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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117866
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】液面センサ
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/263 20220101AFI20240823BHJP
【FI】
G01F23/263
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023926
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】早田 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】米内 冠
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AB02
2F014EA00
(57)【要約】
【課題】配置スペースの省スペース化を図ることができる液面センサを提供する。
【解決手段】下端が開口した筒状の受信電極2と、受信電極2の外周側に隙間E1を介して配置され、下端が開口した筒状の発信電極3と、グランド電極4とを備える。受信電極2と発信電極3のいずれか一方を発信電極、いずれか他方を受信電極とし、受信電極2の内周側に低温液化ガスを凍結保存容器内に充填させる充填管31を配置する。受信電極2と発信電極3とグランド電極4とに、受信電極2の内部と各電極間の隙間E1,E2とに低温液化ガスを導入させる複数の気通孔及び液通孔2a,3a,4aをそれぞれ設ける。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結保存容器内に貯留された低温液化ガスの液面高さを検出する静電容量式の液面センサであって、
下端が開口した筒状の内側電極と、該内側電極の外周側に隙間を介して配置され、下端が開口した筒状の外側電極と、グランド電極とを備え、前記内側電極と前記外側電極のいずれか一方を発信電極、いずれか他方を受信電極とし、
前記内側電極の内周側に前記低温液化ガスを前記凍結保存容器内に充填させる充填管を配置させることを特徴とする液面センサ。
【請求項2】
前記内側電極と前記外側電極の隙間に低温液化ガスが導入される液通孔と、
前記内側電極と前記外側電極の隙間で気化した低温液化ガスを液面センサ外部に放出する気通孔とを有することを特徴とする請求項1記載の液面センサ。
【請求項3】
前記液通孔が、前記外側電極に設けられた貫通孔であり、
前記気通孔が、前記外側電極に設けられた貫通孔であり、
前記液通孔と前記気通孔とが高さ方向に独立してそれぞれ設けられることを特徴とする請求項2記載の液面センサ。
【請求項4】
前記液通孔と前記気通孔とが長孔で一体化して前記外側電極に形成されることを特徴とする請求項2記載の液面センサ。
【請求項5】
前記液通孔が、前記外側電極の下端と前記内側電極の下端との間の空間によって形成されていることを特徴とする請求項2記載の液面センサ。
【請求項6】
前記気通孔は、前記内側電極に設けられた貫通孔であり、前記充填管の下端部よりも上方に設けられることを特徴とする請求項2記載の液面センサ。
【請求項7】
前記グランド電極は、前記外側電極の外周側に隙間を介して配置され、下端が開口した筒状であることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項記載の液面センサ。
【請求項8】
前記グランド電極の下端、前記外側電極の下端、前記内側電極の下端をそれぞれ離間して絶縁する下部絶縁体を設け、
前記下部絶縁体に前記液通孔が形成されていることを特徴とする請求項7記載の液面センサ。
【請求項9】
前記下部絶縁体に前記グランド電極と前記外側電極の隙間に低温液化ガスを流入させる流入口が形成されていることを特徴とする請求項8記載の液面センサ。
【請求項10】
前記充填管は、下端部が、グランド電極下端の開口と同一平面上に設けられることを特徴とする請求項7記載の液面センサ。
【請求項11】
