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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117961
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】リハビリ支援装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20240823BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024078
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000125381
【氏名又は名称】学校法人藤田学園
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 隆行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 東一郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 真澄
(72)【発明者】
【氏名】和田 義敬
(72)【発明者】
【氏名】向野 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】大高 洋平
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】患者の活動性を改善させるためのアドバイスを提示することが可能であるリハビリ支援装置を提供する。
【解決手段】リハビリ支援装置は、患者の活動性の評価に用いられる指標値の予測値を、患者に関する計測値ごとに生成する予測部と、指標値の予測値に基づいて、活動性を改善させるためのアドバイスを決定する提示部とを備える。提示部は、指標値の予測値を所定値以上に変化させる計測値に基づいて、アドバイスを決定する。予測部は、個別条件付き期待値の手法を用いて、指標値の予測値を生成する。予測部は、計測値が取得された時刻よりも未来又は過去における指標値の予測値を、計測値に基づいて生成する。提示部は、計測値が取得された時刻よりも未来又は過去における指標値の予測値に基づいて、活動性を改善させるためのアドバイスを決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の活動性の評価に用いられる指標値の予測値を、前記患者に関する計測値ごとに生成する予測部と、
前記指標値の予測値に基づいて、前記活動性を改善させるためのアドバイスを決定する提示部と
を備えるリハビリ支援装置。
【請求項2】
前記提示部は、前記指標値の予測値を所定値以上に変化させる前記計測値に基づいて、前記アドバイスを決定する、請求項1に記載のリハビリ支援装置。
【請求項3】
前記予測部は、個別条件付き期待値の手法を用いて、前記指標値の予測値を生成する、請求項1に記載のリハビリ支援装置。
【請求項4】
前記予測部は、前記計測値が取得された時刻よりも未来又は過去における前記指標値の予測値を、前記計測値に基づいて生成し、
前記提示部は、前記計測値が取得された時刻よりも未来又は過去における前記指標値の予測値に基づいて、前記活動性を改善させるためのアドバイスを決定する、請求項1に記載のリハビリ支援装置。
【請求項5】
前記患者の活動性を改善させるために好ましい行動を選別する行動選別部を備え、
前記提示部は、選別された前記行動を前記アドバイスとして決定する、請求項1に記載のリハビリ支援装置。
【請求項6】
前記提示部は、前記指標値の予測値に基づいて、前記活動性の改善が見込める時刻のうちから前記活動性の改善の効率が高い時刻の順に、前記活動性を改善させるために好ましい行動を前記アドバイスとして決定する、請求項5に記載のリハビリ支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リハビリ支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脳血管疾患等に伴う麻痺によって患者が負った機能障害の度合いに応じて、患者の活動性(運動能力)が低下することがある。このような患者の活動性の評価に用いられる指標値(自立度)の評価方法として、機能的自立度評価法(FIM : Functional Independence Measure)がある。また、患者に装着されたウェアラブルデバイスによる計測値に対して機械学習の手法を用いて、その患者の自立度を評価することが提案されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Jason Conci, et al., “Utilizing Consumer-grade Wearable Sensors for Unobtrusive Rehabilitation Outcome Prediction,” 2019 IEEE EMBS International Conference on Biomedical & Health Informatics (BHI).