(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117839
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】油脂容器用注ぎ口
(51)【国際特許分類】
B65D 47/06 20060101AFI20240822BHJP
B65D 47/08 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B65D47/06 400
B65D47/08 100
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024104639
(22)【出願日】2024-06-28
(62)【分割の表示】P 2022132590の分割
【原出願日】2022-08-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 出荷日:令和3年8月24日、出荷場所(出荷先):国分中部株式会社四日市センター、公開者:株式会社J-オイルミルズ
(71)【出願人】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100221327
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 亮
(72)【発明者】
【氏名】日高 和弘
(72)【発明者】
【氏名】田村 正和
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝行
(57)【要約】
【課題】20℃における固体脂含量(SFC)が5%以下の油脂を容器から注ぎ出す際、
該油脂の吹き出し(液吹き)を抑制することができる注ぎ口を提供する。
【解決手段】20℃における固体脂含量(SFC)が5%以下の油脂を容器内から容器外
へ注ぎ出すための合成樹脂製注ぎ口であって、
該注ぎ口の前記油脂の流路は、少なくとも直径の異なる2つ以上の円柱を接続した形状
の空間を含み、
前記円柱同士を接続する部分における円柱の直径差が0.05mm以上0.5mm未満
であることを特徴とする注ぎ口。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
20℃における固体脂含量(SFC)が5%以下の油脂を容器内から容器外へ注ぎ出す
ための合成樹脂製注ぎ口であって、
該注ぎ口の前記油脂の流路は、少なくとも直径の異なる2つ以上の円柱を接続した形状
の空間を含み、
前記円柱同士を接続する部分における円柱の直径差が0.05mm以上0.5mm未満
であることを特徴とする注ぎ口。
【請求項2】
前記油脂を容器内から容器外へ注ぎだす際の前記油脂の流れ方向における前記注ぎ口の
出口の前記流路の直径が1.5mm以上3.0mm以下であることを特徴とする請求項1
に記載の注ぎ口。
【請求項3】
前記流路は、前記油脂を容器内から容器外へ注ぎだす際の前記油脂の流れ方向における
下流側から、2つ以上の円柱を接続した形状にさらに円錐台が接続した形状の空間からな
るものであることを特徴とする請求項1に記載の注ぎ口。
【請求項4】
前記油脂を容器内から容器外へ注ぎだす際の前記油脂の流れ方向における前記円錐台の
上流側の直径が、下流側の直径よりも大きく、
両直径の直径差が0.01mm以上4mm以下であることを特徴とする請求項3に記載の
注ぎ口。
【請求項5】
前記容器が、紙パック容器であることを特徴とする請求項1に記載の注ぎ口。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油脂を充填した容器から該油脂を注ぎ出す際、該油脂の吹き出し(液吹き)
を抑制することができる油脂容器用の注ぎ口に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食品包装容器の分野においても環境に配慮した製品への転換が進められている
。例えばこれまでのプラスチック素材で作られた容器から紙素材の容器への転換を図るこ
とでプラスチック使用量を大きく削減し、プラスチック廃棄物やごみ容積の削減、ひいて