前記充填管は、下端部が、グランド電極下端の開口よりも下方に突出するとともに、前記凍結保存容器の中心側に向けて折曲して設けられることを特徴とする請求項7記載の液面センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結保存容器に貯留された低温液化ガスの液面の高さを検出する液面センサに関し、詳しくは、凍結保存容器に低温液化ガスを充填する充填管と一体に設けた液面センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療、培養、食品等の分野では、各種試料を液化窒素のような低温液化ガスで冷却して凍結保存することが行われている。凍結保存用の凍結保存容器では、一般に、試料を保管した複数のラックを、凍結保存容器の上部開口部にそれぞれ係止させて凍結保存容器内に吊り下げていた。また、凍結保存容器内に、低温液化ガスを充填する充填管と液面センサとを備えたものがあり、これら充填管と液面センサとは、隣り合うラック間の空き領域にそれぞれ配置させていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-96692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1のものでは、隣り合うラック間の空き領域に、充填管と液面センサとを配置させるスペースがない場合があり、この場合、ラックの数を減らして、配置スペースを確保しなければならなかった。
【0005】
そこで本発明は、配置スペースの省スペース化を図ることができる液面センサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の液面センサは、凍結保存容器内に貯留された低温液化ガスの液面高さを検出する静電容量式の液面センサであって、下端が開口した筒状の内側電極と、該内側電極の外周側に隙間を介して配置され、下端が開口した筒状の外側電極と、グランド電極とを備え、前記内側電極と前記外側電極のいずれか一方を発信電極、いずれか他方を受信電極とし、前記内側電極の内周側に前記低温液化ガスを前記凍結保存容器内に充填させる充填管を配置させることを特徴としている。
【0007】
また、前記内側電極と前記外側電極の隙間に低温液化ガスが導入される液通孔と、前記内側電極と前記外側電極の隙間で気化した低温液化ガスを液面センサ外部に放出する気通孔とを有することを特徴としている。
【0008】
さらに、前記液通孔が、前記外側電極に設けられた貫通孔であり、前記気通孔が、前記外側電極に設けられた貫通孔であり、前記液通孔と前記気通孔とが高さ方向に独立してそれぞれ設けられることを特徴としている。また、前記液通孔と前記気通孔とが長孔で一体化して前記外側電極に形成されてもよい。また、前記液通孔が、前記外側電極の下端と前記内側電極の下端との間の空間によって形成されていてもよい。
【0009】
また、前記気通孔は、前記内側電極に設けられた貫通孔であり、前記充填管の下端部よりも上方に設けられることを特徴としている。
【0010】
さらに、前記グランド電極は、前記外側電極の外周側に隙間を介して配置され、下端が開口した筒状であることを特徴としている。また、前記グランド電極の下端、前記外側電極の下端、前記内側電極の下端をそれぞれ離間して絶縁する下部絶縁体を設け、前記下部絶縁体に前記液通孔や前記グランド電極と前記外側電極の隙間に低温液化ガスを流入させる流入口が形成されていてもよい。
【0011】
そして、前記充填管は、下端部が、グランド電極下端の開口と同一平面上に設けられるか、グランド電極下端の開口よりも下方に突出するとともに、前記凍結保存容器の中心側に向けて折曲して設けられてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液面センサによれば、内側電極と外側電極とグランド電極とで構成された静電容量式の液面センサの内部に充填管を配置させることにより、配置スペースの省スペース化を図ることができ、試料を保管するラックの数を減らすことなく、液面センサと充填管とを凍結保存容器に設けることができる。また、液面センサと充填管とを纏めて凍結保存容器の上部開口部に係止させることができ、凍結保存容器の上部に、ラックを抜き差しするスペースが確保され、ラックが取り出しやくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1形態例を示す液面センサの平面図である。
図2図1のII-II断面図である。
図3図1のIII-III断面図である。
図4】本発明の第1形態例を示す液面センサの底面図である。