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、患者の活動性の評価に用いられる指標値を提示することはできても、患者の活動性を改善させるためのアドバイスをリハビリ支援装置は提示することができないという問題がある。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、患者の活動性を改善させるためのアドバイスを提示することが可能であるリハビリ支援装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、患者の活動性の評価に用いられる指標値の予測値を、前記患者に関する計測値ごとに生成する予測部と、前記指標値の予測値に基づいて、前記活動性を改善させるためのアドバイスを決定する提示部とを備えるリハビリ支援装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、患者の活動性を改善させるためのアドバイスを提示することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態における、リハビリ支援装置の構成例を示す図である。
図2】第1実施形態における、個別条件付き期待値(ICE)に基づく予測例を示す図である。
図3】第1実施形態における、時系列の活動内容(入院生活の流れ)と、活動性(運動能力)の評価に用いられる指標値を時系列で表すグラフとの例を示す図である。
図4】第1実施形態における、時系列の活動の度合い(運動能力)を表すグラフと、患者の活動性を改善させるためのアドバイスとの例を示す図である。
図5】第1実施形態における、リハビリ支援装置の動作例を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態における、リハビリ支援装置の構成例を示す図である。
図7】第2実施形態における、指標値の予測値と、計測値に基づいて推定された指標値との間の相関例を示す図である。
図8】第3実施形態における、リハビリ支援装置の構成例を示す図である。
図9】第5実施形態における、リハビリ支援装置の構成例を示す図である。
図10】第6実施形態における、リハビリ支援装置の構成例を示す図である。
図11】第7実施形態における、リハビリ支援装置の構成例を示す図である。
図12】各実施形態における、リハビリ支援装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、リハビリ支援装置1aの構成例を示す図である。リハビリ支援装置1aは、患者の心身機能のリハビリテーション(リハビリ)を支援する装置である。リハビリ支援装置1a(アドバイス提示装置)は、リハビリテーションの支援として、患者の活動性を改善させるためのアドバイスを提示する。リハビリ支援装置1aは、指標値及びアドバイスの両方を提示してもよい。
【0010】
リハビリ支援装置1aは、パーソナルコンピュータ、サーバ装置、スマートフォン端末又はスマートウォッチ等の情報処理装置である。リハビリ支援装置1aは、医療者によって操作されてもよいし、患者自身によって操作されてもよい。
【0011】
リハビリ支援装置1aは、第1取得部11と、第1記憶部12と、第2取得部13と、第2記憶部14と、第1推定部15と、予測部16と、第1提示部17とを備える。リハビリ支援装置1aの各機能部は、例えばクラウド技術の手法を用いて、ネットワークに分散配置されてもよい。
【0012】
第1取得部11(第1入力部)は、患者の活動性の評価に用いられる指標値を取得する。指標値は、段階的な数値(ランク)であり、例えば、機能的自立度評価法、又は、脳卒中機能障害評価法(SIAS : Stroke Impairment Assessment Set)等の評価法において用いられる値である。機能的自立度評価法では、例えば医療者によって、患者の自立度(指標値)が評価される。脳卒中機能障害評価法では、例えば医療者によって、脳卒中患者の機能障害の度合い(指標値)が定量化される。
【0013】
第1記憶部12は、第1取得部11によって取得された指標値を、所定の形式で記憶する。所定の形式は、特定の形式に限定されないが、例えば、CSV(Comma Separated Values)ファイル形式、又は、データベース形式(例えば、PostgreSQL、又は、SqLite)である。
【0014】
