(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118091
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240823BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/302 101C
H01L21/302 101D
H05H1/46 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024287
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】三上 広高
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084BB05
2G084BB14
2G084CC02
2G084CC04
2G084CC05
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC15
2G084CC16
2G084CC33
2G084DD23
2G084DD37
2G084DD38
2G084DD55
2G084FF15
2G084HH05
2G084HH06
2G084HH22
2G084HH26
2G084HH28
2G084HH43
5F004AA01
5F004AA05
5F004AA16
5F004BA08
5F004BA09
5F004BA13
5F004BA14
5F004BB08
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB14
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BD03
5F004CA03
5F004CB05
(57)【要約】
【課題】異なる密度分布を有する安定したプラズマを交互に形成可能とする技術を提供する。
【解決手段】開示されるプラズマ処理装置では、チャンバ内でプラズマを生成するために第1の高周波電力が供給される。第2の高周波電力のピーク-ピーク間電圧が200V以上である状態が継続した後に、バイアス用の高周波電力が第2の高周波電力から第3の高周波電力に切り替えられる。第3の高周波電力のピーク-ピーク間電圧が200V以上である状態が継続した後に、バイアス用の高周波電力が第3の高周波電力から第2の高周波電力に切り替えられる。第2の高周波電力と第3の高周波電力バイアスとの間でのバイアス用の高周波電力の切替は、繰り返される。第2の高周波電力の供給中のチャンバ内の磁場と第3の高周波電力の供給中のチャンバ内の磁場は互いに異なる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理空間を提供するチャンバと、
前記チャンバ内に設けられた基板支持部と、
前記チャンバ内に磁場を形成するように構成された少なくとも二つの電磁石であって、前記プラズマ処理空間は該少なくとも二つの電磁石の各々と前記基板支持部との間に介在する、該少なくとも二つの電磁石と、
ガスからプラズマを生成するために第1の周波数を有する第1の高周波電力を供給するように構成された第1の高周波電源と、
プラズマから前記基板支持部にイオンを引き込むために、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する第2の高周波電力を前記基板支持部に供給するように構成された第2の高周波電源と、
プラズマから前記基板支持部にイオンを引き込むために、第3の周波数を有する第3の高周波電力を前記基板支持部に供給するように構成された第3の高周波電源であって、前記第3の周波数は、前記第1の周波数よりも低く、かつ、第2の周波数とは異なる、該第3の高周波電源と、
前記第1の高周波電力、前記第2の高周波電力及び前記第3の高周波電力の各々の電圧を測定するように構成された高周波検出器と、
前記第1の高周波電源、前記第2の高周波電源及び前記第3の高周波電源を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(a) 前記チャンバ内でプラズマを生成するために前記第1の高周波電源に前記第1の高周波電力を供給させ、
(b) 前記(a)の実行中に前記第2の高周波電源に前記第2の高周波電力を供給させ、
(c) 前記高周波検出器によって測定された前記第1の高周波電力及び前記第2の高周波電力の各々の電圧に基づいて前記第1の高周波電力及び前記第2の高周波電力の各々のピーク-ピーク間電圧を取得し、
(d) 前記第2の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が前記第1の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧より高い状態、又は、前記第2の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が200V以上である状態が継続した後に、前記(b)における前記第2の高周波電源による前記第2の高周波電力の供給を停止しつつ、前記第3の高周波電源に前記第3の高周波電力を供給させ、
(e) 前記高周波検出器によって測定された前記第1の高周波電力及び前記第3の高周波電力の各々の電圧に基づいて前記第1の高周波電力及び前記第3の高周波電力の各々のピーク-ピーク間電圧を取得し、
(f) 前記第3の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が前記第1の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧より高い状態、又は、前記第3の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が200V以上である状態が継続した後に、前記(d)における前記第3の高周波電源による前記第3の高周波電力の供給を停止しつつ、前記第2の高周波電源に前記第2の高周波電力を供給させ、
(g) 前記(c)、前記(d)、前記(e)、及び前記(f)を繰り返し、
(h) 前記(b)及び前記(f)の各々における前記チャンバ内の磁場と前記(d)における前記チャンバ内の磁場が互いに異なるように前記少なくとも二つの電磁石を制御する、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
プラズマ処理空間を提供するチャンバと、
前記チャンバ内に設けられた基板支持部と、
前記チャンバ内に磁場を形成するように構成された少なくとも二つの電磁石であって、前記プラズマ処理空間は該少なくとも二つの電磁石の各々と前記基板支持部との間に介在する、該少なくとも二つの電磁石と、
ガスからプラズマを生成するために第1の周波数を有する第1の高周波電力を供給するように構成された第1の高周波電源と、
プラズマから前記基板支持部にイオンを引き込むために、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する第2の高周波電力を前記基板支持部に供給するように構成された第2の高周波電源と、
プラズマから前記基板支持部にイオンを引き込むために、第3の周波数を有する第3の高周波電力を前記基板支持部に供給するように構成された第3の高周波電源であって、前記第3の周波数は、前記第1の周波数よりも低く、かつ、第2の周波数とは異なる、該第3の高周波電源と、
前記第2の高周波電力及び前記第3の高周波電力の各々の電圧を測定するように構成された高周波検出器と、
前記第1の高周波電源、前記第2の高周波電源及び前記第3の高周波電源を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(a) 前記チャンバ内でプラズマを生成するために前記第1の高周波電源に前記第1の高周波電力を供給させ、
(b) 前記(a)の実行中に前記第2の高周波電源に前記第2の高周波電力を供給させ、
(c) 前記高周波検出器によって測定された前記第2の高周波電力の電圧に基づいて前記第2の高周波電力のピーク-ピーク間電圧を取得し、
(d) 前記第2の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が200V以上である状態が継続した後に、前記(b)における前記第2の高周波電源による前記第2の高周波電力の供給を停止しつつ、前記第3の高周波電源に前記第3の高周波電力を供給させ、
(e) 前記高周波検出器によって測定された前記第3の高周波電力の電圧に基づいて前記第3の高周波電力のピーク-ピーク間電圧を取得し、
(f) 前記第3の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が200V以上である状態が継続した後に、前記(d)における前記第3の高周波電源による前記第3の高周波電力の供給を停止しつつ、前記第2の高周波電源に前記第2の高周波電力を供給させ、
(g) 前記(c)、前記(d)、前記(e)、及び前記(f)を繰り返し、
(h) 前記(b)及び前記(f)の各々における前記チャンバ内の磁場と前記(d)における前記チャンバ内の磁場が互いに異なるように前記少なくとも二つの電磁石を制御する、
プラズマ処理装置。
【請求項3】
