(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117877
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 648K
H01L21/304 643A
H01L21/304 648F
H01L21/304 647Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023938
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸本 洋
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB48
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC26
5F157BB23
5F157BB38
5F157BB44
5F157BE23
5F157BE43
5F157CA03
5F157CE36
5F157CE83
5F157CF04
5F157CF14
5F157CF34
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF74
5F157CF99
5F157DB03
5F157DB18
5F157DB37
5F157DC84
5F157DC86
(57)【要約】
【課題】基板間での処理結果のばらつきを抑制すること。
【解決手段】基板処理装置は、基板処理部と、第1経路と、第2経路と、第1開閉バルブと、第2開閉バルブと、温度検出部と、制御部とを備える。基板処理部は、第1処理液と第2処理液とを混合して混合液を生成し、混合液を基板に供給することにより基板を処理する。第1開閉バルブは、基板処理部に第1処理液を供給する第1経路を開閉する。第2開閉バルブは、基板処理部に第2処理液を供給する第2経路を開閉する。温度検出部は、第1経路および第2経路の少なくとも一方の経路に設けられ、処理液の温度を検出する。制御部は、基板への混合液の供給を開始する前に、温度検出部を用いて検出される処理液の温度が許容範囲内であるか否かを判定する。制御部は、処理液の温度が許容範囲内である場合に、第1開閉バルブおよび第2開閉バルブを開放して基板への混合液の供給を開始する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1処理液と第2処理液とを混合して混合液を生成し、生成した前記混合液を基板に供給することにより前記基板を処理する基板処理部と、
前記基板処理部に前記第1処理液を供給する第1経路と、
前記基板処理部に前記第2処理液を供給する第2経路と、
前記第1経路を開閉する第1開閉バルブと、
前記第2経路を開閉する第2開閉バルブと、
前記第1経路および前記第2経路の少なくとも一方の経路に設けられ、前記少なくとも一方の経路における処理液の温度を検出する温度検出部と、
各部を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記基板処理部による前記基板への前記混合液の供給を開始する前に、前記温度検出部を用いて検出される前記処理液の温度が許容範囲内であるか否かを判定し、
前記処理液の温度が前記許容範囲内である場合に、前記第1開閉バルブおよび前記第2開閉バルブを開放して前記基板への前記混合液の供給を開始する
基板処理装置。
【請求項2】
前記基板処理部は、
前記第1経路および前記第2経路に接続され、前記第1経路からの第1処理液と前記第2経路からの第2処理液とを混合して混合液を生成する混合部と、
前記混合部により生成された混合液を前記基板に吐出するノズルと、
前記ノズルを収容して待機させる収容部と
を有し、
前記制御部は、
前記処理液の温度が前記許容範囲内ではない場合、前記ノズルを前記収容部へ移動させて待機させ、
前記ノズルを待機させた状態で前記第1開閉バルブおよび前記第2開閉バルブのうち前記少なくとも一方の経路に対応するバルブを開放して前記ノズルから前記収容部へ前記処理液を吐出するダミーディスペンス処理を行う
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記ダミーディスペンス処理を開始した後に、前記温度検出部を用いて検出される前記処理液の温度が許容範囲内であるか否かを判定し、
前記処理液の温度が前記許容範囲内である場合に、前記バルブを閉じて前記ダミーディスペンス処理を終了する
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ダミーディスペンス処理を終了した後に、前記ノズルを前記収容部から前記混合液を前記基板に供給可能な位置へ移動させ、
前記第1開閉バルブおよび前記第2開閉バルブを開放して前記基板への前記混合液の供給を開始する
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記混合部は、
前記第1処理液を貯留する貯留タンクから前記第1経路を介して供給される前記第1処理液と前記第2処理液とを混合して混合液を生成し、
前記ダミーディスペンス処理中に前記ノズルから前記収容部に前記処理液として吐出される前記第1処理液を前記貯留タンクへ戻す回収経路
をさらに備える請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1経路および前記第2経路の少なくとも一方の経路に設けられた温度調整部
