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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118125
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240823BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G49/07 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024383
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関家 一馬
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA70
5F131DA05
5F131DA22
5F131DA43
5F131DC05
5F131DC22
5F131KA12
5F131KA47
5F131KA52
5F131KA72
(57)【要約】
【課題】カセットを昇降する際に発生する振動を低減できる搬送システムを提供する事。
【解決手段】搬送システムは、ワーク処理装置に対して物品を搬出入する搬送車と、ワーク処理装置の上方に設置され搬送車が走行する走行路と、制御ユニットと、を備える。制御ユニットは、搬送車の撮像ユニットによって撮像された、搬送車のカセット13がワーク処理装置のカセット載置台に設置されたガイド122によって位置決めされる前と後との画像を取得する画像取得部と、画像からカセット13がガイド122により位置決めされる際の水平方向の移動量351,352を算出する移動量算出部と、移動量351,352に基づき、次に搬送車を受け渡し領域に停止させる際の停止位置を補正する停止位置補正部と、を備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク処理装置と、
該ワーク処理装置に対して物品を搬出入する搬送車と、
該ワーク処理装置の上方に設置され該搬送車が走行する走行路と、
制御ユニットと、を備える搬送システムであって、
該搬送車は、
該物品を収容するカセットと、
該カセットを該ワーク処理装置のカセット載置台に対して昇降させる昇降ユニットと、
該搬送車の下方を撮像する撮像ユニットと、を有し、
該ワーク処理装置は、該カセット載置台に設置され、受け渡し領域に停止された該搬送車から昇降される該カセットに接触し、該カセットを水平方向に位置決めするガイドを有し、
該制御ユニットは、
撮像ユニットによって撮像された、該カセットが該ガイドによって位置決めされる前と後との画像を取得する画像取得部と、
該画像から該カセットが該ガイドにより位置決めされる際の水平方向の移動量を算出する移動量算出部と、
該移動量に基づき、次に該搬送車を該受け渡し領域に停止させる際の停止位置を補正する停止位置補正部と、
を備える事を特徴とする搬送システム。
【請求項2】
該撮像ユニットは、該カセット載置台に対して昇降する該カセットを撮像し、
該制御ユニットは、該カセットの昇降時の画像または映像の少なくともいずれかを記録する記録部を有する事を特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
該撮像ユニットは、該搬送車が該受け渡し領域に停止する際に、停止位置の基準となる印を有する、該走行路と、該カセット載置台と、の少なくともいずれかを撮像して位置決め画像を取得し、
該制御ユニットは、該位置決め画像から該搬送車の停止位置を検出し、該搬送車を該停止位置に停止させる停止位置検出部と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項4】
該停止位置補正部は、該停止位置検出部が検出した停止位置を該移動量算出部が算出した該移動量に基づき補正することを特徴とする請求項3に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車によって、ワーク処理装置に物品を搬送する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送車によってワークやワークの処理に関連して使用される消耗品やメンテナンス部品、清掃部品などの物品が搬送される搬送システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-163920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような特許文献1では、搬送車は、ワークなどの物品を収容するカセットを搬送し、カセットをワーク処理装置に対して昇降させている。この搬送システムにおいては、カセットがカセット載置台に着地する際に、カセット載置台に設置された位置決めガイドに接触して水平方向に移動しながら位置決めされる機構であり、位置決め時の振動によりワークなどの物品が損傷する恐れがあった。また、カセットが搬送車に回収されるために上昇する際も、搬送車の停止位置がずれていると、カセットがガイドに接触し水平方向の移動量が大きくなり振動が発生する恐れがあった。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、カセットを昇降する際に発生する振動を低減できる搬送システムを提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の搬送システムは、ワーク処理装置と、該ワーク処理装置に対して物品を搬出入する搬送車と、該ワーク処理装置の上方に設置され該搬送車が走行する走行路と、制御ユニットと、を備える搬送システムであって、該搬送車は、該物品を収容するカセットと、該カセットを該ワーク処理装置のカセット載置台に対して昇降させる昇降ユニットと、該搬送車の下方を撮像する撮像ユニットと、を有し、該ワーク処理装置は、該カセット載置台に設置され、受け渡し領域に停止された該搬送車から昇降される該カセットに接触し、該カセットを水平方向に位置決めするガイドを有し、該制御ユニットは、撮像ユニットによって撮像された、該カセットが該ガイドによって位置決めされる前と後との画像を取得する画像取得部と、該画像から該カセットが該ガイドにより位置決めされる際の水平方向の移動量を算出する移動量算出部と、該移動量に基づき、次に該搬送車を該受け渡し領域に停止させる際の停止位置を補正する停止位置補正部と、を備える事を特徴とする。
【0007】
該撮像ユニットは、該カセット載置台に対して昇降する該カセットを撮像し、該制御ユニットは、該カセットの昇降時の画像または映像の少なくともいずれかを記録する記録部を有していてもよい。
