに白色干渉計から画素ごとの干渉信号を取得する干渉信号取得工程と、干渉信号取得工程でステップごとに取得した画素ごとの干渉信号に基づき、干渉信号の強度がピークとなる白色干渉計の位置を画素ごとに推定する推定工程と、を有する。
【0025】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置の制御方法において、推定工程での推定結果に基づき、被加工部の加工品質を測定する加工品質測定工程を有する。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、白色干渉計を用いたワークの被加工部の加工品質の測定を短時間で実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態のダイシング装置の斜視図である。
図2】加工部の外観斜視図である。
図3図2に示した白色干渉計の拡大正面図である。
図4】白色干渉計の断面図である。
図5】第1実施形態のダイシング装置の統括制御部の機能ブロック図である。
図6】ミーティング切削方式を説明するための説明図である。
図7】ステップカット方式を説明するための説明図である。
図8】ステップカット方式で切削されたワークの一部の断面図である。
図9】白色干渉計のZ軸方向のステップ走査を説明するための説明図である。
図10】推定部による白色干渉計のピーク位置の推定処理を説明するための説明図である。
図11】加工品質測定部による溝の三次元形状の形状測定を説明するための説明図である。
図12】加工品質測定部による溝のY軸方向に沿った断面形状の形状測定を説明するための説明図である。
図13】ステップカット方式で形成された溝のカーフチェック、すなわちワーク内での溝の加工位置の測定例を説明するための説明図である。
図14】第1実施形態のダイシング装置によるワークの切削加工処理の流れ、特に溝の加工品質(加工位置)の測定処理の流れを示すフローチャートである。
図15】第2実施形態のダイシング装置によるワークの切削加工及び不図示の研削(研磨)装置によるワークの裏面研削を説明するための説明図である。
図16】第2実施形態の加工品質測定部によるハーフカット溝のY軸方向に沿った断面形状の形状測定を説明するための説明図である。
図17】第3実施形態のダイシング装置の統括制御部の機能ブロック図である。
図18】第3実施形態の加工品質測定部によるハーフカット溝の断面形状の形状測定を説明するための説明図である。
図19】第3実施形態のダイシング装置によるブレードの先端形状の測定処理の流れを示すフローチャートである。
図20】第4実施形態のダイシング装置による白色干渉計のステップ走査について説明するための説明図である。
図21図20中の溝の拡大図であって且つ第4実施形態のステップ走査のステップごとの測定光の基準集光点の位置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のダイシング装置10の斜視図である。なお、図中のXYZ軸は互いに直交する軸であり、XY軸が水平方向に平行な軸であり、Z軸が水平方向に直交する軸である。
【0029】
ダイシング装置10は、本発明のワーク加工装置に相当するものであり、半導体ウェーハ等の平板状のワークWを切削加工する。このダイシング装置10は、ロードポート12と搬送機構14と加工部16と洗浄部18とを備える。
【0030】
ロードポート12には、フレームFにマウントされたワークWを多数枚収納したカセットが載置される。搬送機構14はワークWを搬送する。加工部16はワークWのダイシング加工を行う。洗浄部18はダイシング加工済みのワークWをスピン洗浄する。また、ダイシング装置10の筐体10Aの内部には、ダイシング装置10の各部の動作を制御する統括制御部60(図5参照)等が設けられている。なお、統括制御部60が筐体10Aの外部に設けられていてもよい。
【0031】
ロードポート12に載置されたカセット内に収納されている未加工(未切削)のワークWは、搬送機構14により加工部16に搬送され、個々のチップに分断するために加工部16にて切断あるいは溝入れ加工等の切削加工が施される。そして、加工部16による加工済みのワークWは搬送機構14により洗浄部18に搬送され、洗浄部18により洗浄された後、搬送機構14によりロードポート12に搬送されてカセット内に収納される。
【0032】
図2は、加工部16の外観斜視図である。図2及び既述の図1に示すように、加工部16は、既述のツインスピンドルダイサであり、一対のブレード21A,21Bと、ブレードカバー(不図示)と、一対のスピンドル22A,22Bと、顕微鏡23と、白色干渉計24と、テーブル31と、を備える。
【0033】
ブレード21A,21Bは円盤状に形成されている。また、ブレード21A,21Bの先端形状、すなわちブレード21A,21Bの径方向に沿ったブレード外周部(刃先部)の断面形状は矩形状(V字形状等の他の形状でも可)である。ブレード21A,21Bは、Y軸方向において対向配置されており、それぞれY軸方向に平行なブレード回転軸を中心として回転自在にスピンドル22A,22Bに保持されている。
【0034】
スピンドル22A,22Bは、高周波モータを内蔵しており、ブレード回転軸を中心としてブレード21A,21Bを高速回転させる。これにより、ブレード21A,21BによりワークWがそのおもて面側から切削加工される。このため、ブレード21A及びスピンドル22Aと、ブレード21B及びスピンドル22Bと、はそれぞれ本発明の加工ヘッドに相当する。
【0035】
ブレード21AによるワークWの切削加工によって本発明の被加工部に相当する溝25A(図6及び図7参照)がワークWに形成される。また、ブレード21BによるワークWの切削加工によって本発明の被加工部に相当する溝25B(図6及び図7参照)がワークWに形成される。
【0036】
顕微鏡23は、スピンドル22Aと一体にZキャリッジ44に設けられており、Yキャリッジ43及びZキャリッジ44によってスピンドル22Aと一体にYZ軸方向に移動自在に保持されている。顕微鏡23は、図示は省略するが撮影光学系と撮像素子とを有する撮影装置[例えばCOMS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ]である。なお、顕微鏡23が撮影倍率の異なる高倍率顕微鏡及び低倍率顕微鏡で構成されていてもよい。顕微鏡23は、ワークWの切削加工時にはワークWのおもて面を撮影する。この顕微鏡23によるワークWの撮影画像は、ワークWとブレード21A,21Bとのアライメントに用いられる。
【0037】
図3は、図2に示した白色干渉計24の拡大正面図である。図3及び既述の図2に示すように、白色干渉計24は、スピンドル22Bと一体にZキャリッジ44に設けられており、Yキャリッジ43及びZキャリッジ44によってYZ軸方向に移動自在に保持されている。白色干渉計24は、ブレード21A,21BによりワークWに形成された溝25A,25B(図6及び図7参照)の加工品質の測定に用いられる。また、白色干渉計24は、この加工品質の測定時においてZキャリッジ44を介してテーブル31(ワークW)に垂直なZ軸方向に垂直走査、より具体的にはステップ走査される。
【0038】
テーブル31は、ポーラス状(多孔質状)に形成されたワーク保持面31aを有しており、このワーク保持面31aによりワークWをその裏面側から吸着保持する。なお、テーブル31は、後述のXキャリッジ36によりX軸方向に移動自在に保持され、且つ後述の回転ユニット37により回転軸CAを中心として回転自在に保持されている。
【0039】
加工部16には、Xベース32と、Xガイド34と、X駆動部35と、Xキャリッジ36と、回転ユニット37と、が設けられている。Xベース32は、X軸方向に延びた平板形状を有しており、且つそのZ軸方向の上面にはXガイド34が設けられている。Xガイド34は、X軸方向に延びた形状を有し、Xキャリッジ36をX軸方向に沿ってガイドする。X駆動部35は、例えばリニアモータ等のアクチュエータが用いられ、Xガイド34に沿ってXキャリッジ36をX軸方向に移動(駆動)する。
