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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118023
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】フィルタ回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 5/1254 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
H03K5/1254
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024182
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100134511
【弁理士】
【氏名又は名称】八田 俊之
(72)【発明者】
【氏名】田中 駿丞
【テーマコード(参考)】
5J039
【Fターム(参考)】
5J039BA06
5J039BB19
5J039KK09
5J039KK13
5J039MM08
(57)【要約】
【課題】ノイズを除去することが可能なフィルタ回路の提供を目的とする。
【解決手段】 少なくとも1つの第1D型フリップフロップ回路を有し、入力信号が入力される第1回路と、少なくとも1つの第2D型フリップフロップ回路を有し、前記第1回路の出力信号が入力される第2回路と、前記信号、前記第1回路の出力信号および前記第2回路の出力信号が入力される第1AND回路と、前記信号、前記第1回路の出力信号および前記第2回路の出力信号が入力される第1OR回路と、前記第1AND回路の出力信号および前記第1OR回路の出力信号のうちいずれかを選択して出力する選択回路と、前記選択回路の出力信号が入力されるD型フリップフロップ回路と、を具備するフィルタ回路。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1D型フリップフロップ回路を有し、入力信号が入力される第1回路と、
少なくとも1つの第2D型フリップフロップ回路を有し、前記第1回路の出力信号が入力される第2回路と、
前記信号、前記第1回路の出力信号および前記第2回路の出力信号が入力される第1AND回路と、
前記信号、前記第1回路の出力信号および前記第2回路の出力信号が入力される第1OR回路と、
前記第1AND回路の出力信号および前記第1OR回路の出力信号のうちいずれかを選択して出力する選択回路と、
前記選択回路の出力信号が入力されるD型フリップフロップ回路と、を具備するフィルタ回路。
【請求項2】
前記第1回路は複数の第1D型フリップフロップ回路を有し、
前記第1D型フリップフロップ回路はフリップフロップアレイを形成し、
前記複数の第1D型フリップフロップ回路のうち、最も前段の第1D型フリップフロップ回路に前記入力信号が入力し、
前記第2回路は複数の第2D型フリップフロップ回路を有し、
前記第2D型フリップフロップ回路はフリップフロップアレイを形成し、
前記複数の第2D型フリップフロップ回路のうち、最も前段の第2D型フリップフロップ回路に前記第1回路の出力信号が入力する請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項3】
決定回路を具備し、
前記決定回路は、前記第1回路のフリップフロップアレイにおいて機能する第1D型フリップフロップ回路の個数、および前記第2回路のフリップフロップアレイにおいて機能する第2D型フリップフロップ回路の個数を決定する請求項2に記載のフィルタ回路。
【請求項4】
前記第1回路は複数の第2AND回路と第2OR回路とを有し、
前記第1回路の複数のD型フリップフロップ回路の出力信号が、前記複数の第2AND回路に入力し、
前記複数の第2AND回路の出力信号は前記第2OR回路に入力し、
前記第2回路は複数の第3AND回路と第3OR回路とを有し、
前記第2回路の複数のD型フリップフロップ回路の出力信号が、前記複数の第3AND回路に入力し、
前記複数の第3AND回路の出力信号は前記第3OR回路に入力する請求項2または3に記載のフィルタ回路。
【請求項5】
前記決定回路は、複数の端子から電源電圧に接続される端子を選択するスイッチを有し、
前記複数の端子は、前記複数の第2AND回路および前記複数の第3AND回路に接続されている請求項4に記載のフィルタ回路。
【請求項6】
ロータリーエンコーダに設けられる請求項1に記載のフィルタ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、フィルタ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