はCO2排出量の削減を目指す取り組みが進められている。
【0003】
一方、注出筒を備えたキャップを容器の開口部に取り付けることで、該容器からの液体
内容物の注ぎ出しを容易とした容器が従来より知られており、こうした注出筒を備えたキ
ャップ付き容器では、一般に液体内容物の液垂れが少なく、また液切れがよいことが望ま
れる。
こうした注出筒を備えた容器に充填する液体内容物が、乳液等の化粧品や、油やドレッ
シング、ソース等、比較的高い粘度を有する場合、内容物を注ぎ出した後の液切れが悪く
、また注出筒内に液体内容物が残留するなどして液垂れの発生が起こりやすくなる。その
ため、注出筒やキャップの構造を種々検討したり、あるいは例えば容器本体に可撓性のあ
るプラスチック容器を用いた所謂スクイズボトルを採用し、容器のスクイズ(圧搾)によ
り内容物を押し出した後、容器が元の形に復元する際の吸引力(サックバック)を利用し
、注出筒内の残留物を容器内部に引き戻すなどして、液垂れの防止を図っている。
【0004】
例えば、ノズル部の内径を局部的に狭めることで、乳液等の化粧水を充填した液体容器
における液垂れを改善した液体容器用キャップが開示されている(特許文献1)。
また例えば、ヘアートリートメントオイル等の粘度が比較的高い内容液であっても、液
切れを良くし、液だれによる不快感や汚れの発生の防止を図るべく、所定高さの注出筒の
上端に所定幅を有する鍔片を設け、また注出筒が形成する注出通路の入り口部分に整流筒
を設けた注出キャップが開示されている(特許文献2)。
さらに、注出筒の連通孔をストレート部と拡径部とを有するように構成することで、濃
厚ソースなど高粘度の内容液を注出しても、液垂れや注出筒の汚れを防止した注出キャッ
プが開示されている(特許文献3)。
【0005】
しかしながら、特許文献1乃至3には、容器を把持した際に注ぎ口から液体が吹き出す
吹き出し(液吹き)の課題については一切記載されておらず、示唆も無い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3160981号公報
【特許文献2】特開平9-169355号公報
【特許文献3】特開2010-095304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、20℃における固体脂含量(SFC)が5%以下の油脂を容器から注ぎ出す
ために容器を把持した際、注ぎ口からの油脂の吹き出し(液吹き)を抑制することができ
る注ぎ口を提供すること、とりわけ環境に配慮した紙パック容器に取り付け可能な注ぎ口
を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明は、以下の(1)~(5)を対象とする。
(1)20℃における固体脂含量(SFC)が5%以下の油脂を容器内から容器外へ注ぎ
出すための合成樹脂製注ぎ口であって、
該注ぎ口の前記油脂の流路は、少なくとも直径の異なる2つ以上の円柱を接続した形状
の空間を含み、
前記円柱同士を接続する部分における円柱の直径差が0.05mm以上0.5mm未満
であることを特徴とする注ぎ口、
(2)前記油脂を容器内から容器外へ注ぎだす際の前記油脂の流れ方向における前記注ぎ
口の出口の前記流路の直径が1.5mm以上3.0mm以下であることを特徴とする(1
)に記載の注ぎ口、
(3)前記流路は、前記油脂を容器内から容器外へ注ぎだす際の前記油脂の流れ方向にお
ける下流側から、2つ以上の円柱を接続した形状にさらに円錐台が接続した形状の空間か
らなるものであることを特徴とする(1)に記載の注ぎ口、
(4)前記油脂を容器内から容器外へ注ぎだす際の前記油脂の流れ方向における前記円錐
台の上流側の直径が、下流側の直径よりも大きく、
両直径の直径差が0.01mm以上4mm以下であることを特徴とする(3)に記載の注
ぎ口、
(5)前記容器が、紙パック容器であることを特徴とする(1)に記載の注ぎ口。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、20℃における固体脂含量(SFC)が5%以下の油脂を容器から注