第2取得部13(第2入力部)は、患者の活動性に関するデータとして、患者の心身機能の計測値を取得する。計測値は、例えば、第1取得部11によって指標値が取得された時刻に対応付けられた時刻に取得される。指標値が取得された時刻に対応付けられた時刻とは、例えば、指標値が取得された時刻とほぼ同時刻でもよいし、指標値が取得された時刻から所定時間が経過した時刻でもよい。
【0015】
計測値は、例えば、日常的に患者に装着されたウェアラブルデバイス(センサ)等から取得される。計測値は、例えば、拍数、歩数、活動中の姿勢の時間、及び、体動に関する値である。計測値は、例えば、参考文献1(「生体情報センシングと人の状態推定への応用」, 「第2章 第8節 ウェアラブル電極素材hitoeとリハビリテーションへの応用」,株式会社技術情報協会,発刊:2020年7月31日, ISBN:978-4-86104-800-5.)の図6に記載の計測値でもよい。
【0016】
時系列の計測値が得られる場合、計測値は、周期的な計測タイミングごとに取得された時系列の計測値の平均値又は総和でもよい。周期的とは、例えば、30分周期又は1時間周期である。また、計測値のデータ量が多くても許容される場合、又は、精密な計測値に基づく支援が必要とされる場合には、指標値の推定処理において、時系列の計測値がそのまま用いられてもよい。
【0017】
第2取得部13は、更に、患者の基礎情報を取得してもよい。患者の基礎情報とは、例えば、患者の属性情報(状態情報)である。属性とは、例えば、年齢及び体重である。
【0018】
第2記憶部14は、所定の形式で計測値を記憶する。第2記憶部14は、所定の形式で基礎情報を記憶してもよい。所定の形式は、特定の形式に限定されないが、例えば、CSVファイル形式、又は、データベース形式である。
【0019】
第1推定部15は、推定モデルを生成する。推定モデルは、例えば、ニューラルネットワークを有する機械学習モデルでもよいし、統計手法を用いて定義された数式モデルでもよい。第1推定部15は、例えば、所定のプログラミング言語(例えば、python)と、機械学習の手法とを用いて、推定モデルを生成する。機械学習の手法は、特定の手法に限定されないが、例えば、深層学習、ランダムフォレスト、勾配ブースティング及び教師あり学習等である。機械学習の手法において、例えば、計測値及び基礎情報のうちの少なくとも計測値が説明変数(特徴量)として用いられ、指標値が目的変数として用いられる。
【0020】
予測部16は、第1推定部15によって生成された推定モデルを用いて、指標値の予測値を、1個以上の計測値の変化に応じて生成する。換言すれば、予測部16(解釈部)は、指標値の変化の根拠となる計測値の変化を解釈する。計測値の変化に応じて生成された指標値の予測値に基づいて、指標値を大きく変化させる根拠(計測値の変化)を特定することができる。予測には、例えば、個別条件付き期待値(ICE : Individual Conditional Expectation)が用いられる。
【0021】
第1提示部17は、表示デバイスを備える。第1提示部17は、予測部16による予測結果(目的変数の予測値)に基づいて、患者の活動性を改善させるために好ましい行動(運動)を、アドバイスとして決定する。第1提示部17は、決定されたアドレスを患者に提示する。第1提示部17は、通信デバイスを備えてもよい。例えば、リハビリ支援装置1aの各機能部がネットワークに分散配置されている場合、第1提示部17が、ネットワークを経由した信号を用いて、患者が保持する情報端末(不図示)の表示デバイスに、決定されたアドバイスを表示させてもよい。
【0022】
図2は、第1実施形態における、個別条件付き期待値(ICE)に基づく予測例を示す図である。図2では、一例として1人の個別患者について、計測値「x」と計測値「x」と計測値「x」との各説明変数と、指標値(目的変数)とが表されている。各計測値は、時刻に対応付けられて、第2記憶部14に記憶される。図2に例示された指標値は、計測値が取得された時刻と同時刻の時間帯に取得された指標値である。
【0023】
一例として1000人の全患者について説明変数及び目的変数が用意されている場合には、第1推定部15は、全患者のデータセット(教師データ)を用いて、推定モデルを生成してもよい。このように生成された推定モデルを用いて、個別条件付き期待値の手法に基づく予測が実行されてもよい。
【0024】
図2の右側のグラフにおいて、横軸は、患者の活動性に関する計測値(説明変数)を示す。縦軸は、指標値(目的変数)の予測値を示す。丸印に対応付けられた計測値は、実際の計測値(以下「実測値」という。)を示す。丸印に対応付けられた指標値は、実測値に基づいて推定された指標値を示す。
【0025】