【0008】
該撮像ユニットは、該搬送車が該受け渡し領域に停止する際に、停止位置の基準となる印を有する、該走行路と、該カセット載置台と、の少なくともいずれかを撮像して位置決め画像を取得し、該制御ユニットは、該位置決め画像から該搬送車の停止位置を検出し、該搬送車を該停止位置に停止させる停止位置検出部と、を含んでいてもよい。
【0009】
該停止位置補正部は、該停止位置検出部が検出した停止位置を該移動量算出部が算出した該移動量に基づき補正してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、カセットがカセット載置台に位置決めされる際にどれくらい水平方向に移動したかを画像処理により算出し、次回の搬送車の停止位置を補正するため、カセットがガイドにより位置決めされる際のカセットの水平方向の移動量を低減し、カセットを昇降する際にガイドに接触する等によりカセットに発生する振動を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る搬送システムの構成例を示す概略図である。
図2図2は、図1の搬送システム及びワーク処理装置の一部を示す斜視図である。
図3図3は、図2のワーク処理装置のカセット載置台を示す上面図である。
図4図4は、図1の搬送システムの搬送車の構成例を示す斜視図である。
図5図5は、図4の搬送車を示す側断面図である。
図6図6は、図1の搬送システムの走行路を示す上面図である。
図7図7は、図1の搬送システムによるガイドの位置決めの一例を説明する断面図である。
図8図8は、図1の搬送車の撮像ユニットが撮像する画像の一例を示す図である。
図9図9は、図1の搬送車の撮像ユニットが撮像する画像の一例を示す図である。
図10図10は、図1の搬送システムの動作処理の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係る搬送システム1を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態に係る搬送システム1の構成例を示す概略図である。図2は、図1の搬送システム1及びワーク処理装置100の一部を示す斜視図である。搬送システム1は、図1に示すように、ワーク201(図2等参照)を処理する複数のワーク処理装置100と、複数のワーク処理装置100のそれぞれに対して物品200(図2等参照)を搬出入する搬送車10と、ワーク処理装置100の上方にワーク処理装置100の間にわたって設置され、搬送車10が走行する走行路20と、制御ユニット30と、を備える。搬送システム1は、本実施形態では複数台(図1に示す例では3台)の搬送車10を含むが、本発明ではこれに限定されず、1台や2台でもよく、もちろん4台以上でもよい。なお、図面は、適宜、一部の構成要素を省略したり、一部の構成要素を輪郭のみ等で簡易的に示したりしている。
【0014】
ワーク処理装置100の処理対象であり、なおかつ、実施形態に係る搬送システム1の搬送対象の物品200の一例であるワーク201を説明する。ワーク201は、図2に示すように、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素、ガラスなどを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハである。ワーク201は、平坦な表面において、交差(本実施形態では、直交)する複数の分割予定ラインで区画された領域にそれぞれチップ状のデバイスが形成されている。なお、ワーク201は、本発明ではこれに限定されず、デバイスが形成されていなくてもよい。ワーク201は、本実施形態では、裏面に粘着テープが貼着され、粘着テープの外縁部に環状フレームが装着されているが、本発明ではこれに限定されず、環状フレームが装着されていなくても、粘着テープが貼着されていなくてもよい。
【0015】
なお、搬送システム1の搬送対象の物品200は、ワーク201に限定されず、材質、形状、構造、大きさ等に制限はなく、例えば、他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる基板等であってもよく、ワーク201を加工する加工工具、ワーク201の加工に使用する消耗品、ワーク処理装置100を清掃する清掃用具、ワーク処理装置100をメンテナンスするメンテナンス部品であってもよい。ワーク201を加工する加工工具は、例えば、切削ブレード、研削ホイール等である。ワーク201の加工に使用するその他の消耗品は、例えば、ドレッシングボード、プリカットボード、ダミーワーク、粘着テープ、カーボン片等である。清掃用具は加工工具を装着する支持面を清掃する洗浄砥石などの清掃用品等である。また、メンテナンス部品は、その他のワーク処理装置100に備えられる任意の機構をメンテナンスするためのメンテナンス用具等である。ワーク201以外の物品200についても、本実施形態では、図2に示すように、裏面に粘着テープが貼着され、粘着テープの外縁部に環状フレームが装着されているが、本発明ではこれに限定されず、環状フレームが装着されていなくても、粘着テープが貼着されていなくてもよい。
【0016】
搬送システム1のワーク処理装置100は、図2に示すように、筐体110と、カセット載置台120と、搬送ユニット130と、処理ユニット140と、受信機160と、送信機170と、制御部180と、を備える。筐体110は、筐体110を除くワーク処理装置100の各構成要素を収容する。筐体110の上方の天井111には、物品200(ワーク201)を収容する搬送車10のカセット13が通過可能な大きさ及び形状の開口112が形成されている。
【0017】
図3は、図2のワーク処理装置100のカセット載置台120を示す上面図である。カセット載置台120は、図3に示すように、載置領域121と、ガイド122と、印123と、を有する。載置領域121は、搬送車10から昇降ユニット15により降下するカセット13が着地して載置される領域であり、カセット載置台120の上面に、カセット13の平面視の形状及び大きさと同じ形状及び大きさで設けられている。
【0018】
ガイド122は、カセット載置台120に設置されている。ガイド122は、載置領域121よりも外周側に、カセット載置台120の上面から複数(図3に示す例では8個)立設している。ガイド122は、内周側に、カセット13の外周側が嵌め合わせ可能となる位置に配列されている。ガイド122は、内周側の面に、下方に向かうに従って内周側に突出する方向に傾斜する傾斜面が形成されている(図5及び図7参照)。さらに傾斜面が湾曲して形成されることで、カセット13がガイド122に沿ってなめらかにスライドして位置決めされる。このため、ガイド122は、受け渡し領域22に停止された搬送車10から昇降されるカセット13の降下時に、カセット13の水平方向の位置が載置領域121に対してずれていた場合でも、傾斜面によりカセット13に接触し、カセット13の水平方向(図2等のXY平面に平行な方向)の位置を修正し、カセット13を水平方向に位置決めして、カセット13を正確に載置領域121に着地させて載置させる。
