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特開2024-118107金属酸化物マスクとその剥離液及びシリコン窒化膜のパターニング方法
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  • 特開-金属酸化物マスクとその剥離液及びシリコン窒化膜のパターニング方法 図1
  • 特開-金属酸化物マスクとその剥離液及びシリコン窒化膜のパターニング方法 図2
  • 特開-金属酸化物マスクとその剥離液及びシリコン窒化膜のパターニング方法 図3
  • 特開-金属酸化物マスクとその剥離液及びシリコン窒化膜のパターニング方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118107
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】金属酸化物マスクとその剥離液及びシリコン窒化膜のパターニング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240823BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240823BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/304 647A
G02B6/12 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024351
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 純一
(72)【発明者】
【氏名】青島 賢一
(72)【発明者】
【氏名】宮本 裕司
(72)【発明者】
【氏名】三浦 雅人
(72)【発明者】
【氏名】平野 芳邦
(72)【発明者】
【氏名】難波 正和
【テーマコード(参考)】
2H147
5F004
5F157
【Fターム(参考)】
2H147EA02A
2H147EA13C
2H147EA14B
2H147FA05
2H147FA27
2H147FC05
2H147FD09
2H147FD13
2H147FE07
5F004DA01
5F004DA02
5F004DA16
5F004DA17
5F004DA23
5F004DA26
5F004DB07
5F004EA03
5F157AA47
5F157AA91
5F157AA93
5F157BC54
5F157BE12
5F157BF39
5F157BF59
5F157BF72
5F157DB03
(57)【要約】
【課題】シリコン窒化膜をパターンニングする場合、選択比を大きくとれる金属酸化物マスク、制約条件の少ないで実施できる剥離液及びシリコン窒化膜のパターニング方法を提供する。
【解決手段】シリコン窒化膜をエッチングするためのマスクの材料がアルミナである金属酸化物マスク。アルミナマスクを用いてシリコン窒化膜をパターンニングするためのエッチングガスがフッ素を含むエッチングガスであり、パターン化されたシリコン窒化膜上に残存するアルミナマスクの除去のための剥離液が水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液又は水である、剥離液。シリコン酸化膜上のシリコン窒化膜上にアルミナマスクを作成し、アルミナマスクで覆われたシリコン窒化膜を、フッ素を含むエッチングガスでエッチングし、アルミナマスクを水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液又は水で除去する、シリコン窒化膜のパターニング方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン窒化膜をエッチングするためのマスクの材料がアルミナである、金属酸化物マスク。
【請求項2】
前記シリコン窒化膜をエッチングするためのガスが、フッ素を含むエッチングガスである、請求項1に記載の金属酸化物マスク。
【請求項3】
光導波路のコアとなるシリコン窒化膜のパターンニングに用いられる、請求項1又は2に記載の金属酸化物マスク。
【請求項4】
アルミナマスクを用いてシリコン窒化膜をパターンニングするためのエッチングガスが、フッ素を含むエッチングガスであり、パターン化されたシリコン窒化膜上に残存する前記アルミナマスクの除去のための剥離液が、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液又は水である、金属酸化物マスクの剥離液。
【請求項5】
光導波路のコアとなるシリコン窒化膜のパターンニングに用いられるアルミナマスクの除去に用いられる、請求項4に記載の金属酸化物マスクの剥離液。
【請求項6】
シリコン酸化膜上にシリコン窒化膜を作成し、該シリコン窒化膜上にアルミナマスクを作成し、
前記アルミナマスクで覆われた前記シリコン窒化膜以外の前記シリコン窒化膜を、フッ素を含むエッチングガスでエッチングし、
パターン化された前記シリコン窒化膜上の前記アルミナマスクを、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液又は水で除去する、
シリコン窒化膜のパターニング方法。
【請求項7】
