(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118019
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及びリーク検知方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240823BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240823BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H01L21/302 103
H01L21/302 101C
H01L21/68 R
H05H1/46 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024176
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】小川 純一
(72)【発明者】
【氏名】北野 拓磨
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F131
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA05
2G084CC13
2G084CC33
2G084DD55
2G084FF15
2G084HH34
2G084HH35
2G084HH42
2G084HH57
5F004AA16
5F004BB13
5F004BB22
5F004BD03
5F004CB02
5F004CB15
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA19
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5F131CA70
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA03
5F131EA23
5F131EB72
5F131JA36
5F131KA40
5F131KA55
5F131KB45
(57)【要約】
【課題】プラズマ処理装置に設けられたベローズからのリークをより正確に検知する。
【解決手段】基板に対しプラズマ処理を行うプラズマ処理装置であって、前記基板が載置される載置台と、前記載置台を内部に収容し、前記載置台の上方の処理空間が減圧可能に構成された処理容器と、前記処理空間内の処理ガスのプラズマを生成するプラズマ生成部と、昇降可能に構成され、昇降対象体を支持して前記載置台に対して昇降させる昇降部材と、前記処理空間に連通する前記昇降部材の周りの空間を封止するために、前記昇降部材を囲むように設けられ、前記昇降部材の昇降と共に伸縮するベローズと、制御部と、を備え、前記制御部の制御により、当該プラズマ処理装置が、前記昇降部材の上昇または下降の少なくともいずれか一方を行ったときの前記処理空間内の前記プラズマの発光状態に基づいて、前記ベローズからのリークを検知する工程を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対しプラズマ処理を行うプラズマ処理装置であって、
前記基板が載置される載置台と、
前記載置台を内部に収容し、前記載置台の上方の処理空間が減圧可能に構成された処理容器と、
前記処理空間内の処理ガスのプラズマを生成するプラズマ生成部と、
昇降可能に構成され、昇降対象体を支持して前記載置台に対して昇降させる昇降部材と、
前記処理空間に連通する前記昇降部材の周りの空間を封止するために、前記昇降部材を囲むように設けられ、前記昇降部材の昇降と共に伸縮するベローズと、
制御部と、を備え、
前記制御部の制御により、当該プラズマ処理装置が、前記昇降部材の上昇または下降の少なくともいずれか一方を行ったときの前記処理空間内の前記プラズマの発光状態に基づいて、前記ベローズからのリークを検知する工程を実行する、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記載置台は、当該載置台に前記基板を電気的に吸着し保持する静電チャックを有し、
前記制御部の制御により、当該プラズマ処理装置が、前記静電チャックにより吸着保持された前記基板を除電する工程をさらに実行し、
前記ベローズからのリークを検知する工程は、前記除電する工程時に実行される、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記処理空間内の前記プラズマからの光の発光強度を測定する光学測定部をさらに備え、
前記ベローズからのリークを検知する工程は、前記光学測定部での測定結果に基づいて、前記ベローズからのリークを検知する、請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記昇降対象体は前記基板である、請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記制御部の制御により、当該プラズマ処理装置が、前記処理空間内の前記プラズマの発光状態に基づいて、前記ベローズ以外の部分からのリークを検知する工程をさらに実行する、請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
プラズマ処理装置のリーク検知方法であって、
前記プラズマ処理装置は、
基板が載置される載置台と、
前記載置台を内部に収容し、前記載置台の上方の処理空間が減圧可能に構成された処理容器と、
前記処理空間内の処理ガスのプラズマを生成するプラズマ生成部と、
昇降可能に構成され、昇降対象体を支持して前記載置台に対して昇降させる昇降部材と、