図2の右側のグラフにおいて、丸印を通過する曲線は、個別条件付き期待値の手法(ICEプロット)に基づく予測例を示す。すなわち、丸印を通過する曲線は、計測値に基づいて推定された指標値の変化を示す。計測値が実測値よりも小さくなった場合、指標値は小さくなると予測される。指標値が小さいほど活動性が改善される場合、例えば、指標値が小さくなるようにする行動(運動)がアドバイスとして提示される。また、計測値が実測値よりも大きくなった場合、指標値は大きくなると予測される。指標値が大きいほど活動性が改善される場合、例えば、指標値が大きくなるようにする行動(運動)がアドバイスとして提示される。
【0026】
図3は、第1実施形態における、時系列の活動内容(入院生活の流れ)と、活動性(運動能力)の評価に用いられる指標値を時系列で表すグラフとの例を示す図である。第1提示部17は、予測部16による予測結果に基づいて、活動性の評価に用いられる指標値を、例えば時系列のグラフで表示する。
【0027】
図4は、第1実施形態における、時系列の活動の度合い(運動能力)を表すグラフと、患者の活動性を改善させるためのアドバイスとの例を示す図である。第1提示部17は、患者の活動性を改善させるために好ましい行動(運動)を、例えば文字列を用いて、アドバイスとして患者に提示する。時系列の指標値とアドバイスとの間の対応関係を表す情報は、例えばルックアップテーブルの形式で、第2記憶部14に予め記憶される。
【0028】
次に、リハビリ支援装置1aの動作例を説明する。
図5は、第1実施形態における、リハビリ支援装置1aの動作例を示すフローチャートである。予測部16は、指標値の予測値を、患者に関する計測値ごとに生成する(ステップS101)。第1提示部17は、指標値の予測値に基づいて、アドバイスを決定する。また、第1提示部17は、決定されたアドバイスを提示する(ステップS102)。
【0029】
以上のように、予測部16は、指標値の予測値を、患者に関する計測値ごとに生成する。第1提示部17は、指標値の予測値に基づいて、アドバイスを決定する。これによって、患者の活動性を改善させるためのアドバイスを提示(フィードバック)することが可能である。第1提示部17は、指標値の予測値を所定値以上に変化させる計測値に基づいて、アドバイスを提示してもよい。予測部16は、個別条件付き期待値の手法を用いて、指標値の予測値を生成してもよい。
【0030】
(第2実施形態)
第2実施形態では、リハビリ支援装置が第2推定部を備える点が、第1実施形態との主な差分である。第2実施形態では、第1実施形態との差分を中心に説明する。
【0031】
図6は、第2実施形態における、リハビリ支援装置1bの構成例を示す図である。リハビリ支援装置1bは、第1取得部11と、第1記憶部12と、第2取得部13と、第2記憶部14と、第1推定部15と、予測部16と、第1提示部17と、第2推定部18とを備える。
【0032】
第1推定部15(モデル生成部)は、計測値が取得された時刻よりも未来又は過去における指標値を目的変数として、推定モデルを生成する。例えば第1週に計測値が取得された場合、第1推定部15は、第1週における計測値と、第1週よりも未来の例えば第2週又は第3週における指標値とを用いて、推定モデルを生成する。例えば第1週及び第5週に計測値が取得された場合、第1推定部15は、第1週又は第5週における計測値と、第5週よりも過去の例えば第3週における指標値とを用いて、推定モデルを生成してもよい。
【0033】
第2推定部18(予測部)は、計測値が取得された時刻よりも未来又は過去における指標値を、計測値が取得された時刻よりも未来又は過去における指標値を目的変数として生成された推定モデルを用いて、計測値に基づいて予測する。第2推定部18は、このような指標値の予測結果を、第1提示部17を用いて提示する。
【0034】
図7は、第2実施形態における、指標値の予測値と、計測値(実測値)に基づいて推定された指標値との間の相関例を示す図である。横軸は、指標値の予測値を示す。指標値は、一例として、機能的自立度評価法における運動項目の総得点である。縦軸は、計測値に基づいて推定された指標値を示す。
【0035】
図7では、第1推定部15は、一例として、ランダムフォレストの手法を用いて、推定モデルを生成した。また、第2推定部18は、計測値が取得された時刻よりも過去における指標値を、推定モデルを用いて予測した。ここで、過学習の抑制を目的として、第2推定部18は、K-分割交差検証の手法を実行してもよい。K-分割交差検証の「K」は、一例として5である。図7では、決定係数は、0.6を超えている。このことは、指標値の質が極めて高いことを示している。
【0036】
以上のように、第2推定部18(予測部)は、計測値が取得された時刻よりも未来又は過去における指標値の予測値を、計測値に基づいて生成するしてもよい。第1提示部17は、計測値が取得された時刻よりも未来又は過去における指標値の予測値に基づいて、アドバイスを決定する。これによって、患者の活動性を改善させるためのアドバイスを提示することが可能である。