図5】液面センサを取り付けた凍結保存容器の平面図である。
図6図5のVI-VI断面図である。
図7図6のVII-VII断面図である。
図8】凍結保存容器の断面斜視図である。
図9】本発明の第2形態例を示す液面センサの断面図である。
図10】本発明の第3形態例を示す液面センサの断面図である。
図11】本発明の第4形態例を示す液面センサの断面図である。
図12】本発明の第5形態例を示す液面センサの断面図である。
図13】同じく液面センサの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1乃至図8は本発明の第1形態例を示す図である。液面センサ1は、医療、培養、食品等の分野で用いられる各種試料を、液化窒素のような低温液化ガスで冷却して保存する凍結保存容器11に用いられ、凍結保存容器11内の低温液化ガスの液面高さを検出する。
【0015】
凍結保存容器11は、試料を収納して凍結保存容器11に保管させる複数のラック21を抜き差し可能に備え、凍結保存容器11内に挿入された隣り合うラック21,21の間の空き領域S1に、前記液面センサ1とともに、低温液化ガスを凍結保存容器11に充填する充填管31が配置される。
【0016】
凍結保存容器11は、図6乃至図8に示されるように、外槽12と内槽13との間に断熱層を形成した断熱容器であって、内槽13は、円筒状の容器本体13aと、該容器本体13aの上部に上方が縮径した円錐部13bを介して連設されたネック部13cとが一体的に形成されている。外槽12は、断熱材を介して前記容器本体13aを収容する円筒部12aと、前記ネック部13cを収容する上方が縮径した縮径部12bとが一体に形成されると共に、縮径部12bの上端部と、前記ネック部13cの上端部とが溶着されて外槽12と内槽13とが連結されている。
【0017】
また、外槽12の上端部を溶着したネック部13cの外周側には縁部材14が周設され、ネック部13cの上部開口13dは、蓋部材(図示せず)により閉塞される。縁部材14には、6個の第1係止溝14aが周方向に等間隔に形成されるとともに、隣り合う1組の第1係止溝14a,14aの間に、1個の第2係止溝14bが設けられている。
【0018】
ラック21は、前記上部開口13dを介して凍結保存容器11内に抜き差し可能な形状を有し、試料を格納する格納部22と、格納部22から上方に突出して、縁部材14に着脱可能に取り付けられる取付部材23とを備えている。
【0019】
格納部22は、ケース等に入れられた試料を格納する棚部材22aを上下方向に複数段設備えており、全体が、凍結保存容器11のネック部13cに挿通可能な底面積と、容器本体13aに収納可能な高さを備えた直方体状に形成されている。取付部材23は、格納部22の上面に取り付けられ、該上面の一側方から水平方向に突出する第1延出部23aと、該第1延出部23aから直角に折曲され上方に延出する第2延出部23bと、第2延出部23bから屈曲部23cを介して、第1延出部23aと平行に折り返される第3延出部23dとを有したコ字状に形成されている。
【0020】
このように形成されたラック21は、図5及び図6に示されるように、格納部22をネック部13cから凍結保存容器11内に挿入し、所定の位置で格納部22を容器本体13aの外周側にスライドさせ、第3延出部23dを第1係止溝14aに係止させることにより、凍結保存容器11に取り付けられる。本形態例では、6個のラック21が、順次ネック部13cから挿入され、容器本体13aの外周側に収容される。
【0021】
また、容器本体13aの底部には、6個のラック21を位置決めする平面視六角形状の位置決め部材24が取り付けられており、6個のラック21は、上述のように容器本体13aの外周側にスライドさせた状態で、図6及び図7に示されるように格納部22の側面が、位置決め部材24の側面24aにガイドされて、溶器本体13a内の所定位置に位置決めされる。
【0022】
液面センサ1は、静電容量式の液面センサであって、下端が開口した円筒状の受信電極2(内側電極)と、受信電極2の外周側に隙間E1を介して配置され、下端が開口した円筒状の発信電極3(外側電極)と、発信電極3の外周側に隙間E2を介して配置され、下端が開口した円筒状のグランド電極4とを備え、グランド電極4は、受信電極2及び発信電極3よりも上下方向に突出し、受信電極2は発信電極3よりも上方に突出している。
【0023】