前記処理空間に連通する前記昇降部材の周りの空間を封止するために、前記昇降部材を囲むように設けられ、前記昇降部材の昇降と共に伸縮するベローズと、を備え、
前記昇降部材の上昇または下降の少なくともいずれか一方を行ったときの前記処理空間内の前記プラズマの発光状態に基づいて、前記ベローズからのリークを検知する工程を含む、リーク検知方法。
【請求項7】
前記処理空間内の前記プラズマの発光状態に基づいて、前記ベローズ以外の部分からのリークを検知する工程をさらに含む、請求項6に記載のリーク検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置及びリーク検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高周波電力を印加して気密な処理装置内にプラズマを発生させることにより被処理体にプラズマ処理を施すプラズマ処理装置のプラズマリーク監視方法が開示されている。この方法では、プラズマ処理装置の状態に関連する装置状態パラメータのデータを測定し、測定したデータを監視することにより、前記プラズマ処理中のプラズマリークを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、プラズマ処理装置に設けられたベローズからのリークをより正確に検知する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板に対しプラズマ処理を行うプラズマ処理装置であって、前記基板が載置される載置台と、前記載置台を内部に収容し、前記載置台の上方の処理空間が減圧可能に構成された処理容器と、前記処理空間内の処理ガスのプラズマを生成するプラズマ生成部と、昇降可能に構成され、昇降対象体を支持して前記載置台に対して昇降させる昇降部材と、前記処理空間に連通する前記昇降部材の周りの空間を封止するために、前記昇降部材を囲むように設けられ、前記昇降部材の昇降と共に伸縮するベローズと、制御部と、を備え、前記制御部の制御により、当該プラズマ処理装置が、前記昇降部材の上昇または下降の少なくともいずれか一方を行ったときの前記処理空間内の前記プラズマの発光状態に基づいて、前記ベローズからのリークを検知する工程を実行する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、プラズマ処理装置に設けられたベローズからのリークをより正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態にかかるプラズマ処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【
図2】昇降ピン及び昇降機構の概略を示す断面図である。
【
図4】
図1のプラズマ処理装置による基板処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図5】リーク検知シーケンスの一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
フラットパネルディスプレイ(FPD)や半導体デバイス等の製造プロセスでは、ガラス基板や半導体ウェハ等の基板に対して、プラズマを用いた基板処理すなわちプラズマ処理がプラズマ処理装置により行われる。
【0009】
プラズマ処理装置では、プラズマ処理時に、処理容器内の載置台に基板が載置され、載置台の上方の処理空間が減圧される。
また、プラズマ処理装置には、載置台に対して基板等の昇降対象体を昇降させる昇降部材が設けられ、昇降部材に対してベローズが設けられる。ベローズは、処理空間に連通する昇降部材の周りの空間を封止するためのものであり、昇降部材を囲むように設けられると共に昇降部材の昇降に合わせて伸縮する。
【0010】
ベローズの伸縮が繰り返されること等により、ベローズでリークが発生することがある。例えば、伸縮の繰り返しによりベローズに生じた亀裂を介して処理空間に大気が漏洩することがある。このようにベローズで生じたリークはプラズマ処理の結果等に悪影響を及ぼす。
【0011】
そのため、ベローズからのリークを検知する方法が検討されている。しかし、従来の方法では、ベローズ以外の部分からのリークをベローズからのリークとして誤検知してしまうことがある。また、ベローズは外力に合わせて伸縮に伴う変形を行う性質を持つため、一定の状態で保持される場合ではリーク検知されないことがある。
【0012】
そこで、本開示にかかる技術は、プラズマ処理装置に設けられたベローズからのリークをより正確に検知する。
【0013】
以下、本実施形態にかかるプラズマ処理装置及びリーク検知方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
<プラズマ処理装置1>
図1は、本実施形態にかかるプラズマ処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【0015】
図1のプラズマ処理装置1は、基板に対しプラズマ処理を行うものであり、具体的には枚葉でプラズマ処理を行うものである。プラズマ処理装置が行うプラズマ処理は、例えばエッチング処理である。また、プラズマ処理装置1の処理対象の基板は、例えば平面視矩形のガラス基板G(以下、「基板G」という。)である。
【0016】
プラズマ処理装置1は、
図1に示すように、有底の角筒形状の容器本体10を備える。容器本体10は、導電性材料、例えばアルミニウムから形成され、電気的に接地されている。また、容器本体10の上面には開口が形成されている。この開口は、容器本体10と絶縁されて設けられた矩形状の金属窓20によって気密に塞がれ、具体的には、金属窓20及び後述の金属枠14によって気密に塞がれる。容器本体10及び金属窓20によって囲まれた空間は、プラズマ処理の処理対象の基板Gがプラズマ処理時に位置する処理室R1となり、金属窓20の上方側の空間は、後述の高周波アンテナ(プラズマアンテナ)70が配置されるアンテナ室R2となる。容器本体10の側壁には、処理空間S1内に基板Gを搬入出するための搬入出口11及び搬入出口11を開閉するゲートバルブ12が設けられている。