をさらに備え、
前記制御部は、
前記少なくとも一方の経路内の処理液の温度が前記許容範囲内ではない場合、前記温度調整部を制御して、前記処理液の温度を補正する温度補正処理を行う
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記温度補正処理を開始した後に、前記温度検出部を用いて検出される前記少なくとも一方の経路内の処理液の温度が許容範囲内であるか否かを判定し、
前記少なくとも一方の経路内の処理液の温度が前記許容範囲内である場合に、前記温度調整部を停止して前記温度補正処理を終了する
請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記温度補正処理を終了した後に、前記第1開閉バルブおよび前記第2開閉バルブを開放して前記基板への前記混合液の供給を開始する
請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
第1処理液と第2処理液とを混合して混合液を生成し、生成した前記混合液を基板に供給することにより前記基板を処理する基板処理部と、
前記基板処理部に前記第1処理液を供給する第1経路と、
前記基板処理部に前記第2処理液を供給する第2経路と、
前記第1経路を開閉する第1開閉バルブと、
前記第2経路を開閉する第2開閉バルブと、
前記第1経路および前記第2経路の少なくとも一方の経路に設けられ、前記少なくとも一方の経路における処理液の温度を検出する温度検出部と、
を備える基板処理装置において、
前記基板処理部による前記基板への前記混合液の供給を開始する前に、前記温度検出部を用いて検出される前記処理液の温度が許容範囲内であるか否かを判定し、
前記処理液の温度が許容範囲内である場合に、前記第1開閉バルブおよび前記第2開閉バルブを開放して前記基板への前記混合液の供給を開始する
基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1処理液と第2処理液とを混合した混合液を用いて、半導体ウェハやガラス基板等の基板を処理する基板処理装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、混合液を用いた基板処理において基板間の処理結果のばらつきを抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、基板処理部と、第1経路と、第2経路と、第1開閉バルブと、第2開閉バルブと、温度検出部と、制御部とを備える。基板処理部は、第1処理液と第2処理液とを混合して混合液を生成し、生成した混合液を基板に供給することにより基板を処理する。第1経路は、基板処理部に第1処理液を供給する。第2経路は、基板処理部に第2処理液を供給する。第1開閉バルブは、第1経路を開閉する。第2開閉バルブは、第2経路を開閉する。温度検出部は、第1経路および第2経路の少なくとも一方の経路に設けられ、少なくとも一方の経路における処理液の温度を検出する。制御部は、基板処理部による基板への混合液の供給を開始する前に、温度検出部を用いて検出される処理液の温度が許容範囲内であるか否かを判定する。制御部は、処理液の温度が許容範囲内である場合に、第1開閉バルブおよび第2開閉バルブを開放して基板への混合液の供給を開始する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板間での処理結果のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る処理ユニットの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る基板処理システムにおける処理液供給系の具体的な構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る処理ユニットが実行する基板処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るSPM供給処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る基板処理システムにおける処理液供給系の具体的な構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係るSPM供給処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第3実施形態に係る基板処理システムにおける処理液供給系の具体的な構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示による基板処理装置における処理液の流量推定方法および基板処理装置を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。
【0009】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、例えば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0010】
また、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す場合がある。
【0011】
