(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117794
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ワーク加工装置、ワーク加工装置の制御方法、及びサーバ
(51)【国際特許分類】
B24B 49/12 20060101AFI20240822BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20240822BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B24B49/12
B24B27/06 M
H01L21/78 F
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024096639
(22)【出願日】2024-06-14
(62)【分割の表示】P 2019216163の分割
【原出願日】2019-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊行
(72)【発明者】
【氏名】長田 慎司
(72)【発明者】
【氏名】清水 翼
(57)【要約】
【課題】ワークに形成された被加工部の加工品質を精度良く測定することができるワーク加工装置、このワーク加工装置の制御方法、及びこのワーク加工装置に接続されたサーバを提供する。
【解決手段】テーブル31に対して加工ヘッド(ブレード21A,21B)を相対移動させる相対移動機構49と、加工ヘッドと一体に設けられた白色干渉計24であって、ワークWに形成されている被加工部に向けて白色光を出射し且つ被加工部で反射された白色光と参照面で反射された白色光との干渉信号を画素ごとに検出する白色干渉計24と、相対移動機構49を駆動して、加工ヘッド及び白色干渉計24の垂直走査を実行して、被加工部で反射される白色光の光路長を変化させる走査制御部(移動制御部72)と、垂直走査の間に白色干渉計24から出力される画素ごとの干渉信号に基づき、被加工部の加工品質を測定する加工品質測定部82と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状のワークを保持するテーブルと、
前記テーブルに保持された前記ワークの加工を行う加工ヘッドと、
前記テーブルに対して前記加工ヘッドを相対移動させる相対移動機構と、
前記加工ヘッドと一体に設けられた白色干渉計であって、前記ワークに形成されている被加工部に向けて白色光を出射し且つ前記被加工部で反射された前記白色光と参照面で反射された前記白色光との干渉信号を画素ごとに検出する白色干渉計と、
前記相対移動機構を駆動して、前記加工ヘッド及び前記白色干渉計を前記テーブルに対して垂直な方向に一体に相対移動させる垂直走査を実行して、前記被加工部で反射される前記白色光の光路長を変化させる走査制御部と、
前記垂直走査の間に前記白色干渉計から出力される前記画素ごとの前記干渉信号に基づき、前記被加工部の加工品質を測定する加工品質測定部と、
を備えるワーク加工装置。
【請求項2】
前記加工ヘッド及び前記相対移動機構を駆動して、前記加工ヘッドにより前記ワークに前記被加工部を形成する加工制御部と、
前記被加工部に対して前記白色光を照射可能な位置で前記白色干渉計及び前記走査制御部を作動させる第1測定制御部と、
を備え、
前記加工品質測定部が、前記加工品質として、前記被加工部の加工位置及び加工形状の少なくともいずれか一方を測定する請求項1に記載のワーク加工装置。
【請求項3】
前記加工品質測定部の測定結果に基づき、前記被加工部の前記加工位置及び前記加工形状の少なくともいずれか一方を補正する補正値を決定する補正値決定部を備え、
前記加工制御部が、前記補正値決定部が決定した前記補正値に基づき、前記加工ヘッド及び前記相対移動機構を駆動して前記ワークに前記被加工部を形成する請求項2に記載のワーク加工装置。
【請求項4】
前記加工ヘッドとして第1加工ヘッド及び第2加工ヘッドを有し、
前記加工制御部が、
前記相対移動機構及び前記第1加工ヘッドを駆動して、前記被加工部として第1溝を前記ワークに形成する第1加工処理と、
前記相対移動機構及び前記第2加工ヘッドを駆動して、前記被加工部として前記第1溝の底部に第2溝を形成して前記ワークを切断する第2加工処理と、
を実行し、
前記加工品質測定部が、前記第1溝及び前記第2溝の前記加工位置を測定する請求項2又は3に記載のワーク加工装置。
【請求項5】
前記被加工部が溝である場合に、前記加工品質測定部が、前記加工形状として前記溝の深さを測定する請求項2又は3に記載のワーク加工装置。
【請求項6】
前記加工ヘッドによる前記ワークの加工前に予め前記ワークに形成された前記被加工部である第1溝に対して前記白色光を照射可能な位置で前記白色干渉計及び前記走査制御部を作動させる第2測定制御部を備え、
前記加工品質測定部が、前記加工品質として前記第1溝の加工位置を測定し、
前記加工品質測定部の測定結果に基づき、前記加工ヘッド及び前記相対移動機構を駆動して、前記第1溝の底部に第2溝を形成して前記ワークを切断する加工制御部を備える請求項1に記載のワーク加工装置。
【請求項7】
前記第2測定制御部が、前記ワークに対するレーザ光の照射によって形成された前記第1溝に対して前記白色光を照射可能な位置で前記白色干渉計及び前記走査制御部を作動させる請求項6に記載のワーク加工装置。
【請求項8】
前記加工ヘッドが、回転する円盤状のブレードにより前記ワークを切削加工する請求項1から7のいずれか1項に記載のワーク加工装置。
【請求項9】
前記加工ヘッドが、回転する円盤状のブレードにより前記ワークを切削加工し、
前記加工ヘッド及び前記相対移動機構を駆動して、前記ブレードにより前記ワークに前記被加工部を形成する加工制御部を備え、
前記加工品質測定部が、前記加工品質として、前記被加工部の断面形状を測定し、
前記加工品質測定部による前記断面形状の測定結果に基づき、前記ブレードの先端形状を測定するブレード形状測定部を備える請求項1から3のいずれか1項に記載のワーク加工装置。
【請求項10】
前記加工制御部が、前記相対移動機構及び前記加工ヘッドを駆動して、前記被加工部として溝を前記ワークに形成し、
前記加工品質測定部が、前記溝の断面形状を測定し、
前記ブレード形状測定部が、前記加工品質測定部による前記断面形状の測定結果に基づき、前記ブレードの先端形状を測定する請求項9に記載のワーク加工装置。
【請求項11】
前記テーブルを、前記テーブルの回転軸を中心として回転させる回転駆動機構を備え、
前記加工制御部が、前記加工ヘッド、前記相対移動機構、及び前記回転駆動機構を駆動して、前記ワークの外周部を前記ワークの一面側から予め定められた深さ位置まで切削除去することで、前記被加工部として前記ワークの外周部に段差部を形成し、
前記加工品質測定部が、前記段差部の断面形状を測定し、
前記ブレード形状測定部が、前記加工品質測定部による前記断面形状の測定結果に基づき、前記ブレードの先端形状を測定する請求項10に記載のワーク加工装置。
【請求項12】
テーブルに保持された平板状のワークに形成されている被加工部に向けて白色光を出射し且つ前記被加工部で反射された前記白色光と参照面で反射された前記白色光との干渉信号を画素ごとに検出する白色干渉計を、前記ワークの加工を行う加工ヘッドと一体に前記テーブルに対して垂直な方向に相対移動させる垂直走査を実行して、前記被加工部で反射される前記白色光の光路長を変化させる走査制御ステップと、
前記垂直走査の間に前記白色干渉計から出力される前記画素ごとの前記干渉信号に基づき、前記被加工部の加工品質を測定する加工品質測定ステップと、
を有するワーク加工装置の制御方法。
【請求項13】
前記加工品質測定ステップでは、回転する円盤状のブレードを有する前記加工ヘッドにより前記ワークに形成された前記被加工部の断面形状を測定し、
前記加工品質測定ステップでの前記被加工部の断面形状の測定結果に基づき、前記ブレードの先端形状を測定するブレード形状測定ステップを有する請求項12に記載のワーク加工装置の制御方法。
【請求項14】
テーブルに保持された平板状のワークに形成されている被加工部に向けて白色光し且つ前記被加工部で反射された前記白色光と参照面で反射された前記白色光との干渉信号を画素ごとに検出する白色干渉計に接続する通信インターフェースと、
前記ワークの加工を行う加工ヘッドと前記白色干渉計とが相対移動機構により前記テーブルに対して垂直な方向に一体に相対移動させて、前記被加工部で反射される前記白色光の光路長を変化させている間、前記通信インターフェースを介して前記白色干渉計から前記画素ごとの前記干渉信号を取得する干渉信号取得部と、
前記干渉信号取得部が取得した前記画素ごとの前記干渉信号に基づき、前記被加工部の加工品質を測定する加工品質測定部と、
を備えるサーバ。
【請求項15】
前記加工品質測定部が、回転する円盤状のブレードを有する前記加工ヘッドにより前記ワークに形成された前記被加工部の断面形状を測定し、
前記加工品質測定部による前記断面形状の測定結果に基づき、前記ブレードの先端形状を測定するブレード形状測定部を備える請求項14に記載のサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの加工を行うワーク加工装置、ワーク加工装置の制御方法、及びこのワーク加工装置に接続されたサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
スピンドルによって高速に回転される円盤状のブレードによってウェーハ等のワークを切削加工するダイシング装置(ワーク加工装置)が知られている。このダイシング装置のブレードは使用により磨耗するため、ブレードによるワークの切断面にチッピングが生じる場合がある。また、ブレードの熱変形の影響を受けて、ブレードによりワークに形成された溝(カーフ)の位置がストリートの中心からずれる場合がある。このためダイシング装置では、予め設定されたタイミングでブレードのカーフチェックを実施している。例えばダイシング装置では、ブレードによりワークに形成された溝をカメラ(アライメント用の顕微鏡等)で撮影し、このカメラの撮影画像に基づき溝のカーフ位置、カーフ幅、及びチッピングの有無等を計測している(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、ダイシング装置として、ブレードが装着されるスピンドルを2本備えたツインスピンドルダイサが知られている。そして、ツインスピンドルダイサによりワークを切削又は切断する方式としてミーティング切削方式とステップカット方式とが知られている。ミーティング切削方式は、2枚のブレードによって一度に2本のストリートを切断する方式である。また、ステップカット方式は、第1ブレードでストリートに沿って所定深さの溝を切削し、その後、第2ブレードでその溝の底部を切削することにより、ウェーハをストリートに沿って切断する方式である。
【0004】
ステップカット方式を採用するツインスピンドルダイサの2つのブレードのカーフチェックを行う方法として、以下の2つの方法が知られている。第1の方法では、第1ブレードでストリートに沿ってウェーハを所定深さ切削し、その切削された溝をカメラで撮影してこの溝の撮影画像に基づき第1ブレードのカーフチェックを実施する。次いで、その第1ブレードで切削した溝の底部を第2ブレードで切削し、第2ブレードで切削した溝をカメラで撮影してこの溝の撮影画像に基づき第2のブレードのカーフチェックを実施する。
【0005】
第2の方法では、ワークの未切削箇所を第1ブレードによって切削加工するとともに、ワークの別の未切削箇所を第2ブレードによって切削加工し、各ブレードにより形成された2本の溝をカメラでそれぞれ撮影した撮影画像に基づき、各ブレードのカーフチェックを行う(特許文献2参照)。この第2の方法のカーフチェックは、ステップカーフチェック又は追い越しカーフチェックともいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-165826号公報
【特許文献2】特開2001-129822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図34は、上記第1の方法のカーフチェックの課題を説明するための説明図である。
図34に示すように、第1の方法でカーフチェックを行う場合には、第2ブレードでワークWに形成した溝25Bが第1ブレードでワークWに形成した溝25Aに重なるため、溝25Bの撮影画像に基づいた溝25Bの加工品質(カーフ位置及びカーフ幅等)の判別が困難である。その結果、第2ブレードのカーフチェックが極めて困難であるという欠点がある。