【0017】
処理空間S1の下部側には、金属窓20と対向するように、載置台30が設けられている。載置台30は、その上面が、基板Gが載置される基板載置面となる台本体31を有し、台本体31が脚部32を介して容器本体10の底面に設置されている。
【0018】
台本体31は、導電性材料、例えばアルミニウムで構成された基部31aと、基板Gを電気的に吸着し保持する静電チャック31bが設けられている。
基部31aには例えば整合器40を介して高周波電源41が接続されている。高周波電源41は、バイアス用の高周波電力、例えば周波数が3.2MHzの高周波電力を基部31aに供給する。これにより、処理空間S1内に生成されたプラズマ中のイオンを基板Gに引き込むことができる。
【0019】
台本体31と脚部32との間及び脚部32と容器本体10の底壁との間は、気密にシールされている。なお、載置台30の上方の処理空間S1が後述の排気部50により排気され減圧されるときにも、台本体31と容器本体10の底壁との間の空間S2は排気されず大気雰囲気となる。
【0020】
容器本体10の底壁には、排気口13が形成され、この排気口13には不図示の圧力制御バルブや真空ポンプ等を有する排気部50が接続されている。載置台30の上方の処理空間S1は、この排気部50によって減圧され、プラズマ処理の間、所定の圧力に維持されうる。排気部50は、複数の排気口13のそれぞれに設けられてもよいし、複数の排気口13に共通に設けられてもよい。
【0021】
容器本体10の側壁の上面側には、アルミニウム等の金属材料から形成された矩形状の枠体である金属枠14が設けられている。容器本体10と金属枠14と金属窓20とが、処理容器Cを構成する。処理容器Cは、載置台30を内部に収容し、載置台30の上方の処理空間S1が減圧可能に構成されたものである。
【0022】
金属窓20は、例えば平面視矩形状に形成されている。また、金属窓20は、処理空間S1に処理ガスや基板Gの除電用のガスを供給するシャワーヘッドとして機能する。例えば、金属窓20には、処理ガスまたは除電用のガスを下方に吐出する多数のガス吐出孔21と、処理ガスまたは除電用のガスを拡散させる拡散室22が形成されており、ガス吐出孔21と拡散室22とが連通している。処理ガスと除電用のガスは同じガスであってもよい。処理ガスと除電用のガスは例えば酸素ガスである。
【0023】
拡散室22は、ガス供給管60を介してガス供給源61に接続されている。ガス供給管60には、ガス供給機構62が接続されている。ガス供給機構62は、流量調整弁(図示せず)や開閉弁(図示せず)等を備え、ガス供給源61からの処理ガス等を拡散室22に供給する。
なお、金属窓20は、絶縁部材23によって金属枠14から電気的に絶縁されている。
【0024】
さらに、金属窓20の上方側には天板部15が配置されている。天板部15は、金属枠14上に設けられた側壁部16によって支持されている。
【0025】
上述の金属窓20、側壁部16及び天板部15にて囲まれた空間はアンテナ室R2を構成し、アンテナ室R2の内部には、金属窓20に面するように、プラズマ生成部としての高周波アンテナ70が配置されている。
【0026】
高周波アンテナ70は、例えば、絶縁材料から形成されるスペーサ(図示せず)を介して金属窓20から離間して配置される。
高周波アンテナ70には、整合器42を介して、高周波電源43が接続されている。高周波アンテナ70には、高周波電源43から整合器42を介して、例えば13.56MHzの高周波電力が供給される。これにより、金属窓20を介して、処理空間S1の内部に誘導電界が形成され、ガス吐出孔21から吐出された処理ガスが誘導電界によってプラズマ化される。
【0027】
また、プラズマ処理装置1には、昇降部材としての昇降ピン80が複数設けられ、昇降ピン80毎に昇降機構81が設けられている。
昇降ピン80は、昇降可能に構成され、昇降対象体としての基板Gを支持して載置台30に対して昇降させる。具体的には、昇降ピン80は、昇降することにより載置台30の上面から突没可能に構成され、その先端で基板Gを支持して載置台30の上面に対して昇降させる。この昇降ピン80は例えば円柱状に形成されている。
【0028】
昇降機構81は昇降ピン80を昇降させるものである。昇降機構81により、昇降ピン80に支持された基板Gを、載置台30上の位置と、搬送位置との間で、昇降させることができる。搬送位置とは、プラズマ処理装置1の外部の基板搬送装置(図示せず)の搬送アームが処理容器C内に挿抜されるときの位置である。昇降機構81の具体的な構成は後述する。
【0029】
また、プラズマ処理装置1には、処理空間S1内に生じたプラズマからの光の発光強度を測定する光学測定部として、終点検知器500が接続されている。終点検知器500には、容器本体10の側壁に設けられた窓17を介して、処理空間S1内のプラズマ光が入射する。終点検知器500は、処理空間S1内のプラズマ光を検出する受光センサ501と、終点検知器500を制御する制御部502を有する。制御部502は、プロセッサ(図示せず)及び記憶部(図示せず)を有する。終点検知器500は、制御部502の記憶部に記憶されたレシピにしたがって、処理空間S1内のプラズマ光の特定の波長の光について、受光センサ501を用いて、発光強度を検出する。検出された発光強度が上記レシピに記載された閾値を下回った場合に、終点検知器500は、プラズマ処理としてのエッチング処理等の終点が検知されたことを示す情報を後述の制御部Uに出力することができる。また、終点検知器500は、検出された発光強度が上記レシピに記載された閾値を上回った場合に、後述の「異常イベント」を後述の制御部Uに出力することができる。