光導波路のコアとなるシリコン窒化膜のパターンニングに用いられる、請求項6に記載のシリコン窒化膜のパターニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物マスクとその剥離液及びシリコン窒化膜のパターニング方法に関し、特に、シリコン窒化膜をパターニングするための金属酸化物マスク、金属酸化物マスクを剥離するための剥離液、及びシリコン窒化膜のパターニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コアとしてシリコン窒化物を用い、クラッドとしてシリコン酸化物を用いた光導波路が知られており、このような光導波路は、例えば、非特許文献1に記載されている。光導波路の作製において、デバイス化には光導波路の高密度配置が求められる。
シリコン窒化物の厚膜をエッチングで微細加工する場合にレジストマスクを用いると、レジストマスクを厚くする必要がある。厚いレジストマスクを作製するには、電子線(EB)露光よりもステッパ露光の方が早いが、高解像度で高コストなKrF(248nm)又はArF(139nm)のステッパ露光が必要となる。また、選択比を上げるために、レジストを高温又はHBrプラズマで硬化させるため、手間がかかり、レジストの剥離も容易ではない。
光導波路のコアの幅又は高さを波長オーダーで微細加工するには電子線描画が適している。よって、シリコン窒化物の厚膜をエッチングするためのマスク材料として、EB露光で薄いレジストで描画し、選択比を高くできる金属又は金属酸化物が望ましい。
チタン及びニオブ酸リチウムをエッチングするための金属マスクとして、クロム(Cr)を用いた例が、非特許文献2に記載されている。
シリコンをエッチングするための金属酸化物マスクとして、アルミナを用いた例が、非特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】”Methods to achieve ultra-high quality factor silicon nitride resonators”, APL Photonics 6, 071101 (2021); https://doi.org/10.1063/5.0057881
【非特許文献2】”Grating Coupler for an On-Chip Lithium Niobate Ridge Waveguide”, Volume 9, Number 1, February 2017, IEEE Photonics Journal
【非特許文献3】”Subwavelength-thick lenses with high numerical apertures and large efficiency based on high-contrast transmitarrays”, NATURE COMMUNICATIONS | 6:7069 | DOI: 10.1038/ncomms8069 |www.nature.com/naturecommunications
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シリコン窒化膜をパターンニングする場合、選択比(マスクとのエッチングレートに対するシリコン窒化膜のエッチングレート)が大きく、除去しやすくなるように、マスク材料を選択することが望ましい。また、マスクを剥離する場合、温度等の制約条件の少ない工程で実施できる剥離液を用いることが望ましい。
【0005】
本発明は、シリコン窒化膜をパターンニングする場合、選択比が大きくとることができ、除去しやすい金属酸化物マスク、マスクを剥離する場合、温度等の制約条件の少ない工程で実施できる剥離液、及びシリコン窒化膜のパターニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る第1の態様は、シリコン窒化膜をエッチングするためのマスクの材料がアルミナである、金属酸化物マスクである。
【0007】
(2) 上記(1)に記載の金属酸化物マスクにおいて、前記シリコン窒化膜をエッチングするためのガスが、フッ素を含むエッチングガスであってもよい。
【0008】
(3) 上記(1)又は(2)に記載の金属酸化物マスクは、光導波路のコアとなるシリコン窒化膜のパターンニングに用いられてもよい。
【0009】
(4) 本発明に係る第2の態様は、アルミナマスクを用いてシリコン窒化膜をパターンニングするためのエッチングガスが、フッ素を含むエッチングガスであり、パターン化されたシリコン窒化膜上に残存する前記アルミナマスクの除去のための剥離液が、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液又は水である、金属酸化物マスクの剥離液である。
【0010】
(5) 上記(4)に記載の金属酸化物マスクの剥離液は、光導波路のコアとなるシリコン窒化膜のパターンニングに用いられるアルミナマスクの除去に用いられてもよい。
【0011】
(6) 本発明に係る第3の態様は、シリコン酸化膜上にシリコン窒化膜を作成し、該シリコン窒化膜上にアルミナマスクを作成し、
前記アルミナマスクで覆われた前記シリコン窒化膜以外の前記シリコン窒化膜を、フッ素を含むエッチングガスでエッチングし、
パターン化された前記シリコン窒化膜上の前記アルミナマスクを、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液又は水で除去する、
シリコン窒化膜のパターニング方法である。
【0012】