【0008】
図35は、上記第2の方法のカーフチェックの課題を説明するための説明図である。
図35に示すように、第2の方法でカーフチェックを行う場合には、第2ブレードでワークWの未切削箇所を切削加工する必要があるが、第2ブレードは第1ブレードよりも厚みが薄いので第2ブレードで未切削箇所を切削加工すると、この第2ブレードへの負荷が大きくなる。また、ステップカット時とカーフチェック時とにおいて第2ブレードによるワークの加工条件が異なるため、例えばカーフチェック時には第2ブレードがよれることでステップカット時とは異なる位置に溝25Bが形成される可能性がある。すなわち、ステップカット時とカーフチェック時とにおいて同一位置に溝25Bが形成されない可能性があり、その結果、ステップカット時の溝25Bの加工品質を正確に測定することができない可能性がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ワークに形成された被加工部の加工品質を精度良く測定することができるワーク加工装置、このワーク加工装置の制御方法、及びこのワーク加工装置に接続されたサーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的を達成するためのワーク加工装置は、平板状のワークを保持するテーブルと、テーブルに保持されたワークの加工を行う加工ヘッドと、テーブルに対して加工ヘッドを相対移動させる相対移動機構と、加工ヘッドと一体に設けられた白色干渉計であって、ワークに形成されている被加工部に向けて白色光を出射し且つ被加工部で反射された白色光と参照面で反射された白色光との干渉信号を画素ごとに検出する白色干渉計と、相対移動機構を駆動して、加工ヘッド及び白色干渉計をテーブルに対して垂直な方向に一体に相対移動させる垂直走査を実行する走査制御部と、垂直走査の間に白色干渉計から出力される画素ごとの干渉信号に基づき、被加工部の加工品質を測定する加工品質測定部と、を備える。
【0011】
このワーク加工装置によれば、加工ヘッドと一体に設けられた白色干渉計を用いて被加工部の加工品質を精度よく測定することができる。
【0012】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置において、加工ヘッド及び相対移動機構を駆動して、加工ヘッドによりワークに被加工部を形成する加工制御部と、被加工部に対して白色光を照射可能な位置で白色干渉計及び走査制御部を作動させる第1測定制御部と、を備え、加工品質測定部が、加工品質として、被加工部の加工位置及び加工形状の少なくともいずれか一方を測定する。これにより、白色干渉計を用いて被加工部の加工位置及び加工形状の少なくともいずれか一方を精度よく測定することができる。
【0013】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置において、加工品質測定部の測定結果に基づき、被加工部の加工位置及び加工形状の少なくともいずれか一方を補正する補正値を決定する補正値決定部を備え、加工制御部が、補正値決定部が決定した補正値に基づき、加工ヘッド及び相対移動機構を駆動してワークに被加工部を形成する。補正値を加工ヘッドによる次の被加工部の加工にフィードバックすることで、次の被加工部の加工精度をより向上させることができる。
【0014】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置において、加工ヘッドとして第1加工ヘッド及び第2加工ヘッドを有し、加工制御部が、相対移動機構及び第1加工ヘッドを駆動して、被加工部として第1溝をワークに形成する第1加工処理と、相対移動機構及び第2加工ヘッドを駆動して、被加工部として第1溝の底部に第2溝を形成してワークを切断する第2加工処理と、を実行し、加工品質測定部が、第1溝及び第2溝の加工位置を測定する。これにより、ステップカット方式のように第1溝の底部に第2溝を形成する場合でも、この第2溝の加工位置(加工品質)を精度良く測定することができる。
【0015】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置において、被加工部が溝である場合に、加工品質測定部が、加工形状として溝の深さを測定する。これにより、溝の深さを精度良く測定することができる。
【0016】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置において、加工ヘッドによるワークの加工前に予めワークに形成された被加工部である第1溝に対して白色光を照射可能な位置で白色干渉計及び走査制御部を作動させる第2測定制御部を備え、加工品質測定部が、加工品質として第1溝の加工位置を測定し、加工品質測定部の測定結果に基づき、加工ヘッド及び相対移動機構を駆動して、第1溝の底部に第2溝を形成してワークを切断する加工制御部を備える。これにより、第1溝の加工位置を精度よく測定することができるので、加工ヘッドによる第2溝の加工精度を向上させることができる。
【0017】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置において、第2測定制御部が、ワークに対するレーザ光の照射によって形成された第1溝に対して白色光を照射可能な位置で白色干渉計及び走査制御部を作動させる。これにより、レーザ加工処理で形成された第1溝(レーザグルーブ)の加工位置を精度よく測定することができる。
【0018】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置において、加工ヘッドが、回転する円盤状のブレードによりワークを切削加工する。
【0019】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置において、加工ヘッドが、回転する円盤状のブレードによりワークを切削加工し、加工ヘッド及び相対移動機構を駆動して、ブレードによりワークに被加工部を形成する加工制御部を備え、加工品質測定部が、加工品質として、被加工部の断面形状を測定し、加工品質測定部による断面形状の測定結果に基づき、ブレードの先端形状を測定するブレード形状測定部を備える。これにより、白色干渉計を用いてブレードの先端形状を精度よく測定することができる。
【0020】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置において、加工制御部が、相対移動機構及び加工ヘッドを駆動して、被加工部として溝をワークに形成し、加工品質測定部が、溝の断面形状を測定し、ブレード形状測定部が、加工品質測定部による断面形状の測定結果に基づき、ブレードの先端形状を測定する。これにより、ブレードの先端形状を精度よく測定することができる。
【0021】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置において、テーブルを、テーブルの回転軸を中心として回転させる回転駆動機構を備え、加工制御部が、加工ヘッド、相対移動機構、及び回転駆動機構を駆動して、ワークの外周部をワークの一面側から予め定められた深さ位置まで切削除去することで、被加工部としてワークの外周部に段差部を形成し、加工品質測定部が、段差部の断面形状を測定し、ブレード形状測定部が、加工品質測定部による断面形状の測定結果に基づき、ブレードの先端形状を測定する。これにより、ブレードの先端形状を精度よく測定することができる。
【0022】
本発明の目的を達成するためのワーク加工装置の制御方法は、テーブルに保持された平板状のワークに形成されている被加工部に向けて白色光を出射し且つ被加工部で反射された白色光と参照面で反射された白色光との干渉信号を画素ごとに検出する白色干渉計を、ワークの加工を行う加工ヘッドと一体にテーブルに対して垂直な方向に相対移動させる垂直走査を行う走査制御ステップと、垂直走査の間に白色干渉計から出力される画素ごとの干渉信号に基づき、被加工部の加工品質を測定する加工品質測定ステップと、を有する。
【0023】
本発明の他の態様に係るワーク加工装置の制御方法において、加工品質測定ステップでは、回転する円盤状のブレードを有する加工ヘッドによりワークに形成された被加工部の断面形状を測定し、加工品質測定ステップでの被加工部の断面形状の測定結果に基づき、ブレードの先端形状を測定するブレード形状測定ステップを有する。
【0024】
本発明の目的を達成するためのサーバは、テーブルに保持された平板状のワークに形成されている被加工部に向けて白色光し且つ被加工部で反射された白色光と参照面で反射された白色光との干渉信号を画素ごとに検出する白色干渉計に接続する通信インターフェースと、ワークの加工を行う加工ヘッドと白色干渉計とが相対移動機構によりテーブルに対して垂直な方向に一体に相対移動される間、通信インターフェースを介して白色干渉計から画素ごとの干渉信号を取得する干渉信号取得部と、干渉信号取得部が取得した画素ごとの干渉信号に基づき、被加工部の加工品質を測定する加工品質測定部と、を備える。
【0025】
本発明の他の態様に係るサーバにおいて、加工品質測定部が、回転する円盤状のブレードを有する加工ヘッドによりワークに形成された被加工部の断面形状を測定し、加工品質測定部による断面形状の測定結果に基づき、ブレードの先端形状を測定するブレード形状測定部を備える。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、ワークに形成された被加工部の加工品質を精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1実施形態のダイシング装置の斜視図である。
【
図3】
図2に示した白色干渉計の拡大正面図である。
【
図5】第1実施形態のダイシング装置の統括制御部の機能ブロック図である。
【
図6】ミーティング切削方式を説明するための説明図である。
【
図7】ステップカット方式を説明するための説明図である。
【
図8】ステップカット方式で切削されたワークの一部の断面図である。
【
図9】加工品質測定部による溝の三次元形状の形状測定を説明するための説明図である。
【
図10】加工品質測定部による溝のY軸方向に沿った断面形状の形状測定を説明するための説明図である。
【
図11】ステップカット方式で形成された溝のカーフチェック、すなわちワーク内での溝の加工位置の測定例を説明するための説明図である。
【
図12】補正値決定部によるステップカット方式で形成された溝の加工位置の補正値Δy1,Δy2の決定を説明するための説明図である。
【
図13】第1実施形態のダイシング装置によるワークの切削加工処理の流れ、特に溝の加工品質(加工位置)の測定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図14】第2実施形態のダイシング装置によるワークの切削加工及び不図示の研削(研磨)装置によるワークの裏面研削を説明するための説明図である。
【
図15】従来のブレードの加工深さの調整方法の一例であるチョップカッターセットを説明するための説明図である。
【
図16】第2実施形態の加工品質測定部によるハーフカット溝のY軸方向に沿った断面形状の形状測定を説明するための説明図である。
【
図17】不図示のレーザ加工装置によるレーザ加工溝の形成後のワーク及び第3実施形態のダイシング装置によるワークの切削加工を説明するための説明図である。
【
図18】第3実施形態の加工品質測定部によるレーザ加工溝の三次元形状の形状測定を説明するための説明図である。
【
図19】第3実施形態の加工品質測定部によるレーザ加工溝のY軸方向に沿った断面形状の形状測定を説明するための説明図である。
【
図20】ブレードの先端形状を説明するための説明図である。
【
図21】偏摩耗したブレードによりワークの切削加工を行った場合の問題点を説明するための説明図である。
【
図22】従来のブレードの先端形状の測定を説明するための説明図である。
【
図23】第3の問題点を説明するための説明図である。
【
図24】第4実施形態のダイシング装置の統括制御部の機能ブロック図である。
【
図25】第4実施形態の加工品質測定部によるハーフカット溝のY軸方向に沿った断面形状の演算結果を説明するための説明図である。
【
図26】第4実施形態のダイシング装置によるブレードの先端形状の測定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図27】第2実施形態及び第4実施形態で説明したハーフカット溝の形成後のワークWの裏面研削により生じる課題を説明するための説明図である。