【0037】
(第3実施形態)
第3実施形態では、リハビリ支援装置が行動選別部を備える点が、第2実施形態との主な差分である。第3実施形態では、第3実施形態との差分を中心に説明する。
【0038】
図8は、第3実施形態における、リハビリ支援装置1cの構成例を示す図である。リハビリ支援装置1cは、第1取得部11と、第1記憶部12と、第2取得部13と、第2記憶部14と、第1推定部15と、予測部16と、第1提示部17と、第2推定部18と、行動選別部19とを備える。
【0039】
行動選別部19は、患者の活動性を改善させるために好ましい行動のうちから、第1提示部17によって患者に提示される内容(行動)を選別する。
【0040】
行動選別部19は、患者の活動性を改善させるために好ましい行動を、患者の意思によって容易に変容させることができる行動(実行し易い行動)と、それ以外の行動とに、予め定められた条件に基づいて選別する。
【0041】
例えば、歩数は、患者の意思によって容易に変容させることができる行動の計測値であって、且つ、患者の理解が得やすい行動の計測値である。そこで、行動選別部19は、患者の意思によって容易に変容させることができる行動として、歩行を選別する。
【0042】
例えば、自らの姿勢を患者が維持している時間の長さも、患者の意思によって容易に変容させることができる行動の計測値であって、且つ、患者の理解が得やすい行動の計測値である。そこで、行動選別部19は、患者の意思によって容易に変容させることができる行動として、例えばストレッチ運動を選別してもよい。
【0043】
行動選別部19は、患者の活動性を改善させるために好ましい行動を、患者の意思で操作し易い計測値が得られる行動と、それ以外の行動とに、センサに関して予め定められた条件に基づいて選別してもよい。
【0044】
例えば、心電計、心拍計、血圧計及び呼気計等を用いて得られる計測値(バイタルサイン)に基づいて推定される指標値は、生理学的な指標値であることから、患者の意思で操作しにくい計測値に基づいて推定される指標値である。これに対して、加速度計を用いて得られる計測値(例えば、歩数、姿勢、体動及び速度)に基づいて推定される指標値と、測位装置を用いて得られる計測値(位置)に基づいて推定される指標値とはいずれも、物理的な指標値であることから、患者の意思で操作しにくい計測値に基づいて推定される指標値である。そこで、行動選別部19は、患者の意思によって容易に変容させることができる行動として、患者の意思で操作し易い計測値が得られるように、加速度計又は測位装置による計測値が得られる行動を選別する。
【0045】
第1提示部17は、予測部16による予測結果のうちから選別された行動に基づいて、患者の活動性を改善させるために好ましい行動(運動)を、アドバイスとして患者に提示する。
【0046】
以上のように、行動選別部19は、患者の活動性を改善させるために好ましい行動を選別する。第1提示部17は、選別された行動をアドバイスとして決定する。これによって、患者の活動性を改善させるためのアドバイスを提示することが可能である。また、患者の理解が得やすい行動のアドバイスであって、定量的な目標のアドバイス(例えば、1日あたりの歩数を増やすこと)を提示することができる。
【0047】
(第4実施形態)
第4実施形態では、指標値の増加(活動性の改善)が見込める時刻を増加の効率が高い時刻の順に患者に提示する点が、第3実施形態との主な差分である。第4実施形態では、第3実施形態との差分を中心に説明する。
【0048】
第1提示部17は、予測部16による予測結果に基づいて、指標値の増加(活動性の改善)が見込める時刻のうちから指標値の増加の効率が高い時刻の順に、患者の活動性を改善させるために好ましい行動を、アドバイスとして決定する。
【0049】
例えば、第1提示部17は、特定の時刻(例えば、12時から12時30分まで)と、行動(例えば、歩数)とを、指標値の増加の効率が高い時刻の順に、アドバイスとして決定する。例えば、第1提示部17は、「1日における特定の時刻に歩数を変容させた場合、指標値の増加が見込まれる」旨の文字列と、特定の時刻と、行動とを、指標値の増加の効率が高い時刻の順に、アドバイスとして提示してもよい。
【0050】
第1提示部17は、予測部16による予測結果に基づいて、第1提示部17は、指標値の増加の効率が高い時刻の順に、所定の個数(例えば、上位5個)まで、患者の活動性を改善させるために好ましい行動及び時刻を、アドバイスとして患者に提示してもよい。例えば、30分ごとの48区分に1日(24時間)が区切られ、且つ、1区分あたりの計測値が3種類(x,x,x)である場合、144(=48×3)個の計測値に基づく144個の指標値のうちから、指標値の増加の効率が高い時刻の順に、上位5個までの行動及び時刻を、アドバイスとして提示してもよい。
【0051】