(7) 上記(6)に記載のシリコン窒化膜のパターニング方法は、光導波路のコアとなるシリコン窒化膜のパターンニングに用いられてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シリコン窒化膜をパターンニングする場合、選択比を大きくとることができ、除去しやすい金属酸化物マスク、マスクを剥離する場合、温度等の制約条件の少ない工程で実施できる剥離液、及びシリコン窒化膜のパターニング方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る一実施形態のシリコン窒化膜のパターニング方法の実験例を示す工程図である。
図2】比較例となるシリコン窒化膜のパターニング方法を示す工程図である。
図3】(A)はエッチングガスの種類を変えた場合のシリコン窒化膜のエッチング量とエッチング時間(RIE時間)との特性図、(B)はレジストマスクとアルミナマスクとのエッチング量とエッチング時間(RIE時間)との特性図を示す図である。
図4】常温のTMAH水溶液にアルミナマスク14Aが形成された実験例を示す図である。
図5】(A)及び(B)は、図1の工程により作製されたシリコン窒化膜導波路デバイスを示す斜視図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
本発明者らは、シリコン窒化膜を微細加工する場合に、シリコン窒化膜の厚膜をエッチングするためのマスク材料として、選択比を高くでき、除去しやすい金属又は金属酸化物を検討した。選択比を高いマスク材料を用いることで、マスクの厚さを薄くし、EB露光で薄いレジストで描画することができる。
本発明者らは、シリコン窒化膜の厚膜をエッチングするためのマスク材料を検討する段階で、セラミック剤又は原子層エッチング等で使われているアルミナに着目した。アルミナは、安定性が高い一方で高温(100~300℃)では酸、塩基のいずれでも反応する。後述する剥離液を用いれば、加熱又は冷却することなく常温(例えば、15℃から25℃)でもアルミナマスクの除去も可能であることを見出した。このように、本発明者らは、シリコン窒化膜の厚膜をエッチングするためのマスク材料として、アルミナ(Al)が適することを見出した。
【0016】
本発明者は、アルミナマスクを用いた場合に、シリコン窒化膜の厚膜をエッチングするために好適なエッチングガスについても検討した。
シリコン窒化膜(Si膜)をエッチングするエッチングガスとしては、フッ素を含むガス、例えばCF,SiF,NF3,,CHF,c-Cのいずれかを含むガスある。
アルミナ膜、シリコン窒化膜(表1中のSi-N)、シリコン酸化膜(表1のSiO)をそれぞれ基板に形成し、フッ素系のエッチングガスとして、例えば、CF、O、Arの混合ガスを用いて反応性イオンエッチング(RIE)装置でエッチングすると、表1に示す反応が起きる。Arはキャリアガスで他のガスを用いてもよい。シリコン窒化物、シリコン酸化物はフッ素系のエッチングガスと反応してガス化するが、アルミナはフッ素系のエッチングガスと反応し、AlOxFy(X+y=1.5)及びAlFx(x<3)の反応生成物(固形物)が生成され、エッチングレートが低くなり、高エッチング耐性を備える。
なお、CFと酸素との混合ガスを用いて金属等のエッチングを行った例は、例えば、「CF4/O2混合ガスプラズマ下流域における各種金属および合金の腐食」、大槻英二他、Zairyo‐to‐Kankyo、1998年47巻2号p.136-145に記載されている。
【表1】

エッチングガスとしてフッ素系のエッチングガスを用いた場合に、AlFx(x<3)は水溶性なので、剥離が容易である。アルミナマスクを剥離するための剥離液として、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液又は水を用いると、加熱又は冷却することなく常温で剥離可能なことも見出した。アルミナは、酸、塩基のいずれでも反応する両性反応物なので、残存しても、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いると、水酸化テトラメチルアンモニウム及び水と反応して除去することができる。
TMAH水溶液の替わりに、剥離液として水を用いてもよい。AlFx(x<3)は水溶性なので水を用いて除去できる。
AlOxFy(X+y=1.5)についても、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液又は水を用いて除去することができる。
エッチングは、RIE装置の替わりに、電子サイクロトロン共鳴(ECR)装置を用いてもよい。
【0017】
(実験例及び比較例)
図1は、本発明に係る一実施形態のシリコン窒化膜のパターニング方法の実験例を示す工程図である。図2は、比較例となるシリコン窒化膜のパターニング方法を示す工程図である。図1においては、マスク除去後の工程も示している(図1の(G)-(I))。
実験例として、図1の(A)に示すように、シリコン基板10を酸素雰囲気中で加熱して、シリコン基板10表面に厚さ3000μmのシリコン熱酸化膜(SiO膜)11を形成し、その上に厚さ500nmのシリコン窒化膜12を形成した。その後、図1の(B)に示すように、シリコン窒化膜12上にレジスト13を塗布し、EB描画及び現像を行ってパターン化して、図1の(C)に示すように、レジストパターン13Aを作成し、その上に、図1の(D)に示すように、60nmのアルミナ14を製膜した。次に図1の(E)に示すように、レジストパターン13Aを除去し、60nmのアルミナマスク14Aを形成した。
【0018】