【
図28】ブレードを用いたワークのエッジ部分のトリミング処理を説明するための説明図である。
【
図29】トリミング処理後のワーク及び裏面研削後のワークの側面図である。
【
図30】ワークのエッジ部分の段差部の断面拡大図である。
【
図31】第6実施形態のダイシング装置のブレードの拡大図である。
【
図32】第6実施形態のブレードにより形成されたハーフカット溝の軸方向に沿った断面形状の演算結果を説明するための説明図である。
【
図33】第7実施形態のサーバの機能ブロック図である。
【
図34】第1の方法のカーフチェックの課題を説明するための説明図である。
【
図35】第2の方法のカーフチェックの課題を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のダイシング装置10の斜視図である。なお、図中のXYZ軸は互いに直交する軸であり、XY軸が水平方向に平行な軸であり、Z軸が水平方向に直交する軸である。
【0029】
ダイシング装置10は、本発明のワーク加工装置に相当するものであり、半導体ウェーハ等の平板状のワークWを切削加工する。このダイシング装置10は、ロードポート12と搬送機構14と加工部16と洗浄部18とを備える。
【0030】
ロードポート12には、フレームFにマウントされたワークWを多数枚収納したカセットが載置される。搬送機構14はワークWを搬送する。加工部16はワークWのダイシング加工を行う。洗浄部18はダイシング加工済みのワークWをスピン洗浄する。また、ダイシング装置10の筐体10Aの内部には、ダイシング装置10の各部の動作を制御する統括制御部60(
図5参照)等が設けられている。なお、統括制御部60が筐体10Aの外部に設けられていてもよい。
【0031】
ロードポート12に載置されたカセット内に収納されている未加工(未切削)のワークWは、搬送機構14により加工部16に搬送され、個々のチップに分断するために加工部16にて切断あるいは溝入れ加工等の切削加工が施される。そして、加工部16による加工済みのワークWは搬送機構14により洗浄部18に搬送され、洗浄部18により洗浄された後、搬送機構14によりロードポート12に搬送されてカセット内に収納される。
【0032】
図2は、加工部16の外観斜視図である。
図2及び既述の
図1に示すように、加工部16は、既述のツインスピンドルダイサであり、一対のブレード21A,21Bと、ブレードカバー(不図示)と、一対のスピンドル22A,22Bと、顕微鏡23と、白色干渉計24と、テーブル31と、を備える。
【0033】
ブレード21A,21Bは円盤状に形成されている。また、ブレード21A,21Bの先端形状、すなわちブレード21A,21Bの径方向に沿ったブレード外周部(刃先部)の断面形状は矩形状である。ブレード21A,21Bは、Y軸方向において対向配置されており、それぞれY軸方向に平行なブレード回転軸を中心として回転自在にスピンドル22A,22Bに保持されている。
【0034】
スピンドル22A,22Bは、高周波モータを内蔵しており、ブレード回転軸を中心としてブレード21A,21Bを高速回転させる。これにより、ブレード21A,21BによりワークWがそのおもて面側から切削加工される。このため、ブレード21A及びスピンドル22Aは本発明の第1加工ヘッド(加工ヘッド)に相当する。また、ブレード21B及びスピンドル22Bは本発明の第2加工ヘッド(加工ヘッド)に相当する。
【0035】
ブレード21AによるワークWの切削加工によって本発明の被加工部に相当する溝25A(
図6及び
図7参照)がワークWに形成される。また、ブレード21BによるワークWの切削加工によって本発明の被加工部に相当する溝25B(
図6及び
図7参照)がワークWに形成される。
【0036】
顕微鏡23は、スピンドル22Aと一体にZキャリッジ44に設けられており、Yキャリッジ43及びZキャリッジ44によってスピンドル22Aと一体にYZ軸方向に移動自在に保持されている。顕微鏡23は、図示は省略するが撮影光学系と撮像素子とを有する撮影装置[例えばCOMS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ]である。なお、顕微鏡23が撮影倍率の異なる高倍率顕微鏡及び低倍率顕微鏡で構成されていてもよい。顕微鏡23は、ワークWの切削加工時にはワークWのおもて面を撮影する。この顕微鏡23によるワークWの撮影画像は、ワークWとブレード21A,21Bとのアライメントに用いられる。
【0037】
図3は、
図2に示した白色干渉計24の拡大正面図である。
図3及び既述の
図2に示すように、白色干渉計24は、スピンドル22Bと一体にZキャリッジ44に設けられており、Yキャリッジ43及びZキャリッジ44によってYZ軸方向に移動自在に保持されている。白色干渉計24は、ブレード21A,21BによりワークWに形成された溝25A,25B(
図6及び
図7参照)の加工品質の測定に用いられる。また、白色干渉計24は、この加工品質の測定時においてZキャリッジ44を介してテーブル31(ワークW)に垂直なZ軸方向に垂直走査(以下、単に垂直走査という)される。
【0038】
テーブル31は、ポーラス状(多孔質状)に形成されたワーク保持面31aを有しており、このワーク保持面31aによりワークWをその裏面側から吸着保持する。なお、テーブル31は、後述のXキャリッジ36によりX軸方向に移動自在に保持され、且つ後述の回転ユニット37により回転軸CAを中心として回転自在に保持されている。
【0039】
加工部16には、Xベース32と、Xガイド34と、X駆動部35と、Xキャリッジ36と、回転ユニット37と、が設けられている。Xベース32は、X軸方向に延びた平板形状を有しており、且つそのZ軸方向の上面にはXガイド34が設けられている。Xガイド34は、X軸方向に延びた形状を有し、Xキャリッジ36をX軸方向に沿ってガイドする。X駆動部35は、例えばリニアモータ等のアクチュエータが用いられ、Xガイド34に沿ってXキャリッジ36をX軸方向に移動(駆動)する。
【0040】
回転ユニット37は、Xキャリッジ36の上面に設けられている。また、回転ユニット37の上面には、テーブル31が設けられている。回転ユニット37は、モータ及びギヤ等により構成される回転駆動部38(
図5参照)によって回転駆動される。これにより、回転ユニット37は、テーブル31をその回転軸CAを中心としてθ方向に回転させる。なお、回転駆動部38は、本発明の回転駆動機構に相当する。
【0041】
搬送機構14によりロードポート12から搬送されたワークWは、テーブル31により吸着保持されることで、テーブル31と一体に移動及び回転する。
【0042】
また、加工部16には、Yベース41と、Yガイド42と、一対のYキャリッジ43と、一対のZキャリッジ44と、が設けられている。Yベース41は、Y軸方向においてXベース32を跨ぐような門型形状を有している。このYベース41のX軸方向の側面には、Yガイド42が設けられている。Yガイド42は、Y軸方向に延びた形状を有し、一対のYキャリッジ43をそれぞれY軸方向に沿ってガイドする。一対のYキャリッジ43は、例えばステッピングモータ及びボールスクリュー等により構成されるアクチュエータであるY駆動部46(
図5参照)により、Yガイド42に沿って独立して駆動される。
【0043】
一対のYキャリッジ43の各々には、ステッピングモータ等のアクチュエータにより構成されるZ駆動部48(
図5参照)を介して、Zキャリッジ44がZ軸方向に移動自在に設けられている。そして、Zキャリッジ44の一方にはスピンドル22A及び顕微鏡23が設けられ、且つZキャリッジ44の他方にはスピンドル22B及び白色干渉計24が設けられている。
【0044】
Xキャリッジ36、回転ユニット37、各Yキャリッジ43、及び各Zキャリッジ44を駆動することで、テーブル31及びワークWに対してブレード21A,21B、顕微鏡23、及び白色干渉計24をXYZ軸方向及びθ方向に相対移動させることができる。
【0045】
図4は、白色干渉計24の断面図である。
図4に示すように、白色干渉計24は、所謂ミラウ型白色干渉計であり、ハウジング50と、白色光源51と、第1ビームスプリッタ52と、対物レンズ53と、ガラスプレート54と、第2ビームスプリッタ55と、撮像ユニット56と、を備える。
【0046】
ハウジング50は、第1ビームスプリッタ52と、対物レンズ53と、ガラスプレート54と、第2ビームスプリッタ55と、を収納する。このハウジング50内において、Z軸方向の下方側から上方側に向かって第2ビームスプリッタ55、ガラスプレート54、対物レンズ53、及び第1ビームスプリッタ52が設けられている。また、ハウジング50の側面で且つ第1ビームスプリッタ52の側方側には、白色光源51が取り付けられている。さらに、ハウジング50の上面で且つ第1ビームスプリッタ52の上方側には、撮像ユニット56が取り付けられている。
【0047】
白色光源51は、白色干渉計24が1垂直走査(複数回でも可)される間、第1ビームスプリッタ52に向けて白色光L1(可視光線の各波長域の光が混ざった光)を出射する。第1ビームスプリッタ52は、白色光源51から入射した白色光L1の一部を対物レンズ53に向けて反射する。また、第1ビームスプリッタ52は、対物レンズ53から入射した干渉信号L4の一部を透過してこの一部を撮像ユニット56に向けて出射する。
【0048】
対物レンズ53は、第1ビームスプリッタ52から入射した白色光L1をワークWの集光点Pに集光させる。集光点P(集光スポット)の直径については特に限定はされない。
【0049】
ガラスプレート54は、その中央部に参照面として機能するミラー54aを備える。ガラスプレート54(ミラー54aを除く)は、対物レンズ53から入射した白色光L1をそのまま透過して第2ビームスプリッタ55に向けて出射する。
【0050】
第2ビームスプリッタ55は、対物レンズ53によって集光された白色光L1を測定光L2と参照光L3とに分割し、測定光L2を透過してワークWに照射すると共に参照光L3をミラー54aに向けて反射する。ワークWに照射された測定光L2は、ワークWにて反射されて第2ビームスプリッタ55に入射する。また、ミラー54aで反射された参照光L3は、第2ビームスプリッタ55に入射し且つこの第2ビームスプリッタ55にてその一部が反射される。これにより、測定光L2と参照光L3との干渉信号L4(干渉光)が生成される。この干渉信号L4は、ガラスプレート54、対物レンズ53、及び第1ビームスプリッタ52を経て撮像ユニット56に入射する。
【0051】
参照光L3の光路長は一定であるが、測定光L2の光路長は白色干渉計24の垂直走査に応じて変化する。なお、公知のように、測定光L2及び参照光L3の光路長差がゼロ(ほぼゼロを含む)となる場合に、可視光線の全ての波長域における測定光L2及び参照光L3の干渉が強め合うため、干渉信号L4の信号強度が最大となる(例えば特開2017-106860号公報参照)。
【0052】
撮像ユニット56は、複数の画素(受光素子)がXY軸方向に2次元配列されたCCD(Charge Coupled Device)型又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の2次元撮像素子を備える。この撮像ユニット56は、白色干渉計24が1垂直走査(複数回でも可)される間、第1ビームスプリッタ52から入射した干渉信号L4を画素ごとに撮像することで、画素ごとに干渉信号L4を検出(取得)して画素ごとの干渉信号L4を統括制御部60(
図5参照)へ出力する。
【0053】
[統括制御部の機能]
図5は、第1実施形態のダイシング装置10の統括制御部60の機能ブロック図である。
図5に示すように、統括制御部60は、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成された演算回路を備える。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、統括制御部60の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
【0054】
統括制御部60には、既述のスピンドル22A,22B、顕微鏡23、白色干渉計24、X駆動部35、回転駆動部38、Y駆動部46、及びZ駆動部48などの他に、操作部62、記憶部64、及び表示部66等が接続されている。
【0055】