従来、第1処理液と第2処理液とを混合した混合液を用いて、半導体ウェハやガラス基板等の基板を処理する基板処理装置が知られている。かかる混合液としては、例えば、硫酸と過酸化水素水との混合液であるSPM(Sulfuric acid Hydrogen Peroxide Mixture)等が用いられる。
【0012】
ところで、混合液を用いた基板処理においては、基板に供給される混合液の温度のばらつきに起因して基板間に処理結果のばらつきが発生する場合がある。すなわち、混合される前の第1処理液および第2処理液は、混合液を用いた基板処理が行われていない期間に第1処理液および第2処理液の各々の供給経路に滞留する。供給経路での滞留時間が長くなるほど、混合される前の第1処理液および第2処理液の温度が低下する。これにより、混合される前の第1処理液および第2処理液に温度のばらつきが生じるため、混合液を生成する場合に、生成される混合液に温度のばらつきが生じる。その結果、混合液を用いた基板処理においては、混合液の温度のばらつきにより、基板間に処理結果のばらつきが発生する場合がある。
【0013】
そこで、混合液を用いた基板処理において基板間の処理結果のばらつきを抑制することができる技術が期待されている。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る基板処理システム1(基板処理装置の一例)の概略構成について
図1を参照し説明する。
図1は、第1実施形態に係る基板処理システム1の概略構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0016】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の基板、実施形態では半導体ウェハW(以下、ウェハWと呼称する。)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0017】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。
【0018】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16(基板処理部の一例)とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
【0019】
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウェハWの搬送を行う。
【0020】
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウェハWに対して所定の基板処理を行う。
【0021】
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0022】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0023】
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウェハWを取り出して受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
【0024】
処理ユニット16へ搬入されたウェハWは、処理ユニット16によって基板処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0025】
なお、制御装置4の制御部18は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。かかるマイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、後述する制御を実現する。また、記憶部19は、たとえば、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0026】
次に、処理ユニット16の構成について
図2を参照して説明する。
図2は、第1実施形態に係る処理ユニット16の構成を示す図である。
【0027】
図2に示すように、処理ユニット16は、チャンバ20と、基板保持機構30と、ノズル40と、回収カップ50と、収容部80とを備える。
【0028】
チャンバ20は、基板保持機構30、ノズル40および回収カップ50を収容する。チャンバ20の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)21が設けられる。FFU21は、チャンバ20内にダウンフローを形成する。
【0029】
基板保持機構30は、保持部31と、支柱部32と、駆動部33とを備える。保持部31は、ウェハWを水平に保持する。支柱部32は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部33によって回転可能に支持され、先端部において保持部31を水平に支持する。駆動部33は、支柱部32を鉛直軸まわりに回転させる。かかる基板保持機構30は、駆動部33を用いて支柱部32を回転させることによって支柱部32に支持された保持部31を回転させ、これにより、保持部31に保持されたウェハWを回転させる。
【0030】
ノズル40は、ウェハWに対して処理液を供給する。ノズル40は、処理液供給源70に接続される。ノズル40は、不図示のアームによって水平に支持される。アームは、不図示の旋回昇降機構によって旋回および昇降する。