【0019】
印123は、カセット載置台120の上面に設けられており、本実施形態では、載置領域121の中央に設けられている。印123は、搬送車10の撮像ユニット16-3(図4及び図5参照)により上方から撮像して検出することで、搬送車10に対する載置領域121の水平方向の位置を検出できる。このため、印123は、搬送車10が受け渡し領域22に停止する際に、停止位置の基準となり、搬送車10から昇降されるカセット13とワーク処理装置100のカセット載置台120の載置領域121との位置合わせを行なうアライメントを遂行する際のアライメントマークとして活用できる。印123は、本実施形態では、カセット13がカセット載置台120の載置領域121に正確に載置された際に、カセット13の上面の中央に設けられた印13-2と鉛直方向(図2等のZ軸方向)に沿って重なるように、設けられている。なお、印123の形状や形成される位置は限定されず撮像ユニット16-3によって撮像可能な範囲であればカセット載置120のいずれに形成されても良い。
【0020】
搬送ユニット130は、図2に示すように、カセット載置台120に隣接して設置される。搬送ユニット130は、カセット載置台120の載置領域121に着地したカセット13内に収容された物品200(ワーク201)を搬出して処理ユニット140に関する所定の位置に載置し、また、処理ユニット140の周囲の所定の位置に載置した物品200(ワーク201)をカセット載置台120の載置領域121に着地したカセット13内に搬入する。ここで、処理ユニット140に関する所定の位置は、図2に示す本実施形態の例では、処理ユニット140-1(切削加工ユニット)及び処理ユニット140-3(撮像ユニット、検査ユニット)の周囲にある保持テーブル(チャックテーブル)上、または、処理ユニット140-2(洗浄ユニット)のスピンナテーブル上である。
【0021】
搬送ユニット130は、本実施形態では、例えば、第1搬送アーム131と、第2搬送アーム132と、一対のレール133と、を備える。第1搬送アーム131は、カセット載置台120の載置領域121に着地したカセット13内と、一対のレール133上と、の間で、物品200(ワーク201)を搬送する。第2搬送アーム132は、一対のレール133上と、処理ユニット140の周囲の所定の位置と、の間で、物品200(ワーク201)を搬送する。一対のレール133は、互いに平行な状態を維持しながら接近または離隔でき、一対のレール133間で、環状フレームを介して物品200(ワーク201)を保持できる。
【0022】
処理ユニット140は、ワーク201を処理する。処理ユニット140は、本実施形態では、例えば、ワーク201をカセット130と異なるカセットとの間で入れ替えるなど、ワーク201を任意の収容カセットに収容処理する収容ユニット、ワーク201に対して加工処理する加工ユニット、ワーク201に対して洗浄処理する洗浄ユニット、ワーク201に対して検査処理する検査ユニット、ワーク201に対して撮像処理する撮像ユニット、ワーク201に対して粘着テープなどの支持部材を貼り付けるまたは剥離するマウンタユニット、ワーク201に対して膜を形成する膜形成ユニット等である。すなわち、収容ユニット以外の処理ユニット140を備えるワーク処理装置100は、ワーク201に対して、加工、洗浄、検査、撮像、支持部材の貼り付け、支持部材の剥離、膜の形成の少なくともいずれかを実施することができる。
【0023】
処理ユニット140が収容ユニットである場合、搬送システム1の搬送対象の種々の物品200、すなわち、ワーク201、他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる基板等、切削ブレードや研削ホイール等のワーク201を加工する加工工具、ドレッシングボードやプリカットボード、ダミーワーク、粘着テープ、カーボン片等のワーク201の加工に使用する消耗品、ワーク処理装置100を清掃する清掃用具、ワーク処理装置100をメンテナンスするメンテナンス部品を収容する。ワーク処理装置100は、処理ユニット140が収容ユニットである場合、処理ユニット140内で搬送システム1の搬送対象の種々の物品200を任意のカセットに収容し、筐体110の上方の天井111の開口112を通じて任意のカセットから搬送車10に搬出及び搬入するいわゆるストッカーである。図1に示す本実施形態の例では、ワーク処理装置100-2がストッカーである。
【0024】
処理ユニット140は、加工ユニットである場合、例えば、切削ブレードが回転可能に装着されるスピンドルを備え、切削ブレードでワーク201を切削加工処理する切削加工ユニットや、研削砥石が配置された研削ホイールが回転可能に装着されるスピンドルを備え、研削砥石でワーク201を研削加工処理する研削加工ユニット、ワーク201にレーザービームを照射するレーザービーム照射器を備え、レーザービームでワーク201をレーザー加工処理するレーザー加工ユニット、ワーク201にプラズマ化したガスを供給してエッチングするプラズマ加工ユニット、ワーク201に粘着テープ等の保護部材を貼着して保護部材設置加工処理をする貼着加工ユニット、ワーク201に紫外線を照射する紫外線照射器を備え、ワーク201を紫外線照射加工処理する紫外線加工ユニット、等である。ワーク処理装置100は、処理ユニット140が加工ユニットである場合、ワーク201に対して加工処理する加工装置である。図2に示すワーク処理装置100は、処理ユニット140-1が切削加工ユニットであり、ワーク201に対して切削加工処理を実施することができる。
【0025】
処理ユニット140は、洗浄ユニットである場合、ワーク201に洗浄液や洗浄用のガス等を供給するノズルを備え、ワーク201を洗浄処理する。ワーク処理装置100は、処理ユニット140が洗浄ユニットである場合、ワーク201に対して洗浄処理する洗浄装置である。図2に示すワーク処理装置100は、処理ユニット140-2が洗浄ユニットであり、ワーク201に対して洗浄処理を実施することができる。
【0026】