【0030】
さらに、プラズマ処理装置1には制御部Uが設けられている。制御部Uは、例えばCPU等のプロセッサやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、プラズマ処理装置1による後述の基板処理を制御するプログラムが格納されている。上述のプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、当該記憶媒体から制御部Uにインストールされたものであってもよい。また、上記記憶媒体は一時的なものであっても非一時的なものであってもよい。
なお、制御部Uは、終点検知器500の制御部502との間で情報を送受することができ、終点検知器500も制御することができる。
【0031】
<昇降ピン80及び昇降機構81>
図2は、昇降ピン80及び昇降機構81の概略を示す断面図である。
図3は
図2の部分拡大断面図である。
【0032】
昇降ピン80は、例えば、
図2に示すように、容器本体10の底壁10aを鉛直方向に貫通する貫通孔18及び載置台30を鉛直方向に貫通する貫通孔31cに挿通されて用いられる。具体的には、昇降ピン80は、貫通孔18、貫通孔31c及び後述のガイド部材100の内孔に挿通されて用いられる。また、昇降ピン80は、
図3に示すように、先端すなわち上端に大径部80aを有する。後述のガイド部材100の内孔の上端には、当該上端と大径部80aとの間を気密に封止する封止部材としてOリング82が設けられている。昇降ピン80における、当該昇降ピン80が昇降したときにOリング82の内孔を通過する部分は、大径部80aより細く形成され、これにより昇降ピン80のスムーズな昇降を可能としている。また、上述のように細く形成されているため、昇降ピン80が前述の搬送位置に対応する位置まで上昇したときに、Oリング82による気密封止は解除される。
【0033】
昇降機構81は、例えば、
図2に示すように、ガイド部材100、フレーム部材101、ベローズ102、駆動機構103を有する。
【0034】
ガイド部材100は、昇降ピン80の昇降をガイドするものであり、例えば、円筒状に形成され、その内孔が載置台30の貫通孔31cに繋がるように、載置台30に固定されている。例えば、ガイド部材100は、その上部が載置台30の内部に位置し、その下部が、載置台30から下方に突出し容器本体10の底壁10aの貫通孔18に挿通されるように、設けられる。ガイド部材100の下端は例えば底壁10aの下面より下方に位置する。
【0035】
フレーム部材101は、ガイド部材100における載置台30から下方に突出した部分を覆い、ベローズ102の上端が接続される。フレーム部材101は、例えば、有底の円筒状に形成され、鉛直方向に貫通する貫通孔111を底壁に有する。貫通孔111には、昇降ピン80におけるガイド部材100から下方に突出した部分が挿通される。また、フレーム部材101は、支持部材112により、載置台30の底面と容器本体10の底壁10aとの間の位置で、支持される。フレーム部材101と載置台30の底面との間は、Oリング(図示せず)等により気密に封止される。
【0036】
ベローズ102は、処理空間S1に連通する昇降ピン80の周りの空間を封止するために、昇降ピン80を囲むように設けられ、昇降ピン80の昇降と共に伸縮する。ベローズ102は、具体的には、昇降ピン80におけるフレーム部材101から下方に突出した部分を囲むように設けられる。ベローズ102の上端は、フレーム部材101の底壁に接続され、ベローズ102の下端は、駆動機構103(具体的には後述のベース132)に接続されている。
【0037】
駆動機構103は、昇降ピン80の昇降を駆動させる駆動力を発生する駆動源として例えばモータ131を有し、さらに、ベローズ102の下端が接続されモータ131により昇降するベース132を有する。モータ131によるベース132の昇降により、昇降ピン80が昇降し、これにより、昇降ピン80の先端に支持された基板Gが昇降する。なお、モータ131とベース132とは鉛直方向に延びるシャフト133により接続されている。
【0038】
昇降機構81はカバー104をさらに有していてもよい。カバー104は、フレーム部材における底壁10aの下面から下方に突出した部分、ベローズ102及びベース132を囲み、貫通孔18を下方から覆うように、設けられる。カバー104は、例えば、有底の円筒状に形成され、鉛直方向に貫通する貫通孔141を底壁に有する。貫通孔141には、シャフト133が挿通される。
【0039】
プラズマ処理装置1において、昇降ピン80は、ベローズ102の内部、フレーム部材101の内部、ガイド部材100の内部を通って、載置台30の貫通孔31cに挿通される。ガイド部材100、フレーム部材101及びベローズ102の内部の空間は、貫通孔31cを介して処理空間S1に連通しており、これらの空間は、プラズマ処理中には真空雰囲気に保持される。なお、フレーム部材101及びベローズ102の外側の空間は大気雰囲気となる。そのため、ベローズ102に亀裂等が生じると、処理空間S1に大気が漏洩すること、すなわち、ベローズ102からのリークが生じることがある。
【0040】
<基板処理>
次に、プラズマ処理装置1による基板処理について説明する。
図4は、プラズマ処理装置1による基板処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0041】
(ステップS1)
まず、例えば、
図4に示すように、制御部Uの制御の下、基板Gが、処理容器Cの内部に搬入され、載置台30に載置されると共に、電気的に吸着される。
具体的には、制御部Uが、容器本体10の側壁の搬入出口11が開状態となるよう、ゲートバルブ12を制御する。また、基板Gが、処理容器Cに隣接する真空雰囲気の搬送室(図示せず)から搬入出口11を介して処理空間S1内に搬送され、載置台30の上面すなわち基板載置面に載置されるよう、制御部Uが昇降機構81等を制御する。