以上のように、第1提示部17は、予測部16による予測結果(指標値の予測値)に基づいて、指標値の増加(活動性の改善)が見込める時刻のうちから指標値の増加(活動性の改善)の効率が高い時刻の順に、患者の活動性を改善させるために好ましい行動を、アドバイスとして決定する。
【0052】
これによって、患者の活動性を改善させるためのアドバイスを提示することが可能である。また、患者の活動性を効率的に高める指標値を推定することが可能である。また、患者が行動する機会を増やすことができる。
【0053】
(第5実施形態)
第5実施形態では、リハビリ支援装置がタイマ通知部20を備える点が、第4実施形態との主な差分である。第5実施形態では、第4実施形態との差分を中心に説明する。
【0054】
図9は、第5実施形態における、リハビリ支援装置1dの構成例を示す図である。リハビリ支援装置1dは、第1取得部11と、第1記憶部12と、第2取得部13と、第2記憶部14と、第1推定部15と、予測部16と、第1提示部17と、第2推定部18と、行動選別部19と、タイマ通知部20とを備える。
【0055】
タイマ通知部20は、指標値の増加が見込める時刻の到来を、患者に通知する。例えば、タイマ通知部20は、患者が所持する情報処理装置(例えば、スマートフォン端末又はスマートウォッチ)におけるアラーム機能(例えば、着信音及びバイブレーション)を用いて、指標値の増加が見込める時刻の到来を、患者に通知する。第1提示部17は、アラームの際に、患者が所持する情報処理装置の表示デバイスに、具体的なアドバイス等を表示させてもよい。
【0056】
以上のように、タイマ通知部20は、指標値の増加が見込める時刻の到来を、患者に通知する。これによって、患者の活動性を改善させるためのアドバイスを提示することが可能である。プッシュ通知によって、患者が自らの意思で、アドバイスを有効に活用することが可能である。また、好ましい行動を患者が効率よく行えるように、アドバイスを患者に提供することが可能である。
【0057】
(第6実施形態)
第6実施形態では、リハビリ支援装置が第2推定部を備えずに、リハビリ支援装置が予測情報出力部と判定部と第2記憶部とを備える点が、第5実施形態との主な差分である。第6実施形態では、第5実施形態との差分を中心に説明する。
【0058】
図10は、第6実施形態における、リハビリ支援装置1eの構成例を示す図である。リハビリ支援装置1eは、第1取得部11と、第1記憶部12と、第2取得部13と、第2記憶部14と、第1推定部15と、予測部16と、第1提示部17と、行動選別部19と、タイマ通知部20と、予測情報出力部21と、判定部22と、第3記憶部23とを備える。
【0059】
予測情報出力部21は、予測部16による予測結果(推定モデルを用いて推定された結果の根拠)を、所定の装置に出力する。例えば、予測情報出力部21は、予測部16による予測結果を、他の情報処理装置(不図示)に送信する。
【0060】
判定部22は、指標値の増加が見込める時刻において患者がアドバイスに従って実際に行動したか否かを判定する。例えば、判定部22は、1日あたりで患者が姿勢を維持していた時間の長さ、又は、1日あたりの歩数等の計測値について、1時間ごとの平均値及び総和に基づいて、患者がアドバイスに従って実際に行動したか否かを判定する。
【0061】
判定部22は、判定結果を第3記憶部23に記録する。判定部22は、例えば、所定の患者の計測値が取得されたタイミングで、判定結果を第3記憶部23に記録する。判定結果は、例えば、数値及び文字列を用いて表される。数値は、例えば、計測値が取得された時刻の数値である。文字列は、「計測値が数値不足又は充足」のように、結果を表す文字列である。第3記憶部23は、判定部22による判定結果を記憶する。
【0062】
以上のように、判定部22は、指標値の増加が見込める時刻において患者がアドバイスに従って実際に行動したか否かを判定する。これによって、患者の活動性を改善させるためのアドバイスを提示することが可能である。また、患者の行動を第三者が監視する負担を低減させた上で、計測値のみに基づいて指標値を推定することが可能である。
【0063】
(第7実施形態)
第7実施形態では、リハビリ支援装置が第2提示部を備える点が、第6実施形態との主な差分である。第7実施形態では、第6実施形態との差分を中心に説明する。
【0064】
図11は、第7実施形態における、リハビリ支援装置1fの構成例を示す図である。リハビリ支援装置1fは、第1取得部11と、第1記憶部12と、第2取得部13と、第2記憶部14と、第1推定部15と、予測部16と、第1提示部17と、第2推定部18と、行動選別部19と、タイマ通知部20と、判定部22と、第3記憶部23と、第2提示部24とを備える。
【0065】