入力信号に発生するノイズを除去するためのフィルタ回路が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62-232214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばモータなどの回転検出を行うことを目的としてロータリーエンコーダが用いられる。モータなど駆動系の付近ではノイズが多く発生する。ロータリーエンコーダの入力信号にノイズが混入すると、ノイズを除去できず、出力信号にノイズが混入することがあるという問題があった。
【0005】
1つの側面では、本発明は、ノイズを除去することが可能なフィルタ回路の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、フィルタ回路は、少なくとも1つの第1D型フリップフロップ回路を有し、入力信号が入力される第1回路と、少なくとも1つの第2D型フリップフロップ回路を有し、前記第1回路の出力信号が入力される第2回路と、前記信号、前記第1回路の出力信号および前記第2回路の出力信号が入力される第1AND回路と、前記信号、前記第1回路の出力信号および前記第2回路の出力信号が入力される第1OR回路と、前記第1AND回路の出力信号および前記第1OR回路の出力信号のうちいずれかを選択して出力する選択回路と、前記選択回路の出力信号が入力されるD型フリップフロップ回路と、を具備する。
【0007】
上記フィルタ回路において、前記第1回路は複数の第1D型フリップフロップ回路を有し、前記第1D型フリップフロップ回路はフリップフロップアレイを形成し、前記複数の第1D型フリップフロップ回路のうち、最も前段の第1D型フリップフロップ回路に前記入力信号が入力し、前記第2回路は複数の第2D型フリップフロップ回路を有し、前記第2D型フリップフロップ回路はフリップフロップアレイを形成し、前記複数の第2D型フリップフロップ回路のうち、最も前段の第2D型フリップフロップ回路に前記第1回路の出力信号が入力する態様とすることができる。
【0008】
上記フィルタ回路において、決定回路を具備し、前記決定回路は、前記第1回路のフリップフロップアレイにおいて機能する第1D型フリップフロップ回路の個数、および前記第2回路のフリップフロップアレイにおいて機能する第2D型フリップフロップ回路の個数を決定する態様とすることができる。
【0009】
上記フィルタ回路において、前記第1回路は複数の第2AND回路と第2OR回路とを有し、前記第1回路の複数のD型フリップフロップ回路の出力信号が、前記複数の第2AND回路に入力し、前記複数の第2AND回路の出力信号は前記第2OR回路に入力し、前記第2回路は複数の第3AND回路と第3OR回路とを有し、前記第2回路の複数のD型フリップフロップ回路の出力信号が、前記複数の第3AND回路に入力し、前記複数の第3AND回路の出力信号は前記第3OR回路に入力する態様とすることができる。
【0010】
上記フィルタ回路において、前記決定回路は、複数の端子から電源電圧に接続される端子を選択するスイッチを有し、前記複数の端子は、前記複数の第2AND回路および前記複数の第3AND回路に接続されている態様とすることができる。
【0011】
上記フィルタ回路がロータリーエンコーダに設けられる態様とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
ノイズを除去することが可能なフィルタ回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(a)はロータリーエンコーダを例示するブロック図である。図1(b)はロータリーエンコーダを例示する模式図である。
図2図2は実施形態に係るフィルタ回路を例示する図である。
図3図3は実施形態に係るフィルタ回路を例示する図である。
図4図4はフリップフロップ回路の個数の決定処理を例示するフローチャートである。
図5図5はタイミングチャートを例示する図である。
図6図6はタイミングチャートを例示する図である。
図7図7はタイミングチャートを例示する図である。
図8図8はタイミングチャートを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
【0015】
(実施形態)
[ロータリーエンコーダ]
図1(a)はロータリーエンコーダを例示するブロック図である。図1(a)に示すように、実施形態に係るフィルタ回路100はロータリーエンコーダ1に適用される。センサ2が出力するデータが、フィルタ回路100に入力される。フィルタ回路100が出力する信号は、処理回路3に入力される。処理回路3は信号を処理し、回転数および回転速度などを算出する。
【0016】
ロータリーエンコーダ1は、円盤状のロータリースケールが検出ヘッドに対して相対的に回転する機構を有するエンコーダであって、回転角度などを検出するのに適している。したがって、ロータリーエンコーダ1は、例えばモータなど駆動系の近くに設けられる。駆動系の振動に起因して、電気信号にノイズが発生することがある。
【0017】