ぎ出す際、該油脂の吹き出し(液吹き)を抑制することができる注ぎ口を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明に係る注ぎ口を備えるキャップ1の開状態を示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す本発明に係る注ぎ口22を拡大した断面図である。
【
図3】
図3は、比較態様例の注ぎ口を拡大した断面図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る注ぎ口を備えるキャップ1を容器5に装備された液体容器10を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る注ぎ口を備えるキャップ1を容器5に装備された液体容器10に油脂Lcを充填した製品の一部を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
前述したとおり、注出筒を備えたキャップ付き容器に油等の比較的粘度の高い液体内容
物を充填した製品において、液体内容物を注出した後の液切れがよく、液垂れの発生を抑
制するべく、注出筒やキャップ本体等の形状に関する様々な検討がなされている。
本発明者らは、油脂における液垂れ等の問題について検討を進める中、まず注ぎ始めに
おいて油脂が注ぎ口から吹き出す現象があることに着目した。この吹き出し現象について
検討を進めたところ、例えば容器本体が軟プラスチックや紙パック等の比較的柔らかい素
材からなるものであると、手で持った際に容器が潰れ、それにより容器内部に存在してい
た空気が押し出されること、そして押し出された空気によって注ぎ口の流路に残留してい
た油脂も共に押しだされ、これが吹き出し現象となっていることを確認した。
そして本発明者らは、注出筒(注ぎ口)を設けたキャップにおいて、注出筒の内周面に
段差が所定の大きさ以上とされている場合、該段差が油脂の液体溜まり部分を生じさせる
こと、そしてこれが前述の吹き出し現象発生の一因となっていることを見出した。注出筒
の内周面の段差は、注出筒の金型による成形時に生じ得るものであるが、本発明者らはこ
の段差を所定範囲内に収めることで油脂の液体溜まりの発生を防止し、結果的に吹き出し
現象を抑制できることを見出した。
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る注ぎ口の好ましい実施形態について詳細に説
明するが、下記実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
図1及び
図2は、本発明に係る注ぎ口を備えるキャップ1の断面図であり、
図1はキャ
ップ1全体の開状態を示す断面図を、
図2は
図1に示す本発明に係る注ぎ口22を拡大し
た断面図をそれぞれ示す。
図1に示すように、キャップ1は、注ぎ口22を天壁21より上方に立設するキャップ
本体2と、該キャップ本体2とヒンジ構造4により開閉可能に結合するキャップ蓋体3と
を備えてなり、全体をポリエチレン等の合成樹脂から一体成形されてなるものである。
【0014】
図2は、本発明の注ぎ口22であって、本発明に係る要部構造を示す図である。
図2に示すように、注ぎ口22は、天壁21下面に形成された開口21Aを介して容器
(図示せず)の上部開口部と連通する筒体である。
注ぎ口22の内周面220は、油脂を容器内から容器外へ注ぎだすための流路を形成し
ており、当該流路は少なくとも直径の異なる2つ以上の円柱を接続した形状の空間を含み
てなる。当該流路は、当該油脂を容器内から容器外へ注ぎだす際の当該油脂の流れ方向に
おける下流側から該開口21Aに対し鉛直に伸びる第一の円柱220Aと、該開口21A
に対し鉛直に伸び且つ第一の円柱220Aよりも拡径された第二の円柱220Bと、該第
二の円柱220Bの上流側端部より該開口21Aの周縁21Bまで拡径伸長する円錐台2
20Cとが連なって形成してなる構造を有する。
【0015】
前記第二の円柱220Bの直径(D220B0、D220B2、D220B4)は、前
記第一の円柱220Aの直径(D220A0、D220A2、D220A4)よりも0.