処理ユニット140は、検査ユニットである場合、ワーク201に検査用のレーザービームを照射するレーザービーム照射器や、ワーク201に電磁波を照射する電磁波照射器、ワーク201に検査用の紫外線を照射する紫外線照射器、ワーク201の検査用画像を撮像する撮像器と、照射や撮像の結果に基づいてワーク201の検査判定をする検査判定部とを備え、ワーク201を検査処理する。ワーク処理装置100は、処理ユニット140が検査ユニットである場合、ワーク201に対して検査処理する検査装置である。図2に示すワーク処理装置100は、処理ユニット140-3が撮像器としての機能を備え、制御部180が検査判定部としての機能を備えるので、実質的に検査ユニットを備え、ワーク201に対して切削加工処理が正常な範囲内で実行されたか否かを自動的に確認する所謂カーフチェック等の検査処理を実施することができる。
【0027】
処理ユニット140は、撮像ユニットである場合、ワーク201を撮像する撮像器と、ワーク201を移動させて撮像器に対するワーク201の位置や向きを変更及び調整するワーク移動器とを備え、ワーク201を撮像処理する。ワーク処理装置100は、処理ユニット140が撮像ユニットである場合、ワーク201に対して撮像処理する撮像装置である。図2に示すワーク処理装置100は、処理ユニット140-3が撮像ユニットであり、ワーク201に対して撮像処理を実施することができる。
【0028】
処理ユニット140は、マウンタユニットである場合、ワーク201に対して粘着テープなどの支持部材を供給する支持部材供給部と、供給された支持部材をワーク201に対して貼り付ける貼り付け部と、ワーク201に対して貼り付けられた支持部材を剥離する剥離部とを備え、ワーク201に対して、支持部材貼り付け処理、もしくは、支持部材剥離処理を実施する。ワーク処理装置100は、処理ユニット140がマウンタユニットである場合、ワーク201に対して支持部材貼り付け処理、もしくは、支持部材剥離処理をするマウンタ装置である。
【0029】
処理ユニット140は、膜形成ユニットである場合、ワーク201に対して膜を形成する膜形成部を備え、ワーク201に対して膜形成処理を実施する。ワーク処理装置100は、処理ユニット140が膜形成ユニットである場合、ワーク201に対して膜形成処理をする膜形成装置である。
【0030】
処理ユニット140は、ワーク201を加工する加工工具や、ワーク201の加工に使用する消耗品等といったワーク201以外の物品200を交換する交換処理を実施する。ワーク処理装置100は、処理ユニット140が交換処理を実施する場合、新規な加工工具や消耗品等が開口112より搬入され、処理ユニット140の使用済みの加工工具や消耗品等を新規な加工工具や消耗品等に交換し、処理ユニット140から取り外された加工工具や消耗品等が開口112より搬出される。
【0031】
受信機160は、搬送システム1の制御ユニット30と情報通信可能に接続され、制御ユニット30から送信された情報を受信し、受信した情報を制御部180に出力する。受信機160は、本実施形態では、制御ユニット30と無線で情報通信可能に接続されているが、本発明ではこれに限定されず、制御ユニット30と有線で情報通信可能に接続されてもよい。受信機160が制御ユニット30から受信する情報は、本実施形態では、例えば、ワーク処理装置100の処理に関する動作の指令情報や、ワーク処理装置100内のワーク201の状況を含むワーク処理装置100の処理状況や処理履歴の送信を促す要求情報等である。
【0032】
送信機170は、制御ユニット30と情報通信可能に接続され、制御部180から出力された情報を制御ユニット30に送信する。送信機170は、本実施形態では、制御ユニット30と無線で情報通信可能に接続されているが、本発明ではこれに限定されず、制御ユニット30と有線で情報通信可能に接続されてもよい。送信機170が制御ユニット30に送信する情報は、本実施形態では、例えば、ワーク処理装置100の処理状況や処理履歴等である。
【0033】
制御部180は、ワーク処理装置100の各構成要素の動作を制御して、物品200(ワーク201)に対する各種処理動作をワーク処理装置100に実施させるものである。制御部180は、受信機160が制御ユニット30から受信した情報を取得し、制御ユニット30に送信する情報を送信機170に出力する。制御部180は、受信機160が制御ユニット30から受信した指令情報に応じた動作をワーク処理装置100に実施させる。制御部180は、受信機160が制御ユニット30から受信した要求情報に応じて、ワーク処理装置100の処理状況や処理履歴の情報を送信機170から制御ユニット30に送信させる。制御部180は、制御ユニット30からの要求情報を受信していない場合でも、自発的にワーク処理装置100の処理状況や処理履歴の情報を送信機170から制御ユニット30に送信させることもできる。
【0034】
制御部180は、本実施形態では、後述する制御ユニット30と同様のコンピュータシステムを含む。制御部180の演算処理装置は、制御部180の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、ワーク処理装置100を制御するための制御信号を、制御部180の入出力インターフェース装置を介してワーク処理装置100の各構成要素に出力する。
【0035】
図4は、図1の搬送システム1の搬送車10の構成例を示す斜視図である。図5は、図4の搬送車10を示す側断面図である。搬送車10は、自動搬送車(Automated Guided Vehicle、AGV)であり、図4に示すように、フレーム11と、車輪12と、カセット13と、ベルト14と、昇降ユニット15と、撮像ユニット16と、受信機17と、送信機18と、制御部19と、を有する。
【0036】
フレーム11は、矩形状に形成されており、カセット13を収容可能で下方側に開放された凹部11-1が形成されている。車輪12は、フレーム11の互いに平行な一対の側面に、それぞれ複数個(図4に示す例では2個)、この一対の側面に対して直交する軸心周りに互いに独立して回転自在に設けられている。車輪12は、外周面が走行路20の通路領域21または受け渡し領域22に接触する。車輪12は、それぞれ不図示のモーター等に接続されており、モーター等により軸心周りの回転動作が加えられて、走行路20の通路領域21上または受け渡し領域22上を走行する。車輪12は、本実施形態では、例えば、傾斜した樽状(筒状)の複数の回転体が外周面に取り付けられたメカナムホイールが使用される。
【0037】
カセット13は、矩形状に形成されており、内部に物品200(ワーク201)を収容する。カセット13は、互いに平行な一対の側面に、物品200(ワーク201)が通過可能な大きさ及び形状の開口13-1が形成されている。カセット13は、開口13-1から物品200(ワーク201)が取り出され、開口13-1から物品200(ワーク201)が収容される。カセット13は、上面の中央に、印13-2が設けられている。印13-2は、搬送車10の撮像ユニット16により上方から撮像して検出することで、カセット13の水平方向の位置をより正確に検出できる。印13-2は、本実施形態では、カセット13がカセット載置台120の載置領域121に正確に載置された際に、カセット載置台120の上面の載置領域121の中央に設けられた印123と鉛直方向(Z軸方向)に沿って重なるように、設けられている。