前記高周波検出器は、前記第1の高周波電力、前記第2の高周波電力及び前記第3の高周波電力の各々の電圧を少なくとも前記(b)の実行後から継続して測定する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記高周波検出器は、前記第2の高周波電力及び前記第3の高周波電力の各々の電圧を少なくとも前記(b)の実行後から継続して測定する、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記高周波検出器は、前記第1の高周波電力、前記第2の高周波電力及び前記第3の高周波電力の各々の電圧を少なくとも前記(b)の実行後から、0秒より大きく10秒以下の測定間隔で間欠的に測定する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記高周波検出器は、前記第1の高周波電力、前記第2の高周波電力及び前記第3の高周波電力の各々の電圧を少なくとも前記(b)の実行後から、0秒より大きく10秒以下の測定間隔で間欠的に測定する、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記高周波検出器は、高周波電圧検出器である、請求項1~6の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記第1の周波数は、40MHz以上150MHz以下である、請求項1~6の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記第2の周波数は、1MHz以上50MHz以下である、請求項1~6の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記第3の周波数は、10kHz以上1MHz以下である、請求項1~6の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
プラズマ処理空間を提供するチャンバと、
前記チャンバ内に設けられた基板支持部と、
前記チャンバ内に磁場を形成するように構成された少なくとも二つの電磁石であって、前記プラズマ処理空間は該少なくとも二つの電磁石の各々と前記基板支持部との間に介在する、該少なくとも二つの電磁石と、
ガスからプラズマを生成するために第1の周波数を有する第1の高周波電力を供給するように構成された第1の高周波電源と、
プラズマから前記基板支持部にイオンを引き込むために、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する第2の高周波電力を前記基板支持部に供給するように構成された第2の高周波電源と、
プラズマから前記基板支持部にイオンを引き込むために、第4の繰り返し周波数をもって周期的に電圧パルスを前記基板支持部に印加するように構成された直流電源であって、前記第4の繰り返し周波数は、前記第1の周波数よりも低く、かつ、第2の周波数とは異なる、該直流電源と、
前記第1の高周波電力及び前記第2の高周波電力の各々の電圧を測定するように構成された高周波検出器と、
前記電圧パルスの電圧を測定するように構成された電圧検出器と、
前記第1の高周波電源、前記第2の高周波電源及び前記直流電源を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(a) 前記チャンバ内でプラズマを生成するために前記第1の高周波電源に前記第1の高周波電力を供給させ、
(b) 前記(a)の実行中に前記第2の高周波電源に前記第2の高周波電力を供給させ、
(c) 前記高周波検出器によって測定された前記第1の高周波電力及び前記第2の高周波電力の各々の電圧に基づいて前記第1の高周波電力及び前記第2の高周波電力の各々のピーク-ピーク間電圧を取得し、
(d) 前記第2の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が前記第1の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧より高い状態、又は、前記第2の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が200V以上である状態が継続した後に、前記(b)における前記第2の高周波電源による前記第2の高周波電力の供給を停止しつつ、前記直流電源に前記電圧パルスを印加させ、
(e) 前記高周波検出器によって測定された前記第1の高周波電力の電圧に基づいて前記第1の高周波電力のピーク-ピーク間電圧を取得し、かつ前記電圧検出器により前記電圧パルスの電圧を測定し、
(f) 前記電圧パルスの電圧が前記第1の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧より高い状態、又は、前記電圧パルスの電圧が100V以上である状態が継続した後に、前記(d)における前記直流電源による前記電圧パルスの印加を停止しつつ、前記第2の高周波電源に前記第2の高周波電力を供給させ、
(g) 前記(c)、前記(d)、前記(e)、及び前記(f)を繰り返し、
(h) 前記(b)及び前記(f)の各々における前記チャンバ内の磁場と前記(d)における前記チャンバ内の磁場が互いに異なるように前記少なくとも二つの電磁石を制御する、
プラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置が、基板に対するプラズマ処理において用いられている。下記の特許文献1に開示されたプラズマ処理装置は、下部電極と、複数の電磁石と、第1の高周波電源と、第2の高周波電源とを備える。第1の高周波電源は、下部電極に接続され、第1の周波数を有する周波電力を供給する。第2の高周波電源は、下部電極に接続され、第1の周波数よりも高い第2の周波数を有する高周波電力を供給する。第1の高周波電源が第1の周波数の高周波電力を供給する際、各電磁石は処理空間において磁界を発生させず、第2の高周波電源が第2の周波数の高周波電力を供給する際、各電磁石は処理空間において磁界を発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、異なる密度分布を有する安定したプラズマを交互に生成可能とする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバと、基板支持部と、少なくとも二つの電磁石と、第1の高周波電源と、第2の高周波電源と、第3の高周波電源と、高周波検出器と、制御部とを備える。チャンバは、プラズマ処理空間を提供する。基板支持部は、チャンバ内に設けられている。少なくとも二つの電磁石は、チャンバ内に磁場を形成するように構成されている。プラズマ処理空間は、該少なくとも二つの電磁石の各々と基板支持部との間に介在する。第1の高周波電源は、ガスからプラズマを生成するために第1の周波数を有する第1の高周波電力を供給するように構成されている。第2の高周波電源は、プラズマから基板支持部にイオンを引き込むために、第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する第2の高周波電力を基板支持部に供給するように構成されている。第3の高周波電源は、プラズマから基板支持部にイオンを引き込むために、第3の周波数を有する第3の高周波電力を基板支持部に供給するように構成されている。第3の周波数は、第1の周波数よりも低く、かつ、第2の周波数とは異なる。高周波検出器は、第1の高周波電力、第2の高周波電力及び第3の高周波電力の各々の電圧を測定する。制御部は、工程(a)において、チャンバ内でプラズマを生成するために第1の高周波電源に第1の高周波電力を供給させる。制御部は、工程(b)において、工程(a)の実行中に第2の高周波電源に第2の高周波電力を供給させる。制御部は、工程(c)において、高周波検出器によって測定された第1の高周波電力及び第2の高周波電力の各々の電圧に基づいて第1の高周波電力及び第2の高周波電力の各々のピーク-ピーク間電圧を取得する。制御部は、工程(d)において、第2の高周波電力のピーク-ピーク間電圧が第1の高周波電力のピーク-ピーク間電圧より高い状態、又は、第2の高周波電力のピーク-ピーク間電圧が200V以上である状態が継続した後に、工程(b)における第2の高周波電源による第2の高周波電力の供給を停止しつつ、第3の高周波電源に第3の高周波電力を供給させる。制御部は、工程(e)において、高周波検出器によって測定された第1の高周波電力及び第3の高周波電力の各々の電圧に基づいて第1の高周波電力及び第3の高周波電力の各々のピーク-ピーク間電圧を取得する。制御部は、工程(f)において第3の高周波電力のピーク-ピーク間電圧が第1の高周波電力のピーク-ピーク間電圧より高い状態、又は、第3の高周波電力のピーク-ピーク間電圧が200V以上である状態が継続した後に、工程(d)における第3の高周波電源による第3の高周波電力の供給を停止しつつ、第2の高周波電源に第2の高周波電力を供給させる。制御部は、工程(c)、工程(d)、(e)、及び(f)を繰り返す。制御部は、工程(b)及び工程(f)の各々におけるチャンバ内の磁場と(d)におけるチャンバ内の磁場が互いに異なるように少なくとも二つの電磁石を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、異なる密度分布を有する安定したプラズマを交互に形成可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。
【
図2】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を説明するための図である。
【
図3】
図2に示す電磁石の一例を示す平面図である。
【