また、グランド電極4の上部には、グランド電極4の上部開口を閉塞する閉塞部材5aが、受信電極2の上部には、受信電極2の上部開口を閉塞する第1上部絶縁体5bがそれぞれ設けられている。さらに、受信電極2の上部と発信電極3の上部との間には、隙間E1の上部開口を閉塞する第2上部絶縁体5cが、発信電極3の上部とグランド電極4の上部との間には、隙間E2の上部開口を閉塞する第3上部絶縁体5dがそれぞれ設けられる。さらに、グランド電極4の下部と、発信電極3の下部と、受信電極2の下部とが、それぞれ離間されるようにして絶縁するための下部絶縁体5eが設けられている。
【0024】
閉塞部材5aと第1上部絶縁体5bの中央部には、後述する充填管31の挿通孔5f,5gが同軸に形成されている。挿通孔5gは挿通孔5fよりも内径がわずかに大きくなっており、挿通孔5fには、充填管31が上部から受信電極2の内部に向けて圧入されるとともに、充填管31の先端側が挿通孔5gを貫通している。このような構成により、充填管31と液面センサ1とが一体化される。
【0025】
受信電極2は、充填管31の下端部31aよりも上方に、受信電極2の内部で気化した低温液化ガスを隙間E1に排出するための複数の気通孔2aが周方向に等間隔に形成されている。気通孔2aが充填管31の下端部31aよりも上方に設けられることで充填管31から低温液化ガスが気通孔2aへ直接侵入することを防ぐことができる。また、発信電極3は、気通孔2aよりも下方となる上部側に気化した低温液化ガスを隙間E2側に排出するための複数の気通孔3aが、下端部側に低温液化ガスを隙間E1側に導入するための複数の液通孔3bが、それぞれ周方向に等間隔に形成されている。さらに、グランド電極4は、発信電極3の気通孔3aに対応する位置に、気化した低温液化ガスをグランド電極4の外側に排出するための気通孔4aが、発信電極3の液通孔3bに対応する位置に、低温液化ガスを隙間E2側に導入するための液通孔4bが周方向に等間隔に複数形成されている。また、閉塞部材5aには、各電極に接続されるケーブル(図示せず)を挿通させるケーブル挿通管6が突設されている。
【0026】
発信電極3(外側電極)の液通孔3bは、低温液化ガスを隙間E1に入り込ませることができればいかなる位置と形状であってもよいが、低温液化ガスを流入しやすくするためには例えば外側電極の高さ方向の半分より下に位置することが好ましく、1/4より下に位置することがより好ましい。
【0027】
なお、隙間E1へ低温液化ガスを入り込ませるための液通孔は、受信電極2(内側電極)の下方に設けることも可能であるが、充填管31の下端部31aと隙間E1へ入り込む孔との距離を遠ざけることができ液面変動の影響を受けにくくなることから、本形態例のように発信電極3(外側電極)に液通孔3bとして設けることが好ましい。
【0028】
グランド電極4の液通孔4bは、低温液化ガスを隙間E2に入り込ませることができればいかなる位置と形状であってもよいが、低温液化ガスを流入しやすくするためには例えばグランド電極4の絶縁体5d高さ方向の半分より下に位置することが好ましく、1/4より下に位置することがより好ましい。
【0029】
発信電極3(外側電極)の気通孔3aは、隙間E1で気化した低温液化ガスを隙間E2側に放出できればいかなる位置と形状であってもよいが、例えば外側電極の高さ方向の半分より上に位置することが好ましく、1/4より上に位置することがより好ましい。
【0030】
グランド電極4の気通孔4aは、第3上部絶縁体5dより下の部分に設けられている。隙間E2で気化した低温液化ガスを液面センサに放出できればいかなる位置と形状であってもよいが、例えば第3上部絶縁体5dより下の部分の高さ方向の半分より上に位置することが好ましく、1/4より上に位置することがより好ましい。
【0031】
充填管31は、凍結保存容器内に、低温液化ガスを充填するための配管で、充填管31と一体に設けられた液面センサ1を、隣り合う1組のラック21,21の間の空き領域S1の一つに配置可能なように、屈曲して形成されている(図5及び図7)。詳しくは、液面センサ1を容器本体13aの所定深さに配置可能な長さを有し、下端部31aが挿通孔5fに圧入され、挿通孔5gに貫通される第1管部31bと、第1管部31bの上部から直角に屈曲し、水平方向に延出する第2管部31cと、第2管部31cから直角に屈曲し、ネック部13cに沿って上方に延出する第3管部31dと、第3管部31dの上部から折り返され、第2管部31cと平行に延出する第4管部31eとを備えている。
【0032】