【0040】
回転ユニット37は、Xキャリッジ36の上面に設けられている。また、回転ユニット37の上面には、テーブル31が設けられている。回転ユニット37は、モータ及びギヤ等により構成される回転駆動部38(図5参照)によって回転駆動される。これにより、回転ユニット37は、テーブル31をその回転軸CAを中心としてθ方向に回転させる。
【0041】
搬送機構14によりロードポート12から搬送されたワークWは、テーブル31により吸着保持されることで、テーブル31と一体に移動及び回転する。
【0042】
また、加工部16には、Yベース41と、Yガイド42と、一対のYキャリッジ43と、一対のZキャリッジ44と、が設けられている。Yベース41は、Y軸方向においてXベース32を跨ぐような門型形状を有している。このYベース41のX軸方向の側面には、Yガイド42が設けられている。Yガイド42は、Y軸方向に延びた形状を有し、一対のYキャリッジ43をそれぞれY軸方向に沿ってガイドする。一対のYキャリッジ43は、例えばステッピングモータ及びボールスクリュー等により構成されるアクチュエータであるY駆動部46(図5参照)により、Yガイド42に沿って独立して駆動される。
【0043】
一対のYキャリッジ43の各々には、ステッピングモータ等のアクチュエータにより構成されるZ駆動部48(図5参照)を介して、Zキャリッジ44がZ軸方向に移動自在に設けられている。そして、Zキャリッジ44の一方にはスピンドル22A及び顕微鏡23が設けられ、且つZキャリッジ44の他方にはスピンドル22B及び白色干渉計24が設けられている。
【0044】
Xキャリッジ36、回転ユニット37、各Yキャリッジ43、及び各Zキャリッジ44を駆動することで、テーブル31及びワークWに対してブレード21A,21B、顕微鏡23、及び白色干渉計24をXYZ軸方向及びθ方向に相対移動させることができる。
【0045】
図4は、白色干渉計24の断面図である。図4に示すように、白色干渉計24は、所謂ミラウ型白色干渉計であり、ハウジング50と、白色光源51と、第1ビームスプリッタ52と、対物レンズ53と、ガラスプレート54と、第2ビームスプリッタ55と、撮像ユニット56と、を備える。
【0046】
ハウジング50は、第1ビームスプリッタ52と、対物レンズ53と、ガラスプレート54と、第2ビームスプリッタ55と、を収納する。このハウジング50内において、Z軸方向の下方側から上方側に向かって第2ビームスプリッタ55、ガラスプレート54、対物レンズ53、及び第1ビームスプリッタ52が設けられている。また、ハウジング50の側面で且つ第1ビームスプリッタ52の側方側には、白色光源51が取り付けられている。さらに、ハウジング50の上面で且つ第1ビームスプリッタ52の上方側には、撮像ユニット56が取り付けられている。
【0047】
白色光源51は、白色干渉計24が1ステップ走査(複数回でも可)される間、第1ビームスプリッタ52に向けて白色光L1(可視光線の各波長域の光が混ざった光)を出射する。第1ビームスプリッタ52は、白色光源51から入射した白色光L1の一部を対物レンズ53に向けて反射する。また、第1ビームスプリッタ52は、対物レンズ53から入射した干渉信号L4の一部を透過してこの一部を撮像ユニット56に向けて出射する。
【0048】
対物レンズ53は、第1ビームスプリッタ52から入射した白色光L1をワークWの集光点Pに集光させる。集光点P(集光スポット)の直径については特に限定はされない。
【0049】
ガラスプレート54は、その中央部に参照面として機能するミラー54aを備える。ガラスプレート54(ミラー54aを除く)は、対物レンズ53から入射した白色光L1をそのまま透過して第2ビームスプリッタ55に向けて出射する。
【0050】
第2ビームスプリッタ55は、対物レンズ53によって集光された白色光L1を測定光L2と参照光L3とに分割し、測定光L2を透過してワークWに照射すると共に参照光L3をミラー54aに向けて反射する。ワークWに照射された測定光L2は、ワークWにて反射されて第2ビームスプリッタ55に入射する。また、ミラー54aで反射された参照光L3は、第2ビームスプリッタ55に入射し且つこの第2ビームスプリッタ55にてその一部が反射される。これにより、測定光L2と参照光L3との干渉信号L4(干渉光)が生成される。この干渉信号L4は、ガラスプレート54、対物レンズ53、及び第1ビームスプリッタ52を経て撮像ユニット56に入射する。
【0051】
参照光L3の光路長は一定であるが、測定光L2の光路長は白色干渉計24の垂直走査に応じて変化する。なお、公知のように、測定光L2及び参照光L3の光路長差がゼロ(ほぼゼロを含む)となる場合に、可視光線の全ての波長域における測定光L2及び参照光L3の干渉が強め合うため、干渉信号L4の信号強度が最大となる(例えば特開2017-106860号公報参照)。
【0052】
撮像ユニット56は、複数の画素(受光素子)がXY軸方向に2次元配列されたCCD(Charge Coupled Device)型又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の2次元撮像素子を備える。この撮像ユニット56は、白色干渉計24が1垂直走査(複数回でも可)される間、第1ビームスプリッタ52から入射した干渉信号L4を画素ごとに撮像することで、画素ごとに干渉信号L4を検出(取得)して画素ごとの干渉信号L4を統括制御部60(図5参照)へ出力する。
【0053】
[統括制御部の機能]
図5は、第1実施形態のダイシング装置10の統括制御部60の機能ブロック図である。図5に示すように、統括制御部60は、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成された演算回路を備える。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、統括制御部60の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
【0054】
統括制御部60には、既述のスピンドル22A,22B、顕微鏡23、白色干渉計24、X駆動部35、回転駆動部38、Y駆動部46、及びZ駆動部48などの他に、操作部62、記憶部64、及び表示部66等が接続されている。
【0055】
操作部62は、キーボード、マウス、操作パネル、及び操作ボタン等が用いられ、オペレータによる各種操作の入力を受け付ける。記憶部64は、ダイシング装置10の制御プログラム(図示は省略)を記憶すると共に、後述の加工品質測定部83による測定結果等を記憶する。表示部66は、例えば液晶ディスプレイ等の公知の各種モニタが用いられる。この表示部66は、加工品質測定部83による測定結果、及びダイシング装置10の各種の設定画面などを表示する。
【0056】
統括制御部60は、記憶部64に記憶されている不図示の制御プログラムを実行することで、ブレード駆動制御部70、移動制御部72、撮影制御部74、検出制御部76、加工制御部78、測定制御部80、干渉信号取得部81、推定部82、加工品質測定部83、及び補正値決定部84として機能する。なお、統括制御部60の「~部」として説明するものは「~回路」、「~装置」、又は「~機器」であってもよい。すなわち、「~部」として説明するものは、ファームウェア、ソフトウェア、及びハードウェアまたはこれらの組み合わせのいずれで構成されていてもよい。
【0057】
ブレード駆動制御部70は、スピンドル22A,22Bによるブレード21A,21Bの回転駆動を制御する。
【0058】
移動制御部72は、X駆動部35(Xキャリッジ36)、回転駆動部38(回転ユニット37)、Y駆動部46(Yキャリッジ43)、及びZ駆動部48(Zキャリッジ44)を含む相対移動機構49を駆動することで、テーブル31及びワークWに対してブレード21A,21B、顕微鏡23、及び白色干渉計24を相対移動させる。