図4】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。
【
図5】
図5(a)は、第2の周波数を有する第2の高周波電力が供給されたときの基板の位置と基板のエッチレートとの関係の一例を示すグラフである。
図5(b)は、第3の周波数を有する第3の高周波電力が供給されたときの基板の位置と基板のエッチレートとの関係の一例を示すグラフである。
【
図6】他の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を説明するための図である。
【
図7】他の例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。
【
図8】他の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を説明するための図である。
【
図9】
図8に示す電磁石の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0009】
図1は、プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理システムは、基板処理システムの一例であり、プラズマ処理装置1は、基板処理装置の一例である。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0010】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;CapacitivelyCoupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(DirectCurrent)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(RadioFrequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、100kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0011】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0012】
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合型のプラズマ処理装置の構成例について説明する。
図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を説明するための図である。
【0013】
容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0014】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0015】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF電源31及び/又はDC電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0016】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0017】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0018】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0019】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0020】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0021】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0022】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0023】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0024】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0025】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0026】
図2に示すように、基板Wは、例えば、中心軸線Z上に、その中心が位置するように、基板支持部11上に載置される。中心軸線Zは、例えば、プラズマ処理チャンバ10及びプラズマ処理空間10sの中心軸線であり、鉛直方向に延びている。また、基板支持部11の中心軸線は、中心軸線Zに略一致している。即ち、基板支持部11上の基板Wの中心は、中心軸線Z上に位置している。
【0027】
第1のRF生成部31aは、一実施形態の第1の高周波電源であり、ソースRF信号、即ち第1の高周波電力を下部電極に供給するように構成されている。第1のRF生成部31aは、下部電極ではなく上部電極に第1の高周波電力を供給してもよい。第1の高周波電力は、第1の周波数を有する。第1の周波数は、例えば、40MHz以上150MHz以下である。第1の周波数は、例えば、100MHzである。
【0028】
第2のRF生成部31bは、第2の高周波電源311及び第3の高周波電源312を含む。第2の高周波電源311は、インピーダンス整合回路を介して下部電極に電気的に結合されている。第2の高周波電源311は、バイアスRF信号、即ち第2の高周波電力を下部電極に供給するように構成されている。第2の高周波電力は、第2の周波数を有する。第2の周波数は、第1の周波数よりも低い。第2の周波数は、例えば、1MHz以上50MHz以下である。第2の周波数は、例えば、40MHzである。
【0029】
第3の高周波電源312は、別のインピーダンス整合回路を介して下部電極に電気的に結合されている。第3の高周波電源312は、別のバイアスRF信号、即ち第3の高周波電力を下部電極に供給するように構成されている。第3の高周波電力は、第3の周波数を有する。第3の周波数は、第1の周波数よりも低く、かつ、第2の周波数とは異なる。第3の周波数は、第2の周波数よりも低くてもよい。第3の周波数は、例えば、10kHz以上1MHz以下である。第3の周波数は、例えば、400kHzである。
【0030】
第1の高周波電力、第2の高周波電力及び第3の高周波電力は、例えば、電源30から下部電極までの共通の給電ライン34上をそれぞれ通過する。プラズマ処理装置1では、シャワーヘッド13から処理ガスがプラズマ処理空間10sへ導入され、電源30から供給される高周波電力によってプラズマ処理空間10sにおいて下部電極から上部電極へ向かう電界が発生する。
【0031】
プラズマ処理装置1は、第1の高周波電力、第2の高周波電力及び第3の高周波電力の各々の電圧を測定するように構成された高周波検出器50を備える。高周波検出器50は、例えば、給電ライン34上の測定点34aにおいて当該電圧を測定する。高周波検出器50は、第1の高周波電圧検出器52、第2の高周波電圧検出器54及び第3の高周波電圧検出器56を備える。第1の高周波電圧検出器52は、第1の周波数を有する第1の高周波電力を選択的に通過させるフィルタ51を介して測定点34aに接続されている。第1の高周波電圧検出器52は、第1の高周波電力の電圧V1を測定するように構成されている。第2の高周波電圧検出器54は、第2の周波数を有する第2の高周波電力を選択的に通過させるフィルタ53を介して測定点34aに接続されている。第2の高周波電圧検出器54は、第2の高周波電力の電圧V2を測定するように構成されている。さらに、第3の高周波電圧検出器56は、第3の周波数を有する第3の高周波電力を選択的に通過させるフィルタ55を介して測定点34aに接続されている。第3の高周波電圧検出器56は、第3の高周波電力の電圧V3を測定するように構成されている。第1の高周波電圧検出器52、第2の高周波電圧検出器54及び第3の高周波電圧検出器56には、測定された各々の電圧を解析可能な制御部2が接続されている。なお、第1の高周波電力の電圧が上部電極に供給される場合には、高周波検出器50のうちフィルタ51及び第1の高周波電圧検出器52は上部電極に接続されていてもよい。
【0032】
図2に示すように、プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10内に磁場を形成するように構成された少なくとも二つの電磁石60を備える。プラズマ処理空間10sは該少なくとも二つの電磁石60の各々と基板支持部11との間に介在する。
図2に示す例では、プラズマ処理装置1は、少なくとも二つの電磁石60として、複数の電磁石61~64を含んでいる。
図3は、
図2に示す電磁石の一例を示す平面図である。
図3においては、プラズマ処理空間10s側から視た複数の電磁石61~64が示されている。複数の電磁石61~64は、プラズマ処理チャンバ10の上又は上方に設けられている。
図2に示す例では、複数の電磁石61~64は、上部電極の上に設けられている。
【0033】
図2及び
図3に示す例では、電磁石61~64はそれぞれ、コイル81~84を含んでいる。コイル81~コイル84のそれぞれは、中心軸線Zの周りで巻かれている。コイル81~84は、それぞれ環状を呈する。コイル81~84のそれぞれは、同一の高さ位置において、同軸に設けられている。
【0034】