【0038】
ベルト14は、フレーム11と、カセット13とを連結する。ベルト14は、一方の端部がフレーム11内に設けられた昇降ユニット15の不図示のリールに巻き付けられ、他方の端部が、図4及び図5に示すように、カセット13の上面に固定されている。ベルト14は、2本で一対になっている。搬送車10は、図4に示す本実施形態の例では、2本のベルト14が二対設けられているが、本発明ではこれに限定されず、一対でも三対以上でもよい。
【0039】
昇降ユニット15は、フレーム11内の凹部11-1の上方に設けられている。昇降ユニット15は、図5に示すように、ベルト14によって、カセット13及びカセット13に収容した物品200(ワーク201)を、ワーク処理装置100のカセット載置台120に対して昇降させる。昇降ユニット15は、カセット13及びカセット13に収容した物品200(ワーク201)を、搬送車10のフレーム11の凹部11-1に収容された車内位置と、ワーク処理装置100の筐体110の内部の、カセット載置台120の載置領域121に着地した着地位置との間で、走行路20の開口24及びワーク処理装置100の開口112を通して、昇降移動させる。
【0040】
撮像ユニット16は、本実施形態では、図4に示すように、一対の撮像ユニット16-1と、一対の撮像ユニット16-2と、撮像ユニット16-3と、を有する。撮像ユニット16は、いずれも、フレーム11に、搬送車10が走行する走行路20と鉛直方向に沿って対向するように装着されており、搬送車10の下方を撮像する。
【0041】
一対の撮像ユニット16-1は、フレーム11の前端部及び後端部に装着されている。一対の撮像ユニット16-2は、フレーム11の両側端部に装着されている。一対の撮像ユニット16-1及び一対の撮像ユニット16-2は、走行路20に複数種類設けられた印25を上方から撮像して検出することで、搬送車10の走行路20上の位置を検出する。本実施形態では、一対の撮像ユニット16-1は、全ての種類の印25を上方から撮像して検出し、一対の撮像ユニット16-2は、印25-1(図6参照)を除く印25を上方から撮像して検出する。また、一対の撮像ユニット16-1及び一対の撮像ユニット16-2は、搬送車10が受け渡し領域22に停止する際に、停止位置の基準となる印25(印25-4,25-5)を有する走行路20の受け渡し領域22を上方から撮像して、停止位置を決めるための基準となる位置決め画像401,402,403,404(いずれも図6参照)を取得する。位置決め画像401,402,403,404は、例えば、図6に破線で囲った部分のような画像となる。なお、撮像ユニット16-1,16-2は、図6において位置決め画像401~404の内、401を撮像できる位置に1つだけ備えられていても良い。
【0042】
なお、一対の撮像ユニット16-1及び一対の撮像ユニット16-2は、本発明では上記したフレーム11の前端部、後端部及び両側端部に装着された形態に限定されず、走行路20に設けられた印25の形態に応じて適宜変更され、走行路20に設けられた印25を撮像可能な形態であればどのような形態でもよい。
【0043】
撮像ユニット16-3は、一対の撮像ユニット16-1及び一対の撮像ユニット16-2よりも内側に設けられており、図4及び図5に示す本実施形態の例では、撮像ユニット16-1の内側に設けられている。撮像ユニット16-3は、図5に示すように、カセット載置台120に対して昇降するカセット13を、走行路20の開口24及びワーク処理装置100の開口112を通して、上方から撮像することで、カセット13がカセット載置台120のガイド122によって載置領域121に位置決めされる前と後とのガイド前画像301,ガイド後画像302(それぞれ、図8及び図9参照)を取得する。撮像ユニット16は、カセット載置台120に対して昇降するカセット13に設けられた印13-2を上方から撮像して検出することで、カセット13の水平方向の位置をより正確に検出できる。
【0044】
また、撮像ユニット16-3は、走行路20の印25と合わせて、または走行路20の印25の代わりに、搬送車10が受け渡し領域22に停止する際に、停止位置の基準となる印123を有するカセット載置台120を上方から撮像して、停止位置を決めるための基準となる位置決め画像405(図3参照)を取得しても良い。その場合、位置決め画像405は、例えば、図3にカセット載置台120の外周と同じ実線で囲った部分のような画像となる。
【0045】
なお、撮像ユニット16-3は、本発明では上記した撮像ユニット16-1の内側に設けられた形態に限定されず、カセット載置台120の印123、カセット載置台120に対して昇降するカセット13、及び、カセット載置台120に対して昇降するカセット13に設けられた印13-2を撮像可能な形態であればどのような形態でもよく、例えば、撮像ユニット16-2の内側に設けられてもよい。また、撮像ユニット16-3は、図5に示す本実施形態の例では、フレーム11内に設けられているが、本発明ではこれに限定されず、フレーム11の下方の外側に設けられてもよい。また、カセット載置台120に対して昇降するカセット13、及び、カセット載置台120に対して昇降するカセット13に設けられた印13-2を撮像する撮像ユニットを凹部11-1の底面に設けてもよい。
【0046】
撮像ユニット16は、いずれも、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子等の撮像素子を備えている。撮像ユニット16は、例えば、赤外線カメラや可視光線カメラである。撮像ユニット16は、複数備えなくても良く、図5に示すように、カセット13が下降した際に、上方からカセット13の全体を撮像視野内に収められる程度に視野角の広いカメラ1つ(本実施形態における撮像ユニット16-3に相当)を使用してもよい。
【0047】
搬送車10は、最初に搬送システム1の走行路20上にセットされる際、セットした場所と搬送車10の種類とが制御部19や制御ユニット30に登録される。搬送車10は、例えば、走行路20に複数種類設けられた印25を撮像ユニット16-1,16-2で撮像して検出することで搬送車10の走行路20上の位置を検出する。なお、搬送車10は、本発明ではこの構成に限定されず、例えば、この構成に代えて、ラインセンサによって印25を検出する構成や、走行路20上に設置した複数のセンサにより搬送車10の位置を検出する構成でも良く、搬送車10をGPS(Global Positioning System)と無線で情報通信可能に接続し、GPSを利用して搬送車10の位置を取得する構成でも良く、どのような形で搬送車10の位置を取得可能な構成としてもよい。