次に、比較例1、2として、レジスト材料の異なるレジストマスクを有する2つの基板を作成した。図2の(A)に示すように、2つのシリコン基板10を酸素雰囲気中で加熱して、各シリコン基板10の表面に厚さ3000μmのシリコン熱酸化膜(SiO膜)11を形成し、その上に厚さ500nmのシリコン窒化膜12を形成した。ここでまでの工程は実験例と同じ条件で形成した。その後、図2の(B)に示すように、各基板上では、シリコン窒化膜12上にレジスト20を塗布し、図2の(C)に示すように、ステッパ露光でレジストマスク20Aを形成した。比較例1では、レジストマスク20Aの材料はTGMR(東京応化工業株式会社製)を用い、比較例2では、レジストマスク20Aの材料はma-N(マイクロレジストテクノロジー社製)を用いた。レジスト20は、予備実験として厚さ500nmのシリコン窒化膜をエッチングしてもレジストマスク20Aが残存する厚さを求め、その厚さとした。
【0019】
図1(F)及び図2(D)に示すように、シリコン窒化膜12上にアルミナマスク14Aが形成された実験例の基板と、シリコン窒化膜12上にレジストマスク20Aが形成された比較例1、2の基板を用い、反応性イオンエッチング(RIE)装置でシリコン窒化膜12をエッチングし、選択比(シリコン窒化膜のエッチングレート/マスクのエッチングレート)を求めた。
マスク材料、選択比及び実験条件を表2に示す。表2では示していないが、エッチングガスには酸素(O)を含んでいる。表2に示した、エッチングガス(CH、CF、Ar)、ガス流量、圧力、RF出力の条件は代表例を示したもので、特にエッチングガスの種類、ガス流量、圧力、RF出力の条件は特に限定されない。
エッチングガスの種類を変えた場合のシリコン窒化膜のエッチング量とエッチング時間(RIE時間)との特性図を図3の(A)に示す。ma-Nのレジストマスクとアルミナマスクとのエッチング量とエッチング時間(RIE時間)との特性図を図3の(B)に示す。
【表2】
図3(A)に示すように、エッチングガスを変えるとシリコン窒化膜のエッチング量の変化に違いがある。図3の(B)に示すように、レジストマスクに比べてアルミナマスクの方が、エッチング量が小さい。
表2に示すように、アルミナマスクは、レジストマスクに比べて1桁程度選択比が高く、マスク材料として十分な耐性があることが分かった。
【0020】
シリコン窒化膜12上にアルミナマスク14Aが形成された実験例の基板について、エッチングを行うと、図1の(F)に示すように、シリコン窒化膜12のパターニングが行われ、シリコン窒化膜パターン12Aが作成される。アルミナマスク14Aが形成されていない部分のシリコン窒化膜12(厚さ500nm)をエッチングで除去したときに、アルミナマスク14Aは40nm程度エッチングされた。
【0021】
次に、図1の(G)に示すように、アルミナマスク14Aを、剥離液となる水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液(TMAH5%以下、水95%以上)を用いて除去した。図4に示すように、常温のTMAH水溶液にアルミナマスク14Aが形成された実験例の基板を2時間浸けたところ、(シリコン窒化膜)+(アルミマスク)の高さ520nmから、残存したアルミマスクが除去され、シリコン窒化膜パターン12Aの高さは501nmとなった。
非特許文献2に記載されるように、アルミナマスクを、水素化アンモニウム、過酸化水素水を用いて除去する場合、温度80℃で剥離を行っているが、TMAH水溶液を用いると、加熱又は冷却することなく常温(例えば、15℃から25℃)、2時間程度でアルミマスクを除去できた。
【0022】
次に、アルミナマスク14Aが除去された、シリコン窒化膜パターン12A上にシリコン酸化膜をPE-CVD法により製膜し、図1の(H)に示すように、シリコン窒化膜パターン12Aをコアとし、シリコン熱酸化膜(SiO膜)11及び積層されたシリコン酸化膜からなるシリコン酸化膜15をクラッドとする光導波路を作製した。その後、図1の(I)に示すように、基板のダイシングを行い、シリコン窒化膜導波路デバイスを作成した。
図5の(A)及び(B)は、図1の工程により作製されたシリコン窒化膜導波路デバイスを示す斜視図及び断面図である。図5(B)に示すように、シリコン窒化膜パターン12Aからなる、幅(w)が1μm以下、高さ(h)が300~600nmのシリコン窒化物のコアと、シリコン酸化膜15からなるクラッドとを備えたシリコン窒化膜導波路デバイスが作製できた。
【0023】
以上説明したように、本実施形態の金属酸化物マスクは、シリコン窒化膜をパターンニングする場合、選択比を大きくとることができ、除去しやすい効果がある。さらに、選択比が高いので、シリコン窒化膜パターンの幅及び高さを精度よく作製できる効果がある。
また、本実施形態の剥離液は、常温でアルミナマスクを剥離(除去)できるので、
温度等の制約条件の少ない工程で実施できる効果がある。
本実施形態のシリコン窒化膜のパターニング方法は、本実施形態の金属酸化物マスク及び剥離液を用いることで、幅及び高さの精度の高いコアを備えたシリコン窒化膜導波路デバイスを作製できる効果がある。
【0024】
以上説明した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態及び実施例のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【符号の説明】
【0025】
10 シリコン基板
11 シリコン熱酸化膜(SiO膜)
12 シリコン窒化膜
12A シリコン窒化膜パターン
13 レジスト
13A レジストパターン
14 アルミナ
14A アルミナマスク
15 シリコン酸化膜
図1
図2
図3
図4
図5