電磁石60は、ボビン70(又はヨーク)を更に含んでいる。コイル81~84は、ボビン70(又はヨーク)に巻き付けられている。ボビン70は、例えば磁性材料から形成されている。ボビン70は、柱状部71、複数の円筒部72~75、及びベース部76を有している。ベース部76は、略円盤形状を有しており、その中心軸線は中心軸線Zに一致している。柱状部71及び複数の円筒部72~75は、ベース部76の下面から下方に延びている。柱状部71は、略円柱形状を有しており、その中心軸線は中心軸線Zに略一致している。柱状部71の半径L1は、例えば、60mmである。円筒部72~75は、中心軸線Zに対して径方向において、柱状部71の外側で延在している。
【0035】
円筒部72~75の各々は、鉛直方向に延びる円筒形状を有している。円筒部72~75の中心軸線は、中心軸線Zに略一致している。即ち、円筒部72~75は、同軸状に設けられている。円筒部72の半径L2、円筒部73の半径L3、円筒部74の半径L4、及び、円筒部75の半径L5は、半径L1よりも大きく、L2<L3<L4<L5の関係を有する。例えば、半径L2、半径L3、半径L4、半径L5はそれぞれ、76mm、127mm、178mm、229mmである。なお、半径L2は円筒部72の内周面と外周面の間の径方向における中間位置と中心軸線Zとの間の距離である。半径L3は円筒部73の内周面と外周面の間の径方向における中間位置と中心軸線Zとの間の距離である。半径L4は円筒部74の内周面と外周面の間の径方向における中間位置と中心軸線Zとの間の距離である。半径L5は円筒部75の内周面と外周面の間の径方向における中間位置と中心軸線Zとの間の距離である。
【0036】
コイル81は、柱状部71の外周面に沿って巻かれており、柱状部71と円筒部72の間の溝の中に収容されている。コイル82は、円筒部72の外周面に沿って巻かれており、円筒部72と円筒部73の間の溝の中に収容されている。コイル83は、円筒部73の外周面に沿って巻かれており、円筒部73と円筒部74の間の溝の中に収容されている。コイル84は、円筒部74の外周面に沿って巻かれており、円筒部74と円筒部75の間の溝の中に収容されている。
【0037】
電磁石61~64に含まれるコイル81~84には、磁場用電源33が接続されている。
図3に示す例では、電磁石61~64のそれぞれのコイル81~84には、単一の電流源である磁場用電源33が接続されている。電磁石61~64のそれぞれは、コイル81~84のそれぞれと、磁場用電源33とを含む。複数の電磁石60を制御するとは、例えば、磁場用電源33を制御することを指す。電磁石61~64に含まれるコイル81~84に対する磁場用電源33からの電流の供給及び供給停止、電流の方向、並びに電流値は、制御部2によって制御される。すなわち、制御部2が電磁石60を制御するとは、制御部2が磁場用電源33からの電流の供給及び供給停止、電流の方向、並びに電流値を制御することを指す。なお、電磁石61~64のそれぞれのコイル81~84には、互いに異なる電流源が個別に接続されていてもよい。
【0038】
複数の電磁石60は、中心軸線Zに対して軸対称の磁場をプラズマ処理チャンバ10内に形成する。制御部2が複数の電磁石60のそれぞれに供給される電流を制御することにより、中心軸線Zに対して径方向において磁場の強度分布(又は磁束密度)を調整することが可能である。これにより、プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10内で生成されるプラズマの密度の径方向の分布を調整して、基板Wの膜の径方向における処理速度(例えばエッチレート)の分布を調整することができる。
【0039】
次に、
図4を参照して一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法について説明する。
図4は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。以下、プラズマ処理装置1が用いられる場合を例にとって、
図4に示すプラズマ処理方法(以下、「方法MT」という)について説明する。また、方法MTにおける制御部2によるプラズマ処理装置1の各部の制御について説明する。なお、方法MTは、プラズマ処理装置1以外のプラズマ処理装置を用いて行われてもよい。
【0040】
方法MTでは、基板Wがプラズマ処理チャンバ10内に搬入され、基板支持部11上に載置される。そして、排気システム40から排気が行われ、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整されつつ、ガス供給部20からシャワーヘッド13を介して処理ガスがプラズマ処理空間10s内に供給される。
【0041】
方法MTは、工程STaを含む。工程STaでは、プラズマ処理装置1のプラズマ処理チャンバ10内でプラズマを生成するために、第1の周波数を有する第1の高周波電力が第1のRF生成部31aから供給される。工程STaでは、第1の高周波電力の供給により、プラズマ処理空間10sの処理ガスがプラズマ化される。
【0042】
方法MTでは、次いで、工程STbが行われる。工程STbでは、工程STaの実行中にプラズマからプラズマ処理チャンバ10内の基板支持部11にイオンを引き込むために、第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する第2の高周波電力が第2の高周波電源311から供給される。工程STbでは、第2の高周波電力の供給により、基板支持部11に配置されている下部電極に向けてイオンが引き込まれる。
【0043】
方法MTでは、次いで、工程STh1が行われる。工程STh1では、後述の工程STh2におけるプラズマ処理チャンバ10内の磁場とは異なる磁場になるように磁場用電源33が制御される。工程STh1は、例えば、第2の高周波電力の供給が開始されたタイミングで実行される。
【0044】
方法MTでは、次いで、工程STcが行われる。工程STcでは、第1の高周波電力及び第2の高周波電力のそれぞれの電圧V1、V2に基づいて、第1の高周波電力及び第2の高周波電力のそれぞれのピーク-ピーク間電圧Vpp1、Vpp2が取得される。第1の高周波電力の電圧V1は、第1の高周波電圧検出器52によって測定される。第2の高周波電力の電圧V2は、第2の高周波電圧検出器54によって測定される。第1の高周波電力及び第2の高周波電力の各々の電圧は、少なくとも工程STbの実行後から継続して測定される。制御部2は、測定された第1の高周波電力及び第2の高周波電力のそれぞれの電圧V1、V2の波形からピーク-ピーク間電圧Vpp1、Vpp2を算出する。なお、第2の高周波電力の電圧V2は、後述の工程STd及び後述の工程STeの実行中において測定されなくてもよい。
【0045】
方法MTでは、次いで、工程STdが行われる。工程STdは、第2の高周波電力のピーク-ピーク間電圧Vpp2が第1の高周波電力のピーク-ピーク間電圧Vpp1より高い状態、又は、第2の高周波電力のピーク-ピーク間電圧Vpp2が200V以上である状態が継続した後に実行される。工程STdの「状態の継続」及び以下に示す「状態の継続」とは、例えば、当該状態が0.1秒以上継続していることをいう。第2の高周波電力のピーク-ピーク間電圧Vpp2が上述の条件を満たしている状態が継続していることで、プラズマ処理チャンバ10内でプラズマが安定して生成されている状態が継続している。すなわち、工程STb又は後述の工程STfにより生成され、安定したプラズマが基板Wを処理した状態で工程STdへ移行することができる。工程STdでは、工程STbにおける第2の高周波電源311による第2の高周波電力の供給の停止が行われつつ、基板支持部11にイオンを引き込むために、第3の周波数を有する第3の高周波電力が供給される。工程STdでは、第2の高周波電源311からの第2の高周波電力の供給が停止される代わりに、第3の高周波電源312からの第3の高周波電力の供給が行われることにより、基板支持部11に配置されている下部電極に向けてイオンが引き込まれる。
【0046】
方法MTでは、次いで、工程STh2が行われる。工程STh2では、工程STh1におけるプラズマ処理チャンバ10内の磁場とは異なる磁場になるように磁場用電源33が制御される。工程STh2は、例えば、第3の高周波電力の供給が開始されたタイミングで実行される。
【0047】
方法MTでは、次いで、工程STeが行われる。工程STeでは、第1の高周波電力及び第3の高周波電力の各々の電圧V1、V3に基づいて、第1の高周波電力及び第3の高周波電力の各々のピーク-ピーク間電圧Vpp1、Vpp3が取得される。第1の高周波電力の電圧V1は、第1の高周波電圧検出器52によって測定される。第3の高周波電力の電圧V3は、第3の高周波電圧検出器56によって測定される。制御部2は、測定された第1の高周波電力及び第2の高周波電力のそれぞれの電圧V1、V3の波形からピーク-ピーク間電圧Vpp1、Vpp3を算出する。なお、第3の高周波電力の電圧V3は、少なくとも工程STdの実行後から継続して測定されてもよい。第3の高周波電力の電圧V3は、工程STb、工程STc及び後述の工程STfの実行中において測定されなくてもよい。第1の高周波電力及び第2の高周波電力及び第3の高周波電力の各々の電圧V1、V2、V3は、少なくとも工程STbの実行後から、0秒より大きく10秒以下の測定間隔で間欠的に測定されてもよい。この場合の測定間隔は、例えば2秒である。
【0048】