【0048】
受信機17は、制御ユニット30と情報通信可能に接続され、制御ユニット30から送信された情報を受信し、受信した情報を制御部19に出力する。受信機17は、本実施形態では、制御ユニット30と無線で情報通信可能に接続されているが、本発明ではこれに限定されず、制御ユニット30と有線で情報通信可能に接続されてもよい。受信機17が制御ユニット30から受信する情報は、本実施形態では、例えば、搬送車10の走行やカセット13の昇降に関する動作の指令情報や、搬送車10の位置やカセット13の位置を含む搬送車10の搬送状況や搬送履歴の送信を促す要求情報等である。
【0049】
送信機18は、制御ユニット30と情報通信可能に接続され、制御部19から出力された情報を制御ユニット30に送信する。送信機18は、本実施形態では、制御ユニット30と無線で情報通信可能に接続されているが、本発明ではこれに限定されず、制御ユニット30と有線で情報通信可能に接続されてもよい。送信機18が制御ユニット30に送信する情報は、本実施形態では、例えば、搬送車10の搬送状況や搬送履歴の情報、撮像ユニット16により撮像した画像である。
【0050】
制御部19は、搬送車10の各構成要素の動作を制御して、搬送車10の走行やカセット13の昇降に関する動作を搬送車10に実施させるものである。制御部19は、車輪12に接続された不図示のモーターや、車輪12の角度等を制御することで、搬送車10の走行を制御する。制御部19は、昇降ユニット15の不図示のモーターを制御することで、カセット13の昇降移動を制御する。
【0051】
制御部19は、一対の撮像ユニット16-1及び一対の撮像ユニット16-2により撮像して取得した画像と、作業者により予め登録されて記憶された印25に関する基準画像とをパターンマッチング処理することにより、一対の撮像ユニット16-1及び一対の撮像ユニット16-2により撮像して取得した画像に基づいて印25を検出する。なお、一対の撮像ユニット16-1及び一対の撮像ユニット16-2により撮像して取得した画像に基づいて印25を検出するための画像処理は、本発明ではこれに限定されず、制御部19に代えて制御ユニット30が実行してもよい。
【0052】
制御部19は、受信機17が制御ユニット30から受信した情報を取得し、制御ユニット30に送信する情報を送信機18に出力する。制御部19は、受信機17が制御ユニット30から受信した指令情報に応じた動作を搬送車10に実施させる。制御部19は、受信機17が制御ユニット30から受信した要求情報に応じて、搬送車10の搬送状況や搬送履歴の情報、撮像ユニット16-3によって取得したガイド前画像301,ガイド後画像302を含む、撮像ユニット16によって撮像した画像を、送信機18から制御ユニット30に送信させる。制御部19は、制御ユニット30からの要求情報を受信していない場合でも、自発的に搬送車10の搬送状況や搬送履歴の情報を送信機18から制御ユニット30に送信させることもできる。
【0053】
制御部19は、本実施形態では、後述する制御ユニット30と同様のコンピュータシステムを含む。制御部19の演算処理装置は、制御部19の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、搬送車10を制御するための制御信号を、制御部19の入出力インターフェース装置を介して搬送車10の各構成要素に出力する。
【0054】
搬送システム1の走行路20は、図2に示すように、通路領域21と、受け渡し領域22と、ガイド部23とを備える。通路領域21は、複数のワーク処理装置100の筐体110の上方に跨って配設されている。受け渡し領域22は、ワーク処理装置100ごとに筐体110の上方に通路領域21に隣接して1箇所ずつ配設されている。受け渡し領域22には、筐体110の開口112の直上に、搬送車10のフレーム11が通過不可能であり、なおかつ、カセット13が通過可能な大きさ及び形状の開口24が形成されている。
【0055】
ガイド部23は、通路領域21及び受け渡し領域22の幅方向の両側端に配設されている。ガイド部23は、搬送車10の車輪12よりも高く形成されており、これにより、搬送車10がガイド部23を乗り越えて通路領域21及び受け渡し領域22から脱落することを防止する。
【0056】
図6は、図1の搬送システム1の走行路20を示す上面図である。走行路20の通路領域21及び受け渡し領域22には、印25が複数種類設けられている。印25は、走行路20の通路領域21及び受け渡し領域22の上面に設けられており、本実施形態では、図6に示すように、印25-1と、印25-2と、印25-3と、印25-4と、印25-5と、を有する。印25は、搬送車10の撮像ユニット16により上方から撮像して検出することで、搬送車10の走行路20上の位置を検出できる。このため、印25は、上記の印123と同様に、搬送車10が受け渡し領域22に停止する際に、停止位置の基準となり、アライメントマークとして活用できる。本実施形態では、開口24の周囲に設けられる印25-4,25-5が、搬送車10が受け渡し領域22に停止する際に、停止位置の基準となり、アライメントマークとして活用できる。
【0057】
印25は、例えば、通路領域21及び受け渡し領域22の上面の他の領域とは異なる色彩を有する直線状に形成されるが、本発明ではこれに限定されず、例えば、曲線を含んでも良いし、破線によって構成されていても良いし、文字、数字、図柄等を使用してもよい。
【0058】
印25-1は、図6に示すように、通路領域21の上面に、例えば、通路領域21の幅方向における所定の位置(例えば中央)に、通路領域21において搬送車10が進行する方向に沿って設けられる。搬送車10は、一対の撮像ユニット16-1が印25-1を撮像して検出しながら走行することで、通路領域21の幅方向における位置を検出しながら、通路領域21の幅方向における所定の位置(例えば中央)を当該進行方向に沿って走行することができる。
【0059】
印25-2は、図6に示すように、通路領域21の上面に、通路領域21において搬送車10が進行する方向に交差(本実施形態では、直交)して、所定の間隔ごとに複数設けられる。搬送車10は、一対の撮像ユニット16-1及び一対の撮像ユニット16-2が印25-2を撮像して検出しながら走行することで、撮像して検出した印25-2の数等に基づいて、通路領域21の進行方向における位置を検出しながら走行することができる。
【0060】
印25-3は、図6に示すように、通路領域21及び各受け渡し領域22の上面にわたって、通路領域21において搬送車10が進行する方向に交差(本実施形態では、直交)して設けられる。搬送車10は、一対の撮像ユニット16-1及び一対の撮像ユニット16-2が所望のワーク処理装置100上の受け渡し領域22に設けられた印25-3を撮像して検出することで、所望のワーク処理装置100上の受け渡し領域22に入る位置及び方向を正確に検出できる。