次いで、制御部Uが、直流電源(図示せず)を制御し、静電チャック31bに直流電圧を印加し、これにより、静電チャック31bに基板Gを静電吸着させ保持する。また、制御部Uが、搬入出口11が閉状態となるよう、ゲートバルブ12を制御する。そして、制御部Uが、処理空間S1内が排気され所定の圧力になるよう、排気部50を制御する。
【0042】
(ステップS2)
次いで、制御部Uの制御の下、基板Gがエッチングされる。
具体的には、処理ガスが金属窓20を介して処理空間S1に供給されるよう、制御部Uがガス供給機構62を制御する。処理空間S1への処理ガスの供給を開始してから処理空間S1が所定の圧力で安定した後、高周波アンテナ70に高周波電力が供給され処理ガスがプラズマ化されるよう、制御部Uが、記憶部に記憶された複数の処理レシピの中から予め作業者等により選択された処理レシピにしたがって、高周波電源43を制御する。さらに、載置台30の台本体31にバイアス電力が供給されプラズマ中のイオンが基板Gに引き込まれるよう、制御部Uが、上記選択された処理レシピにしたがって、高周波電源41を制御する。これにより、例えば基板G上の所定の膜がエッチングされる。基板Gのエッチングは例えば高周波アンテナ70への高周波電力の供給を開始してから所定の時間が経過するまで、あるいは終点検知器500による検出結果に基づいてエッチングの終点が検知されるまで行われる。基板Gのエッチングの終了後、高周波電源41、43からの電力供給及び処理空間S1への処理ガスの供給が停止されるよう、制御部Uが制御を行う。また、処理空間S1への処理ガスの供給の停止後、処理空間S1内の処理ガスが排出されるよう、制御部Uが排気部50を制御する。
【0043】
(ステップS3)
続いて、制御部Uの制御の下、静電チャック31bにより電気的に吸着保持された基板Gが除電され且つ上昇されると共に、制御部Uにより、ベローズ102からのリークが検知される。すなわち、基板Gの除電工程が実行されると共に、この除電工程時に、ベローズ102のリーク検知工程が実行される。
本ステップS3における基板Gの除電及び上昇は、例えば以下のステップS3a~ステップS3dを含む。
【0044】
(ステップS3a:吸着用の直流電圧の印加停止)
ステップS3では、例えば、まず、制御部Uの制御の下、基板Gの吸着用の直流電圧の、静電チャック31bへの印加が停止される。
具体的には、静電チャック31bへの直流電圧の印加が停止され、除電用のガスが金属窓20を介して処理空間S1に供給されるよう、制御部Uが、直流電源(図示せず)及びガス供給機構62を制御する。このステップS3aは、処理空間S1への除電用のガスの供給を開始してから処理空間S1が所定の圧力で安定するまで行われる。
【0045】
(ステップS3b:基板Gが載置された状態での基板Gの除電)
次いで、基板Gが載置された状態で、基板Gの除電が行われる。
具体的には、高周波アンテナ70に高周波電力が供給され除電用のガスがプラズマ化されるよう、制御部Uが、上記予め選択された処理レシピにしたがって、高周波電源43を制御する。これにより生じた除電用のガスのプラズマによって基板Gが除電される。このステップS3bは、高周波アンテナ70への高周波電力の供給を開始してから所定の時間が経過するまで、すなわち、本ステップS3cを開始してから所定の時間が経過するまで行われる。
【0046】
(ステップS3c:基板Gの上昇及び所定位置での基板Gの除電)
続いて、基板Gが所定位置まで上昇されると共に、基板Gの除電が継続して行われる。すなわち、基板Gの所定位置までの上昇中に基板Gの除電が行われ、また、所定位置での基板Gの除電が行われる。
具体的には、高周波アンテナ70への高周波電力の供給を維持した状態で、基板Gが所定位置まで上昇された後に当該所定位置で停止するよう、制御部Uが、上記選択された処理レシピにしたがって、昇降機構81(具体的には駆動機構103)を制御し、昇降ピン80を上昇させる。これによって、除電用のガスのプラズマにより、基板Gがさらに除電される。このステップS3cでの除電は、本ステップS3cを開始してから所定の時間が経過するまで行われる。
【0047】
(ステップS3d:除電停止及び除電用のガスの排出)
その後、基板Gの除電が停止されると共に、処理空間S1内の除電用のガスが排出される。
具体的には、高周波電源41からの電力供給及び処理空間S1への除電用のガスの供給が停止されるよう、制御部Uが制御を行う。また、処理空間S1への除電用のガスの供給の停止後、処理空間S1内の除電ガスが排出されるよう、制御部Uが排気部50を制御する。このステップS3dは、本ステップS3cを開始してから所定の時間が経過するまで行われる。
【0048】
(ステップS3における、ベローズ102からのリークの検知)
ステップS3において、ベローズ102からのリークが生じていた場合、昇降ピン80が上昇され、それに伴い、ベローズ102に伸縮を伴う変形が発生すると、処理空間S1内に大気成分が多く侵入し、処理空間S1内のプラズマの発光状態が変化する。具体的には、ベローズ102において亀裂によるリークが生じていると、べ―ス132を介してモータ131の駆動力がベローズ102に加わることで、ベローズ102には圧力や摩擦力で伸縮に伴う変形が発生する。亀裂部分もそれに伴って変形することで、亀裂部分が開く、または亀裂同士の接触面がずれるなどして、処理空間S1内に大気成分が多く侵入し、処理空間S1内のプラズマの発光状態が変化する。そのため、ステップS3における、制御部Uによるベローズ102からのリークの検知は、昇降ピン80を上昇させたときの処理空間S1内のプラズマの発光状態に基づいて行われる。
【0049】