図1(b)はロータリーエンコーダ1を例示する模式図である。図1(b)に示すように、モータ101の軸102の先端に回転板104が取り付けられている。ケーシング103の内部に、回転板104、発光素子106および受光素子107が設けられている。軸102が回転すると、軸102とともに回転板104も回転する。回転板104はスリット105を有する。スリット105は回転板104を貫通する。発光素子106は、回転板104から離間し、回転板104の一方の側に配置される。受光素子107は、回転板104から離間し、回転板104の他方の側に配置される。発光素子106と受光素子107とは対向する。
【0018】
発光素子106は光を出射する。光が回転板104に遮られることで、光は受光素子107に入射しない。光がスリット105を透過するとき、光は受光素子107に入射する。受光素子107は、光を受光することで電気信号を出力する。
【0019】
受光素子107が図1のセンサ2に対応する。受光素子107から出力される信号が、フィルタ回路100に入力される。モータ101および回転板104が駆動するため、受光素子107が出力する電気信号にノイズが発生しやすい。フィルタ回路100は、入力信号からノイズを除去する。
【0020】
[フィルタ回路]
図2および図3は実施形態に係るフィルタ回路100を例示する図である。フィルタ回路100は、入力端子4、入力端子5、出力端子6、第1回路10、第2回路30、決定回路46、OR回路50(第1OR回路)、AND回路52(第1AND回路)、選択回路54、D型フリップフロップ回路56、および制御部60を有する。
【0021】
OR回路50およびAND回路52はそれぞれ、3つの入力端子を有する。選択回路54は例えばマルチプレクサであり、2つの入力端子と1つの出力端子とを有する。
【0022】
後述のように、第1回路10は複数のD型フリップフロップ回路を有する。複数のD型フリップフロップ回路はフリップフロップアレイを形成する。第2回路30は複数のD型フリップフロップ回路を有する。複数のD型フリップフロップ回路はフリップフロップアレイを形成する。
【0023】
決定回路46は第1回路10および第2回路30に接続されている。決定回路46は、第1回路10のフリップフロップアレイに含まれるD型フリップフロップ回路の個数、および第2回路30のフリップフロップアレイに含まれるD型フリップフロップ回路の個数を決定する。
【0024】
入力端子4は、第1回路10の入力端子、OR回路50の1つの入力端子、およびAND回路52の1つの入力端子に接続されている。第1回路10の出力端子は、第2回路30、OR回路50の1つの入力端子、およびAND回路52の1つの入力端子に接続されている。第2回路30の出力端子は、OR回路50の1つの入力端子、およびAND回路52の1つの入力端子に接続されている。
【0025】
OR回路50の出力端子は、選択回路54の入力端子I1に接続されている。AND回路52の出力端子は、選択回路54の入力端子I0に接続されている。
【0026】
選択回路54の出力端子OはD型フリップフロップ回路56の入力端子に接続されている。D型フリップフロップ回路56の出力端子は、フィルタ回路100の出力端子6に接続され、かつ選択回路54の端子Sおよび制御部60に接続されている。
【0027】
入力端子5は、第1回路10のD型フリップフロップ回路、第2回路30のD型フリップフロップ回路、およびD型フリップフロップ回路56に接続されている。
【0028】
図3においては、第1回路10、第2回路30および決定回路46の構成を詳しく図示している。図3に示すように、第1回路10はフリップフロップアレイ12、AND回路14、16、18、20および22(以上、第2AND回路)、OR回路24(第2OR回路)を有する。フリップフロップアレイ12は5個のD型フリップフロップ回路12a~12e(第1D型フリップフロップ回路)を有する。D型フリップフロップ回路12aがフリップフロップアレイ12のうち最も前段に位置する。D型フリップフロップ回路12eが最も後段に位置する。AND回路14、16、18、20および22、OR回路24は、回路11として機能する。
【0029】
第2回路30はフリップフロップアレイ32、AND回路34、36、38、40および42(以上、第3AND回路)、OR回路44(第3OR回路)を有する。フリップフロップアレイ32は5個のD型フリップフロップ回路32a~32e(第2D型フリップフロップ回路)を有する。D型フリップフロップ回路32aがフリップフロップアレイ32のうち最も前段に位置する。D型フリップフロップ回路32eが最も後段に位置する。AND回路34、36、38、40および42、OR回路44は、回路41として機能する。
【0030】
決定回路46はスイッチ47を有する。スイッチ47は、端子S1~S5のうちいずれか1つを選択することで、電源電圧Vccに接続される配線を切り替える。端子S1からS5のそれぞれは、抵抗を介して接地されている。