【0059】
例えば移動制御部72は、ワークWとブレード21A,21Bとのアライメント前には、相対移動機構49を駆動して、ワークWの所定のアライメント基準を撮影可能な位置への顕微鏡23の位置調整を実行させる。ここでいうアライメント基準とは、ダイシング装置10がワークWのストリートC(図6等参照、分割予定ラインともいう)の位置を認識するための基準であり、例えば認識マーク等が用いられる。
【0060】
また、移動制御部72は、ワークWとブレード21A,21Bとのアライメント実行時には、相対移動機構49を駆動して、ブレード21A,21BとワークWの加工開始位置との位置合わせを実行させる。
【0061】
さらに、移動制御部72は、ブレード21A,21BによるワークWの切削加工時には、相対移動機構49を駆動して、ワークWのX方向への切削送りと、ブレード21A,21BのY軸方向のインデックス送り及びZ軸方向の切込み送りと、を実行させる。
【0062】
さらにまた、移動制御部72は、ブレード21A,21BによりワークWに形成された溝25A,25B(図6及び図7参照)の加工品質の測定時には、後述の測定制御部80の制御の下、相対移動機構49を駆動して白色干渉計24の位置調整を実行すると共に、走査制御部85として機能する。この走査制御部85は、測定制御部80の制御の下、白色干渉計24のZ軸方向のステップ走査を実行する。
【0063】
撮影制御部74は、顕微鏡23によるワークWの撮影を制御する。この撮影制御部74は、既述の顕微鏡23の位置調整後に、顕微鏡23によるワークWの撮影を実行させる。これにより、顕微鏡23からワークWの撮影画像が検出制御部76へ出力される。
【0064】
検出制御部76は、顕微鏡23から入力されたワークWの撮影画像に基づき、この撮影画像内のアライメント基準を公知の画像認識法で検出することにより、ワークWのストリートC(図6及び図7参照)の位置を検出するアライメント検出を行う。そして、検出制御部76は、アライメント検出結果を加工制御部78へ出力する。
【0065】
加工制御部78は、検出制御部76によるアライメント検出結果に基づき、ブレード駆動制御部70及び移動制御部72を介してスピンドル22A,22B及び相対移動機構49を駆動して、ワークWのストリートC(図6参照)ごとにブレード21A,21Bによる切削加工を行う。ここで、本実施形態のダイシング装置10は所謂ツインスピンドルダイサであるので、加工制御部78は、ワークWの切削方式として例えばミーティング切削方式及びステップカット方式を選択的に実行する。なお、切削方式の選択は操作部62にて実行される。
【0066】
図6は、ミーティング切削方式を説明するための説明図である。図6に示すように、ミーティング切削方式では、スピンドル22A,22Bに同形状(同一の厚み)のブレード21A,21Bが装着される。加工制御部78は、検出制御部76によるアライメント検出結果に基づき、ブレード駆動制御部70及び移動制御部72を介してスピンドル22A,22B及び相対移動機構49を駆動して、2本のストリートCごとに同時加工処理を繰り返し実行する。
【0067】
同時加工処理は、同形状の2枚のブレード21A,21Bにより一度に2本のストリートCを切削加工して、ブレード21Aによる溝25Aの形成とブレード21Bによる溝25Bの形成とを同時に行う処理である。なお、ミーティング切削方式で形成される溝25A,25Bは互いに略同形状の所謂フルカット溝である。ミーティング切削方式では、ワークWの切削加工範囲を2つに分けてそれぞれの範囲を互いに異なるブレード21A,21Bに分担させることができるので、ワークWの加工時間を短縮させることができる。
【0068】
図7は、ステップカット方式を説明するための説明図である。図8は、ステップカット方式で切削されたワークWの一部の断面図である。図7及び図8に示すように、ステップカット方式は、ワークWが、シリコン等の基板の表面に低誘電率絶縁体被膜(Low-k膜)と回路を形成する機能膜とを積層した積層体である場合に選択される。このステップカット方式では、スピンドル22A,22Bに厚みの異なるブレード21A,21B(同形状のブレード21A,21Bでも可)が装着される。そして、ステップカット方式では、ブレード21A,21BによりストリートCごとに溝25A,25Bを形成する。
【0069】
具体的には加工制御部78は、検出制御部76によるアライメント検出結果に基づき、ブレード駆動制御部70及び移動制御部72を介してスピンドル22A,22B及び相対移動機構49をそれぞれ駆動して、ストリートCごとに第1加工処理及び第2加工処理を繰り返し実行する。
【0070】
第1加工処理は、例えば幅50μm前後の幅広のブレード21AによりストリートCを切削加工して、このストリートCに沿って所定の深さの溝25A(本発明第1溝に相当)を形成する処理である。溝25Aは、ステップカット方式では所謂ハーフカット溝となる。これにより、ストリートC上のLow-k膜等が除去される。
【0071】
第2加工処理は、例えば幅30μm前後の狭幅のブレード21Bで溝25Aの底部を切削して溝25Bを形成する処理である。溝25Bは、ステップカット方式では溝25Aよりも狭幅の所謂フルカット溝となる。これにより、ワークWがストリートCに沿って分割される。
【0072】
測定制御部80は、ブレード21A,21BによりワークWに形成された溝25A,25Bの加工品質の測定時に、移動制御部72(走査制御部85)、白色干渉計24、及び干渉信号取得部81を作動させる。
【0073】
測定制御部80は、既述のステップカット方式が選択された場合には、最初に移動制御部72を介して相対移動機構49を駆動して、ワークWの同一のストリートCに沿った測定対象の溝25A,25Bに対して測定光L2を照射可能な位置に白色干渉計24を相対移動させる位置調整を実行する。ここで、ブレード21A,21BによりワークWに形成された溝25A,25Bの位置は既知である。このため、測定制御部80は、既知の溝25A,25Bの位置に基づき、相対移動機構49を駆動して溝25A,25Bに対する白色干渉計24の位置調整を行う。これにより、溝25A,25Bをサーチする手間が省略される。なお、白色干渉計24から出射される測定光L2のスポット径が十分に大きい等の理由で、白色干渉計24の位置調整を実行しなくとも測定光L2の照射範囲内(スポット内)に溝25A,25Bが存在している場合にはこの位置調整を省略してもよい。
【0074】
次いで、測定制御部80は、走査制御部85及び白色干渉計24を作動させて白色干渉計24のZ軸方向のステップ走査を開始させる。
【0075】
図9は、白色干渉計24のZ軸方向のステップ走査を説明するための説明図である。なお、図9では、各部を明確にするため、白色干渉計24、溝25A,25B、及びステップ幅d等の相互の大きさの比率は無視して一部誇張して表示している(他の図も同様)。また、図9中の符号FPは、測定光L2及び参照光L3の光路長差がゼロ(ほぼゼロを含む)となる測定光L2の集光点Pである基準集光点、すなわち干渉信号L4の信号強度が最大となる測定光L2の基準集光点である。
【0076】
図9の符号IXA~IXD及び既述の図5に示すように、走査制御部85は、測定制御部80の制御の下、相対移動機構49(Z駆動部48)を駆動して、白色干渉計24をZ軸方向に沿ってステップ走査させる。
【0077】
具体的には走査制御部85は、予め定められた走査範囲及びステップ幅d(サンプリング数、サンプリングレートともいう)に基づき、相対移動機構49を駆動して、走査範囲内で白色干渉計24をステップ幅dだけZ軸方向に移動させるステップ移動を繰り返し実行する。これにより、白色干渉計24の測定光L2の基準集光点FPをZ軸方向に沿ってステップ走査(ステップ移動)させることができる。なお、ステップ走査のステップ幅dとステップ数との間には相関関係があるので、ステップ幅dを定めることにはステップ数を定めることも含まれる。
【0078】