【0031】
回収カップ50は、保持部31を取り囲むように配置され、保持部31の回転によってウェハWから飛散する処理液を捕集する。回収カップ50の底部には、排液口51が形成されており、回収カップ50によって捕集された処理液は、かかる排液口51から処理ユニット16の外部へ排出される。また、回収カップ50の底部には、FFU21から供給される気体を処理ユニット16の外部へ排出する排気口52が形成される。
【0032】
収容部80は、たとえば、回収カップ50の外方に配置される。収容部80は、ノズル40がウェハW上に処理液を吐出していない場合に、かかるノズル40を収容して待機させる。そして、ノズル40は、収容部80に待機している場合に、ダミーディスペンス処理を行う。ダミーディスペンス処理とは、たとえば処理液の劣化を防止するために、ウェハWに処理液を吐出していない待機中にノズル40から処理液を適宜吐出させる処理である。ノズル40から吐出された処理液は、排出路81を通って外部へ排出される。
【0033】
次に、第1実施形態に係る基板処理システム1における処理液供給系の具体的な構成について
図3を参照して説明する。
図3は、第1実施形態に係る基板処理システム1における処理液供給系の具体的な構成例を示す図である。
【0034】
以下では、第1処理液として硫酸を使用し、第2処理液として過酸化水素水を使用して、これらの混合液であるSPMをウェハWに供給する場合における処理液供給系の構成例について説明する。
【0035】
図3に示すように、処理液供給源70は、硫酸の供給系として、貯留タンク102と、循環経路104と、複数の分岐経路112(第1経路の一例)とを有する。貯留タンク102は、硫酸を貯留する。循環経路104は、貯留タンク102から出て貯留タンク102に戻る。複数の分岐経路112は、循環経路104から分岐して各処理ユニット16に接続される。
【0036】
貯留タンク102には、液面センサS1が設けられる。液面センサS1は、たとえば貯留タンク102の側方に配置され、貯留タンク102に貯留された硫酸の液面を検知する。具体的には、液面センサS1は、貯留タンク102内における下限液面を検知するためのセンサである。液面センサS1による検知結果は、制御部18へ出力される。
【0037】
循環経路104には、上流側から順に、ポンプ106、フィルタ108、ヒータ109および濃度計110が設けられる。ポンプ106は、貯留タンク102から出て循環経路104を通り貯留タンク102に戻る循環流を形成する。フィルタ108は、硫酸に含まれるパーティクル等の汚染物質を除去する。ヒータ109は、制御部18によって制御され、循環経路104を循環する硫酸を設定された温度に加熱する。濃度計110は、循環経路104を循環する硫酸の濃度を検出して、検出結果を制御部18へ出力する。
【0038】
循環経路104における濃度計110よりも下流側には、複数の分岐経路112が接続される。各分岐経路112は、各処理ユニット16の後述する混合部45に接続され、循環経路104を流れる硫酸を各混合部45に供給する。各分岐経路112には、上流側から順に、バルブ113(第1開閉バルブの一例)および温度検出部115が設けられる。バルブ113は、各分岐経路112を開閉する。温度検出部115は、分岐経路112における硫酸の温度を検出する。具体的には、温度検出部115は、分岐経路112を流れる硫酸または分岐経路112に滞留する硫酸の温度を検出する。温度検出部115による検出結果は、制御部18へ出力される。
【0039】
また、処理液供給源70は、過酸化水素水の供給系として、過酸化水素水供給経路160(第2経路の一例)と、バルブ161(第2開閉バルブの一例)と、過酸化水素水供給源162とを備える。過酸化水素水供給経路160の一端は、バルブ161を介して過酸化水素水供給源162に接続され、他端は処理ユニット16の後述する混合部45に接続される。処理液供給源70は、過酸化水素水供給源162から供給される過酸化水素水を過酸化水素水供給経路160を介して処理ユニット16の混合部45へ供給する。
【0040】
なお、ここでは、図示を省略するが、過酸化水素水供給経路160には、他の温度検出部が設けられてもよい。かかる他の温度検出部は、過酸化水素水供給経路160における過酸化水素水の温度を検出する。具体的には、他の温度検出部は、過酸化水素水供給経路160を流れる過酸化水素水または過酸化水素水供給経路160に滞留する過酸化水素水の温度を検出する。他の温度検出部による検出結果は、制御部18へ出力される。
【0041】
また、処理液供給源70は、供給経路170と、バルブ171と、硫酸供給源172とを備える。供給経路170の一端は、バルブ171を介して硫酸供給源172に接続され、他端は貯留タンク102に接続される。硫酸供給源172は、硫酸を供給する。処理液供給源70は、硫酸供給源172から供給される硫酸を供給経路170を介して貯留タンク102へ供給する。
【0042】
なお、ここでは、図示を省略するが、処理液供給源70は、処理ユニット16に対してリンス液を供給するためのリンス液供給経路を備える。リンス液としては、例えば、DIW(純水)を用いることができる。
【0043】
処理ユニット16は、混合部45を備える。混合部45は、分岐経路112から供給される硫酸と、過酸化水素水供給経路160から供給される過酸化水素水とを混合して混合液であるSPMを生成し、生成したSPMをノズル40へ供給する。なお、混合部45は、ノズル40に一体的に組み込まれていてもよい。