【0031】
制御部60は決定回路46に接続されており、決定回路46のスイッチ47を切り替える。制御部60は、例えば回路およびコンピュータなどを含んでもよい。
【0032】
入力端子4はD型フリップフロップ回路12aの入力端子に接続されている。D型フリップフロップ回路12aの出力端子は、D型フリップフロップ回路12bの入力端子に接続されている。D型フリップフロップ回路12bの出力端子は、D型フリップフロップ回路12cの入力端子に接続されている。D型フリップフロップ回路12cの出力端子は、D型フリップフロップ回路12dの入力端子に接続されている。D型フリップフロップ回路12dの出力端子は、D型フリップフロップ回路12eの入力端子に接続されている。
【0033】
AND回路14の1つの入力端子はD型フリップフロップ回路12aの出力端子に接続されている。AND回路14のもう1つの入力端子は、決定回路46の端子S1に接続されている。AND回路16の1つの入力端子はD型フリップフロップ回路12bの出力端子に接続されている。AND回路16のもう1つの入力端子は、決定回路46の端子S2に接続されている。AND回路18の1つの入力端子はD型フリップフロップ回路12cの出力端子に接続されている。AND回路18のもう1つの入力端子は、決定回路46の端子S3に接続されている。AND回路20の1つの入力端子はD型フリップフロップ回路12dの出力端子に接続されている。AND回路20のもう1つの入力端子は、決定回路46の端子S4に接続されている。AND回路22の1つの入力端子はD型フリップフロップ回路12eの出力端子に接続されている。AND回路22のもう1つの入力端子は、決定回路46の端子S5に接続されている。AND回路14、16、18、20および22それぞれの出力端子はOR回路24の入力端子に接続されている。
【0034】
OR回路24の出力端子は、OR回路50の1つの入力端子、AND回路52の1つの入力端子、および第2回路30のD型フリップフロップ回路32aの入力端子に接続されている。
【0035】
フリップフロップアレイ32のD型フリップフロップ回路は、フリップフロップアレイ12のD型フリップフロップ回路と同様に接続されている。
【0036】
第2回路30のAND回路34はD型フリップフロップ回路32aの出力端子、および決定回路46の端子S1に接続されている。AND回路36はD型フリップフロップ回路32bの出力端子、および決定回路46の端子S2に接続されている。AND回路38はD型フリップフロップ回路32cの出力端子、および決定回路46の端子S3に接続されている。AND回路40はD型フリップフロップ回路32dの出力端子、および決定回路46の端子S4に接続されている。AND回路42はD型フリップフロップ回路32eの出力端子、および決定回路46の端子S5に接続されている。AND回路34、36、38、40および42それぞれの出力端子はOR回路44の入力端子に接続されている。
【0037】
OR回路44の出力端子は、OR回路50の1つの入力端子、およびAND回路52の1つの入力端子に接続されている。
【0038】
入力端子5は、第1回路10のD型フリップフロップ回路のそれぞれ、第2回路30のD型フリップフロップ回路のそれぞれ、およびD型フリップフロップ回路56に接続されている。
【0039】
入力信号INは、入力端子4からフィルタ回路100に入力され、第1回路10のフリップフロップアレイ12、OR回路50、およびAND回路52に入力される。クロック信号CKは、入力端子5から入力され、フリップフロップアレイ12のD型フリップフロップ回路、フリップフロップアレイ32のD型フリップフロップ回路、およびD型フリップフロップ回路56に入力される。
【0040】
第1回路10の出力信号D1は、第2回路30のフリップフロップアレイ32、OR回路50およびAND回路52に入力される。第2回路30の出力信号D2は、OR回路50およびAND回路52に入力される。
【0041】
OR回路50の出力信号Aは、選択回路54の入力端子I1に入力される。AND回路52の出力信号Bは、選択回路54の入力端子I0に入力される。
【0042】
選択回路54は、信号AおよびBのうち一方を出力信号Cとして出力する。出力信号CはD型フリップフロップ回路56に入力される。D型フリップフロップ回路56から出力される信号は、フィードバック信号として、選択回路54の端子Sに入力される。D型フリップフロップ回路56の出力信号は、出力信号OUTとして出力端子6から出力される。フィルタ回路100は入力信号INに混入するノイズを除去し、出力信号OUTを出力する。
【0043】
[D型フリップフロップ回路の個数の決定]
制御部60、決定回路46および回路11によって、第1回路10のフリップフロップアレイ12において、ノイズの除去に寄与するD型フリップフロップ回路の個数を選択することができる。制御部60、決定回路46および回路41によって、第2回路30のフリップフロップアレイ32において、ノイズの除去に寄与するD型フリップフロップ回路の個数を選択することができる。