ここで、溝25A,25Bの加工形状(加工深さ)の設計値及びワークWの厚みは既知であるので、ワークWのおもて面及び溝25A,25Bの底面のZ軸方向位置(設計値)についても既知である。このため、白色干渉計24のステップ走査を実行する際に、基準集光点FPがワークWのおもて面から溝25A,25Bの底面までの範囲を走査可能なステップ走査の走査範囲及びステップ幅d(ステップ数)については予め決定可能である。そして、この走査範囲及びステップ幅dの決定結果は、例えば操作部62或いは外部入力インタフェース(図示は省略)を介して走査制御部85に設定される。これにより、走査制御部85は、ステップ走査の走査範囲及びステップ幅dを調整することができる。
【0079】
また同時に、測定制御部80は、白色干渉計24のステップ走査のステップ(サンプリング点又は測定点ともいう)ごとに白色干渉計24を作動、すなわち白色光源51及び撮像ユニット56を作動させる。これにより、ステップ走査のステップごと白色干渉計24から溝25A,25Bに対して測定光L2が照射されると共に、撮像ユニット56がその画素ごとに干渉信号L4を撮像して干渉信号L4を干渉信号取得部81へ出力する。なお、白色干渉計24による測定光L2の照射及び干渉信号L4の撮像は常時行って、干渉信号取得部81への干渉信号L4の出力のみをステップ走査のステップごとに間欠的に実施してもよい。
【0080】
なお、測定制御部80は、既述のミーティング切削方式が選択された場合には、移動制御部72、走査制御部85、及び白色干渉計24を制御して、白色干渉計24の位置調整と、白色干渉計24のステップ走査及びそのステップごとの白色干渉計24の作動と、を溝25A,25Bごとに個別に実行する。
【0081】
図5に戻って、干渉信号取得部81は、不図示の通信インターフェースを介して、白色干渉計24の撮像ユニット56に接続している。干渉信号取得部81は、白色干渉計24のステップ走査のステップごとに撮像ユニット56からその画素ごとの干渉信号L4(以下、干渉信号群L5と略す)を取得する。以下、ステップごとに取得した撮像ユニット56の画素ごとの干渉信号L4を単に「干渉信号群L5」と略する。
【0082】
干渉信号取得部81は、既述のミーティング切削方式が選択された場合には、溝25A,25Bごとに白色干渉計24から干渉信号群L5を取得する。また、干渉信号取得部81は、既述のステップカット方式が選択された場合には、白色干渉計24から同一のストリートCに沿った溝25A,25Bに対応する干渉信号群L5を取得する。そして、干渉信号取得部81は、干渉信号群L5を推定部82へ出力する。
【0083】
図10は、推定部82による白色干渉計24のピーク位置Z0の推定処理を説明するための説明図である。なお、図10の横軸はステップ走査時の白色干渉計24のZ軸方向位置を示し、縦軸は干渉信号L4の信号強度を示す。
【0084】
図10及び既述の図5に示すように、推定部82は、干渉信号取得部81から入力された干渉信号群L5に基づき、撮像ユニット56の画素ごとに干渉信号L4の強度がピーク(最大)となる白色干渉計24のZ軸方向位置であるピーク位置Z0を推定する。なお、ピーク位置Z0は、換言すると測定光L2及び参照光L3の光路長差がゼロになる白色干渉計24のZ軸方向位置である。また、図10では、撮像ユニット56の任意の1画素に対応する白色干渉計24のピーク位置Z0の推定を例に挙げて説明している。
【0085】
最初に推定部82は、干渉信号群L5に基づき、撮像ユニット56の任意の1画素に対応したステップ走査のステップ(ここでは第1ステップ~第8ステップ)ごとの干渉信号L4の信号強度SGを検出する。
【0086】
次いで、推定部82は、ステップ走査のステップごとの信号強度SGに基づき、信号強度SGのピーク強度SGMを演算する。既述の通り、干渉信号L4の信号強度SGは、測定光L2及び参照光L3の光路長差がゼロになる場合に最大(ピーク強度SGM)となり、この光路長差の絶対値がゼロから増加するのに従って減少する。このため、推定部82は、公知のフィッティング処理等の推定アルゴリズムを用いることで、ステップごとの信号強度SGからピーク強度SGMを演算することができる。
【0087】
そして、推定部82は、ピーク強度SGMの演算結果に基づき、このピーク強度SGMに対応する白色干渉計24のZ軸方向位置を、上述の任意の1画素に対応する白色干渉計24のピーク位置Z0として推定する。このようにステップ走査のステップごとの信号強度SGに基づき白色干渉計24のピーク位置Z0を推定することで、白色干渉計24のステップ走査のサンプリング数(サンプリングレート)を減らすことができる。
【0088】
以下同様にして、推定部82は、撮像ユニット56の画素ごとにピーク位置Z0を推定し、画素ごとのピーク位置Z0の推定結果を加工品質測定部83へ出力する。既述のミーティング切削方式が選択された場合には、推定部82は、溝25A,25Bごとに得られた画素ごとのピーク位置Z0の推定結果を加工品質測定部83へ出力する。また、既述のステップカット方式が選択された場合には、推定部82は、同一のストリートCに沿った溝25A,25Bに対応する画素ごとのピーク位置Z0の推定結果を加工品質測定部83へ出力する。
【0089】
図5に戻って、加工品質測定部83は、推定部82から入力された撮像ユニット56の画素ごとのピーク位置Z0の推定結果に基づき、ワークWに形成された溝25A,25Bの加工品質(加工状態ともいう)を測定する所謂カーフチェックを行う。なお、第1実施形態における溝25A,25Bの加工品質とは、溝25A,25Bの加工位置、すなわちY軸方向位置である。
【0090】
図11は、加工品質測定部83による溝25A,25Bの三次元形状の形状測定を説明するための説明図である。図12は、加工品質測定部83による溝25A,25BのY軸方向に沿った断面形状の形状測定を説明するための説明図である。なお、図11及び図12では、既述の図7等で説明したステップカット方式により形成された溝25A,25Bの形状測定(カーフチェック)を例に挙げて説明を行う。
【0091】
図11図12、及び既述の図5に示すように、加工品質測定部83は、白色干渉計24(撮像ユニット56)の画素ごとのピーク位置Z0の推定結果に基づき、撮像ユニット56の画素ごとの高さ、すなわち各画素にそれぞれ対応するワークW(溝25A,25Bの内面、ワークWのおもて面)の対応位置のZ軸方向の高さを演算する。なお、この高さ位置の演算方法は公知技術であるので、ここでは具体的な説明は省略する。これにより、加工品質測定部83は、図11に示したような溝25A,25Bの三次元形状を示す三次元形状情報86を生成することができる。また、加工品質測定部83は、図12に示したような溝25A,25BのY軸方向に沿った断面形状を示す断面形状情報88も生成することができる。
【0092】
またこの際に、検出制御部76によるアライメント検出結果に基づきワークWと白色干渉計24との位置関係は既知である。このため、加工品質測定部83は、ステップ走査時の白色干渉計24のXY軸方向の位置座標に基づき、撮像ユニット56の各画素にそれぞれ対応するワークWの対応位置のXY軸方向の位置座標(以下、ワーク対応位置座標と略す)も同時に演算可能である。これにより、三次元形状情報86及び断面形状情報88の少なくとも一方と、ワーク対応位置座標とに基づいて、ワークW内での溝25A,25Bの加工位置が個別に求められる。
【0093】
図13は、ステップカット方式で形成された溝25A,25Bのカーフチェック、すなわちワークW内での溝25A,25Bの加工位置の測定例を説明するための説明図である。図13及び既述の図5に示すように、加工品質測定部83は、三次元形状情報86及び断面形状情報88の少なくとも一方と、ワーク対応位置座標とに基づき、ワークW内での溝25AのY軸方向の溝中心位置CL1を演算すると共に、溝25BのY軸方向の溝中心位置CL2を演算する。溝中心位置CL1は溝25Aの加工位置に相当し、溝中心位置CL2は溝25Bの加工位置に相当する。
【0094】