方法MTでは、次いで、工程STfが行われる。工程STfは、第3の高周波電力のピーク-ピーク間電圧Vpp3が第1の高周波電力のピーク-ピーク間電圧Vpp1より高い状態、又は、第3の高周波電力のピーク-ピーク間電圧Vpp3が200V以上である状態が継続した後に実行される。第3の高周波電力のピーク-ピーク間電圧Vpp3が上述の基準を満たしている状態が継続していることで、プラズマ処理チャンバ10内でプラズマが安定して生成されている状態が継続している。工程STfでは、工程STdにおける第3の高周波電力の供給の停止が行われつつ、第2の高周波電力が供給される。工程STfでは、第3の高周波電源312からの第3の高周波電力の供給が停止される代わりに、第2の高周波電源311からの第2の高周波電力の供給が行われることにより、基板支持部11に配置されている下部電極に向けてイオンが引き込まれる。
【0049】
方法MTでは、次いで、工程STh1が行われる。工程STh1では、工程STh2におけるプラズマ処理チャンバ10内の磁場とは異なる磁場になるように磁場用電源33が制御される。工程STh1は、例えば、第2の高周波電力の供給が開始されたタイミングで実行される。
【0050】
方法MTでは、次いで、工程STjが行われる。工程STjでは、工程STc~工程STfを含むサイクルを所定回数実行したか否かが判定される。工程STjにおいて、サイクルが所定回数実行されていないと判定されると、再びサイクルが実行される。即ち、工程STgにおいて、工程STc、工程STd、工程STe、及び工程STfが繰り返される。一方、工程STjにおいて、サイクルが所定回数実行されているものと判定されると、方法MTは、終了する。
【0051】
方法MTでは、工程STb及び工程STfの各々におけるプラズマ処理チャンバ10内の磁場と工程STdにおけるプラズマ処理チャンバ10内の磁場とが、互いに異なるように工程STh1及び工程STh2において磁場用電源33が制御される。工程STb及び工程STfの各々における複数の電磁石60のそれぞれのコイル81~84に流れる電流値と、工程STdにおける複数の電磁石60のそれぞれのコイル81~84に流れる電流値とは、互いに異なる。このとき、磁場用電源33は、工程STb及び工程STfに対応する工程STh1と工程STdに対応する工程STh2とで互いに異なる電流値の電力を複数の電磁石60に対して供給する。なお、電流値が0の場合、磁場用電源33は、電力を複数の電磁石60に対して供給しない。
【0052】
工程STb及び工程STfの各々における複数の電磁石60のそれぞれのコイル81~84に流れる電流値と、工程STdにおける複数の電磁石60のそれぞれのコイル81~84に流れる電流値との双方は、例えば、0以外の値を有する。これにより、工程STb及び工程STfと、工程STdとで互いに異なる磁場が形成される。このように、工程STb及び工程STfと工程STdとで磁場が異なることで、工程毎に異なるプラズマの密分布度が形成される。プラズマ処理空間10s内の磁場によって、基板Wの位置に応じて基板Wのエッチレートを変更させることができる。
【0053】
なお、工程STb及び工程STfの各々における複数の電磁石60のそれぞれのコイル81~84に流れる電流値と、工程STdにおける複数の電磁石60のそれぞれのコイル81~84に流れる電流値との何れか一方は、0であってもよい。これにより、工程STb及び工程STfと、工程STdとのうち、コイル81~84に流れる電流値が0である工程において、複数の電磁石60による磁場が形成されない。このとき、電流値を0とする場合、磁場用電源33は、複数の電磁石60に対する電力の供給を停止する。
【0054】
図5(a)は、第2の周波数を有する第2の高周波電力が供給されたときの基板の位置と基板の基板のエッチレートとの関係の一例を示すグラフである。
図5(a)に示す例では、第2の周波数は40MHzであり、第2の高周波電力は400Wで供給されている。
図5(b)は、第3の周波数を有する第3の高周波電力が供給されたときの基板の位置と基板のエッチレートとの関係の一例を示すグラフである。
図5(b)に示す例では、第3の周波数は400kHzであり、第3の高周波電力は100Wで供給されている。
図5(a)及び
図5(b)におけるそれぞれのエッチレートは、第1の周波数を有する第1の高周波電力は供給されていない状態において発生したプラズマによる基板のエッチレートである。
図5(a)及び
図5(b)に示すグラフの横軸は、基板Wの中心からの距離(mm)であり、グラフの縦軸は、エッチレート(nm/min)である。
【0055】
図5(a)は、第1の状態におけるエッチレートの分布の例と、第2の状態におけるエッチレートの分布の例と、第3の状態におけるエッチレートの分布の例とを示している。第1の状態は、複数の電磁石60によって磁場が形成されていない状態である。第2の状態は、電磁石64のコイル84のみに電力が供給されて磁場が形成されている状態である。第3の状態は、電磁石63、64のそれぞれのコイル83、84に電力が供給されて磁場が形成されている状態である。
図5(a)に示すように、第2の高周波電力が供給されているとき、基板Wの周縁部(エッジ)のエッチレートは、第1の状態、第2の状態及び第3の状態における何れの磁場が形成されていても変動しない。また、第2の高周波電力が供給されているとき、周縁部よりも内側(中心軸線Z側)では、磁場の変化により、周縁部からの径方向に沿った距離の増加に応じてエッチレートを大きく変化させることができる。
【0056】
図5(b)は、第4の状態におけるエッチレートの分布の例と、第5の状態におけるエッチレートの分布の例と、第6の状態におけるエッチレートの分布の例とを示している。第4の状態は、複数の電磁石60によって磁場が形成されていない状態である。第5の状態は、電磁石64のコイル84のみに電力が供給されて磁場が形成されている状態である。第6の状態は、電磁石63、64のそれぞれのコイル83、84に電力が供給されて磁場が形成されている状態である。
図5(b)に示すように、第3の高周波電力が供給されているとき、基板Wの中心と基板Wの周縁部との間における基板Wの中間の位置のエッチレートは、第4の状態、第5の状態及び第6の状態における何れの磁場を用いても変化しない。また、第3の高周波電力が供給されているとき、当該中間の位置よりも外側(周縁部側)と内側では、磁場の変化により、当該中間の位置からの径方向に沿った距離の増加に応じてエッチレートを大きく変化させることができる。
【0057】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、方法MTによれば、工程STb及び工程STfと工程STdとにおいて高周波電力の周波数が異なり、複数の電磁石60に供給される電力の電流値が異なることから、様々なエッチレートの分布を得ることができる。例えば、方法MTによれば、複数の電磁石60に供給される電力の電流値を、各工程の2種類の高周波電力に合わせて適切に設定することにより、上述の中間の位置よりも内側では、基板Wの均一なエッチレートを得ることができる。また、例えば、複数の電磁石60に供給される電力の電流値を、各工程の2種類の高周波電力に合わせて適切に設定することにより、基板Wの周縁部では、上述の中間の位置よりも内側の基板Wの部分に比べて、高いエッチレートを得ることができる。このように、方法MTによれば、異なる密度分布を有する安定したプラズマを交互に生成可能である。
【0058】
また、方法MTによれば、工程STdにおいて、第2の高周波電力のピーク-ピーク間電圧Vpp2が基準を満たした後に第2の高周波電力から第3の高周波電力に切り替えられる。このため、方法MTによれば、工程STdの実行前において、工程STb及び工程STfにおいて生成されたプラズマが安定した状態で基板Wを処理できる。工程STfにおいて、第3の高周波電力のピーク-ピーク間電圧Vpp3が基準を満たした後に第3の高周波電力から第2の高周波電力に切り替えられる。このため、方法MTによれば、工程STfの実行前において、工程STdにおいて生成されたプラズマが安定した状態で基板Wを処理できる。
【0059】
さらに、方法MTによれば、工程STb及びSTfの各々において磁場の変化により基板Wのエッチレートを変化させることができる位置と、工程STdで磁場の変化により基板Wのエッチレートを変化させることができる位置が異なる。したがって、工程STb及びSTfのそれぞれにおける磁場と工程STdにおける磁場の設定により、様々なエッチレートの分布を得ることができる。また、制御部2は、高周波電力の供給及び磁場の形成状態を制御することができるため、一つのプラズマ処理装置1によって、基板Wは、多様な形状に加工され得る。
【0060】
なお、上記実施形態の方法MTでは、工程STc及び工程STeにおいて、第1の高周波電力、第2の高周波電力及び第3の高周波電力のそれぞれの電圧V1、V2、V3は、少なくとも工程STbの実行後から継続して測定される。工程STb~STgの各々において、供給される高周波電力によってプラズマが適切に形成されているかを監視でき、基板Wを適切に加工することができる。工程STd及び工程STfにおける高周波電力の切り替えによってプラズマの挙動が変化する場合が生じたときであっても、プラズマの形成状態を監視することができる。
【0061】