【0044】
制御部60には出力信号OUTが入力される。制御部60は、決定回路46のスイッチ47の接続を制御する。スイッチ47の端子S1が選択されると、回路11のAND回路14および回路41のAND回路34が電源電圧Vccに接続される。回路11の他のAND回路および回路41の他のAND回路は、電源電圧Vccに接続されない。フリップフロップアレイ12に含まれるD型フリップフロップ回路のうち、D型フリップフロップ回路12aがノイズの除去に寄与する。フリップフロップアレイ32に含まれるD型フリップフロップ回路のうち、D型フリップフロップ回路32aがノイズの除去に寄与する。フリップフロップアレイの他のD型フリップフロップ回路はノイズの除去に寄与しない。
【0045】
スイッチ47の端子S2が選択されると、回路11のAND回路16および回路41のAND回路36が電源電圧Vccに接続される。回路11の他のAND回路および回路41の他のAND回路は、電源電圧Vccに接続されない。フリップフロップアレイ12に含まれるD型フリップフロップ回路のうち、D型フリップフロップ回路12aおよび12bがノイズの除去に寄与する。フリップフロップアレイ32に含まれるD型フリップフロップ回路のうち、D型フリップフロップ回路32aおよび32bがノイズの除去に寄与する。フリップフロップアレイの他のD型フリップフロップ回路はノイズの除去に寄与しない。
【0046】
スイッチ47の端子S3が選択されると、フリップフロップアレイ12に含まれるD型フリップフロップ回路のうち、D型フリップフロップ回路12a、12bおよび12cがノイズの除去に寄与する。フリップフロップアレイ32に含まれるD型フリップフロップ回路のうち、D型フリップフロップ回路32a、32bおよび32cがノイズの除去に寄与する。
【0047】
スイッチ47の端子S4が選択されると、フリップフロップアレイ12に含まれるD型フリップフロップ回路のうち、D型フリップフロップ回路12a、12b、12cおよび12dがノイズの除去に寄与する。フリップフロップアレイ32に含まれるD型フリップフロップ回路のうち、D型フリップフロップ回路32a、32b、32cおよび32dがノイズの除去に寄与する。
【0048】
スイッチ47の端子S5が選択されると、フリップフロップアレイ12に含まれるD型フリップフロップ回路のすべてがノイズの除去に寄与する。フリップフロップアレイ32に含まれるD型フリップフロップ回路のすべてがノイズの除去に寄与する。
【0049】
図4はフリップフロップ回路の個数の決定処理を例示するフローチャートである。制御部60は、スイッチ47の端子S1を選択する。フリップフロップアレイ12および32それぞれにおいて機能するD型フリップフロップ回路の個数が、1個に設定される(ステップS10)。
【0050】
フィルタ回路100が入力信号INを受信する(ステップS12)。フィルタ回路100は出力信号OUTを出力する。制御部60に出力信号OUTが入力される。制御部60は出力信号OUTにノイズが混入しているか否か判定する(ステップS14)。ステップS14でNoの場合、個数は1個に決定される(ステップS16)。
【0051】
ステップS14でYesの場合、制御部60はフリップフロップアレイ中のD型フリップフロップ回路の個数を1つ増やす(ステップS18)。ステップS18の後、ステップS12以降が繰り返される。ステップS14でNoならば、個数はステップS18で定めた個数に決定される(ステップS16)。ステップS16の後、処理は終了する。
【0052】
図5から図8はタイミングチャートを例示する図である。クロック信号CKの周期をTckとする。ノイズNの長さをTNとする。
【0053】
図5から図7においては、上から順番に、クロック信号CK、入力信号IN、第1回路10の出力信号D1、第2回路30の出力信号D2、OR回路50の出力信号A、AND回路52の出力信号B、選択回路54の出力信号C、フィルタ回路100の出力信号OUT、選択回路54における信号の選択を表す。決定回路46の端子S1が電源電圧Vccに接続されている。第1回路10および第2回路30のそれぞれにおいて、ノイズNの除去に寄与するD型フリップフロップ回路の個数は1個である。
【0054】
図5および図6の例では、ノイズの長さTNがクロック信号CKの1周期より長く、2周期より短い(Tck<TN<2Tck)。なお、図5以降のタイミングチャートにおいて、ノイズがランダムにHまたはLのどちらかになることを示すため、ノイズを黒い領域として表現している。したがって、あるタイミングにおいてノイズがHであるか、Lであるかは不明である。当該タイミングにおいて、たとえばノイズがHでは支障がある場合には、ノイズがHになっているものとする。
【0055】
図5の例では、入力信号INがLow(L)からHigh(H)に遷移する。タイミングチャートの開始時点では、入力信号IN、第1回路10の出力信号D1、第2回路30の出力信号D2はLである。選択回路54の入力信号としてAND回路52の出力信号Bが選択されている。