05mm乃至0.5mm、より大きいことを特徴とする。
特に、前記第一の円柱220Aと前記第二の円柱220B同士を接続する部分における
円柱の直径差、すなわち、第一の円柱220Aの前記油脂の流れ方向における上流側端部
220A4の直径D220A4と、前記第二の円柱220Bの下流側端部220B2の直
径D220B2の差は0.05mm以上0.5mm未満である。
また好適な態様において、前記第一の円柱220Aの前記油脂の流れ方向における下流
側端部220A2の直径D220A2は、前記第一の円柱220Aの上流側端部220A
4の直径D220A4よりも0.01mm乃至0.1mm、より大きいものとすることが
できる。
あるいはまた好適な態様において、前記第二の円柱220Bの上流側端部220B4の
直径D220B4は、前記第二の円柱220Bの下流側端部220B2の直径D220B
2よりも0.01mm乃至4mm、より大きいものとすることができる。
また、好適な態様において、前記円錐台220Cの上流側端部220C4の直径D22
0C4は、前記円錐台220Cの下流側端部220C2の直径D220C2よりも2.0
mm以上5.0mm以下の範囲で大きいものとすることができる。
さらに、好適な態様において、前記油脂を容器内から容器外へ注ぎだす際の前記油脂の
流れ方向における前記注ぎ口の出口の前記流路の直径、すなわち、前記第一の円柱220
Aの下流側端部220A2の直径D220A2は、例えば1.5mm以上3.0mm以下
とすることができる。
【0016】
また
図2に示すように、天壁21下面に形成された開口21Aの周縁部212またはそ
の近傍において、本発明にあっては、下方に向けて又は側方に向けて突出する整流部は設
けられていない。
【0017】
また前記注ぎ口22は、
図2に示すように、前記油脂の流れ方向における出口において
、全周に亘って外方に向けて垂れ伸びるリップ部226を備える。またリップ部の図示し
ない一例として、注ぎ口の出口において片側が延出するように鋭角状に切り出されたリッ
プ部の態様や、該延出した方向に鍔状のリップ部を備えた態様などとしてもよい。
また前記注ぎ口22の外周面224は、
図2に示すように、筒下部に向けて拡大してな
る。また外周面の図示しない一例として、外周面を筒下部に向けて鉛直に伸びた態様など
としてもよい。
【0018】
本発明の態様による効果を明確とするべく、本発明の態様とは異なるキャップ、特に注
ぎ口の態様が異なるキャップの比較態様例を
図3に示す。
図3は、注ぎ口22の拡大断面
図である
図2に対応する、比較態様例の注ぎ口の拡大断面図である。
図3に示すように、比較態様例において、注ぎ口92は、天壁91下面に形成された開
口91Aを介して容器(図示せず)の上部開口部と連通する筒体であり、注ぎ口92の内
周面920は、前記油脂の流れ方向における下流側から、該開口91Aに対し鉛直に伸び
る円柱920Aと、該円柱920Aの上流側端部より該開口91Aの周縁91Bまで拡径
伸長する円錐台920Cとが連なって形成してなる空間構造を有する。
ここで、比較態様例における円柱920Aと円錐台920Cの間の段差によって生じる
段差部922と、
図2に示す本発明の態様の第一の円柱220Aと第二の円柱220Bの
間の段差によって生じる段差部222とを比較する。仮に本発明に係る第一の円柱220
Aの上流側端部220A4の直径D
220A4と、比較態様例の円柱920Aの上流側端
部920A4の直径D
920A4が同径であり、本発明に係る第二の円柱220Bの下流
側端部220B2の直径D
220B2と、比較態様例の円錐台920Cの下流側端部92
0C2の直径D
920C2が同径であった場合においても、両者の段差部に貯留し得る液
体量は、本発明の態様の段差部222の方が少量となる。
すなわち本発明にあっては、注ぎ口22の内周面220の構造(流路)を上述の第一の
円柱220A、第二の円柱220B、円錐台220Cから形成される空間とし、さらには
、第一の円柱220Aと第二の円柱220Bを接続する部分において両者の直径の差を0
.05mm以上0.5mm未満とすることにより、注ぎ口22の内周面220における段
差を所定範囲とすることで段差部222への油脂の貯留を防止して、油脂の吹き出し現象