下部絶縁体5eは、図4に示すように、受信電極2(内側電極4)の内径とほぼ同径の開口部5hを有する円環状の部材からなり、外径は、グランド電極4の下端の開口4cよりも小さい。また、ネジ固定部5iが外周から等間隔に4つ突出して設けられている。ネジ固定部5iの上面には、内側電極用の固定溝5jと、外側電極用の固定溝5kが設けられている。受信電極2の下端を固定溝5jに、発信電極3の下端を固定溝5kに載置し、グランド電極4の外周側からネジ固定部5iに向けて、ネジで固定することにより、下部絶縁体5eは各電極がそれぞれ離間して絶縁できるスペーサーとなる。また、グランド電極4cの下端の開口4cと、ネジ固定部5iを除く下部絶縁体5eの外周との間に、4つの開口5mを設け、液面センサ1の底面側から低温液化ガスを隙間E2に流入させる流入口5nと、隙間E1に流入させる液通孔5pを形成している(図3参照)。
【0033】
上述のように形成された液面センサ1は、充填管31を介して、ネック部13cから凍結保存容器11内に挿入され、液面センサ1を容器本体13aの外周側にスライドさせ、第4管部31eを第2係止溝14bに係止させることにより、空き領域S1の所定位置に配置される。なお、本形態例の液面センサ1は、図7の実線に示されるように、任意の隣り合う1組のラック21,21間の空き領域S1の一つに配置させているが、第2係止溝14bの位置を変更して、図7の想像線に示されるように、他の空き領域S1に配置させてもよい。
【0034】
凍結保存容器11の所定位置に配置された液面センサ1は、充填管31から低温液化ガスが供給されると、低温液化ガスが受信電極2下端の開口を介して凍結保存容器11に供給され、液面の上昇に伴って、複数の液通孔4b及び下部絶縁体5eの流入口5nを介して隙間E2に低温液化ガスが導入されるとともに、複数の液通孔3bを介して隙間E1に低温液化ガスが導入される。また、複数の気通孔3a,4aを介して隙間E1に入り込んだ低温液化ガスが気化したガスが液面センサ1の外側へ排出される。そして、受信電極2及び発信電極3に挟まれた隙間E1に低温液化ガスが入り込むことにより変化する電極間の静電容量により、低温液化ガスの液面が検知される。
【0035】
本形態例の液面センサ1は、上述のように受信電極2と発信電極3とグランド電極4とで構成された静電容量式の液面センサ1の内部に充填管31を配置させることにより、配置スペースの省スペース化を図ることができ、試料を保管するラック21の数を減らすことなく、液面センサ1と充填管31とを凍結保存容器11に設けることができる。また、発信電極3とグランド電極4とには、液通孔3b,4bがそれぞれ、受信電極2と発信電極3とグランド電極4とには気通孔2a、3a、4aがそれぞれ、設けられていることから、液面が上昇するのに伴って、液通孔3b,4bを介して隙間E1,E2に低温液化ガスが良好に導入され、液面を良好に検知することができる。さらに、静電容量式の液面センサ1を用いることにより、高精度に液面を検出することができる。また、液面センサ1と充填管31とは、第4管部31eによって、纏めて第2係止溝14bに係止されることから、ネック部13cに、ラック21を抜き差しするスペースを確保でき、ラック21が取り出しやすくなる。
【0036】
図9乃至図13は、本発明の他の形態例を示すもので、第1形態例と同様の構成要素を示すものには、同一の符号をそれぞれ付して、その詳細な説明は省略する。
【0037】
図9は、本発明の第2形態例を示す液面センサ41の断面図で、充填管42は下端部42aが、グランド電極4下端の開口4cと同一平面上に位置するまで、受信電極2内に挿入されている。
【0038】
図10は、本発明の第3形態例を示す液面センサ51の断面図で、充填管52は、下端部52aがグランド電極4下端の開口4bよりも下方に突出するとともに、凍結保存容器11の中心側に向けて折曲して設けられている。
【0039】
第2形態例や第3形態例のように、凍結保存容器やラックの形状、液面センサの配置位置等に応じて充填管の先端位置を変更することにより、隙間E1,E2に低温液化ガスを良好に導入させることができる。
【0040】
図11は、本発明の第4形態例を示す液面センサ61の断面図で、グランド電極4の上部は、天井部材62によって閉塞されるとともに、充填管63は、天井部材62に設けた継手64を介して挿入される。これにより、充填管63の下端部63aの位置が、継手64によって調節可能となる。
【0041】