【0056】
クロック信号CKはLとHとの間で周期的に変化する。時間t1、t2、t3、t4、t5にクロック信号CKがLからHに遷移する。ノイズNは時間t1前からt2後まで入力信号INに混入する。時間t1にクロック信号CKが立ち上がると、第1回路10の出力信号D1がHになる。
【0057】
OR回路50およびAND回路52には、信号IN、D1およびD2が入力する。信号D1がHになることで、OR回路50の出力信号AがHになる。第2回路30の出力信号D2はLのままであるため、AND回路52の出力信号BもLを維持する。選択回路54は信号Bを選択して出力する。信号CおよびOUTはLである。出力信号OUTからはノイズNが除去されている。
【0058】
時間t2にクロック信号CKがLからHになると、第1回路10の出力信号D1はHからLになり、第2回路30の出力信号D2はLからHになる。ノイズNが終了した後の入力信号INはHである。時間t3にクロック信号CKがLからHになると、第1回路10の出力信号D1はHになり、第2回路30の出力信号D2はLになる。
【0059】
時間t1からt4までは、出力信号D1およびD2のうち1つがHであり、もう1つはLである。OR回路50の出力信号AはHであり、AND回路52の出力信号BはLを維持する。選択回路54において信号Bが選択されているため、出力信号CはLである。信号A、BおよびCにはグリッジ信号Gが発生する。D型フリップフロップ回路56は、グリッジ信号Gを除去し、出力信号OUTを出力する。信号CおよびOUTはLである。
【0060】
時間t4にクロック信号CKがHに遷移すると、第2回路30の出力信号D2がHになる。入力信号IN、出力信号D1およびD2がHであるため、AND回路52の出力信号BがLからHに遷移する。このため選択回路54の出力信号CもHになる。D型フリップフロップ回路56の出力信号OUTはLを維持する。時間t5にクロック信号CKがHとなることで、D型フリップフロップ回路56の出力信号OUTがLからHに遷移する。選択回路54の端子Sにフィードバック信号が入力され、OR回路50の出力信号Aが選択される。信号CおよびOUTはHを維持する。
【0061】
図6の例では、入力信号INがHからLに遷移する。タイミングチャートの開始時点では、入力信号IN、第1回路10の出力信号D1、第2回路30の出力信号D2はHである。選択回路54の入力信号としてOR回路50の出力信号Aが選択されている。
【0062】
時間t6、t7、t8、t9およびt10にクロック信号CKがHに遷移する。ノイズNは時間t6前からt7後まで入力信号INに混入する。時間t6にクロック信号CKがLになると、第1回路10の出力信号D1がHからLになる。信号D1がLになることで、AND回路52の出力信号BもLになる。第2回路30の出力信号D2およびOR回路50の出力信号AはHのままである。選択回路54は信号Aを選択して出力する。信号CおよびOUTはHである。出力信号OUTからはノイズNが除去されている。
【0063】
時間t6からt9までは、出力信号D1およびD2のうち1つがHであり、もう1つはLである。OR回路50の出力信号AはHであり、AND回路52の出力信号BはLである。選択回路54において信号Aが選択されているため、出力信号CはHである。信号A、BおよびCにはグリッジ信号Gが発生する。D型フリップフロップ回路56は、グリッジ信号Gを除去し、出力信号OUTを出力する。信号CおよびOUTはHである。
【0064】
時間t9にクロック信号CKがHに遷移すると、第2回路30の出力信号D2がLになる。入力信号IN、出力信号D1およびD2がLである。OR回路50の出力信号Aおよび選択回路54の出力信号CがHからLに遷移する。時間t10にクロック信号CKがHになるで、D型フリップフロップ回路56の出力信号OUTがHからLに遷移する。選択回路54の端子Sにフィードバック信号が入力され、AND回路52の出力信号Bが選択される。信号CおよびOUTはLを維持する。
【0065】
図7および図8の例では、ノイズの長さTNがクロック信号CKの4周期より長く、5周期より短い(4Tck<TN<5Tck)。入力信号INがLからHに遷移する。タイミングチャートの開始時点では、入力信号IN、第1回路10の出力信号D1、第2回路30の出力信号D2はLである。選択回路54の入力信号としてAND回路52の出力信号Bが選択されている。
【0066】
図7の例では、第1回路10および第2回路30のそれぞれにおいて、ノイズNの除去に寄与するD型フリップフロップ回路の個数は1個である。
【0067】
時間t11、t12、t13、t14、t15、t16およびt17にクロック信号CKがHに遷移する。ノイズNは時間t11前からt15後まで入力信号INに混入する。
【0068】