【0061】
印25-4は、図6に示すように、各受け渡し領域22の上面に、搬送車10が走行路20の開口24及びワーク処理装置100の開口112を通してカセット13を昇降移動させる際に搬送車10が停止する位置(停止位置)に応じて、受け渡し領域22において搬送車10が進行する方向に沿って設けられる。印25-4は、本実施形態では、例えば、搬送車10の停止位置において、フレーム11の両側端部に設けられた撮像ユニット16と対向する位置に設けられる。搬送車10は、一対の撮像ユニット16-2が印25-4を撮像して検出しながら位置を調整することで、好適に停止位置に位置付けることができる。
【0062】
印25-5は、図6に示すように、各受け渡し領域22の上面に、搬送車10の停止位置に応じて、受け渡し領域22において搬送車10が進行する方向に交差(本実施形態では、直交)して設けられる。印25-2は、本実施形態では、例えば、搬送車10の停止位置において、フレーム11の前端部及び後端部に設けられた撮像ユニット16と対向する位置と、後端部に設けられた撮像ユニット16から所定の間隔だけ後ろの位置とに設けられる。搬送車10は、一対の撮像ユニット16-1が印25-5を撮像して検出しながら位置を調整することで、好適に停止処理を開始して、好適に停止位置に位置付けることができる。
【0063】
制御ユニット30は、各ワーク処理装置100の受信機160及び送信機170と情報通信可能に接続されており、搬送車10の受信機17及び送信機18と情報通信可能に接続されている。制御ユニット30は、受信機160,17に指令情報を送信することで、制御部180,19を介して各ワーク処理装置100及び搬送車10を遠隔で制御して動作させることができる。また、制御ユニット30は、送信機170から各ワーク処理装置100の処理状況や処理履歴の情報を受信して把握することができ、送信機18から各搬送車10の搬送状況や搬送履歴の情報を受信して把握することができる。また、制御ユニット30は、送信機18から、各搬送車10の撮像ユニット16-3によって取得したガイド前画像301,ガイド後画像302を含む、各搬送車10の撮像ユニット16によって撮像した画像を、受信する。このように、制御ユニット30は、搬送システム1の構成要素である各ワーク処理装置100及び搬送車10を統括的に制御して動作させることができる。
【0064】
制御ユニット30は、図1に示すように、画像取得部31と、記録部32と、移動量算出部33と、停止位置補正部34と、停止位置検出部35と、を備える。画像取得部31は、撮像ユニット16-3によって撮像された、カセット13がガイド122によって位置決めされる前と後とのガイド前画像301,ガイド後画像302を取得する。記録部32は、撮像ユニット16-3によって撮像された、カセット13の昇降時の画像または映像の少なくともいずれかを記録する。移動量算出部33は、ガイド前画像301,ガイド後画像302からカセット13がガイド122により位置決めされる際のカセット13の水平方向の移動量351,352(図10参照)を算出する。停止位置補正部34は、移動量351,352に基づき、次に搬送車10を受け渡し領域22に停止させる際の停止位置を補正する。具体的には、停止位置補正部34は、次に搬送車10を受け渡し領域22に停止させる際に、停止位置検出部35が位置決め画像401,402,403,404,405の少なくともいずれかから検出した搬送車10の停止位置から移動量351,352を補正して、搬送車10を停止位置に停止させる。
【0065】
制御ユニット30は、本実施形態では、コンピュータシステムを含む。制御ユニット30が含むコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット30の演算処理装置は、制御ユニット30の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、搬送システム1を制御するための制御信号を、制御ユニット30の入出力インターフェース装置を介して搬送システム1の各構成要素に出力する。
【0066】
画像取得部31及び記録部32の各機能は、本実施形態では、制御ユニット30の記憶装置により実現される。移動量算出部33、停止位置補正部34及び停止位置検出部35の各機能は、本実施形態では、制御ユニット30の演算処理装置が記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0067】
以上のような構成を有する実施形態に係る搬送システム1の動作処理の一例を説明する。図7は、図1の搬送システム1によるガイド122の位置決めの一例を説明する断面図である。図8及び図9は、それぞれ、図1の搬送車10の撮像ユニット16が撮像する画像の一例であるガイド前画像301,ガイド後画像302を示す図である。図10は、図1の搬送システム1の動作処理の一例を説明する図である。搬送システム1の制御ユニット30は、搬送車10を受け渡し領域22に停止させて、搬送車10が昇降ユニット15によりカセット13をワーク処理装置100のカセット載置台120に対して降下させる際、降下するカセット13を、図7に示すように、カセット載置台120に設置されたガイド122により、水平方向に移動させて、載置領域121に位置決めする。
【0068】
搬送システム1の制御ユニット30は、撮像ユニット16-3により、カセット13がガイド122によって位置決めされる前の図8に示すガイド前画像301と、カセット13がガイド122によって位置決めされた後の図9に示すガイド後画像302とを撮像し、送信機18からガイド前画像301,ガイド後画像302を受信し、画像取得部31によりガイド前画像301,ガイド後画像302を取得する。記録部32は、画像取得部31が取得したガイド前画像301,ガイド後画像302を、カセット13を降下させた搬送車10及びワーク処理装置100と関連付けて、記録する。記録部32は、搬送車10及びワーク処理装置100の組み合わせ毎に、ガイド前画像301,ガイド後画像302を記憶する。
【0069】
搬送システム1の制御ユニット30は、撮像ユニット16-3により、カセット13がガイド122によって位置決めされる前と後とを含む、カセット13の昇降時の映像を撮像し、送信機18から当該映像を受信し、記録部32により当該映像を記録し、当該映像を処理してガイド前画像301,ガイド後画像302を抽出し、画像取得部31によりガイド前画像301,ガイド後画像302を取得してもよい。また、搬送システム1の制御ユニット30は、画像取得部31によるガイド前画像301,ガイド後画像302の取得とは別に、記録部32により当該映像を取得してもよい。搬送システム1は、このように記録部32により当該映像を取得及び記録することにより、ワーク201を含む物品200に不良があった際に原因究明に役立てることができる。