そして、加工品質測定部83は、溝25Aの加工位置(溝中心位置CL1)及び溝25Bの加工位置(溝中心位置CL2)の測定結果を、補正値決定部84、記憶部64、及び表示部66へ出力する。これにより、溝25A,25Bの加工位置の測定結果が記憶部64に記憶されると共に表示部66に表示される。
【0095】
補正値決定部84は、ブレード21Aによる溝25Aの加工位置をY軸方向に補正する補正値Δy1と、ブレード21Bによる溝25Bの加工位置をY軸方向に補正する補正値Δy2と、を決定する。
【0096】
具体的には補正値決定部84には、ワークWの種類に対応した溝25A,25Bの加工位置の目標値、例えばワークW内でのストリートCのY軸方向位置が予め設定されている。これにより、補正値決定部84は、加工品質測定部83による溝25Aの加工位置の測定結果(溝中心位置CL1)と、溝25Aの加工位置の目標値と、に基づき補正値Δy1を決定する。また、補正値決定部84は、加工品質測定部83による溝25Bの加工位置の測定結果(溝中心位置CL2)と、溝25Bの加工位置の目標値と、に基づき補正値Δy2を決定する。
【0097】
そして、補正値決定部84は、決定した補正値Δy1,Δy2を既述の加工制御部78へ出力する。これにより、加工制御部78は、補正値決定部84から入力された補正値Δy1,Δy2に基づき、ブレード21A,21BによりワークWの新たなストリートCに形成する溝25A,25Bの加工位置(Y軸方向位置)を補正する。
【0098】
なお、ミーティング切削方式により形成された溝25A,25Bの加工位置(加工品質)の測定方法及び補正値Δy1,Δy2の決定方法は、既述のステップカット方式と基本的に同じである。この場合には、加工品質測定部83が、溝25A,25Bごとの推定部82の推定結果に基づき溝25A,25Bごとの加工位置(溝中心位置CL1,CL2)を測定する。また、補正値決定部84が、溝25A,25Bごとの加工位置に基づき補正値Δy1,Δy2を決定する。
【0099】
[第1実施形態の作用]
図14は、本発明のワーク加工装置の制御方法に相当する上記構成の第1実施形態のダイシング装置10によるワークWの切削加工処理の流れ、特に溝25A,25Bの加工品質(加工位置)の測定処理の流れを示すフローチャートである。
【0100】
図14に示すように、ワークWがテーブル31に吸着保持されると、統括制御部60の移動制御部72、撮影制御部74、及び検出制御部76が作動する。これにより、移動制御部72が相対移動機構49を駆動して顕微鏡23を位置調整し、この位置調整後に撮影制御部74の制御の下で顕微鏡23がワークWのアライメント基準を撮影し、さらに検出制御部76が顕微鏡23によるアライメント基準の撮影画像に基づきアライメント検出を実行する(工程S1)。
【0101】
アライメント検出が完了すると、このアライメント検出結果に基づき移動制御部72が相対移動機構49を駆動して加工対象のストリートCとブレード21A,21Bとの位置合わせ(アライメント)を行う。
【0102】
次いで、加工制御部78が、ブレード駆動制御部70及び移動制御部72を介して各スピンドル22A,22B及び相対移動機構49を駆動して、ミーティング切削方式(図6参照)或いはステップカット方式(図7参照)によりストリートCをブレード21A,21Bにより切削加工する(工程S2)。これにより、ストリートCに沿って溝25A,25Bが形成される。以下、溝25A,25Bの加工品質(ここでは加工位置)の測定が開始されるまで、工程S2が繰り返し実行される(工程S3でNO)。なお、最初の溝25A,25Bをそれぞれ形成した後、速やかに工程S4に移行してもよい。
【0103】
溝25A,25Bの加工品質の測定開始する場合(工程S3でYES)、最初に測定制御部80が、既知の溝25A,25Bの位置に基づき移動制御部72を介して相対移動機構49を駆動して、溝25A,25Bに対する白色干渉計24の位置調整を行う(工程S4)。これにより、溝25A,25Bに対して測定光L2を照射可能な位置であって且つ既述のステップ走査の最初のステップ(第1ステップ)に相当するZ軸方向位置に白色干渉計24を速やかに位置調整することができる。
【0104】
白色干渉計24の位置調整が完了すると、測定制御部80は、走査制御部85及び白色干渉計24を作動させて白色干渉計24のZ軸方向のステップ走査を開始させる(工程S5、本発明の走査制御工程に相当)。
【0105】
最初に測定制御部80が白色干渉計24を作動させる(工程S5A)。これにより、白色干渉計24から溝25A,25Bに対して測定光L2が照射されると共に、撮像ユニット56からその画素ごとの干渉信号L4が干渉信号取得部81へ出力される。これにより、干渉信号取得部81がステップ走査の最初のステップ(第1ステップ)における画素ごとの干渉信号L4を取得する(工程S5B、本発明の干渉信号取得工程に相当)。
【0106】
次いで、走査制御部85が、相対移動機構49(Z駆動部48)を駆動して、白色干渉計24をステップ幅dだけZ軸方向に移動させるステップ移動を行う(工程S5CでNO、工程S5D)。これにより、白色干渉計24がステップ走査の第2ステップに位置調整される。そして、測定制御部80が白色干渉計24を再び作動させることで(工程S5A)、干渉信号取得部81が第2ステップにおける画素ごとの干渉信号L4を取得する(工程S5B)。
【0107】
以下同様に、ステップ走査の走査範囲内で白色干渉計24のステップ移動が繰り返し実行されると共に、そのステップごとに白色干渉計24の作動と干渉信号取得部81による撮像ユニット56の画素ごとの干渉信号L4の取得とが繰り返し実行される(工程S5A~S5D)。これにより、白色干渉計24のステップ走査が終了し(工程S5CでYES)、干渉信号取得部81が干渉信号群L5を取得し、この干渉信号群L5を推定部82へ出力する。
【0108】
そして、推定部82が、干渉信号群L5に基づき既述の図10で説明したように、撮像ユニット56の画素ごとに、ステップ走査のステップごとの信号強度SGの演算と、ピーク強度SGMの演算と、ピーク位置Z0の推定と、を実行する(工程S6、本発明の推定工程に相当)。これら画素ごとのピーク位置Z0の推定結果は、推定部82から加工品質測定部83へ出力される。
【0109】
このように撮像ユニット56の画素ごとのピーク位置Z0を推定することで、従来のようにピーク位置Z0を確実に検出できるような高サンプリングレート(細かいピッチ)で白色干渉計24の垂直走査を行う必要がなくなる。その結果、白色干渉計24のステップ走査(低サンプリングレートの垂直走査)を行うことができる。
【0110】
次いで、加工品質測定部83が、推定部82による撮像ユニット56の画素ごとのピーク位置Z0の推定結果に基づき、既述の図11及び図12に示したように溝25A,25Bの三次元形状情報86及び断面形状情報88のいずれか一方を生成する。また、加工品質測定部83が、検出制御部76によるアライメント検出結果と、垂直走査時の白色干渉計24のXY軸方向の位置座標とに基づき、既述のワーク対応位置座標を演算する。
【0111】
そして、加工品質測定部83が、三次元形状情報86及び断面形状情報88の少なくとも一方と、ワーク対応位置座標とに基づき、既述の図13に示したように溝25A,25Bの加工品質としてその加工位置(溝中心位置CL1,CL2)を演算する。これにより、溝25A,25Bの加工位置の測定(カーフチェック)が完了する(工程S7、本発明の加工品質測定工程に相当)。これら溝25A,25Bの加工位置の測定結果は、加工品質測定部83から補正値決定部84、記憶部64、及び表示部66へ出力される。
【0112】
このように本実施形態では、推定部82による撮像ユニット56の画素ごとのピーク位置Z0の推定結果に基づき溝25A,25Bの加工品質を測定している。このため、本実施形態では、上記特許文献3、4に記載のように高サンプリングレート(細かいピッチ)で白色干渉計24を垂直走査する場合と比較して、溝25A,25Bの加工品質の測定精度は劣る。しかしながら、ダイシング装置10で要求される溝25A,25Bの加工品質の測定精度は1μmオーダであり、nmオーダの測定精度が要求される表面粗さ測定よりも測定精度の要求は低い。このため、白色干渉計24のステップ走査を行ったとしても、溝25A,25Bの加工品質の測定性能は低下せず、ステップ走査(低サンプリング化)による測定の高速化のメリットのみが得られる。