時間t11にクロック信号CKがHになると、第1回路10の出力信号D1がHになる。信号D1がHになることで、OR回路50の出力信号AもHになる。第2回路30の出力信号D2およびAND回路52の出力信号BはLのままである。選択回路54は信号Bを選択して出力する。信号CおよびOUTはLである。
【0069】
時間t12にクロック信号CKがHになると、第2回路30の出力信号D2はHになる。第1回路10の出力信号D1もHである。AND回路52には、信号D1およびD2、ノイズNを含む入力信号INが入力する。AND回路52の出力信号Bにノイズが発生する。選択回路54において信号Bが選択されているため、出力信号Cにもノイズが発生する。ただ、時間t12の時点では、D型フリップフロップ回路56の入力信号はLであるため、D型フリップフロップ回路56の出力信号OUTはLである。
【0070】
時間t13にクロック信号CKがHになると、第1回路10の出力信号D1はHからLに遷移する。AND回路52の出力信号BはLになる。D型フリップフロップ回路56の出力信号OUTはLからHに遷移する。フィードバック信号がHになることで、選択回路54はOR回路50の出力信号Aを選択する。第2回路30の出力信号D2はHのままである。OR回路50の出力信号AはHである。出力信号OUTはHに切り替わる。
【0071】
時間t14にクロック信号CKがHになると、第2回路30の出力信号D2がLになる。信号D1およびD2の両方がLである。入力信号INにはノイズNが発生している。OR回路50には信号D1およびD2、入力信号INが入力される。OR回路50の出力信号Aにもノイズが発生する。選択回路54はOR回路50の出力信号Aを選択しているため、選択回路54の出力信号Cにもノイズが発生する。ただ、時間t14の時点では、D型フリップフロップ回路56の入力信号はHであるため、D型フリップフロップ回路56の出力信号OUTはHを維持する。
【0072】
時間t15にクロック信号CKがHになると、第1回路10の出力信号D1およびOR回路50の出力信号AがHになる。選択回路54の出力信号CはHになる。D型フリップフロップ回路56の出力信号OUTはLに切り替わる。フィードバック信号がLになることで、選択回路54はAND回路52の出力信号Bを選択する。出力信号Cからノイズが消え、信号CはHからLになる。ノイズNがなくなった後、入力信号INはHである。
【0073】
時間t16にクロック信号CKがHになると、第2回路30の出力信号D2はHになる。入力信号IN、信号D1およびD2がHであるため、AND回路52の出力信号BがHになり、選択回路54の出力信号CもHになる。
【0074】
時間t17にクロック信号CKがHになると、D型フリップフロップ回路56の出力信号OUTはHに遷移する。選択回路54の端子Sにフィードバック信号が入力されることで、選択回路54において信号Aが選択される。
【0075】
図7の例では、選択回路54の出力信号Cにもノイズが伝搬する。そして、出力信号OUTがLとHとの間で頻繁に切り替わる。
【0076】
制御部60は出力信号OUT中のノイズを検出する(図4のステップS14)。ノイズとは図7のようなLとHとのバタつきである。制御部60はフリップフロップアレイ中のD型フリップフロップ回路の個数を1つ増やす(ステップS18)。
【0077】
図8の例では、第1回路10および第2回路30のそれぞれにおいて、ノイズNの除去に寄与するD型フリップフロップ回路の個数は2個である。上から順番に、クロック信号CK、入力信号IN、D型フリップフロップ回路12aの出力信号d11、第1回路10の出力信号D1、D型フリップフロップ回路32aの出力信号d21、第2回路30の出力信号D2、OR回路50の出力信号A、AND回路52の出力信号B、選択回路54の出力信号C、フィルタ回路100の出力信号OUT、選択回路54における信号の選択を表す。
【0078】
時間t18、t19、t20、t21、t22、t23、t24、t25、およびt26にクロック信号CKがHに遷移する。ノイズNは時間t18前からt22後まで入力信号INに混入する。
【0079】
時間t18にクロック信号CKがHになると、D型フリップフロップ回路12aの出力信号d11はHになるが、第1回路10の出力信号D1はLを維持する。信号D1、d21およびD2はLである。OR回路50の出力信号AはHになる。選択回路54はAND回路52の出力信号Bを選択しているため、出力信号CはLである。D型フリップフロップ回路56の出力信号OUTもLである。
【0080】
時間t18からt22までは入力信号INにノイズNが混入する。時間t18からt25までは、信号D1およびD2のうち1つがHであり、もう1つはLである。このためAND回路52の出力信号BはLのままである。選択回路54の出力信号Cおよびフィルタ回路100の出力信号OUTもLを維持する。すなわち、ノイズNは信号CおよびOUTまで伝搬せず、除去される。出力信号OUTのバタつきが抑制される。
【0081】