操作部62は、キーボード、マウス、操作パネル、及び操作ボタン等が用いられ、オペレータによる各種操作の入力を受け付ける。記憶部64は、ダイシング装置10の制御プログラム(図示は省略)を記憶すると共に、後述の加工品質測定部82による測定結果等を記憶する。表示部66は、例えば液晶ディスプレイ等の公知の各種モニタが用いられる。この表示部66は、加工品質測定部82による測定結果、及びダイシング装置10の各種の設定画面などを表示する。
【0056】
統括制御部60は、記憶部64に記憶されている不図示の制御プログラムを実行することで、ブレード駆動制御部70、移動制御部72、撮影制御部74、検出制御部76、加工制御部78、測定制御部80、加工品質測定部82、及び補正値決定部84として機能する。なお、統括制御部60(後述のサーバ200も同様)の「~部」として説明するものは「~回路」、「~装置」、又は「~機器」であってもよい。すなわち、「~部」として説明するものは、ファームウェア、ソフトウェア、及びハードウェアまたはこれらの組み合わせのいずれで構成されていてもよい。
【0057】
ブレード駆動制御部70は、スピンドル22A,22Bによるブレード21A,21Bの回転駆動を制御する。
【0058】
移動制御部72は、X駆動部35(Xキャリッジ36)、回転駆動部38(回転ユニット37)、Y駆動部46(Yキャリッジ43)、及びZ駆動部48(Zキャリッジ44)を含む相対移動機構49を駆動することで、テーブル31及びワークWに対してブレード21A,21B、顕微鏡23、及び白色干渉計24を相対移動させる。
【0059】
例えば移動制御部72は、ワークWとブレード21A,21Bとのアライメント前には、相対移動機構49を駆動して、ワークWの所定のアライメント基準を撮影可能な位置への顕微鏡23の位置調整を実行させる。ここでいうアライメント基準とは、ダイシング装置10がワークWのストリートC(
図6等参照、分割予定ラインともいう)の位置を認識するための基準であり、例えば認識マーク等が用いられる。
【0060】
また、移動制御部72は、ワークWとブレード21A,21Bとのアライメント実行時には、相対移動機構49を駆動して、ブレード21A,21BとワークWの加工開始位置との位置合わせを実行させる。
【0061】
さらに、移動制御部72は、ブレード21A,21BによるワークWの切削加工時には、相対移動機構49を駆動して、ワークWのX方向への切削送りと、ブレード21A,21BのY軸方向のインデックス送り及びZ軸方向の切込み送りと、を実行させる。
【0062】
さらにまた、移動制御部72は、ブレード21A,21BによりワークWに形成された溝25A,25B(
図6及び
図7参照)の加工品質の測定時には、相対移動機構49を駆動して、白色干渉計24の位置調整と垂直走査とを実行させる。このため、移動制御部72は、本発明の走査制御部として機能する。
【0063】
撮影制御部74は、顕微鏡23によるワークWの撮影を制御する。この撮影制御部74は、既述の顕微鏡23の位置調整後に、顕微鏡23によるワークWの撮影を実行させる。これにより、顕微鏡23からワークWの撮影画像が検出制御部76へ出力される。
【0064】
検出制御部76は、顕微鏡23から入力されたワークWの撮影画像に基づき、この撮影画像内のアライメント基準を公知の画像認識法で検出することにより、ワークWのストリートC(
図6及び
図7参照)の位置を検出するアライメント検出を行う。そして、検出制御部76は、アライメント検出結果を加工制御部78へ出力する。
【0065】
加工制御部78は、検出制御部76によるアライメント検出結果に基づき、ブレード駆動制御部70及び移動制御部72を介してスピンドル22A,22B及び相対移動機構49を駆動して、ワークWのストリートC(
図6参照)ごとにブレード21A,21Bによる切削加工を行う。ここで、本実施形態のダイシング装置10は所謂ツインスピンドルダイサであるので、加工制御部78は、ワークWの切削方式として例えばミーティング切削方式及びステップカット方式を選択的に実行する。なお、切削方式の選択は操作部62にて実行される。
【0066】
図6は、ミーティング切削方式を説明するための説明図である。
図6に示すように、ミーティング切削方式では、スピンドル22A,22Bに同形状(同一の厚み)のブレード21A,21Bが装着される。加工制御部78は、検出制御部76によるアライメント検出結果に基づき、ブレード駆動制御部70及び移動制御部72を介してスピンドル22A,22B及び相対移動機構49を駆動して、2本のストリートCごとに同時加工処理を繰り返し実行する。
【0067】
同時加工処理は、同形状の2枚のブレード21A,21Bにより一度に2本のストリートCを切削加工して、ブレード21Aによる溝25Aの形成とブレード21Bによる溝25Bの形成とを同時に行う処理である。なお、ミーティング切削方式で形成される溝25A,25Bは互いに略同形状の所謂フルカット溝である。ミーティング切削方式では、ワークWの切削加工範囲を2つに分けてそれぞれの範囲を互いに異なるブレード21A,21Bに分担させることができるので、ワークWの加工時間を短縮させることができる。
【0068】
図7は、ステップカット方式を説明するための説明図である。
図8は、ステップカット方式で切削されたワークWの一部の断面図である。
図7及び
図8に示すように、ステップカット方式は、ワークWが、シリコン等の基板の表面に低誘電率絶縁体被膜(Low-k膜)と回路を形成する機能膜とを積層した積層体である場合に選択される。このステップカット方式では、スピンドル22A,22Bに厚みの異なるブレード21A,21B(同形状のブレード21A,21Bでも可)が装着される。そして、ステップカット方式では、ブレード21A,21BによりストリートCごとに溝25A,25Bを形成する。
【0069】
具体的には加工制御部78は、検出制御部76によるアライメント検出結果に基づき、ブレード駆動制御部70及び移動制御部72を介してスピンドル22A,22B及び相対移動機構49をそれぞれ駆動して、ストリートCごとに第1加工処理及び第2加工処理を繰り返し実行する。
【0070】
第1加工処理は、例えば幅50μm前後の幅広のブレード21AによりストリートCを切削加工して、このストリートCに沿って所定の深さの溝25A(本発明第1溝に相当)を形成する処理である。溝25Aは、ステップカット方式では所謂ハーフカット溝となる。これにより、ストリートC上のLow-k膜等が除去される。
【0071】
第2加工処理は、例えば幅30μm前後の狭幅のブレード21Bで溝25Aの底部を切削して溝25Bを形成する処理である。溝25Bは、ステップカット方式では溝25Aよりも狭幅の所謂フルカット溝となる。これにより、ワークWがストリートCに沿って分割される。
【0072】
測定制御部80は、本発明の第1測定制御部に相当し、ブレード21A,21BによりワークWに形成された溝25A,25Bの加工品質の測定時に移動制御部72及び白色干渉計24を作動させる。
【0073】
測定制御部80は、既述のミーティング切削方式が選択された場合には、最初に移動制御部72を介して相対移動機構49を駆動して、ワークWの測定対象の溝25Aに対して測定光L2を照射可能な位置に白色干渉計24を相対移動させる位置調整を実行する。ここで、ブレード21A,21BによりワークWに形成された溝25A,25Bの位置は既知である。このため、測定制御部80は、既知の溝25Aの位置に基づき、相対移動機構49を駆動して溝25Aに対する白色干渉計24の位置調整を行う。これにより、溝25Aをサーチする手間が省略される。なお、白色干渉計24から出射される測定光L2のスポット径が十分に大きい等の理由で、白色干渉計24の位置調整を実行しなくとも測定光L2の照射範囲内(スポット内)に溝25Aが存在している場合にはこの位置調整を省略してもよい。
【0074】
次いで、測定制御部80は、測定光L2を溝25Aに対して照射可能な位置で白色干渉計24(白色光源51及び撮像ユニット56)を作動させる。これにより、白色干渉計24から溝25Aに対して測定光L2が照射されると共に、撮像ユニット56からその画素ごとの干渉信号L4が出力される。また、測定制御部80は、白色干渉計24による測定光L2の照射及び画素ごとの干渉信号L4の出力が行われている間、移動制御部72を介して相対移動機構49を駆動して白色干渉計24を垂直走査させる。
【0075】
また同様に、測定制御部80は、移動制御部72及び白色干渉計24を制御して、溝25Bに対する白色干渉計24の位置調整と、白色干渉計24の作動及び垂直走査と、を実行する。
【0076】
一方、測定制御部80は、既述のステップカット方式が選択された場合には、移動制御部72及び白色干渉計24を制御して、同一のストリートCに沿った溝25A,25Bに対する白色干渉計24の位置調整と、白色干渉計24の作動及び垂直走査と、を実行する。
【0077】
加工品質測定部82は、不図示の通信インターフェースを介して、白色干渉計24から撮像ユニット56の画素ごとの1垂直走査分の干渉信号L4を取得する。これにより、加工品質測定部82は、既述のミーティング切削方式が選択された場合には、溝25A,25Bごとに白色干渉計24から既述の画素ごとの1垂直走査分の干渉信号L4(以下、単に「干渉信号L5A」と略す)を取得する。また、加工品質測定部82は、既述のステップカット方式が選択された場合には、白色干渉計24から既述の画素ごとの1垂直走査分の干渉信号L4であって且つ同一のストリートCに沿った溝25A,25Bに対応する干渉信号L4(以下、単に「干渉信号L5B」と略す)を取得する。
【0078】
そして、加工品質測定部82は、白色干渉計24から取得した干渉信号L5A又は干渉信号L5Bに基づき、ワークWに形成された溝25A,25Bの加工品質(加工状態ともいう)を測定する所謂カーフチェックを行う。なお、第1実施形態における溝25A,25Bの加工品質とは、溝25A,25Bの加工位置、すなわちY軸方向位置である。
【0079】
図9は、加工品質測定部82による溝25A,25Bの三次元形状の形状測定を説明するための説明図である。
図10は、加工品質測定部82による溝25A,25BのY軸方向に沿った断面形状の形状測定を説明するための説明図である。なお、
図9及び
図10では、既述の
図7等で説明したステップカット方式により形成された溝25A,25Bの形状測定(カーフチェック)を例に挙げて説明を行う。
【0080】
図9、
図10、及び既述の
図5に示すように、加工品質測定部82は、干渉信号L5Bに基づき、撮像ユニット56の画素ごとの高さ、すなわち各画素にそれぞれ対応するワークW(溝25A,25Bの内面、ワークWのおもて面)の対応位置のZ軸方向の高さを演算する。なお、この高さ位置の演算方法は公知技術であるので、ここでは具体的な説明は省略する。これにより、加工品質測定部82は、
図9に示したような溝25A,25Bの三次元形状を示す三次元形状情報86を生成することができる。また、加工品質測定部82は、
図10に示したような溝25A,25BのY軸方向に沿った断面形状を示す断面形状情報88も生成することができる。
【0081】
またこの際に、検出制御部76によるアライメント検出結果に基づきワークWと白色干渉計24との位置関係は既知である。このため、加工品質測定部82は、垂直走査時の白色干渉計24のXY軸方向の位置座標に基づき、撮像ユニット56の各画素にそれぞれ対応するワークWの対応位置のXY軸方向の位置座標(以下、ワーク対応位置座標と略す)も同時に演算可能である。これにより、三次元形状情報86及び断面形状情報88の少なくとも一方と、ワーク対応位置座標とに基づいて、ワークW内での溝25A,25Bの加工位置が個別に求められる。
【0082】
図11は、ステップカット方式で形成された溝25A,25Bのカーフチェック、すなわちワークW内での溝25A,25Bの加工位置の測定例を説明するための説明図である。
図11に示すように、加工品質測定部82は、三次元形状情報86及び断面形状情報88の少なくとも一方と、ワーク対応位置座標とに基づき、ワークW内での溝25AのY軸方向の溝中心位置CL1を演算すると共に、溝25BのY軸方向の溝中心位置CL2を演算する。溝中心位置CL1は溝25Aの加工位置に相当し、溝中心位置CL2は溝25Bの加工位置に相当する。
【0083】
そして、加工品質測定部82は、溝25Aの加工位置(溝中心位置CL1)及び溝25Bの加工位置(溝中心位置CL2)の測定結果を、補正値決定部84、記憶部64、及び表示部66へ出力する。これにより、溝25A,25Bの加工位置の測定結果が記憶部64に記憶されると共に表示部66に表示される。
【0084】
図12は、補正値決定部84によるステップカット方式で形成された溝25A,25Bの加工位置の補正値Δy1,Δy2の決定を説明するための説明図である。
【0085】