例えば、ステップS3における、制御部Uによるベローズ102からのリークの検知は、前述のステップS3b~ステップS3dのうち、少なくともステップS3cで行われる。ステップS3cでは、ベローズ102からのリークが生じていた場合に処理空間S1内に大気成分が多く侵入するため、である。このようにステップS3cにおいてベローズ102でリークが生じていると処理空間S1内に大気成分が多く侵入する要因は、前述の昇降ピン80の上昇に伴うベローズ102の伸縮に伴う変形以外には、例えば以下の(A)、(B)が挙げられる。
【0050】
(A)ステップS3cでは、基板Gが載置台30に載置されない状態、すなわち、ベローズ102により囲われる空間に通ずる貫通孔31cの上端の開口が基板Gで塞がれない状態となるため。
(B)ステップS3cでは、昇降ピン80が上昇した状態となり、Oリング82による気密封止は解除された状態となり、ベローズ102により囲われる空間が貫通孔31cを通じて処理空間S1に連通するようになるため。
【0051】
なお、ステップS3における、制御部Uによるベローズ102からのリークの検知は、前述のステップS3b~ステップS3dのうち、ステップS3cに加えて、ステップS3bまたはステップS3dの少なくともいずれか一方でも行われてもよい。
【0052】
また、制御部Uによるベローズ102からのリークの検知は、処理空間S1内のプラズマ発光強度の、終点検知器500による測定結果に基づいて、行われる。
具体的には、制御部Uによるベローズ102からのリークの検知は、終点検知器500により測定された、処理空間S1内のプラズマからの特定波長の光の発光強度に基づいて、行われる。特定波長とは、大気に多く含まれる窒素(のプラズマ)に対応する波長である。
例えば、制御部Uは、終点検知器500から後述の「異常イベント」を受信した場合に、ベローズ102からのリークを検知したと判定する。
【0053】
(ステップS4)
ステップS3の終了後、基板Gが搬出される。
具体的には、制御部Uが、基板Gが受け渡し位置まで上昇されるよう、昇降機構81(具体的には駆動機構103)を制御し、昇降ピン80を上昇させると共に、容器本体10の側壁の搬入出口11が開状態となるよう、ゲートバルブ12を制御する。また、昇降ピン80上の基板Gが、処理空間S1内から、処理容器Cに隣接する搬送室(図示せず)へ搬入出口11を介して搬出されるよう、制御部Uが昇降機構81等を制御する。その後、制御部Uが、搬入出口11が閉状態となるよう、ゲートバルブ12を制御する。
これにより一連の基板処理が終了する。
【0054】
<リーク検知シーケンス>
次に、プラズマ処理装置1の制御部Uにより実行される、ベローズ102からのリーク(の有無)を検知するシーケンス(以下、「リーク検知シーケンス」という。)について説明する。
図5は、リーク検知シーケンスの一例を説明するためのフローチャートである。
【0055】
リーク検知シーケンスは前述のステップS3で行われる。具体的には、リーク検知シーケンスは、ステップS3b~ステップS3dのうち、少なくともステップS3cで行われ、これに加えて、ステップS3bまたはステップS3dの少なくともいずれか一方でも行われてもよい。
【0056】
(ステップS11)
リーク検知シーケンスでは、例えば、まず、制御部Uが、
図5に示すように、当該リーク検知シーケンスを実行する前提条件を満たすか否か判定する。
具体的には、例えば、制御部Uが、リーク検知シーケンスの実行が有効に設定されているか否か、及び、プラズマ処理装置1による基板処理で現在行われているステップがリーク検知シーケンスの実行が設定されているステップか否かを判定する。そして、制御部Uは、リーク検知シーケンスの実行を有効に設定されていると判定され、プラズマ処理装置1による基板処理で現在行われているステップがリーク検知シーケンスの実行が設定されているステップであると判定された場合、上記前提条件を満たすと判定する。
上記前提条件を満たすと判定されなかった場合(NOの場合)、以下のステップS12~S16は省略される。
【0057】
(ステップS12)
一方、上記前提条件を満たすと判定された場合(ステップS11、YESの場合)、制御部Uが、終点検知器500に、終点検知動作の開始すなわち処理空間S1のプラズマの発光状態の測定の開始を指示する。
具体的には、例えば、制御部Uが、以下の情報を、終点検知器500の制御部502に出力する。
・プラズマの発光状態の測定の開始を指示する情報
・終点検知器500が従うべき、ベローズ102からのリーク検知用のレシピの識別情報
【0058】
ベローズ102からのリーク検知用のレシピは、例えば、受光センサ501で検出する光の波長すなわち窒素プラズマに対応する光の波長と閾値を指定する。また、ベローズ102からのリーク検知用のレシピは、窒素プラズマに対応する光の強度が前述の閾値を超えた場合、制御部502が、ベローズ102からのリークの検知を報知する情報である「異常イベント」をプラズマ処理装置1の制御部Uに出力することを指定する。
ベローズ102からのリーク検知用のレシピは、例えば、1つのプラズマ処理装置1に対し1つ用意され、プラズマ処理装置1に対する複数の処理レシピ間で共通である。
【0059】
終点検知器500では、制御部502が、上述の情報が入力されると、当該制御部502に記憶されたレシピのうちの上記識別情報に対応するレシピに従って、受光センサ501を用いて、処理空間S1内のプラズマからの、窒素プラズマに対応する光の強度を測定する。また、終点検知器500では、制御部502が、受光センサ501で検出された窒素プラズマに対応する光の強度が前述の閾値を超えるか否か判定する。そして、受光センサ503で検出された光の強度が前述の閾値を超えた場合、制御部502は、「異常イベント」をプラズマ処理装置1の制御部Uに出力する。
【0060】