時間t25にクロック信号CKがHになると、第2回路30の出力信号D2がHになる。入力信号IN、信号D1およびD2がHである。AND回路52の出力信号BがHになり、選択回路54の出力信号CもHになる。出力信号OUTはLのままである。
【0082】
時間t26にクロック信号CKがHになると、D型フリップフロップ回路56の出力信号OUTがHになる。選択回路54の端子Sにフィードバック信号が入力されることで、選択回路54において信号Aが選択される。時間t26以降、出力信号OUTはHである。
【0083】
図5および図6の例では、第1回路10および第2回路30のそれぞれにおいて、ノイズNの除去に寄与するD型フリップフロップ回路の個数は1個である。Tck<TN<2TckのノイズNを除去することができる。しかし、4Tck<TN<5TckのノイズNは伝搬してしまう(図7の例)。図8の例では、第1回路10および第2回路30のそれぞれにおいて、ノイズNの除去に寄与するD型フリップフロップ回路の個数は2個である。ノイズNを除去することができる。
【0084】
本実施形態によれば、第1回路10は例えば5つのD型フリップフロップ回路を有し、入力信号INが入力される。第2回路30は例えば5つのD型フリップフロップ回路を有し、第1回路10の出力信号D1が入力される。OR回路50およびAND回路52には、入力信号IN、信号D1、および第2回路30の出力信号D2が入力される。選択回路54は、OR回路50の出力信号AおよびAND回路52の出力信号Bのうちいずれかを選択して出力する。選択回路54の出力信号CはD型フリップフロップ回路56に入力される。D型フリップフロップ回路56は、出力信号OUTを出力する。入力信号INに混入するノイズNを除去することができる。
【0085】
第1回路10はフリップフロップアレイ12を有する。第2回路30はフリップフロップアレイ32を有する。入力信号INに混入するノイズNを除去することができる。フィルタ回路100の構成が簡単である。
【0086】
決定回路46は、フリップフロップアレイ12および32のそれぞれにおいてノイズの除去に機能するD型フリップフロップ回路の個数を決定する。個数が1個である場合、図5および図6の例のようにTck<TN<2TckのノイズNを除去することができる。個数が2個である場合、図8の例のように、4Tck<TN<5Tckのノイズを除去することができる。
【0087】
図5に示すように、第1回路10および第2回路30はそれぞれ複数のD型フリップフロップ回路を有し、個数は例えば5個である。個数は1個でもよいし、4個以下でもよいし、6個以上でもよい。第1回路10および第2回路30がそれぞれ、少なくとも1つのD型フリップフロップ回路を有する。
【0088】
第1回路10のAND回路14、16、18、20および22それぞれに、フリップフロップアレイ12のD型フリップフロップ回路の出力信号が入力される。OR回路24に、5個のAND回路の出力信号が入力される。第2回路30のAND回路34、36、38、40および42それぞれに、フリップフロップアレイ32のD型フリップフロップ回路の出力信号が入力される。OR回路44に、5個のAND回路の出力信号が入力される。ノイズNを除去することができる。
【0089】
決定回路46のスイッチ47は、端子S1~S5のうち1つを選択して電源電圧Vccに接続する。端子は第1回路10のAND回路および第2回路30のAND回路に接続されている。端子を選ぶことで、フリップフロップアレイ12および32のそれぞれにおいてノイズの除去に機能するD型フリップフロップ回路の個数を決定することができる。
【0090】
フィルタ回路100はロータリーエンコーダ1に設けられる。ロータリーエンコーダ1はモータなどの駆動部品を有するため、ノイズが発生しやすい。フィルタ回路100によりノイズを除去することができる。
【0091】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 ロータリーエンコーダ
2 センサ
3 処理回路
4、5 入力端子
6 出力端子
10 第1回路
11、41 回路
12、32 フリップフロップアレイ
12a~12e D型フリップフロップ回路(第1D型フリップフロップ回路)
14、16、18、20、22 AND回路(第2AND回路)
24 OR回路(第2OR回路)
30 第2回路
32a~32e D型フリップフロップ回路(第2D型フリップフロップ回路)
34、36、38、40、42 AND回路(第3AND回路)
44 OR回路(第3OR回路)
46 決定回路
47 スイッチ
50 OR回路(第1OR回路)
52 AND回路(第1AND回路)
54 選択回路
56 D型フリップフロップ回路
60 制御部
100 フィルタ回路
101 モータ
102 軸
103 ケーシング
104 回転板
105 スリット
106 発光素子
107 受光素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8