【0113】
また本実施形態では、白色干渉計24を用いて溝25A,25Bの断面形状を取得可能であるので、従来のように顕微鏡23により撮影された溝25A,25Bの撮影画像を解析することなく、溝25A,25Bの加工位置(加工品質)を測定することができる。これにより、ステップカット方式のように溝25Aの底部に溝25Bを形成する場合、すなわち顕微鏡23の撮影画像に基づいた溝25Bの加工位置の判別が困難である場合でも溝25Bの加工位置を精度良く測定することができる。
【0114】
さらに本実施形態では、ワークWの未切削箇所に対して狭幅のブレード21Bにより溝25Bを形成する既述のステップカーフチェックを行うことなく、実際のステップカット方式で形成された溝25Bのカーフチェックを行うことができる。このため、溝25Bの加工位置を精度良く測定することができる。
【0115】
溝25A,25Bの加工位置の測定(カーフチェック)が完了すると、補正値決定部84が、既述の図13に示したように、溝25A,25Bの加工位置の測定結果(溝中心位置CL1,CL2)とその加工位置の目標値とに基づき、溝25A,25Bごとの加工位置の補正値Δy1,Δy2を決定する(工程S8)。次いで、補正値決定部84が補正値Δy1,Δy2の決定結果を加工制御部78へ出力する。
【0116】
そして、加工制御部78が、補正値Δy1,Δy2に基づき、ブレード駆動制御部70及び移動制御部72を介してスピンドル22A,22B及び相対移動機構49を駆動して、ミーティング切削方式又はステップカット方式による次以降のストリートCの切削加工を実行する(工程S9)。これにより、ブレード21A,21Bごとに、次以降のストリートCの目標位置(設計位置)からY軸方向に補正値Δy1,Δy2だけシフトした位置を切削加工することができる。その結果、次以降のストリートCに沿って高精度に溝25A,25Bを形成することができる。
【0117】
[第1実施形態の効果]
以上のように第1実施形態のダイシング装置10では、白色干渉計24をステップ走査して、この白色干渉計24から取得した干渉信号群L5に基づき白色干渉計24のピーク位置Z0を画素ごとに推定することで、白色干渉計24を用いた溝25A,25Bの加工品質の測定を短時間で実行することができる。既述の通り、溝25A,25Bの加工品質の測定性能を低下させることなく、ステップ走査(低サンプリング化)による高速化のメリットのみが得られる。
【0118】
また、第1実施形態では、ブレード21Bの相対移動機構49(Zキャリッジ44及びZ駆動部48)を利用して白色干渉計24のステップ走査を実行可能であるので、別途に専用の走査機構を設ける必要がなく低コスト化が図れる。さらに、第1実施形態では、ブレード21Bと白色干渉計24とを一体にZキャリッジ44に設けることで、従来のアライメント検出法を利用して、溝25A,25B(被加工部)に対する白色干渉計24の位置調整を実行することができる。
【0119】
[第2実施形態]
図15は、第2実施形態のダイシング装置10によるワークWの切削加工及び不図示の研削(研磨)装置によるワークWの裏面研削を説明するための説明図である。上記第1実施形態では、ダイシング装置10によるワークWの切削加工で各ストリートCを完全に切断(分離)している。これに対して、図15の符号XVAに示すように、第2実施形態のダイシング装置10によるワークWの切削加工では、ブレード21A,21Bにより各ストリートCを完全に切断せずに各ストリートCを一定量切り残す所謂ハーフカットを行ってハーフカット溝90A,90B(被加工部に相当)を形成する。なお、ブレード21Aにより形成されるハーフカット溝90Aと、ブレード21Bにより形成されるハーフカット溝90Bと、は略同形状である。
【0120】
そして、図15の符号XVBに示すようにダイシング装置10とは別途の研削装置によりワークWの裏面研削を行って切り残した部分を除去することで、図15の符号XVCに示すように各ストリートCを完全に切断する。
【0121】
このようにダイシング装置10で各ストリートCのハーフカットを行う場合には、仮にブレード21A,21BによるストリートCの加工深さ(切り込み深さ又は切削深さともいう)が足りなくなると、ワークWの裏面研削を行ったとしてもワークWを切断することができずに切断不良が発生してしまう。また逆にブレード21A,21BによりストリートCを深く切削すぎると、ワークWの裏面研削前にワークWが割れてしまう。従って、ブレード21A,21Bの切り込み深さの精度が低いと、特に総厚の薄いデバイスの生産(厚みの薄いワークWの加工)で歩留まりが悪化してしまう。
【0122】
さらに、ブレード21A,21Bは、摩耗によって直径が変化したり、温度変化によりそのZ軸方向の高さ位置が変化したりする。従って、各ストリートC(ワークW)に対するブレード21A,21BのZ軸方向の加工深さの高精度制御が重要になる。
【0123】
そこで、第2実施形態のダイシング装置10では、白色干渉計24を用いてワークWに形成されたハーフカット溝90A,90Bの加工深さcz1,cz2(図16参照)を測定する。なお、第2実施形態では加工深さcz1,cz2と同時にハーフカット溝90A,90Bの加工幅cy1,cy2(図16参照)の測定も行う。ここで、ハーフカット溝90A,90Bの加工幅cy1,cy2及び加工深さcz1,cz2は、本発明の被加工部の加工品質(加工形状)に相当する。
【0124】
第2実施形態のダイシング装置10は、上記第1実施形態のダイシング装置10と基本的に同じ構成であるので上記第1実施形態と能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0125】
第2実施形態の加工制御部78は、ブレード駆動制御部70及び移動制御部72を介して各スピンドル22A,22B及び相対移動機構49を駆動して、ミーティング切削方式によりワークWの各ストリートCをブレード21A,21Bによる同時加工処理で切削加工する。これにより、2本のストリートCごとにハーフカット溝90A,90Bが形成される。
【0126】
第2実施形態の測定制御部80及び走査制御部85は、白色干渉計24及び相対移動機構49を制御して、ハーフカット溝90A,90Bごとに、白色干渉計24の位置調整と、白色干渉計24のステップ走査及びそのステップごとの作動と、を実行する。これにより、ハーフカット溝90A,90Bごとに、第2実施形態の干渉信号取得部81が白色干渉計24から干渉信号群L5を取得し、第2実施形態の推定部82が撮像ユニット56の画素ごとのピーク位置Z0の推定を行う。
【0127】
図16は、第2実施形態の加工品質測定部83によるハーフカット溝90A,90BのY軸方向に沿った断面形状の形状測定を説明するための説明図である。図16に示すように、第2実施形態の加工品質測定部83は、推定部82による撮像ユニット56の画素ごとのピーク位置Z0の推定結果に基づき、上記第1実施形態と同様にハーフカット溝90A,90Bの断面形状情報88をそれぞれ生成する。
【0128】
次いで、加工品質測定部83は、ハーフカット溝90A,90Bの断面形状情報88に基づき、ハーフカット溝90A,90Bの加工品質(加工形状)として、ハーフカット溝90Aの加工幅cy1及び加工深さcz1を演算すると共に、ハーフカット溝90Bの加工幅cy2及び加工深さcz2を演算する。ここで加工深さcz1,cz2は、それぞれ加工幅cy1,cy2の中心位置におけるハーフカット溝90A,90BのZ軸方向の深さである。なお、ハーフカット溝90A,90BのZ軸方向の最下点までの深さを加工深さcz1,cz2としてもよい。そして、加工品質測定部83は、ハーフカット溝90A,90Bごとの加工深さcz1,cz2の測定結果を、補正値決定部84、記憶部64、及び表示部66へ出力する。