【0070】
搬送システム1の制御ユニット30は、移動量算出部33により、図10に示すように、ガイド前画像301,ガイド後画像302を、ガイド前画像301,ガイド後画像302に写るガイド122同士を重ね合わせるようにして合成処理して合成画像303を生成し、ガイド前画像301に写るカセット13の像311とガイド後画像302に写るカセット13の像312との間の移動量351,352を、カセット13がガイド122により位置決めされる際のカセット13の水平方向の移動量351,352とみなして、算出する。なお、移動量351は、移動量算出部33により、像312の位置の基準となるガイド後画像302に写るカセット13の上面に形成された印13-2の像322の中央の合成画像303におけるX座標から、像311の位置の基準となるガイド前画像301に写るカセット13の印13-2の像321の中央の合成画像303におけるX座標を差し引いて、実際の長さに換算して算出され、符号はカセット13がガイド122により位置決めされる際のカセット13の移動方向を表している。また、移動量352は、移動量算出部33により、像312の像322の中央の合成画像303におけるY座標から、像311の像321の中央の合成画像303におけるY座標を差し引いて、実際の長さに換算して算出され、符号はカセット13がガイド122により位置決めされる際のカセット13の移動方向を表している。
【0071】
搬送システム1の制御ユニット30は、移動量算出部33により算出した移動量351,352を、カセット13を降下させた搬送車10及びワーク処理装置100と関連付けて、記憶する。搬送システム1の制御ユニット30は、搬送車10及びワーク処理装置100の組み合わせ毎に、移動量算出部33により移動量351,352を算出して、記憶することでより正確に停止位置を制御することができる。
【0072】
搬送システム1の制御ユニット30は、次に搬送車10を受け渡し領域22に停止させる際、同じ組み合わせの搬送車10及び受け渡し領域22と関連付けられた移動量351,352を記憶している場合、当該記憶を参照し、停止位置補正部34により、当該移動量351,352に基づき、当該移動量351,352を打ち消す方向に、次に搬送車10を受け渡し領域22に停止させる際の停止位置を補正し、搬送車10を当該補正した停止位置に停止させる。具体的には、停止位置補正部34は、搬送車10を受け渡し領域22に停止させる際に、停止位置検出部35が位置決め画像401,402,403,404,405の少なくともいずれかから検出した搬送車10の停止位置を、前回に移動量算出部33が算出して制御ユニット30に記憶された移動量351,352に基づいて補正して、搬送車10を当該補正した停止位置に停止させる。搬送システム1は、このように停止位置補正部34により搬送車10の停止位置を補正することにより、カセット13がガイド122により位置決めされる際のカセット13の水平方向の移動量351,352を低減し、カセット13を昇降する際にガイド122に接触する等によりカセット13に発生する振動を低減できる。
【0073】
搬送システム1の制御ユニット30は、搬送車10を受け渡し領域22に停止させる際、画像取得部31によるガイド前画像301,ガイド後画像302の取得、移動量算出部33による移動量351,352の算出及び停止位置補正部34による停止位置の補正や、画像取得部31による位置決め画像401,402,403,404,405の取得及び停止位置検出部35による停止位置の調整を、搬送車10及び受け渡し領域22の組み合わせ毎に一度のみ実施しても良いし、搬送車10を受け渡し領域22に停止させる毎に実施して移動量351,352の低減及びカセット13に発生する振動の低減の精度を向上させてもよい。
【0074】
以上のような構成を有する実施形態に係る搬送システム1は、カセット13がカセット載置台120に位置決めされる際にどれくらい水平方向に移動したかを画像処理により算出し、次回の搬送車10の停止位置を補正するため、カセット13がガイド122により位置決めされる際のカセット13の水平方向の移動量351,352を低減し、カセット13を昇降する際にガイド122に接触する等によりカセット13に発生する振動を低減できるという作用効果を奏する。
【0075】
また、実施形態に係る搬送システム1は、記録部32によりカセット13の昇降時の画像または映像の少なくともいずれかを記録するため、記録した画像または映像を、ワーク201を含む物品200に不良があった際に原因究明に役立てることができる。
【0076】
また、実施形態に係る搬送システム1は、搬送車10の停止位置の基準となる印25を有する走行路20や、搬送車10の停止位置の基準となる印123を有するカセット載置台120などを撮像して、搬送車10の停止位置を位置決めすることで、搬送車10を精密に位置決めすることができる。
【0077】
また、実施形態に係る搬送システム1は、停止位置補正部34が、停止位置検出部35が検出した停止位置を移動量算出部33が算出した移動量351,352に基づき補正するので、搬送車10の停車位置を精密かつ正確に補正することが出来る。
【0078】
また、実施形態に係る搬送システム1は、画像取得部31によるガイド前画像301,ガイド後画像302の取得、移動量算出部33による移動量351,352の算出及び停止位置補正部34による停止位置の補正を、搬送車10及びワーク処理装置100の組み合わせ毎に実施する。このため、実施形態に係る搬送システム1は、搬送車10及びワーク処理装置100の個体差を考慮して、搬送車10を精密に位置決めすることができる。
【0079】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0080】
10 搬送車
13 カセット
13-2,25,25-1,25-2,25-3,25-4,25-5,123 印
15 昇降ユニット
16,16-1,16-2,16-3 撮像ユニット
20 走行路
30 制御ユニット
31 画像取得部
32 記録部
33 移動量算出部
34 停止位置補正部
35 停止位置検出部
100,100-2 ワーク処理装置
120 カセット載置台
122 ガイド
200 物品
201 ワーク
301 ガイド前画像
302 ガイド後画像
401,402,403,404,405 位置決め画像
図1
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図10