ステップS12後は、プラズマ処理装置1による基板処理で現在行われているステップが終了するまで、以下のステップS13~ステップS15が繰り返される。
【0061】
(ステップS13)
ステップS13では、制御部502が、終点検知器500から「異常イベント」を受信したか否か判定する。
「異常イベント」を受信していなかった場合(NOの場合)、ステップS14、S15は省略される。
【0062】
(ステップS14)
「異常イベント」を受信していた場合(ステップS13、YESの場合)、制御部502は、プラズマ処理装置1が、使用できる状態すなわち「use状態」の装置として、制御部502の記憶部に記憶すなわち設定されているか、判定する。
「use状態」の装置として設定されていなかった場合(NOの場合)、ステップS15は省略される。
なお、「異常イベント」を受信していた場合、プラズマ処理装置1による現在の基板処理の終了後に、制御部Uの制御の下、表示デバイス(図示せず)等を介して警告が発報される。また、「異常イベント」を受信していた場合、該当する基板Gについて、制御部Uの制御の下、プラズマ処理結果が「異常終了」と記憶部(図示せず)に記録される。
【0063】
(ステップS15)
「use状態」の装置として設定されていた場合(ステップS14、YESの場合)、制御部502は、プラズマ処理装置1について、制御部502の記憶部に、「Down After」を設定する。
「Down After」を設定されたプラズマ処理装置1は、当該プラズマ処理装置1による現在の基板処理の終了後に、「use状態」の装置から、使用できない状態すなわち「Down」状態の装置へ、設定が変更される。
【0064】
なお、ベローズ102からのリーク検知用のレシピは、いわゆる処理の終点を報知する情報である「EndPoint」はプラズマ処理装置1の制御部Uに出力しないように設定される。「EndPoint」が制御部Uに出力されてもよいが、この場合、「EndPoint」は制御部Uに無視される。
【0065】
(ステップS16)
ステップS13~ステップS15の繰り返しが終了すると、制御部Uは、終点検知器500に、終点検知動作の停止すなわち処理空間S1のプラズマの発光状態の測定の停止を指示する。
【0066】
これにより一連のリーク検知シーケンスが終了する。
【0067】
<作用効果>
本実施形態では、制御部Uが、ベローズ102からのリークの検知を、処理空間S1内のプラズマの発光状態に基づいて行う。ただし、制御部Uがベローズ102からのリークの検知に用いる処理空間S1内のプラズマの発光状態は、ベローズ102が伸縮されない定常状態にあるときのものではなく、昇降ピン80の上昇が行われベローズ102が伸縮変形するときのものである。ベローズ102が定常状態にある場合、ベローズ102の消耗度合いや損傷度合いの違いがあっても、処理空間S1内のプラズマの発光状態にあまり影響を及ぼさない場合がある。そのため、本実施形態と異なり、ベローズ102が定常状態にあるときの処理空間S1内のプラズマの発光状態に基づいて、ベローズ102からのリークを検知する場合、例えば、ベローズ102からのリークの有無を判定するための、処理空間S1内のプラズマからの特定波長の光にかかる発光強度に対する閾値を小さくせざるを得ない。したがって、この本実施形態と異なる検知方法では、ベローズ102以外の部分からのリークをベローズ102からのリークとして誤検知するおそれがある。それに対し、昇降ピン80の上昇が行われベローズ102が縮むと、ベローズ102の消耗度合いや損傷度合いの違いによって、処理空間S1内のプラズマの発光状態が大きく異なってくる。そのため、本実施形態のように、昇降ピン80の上昇が行われベローズ102が縮むときの処理空間S1内のプラズマの発光状態に基づいてベローズ102からのリークを検知する場合、例えば、前述の閾値を大きくすることができる。したがって、本実施形態にかかる検知方法では、ベローズ102以外の部分からのリークをベローズ102からのリークとして誤検知せずに、ベローズ102からのリークを正確に検知することができる。
【0068】
また、本実施形態では、基板処理毎にすなわち基板毎に行われ且つ処理条件すなわち処理レシピによらず行われる、基板Gの除電工程時に、ベローズ102からのリークを検知する工程は実行される。つまり、ベローズ102からのリークを検知する工程はプラズマ処理の処理条件によらず基板G毎に行われる。そのため、ベローズ102からのリークを早期に検知することができる。
【0069】
さらに、本実施形態では、ベローズ102からのリークが検知された場合、対応するプラズマ処理装置1が使用できない状態にされる。したがって、本実施形態によれば、ベローズ102からのリークに起因してプラズマ処理結果が不良となる基板Gの枚数を抑えることができる。
【0070】
さらにまた、本実施形態では、ベローズ102からのリークの検知も行う基板Gの除電工程の実行時間が、プラズマ処理装置1に対する処理レシピで指定されており、終点検知器500に対するレシピの影響を受けない。そのため、プラズマ処理装置1に対する処理レシピの修正の際、終点検知器500に対するレシピの修正を行わなくてもよい。本実施形態と異なり基板Gの除電工程の実行時間が終点検知器500に対するレシピの影響を受ける場合、プラズマ処理装置1に対する処理レシピの修正の際、終点検知器500に対するレシピの修正も必要となる。したがって、本実施形態によれば、基板Gの除電工程でベローズ102からのリークの検知も行うことによってレシピのメンテナンス性が損なわれるのを抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態では、エッチング処理を行う装置に通常設けられる終点検知器500を、ベローズ102からのリークの検知のために利用している。したがって、本開示にかかる技術はコストの面でも優れている。
【0072】
(変形例)