【0129】
第2実施形態の補正値決定部84は、加工品質測定部83による加工深さcz1,cz2の測定結果と、ワークWの種類に対応したハーフカット溝90A,90Bの加工深さcz1,cz2の目標値tzとに基づき、ブレード21Aに対応する加工深さcz1の補正値Δz1及びブレード21Bに対応する加工深さcz2の補正値Δz2を決定する。
【0130】
また、補正値決定部84は、決定した補正値Δz1,Δz2を加工制御部78へ出力する。これにより、加工制御部78は、補正値決定部84から入力された補正値Δz1,Δz2に基づき、相対移動機構49等を制御して、ブレード21A,21BによりワークWの新たなストリートCに形成するハーフカット溝90A,90Bの加工深さcz1,cz2を補正する。
【0131】
なお、第2実施形態のダイシング装置10によるワークWの切削加工処理の流れ、特にハーフカット溝90A,90Bの加工品質(加工深さcz1,cz2)の測定処理の流れは、基本的には既述の図14に示した第1実施形態の切削加工処理の流れと同じであるので、ここでは具体的な説明は省略する。
【0132】
以上のように、第2実施形態のダイシング装置10においても白色干渉計24のステップ走査を行うことで、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。また、白色干渉計24を用いてハーフカット溝90A,90Bの断面形状を精度よく測定可能であるので、この測定結果に基づき加工深さcz1,cz2(加工品質)を精度良く測定可能である。
【0133】
さらに、ブレード21A,21BによるワークWの切削加工の途中で加工深さcz1,cz2を測定することができるので、正確な補正値Δz1,Δz2を次以降のストリートCの切削加工に即時適用することができる。さらにまた、1ラインのストリートCの切削加工が実行されるごとに補正値Δz1,Δz2の決定が可能であるため、ブレード21A,21Bごとの加工深さcz1,cz2の加工精度をより向上させることができる。
【0134】
[第3実施形態]
上記各実施形態では、溝25A,25B及びハーフカット溝90A,90B等の被加工部の加工品質を測定し、この測定結果に基づきブレード21A,21BによるワークWの切削加工の補正を行っている。これに対して、第3実施形態のダイシング装置10では、ブレード21A,21Bによる被加工部の加工品質の測定結果に基づきブレード21A,21Bの先端形状の測定を行う。
【0135】
図17は、第3実施形態のダイシング装置10の統括制御部60の機能ブロック図である。図17に示すように、第3実施形態のダイシング装置10は、統括制御部60が補正値決定部84の代わりにブレード形状測定部100として機能する点を除けば上記各実施形態のダイシング装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0136】
第3実施形態の加工制御部78は、上記第2実施形態と同様に、ブレード駆動制御部70及び移動制御部72を介して各スピンドル22A,22B及び相対移動機構49を駆動して、ストリートCごとにハーフカット溝90A,90B(図15参照)を形成する。
【0137】
第3実施形態の測定制御部80、走査制御部85、干渉信号取得部81、推定部82、及び加工品質測定部83は上記第2実施形態と同様に機能する。これにより、ハーフカット溝90A,90Bごとに、白色干渉計24の位置調整と、白色干渉計24のステップ走査及びそのステップごとの作動と、干渉信号群L5の取得と、ピーク位置Z0の推定と、断面形状の形状測定と、が実行される。
【0138】
図18は、第3実施形態の加工品質測定部83によるハーフカット溝90A,90Bの断面形状の形状測定を説明するための説明図である。図18に示すように、第3実施形態の加工品質測定部83は、上記第2実施形態と同様に、推定部82の推定結果に基づき、ハーフカット溝90A,90Bの断面形状情報88をそれぞれ生成し、ハーフカット溝90A,90Bごとの断面形状情報88をブレード形状測定部100へ出力する。
【0139】
ブレード形状測定部100は、加工品質測定部83から入力されたハーフカット溝90A,90Bごとの断面形状の測定結果(断面形状情報88)に基づき、ブレード21A,21Bの先端形状をそれぞれ測定する。ハーフカット溝90A,90Bの底部にはそれぞれブレード21A,21Bの先端形状が転写されているので、ハーフカット溝90A,90Bの断面形状からブレード21A,21Bの先端形状を測定可能である。なお、ブレード形状測定部100によるブレード21A,21Bの先端形状の測定結果は、記憶部64に記憶されると共に表示部66に表示される。
【0140】
[第3実施形態の作用]
図19は、本発明のワーク加工装置の制御方法に相当する第3実施形態のダイシング装置10によるブレード21A,21Bの先端形状の測定処理の流れを示すフローチャートである。図19に示すように、上記第1実施形態(図14参照)と同様に、アライメント検出(工程S1)及びミーティング切削方式での各ストリートCの切削加工(工程S2)等が実行され、各ストリートCに沿ってハーフカット溝90A,90Bが形成される。
【0141】
ブレード21A,21Bの先端形状の測定開始する場合(工程S3AでYES)、上記第1実施形態と同様に工程S4から工程S7Aまでの処理が実行される。すなわち、ハーフカット溝90A,90Bごとに、白色干渉計24の位置調整(工程S4)と、白色干渉計24のステップ走査(工程S5)と、ピーク位置Z0の推定(工程S6)と、が実行される。そして、加工品質測定部83が、推定部82によるハーフカット溝90A,90Bごとのピーク位置Z0の推定結果に基づき、ハーフカット溝90A,90Bの断面形状の測定(断面形状情報88の生成)を実行する(工程S7A)。
【0142】
次いで、ブレード形状測定部100が、ハーフカット溝90A,90Bの断面形状情報88に基づきブレード21A,21Bの先端形状をそれぞれ測定し、ブレード21A,21Bごとの先端形状の測定結果を記憶部64及び表示部66へ出力する(工程S10)。これにより、ブレード21A,21Bの先端形状の測定結果が記憶部64に記憶されると共に表示部66に表示される。
【0143】
オペレータは、表示部66に表示されたブレード21A,21Bの先端形状の測定結果に基づき、ブレード21A,21Bごとの摩耗状態を判別して、ブレード21A,21Bの交換等の必要性の有無を判定する。なお、ブレード21A,21Bごとの摩耗状態、及び交換等の必要性の有無の判定を統括制御部60により自動で行ってよい。
【0144】
以上のように、第3実施形態のダイシング装置10においても白色干渉計24のステップ走査を行うことで、白色干渉計24を用いたハーフカット溝90A,90Bの断面形状(加工品質)の測定を短時間で実行することができる。その結果、ブレード21A,21Bの先端形状の測定を短時間で実行することができる。
【0145】
また、白色干渉計24を用いてハーフカット溝90A,90Bの断面形状を精度よく測定可能であるので、ブレード21A,21Bの先端形状の摩耗状態及びその進行過程を精度良く判別することができる。これにより、ワークWの加工品質が許容を下回って不良が発生する前にブレード21A,21Bの交換又はツルーイング(ブレード21A,21Bの形状修正)又はドレス(ブレード21A,21Bの目立て・目直し)をオペレータに促すことができる。
【0146】
さらに、第3実施形態のダイシング装置10では、ブレード21A,21BによるワークWの切削加工の途中でブレード21A,21Bの先端形状の測定が可能になる。その結果、従来よりもダイシング装置10の生産性を向上させることができる。
【0147】
[第4実施形態]
図20は、第4実施形態のダイシング装置10による白色干渉計24のステップ走査について説明するための説明図である。図21は、図20中の溝25A,25Bの拡大図であって且つ第4実施形態のステップ走査のステップごとの測定光L2の基準集光点FPの位置を説明するための図である。なお、図20及び図21では、溝25A,25Bがステップカット方式で形成されている場合を例に挙げて説明を行う。