【0044】
また、各処理ユニット16の排液口51は、分岐経路53を介して排出経路54に接続される。各処理ユニット16において使用されたSPMは、排液口51から分岐経路53を介して排出経路54へ排出される。
【0045】
なお、ここでは、SPMの供給とリンス液の供給とをノズル40を用いて行うこととするが、処理ユニット16は、リンス液を供給するためのノズルを別途備えていてもよい。
【0046】
基板処理システム1は、切替部90と、回収経路116と、廃棄経路117とをさらに備える。切替部90は、排出経路54、回収経路116および廃棄経路117に接続されており、制御部18の制御に従って、排出経路54を流れる使用済みSPMの流入先を回収経路116と廃棄経路117との間で切り替える。
【0047】
回収経路116は、一端が切替部90に接続され、他端が貯留タンク102に接続される。回収経路116には、上流側から順に、回収タンク118と、ポンプ119と、フィルタ120とが設けられる。回収タンク118は、使用済みSPMを一時的に貯留する。ポンプ119は、回収タンク118に貯留された使用済みSPMを貯留タンク102へ送る流れを形成する。フィルタ120は、使用済みSPMに含まれるパーティクル等の汚染物質を除去する。
【0048】
廃棄経路117は、切替部90に接続され、排出経路54から切替部90を介して流入する使用済みSPMを基板処理システム1の外部へ排出する。
【0049】
次に、本実施形態に係る処理ユニット16が実行する基板処理の内容について
図4を参照して説明する。
図4は、第1実施形態に係る処理ユニット16が実行する基板処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図4に示す各処理手順は、制御部18の制御に従って実行される。
【0050】
まず、処理ユニット16では、ウェハWの搬入処理が行われる(ステップS101)。具体的には、基板搬送装置17(
図1参照)によって処理ユニット16のチャンバ20(
図2参照)内にウェハWが搬入されて保持部31に保持される。その後、処理ユニット16は、保持部31を所定の回転速度(たとえば、50rpm)で回転させる。
【0051】
つづいて、処理ユニット16では、SPM供給処理が行われる(ステップS102)。SPM供給処理では、バルブ113およびバルブ161が所定時間(たとえば、30秒間)開放されることによって、ノズル40からウェハWの上面へSPMが供給される。ウェハWに供給されたSPMは、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハWの表面に塗り広げられる。SPM供給処理の詳細については後述する。
【0052】
かかるSPM供給処理では、SPMに含まれるカロ酸の強い酸化力と、硫酸と過酸化水素水との反応熱とを利用し、例えば、ウェハWの上面に形成された膜をエッチングする。
【0053】
ステップS102のSPM供給処理を終えると、処理ユニット16では、リンス処理が行われる(ステップS103)。かかるリンス処理では、不図示のリンス液供給部からウェハWの上面へリンス液(例えば、DIW)が供給される。ウェハWに供給されたDIWは、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハWの表面に塗り広げられる。これにより、ウェハWに残存するSPMがDIWによって洗い流される。
【0054】
つづいて、処理ユニット16では、乾燥処理が行われる(ステップS104)。かかる乾燥処理では、ウェハWを所定の回転速度(たとえば、1000rpm)で所定時間回転させる。これにより、ウェハWに残存するDIWが振り切られて、ウェハWが乾燥する。その後、ウェハWの回転が停止する。
【0055】
そして、処理ユニット16では、搬出処理が行われる(ステップS105)。搬出処理では、保持部31に保持されたウェハWが基板搬送装置17へ渡される。かかる搬出処理が完了すると、1枚のウェハWについての基板処理が完了する。
【0056】
次に、ステップS102におけるSPM供給処理の具体的な手順について
図5を参照して説明する。
図5は、第1実施形態に係るSPM供給処理の手順を示すフローチャートである。
【0057】
図5に示すように、まず、制御部18は、分岐経路112における硫酸の温度を温度検出部115から取得する(ステップS111)。そして、制御部18は、温度検出部115から取得された硫酸の温度が許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS112)。ここで、許容範囲とは、たとえばヒータ109(
図3参照)の設定温度を中心する所定の温度範囲である。ヒータ109の設定温度としては、たとえば45℃が用いられる。
【0058】
制御部18は、硫酸の温度が許容範囲内である場合(ステップS112Yes)、バルブ113およびバルブ161を開放してノズル40からウェハWへのSPMの供給を開始する(ステップS113)。ウェハWへ供給されるSPMは、温度が許容範囲内である硫酸と過酸化水素水とが混合されて生成されるものである。このため、ウェハWへ供給されるSPMの温度のばらつきを抑制することができ、結果として、SPMを用いた基板処理においてウェハW間の処理結果のばらつきを抑制することができる。
【0059】