図12及び既述の
図5に示すように、補正値決定部84は、ブレード21Aによる溝25Aの加工位置をY軸方向に補正する補正値Δy1と、ブレード21Bによる溝25Bの加工位置をY軸方向に補正する補正値Δy2と、を決定する。
【0086】
具体的には補正値決定部84には、ワークWの種類に対応した溝25A,25Bの加工位置の目標値、例えばワークW内でのストリートCのY軸方向位置が予め設定されている。これにより、補正値決定部84は、加工品質測定部82による溝25Aの加工位置の測定結果(溝中心位置CL1)と、溝25Aの加工位置の目標値と、に基づき補正値Δy1を決定する。また、補正値決定部84は、加工品質測定部82による溝25Bの加工位置の測定結果(溝中心位置CL2)と、溝25Bの加工位置の目標値と、に基づき補正値Δy2を決定する。
【0087】
そして、補正値決定部84は、決定した補正値Δy1,Δy2を既述の加工制御部78へ出力する。これにより、加工制御部78は、補正値決定部84から入力された補正値Δy1,Δy2に基づき、ブレード21A,21BによりワークWの新たなストリートCに形成する溝25A,25Bの加工位置(Y軸方向位置)を補正する。
【0088】
なお、ミーティング切削方式により形成された溝25A,25Bの加工位置(加工品質)の測定方法及び補正値Δy1,Δy2の決定方法は、既述のステップカット方式と基本的に同じである。この場合には、加工品質測定部82が干渉信号L5A等に基づき溝25A,25Bごとの加工位置(溝中心位置CL1,CL2)を測定し、その測定結果に基づき補正値決定部84が補正値Δy1,Δy2を決定する。
【0089】
[第1実施形態の作用]
図13は、本発明のワーク加工装置の制御方法に相当する上記構成の第1実施形態のダイシング装置10によるワークWの切削加工処理の流れ、特に溝25A,25Bの加工品質(加工位置)の測定処理の流れを示すフローチャートである。
【0090】
図13に示すように、ワークWがテーブル31に吸着保持されると、統括制御部60の移動制御部72、撮影制御部74、及び検出制御部76が作動する。これにより、移動制御部72が相対移動機構49を駆動して顕微鏡23を位置調整し、この位置調整後に撮影制御部74の制御の下で顕微鏡23がワークWのアライメント基準を撮影し、さらに検出制御部76が顕微鏡23によるアライメント基準の撮影画像に基づきアライメント検出を実行する(ステップS1)。
【0091】
アライメント検出が完了すると、このアライメント検出結果に基づき移動制御部72が相対移動機構49を駆動して加工対象のストリートCとブレード21A,21Bとの位置合わせ(アライメント)を行う。
【0092】
次いで、加工制御部78が、ブレード駆動制御部70及び移動制御部72を介して各スピンドル22A,22B及び相対移動機構49を駆動して、ミーティング切削方式(
図6参照)或いはステップカット方式(
図7参照)によりストリートCをブレード21A,21Bにより切削加工する(ステップS2)。これにより、ストリートCに沿って溝25A,25Bが形成される。以下、溝25A,25Bの加工品質(ここでは加工位置)の測定が開始されるまで、ステップS2が繰り返し実行される(ステップS3でNO)。なお、最初の溝25A,25Bをそれぞれ形成した後、速やかにステップS4に移行してもよい。
【0093】
溝25A,25Bの加工品質の測定開始する場合(ステップS3でYES)、最初に測定制御部80が、既知の溝25A,25Bの位置に基づき移動制御部72を介して相対移動機構49を駆動して、溝25A,25Bに対して測定光L2を照射可能な位置に白色干渉計24を位置調整する(ステップS4)。これにより、白色干渉計24の位置調整を速やかに実行することができる。この位置調整後、測定制御部80が白色干渉計24を作動させる(ステップS5)。これにより、白色干渉計24から溝25A,25Bに対して測定光L2が照射されると共に、撮像ユニット56からその画素ごとの干渉信号L4が加工品質測定部82へ出力される。
【0094】
また、測定制御部80が、白色干渉計24による測定光L2の照射及び干渉信号L4の出力が行われている間、移動制御部72を介して相対移動機構49を駆動して白色干渉計24を垂直走査させる(ステップS6、本発明の走査制御ステップに相当)。これにより、加工品質測定部82が干渉信号L5A(ミーティング切削方式)又は干渉信号L5B(ステップカット方式)を取得する(ステップS7)。
【0095】
そして、加工品質測定部82が、白色干渉計24から取得した干渉信号L5A又は干渉信号L5Bに基づき、既述の
図9及び
図10に示したように溝25A,25Bの三次元形状情報86及び断面形状情報88のいずれか一方を生成する。また、加工品質測定部82が、検出制御部76によるアライメント検出結果と、垂直走査時の白色干渉計24のXY軸方向の位置座標とに基づき、既述のワーク対応位置座標を演算する。
【0096】
次いで、加工品質測定部82が、三次元形状情報86及び断面形状情報88の少なくとも一方と、ワーク対応位置座標とに基づき、既述の
図11に示したように溝25A,25Bの加工品質としてその加工位置(溝中心位置CL1,CL2)を演算する。これにより、溝25A,25Bの加工位置の測定(カーフチェック)が完了する(ステップS8、本発明の加工品質測定ステップに相当)。そして、加工品質測定部82が、溝25A,25Bの加工位置の測定結果を補正値決定部84、記憶部64、及び表示部66へ出力する。
【0097】
このように本実施形態では、白色干渉計24を用いて溝25A,25Bの断面形状を取得可能であるので、従来のように顕微鏡23により撮影された溝25A,25Bの撮影画像を解析することなく、溝25A,25Bの加工位置(加工品質)を測定することができる。これにより、ステップカット方式のように溝25Aの底部に溝25Bを形成する場合、すなわち顕微鏡23の撮影画像に基づいた溝25Bの加工位置の判別が困難である場合でも溝25Bの加工位置を精度良く測定することができる。
【0098】
また、本実施形態では、既述の
図35に示したようなワークWの未切削箇所に対して狭幅のブレード21Bにより溝25Bを形成する所謂ステップカーフチェックを行うことなく、実際のステップカット方式で形成された溝25Bのカーフチェックを行うことができる。このため、溝25Bの加工位置を精度良く測定することができる。
【0099】
溝25A,25Bの加工位置の測定(カーフチェック)が完了すると、補正値決定部84が、既述の
図12に示したように、溝25A,25Bの加工位置の測定結果(溝中心位置CL1,CL2)とその加工位置の目標値とに基づき、溝25A,25Bごとの加工位置の補正値Δy1,Δy2を決定する(ステップS9)。次いで、補正値決定部84が補正値Δy1,Δy2の決定結果を加工制御部78へ出力する。
【0100】
そして、加工制御部78が、補正値Δy1,Δy2に基づき、ブレード駆動制御部70及び移動制御部72を介してスピンドル22A,22B及び相対移動機構49を駆動して、ミーティング切削方式又はステップカット方式による次以降のストリートCの切削加工を実行する(ステップS100)。これにより、ブレード21A,21Bごとに、次以降のストリートCの目標位置(設計位置)からY軸方向に補正値Δy1,Δy2だけシフトした位置を切削加工することができる。その結果、次以降のストリートCに沿って高精度に溝25A,25Bを形成することができる。
【0101】
[第1実施形態の効果]
以上のように第1実施形態のダイシング装置10では、白色干渉計24を用いて溝25A,25Bの断面形状を精度よく測定可能であるので、この断面形状の測定結果に基づき溝25A,25Bの加工位置(加工品質)を精度良く測定することができる。特にステップカット方式のように溝25Aの底部に溝25Bを形成する場合でも、この溝25Bの加工位置(加工品質)を精度良く測定することができる。
【0102】
また、第1実施形態では、ブレード21Bの相対移動機構49(Zキャリッジ44及びZ駆動部48)を利用して白色干渉計24の垂直走査を実行可能であるので、別途に専用の走査機構を設ける必要がなく低コスト化が図れる。さらに、第1実施形態では、ブレード21Bと白色干渉計24とを一体にZキャリッジ44に設けることで、従来のアライメント検出法を利用して、ワークWの溝25A,25B(被加工部)に対する白色干渉計24の位置調整を実行することができる。
【0103】
[第2実施形態]
図14は、第2実施形態のダイシング装置10によるワークWの切削加工及び不図示の研削(研磨)装置によるワークWの裏面研削を説明するための説明図である。上記第1実施形態では、ダイシング装置10によるワークWの切削加工で各ストリートCを完全に切断(分離)している。これに対して、
図14の符号XIVAに示すように、第2実施形態のダイシング装置10によるワークWの切削加工では、ブレード21A,21Bにより各ストリートCを完全に切断せずに各ストリートCを一定量切り残す所謂ハーフカットを行ってハーフカット溝90A,90B(被加工部に相当)を形成する。なお、ブレード21Aにより形成されるハーフカット溝90Aと、ブレード21Bにより形成されるハーフカット溝90Bと、は略同形状である。
【0104】
そして、
図14の符号XIVBに示すようにダイシング装置10とは別途の研削装置によりワークWの裏面研削を行って切り残した部分を除去することで、
図14の符号XIVCに示すように各ストリートCを完全に切断する。
【0105】
このようにダイシング装置10で各ストリートCのハーフカットを行う場合には、仮にブレード21A,21BによるストリートCの加工深さ(切り込み深さ又は切削深さともいう)が足りなくなると、ワークWの裏面研削を行ったとしてもワークWを切断することができずに切断不良が発生してしまう。また逆にブレード21A,21BによりストリートCを深く切削すぎると、ワークWの裏面研削前にワークWが割れてしまう。従って、ブレード21A,21Bの切り込み深さの精度が低いと、特に総厚の薄いデバイスの生産(厚みの薄いワークWの加工)で歩留まりが悪化してしまう。
【0106】
さらに、ブレード21A,21Bは、摩耗によって直径が変化したり、温度変化によりそのZ軸方向の高さ位置が変化したりする。従って、各ストリートC(ワークW)に対するブレード21A,21BのZ軸方向の加工深さの高精度制御が重要になる。
【0107】
図15は、従来のブレード21A,21Bの加工深さの調整方法の一例であるチョップカッターセット(例えば特開2017-164843号公報参照)を説明するための説明図である。
図15に示すように、チョップカッターセットでは、テーブル31に保持されているワークWの近傍にダミーワークWAを配置し、このダミーワークWAとワークWとの相対高さを高精度なセンサ(エアマイクロゲージ等)で測定した上で、ブレード21A,21BによりダミーワークWAにチョップカット(チョップ加工)を行ってチョップカット痕92(カーフ)を形成する。
【0108】
そして、ブレード21A,21Bごとに形成されたチョップカット痕92を顕微鏡23で撮影した撮影画像に基づき、各チョップカット痕92の長さcxを測定する。次いで、各チョップカット痕92の長さcxと既知のブレード21A,21Bの直径とに基づきブレード21A,21Bの加工深さを演算し、この演算結果に基づきブレード21A,21Bの加工深さの補正(調整)を行っている。
【0109】
しかしながら、このチョップカッターセットでは、以下の2つの問題点が生じる。第1の問題点は、チョップカッターセットでは各チョップカット痕92の加工深さを直接的に測定していないため、チョップカッターセットから実際の切削加工に至るまでの間の微小な誤差が累積的にブレード21A,21Bの加工深さの精度に影響する。この場合には、ブレード21A,21Bの加工深さの誤差に繰り返し性があれば固定的に補正することができるが、誤差にバラつきがあると絶対的なブレード21A,21Bの加工深さの精度に悪影響を与えてしまう(補正限界が低くなる)。
【0110】
第2の問題点は、チョップカッターセットでは実際のワークWをブレード21A,21Bで切削加工しておらず、実際のワークWに形成されたハーフカット溝90A,90Bの加工深さを測定してはいない。このため、ブレード21A,21Bの加工深さの補正値をダイシング装置10にフィードバックするためには、ワークWの加工完了後に別のダミーワークWAをチョップカットすると共に別途の検査装置で長さcxを測定した結果をダイシング装置10に入力する必要があった。
【0111】
そこで、第2実施形態のダイシング装置10では、白色干渉計24を用いてワークWに形成されたハーフカット溝90A,90Bの加工深さcz1,cz2(