【0148】
上記各実施形態のダイシング装置10では白色干渉計24のステップ走査のステップごとのステップ幅dが一定であるが、第4実施形態のダイシング装置10はステップ走査のステップごとにステップ幅dを個別に調整する機能を有している。なお、第4実施形態のダイシング装置10は、上記各実施形態のダイシング装置10と基本的に同じ構成であるため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
【0149】
第4実施形態では、操作部62等を介して、白色干渉計24のステップ走査のステップごとのステップ幅dが走査制御部85に設定される。これにより、走査制御部85は、ステップ走査のステップごとのステップ幅dをそれぞれ任意に調整することができる。
【0150】
例えば図20及び図21に示すように、第4実施形態では、白色干渉計24のステップ走査の走査範囲を、溝25A,25Bの部位(被加工部の部位)に応じて、第1走査範囲SR1と第2走査範囲SR2と第3走査範囲SR3とに分けている。第1走査範囲SR1は、白色干渉計24から出射される測定光L2の基準集光点FPがワークWのおもて面及び溝25Aの底部を走査する走査範囲である。第2走査範囲SR2は、基準集光点FPが溝25Bの底部を走査する走査範囲である。第3走査範囲SR3は、第1走査範囲SR1と第2走査範囲SR2との間の走査範囲である。
【0151】
なお、溝25A,25Bがミーティング切削方式で形成されている場合には、第1走査範囲SR1は、基準集光点FPがワークWのおもて面を走査する走査範囲である。また、第2走査範囲SR2は、基準集光点FPが溝25A又は溝25Bの底部を走査する走査範囲である。
【0152】
そして、第4実施形態では、第1走査範囲SR1及び第2走査範囲SR2に対応する範囲ではステップ走査の各ステップのステップ幅dが狭く設定され、逆に第3走査範囲SR3に対応する範囲では各ステップのステップ幅dが広く設定されている。これにより、溝25A,25Bの加工品質の測定に重要な部分(ワークWのおもて面、溝25A,25Bの底部)では、白色干渉計24のステップ走査が高サンプリングレートで実行されるため、溝25A,25Bの加工品質の測定精度をより向上させることができる。また逆に、溝25A,25Bの加工品質の測定にあまり影響を及ぼさない部分については、白色干渉計24のステップ走査が低サンプリングレートで実行されるため、溝25A,25Bの加工品質の測定をより短時間で行うことができる。その結果、溝25A,25Bの加工品質の測定を短時間で且つ精度良く行うことができる。
【0153】
なお、各走査範囲SR1~SR3のステップ幅dは、図20及び図21に示した例に限定されるものではなくそれぞれ任意に調整可能であり、例えば各走査範囲SR1~SR3で互いにステップ幅dを異ならせてもよい。また、溝25A,25B(被加工部)の種類に応じて、ステップ走査の走査範囲を2又は4以上に分けてもよい。
【0154】
[その他]
上記各実施形態ではダイシング装置10に一対のブレード21A,21B及び一対のスピンドル22A,22Bが設けられているが、ブレード及びスピンドルの数(すなわち本発明の加工ヘッドの数)が1又は3以上であってもよい。
【0155】
上記各実施形態では、本発明の加工ヘッドとしてツインスピンドルダイサ(一対のブレード21A,21B及び一対のスピンドル22A,22B)を例に挙げて説明したが、ワークWに対してレーザ加工(アブレーション溝加工を含む)を行う1又は複数のレーザ加工ヘッドがダイシング装置10に設けられている場合にも本発明を適用可能である。
【0156】
上記各実施形態では、一対のZキャリッジ44の一方(ツインスピンドルの一方)に白色干渉計24が設けられ且つ一対のZキャリッジ44の他方(ツインスピンドルの他方)に顕微鏡23が設けられているが、Zキャリッジ44の他方(ツインスピンドルの他方)にも白色干渉計24が設けられていてもよい。また同様に、Zキャリッジ44の一方にも顕微鏡23が設けられていてもよい。すなわち複数のZキャリッジ44ごとに顕微鏡23及び白色干渉計24が設けられていてもよい。さらに、上記各実施形態ではZキャリッジ44が白色干渉計24をZ軸方向にステップ移動させることで既述のステップ走査を実行しているが、テーブル31に対して白色干渉計24を相対的にステップ走査可能であればよく、例えばテーブル31をZ軸方向にステップ移動させることでステップ走査を実行してもよい。
【0157】
上記各実施形態では、白色干渉計24をZキャリッジ44に設けることでブレード21Bと白色干渉計24とを一体にZ軸方向に走査させているが、白色干渉計24をブレード21B及びZキャリッジ44とは別体に設けてもよい。この場合には、白色干渉計24をZ軸方向に走査可能なアクチュエータ(キャリッジ)を別途設ける。
【0158】
上記各実施形態では、白色干渉計24を用いてブレード21A,21BによりワークWに形成された溝25A,25B及びハーフカット溝90A,90B等の各種被加工部の加工品質[加工位置、加工形状(断面形状を含む)]を測定しているが、他の装置によりワークWに形成された被加工部の加工品質をダイシング装置10で測定してもよい。
【0159】
例えばワークWがLow-k膜等をシリコン基板上に積層した積層体である場合には、予めワークWに対して不図示のレーザ加工装置によりストリートCごとにレーザ光によるレーザ加工処理が施される。これにより、ストリートCごとにレーザ加工溝(レーザグルーブ)が形成される。そして、ダイシング装置10では、白色干渉計24を用いてレーザ加工溝の加工品質(加工幅の中心位置)を測定し、この測定結果に基づきミーティング切削方式により各レーザ加工溝の底部をブレード21A,21Bによる同時加工処理で切削加工する。
【0160】
上記各実施形態では、ダイシング装置10にミラウ型の白色干渉計24が設けられているが、例えばマイケルソン型或いはフィゾー型等の公知の各種型の白色干渉計24が設けられていてもよい。
【0161】
上記各実施形態のダイシング装置10を適宜組み合わせてもよい。例えば第1実施形態と第2実施形態のダイシング装置10を組み合わせて各種被加工部の加工品質として加工位置及び加工形状の両方を同時測定してもよい。また、第1実施形態及び第2実施形態のダイシング装置10と、第3実施形態のダイシング装置10とを適宜組み合わせて、各種被加工部の加工品質とブレード21A,21Bの先端形状測定との双方を実行可能にしてもよい。
【0162】
上記各実施形態では、本発明の被加工部として溝25A,25B及びハーフカット溝90A,90Bの加工品質の測定を例に挙げて説明したが、ダイシング装置10或いは他の装置によりワークWに形成された各種被加工部の加工品質の測定にも本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0163】
10…ダイシング装置、21A,21B…ブレード、22A,22B…スピンドル、23…顕微鏡、24…白色干渉計、25A,25B…溝、31…テーブル、49…相対移動機構、51…白色光源、56…撮像ユニット、60…統括制御部、70…ブレード駆動制御部、72…移動制御部、74…撮影制御部、76…検出制御部、78…加工制御部、80…測定制御部、81…干渉信号取得部、82…推定部、83…加工品質測定部、84…補正値決定部、86…三次元形状情報、88…断面形状情報、90A,90B…ハーフカット溝、100…ブレード形状測定部、C…ストリート、CL1,CL2…溝中心位置、cy1,cy2…加工幅、cz1,cz2…加工深さ、FP…基準集光点、L1…白色光、L2…測定光、L3…参照光、L4…干渉信号、L5…干渉信号群、W…ワーク、Δy1,Δy2,Δz1,Δz2…補正値、Z0…ピーク位置
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