第2提示部24は、第3記憶部23に記憶された判定結果を、例えば医療者に提示する。例えば、第2提示部24は、過去の所定期間と直近の期間との比較において、患者の行動の頻度又は時間が増減したことを、判定結果として提示する。例えば、第2提示部24は、指標値が増加した旨の文字列と、棒グラフ又は円グラフ等を用いて可視化された計測値とを、判定結果と併せて提示してもよい。
【0066】
以上のように、第2提示部24は、第3記憶部23に記憶された判定結果を、例えば医療者に提示する。これによって、患者の活動性を改善させるためのアドバイスを提示することが可能である。また、患者の経過観察を医療者が円滑に行うことができる。
【0067】
(第8実施形態)
第8実施形態では、患者がアドバイスを追記することが可能である点が、第7実施形態との主な差分である。第8実施形態では、第7実施形態との差分を中心に説明する。
【0068】
第1提示部17は、アドバイスとして生成された文字列に、医療者によって第1提示部17に入力された文字列(詳細アドバイス)を追記してもよい。例えば、第1提示部17は、アドバイスとして生成された文字列「12時から13時までの間に起き上がる時間を増やしましょう。」に、医療者によって第1提示部17に入力された文字列「12時から13時までの間に起き上がる時間を増やすだけでなく、事前に、11時から12時までの間に起き上がる時間も増やしましょう。」を、詳細アドバイスとして追記してもよい。
【0069】
以上のように、第1提示部17は、アドバイスとして生成された文字列に、医療者によって第1提示部17に入力された文字列(詳細アドバイス)を追記する。これによって、患者の活動性を改善させるためのアドバイスを提示することが可能である。また、リハビリ支援装置によって生成されたアドバイスに、更なるアドバイスを医療者が追記することによって、リハビリ支援装置によって生成されたアドバイスを患者が理解することを助けることが可能である。
【0070】
(ハードウェア構成例)
図12は、各実施形態における、リハビリ支援装置のハードウェア構成例を示す図である。リハビリ支援装置の各機能部のうちの一部又は全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ101が、不揮発性の記録媒体(非一時的な記録媒体)を有するメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、ソフトウェアとして実現される。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置103などの非一時的な記録媒体である。通信部104は、他の情報処理装置(例えば、サーバ装置、他のリハビリ支援装置)との間の通信を実行する。
【0071】
リハビリ支援装置の各機能部のうちの一部又は全部は、例えば、LSI(Large Scale Integrated circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いた電子回路(electronic circuit又はcircuitry)を含むハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0072】
なお、上述した実施形態において、上記のような形態で実施されるプログラムは、単一の装置に依存するものでもよいし、プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行することによって所定の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0073】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に記憶したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0074】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、リハビリ支援装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1,1a,1b,1c,1d,1e,1f…リハビリ支援装置、11…第1取得部、12…第1記憶部、13…第2取得部、14…第2記憶部、15…第1推定部、16…予測部、17…第1提示部、18…第2推定部、19…行動選別部、20…タイマ通知部20、21…予測情報出力部、22…判定部、23…第3記憶部、24…第2提示部、101…プロセッサ、102…メモリ、103…記憶装置、104…通信部
図1
図2
図3
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図5
図6
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図10
図11
図12