図16参照)を測定する。なお、第2実施形態では加工深さcz1,cz2と同時にハーフカット溝90A,90Bの加工幅cy1,cy2の測定も行う。ここで、ハーフカット溝90A,90Bの加工幅cy1,cy2及び加工深さcz1,cz2は、本発明の被加工部の加工品質(加工形状)に相当する。
【0112】
第2実施形態のダイシング装置10は、上記第1実施形態のダイシング装置10と基本的に同じ構成であるので上記第1実施形態と能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0113】
第2実施形態の加工制御部78は、ブレード駆動制御部70及び移動制御部72を介して各スピンドル22A,22B及び相対移動機構49を駆動して、ミーティング切削方式によりワークWの各ストリートCをブレード21A,21Bによる同時加工処理で切削加工する。これにより、2本のストリートCごとにハーフカット溝90A,90Bが形成される。
【0114】
第2実施形態の測定制御部80は、白色干渉計24及び相対移動機構49を制御して、ハーフカット溝90A,90Bごとに、白色干渉計24の位置調整と、白色干渉計24の作動及び垂直走査と、を実行する。これにより、第2実施形態の加工品質測定部82が、撮像ユニット56から干渉信号L5Aをハーフカット溝90A,90Bごとに取得する。
【0115】
図16は、第2実施形態の加工品質測定部82によるハーフカット溝90A,90BのY軸方向に沿った断面形状の形状測定を説明するための説明図である。
図16に示すように、第2実施形態の加工品質測定部82は、白色干渉計24から取得したハーフカット溝90A,90Bごとの干渉信号L5Aに基づき、上記第1実施形態と同様にハーフカット溝90A,90Bの断面形状情報88をそれぞれ生成する。
【0116】
次いで、加工品質測定部82は、ハーフカット溝90A,90Bの断面形状情報88に基づき、ハーフカット溝90A,90Bの加工品質(加工形状)として、ハーフカット溝90Aの加工幅cy1及び加工深さcz1を演算すると共に、ハーフカット溝90Bの加工幅cy2及び加工深さcz2を演算する。ここで加工深さcz1,cz2は、それぞれ加工幅cy1,cy2の中心位置におけるハーフカット溝90A,90BのZ軸方向の深さである。なお、ハーフカット溝90A,90BのZ軸方向の最下点までの深さを加工深さcz1,cz2としてもよい。そして、加工品質測定部82は、ハーフカット溝90A,90Bごとの加工深さcz1,cz2の測定結果を、補正値決定部84、記憶部64、及び表示部66へ出力する。
【0117】
第2実施形態の補正値決定部84は、加工品質測定部82による加工深さcz1,cz2の測定結果と、ワークWの種類に対応したハーフカット溝90A,90Bの加工深さcz1,cz2の目標値tzとに基づき、ブレード21Aに対応する加工深さcz1の補正値Δz1とブレード21Bに対応する加工深さcz2の補正値Δz2を決定する。
【0118】
また、補正値決定部84は、決定した補正値Δz1,Δz2を加工制御部78へ出力する。これにより、加工制御部78は、補正値決定部84から入力された補正値Δz1,Δz2に基づき、相対移動機構49等を制御して、ブレード21A,21BによりワークWの新たなストリートCに形成するハーフカット溝90A,90Bの加工深さcz1,cz2を補正する。
【0119】
なお、第2実施形態のダイシング装置10によるワークWの切削加工処理の流れ、特にハーフカット溝90A,90Bの加工品質(加工深さcz1,cz2)の測定処理の流れは、基本的には既述の
図13に示した第1実施形態の切削加工処理の流れと同じであるので、ここでは具体的な説明は省略する。
【0120】
以上のように第2実施形態のダイシング装置10では、白色干渉計24を用いてハーフカット溝90A,90Bの断面形状を精度よく測定可能であるので、この測定結果に基づき加工深さcz1,cz2(加工品質)を精度良く測定することができる。また、ブレード21A,21BによるワークWの切削加工の途中で加工深さcz1,cz2を測定することができるので、正確な補正値Δz1,Δz2を次以降のストリートCの切削加工に即時適用することができる。また、1ラインのストリートCの切削加工が実行されるごとに補正値Δz1,Δz2の決定が可能であるため、ブレード21A,21Bごとの加工深さcz1,cz2の加工精度をより向上させることができる。
【0121】
[第3実施形態]
図17は、不図示のレーザ加工装置によるレーザ加工溝94の形成後のワークW及び第3実施形態のダイシング装置10によるワークWの切削加工を説明するための説明図である。上記第1実施形態では、ワークWがLow-k膜等をシリコン基板上に積層した積層体である場合に、ダイシング装置10によりステップカット方式による切削加工を行ってストリートCごとに溝25A,25Bを形成している(
図7参照)。
【0122】
これに対して、
図17の符号XVIIA及び符号XVIIBに示すように、第3実施形態では、予めワークWに対して不図示のレーザ加工装置によりストリートCごとにレーザ光によるレーザ加工処理を施す。これにより、ストリートCごとにレーザ加工溝94(レーザグルーブ、第1溝に相当)を形成されることでLow-k膜が除去される。
【0123】
次いで、第3実施形態では、ダイシング装置10によりワークWの各レーザ加工溝94の底部に
図7に示した溝25B(第2溝に相当)を形成してストリートCを完全に切断する。脆く加工が難しいLow-k膜をレーザ加工処理で除去することで、ダイシング装置10によるワークWの加工安定性が向上する。
【0124】
ここで溝25Bは、ストリートCの位置を基準として形成されたり、レーザ加工溝94のY軸方向の加工幅cyの中心位置を基準として形成されたりする。そして、後者の場合に、従来では顕微鏡23によりワークWのレーザ加工溝94を撮影し、この顕微鏡23による撮影画像に基づき加工幅cyの中心位置を決定している。
【0125】
しかしながら、レーザ加工溝94は外観上で黒く荒れた形状となり、レーザ加工溝94の両側のエッジ部分94aが盛り上がった形状となる場合がある。この場合には、顕微鏡23によるレーザ加工溝94の撮影画像を解析したとしても、レーザ加工溝94の加工幅cyと、エッジ部分94aを含んだレーザ加工溝94の加工幅gyとの判別が困難である。このため、従来の方法では、加工幅cyの中心位置の測定精度がばらつくため、溝25Bの加工精度に悪影響を与えていた。
【0126】
そこで、第3実施形態のダイシング装置10では、白色干渉計24を用いてワークWに予め形成されたレーザ加工溝94の加工位置である加工幅cyの中心位置(第1溝の加工品質)を測定する。
【0127】
第3実施形態のダイシング装置10は、上記第1実施形態のダイシング装置10と基本的に同じ構成であるので上記第1実施形態と能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0128】
第3実施形態の測定制御部80は、本発明の第2測定制御部に相当する。この測定制御部80は、ブレード21A,21BによるワークWの切削加工前に、白色干渉計24及び相対移動機構49を制御して、レーザ加工溝94に対する白色干渉計24の位置調整と、白色干渉計24の作動及び垂直走査と、レーザ加工溝94ごとに繰り返し実行する。これにより、第3実施形態の加工品質測定部82が、撮像ユニット56からレーザ加工溝94ごとの干渉信号L5Aを取得する。
【0129】
図18は、第3実施形態の加工品質測定部82によるレーザ加工溝94の三次元形状の形状測定を説明するための説明図である。
図19は、第3実施形態の加工品質測定部82によるレーザ加工溝94のY軸方向に沿った断面形状の形状測定を説明するための説明図である。
【0130】
図18及び
図19に示すように、第3実施形態の加工品質測定部82は、白色干渉計24から取得したレーザ加工溝94ごとの干渉信号L5Aに基づき、上記第1実施形態と同様にレーザ加工溝94ごとに三次元形状情報86及び断面形状情報88の少なくとも一方を生成する。
【0131】
次いで、加工品質測定部82は、レーザ加工溝94ごとの三次元形状情報86及び断面形状情報88の少なくとも一方と、撮像ユニット56の各画素にそれぞれ対応するワークWの対応位置のXY軸方向の位置座標とに基づき、レーザ加工溝94ごとにその加工幅cy及びその中心位置を測定する。そして、加工品質測定部82は、レーザ加工溝94ごとの加工幅cyの中心位置の測定結果を、加工制御部78、記憶部64、及び表示部66へ出力する。
【0132】
第3実施形態の加工制御部78は、レーザ加工溝94ごとの加工幅cyの中心位置の測定結果に基づき、ブレード駆動制御部70及び移動制御部72を介して各スピンドル22A,22B及び相対移動機構49を駆動して、ミーティング切削方式により各レーザ加工溝94の底部をブレード21A,21Bによる同時加工処理で切削加工する。これにより、レーザ加工溝94ごとにフルカット溝である溝25A,25Bが形成される。
【0133】
なお、第3実施形態のダイシング装置10によるワークWのレーザ加工溝94の加工品質(加工幅cyの中心位置)の測定処理の流れ、及び溝25A,25Bの切削加工処理の流れは、基本的には既述の
図13に示した第1実施形態の切削加工処理のステップS3以降の流れと基本的には同じである。ただし、第3実施形態では、ステップS9が省略されかつステップS10においてレーザ加工溝94ごとの加工幅cyの中心位置の測定結果に基づきブレード21A,21Bによる溝25A,25Bの切削加工が実行される。
【0134】
以上のように第3実施形態のダイシング装置10では、白色干渉計24を用いて各レーザ加工溝94の断面形状を精度よく測定可能であるので、この測定結果に基づき各レーザ加工溝94の加工幅cy及びその中心位置(加工品質)を精度良く測定することができる。その結果、ダイシング装置10によるレーザ加工溝94内の溝25A,25Bの加工精度を向上させることができる。
【0135】
[第4実施形態]
上記各実施形態では、溝25A,25B、ハーフカット溝90A,90B、及びレーザ加工溝94等の各種溝の加工品質を測定し、この測定結果に基づきブレード21A,21BによるワークWの切削加工の補正を行っている。これに対して、第4実施形態ではブレード21A,21Bによる各種溝の加工品質の測定結果に基づきブレード21A,21Bの先端形状の測定を行う。
【0136】
図20は、ブレード21A,21Bの先端形状を説明するための説明図である。
図20に示すように、ブレード21A,21Bの先端形状(径方向に沿ったブレード外周部の断面形状)は、理想的には符号XXAに示すように矩形状、すなわちブレード21A,21Bの外周面(先端面)と側面とがなすエッジE1,E2が立った状態となるが、実際には符号XXBに示すようにエッジE1,E2は丸みを帯びた形状となる。通常は符号XXBに示したブレード21A,21BによりワークWの切削加工を行うが、符号XXCに示すようにブレード21A,21Bに異常摩耗(偏摩耗等)が発生する場合がある。
【0137】
図21は、偏摩耗したブレード21A,21BによりワークWの切削加工を行った場合の問題点を説明するための説明図である。
図21に示すように、ブレード21A,21Bが偏摩耗していると、ワークWに対するブレード21A,21BのエッジE1の当たり方とエッジE2の当たり方とが互いに異なってしまう。その結果、エッジE1,E2によりそれぞれ形成される溝25A,25B(ハーフカット溝90A,90B)の両端部の品質が互いに異なってしまう。従って、ブレード21A,21Bの先端形状の測定を行ってブレード21A,21Bの偏摩耗状態を判別することが重要となる。
【0138】
図22は、従来のブレード21A,21Bの先端形状の測定を説明するための説明図である。
図22に示すように、従来では上記第2実施形態で説明したように、ブレード21A,21BによりワークW等にチョップカット痕92を形成し、ブレード21A,21Bごとのチョップカット痕92を顕微鏡23で撮影する。そして、各チョップカット痕92の撮影画像に基づき各チョップカット痕92の先端部分92aの断面形状を測定する。次いで、ブレード21A,21Bごとの先端部分92aの断面形状に基づき、ブレード21A,21Bの先端形状の測定することでブレード21A,21Bの偏摩耗状態を判別している。なお、符号XXIIAは正常なブレード21A,21Bにより形成されたチョップカット痕92を示し、符号XXIIBは偏摩耗したブレード21A,21Bにより形成されたチョップカット痕92を示す。
【0139】