以上の例では、昇降ピン80の上昇が行われベローズ102が縮むときの処理空間S1内のプラズマの発光状態に基づいてベローズ102からのリークが検知されていた。これに代えて、昇降ピン80の下降が行われベローズ102が延びるときの処理空間S1内のプラズマの発光状態に基づいてベローズ102からのリークが検知されてもよい。また、昇降ピン80の上昇及び下降が行われベローズ102が伸縮するときの処理空間S1内のプラズマの発光状態に基づいてベローズ102からのリークが検知されてもよい。
【0073】
また、制御部Uが、処理空間S1内のプラズマの発光状態に基づいて、ベローズ102以外の部分からのリークを検知する工程がさらに行われてもよい。例えば、昇降ピン80の上昇が行われベローズ102が縮むときの、処理空間S1内のプラズマからの特定波長の光にかかる発光強度が第1閾値T1を超えたときに、制御部Uは、ベローズ102からのリークが発生したと判定する。そして、上記発光強度が第1閾値T1を超えないが第2閾値T2(<T1)を超えたときに、制御部Uは、ベローズ102以外の部分からのリークが発生したと判定する。また、制御部Uが、前述のステップS3cにおいて上記発光強度が閾値を超えたときに、ベローズ102からのリークが発生したと判定する場合、以下のようにしてもよい。すなわち、制御部Uが、前述のステップS3cにおいて上記発光強度が閾値を超えないが前述のステップS3bまたはステップS3dにおいて上記発光強度が閾値を超えたときに、ベローズ102以外の部分からのリークが発生したと判定してもよい。
【0074】
また、以上の例では、プラズマ処理装置1が、プラズマ処理としてエッチング処理を行うものであった。本開示にかかる技術は、プラズマ処理としてエッチング処理以外の処理(例えば成膜処理等)を行う装置にも適用することができる。
さらに、以上の例では、載置台30に対し昇降される昇降対象体が基板Gであったが、昇降対象体はこれに限られない。例えば、プラズマ処理として成膜処理が行われる場合、昇降対象体は、基板Gの周縁部への成膜を防ぐ環状部材すなわちシャドウリングであってもよい。
【0075】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。例えば、上記実施形態の構成要件は任意に組み合わせることができる。当該任意の組み合せからは、組み合わせにかかるそれぞれの構成要件についての作用及び効果が当然に得られるとともに、本明細書の記載から当業者には明らかな他の作用及び他の効果が得られる。
【0076】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は、上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0077】
なお、以下のような構成例も本開示の技術的範囲に属する。
(1)基板に対しプラズマ処理を行うプラズマ処理装置であって、
前記基板が載置される載置台と、
前記載置台を内部に収容し、前記載置台の上方の処理空間が減圧可能に構成された処理容器と、
前記処理空間内の処理ガスのプラズマを生成するプラズマ生成部と、
昇降可能に構成され、昇降対象体を支持して前記載置台に対して昇降させる昇降部材と、
前記処理空間に連通する前記昇降部材の周りの空間を封止するために、前記昇降部材を囲むように設けられ、前記昇降部材の昇降と共に伸縮するベローズと、
制御部と、を備え、
前記制御部の制御により、当該プラズマ処理装置が、前記昇降部材の上昇または下降の少なくともいずれか一方を行ったときの前記処理空間内の前記プラズマの発光状態に基づいて、前記ベローズからのリークを検知する工程を実行する、プラズマ処理装置。
(2)前記載置台は、当該載置台に前記基板を電気的に吸着し保持する静電チャックを有し、
前記制御部の制御により、当該プラズマ処理装置が、前記静電チャックにより吸着保持された前記基板を除電する工程をさらに実行し、
前記ベローズからのリークを検知する工程は、前記除電する工程時に実行される、前記(1)に記載のプラズマ処理装置。
(3)前記処理空間内の前記プラズマからの光の発光強度を測定する光学測定部をさらに備え、
前記ベローズからのリークを検知する工程は、前記光学測定部での測定結果に基づいて、前記ベローズからのリークを検知する、前記(1)または(2)に記載のプラズマ処理装置。
(4)前記昇降対象体は前記基板である、前記(1)~(3)のいずれか1に記載のプラズマ処理装置。
(5)前記制御部の制御により、当該プラズマ処理装置が、前記処理空間内の前記プラズマの発光状態に基づいて、前記ベローズ以外の部分からのリークを検知する工程をさらに実行する、前記(1)~(4)のいずれか1に記載のプラズマ処理装置。
(6)プラズマ処理装置のリーク検知方法であって、
前記プラズマ処理装置は、
基板が載置される載置台と、
前記載置台を内部に収容し、前記載置台の上方の処理空間が減圧可能に構成された処理容器と、
前記処理空間内の処理ガスのプラズマを生成するプラズマ生成部と、
昇降可能に構成され、昇降対象体を支持して前記載置台に対して昇降させる昇降部材と、
前記処理空間に連通する前記昇降部材の周りの空間を封止するために、前記昇降部材を囲むように設けられ、前記昇降部材の昇降と共に伸縮するベローズと、を備え、
前記昇降部材の上昇または下降の少なくともいずれか一方を行ったときの前記処理空間内の前記プラズマの発光状態に基づいて、前記ベローズからのリークを検知する工程を含む、リーク検知方法。
(7)前記処理空間内の前記プラズマの発光状態に基づいて、前記ベローズ以外の部分からのリークを検知する工程をさらに含む、前記(6)に記載のリーク検知方法。
【符号の説明】
【0078】
1 プラズマ処理装置
30 載置台
70 高周波アンテナ
80 昇降ピン
102 ベローズ
C 処理容器
G ガラス基板
S1 処理空間
U 制御部