一方、硫酸の温度が許容範囲内ではない場合(ステップS112No)、制御部18は、不図示の旋回昇降機構を制御して、ノズル40を収容部80へ移動させて待機させる(ステップS114)。そして、制御部18は、ダミーディスペンス処理を行う(ステップS115)。ダミーディスペンス処理では、制御部18は、バルブ113を開放してノズル40から収容部80へ硫酸を吐出する。これにより、循環経路104を循環し且つヒータ109によって設定温度に保たれた硫酸が分岐経路112へ供給され、分岐経路112に滞留する比較的に低温の硫酸が混合部45およびノズル40を介して収容部80へ押し出される。これにより、分岐経路112における硫酸の温度が上昇して許容範囲内に向かって収束し、結果として、混合部45で混合される前の硫酸の温度のばらつきを抑制することができる。なお、収容部80へ押し出された硫酸は、排出路81を通って外部へ排出される。
【0060】
つづいて、制御部18は、分岐経路112における硫酸の温度を温度検出部115から取得する(ステップS116)。そして、制御部18は、温度検出部115から取得された硫酸の温度が許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS117)。
【0061】
制御部18は、硫酸の温度が許容範囲内でない場合(ステップS117No)、処理をステップS115に戻す。一方、硫酸の温度が許容範囲内となった場合(ステップS117Yes)、制御部18は、バルブ113を閉じてダミーディスペンス処理を終了する(ステップS118)。これにより、ダミーディスペンス処理を適切なタイミングで終了することができ、ダミーディスペンス処理において消費される硫酸の量を抑制することができる。その後、制御部は、不図示の旋回昇降機構を制御して、ノズル40を収容部80からウェハWの上方の処理位置、つまり、SPMをウェハWに供給可能な位置へ移動させる。
【0062】
つづいて、制御部18は、バルブ113およびバルブ161を開放してノズル40からウェハWへのSPMの供給を開始する(ステップS113)。ウェハWへ供給されるSPMは、温度が許容範囲内である硫酸と過酸化水素水とが混合されて生成されるものである。このため、ウェハWへ供給されるSPMの温度のばらつきを抑制することができ、結果として、SPMを用いた基板処理においてウェハW間の処理結果のばらつきを抑制することができる。
【0063】
なお、
図5の例では、分岐経路112における硫酸の温度が許容範囲内である場合に、ウェハWへのSPMの供給を開始するものとしたが、SPMの供給を開始する条件はこれに限られない。例えば、制御部18は、過酸化水素水供給経路160における過酸化水素水の温度が許容範囲内であるか否かを判定し、過酸化水素水の温度が許容範囲内である場合に、ウェハWへのSPMの供給を開始してもよい。過酸化水素水の温度に関する許容範囲とは、たおえば常温(25℃)を中心とする所定の温度範囲である。また、例えば、制御部18は、分岐経路112における硫酸の温度および過酸化水素水供給経路160における過酸化水素水の温度が各々の許容範囲内である場合に、ウェハWへのSPMの供給を開始してもよい。
【0064】
また、
図5のステップS111、S112およびS114~S118の処理は、ウェハWへのSPMの供給を開始する前のタイミングであれば任意のタイミングで実行されてもよい。たとえば、ウェハWの搬入処理(
図4のステップS101参照)の前に実行されてもよい。
【0065】
また、
図5のステップS111、S112およびS114~S118の処理は、SPMを用いた基板処理が行われていない期間に、周期的なタイミングで実行されてもよい。すなわち、制御部18は、周期的なタイミングでステップS111からの処理を開始し、硫酸の温度が許容範囲内である場合(ステップS112Yes)およびダミーディスペンス処理を終了した場合(ステップS118)に、処理をステップS111に戻す。
【0066】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る基板処理システム1における処理液供給系の具体的な構成例について
図6を参照して説明する。
図6は、第2実施形態に係る基板処理システム1における処理液供給系の具体的な構成例を示す図である。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0067】
図6に示す各分岐経路112には、温度調整部114が設けられる。温度調整部114は、分岐経路112におけるバルブ113よりも下流側に設けられる。温度調整部114は、制御部18によって制御され、分岐経路112における硫酸の温度を調整する。具体的には、温度調整部114は、分岐経路112を流れる硫酸または分岐経路112に滞留する硫酸の温度を調整する。温度調整部114としては、加熱機能を有するヒータを用いることができる。温度調整部114としては、加熱機能および冷却機能の両方を有する機器を用いてもよい。また、温度調整部114は、分岐経路112に複数設けられてもよい。
【0068】
なお、ここでは、図示を省略するが、過酸化水素水供給経路160にも、他の温度調整部が設けられてもよい。かかる他の温度調整部は、過酸化水素水供給経路160における過酸化水素水の温度を調整する。具体的には、他の温度検出部は、過酸化水素水供給経路160を流れる過酸化水素水または過酸化水素水供給経路160に滞留する過酸化水素水の温度を調整する。
【0069】