しかしながら、チョップカット痕92の撮影画像に基づきブレード21A,21Bの先端形状の測定する場合には、以下の3つの問題点が生じる。第1の問題点は、チョップカット痕92の先端部分92aの形状のみでしかブレード21A,21Bの先端形状を測定することができないので、ブレード21A,21Bの偏摩耗量がある程度大きくならないとブレード21A,21Bの偏摩耗状態を判別することができない。その結果、ブレード21A,21BによるワークWの加工品質が許容を下回って不良を発生させてしまうおそれがある。
【0140】
第2の問題点は、ワークWの切削加工中にその切削加工を一旦中断してチョップカット痕92の形成及び撮影等を行う必要があるので、ダイシング装置10によるワークWの切削加工の生産性が低下してしまう。
【0141】
図23は、第3の問題点を説明するための説明図である。
図23の符号XXIIIAに示すように、第3の問題点は、顕微鏡23による先端部分92aの撮影時に先端部分92aで迷光等の反射が発生すると、顕微鏡23による先端部分92aの撮影画像である先端部分画像93内に白飛び等が発生する。その結果、先端部分画像93が先端部分92aの断面形状を正確に反映しておらず、
図23の符号XXIIIBに示すように、先端部分画像93に基づきチョップカット痕92のY軸方向に沿った断面形状情報88Aを正確に測定することができない。このため、ブレード21A,21Bの先端形状を正確に測定することができなくなる。
【0142】
そこで、第4実施形態のダイシング装置10では、ワークWの切削加工の途中で白色干渉計24を用いてハーフカット溝90A,90Bの断面形状(加工品質)を測定し、この断面形状に基づきブレード21A,21Bの先端形状を測定する。
【0143】
図24は、第4実施形態のダイシング装置10の統括制御部60の機能ブロック図である。第4実施形態のダイシング装置10は、統括制御部60が補正値決定部84の代わりにブレード形状測定部100として機能する点を除けば上記各実施形態のダイシング装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0144】
第4実施形態の加工制御部78は、上記第2実施形態と同様に、ブレード駆動制御部70及び移動制御部72を介して各スピンドル22A,22B及び相対移動機構49を駆動して、ストリートCごとにハーフカット溝90A,90B(
図14参照)を形成する。
【0145】
第4実施形態の測定制御部80は、上記第2実施形態と同様に、白色干渉計24及び相対移動機構49を制御して、ハーフカット溝90A,90Bごとに、白色干渉計24の位置調整と、白色干渉計24の作動及び垂直走査と、を実行する。これにより、第4実施形態の加工品質測定部82が、白色干渉計24から干渉信号L5Aをハーフカット溝90A,90Bごとに取得する。
【0146】
図25は、第4実施形態の加工品質測定部82によるハーフカット溝90A,90BのY軸方向に沿った断面形状の演算結果を説明するための説明図である。
図25及び既述の
図24に示すように、第4実施形態の加工品質測定部82は、白色干渉計24から取得したハーフカット溝90A,90Bごとの干渉信号L5Aに基づき、上記第2実施形態と同様にハーフカット溝90A,90Bごとに断面形状情報88を生成する。そして、加工品質測定部82は、ハーフカット溝90A,90Bごとの加工品質である断面形状の測定結果(断面形状情報88)をブレード形状測定部100へ出力する。
【0147】
ブレード形状測定部100は、加工品質測定部82から入力されたハーフカット溝90A,90Bごとの断面形状の測定結果(断面形状情報88)に基づき、ブレード21A,21Bの先端形状をそれぞれ測定する。ハーフカット溝90A,90Bの底部にはそれぞれブレード21A,21Bの先端形状が転写されているので、ハーフカット溝90A,90Bの断面形状からブレード21A,21Bの先端形状を測定することができる。なお、ブレード形状測定部100によるブレード21A,21Bの先端形状の測定結果は、記憶部64に記憶されると共に表示部66に表示される。
【0148】
[第4実施形態の作用]
図26は、本発明のワーク加工装置の制御方法に相当する第4実施形態のダイシング装置10によるブレード21A,21Bの先端形状の測定処理の流れを示すフローチャートである。
図26に示すように、上記第1実施形態(
図13参照)と同様に、アライメント検出(ステップS1)及びミーティング切削方式での各ストリートCの切削加工(ステップS2)等が実行され、各ストリートCに沿ってハーフカット溝90A,90Bが形成される。
【0149】
ブレード21A,21Bの先端形状の測定開始する場合(ステップS3AでYES)、上記第1実施形態と同様にステップS4からステップS7までの処理が実行される。すなわち、ハーフカット溝90A,90Bごとに、白色干渉計24の位置調整(ステップS4)と、白色干渉計24の作動及び垂直走査(ステップS5,S6)と、加工品質測定部82による干渉信号L5Aの取得(ステップS7)と、が実行される。
【0150】
次いで、加工品質測定部82が、白色干渉計24から取得したハーフカット溝90A,90Bごとの干渉信号L5Aに基づきハーフカット溝90A,90Bごとの断面形状情報88を生成する。これにより、チョップカット痕92の形成及び顕微鏡23によるチョップカット痕92の撮影等を行うことなく、ハーフカット溝90A,90Bの断面形状が精度良く測定される(ステップS11)。そして、加工品質測定部82が、ハーフカット溝90A,90Bごとの断面形状情報88をブレード形状測定部100へ出力する。
【0151】
ハーフカット溝90A,90Bごとの断面形状情報88の入力を受けたブレード形状測定部100は、各断面形状情報88に基づきブレード21A,21Bの先端形状をそれぞれ測定する(ステップS12、本発明のブレード形状測定ステップに相当)。そして、ブレード形状測定部100は、ブレード21A,21Bの先端形状の測定結果を記憶部64及び表示部66へ出力する。これにより、ブレード21A,21Bの先端形状の測定結果が記憶部64に記憶されると共に表示部66に表示される。
【0152】
オペレータは、表示部66に表示されたブレード21A,21Bの先端形状の測定結果に基づき、ブレード21A,21Bごとの摩耗状態を判別して、ブレード21A,21Bの交換等の必要性の有無を判定する。なお、ブレード21A,21Bごとの摩耗状態、及び交換等の必要性の有無の判定を統括制御部60により自動で行ってよい。
【0153】
以上のように第4実施形態のダイシング装置10では、白色干渉計24を用いてハーフカット溝90A,90Bの断面形状を精度よく測定することができるので、この測定結果に基づきブレード21A,21Bの先端形状を精度良く測定することができる。その結果、ブレード21A,21Bの先端形状の偏摩耗状態及びその進行過程を精度良く判別することができる。これにより、ワークWの加工品質が許容を下回って不良が発生する前にブレード21A,21Bの交換又はツルーイング(ブレード21A,21Bの形状修正)又はドレス(ブレード21A,21Bの目立て・目直し)をオペレータに促すことができる。
【0154】
また、第4実施形態のダイシング装置10では、ブレード21A,21BによるワークWの切削加工の途中で、チョップカット痕92の形成及び撮影を行うことなくブレード21A,21Bの先端形状の測定が可能になる。その結果、従来よりもダイシング装置10の生産性を向上させることができる。
【0155】
上記第4実施形態では、ブレード21A,21Bにより各ストリートCに同時加工処理でハーフカット溝90A,90Bを形成しているが、上記第1実施形態等で説明したフルカット溝である溝25A,25B(ミーティング切削方式)を形成してもよい。この場合でも、ブレード21A,21Bの偏摩耗状態が進行した場合には、溝25A,25Bごとの断面形状(断面形状情報88)に基づき、ブレード21A,21Bの先端形状の偏摩耗状態を判別することができる。
【0156】
[第5実施形態]
図27は、第2実施形態及び第4実施形態で説明したハーフカット溝90A,90Bの形成後のワークWの裏面研削により生じる課題を説明するための説明図である。
【0157】
図27の符号XXVIIAに示すように、ワークWの外周部であるエッジ部分110は、ワークWの径方向に凸状に突出した形状を有している。このため、ワークWのストリートCごとにハーフカット溝90A,90B(
図27では図示は省略)を形成した後でワークWの裏面研削を行うと、
図27の符号XXVIIBに示すようにエッジ部分110が薄く且つ鋭角状に形成されてしまう。その結果、このエッジ部分110を起点としてクラックが生じ易いという問題が生じる。
【0158】
そこで、第5実施形態のダイシング装置10では、ブレード21A,21Bを用いてワークWのエッジ部分110のトリミング処理を行う。また、第5実施形態のダイシング装置10は、トリミング処理によりエッジ部分110に形成された段差部112A,112B(
図29参照)に基づき、ブレード21A,21Bの先端形状の測定を行う。なお、第5実施形態のダイシング装置10は、上記第4実施形態のダイシング装置10と基本的に同じ構成であるので、上記第4実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
【0159】
図28は、ブレード21A,21Bを用いたワークWのエッジ部分110のトリミング処理を説明するための説明図である。
図29は、トリミング処理後のワークW及び裏面研削後のワークWの側面図である。
【0160】
図28及び
図29の符号XXIXAに示すように、第4実施形態の加工制御部78は、ブレード駆動制御部70及び移動制御部72を介して各スピンドル22A,22B及び相対移動機構49を駆動して、エッジ部分110のトリミング処理の実行を制御する。
【0161】
具体的には加工制御部78は、トリミング処理時には移動制御部72を介して相対移動機構49(回転駆動部38)を駆動して、テーブル31をその回転軸CAを中心として回転させる。また同時に加工制御部78は、移動制御部72を介して相対移動機構49を駆動して、ブレード21A,21Bの姿勢調整及び位置調整を行う。姿勢調整では、ブレード回転軸がワークWの半径(直径)に対して平行になるようにブレード21A,21Bの姿勢が調整される。位置調整では、ブレード21A,21Bの刃先がワークWのおもて面側(一面側)からエッジ部分110に接するように、ワークWに対するブレード21A,21Bの相対位置が調整される。
【0162】
次いで、加工制御部78は、ブレード駆動制御部70を介してスピンドル22A,22Bを駆動して、ブレード21A,21Bを回転させると共に移動制御部72を介して相対移動機構49(Z駆動部48)を駆動してブレード21A,21BをZ軸方向下方側に所定量だけ移動させる。これにより、ブレード21A,21Bによりエッジ部分110がワークWのおもて面側から予め定められた深さ位置まで切削除去されるトリミング処理が行われ、エッジ部分110に段差部112A,112B(被加工部に相当)が形成される。なお、段差部112Aはブレード21Aにより形成され、段差部112Bはブレード21Bにより形成される。
【0163】
トリミング処理後のワークWに対して裏面研削を行うことにより、
図29の符号XXIXBに示すように、エッジ部分110がワークWのおもて面及び裏面に対して垂直な面に形成されるので、このエッジ部分110を起点としたクラックの発生が防止される。
【0164】
図30は、ワークWのエッジ部分110の段差部112A,112Bの断面拡大図である。
図30の符号XXXAに示すように、ブレード21A,21BのエッジE1,E2が立った状態(
図20の符号XXA参照)である場合には、段差部112A,112Bの断面形状が直角形状となる。
【0165】
一方、
図30の符号XXXBに示すように、ブレード21A,21Bの摩耗によりエッジE1,E2が丸みを帯びた形状(R形状:
図20の符号XXB参照)になると、段差部112A,112Bの断面形状もR形状となるので、エッジ部分110が略鋭角状に形成されてしまう。その結果、このエッジ部分110を起点としたクラックが発生するおそれがある。そこで、第5実施形態のダイシング装置10では、トリミング処理により形成された段差部112A,112Bの加工品質(断面形状)を測定することで、ブレード21A,21Bの先端形状を測定及び監視する。
【0166】
第5実施形態の測定制御部80は、上記第4実施形態と同様に、白色干渉計24及び相対移動機構49を制御して、段差部112A,112Bごとに、白色干渉計24の位置調整と、白色干渉計24の作動及び垂直走査と、を実行する。これにより、第5実施形態の加工品質測定部82が、白色干渉計24から干渉信号L5Aを段差部112A,112Bごとに取得する。