図12及び図13は、本発明の第5形態例を示す液面センサ71の図で、発信電極3及びグランド電極4には、上述の各形態例における気通孔と液通孔とが一体となって機能する上下方向に長い長孔で形成された気液通孔72,73がそれぞれ設けられている。気液通孔72は発信電極3の周方向に等間隔に設けられ、気液通孔73は、気液通孔72に対応する位置に、グランド電極4の周方向に等間隔に設けられる。さらに、気液通孔72,73の上端は、受信電極2の気通孔2aよりも下方にそれぞれ設けられている。
【0042】
これにより、低温液化ガス充填時に、低温液化ガスを速やかに受信電極2の内部及び、隙間E1,E2に導入させることができるとともに液面を安定させることができる。また、気液通孔72,73は、下部を発信電極3又はグランド電極4の下端部に開口させてもよい。
【0043】
なお、上述の各形態例では、内側電極を受信電極に、外側電極を発信電極にしているが、本発明はこれに限るものではなく、内側電極を発信電極、外側電極を受信電極としてもよい。さらに、受信電極や発信電極及びグランド電極に設ける気通孔及び液通孔の形状は円形に限らずだ円形、角形等いかなる形状でもよく、メッシュ状やスリット状であってもよい。また、個数や配置場所も任意であり、各電極の周方向に等間隔に設けられていなくてもよく、各電極の気通孔及び液通孔の位置がずれていても差し支えない。
【0044】
また、上述の各形態例において、内側電極、外側電極及びグランド電極はいずれも円筒状であったが、液面で切り取られる断面積が一定であれば、断面が三角形、四角形、多角形の角筒状でもよい。
【0045】
さらに、グランド電極は、外側電極の外周側に隙間を介して配置される構成に限らず、いかなる形状であってもよい。
【0046】
また、上述の説明では、外部電極3に液通孔3b、下部絶縁体5eに液通孔5pと流入口5nがそれぞれ設けられ、隙間E1に低温液化ガスが入り込みやすいようにしているが、外部電極3の液通孔3bのみであってもよい。また、下部絶縁体5eに流入口5nを設けず、液通孔5pのみであってもよく、開口位置を隙間E1に対して直接開口するように設けてもよい。さらに、その場合は液通孔3bを設けなくてもよい。
【0047】
また、電極間が絶縁されていれば、下部絶縁体を設けなくてもよい。その場合は、内側電極の下端と外側電極の下端との間の空間を液通孔として、液通孔3bに代えて、若しくは、液通孔3bとともに設けてもよい。
【0048】
また、気通孔については、例えば、第2上部絶縁体5cや閉塞部材5aを上下方向に貫通する孔を設け、さらに、グランド電極4の上部絶縁体5dより上の外周部分に孔をあけてもよい。
【0049】
さらに、内部電極の全体、外部電極の全体、またはグランド電極の全体をメッシュ状にして液通孔または気通孔としてもよい。
【0050】
また、第4形態例を除く上記各形態例では、閉塞部材5aの挿通孔5fに充填管31を圧入することにより固定しているが、溶接等の他の固定方法であってもよい。
【0051】
また、凍結保存容器の形状は任意であり、ラックの形状も凍結保存容器の形状に応じて任意である。また、凍結保存容器内に収納するラックの個数も任意である。
【符号の説明】
【0052】
1…液面センサ、2…受信電極(内側電極)、2a…気通孔、3…発信電極(外側電極)、3a…気通孔、3b…液通孔、4…グランド電極、4a…気通孔、4b…液通孔、4c…開口、5a…閉塞部材、5b…第1上部絶縁体、5c…第2上部絶縁体、5d…第3上部絶縁体、5e…下部絶縁体、5f,5g…挿通孔、5h…開口部、5i…ネジ固定部、5j,5k…固定溝、5m…開口、5n…流入口、5p…液通孔、6…ケーブル挿通部、11…凍結保存容器、12…外槽、12a…円筒部、12b…縮径部、13…内槽、13a…容器本体、13b…円錐部、13c…ネック部、13d…上部開口、14…縁部材、14a…第1係止溝、14b…第2係止溝、21…ラック、22…格納部、22a…棚部材、23…取付部材、23a…第1延出部、23b…第2延出部、23c…屈曲部、23d…第3延出部、24…位置決め部材、31…充填管、31a…下端部、31b…第1管部、31c…第2管部、31d…第3管部、31e…第4管部、41…液面センサ、42…充填管、51…液面センサ、52…充填管、52a…下端部、61…液面センサ、62…天井部材、63…充填管、63a…下端部、64…継手、71…液面センサ、72,73…気液通孔
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