、すなわち油吹きを抑制することができる。
【0019】
また、
図3に示すように、比較態様例において、天壁91下面に形成された開口21A
の周縁部912において、下方に向けて突出する整流部93が設けられてなる。該整流部
93と天壁91下面との間に生じた段差部914には、液体や空気が貯留し得る。
一方、本発明にあっては、
図2に示すように該整流部を非設置とすることで、油脂を注
出する際に、外部から入り込む或いは容器内部に残存する空気の巻き込み等を抑制し、油
脂の滑らかな注出を実現することができる。
【0020】
図1に示すように、本発明に係る注ぎ口22を備えるキャップ1のキャップ本体2は、
さらに、容器(図示せず)の口部に嵌合される円筒状の外側壁部23と、この円筒状外側
壁部23の上部を塞ぐ前述した天壁21と、円筒状外側壁部23の内側に同心状に設けら
れ、且つ、天壁21から垂下された円筒状内側壁部24と、円筒状外側壁部23と円筒状
内側嵌合壁部24との間に位置し、同心円状に設けられ、且つ、天壁21から垂下された
環状シール部25が設けられてなる。前記円筒状外側壁部23の内周面230には、円周
方向の全周に亘って雌ねじ部232が形成された態様とすることができる。
なお本態様では、キャップ本体2の天壁21の上面において、前述した注ぎ口22の外
側に、周方向に沿って環状に延びる突条部26を備えた態様とすることができる。
【0021】
また前記注ぎ口22は、
図1に示すように、後述するヒンジ構造4の連結側にやや寄せ
て設けることができる。
【0022】
キャップ本体2に被冠されるキャップ蓋体3は、キャップ本体2の上面を被覆または開
蓋し、前記注ぎ口22を閉鎖する栓部31を備える。該栓部31は、前記注ぎ口22に嵌
入する筒状栓部31Aと、該注ぎ口22のリップ部26と嵌合する嵌合栓部31Aを備え
る態様とすることができる。またキャップ蓋体3には、ヒンジ構造4の反対側に、使用者
がキャップ蓋体3を開ける際に指や爪を掛ける操作部32が設けられていてもよい。
【0023】
次に、本発明に係る注ぎ口を備えるキャップの使用態様の例として、キャップ1が装備
された容器について説明する。
図4は、本発明に係る注ぎ口(図示せず)を備えるキャップ1を装備した容器10を示
す図である。
容器10は、容器本体5と本発明に係るキャップ1を備えてなり、また容器本体5はキ
ャップ1と係合する樹脂製の内ふた(図示せず)が連結されてなる。容器10の内部には
後述する油脂Lc(図示せず)が充填される。
【0024】
容器本体5は、紙素材で形成された容器(所謂紙パック)とすることができ、容器本体
5の外側及び内側には、油脂Lcに合わせて、その保存や運搬等に適する様に積層体の層
を設けることができる。例えば油脂Lcが後述する液状の食用油脂である場合、積層体の
層には、例えば、酵素バリア性や、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性を付与
ないし向上させるバリア層を設けることができる。
なお容器本体は、紙パック以外にも、ポリエチレン(PE)やポリエチレンテレフタレ
ート(PET)等の樹脂製のボトルとすることもできる。
また容器本体5に連結されてなる樹脂製の内ふたは、キャップ1と同じ素材を用いるこ
とができる。
【0025】
前記20℃における固体脂含量(SFC)が5%以下の油脂Lcとしては、特に限定す
るものではなく、食用または非食用のいずれでもよいが、このましくは食用油脂である。
食用油脂としては、例えば、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米油
、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ごま油、月見草油、あまに油、え
ごま油の植物性油脂、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成油脂が挙げられる。
【0026】
次に、本発明の注ぎ口22を備えるキャップ1が装備された容器10に、前記油脂Lc
を充填した製品の使用例を説明する。
図5は、前記キャップ1がされた容器10に前記油脂Lcを充填した製品において、キ