【0167】
第5実施形態の加工品質測定部82は、白色干渉計24から取得した段差部112A,
112Bごとの干渉信号L5Aに基づき、上記第4実施形態と同様に段差部112A,112Bごとにその断面形状を示す断面形状情報88を生成する。そして、加工品質測定部82は、段差部112A,112Bごとの加工品質である断面形状の測定結果(断面形状情報88)を、ブレード形状測定部100へ出力する。
【0168】
第5実施形態のブレード形状測定部100は、加工品質測定部82から入力された段差部112A,112Bごとの断面形状の測定結果(断面形状情報88)に基づき、ブレード21A,21Bの先端形状をそれぞれ測定する。
【0169】
なお、第5実施形態のダイシング装置10によるワークWのトリミング処理の流れ、特に段差部112A,112Bの断面形状(加工品質)の測定処理及びブレード21A,21Bの先端形状の測定処理の流れは、基本的には既述の
図26に示した第4実施形態と基本的に同じである。ただし、第5実施形態では
図26のステップS2においてトリミング処理を実行し、ステップS11において段差部112A,112Bの断面形状の測定を行う。
【0170】
以上のように第5実施形態のダイシング装置10においても上記第4実施形態と同様に、段差部112A,112Bの断面形状(加工品質)を精度良く測定することができる。その結果、段差部112A,112Bの断面形状に基づきブレード21A,21Bの先端形状を精度良く測定することができる。これにより、エッジ部分110のトリミング処理の際にブレード21A,21Bの先端形状(エッジE1,E2)がR形状になっているか否かを監視することができるので、クラックの発生を予防することができる。
【0171】
[第6実施形態]
図31は、第6実施形態のダイシング装置10のブレード21A,21Bの拡大図である。
図32は、第6実施形態のブレード21A,21Bにより形成されたハーフカット溝90A,90BのY軸方向に沿った断面形状の演算結果を説明するための説明図である。
【0172】
上記各実施形態ではブレード21A,21Bの先端形状がY軸方向(ブレード回転軸)に対して垂直な方向から見た場合に矩形状であるが、
図31に示すように第6実施形態ではブレード21A,21Bの先端形状がY軸方向(ブレード回転軸)に対して垂直な方向から見た場合にV字形状である。
【0173】
なお、第6実施形態のダイシング装置10は、ブレード21A,21Bの先端形状がV字形状に形成されている点を除けば、上記第4実施形態のダイシング装置10と基本的に同じ構成であるので、上記第4実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
【0174】
第6実施形態のように、V字形状のブレード21A,21Bを用いることでワークWに対して任意の角度で面取り加工を施すことができる。これにより、ワークWが光学デバイスである場合には光の反射角度を調整することができる。
【0175】
ここでV字形状のブレード21A,21Bについても、その使用により摩耗してその先端形状が丸くなるため、設計角度でのワークWの切削加工(面取り加工)ができなくなる。このため、従来では、オペレータが切削加工後の光学デバイス(チップ)の断面からブレード21A,21Bによる加工角度を確認することで、ブレード21A,21Bの寿命を判断していた。
【0176】
これに対して第6実施形態のダイシング装置10では、
図32に示すように、上記第4実施形態と同様にハーフカット溝90A,90Bごとの断面形状(断面形状情報88)を測定した測定結果に基づき、ブレード21A,21Bの先端形状、より具体的にはブレード21A,21Bの先端角度αを精度良く測定することができる。これにより、オペレータは、切削加工後の光学デバイスの断面を確認することなく、ブレード21A,21Bの先端角度αの測定結果に基づきブレード21A,21Bの寿命を判断することができる。なお、この判断を統括制御部60により自動で行ってよい。
【0177】
[第7実施形態]
図33は、第7実施形態のサーバ200の機能ブロック図である。上記各実施形態ではダイシング装置10の統括制御部60がワークWの各種被加工部の加工品質の測定、補正値Δy1,Δy2,Δz1,Δz2(以下、各種補正値と略す)の決定、及びブレード21A,21Bの先端形状の測定の各処理を行っている。これに対して、第7実施形態ではサーバ200が前述の各処理を実行する。
【0178】
図33に示すように、サーバ200は、通信インターフェース202を介して1又は複数のダイシング装置10(白色干渉計24及び統括制御部60)に接続している。なお、第7実施形態のダイシング装置10は、上記各実施形態で説明したダイシング装置10と基本的に同じ構成であるが、その統括制御部60が加工品質測定部82、補正値決定部84、及びブレード形状測定部100として必ずしも機能しなくともよい。
【0179】
サーバ200は、その通信インターフェース202を介してダイシング装置10との間で各種情報(データ)の遣り取りを行う。サーバ200は、通信インターフェース202を介して、ダイシング装置10の白色干渉計24から干渉信号L4(干渉信号L5A,L5B)を取得する。また、サーバ200は、通信インターフェース202を介して、ダイシング装置10の統括制御部60に対して各種補正値及びブレード21A,21Bの先端形状の測定結果を出力する。
【0180】
サーバ200は、不図示の制御プログラムを実行することで、少なくとも干渉信号取得部204、加工品質測定部206、補正値決定部208、及びブレード形状測定部210として機能する。
【0181】
干渉信号取得部204は、通信インターフェース202を介して白色干渉計24から既述の干渉信号L5A,L5Bを取得し、この干渉信号L5A,L5Bを加工品質測定部206へ出力する。
【0182】
加工品質測定部206は、上記各実施形態の加工品質測定部82と同様に、干渉信号取得部204から取得した干渉信号L5A,L5Bに基づきブレード21A,21Bにより切削加工された各種被加工部の加工品質(加工位置及び加工形状)を測定し、その測定結果を補正値決定部208及びブレード形状測定部210に出力する。
【0183】
補正値決定部208は、上記第1実施形態から第3実施形態の補正値決定部84と同様に、加工品質測定部206による加工品質の測定結果に基づき各種補正値を決定すると共に、通信インターフェース202を介して統括制御部60へ各種補正値を出力する。これにより、ダイシング装置10において切削加工される各種被加工部の加工位置及び形状(加工深さ)等が補正される所謂フィードバック制御が実行される。
【0184】
ブレード形状測定部210は、上記第4実施形態から第6実施形態のブレード形状測定部100と同様に、加工品質測定部206による加工品質(断面形状)の測定結果に基づき、ブレード21A,21Bの先端形状を測定する。このブレード21A,21Bの先端形状の測定結果はサーバ200内でダイシング装置10ごとに記憶されると共にサーバ200に接続された不図示のモニタに表示される。
【0185】
また、ブレード形状測定部210は、ブレード21A,21Bの先端形状の測定結果を、通信インターフェース202を介して統括制御部60へ出力する。これにより、ブレード21A,21Bの先端形状の測定結果は、ダイシング装置10においても記憶部64に記憶されると共に表示部66に表示される。
【0186】
以上のように第7実施形態では、ワークWの各種被加工部の加工品質の測定、各種補正値の決定、及びブレード21A,21Bの先端形状の測定の各処理をサーバ200で行うようにしたので、上記各実施形態と同様の効果が得られる。
【0187】
また、複数のダイシング装置10に対応する各処理をサーバ200(高性能な演算処理装置)で一括して行うことができる。このため、ダイシング装置10の機能を削減、すなわち各処理を実行するプログラム(解析ソフトウェア)を削減できるので、ダイシング装置10の低コスト化が図れる。
【0188】
さらに、サーバ200に複数のダイシング装置10ごとの各種データ(干渉信号L5A,L5B、被加工部の加工品質、各種補正値、及びブレード21A,21Bの先端形状)を蓄積することができる。その結果、蓄積された各種データに基づき各種補正値の決定(フィードバック制御)を行ったり、或いはブレード21A,21Bの先端形状の測定を行ったりすることができる。さらにまた、サーバ200が機械学習を行うことで、各種被加工部の加工品質の測定精度、各種補正値の決定精度、及びブレード21A,21Bの先端形状の測定精度をそれぞれより向上させることができる。
【0189】
[その他]
上記各実施形態ではダイシング装置10に一対のブレード21A,21B及び一対のスピンドル22A,22Bが設けられているが、ブレード及びスピンドルの数(すなわち本発明の加工ヘッドの数)が1又は3以上であってもよい。
【0190】
上記各実施形態では、本発明の加工ヘッドとしてツインスピンドルダイサ(一対のブレード21A,21B及び一対のスピンドル22A,22B)を例に挙げて説明したが、ワークWに対してレーザ加工(アブレーション溝加工を含む)を行う1又は複数のレーザ加工ヘッドがダイシング装置10に設けられている場合にも本発明を適用可能である。
【0191】
上記各実施形態では、一対のZキャリッジ44の一方(ツインスピンドルの一方)に白色干渉計24が設けられ且つ一対のZキャリッジ44の他方(ツインスピンドルの他方)に顕微鏡23が設けられているが、Zキャリッジ44の他方(ツインスピンドルの他方)にも白色干渉計24が設けられていてもよい。また同様に、Zキャリッジ44の一方にも顕微鏡23が設けられていてもよい。すなわち複数のZキャリッジ44ごとに顕微鏡23及び白色干渉計24が設けられていてもよい。さらに、上記各実施形態ではZキャリッジ44が白色干渉計24をZ軸方向に移動させることで既述の垂直走査を実行しているが、テーブル31をZ軸方向に移動させて垂直走査を実行してもよい。
【0192】
上記各実施形態では、白色干渉計24をZキャリッジ44に設けることでブレード21Bと白色干渉計24とを一体にZ軸方向に走査させているが、白色干渉計24をブレード21B及びZキャリッジ44とは別体に設けてもよい。この場合には、白色干渉計24をZ軸方向に走査可能なアクチュエータ(キャリッジ)を別途設ける。
【0193】
上記各実施形態では、ダイシング装置10にミラウ型の白色干渉計24が設けられているが、例えばマイケルソン型或いはフィゾー型等の公知の各種型の白色干渉計24が設けられていてもよい。
【0194】
上記各実施形態のダイシング装置10を適宜組み合わせてもよい。例えば第1実施形態と第2実施形態のダイシング装置10を組み合わせて各種被加工部の加工品質として加工位置及び加工形状の両方を同時測定してもよい。また、第1実施形態から第3実施形態のダイシング装置10と、第4実施形態から第6実施形態のダイシング装置10とを適宜組み合わせて、各種被加工部の加工品質とブレード21A,21Bの先端形状測定との双方を実行可能にしてもよい。
【0195】
上記各実施形態では、本発明の被加工部として溝25A,25B、ハーフカット溝90A,90B、レーザ加工溝94、及び段差部112A,112B等の各種被加工部の加工品質の測定を例に挙げて説明したが、ダイシング装置10或いは他の装置によりワークWに形成された各種被加工部の加工品質の測定にも本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0196】
10…ダイシング装置、21A,21B…ブレード、22A,22B…スピンドル、23…顕微鏡、24…白色干渉計、25A,25B…溝、31…テーブル、49…相対移動機構、51…白色光源、56…撮像ユニット、60…統括制御部、70…ブレード駆動制御部、72…移動制御部、74…撮影制御部、76…検出制御部、78…加工制御部、80…測定制御部、82…加工品質測定部、84…補正値決定部、86…三次元形状情報、88…断面形状情報、90A,90B…ハーフカット溝、94…レーザ加工溝、100…ブレード形状測定部、110…エッジ部分、112A,112B…段差部、200…サーバ、202…通信インターフェース、204…干渉信号取得部、206…加工品質測定部、208…補正値決定部、210…ブレード形状測定部、C…ストリート、CL1,CL2…溝中心位置、cy,cy1,cy2…加工幅、cz1,cz2…加工深さ、E1,E2…エッジ、L1…白色光、L2…測定光、L3…参照光、L4,L5A,L5B…干渉信号、W…ワーク、Δy1,Δy2,Δz1,Δz2…補正値