次に、第2実施形態に係るSPM供給処理の具体的な手順について
図7を参照して説明する。
図7は、第2実施形態に係るSPM供給処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図7において、ステップS121~S123の処理は、それぞれ
図5のステップS111~S113の処理と同様の処理であるのでここでは説明を省略する。
【0070】
制御部18は、温度検出部115から取得された硫酸の温度が許容範囲内ではない場合(ステップS122No)、温度調整部114を制御して、分岐経路112における硫酸の温度を補正する温度補正処理を行う(ステップS124)。これにより、分岐経路112に滞留する比較的に低温の硫酸が加熱される。これにより、分岐経路112における硫酸の温度が上昇して許容範囲内に向かって収束し、結果として、混合部45で混合される前の硫酸の温度のばらつきを抑制することができる。
【0071】
つづいて、制御部18は、分岐経路112における硫酸の温度を温度検出部115から取得する(ステップS125)。そして、制御部18は、温度検出部115から取得された硫酸の温度が許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS126)。
【0072】
制御部18は、硫酸の温度が許容範囲内でない場合(ステップS126No)、処理をステップS124に戻す。一方、硫酸の温度が許容範囲内となった場合(ステップS126Yes)、制御部18は、温度調整部114を停止して温度補正処理を終了する(ステップS127)。これにより、温度補正処理を適切なタイミングで終了することができ、温度補正処理において温度調整部114の消費電力の増大を抑制しつつ、混合部45で混合される前の硫酸の温度のばらつきを抑制することができる。
【0073】
なお、
図7の例では、分岐経路112における硫酸の温度が許容範囲内である場合に、ウェハWへのSPMの供給を開始するものとしたが、SPMの供給を開始する条件はこれに限られない。例えば、制御部18は、過酸化水素水供給経路160における過酸化水素水の温度が許容範囲内であるか否かを判定し、過酸化水素水の温度が許容範囲内である場合に、ウェハWへのSPMの供給を開始してもよい。過酸化水素水の温度に関する許容範囲とは、たおえば常温(25℃)を中心とする所定の温度範囲である。また、例えば、制御部18は、分岐経路112における硫酸の温度および過酸化水素水供給経路160における過酸化水素水の温度が各々の許容範囲内である場合に、ウェハWへのSPMの供給を開始してもよい。
【0074】
また、
図7のステップS121、S122およびS124~S127の処理は、ウェハWへのSPMの供給を開始する前のタイミングであれば任意のタイミングで実行されてもよい。たとえば、ウェハWの搬入処理(
図4のステップS101参照)の前に実行されてもよい。
【0075】
また、
図7のステップS121、S122およびS124~S127の処理は、SPMを用いた基板処理が行われていない期間に、周期的なタイミングで実行されてもよい。すなわち、制御部18は、周期的なタイミングでステップS121からの処理を開始し、硫酸の温度が許容範囲内である場合(ステップS122Yes)および温度補正処理を終了した場合(ステップS127)に、処理をステップS121に戻す。
【0076】
また、
図7のステップS124の温度補正処理は、
図5のステップS115のダミーディスペンス処理と並行して実行されてもよい。
【0077】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る基板処理システム1における処理液供給系の具体的な構成例について
図8を参照して説明する。
図8は、第3実施形態に係る基板処理システム1における処理液供給系の具体的な構成例を示す図である。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0078】
図8に示す基板処理システム1は、
図3の排出路81に代えて回収経路121を備える。回収経路121は、一端が収容部80に接続され、他端が貯留タンク102に接続される。回収経路121は、ダミーディスペンス処理中にノズル40から収容部80に処理液として吐出される硫酸を貯留タンク102へ戻す。これにより、基板処理システム1は、ダミーディスペンス処理中に硫酸を回収経路121経由で貯留タンク102へ戻すことにより硫酸を回収して再利用することができ、硫酸の消費量を抑えることができる。
【0079】
上述してきたように、実施形態に係る基板処理装置(一例として、基板処理システム1)は、基板処理部(一例として、処理ユニット16)と、第1経路(一例として、分岐経路112)と、第2経路(一例として、過酸化水素水供給経路160)と、第1開閉バルブ(一例として、バルブ113)と、第2開閉バルブ(一例として、バルブ161)と、温度検出部(一例として、温度検出部115)と、制御部(一例として、制御部18)とを備える。基板処理部は、第1処理液(一例として、硫酸)と第2処理液(一例として、過酸化水素水)とを混合して混合液(一例として、SPM)を生成し、生成した混合液を基板(一例として、ウェハW)に供給することにより基板を処理する。第1経路は、基板処理部に第1処理液を供給する。第2経路は、基板処理部に第2処理液を供給する。第1開閉バルブは、第1経路を開閉する。第2開閉バルブは、第2経路を開閉する。温度検出部は、第1経路および第2経路の少なくとも一方の経路に設けられ、少なくとも一方の経路における処理液の温度を検出する。制御部は、基板処理部による基板への混合液の供給を開始する前に、温度検出部を用いて検出される処理液の温度が許容範囲内であるか否かを判定する。制御部は、処理液の温度が許容範囲内である場合に、第1開閉バルブおよび第2開閉バルブを開放して基板への混合液の供給を開始する。これにより、実施形態に係る基板処理装置によれば、混合液を用いた基板処理において基板間の処理結果のばらつきを抑制することができる。