なお、方法MTの工程STc及び工程STeの少なくとも一方において、第1の高周波電圧検出器52によって測定された第1の高周波電力の電圧V1に基づいて、第1の高周波電力のピーク-ピーク間電圧Vpp1を取得しなくてもよい。すなわち、工程STcにおいては、第2の高周波電圧検出器54によって測定された第2の高周波電力の電圧V2に基づいて第2の高周波電力のピーク-ピーク間電圧Vpp2が取得される。このとき、工程STdは、第2の高周波電力のピーク-ピーク間電圧Vpp2が200V以上である状態が継続した後に実行される。また、工程STeにおいては、第3の高周波電圧検出器56によって測定された第3の高周波電力の電圧V3に基づいて第3の高周波電力のピーク-ピーク間電圧Vpp3が取得される。このとき、工程STfは、第3の高周波電力のピーク-ピーク間電圧Vpp3が200V以上である状態が継続した後に実行される。これらの場合、第1の高周波電圧検出器52が設けられていない場合、又は、第1の高周波電圧検出器52によって第1の高周波電力の電圧V1が測定されていない場合であっても、方法MTを実行することができる。
【0062】
なお、方法MTにおいて、工程STc及び工程STeが実行されなくてもよい。すなわち、工程STd及び工程STfにおいて、高周波電力の供給の開始及び停止のタイミング、並びに、磁場の形成状態の変更は、第1の高周波電力、第2の高周波電力及び第3の高周波電力のそれぞれの電圧V1、V2、V3の測定結果に基づかなくてもよい。工程STd及び工程STfにおいて、高周波電力の供給の開始及び停止のタイミング、並びに、磁場の形成状態の変更は、一定の時間間隔で実行されてもよい。当該時間間隔は、例えば、0秒より大きく10秒以下である。
【0063】
以下、
図6を参照して、別のプラズマ処理装置について説明する。
図6は、他の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を説明するための図である。
【0064】
図6に示すプラズマ処理装置1Aは、第3の高周波電源312、フィルタ55及び第3の高周波電圧検出器56に代えて、直流電源323及び電圧検出器57を備えている点においてプラズマ処理装置1と異なっている。第1のDC生成部32aは、直流電源323を含む。直流電源323は、下部電極に電気的に結合されている。直流電源323は、プラズマから基板支持部11にイオンを引き込むために第4の繰り返し周波数をもって周期的に電圧パルスを基板支持部11に印加するように構成されている。電圧パルスの第4の繰り返し周波数は、第1の周波数よりも低く、かつ、第2の周波数とは異なる。
【0065】
プラズマ処理装置1Aは、直流電源323の電圧パルスの電圧を測定するように構成された電圧検出器57を備える。電圧検出器57には、測定された電圧を解析可能な制御部2が接続されている。
【0066】
次に、
図7を参照して他の例示的実施形態に係るプラズマ処理方法について説明する。
図7は、他の例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。以下、プラズマ処理装置1Aが用いられる場合を例にとって、
図7に示すプラズマ処理方法(以下、「方法MTA」という)について説明する。また、方法MTAにおける制御部2によるプラズマ処理装置1の各部の制御について説明する。なお、
図7に示す方法MTAに含まれる工程において、
図4に示す方法MTに含まれる工程と同一の工程には同一の符号を振っている。方法MTAにおいて、方法MTと同一の工程の説明は、適宜省略する。方法MTAは、プラズマ処理装置1A以外のプラズマ処理装置を用いて行われてもよい。
【0067】
方法MTAの工程STcの後に実行される工程STdAにおいて、工程STbにおける第2の高周波電源311による第2の高周波電力の供給の停止が行われつつ、基板支持部11にイオンを引き込むために、電圧パルスが印加される。工程STdAでは、第2の高周波電源311からの第2の高周波電力の供給が停止される代わりに、直流電源323からの電圧パルスの供給が行われることにより、基板支持部11に配置されている下部電極に向けてイオンが引き込まれる。
【0068】
方法MTAの工程STh2の後に実行される工程STeAでは、第1の高周波電力の電圧V1に基づいて、第1の高周波電力のピーク-ピーク間電圧Vpp1が取得される。また、電圧パルスの電圧V4が取得される。電圧パルスの電圧V4は、電圧検出器57によって測定される。電圧パルスの電圧V4は、少なくとも工程STdAの実行後から継続して測定される。電圧パルスの電圧V4は、工程STb、工程STc及び後述の工程STfAの実行中において測定されなくてもよい。電圧パルスの電圧V4は、少なくとも工程STbの実行後から、0秒より大きく10秒以下の測定間隔で間欠的に測定されてもよい。この場合の測定間隔は、例えば2秒である。
【0069】
方法MTAでは、工程STeAの後に、工程STfAが行われる。工程STfAは、電圧パルスの電圧V4が第1の高周波電力のピーク-ピーク間電圧Vpp1より高い状態、又は、電圧パルスの電圧V4が100V以上である状態が継続した後に実行される。電圧パルスの電圧V4が上述の基準を満たしている状態が継続していることで、プラズマ処理チャンバ10内でプラズマが安定して生成されている状態が継続している。工程STfでは、工程STdにおける電圧パルスの供給の停止が行われつつ、第2の高周波電力が供給される。工程STfでは、直流電源323からの電圧パルスの供給が停止される代わりに、第2の高周波電源311からの第2の高周波電力の供給が行われることにより、基板支持部11に配置されている下部電極に向けてイオンが引き込まれる。
【0070】
なお、プラズマ処理装置1において、複数の電磁石60の構成は、上述の形態に限定されない。以下、
図8及び
図9を参照して、方法MTの実施に用いることができる別のプラズマ処理装置について説明する。
図8は、他の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を説明するための図である。
図9は、
図8に示す電磁石の一例を示す平面図である。
【0071】
図8及び
図9に示すプラズマ処理装置1Bは、複数の電磁石60に代えて複数の電磁石60Aを備えている点においてプラズマ処理装置1と異なっている。複数の電磁石60Aの各々は、コア60a及びコイル60bを有している。コア60aは、円柱状のコアであり、鉛直方向に延びている。コイル60bは、コア60aの周りに設けられている。即ち、コイル60bは、鉛直方向に延びる軸線の周りに設けられている。
【0072】
複数の電磁石60Aは、中心軸線Z周りの複数の同心円に沿って、且つ、中心軸線Zに対して放射方向(径方向)に配列されている。
図8及び
図9に示す例では、複数の電磁石60は、第1の群61A、第2の群62A、第3の群63A、第4の群64A、第5の群65Aに分けられており、各群は幾つかの電磁石60Aを含んでいる。第1の群61Aは、中心軸線Z上及びその近傍に設けられた一以上の電磁石60Aを含むことができる。
図8及び
図9に示す例では、第1の群61Aは、中心軸線Z上に設けられた一つの電磁石60Aを含んでいる。
【0073】
また、第2の群62A、第3の群63A、第4の群64A、第5の群65Aの各々は、24個の電磁石60Aを含んでいる。第2の群62Aに含まれる複数の電磁石60Aは、半径L2の円C2上に配列されている。第3の群63Aに含まれる複数の電磁石60Aは、半径L3の円C3上に配列されている。第4の群64Aに含まれる複数の電磁石60Aは、半径L4の円C4上に配列されている。第5の群65Aに含まれる複数の電磁石60Aは、半径L5の円C5上に配列されている。半径L2、半径L3、半径L4、及び半径L5は、L2<L3<L4<L5の関係を有する。例えば、半径L2、半径L3、半径L4、半径L5はそれぞれ、76mm、127mm、178mm、229mmである。
【0074】
複数の電磁石60Aのコイル60bには、磁場用電源33からの電流が供給される。プラズマ処理装置1Bでは、同一の群に属する複数の電磁石60Aのコイル60bには同一方向且つ同一値の電流が供給される。複数の電磁石60Aの各々のコイル60bに対する電流の供給及び供給停止、電流の方向、並びに、電流値は、制御部2からの制御信号によって制御され得る。なお、磁場用電源33から複数の電磁石60Aの各々のコイル60bに供給される電流は、限定されるものではないが、例えば、直流電流である。
【0075】
このプラズマ処理装置1Bでは、複数の電磁石60Aによって、中心軸線Zに対して軸対称の合成磁界がプラズマ処理空間10s内において形成される。また、各群の電磁石60Aに供給される電流を制御することにより、径方向において磁界の強度分布(又は磁束密度)を調整することが可能である。これにより、プラズマ処理装置1Bは、プラズマ処理チャンバ10内に生成されるプラズマの密度の径方向の分布を調整して、基板Wの膜の径方向におけるエッチレートの分布を調整することができる。したがって、このプラズマ処理装置1Bも、方法MTの実施に用いることが可能である。
【0076】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0077】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[E1]~[E14]に記載する。
【0078】
[E1]
プラズマ処理空間を提供するチャンバと、
前記チャンバ内に設けられた基板支持部と、
前記チャンバ内に磁場を形成するように構成された少なくとも二つの電磁石であって、前記プラズマ処理空間は該少なくとも二つの電磁石の各々と前記基板支持部との間に介在する、該少なくとも二つの電磁石と、
前記ガスからプラズマを生成するために第1の周波数を有する第1の高周波電力を供給するように構成された第1の高周波電源と、
プラズマから前記基板支持部にイオンを引き込むために、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する第2の高周波電力を前記基板支持部に供給するように構成された第2の高周波電源と、