ャップ1の周辺の拡大断面図である。使用時に容器10を傾け始めた状態を
図5(a)、
さらに容器10を傾け、油脂Lcを注出する状態を
図5(b)、注出後、容器10の傾き
を少し戻した状態を
図5(c)、初期状態にまで傾きを戻した状態を
図5(d)に、それ
ぞれ示す。
図5(a)~(d)に示すように、容器10には容器本体5と容器本体5に連結する樹
脂製の内ふた51と、容器10の上部開口部10Aに装備されたキャップ1を備えてなり
、このとき、キャップ1と内ふた51は係合するように構成される(
図5(d)等参照)
。
製品を使用する際、製品を傾け(
図5(a)、(b))、必要に応じて容器本体5をス
クイズ(圧縮)することにより、油脂Lcが容器10の上部開口部10A、そして、キャ
ップ1の天壁21に設けられた開口21Aを介し、キャップ1の注ぎ口22を通じて注出
される(
図5(b))。
製品使用後に、製品位置を
図5(c)まで戻すと、注ぎ口22の内部に残留していた油
脂Lcは、自重によって開口21A及び上部開口部10Aを介して容器内部に戻される。
また容器本体5のスクイズ(圧縮)により油脂Lcを押し出し注出した場合、容器本体5
が元の形に復元する際の吸引力(サックバック)によって、注ぎ口22内に残留していた
油脂Lcが容器内部に引き戻される。このとき、注ぎ口22の第一の円柱220Aの上流
側端部の直径D220A4と、第二の円柱220Bの下流側端部の直径D220B2との
直径の差が、0.05mm以上0.5mm未満とされていることで、油脂Lcが段差部2
22に貯留することがなく、次回、容器10を手で持った際に容器が潰れて、容器内部の
空気が注ぎ口22から押し出された際に油脂Lcが吹き出すことを抑制することができる
。
【実施例0027】
本発明に係る注ぎ口22(
図2)を備えるキャップ1および比較態様例の注ぎ口92(
図3)を備えるキャップをそれぞれ備えた700mLの紙パックを用いて、油脂の吹き出
し(液吹き)の発生について検討した。紙パックに対するキャップの取り付け位置は、図
4に示したものである。なお、
図2および
図3の注ぎ口における寸法は以下のとおりであ
る。
(
図2の注ぎ口)
第一の円柱220Aの下流側端部220A2の直径D
220A2:1.8mm
第一の円柱220Aの上流側端部220A4の直径D
220A4:1.77mm
第二の円柱220Bの下流側端部220B2の直径D
220B2:1.87mm
第二の円柱220Bの上流側端部220B4の直径D
220B4:1.99mm
円錐台220Cの下流側端部220C2の直径D
220C2:1.99mm
円錐台220Cの上流側端部220C4の直径D
220C4:5.5mm
(
図3の注ぎ口)
円柱920Aの下流側端部920A2の直径D
920A2:1.8mm
円柱920Aの上流側端部920A4の直径D
920A4:1.77mm
円錐台920Cの下流側端部920C2の直径D
920C2:2.23mm
円錐台920Cの上流側端部920C4の直径D
920C4:5.48mm
【0028】
評価は、以下の手順で行った。
(1)静置されている紙パックの側面を把持して持ち上げる。
(2)そのまま傾けて油脂を少量注ぐ。
(3)紙パックの傾きを戻し、机に戻して手を放す。
(4)再度、紙パックを持ち上げるために把持する。
(5)(1)乃至(4)の手順を10回繰り返し、油脂の吹き出し回数を評価した。
【0029】
評価の結果、比較態様例の注ぎ口92を有するキャップを用いた場合には、油脂の吹き
出しが1回生じた。これに対して、本発明に係る注ぎ口22を有するキャップ1を用いた
場合には、油脂の吹き出しが生じなかった。この結果から、本発明に係る注ぎ口22を有
するキャップ1は、油脂の吹き出しを抑制できることが明らかとなった。
キャップ本体2に被冠されるキャップ蓋体3は、キャップ本体2の上面を被覆または開蓋し、前記注ぎ口22を閉鎖する栓部31を備える。該栓部31は、前記注ぎ口22に嵌入する筒状栓部31Aと、該注ぎ口22のリップ部226と嵌合する嵌合栓部31Bを備える態様とすることができる。またキャップ蓋体3には、ヒンジ構造4の反対側に、使用者がキャップ蓋体3を開ける際に指や爪を掛ける操作部32が設けられていてもよい。