【0080】
また、基板処理部は、混合部(一例として、混合部45)と、ノズル(一例として、ノズル40)と、収容部(一例として、収容部80)とを有してもよい。混合部は、第1経路および第2経路に接続され、第1経路からの第1処理液と第2経路からの第2処理液とを混合して混合液を生成する。ノズルは、混合部により生成された混合液を基板に吐出する。収容部は、ノズルを収容して待機させる。制御部は、処理液の温度が許容範囲内ではない場合、ノズルを収容部へ移動させて待機させてもよい。制御部は、ノズルを待機させた状態で第1開閉バルブおよび第2開閉バルブのうち少なくとも一方の経路に対応するバルブを開放してノズルから収容部へ処理液を吐出するダミーディスペンス処理を行ってもよい。これにより、実施形態に係る基板処理装置によれば、混合部で混合される前の処理液(一例として、硫酸)の温度のばらつきを抑制することができる。
【0081】
また、制御部は、ダミーディスペンス処理を開始した後に、温度検出部を用いて検出される処理液の温度が許容範囲内であるか否かを判定してもよい。制御部は、処理液の温度が許容範囲内である場合に、バルブを閉じてダミーディスペンス処理を終了してもよい。これにより、実施形態に係る基板処理装置によれば、ダミーディスペンス処理において消費される処理液(一例として、硫酸)の量を抑制することができる。
【0082】
また、制御部は、ダミーディスペンス処理を終了した後に、ノズルを収容部から混合液を基板に供給可能な位置へ移動させ、第1開閉バルブおよび第2開閉バルブを開放して基板への混合液の供給を開始してもよい。これにより、実施形態に係る基板処理装置によれば、混合液を用いた基板処理において基板間の処理結果のばらつきを抑制することができる。
【0083】
また、混合部は、第1処理液を貯留する貯留タンク(一例として、貯留タンク102)から第1経路を介して供給される第1処理液と第2処理液とを混合して混合液を生成してもよい。実施形態に係る基板処理装置は、ダミーディスペンス処理中にノズルから収容部に処理液として吐出される第1処理液を貯留タンクへ戻す回収経路(一例として、回収経路121)をさらに備えてもよい。これにより、実施形態に係る基板処理装置によれば、硫酸を回収して再利用することができ、硫酸の消費量を抑えることができる。
【0084】
また、実施形態に係る基板処理装置は、第1経路および第2経路の少なくとも一方の経路に設けられた温度調整部(一例として、温度調整部114)をさらに備えてもよい。制御部は、少なくとも一方の経路内の処理液の温度が許容範囲内ではない場合、温度調整部を制御して、処理液の温度を補正する温度補正処理を行ってもよい。これにより、実施形態に係る基板処理装置によれば、混合部で混合される前の処理液(一例として、硫酸)の温度のばらつきを抑制することができる。
【0085】
また、制御部は、温度補正処理を開始した後に、温度検出部を用いて検出される少なくとも一方の経路内の処理液の温度が許容範囲内であるか否かを判定してもよい。制御部は、少なくとも一方の経路内の処理液の温度が許容範囲内である場合に、温度調整部を停止して温度補正処理を終了してもよい。これにより、実施形態に係る基板処理装置によれば、温度補正処理において温度調整部の消費電力の増大を抑制しつつ、混合部で混合される前の処理液(一例として、硫酸)の温度のばらつきを抑制することができる。
【0086】
また、制御部は、温度補正処理を終了した後に、第1開閉バルブおよび第2開閉バルブを開放して基板への混合液の供給を開始してもよい。これにより、実施形態に係る基板処理装置によれば、混合液を用いた基板処理において基板間の処理結果のばらつきを抑制することができる。
【0087】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 基板処理システム
2 搬入出ステーション
3 処理ステーション
4 制御装置
11 キャリア載置部
12 搬送部
13 基板搬送装置
14 受渡部
15 搬送部
16 処理ユニット
17 基板搬送装置
18 制御部
19 記憶部
20 チャンバ
30 基板保持機構
31 保持部
32 支柱部
33 駆動部
40 ノズル
45 混合部
50 回収カップ
51 排液口
52 排気口
53 分岐経路
54 排出経路
70 処理液供給源
80 収容部
81 排出路
90 切替部
102 貯留タンク
104 循環経路
106 ポンプ
108 フィルタ
109 ヒータ
110 濃度計
112 分岐経路
113 バルブ
114 温度調整部
115 温度検出部
116 回収経路
117 廃棄経路
118 回収タンク
119 ポンプ
120 フィルタ
121 回収経路
160 過酸化水素水供給経路
161 バルブ
162 過酸化水素水供給源
170 供給経路
171 バルブ
172 硫酸供給源
C キャリア
S1 液面センサ
W ウェハ