プラズマから前記基板支持部にイオンを引き込むために、第3の周波数を有する第3の高周波電力を前記基板支持部に供給するように構成された第3の高周波電源であって、前記第3の周波数は、前記第1の周波数よりも低く、かつ、第2の周波数とは異なる、該第3の高周波電源と、
前記第1の高周波電力、前記第2の高周波電力及び前記第3の高周波電力の各々の電圧を測定するように構成された高周波検出器と、
前記第1の高周波電源、前記第2の高周波電源及び前記第3の高周波電源を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(a) 前記チャンバ内でプラズマを生成するために前記第1の高周波電源に前記第1の高周波電力を供給させ、
(b) 前記(a)の実行中に前記第2の高周波電源に前記第2の高周波電力を供給させ、
(c) 前記高周波検出器によって測定された前記第1の高周波電力及び前記第2の高周波電力の各々の電圧に基づいて前記第1の高周波電力及び前記第2の高周波電力の各々のピーク-ピーク間電圧を取得し、
(d) 前記第2の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が前記第1の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧より高い状態、又は、前記第2の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が200V以上である状態が継続した後に、前記(b)における前記第2の高周波電源による前記第2の高周波電力の供給を停止しつつ、前記第3の高周波電源に前記第3の高周波電力を供給させ、
(e) 前記高周波検出器によって測定された前記第1の高周波電力及び前記第3の高周波電力の各々の電圧に基づいて前記第1の高周波電力及び前記第3の高周波電力の各々のピーク-ピーク間電圧を取得し、
(f) 前記第3の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が前記第1の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧より高い状態、又は、前記第3の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が200V以上である状態が継続した後に、前記(d)における前記第3の高周波電源による前記第3の高周波電力の供給を停止しつつ、前記第2の高周波電源に前記第2の高周波電力を供給させ、
(g) 前記(c)、前記(d)、前記(e)、及び前記(f)を繰り返し、
(h) 前記(b)及び前記(f)の各々における前記チャンバ内の磁場と前記(d)における前記チャンバ内の磁場が互いに異なるように前記少なくとも二つの電磁石を制御する、
プラズマ処理装置。
【0079】
[E2]
プラズマ処理空間を提供するチャンバと、
前記チャンバ内に設けられた基板支持部と、
前記チャンバ内に磁場を形成するように構成された少なくとも二つの電磁石であって、前記プラズマ処理空間は該少なくとも二つの電磁石の各々と前記基板支持部との間に介在する、該少なくとも二つの電磁石と、
前記ガスからプラズマを生成するために第1の周波数を有する第1の高周波電力を供給するように構成された第1の高周波電源と、
プラズマから前記基板支持部にイオンを引き込むために、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する第2の高周波電力を前記基板支持部に供給するように構成された第2の高周波電源と、
プラズマから前記基板支持部にイオンを引き込むために、第3の周波数を有する第3の高周波電力を前記基板支持部に供給するように構成された第3の高周波電源であって、前記第3の周波数は、前記第1の周波数よりも低く、かつ、第2の周波数とは異なる、該第3の高周波電源と、
前記第2の高周波電力及び前記第3の高周波電力の各々の電圧を測定するように構成された高周波検出器と、
前記第1の高周波電源、前記第2の高周波電源及び前記第3の高周波電源を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(a) 前記チャンバ内でプラズマを生成するために前記第1の高周波電源に前記第1の高周波電力を供給させ、
(b) 前記(a)の実行中に前記第2の高周波電源に前記第2の高周波電力を供給させ、
(c) 前記高周波検出器によって測定された前記第2の高周波電力の電圧に基づいて前記第2の高周波電力のピーク-ピーク間電圧を取得し、
(d) 前記第2の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が200V以上である状態が継続した後に、前記(b)における前記第2の高周波電源による前記第2の高周波電力の供給を停止しつつ、前記第3の高周波電源に前記第3の高周波電力を供給させ、
(e) 前記高周波検出器によって測定された前記第3の高周波電力の電圧に基づいて前記第3の高周波電力のピーク-ピーク間電圧を取得し、
(f) 前記第3の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が200V以上である状態が継続した後に、前記(d)における前記第3の高周波電源による前記第3の高周波電力の供給を停止しつつ、前記第2の高周波電源に前記第2の高周波電力を供給させ、
(g) 前記(c)、前記(d)、前記(e)、及び前記(f)を繰り返し、
(h) 前記(b)及び前記(f)の各々における前記チャンバ内の磁場と前記(d)における前記チャンバ内の磁場が互いに異なるように前記少なくとも二つの電磁石を制御する、
プラズマ処理装置。
【0080】
[E3]
前記高周波検出器は、前記第1の高周波電力、前記第2の高周波電力及び前記第3の高周波電力の各々の電圧を少なくとも前記(b)の実行後から継続して測定する、[E1]に記載のプラズマ処理装置。
【0081】
[E4]
前記高周波検出器は、前記第2の高周波電力及び前記第3の高周波電力の各々の電圧を少なくとも前記(b)の実行後から継続して測定する、[E2]に記載のプラズマ処理装置。
【0082】
[E5]
前記高周波検出器は、前記第1の高周波電力、前記第2の高周波電力及び前記第3の高周波電力の各々の電圧を少なくとも前記(b)の実行後から、0秒より大きく10秒以下の測定間隔で間欠的に測定する、[E1]に記載のプラズマ処理装置。
【0083】
[E6]
前記高周波検出器は、前記第1の高周波電力、前記第2の高周波電力及び前記第3の高周波電力の各々の電圧を少なくとも前記(b)の実行後から、0秒より大きく10秒以下の測定間隔で間欠的に測定する、[E2]に記載のプラズマ処理装置。
【0084】
[E7]
前記高周波検出器は、高周波電圧検出器である、[E1]~[E6]の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0085】
[E8]
前記第1の周波数は、40MHz以上150MHz以下である、[E1]~[E7]の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0086】
[E9]
前記第2の周波数は、1MHz以上50MHz以下である、[E1]~[E8]の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0087】
[E10]
前記第3の周波数は、10kHz以上1MHz以下である、[E1]~[E9]の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0088】
[E11]
プラズマ処理空間を提供するチャンバと、
前記チャンバ内に設けられた基板支持部と、
前記チャンバ内に磁場を形成するように構成された少なくとも二つの電磁石であって、前記プラズマ処理空間は該少なくとも二つの電磁石の各々と前記基板支持部との間に介在する、該少なくとも二つの電磁石と、
ガスからプラズマを生成するために第1の周波数を有する第1の高周波電力を供給するように構成された第1の高周波電源と、
プラズマから前記基板支持部にイオンを引き込むために、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する第2の高周波電力を前記基板支持部に供給するように構成された第2の高周波電源と、
プラズマから前記基板支持部にイオンを引き込むために、第4の繰り返し周波数をもって周期的に電圧パルスを前記基板支持部に印加するように構成された直流電源であって、前記第4の繰り返し周波数は、前記第1の周波数よりも低く、かつ、第2の周波数とは異なる、該直流電源と、
前記第1の高周波電力及び前記第2の高周波電力の各々の電圧を測定するように構成された高周波検出器と、
前記電圧パルスの電圧を測定するように構成された電圧検出器と、
前記第1の高周波電源、前記第2の高周波電源及び前記直流電源を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(a) 前記チャンバ内でプラズマを生成するために前記第1の高周波電源に前記第1の高周波電力を供給させ、
(b) 前記(a)の実行中に前記第2の高周波電源に前記第2の高周波電力を供給させ、
(c) 前記高周波検出器によって測定された前記第1の高周波電力及び前記第2の高周波電力の各々の電圧に基づいて前記第1の高周波電力及び前記第2の高周波電力の各々のピーク-ピーク間電圧を取得し、
(d) 前記第2の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が前記第1の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧より高い状態、又は、前記第2の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が200V以上である状態が継続した後に、前記(b)における前記第2の高周波電源による前記第2の高周波電力の供給を停止しつつ、前記直流電源に前記電圧パルスを印加させ、
(e) 前記高周波検出器によって測定された前記第1の高周波電力の電圧に基づいて前記第1の高周波電力のピーク-ピーク間電圧を取得し、かつ前記電圧検出器により前記電圧パルスの電圧を測定し、
(f) 前記電圧パルスの電圧が前記第1の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧より高い状態、又は、前記電圧パルスの電圧が100V以上である状態が継続した後に、前記(d)における前記直流電源による前記電圧パルスの印加を停止しつつ、前記第2の高周波電源に前記第2の高周波電力を供給させ、
(g) 前記(c)、前記(d)、前記(e)、及び前記(f)を繰り返し、
(h) 前記(b)及び前記(f)の各々における前記チャンバ内の磁場と前記(d)における前記チャンバ内の磁場が互いに異なるように前記少なくとも二つの電磁石を制御する、
プラズマ処理装置。
【0089】
[E12]
(a) プラズマ処理装置のチャンバが提供するプラズマ処理空間内でプラズマを生成するために、第1の周波数を有する第1の高周波電力を供給する工程と、
(b) 前記(a)の実行中に前記プラズマから前記チャンバ内の基板支持部にイオンを引き込むために、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する第2の高周波電力を供給する工程と、
(c) 高周波検出器によって測定された前記第1の高周波電力及び前記第2の高周波電力の各々の電圧に基づいて、前記第1の高周波電力及び前記第2の高周波電力の各々のピーク-ピーク間電圧を取得する工程と、
(d) 前記第2の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が前記第1の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧より高い状態、又は、前記第2の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が200V以上である状態が継続した後に、前記(b)における前記第2の高周波電力の供給を停止しつつ、前記基板支持部にイオンを引き込むために、第3の周波数を有する第3の高周波電力を供給する工程であり、前記第3の周波数は、前記第1の周波数よりも低く、かつ、第2の周波数とは異なる、該工程と、
(e) 前記高周波検出器によって測定された前記第1の高周波電力及び前記第3の高周波電力の各々の電圧に基づいて、前記第1の高周波電力及び前記第3の高周波電力の各々のピーク-ピーク間電圧を取得する工程と、
(f) 前記第3の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が前記第1の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧より高い状態、又は、前記第3の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が200V以上である状態が継続した後に、前記(d)における前記第3の高周波電力の供給を停止しつつ、前記第2の高周波電力を供給する工程と、
(g) 前記(c)、前記(d)、前記(e)、及び前記(f)を繰り返す工程と、
を含み、
前記プラズマ処理装置は、少なくとも二つの電磁石及び電源を備え、前記プラズマ処理空間は、前記少なくとも二つの電磁石の各々と前記基板支持部との間に介在しており、
前記電源は、少なくとも二つの電磁石に電気的に接続されており、
前記(b)及び前記(f)の各々における前記チャンバ内の磁場と前記(d)における前記チャンバ内の磁場とが互いに異なるように前記電源を制御する、プラズマ処理方法。
【0090】
[E13]
(a) プラズマ処理装置のチャンバが提供するプラズマ処理空間内でプラズマを生成するために、第1の周波数を有する第1の高周波電力を供給する工程と、
(b) 前記(a)の実行中に前記プラズマから前記チャンバ内の基板支持部にイオンを引き込むために、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する第2の高周波電力を供給する工程と、
(c) 高周波検出器によって測定された前記第2の高周波電力の各々の電圧に基づいて、前記第2の高周波電力のピーク-ピーク間電圧を取得する工程と、
(d) 前記第2の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が200V以上である状態が継続した後に、前記(b)における前記第2の高周波電力の供給を停止しつつ、前記基板支持部にイオンを引き込むために、第3の周波数を有する第3の高周波電力を供給する工程であり、前記第3の周波数は、前記第1の周波数よりも低く、かつ、第2の周波数とは異なる、該工程と、
(e) 前記高周波検出器によって測定された前記第3の高周波電力の各々の電圧に基づいて、前記第3の高周波電力のピーク-ピーク間電圧を取得する工程と、
(f) 前記第3の高周波電力の前記ピーク-ピーク間電圧が200V以上である状態が継続した後に、前記(d)における前記第3の高周波電力の供給を停止しつつ、前記第2の高周波電力を供給する工程と、
(g) 前記(c)、前記(d)、前記(e)、及び前記(f)を繰り返す工程と、
を含み、
前記プラズマ処理装置は、少なくとも二つの電磁石及び電源を備え、前記プラズマ処理空間は、前記少なくとも二つの電磁石の各々と前記基板支持部との間に介在しており、
前記電源は、少なくとも二つの電磁石に電気的に接続されており、
前記(b)及び前記(f)の各々における前記チャンバ内の磁場と前記(d)における前記チャンバ内の磁場とが互いに異なるように前記電源を制御する、プラズマ処理方法。
【0091】
[E14]
プラズマ処理空間を提供するチャンバと、
前記チャンバ内に設けられた基板支持部と、
前記チャンバ内に磁場を形成するように構成された少なくとも二つの電磁石であって、前記プラズマ処理空間は該少なくとも二つの電磁石の各々と前記基板支持部との間に介在する、該少なくとも二つの電磁石と、
前記ガスからプラズマを生成するために第1の周波数を有する第1の高周波電力を供給するように構成された第1の高周波電源と、
プラズマから前記基板支持部にイオンを引き込むために、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する第2の高周波電力を前記基板支持部に供給するように構成された第2の高周波電源と、
プラズマから前記基板支持部にイオンを引き込むために、第3の周波数を有する第3の高周波電力を前記基板支持部に供給するように構成された第3の高周波電源であって、前記第3の周波数は、前記第1の周波数よりも低く、かつ、第2の周波数とは異なる、該第3の高周波電源と、
前記第1の高周波電源、前記第2の高周波電源及び前記第3の高周波電源を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(a) 前記チャンバ内でプラズマを生成するために前記第1の高周波電源に前記第1の高周波電力を供給させ、
(b) 前記(a)の実行中に前記第2の高周波電源に前記第2の高周波電力を供給させ、
(c) 前記(b)における前記第2の高周波電源による前記第2の高周波電力の供給を停止しつつ、前記第3の高周波電源に前記第3の高周波電力を供給させ、
(d) 前記(c)における前記第3の高周波電源による前記第3の高周波電力の供給を停止しつつ、前記第2の高周波電源に前記第2の高周波電力を供給させ、
(e) 前記(c)及び前記(d)を繰り返し、
(f) 前記(b)及び前記(d)の各々における前記チャンバ内の磁場と前記(c)における前記チャンバ内の磁場が互いに異なるように前記少なくとも二つの電磁石を制御する、
プラズマ処理装置。
【0092】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0093】
1,1A,1B…プラズマ処理装置、2…制御部、10…プラズマ処理チャンバ、10s…プラズマ処理空間、11…基板支持部、13…シャワーヘッド、20…ガス供給部、21…ガスソース、30…電源、31…RF電源、31a…第1のRF生成部(第1の高周波電源の一例)、31b…第2のRF生成部、311…第2の高周波電源、312…第3の高周波電源、323…直流電源、33…磁場用電源(電源の一例)、40…排気システム、50…高周波検出器、51,53,55…フィルタ、52…第1の高周波電圧検出器、54…第2の高周波電圧検出器、56…第3の高周波電圧検出器、57…電圧検出器、60,60A,61,62,63,64…電磁石、61A…第1の群、62A…第2の群、63A…第3の群、64A…第4の群、65A…第5の群、1110…基台、1111…静電チャック、1111a…セラミック部材、1111b…静電電極、MT…方法、V1,V2,V3…電圧、Vpp1,Vpp2,Vpp3…ピーク-ピーク間電圧、W…基板。