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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118140
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/535 20060101AFI20240823BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20240823BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
A61F13/535 100
A61F13/534 110
A61F13/535 200
A61F13/53 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024402
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】槇 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】中島 広嗣
(72)【発明者】
【氏名】小泉 桂人
(72)【発明者】
【氏名】請川 一夫
(72)【発明者】
【氏名】佃 淳志
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA01
3B200BA14
3B200BB03
3B200BB05
3B200BB17
3B200CA02
3B200DB05
3B200DB12
3B200DB13
3B200DB18
3B200DB19
(57)【要約】
【課題】吸収性コアの奥側まで排泄液を引き込み、吸収性コアを有効活用し、且つ、排泄液の溢れ漏れを抑制可能な吸収性物品を提供すること。
【解決手段】液体吸収性繊維(201)及び高吸収性ポリマーを含む吸収性コア(21~23)を有する吸収性物品(1)であって、吸収性コア(21~23)は、肌側から順に、高吸収性ポリマーの占める体積が液体吸収性繊維(201)の占める体積よりも大きい肌側層(21)と、液体吸収性繊維(201)の占める体積が高吸収性ポリマーの占める体積よりも大きい中間層(22)と、高吸収性ポリマーの占める体積が液体吸収性繊維(201)の占める体積よりも大きい非肌側層(23)とを有し、肌側層(21)は、周囲に比べて、吸収性コア(21~23)の坪量が低い低坪量領域(211)を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開状態において、互いに直交する長手方向、幅方向、及び、厚さ方向を有し、
液体吸収性繊維、及び、高吸収性ポリマーを含む吸収性コアを有する吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、前記厚さ方向の肌側から順に、
前記高吸収性ポリマーの占める体積が、前記液体吸収性繊維の占める体積よりも大きい肌側層と、
前記液体吸収性繊維の占める体積が、前記高吸収性ポリマーの占める体積よりも大きい中間層と、
前記高吸収性ポリマーの占める体積が、前記液体吸収性繊維の占める体積よりも大きい非肌側層と、を有し、
前記肌側層は、周囲に比べて、前記吸収性コアの坪量が低い低坪量領域を有すること、を特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記肌側層は、前記非肌側層とは異なる種類の前記高吸収性ポリマーを有し、
前記肌側層が有する前記高吸収性ポリマーは、前記非肌側層が有する前記高吸収性ポリマーに比べて、ボルテックス法により測定した液体吸収速度が遅いこと、を特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
展開状態において、互いに直交する長手方向、幅方向、及び、厚さ方向を有し、
液体吸収性繊維、及び、高吸収性ポリマーを含む吸収性コアを有する吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、前記厚さ方向の肌側から順に、
前記高吸収性ポリマーの占める体積が、前記液体吸収性繊維の占める体積よりも大きい肌側層と、
前記液体吸収性繊維の占める体積が、前記高吸収性ポリマーの占める体積よりも大きい中間層と、
前記高吸収性ポリマーの占める体積が、前記液体吸収性繊維の占める体積よりも大きい非肌側層と、を有し、
前記肌側層は、前記非肌側層とは異なる種類の前記高吸収性ポリマーを有し、
前記肌側層が有する前記高吸収性ポリマーは、前記非肌側層が有する前記高吸収性ポリマーに比べて、ボルテックス法により測定した液体吸収速度が遅いこと、を特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の吸収性物品であって、
前記低坪量領域は、前記肌側層を前記厚さ方向に貫通するスリットであること、を特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の吸収性物品であって、
前記中間層と前記非肌側層の少なくとも一方は、周囲に比べて、前記吸収性コアの坪量が低い他の低坪量領域を有すること、を特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項5に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアの平面視において、
前記低坪量領域は、前記他の低坪量領域と重複する部位を有すること、を特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項5に記載の吸収性物品であって、
前記非肌側層は、前記他の低坪量領域を有し、
前記非肌側層が有する前記他の低坪量領域には、前記中間層の前記液体吸収性繊維の坪量よりも低い坪量にて、前記液体吸収性繊維が配されていること、を特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項5に記載の吸収性物品であって、
前記非肌側層は、前記他の低坪量領域を有し、
前記非肌側層が有する前記他の低坪量領域には、前記液体吸収性繊維が配されていないこと、を特徴とする吸収性物品。
【請求項9】
請求項5に記載の吸収性物品であって、
前記他の低坪量領域は、当該他の低坪量領域が配置されている前記中間層又は前記非肌側層の長手方向の両端縁よりも内側に配されており、
前記低坪量領域の方が、前記他の低坪量領域よりも、前記長手方向の長さが長いこと、を特徴とする吸収性物品。
【請求項10】
請求項5に記載の吸収性物品であって、
前記中間層は、前記長手方向に延在する前記他の低坪量領域を有し、
前記中間層が有する前記他の低坪量領域の少なくとも一部は、展開状態の前記吸収性物品を前記長手方向に二等分する中心線よりも背側の領域に設けられていること、を特徴とする吸収性物品。
【請求項11】
請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
色水を吸収した状態の前記吸収性コアを、前記幅方向に沿って切断したときの切断面において、前記肌側層に位置する単位面積当たりの前記高吸収性ポリマーの数、及び、前記非肌側層に位置する前記単位面積当たりの前記高吸収性ポリマーの数は、前記中間層に位置する前記単位面積当たりの前記高吸収性ポリマーの数よりも多いこと、を特徴とする吸収性物品。
【請求項12】
請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記中間層の平均厚みは0.5mm以上であること、を特徴とする吸収性物品。
【請求項13】
請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記中間層の平均厚みは、前記肌側層の平均厚みと、前記非肌側層の平均厚みとを合計した値よりも大きいこと、を特徴とする吸収性物品。
【請求項14】
請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記肌側層と前記非肌側層の少なくとも一方は、前記液体吸収性繊維を有すること、を特徴とする吸収性物品。
【請求項15】
請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記肌側層と前記非肌側層の少なくとも一方は、接着剤を介さずに、前記中間層と前記厚さ方向に隣接して積層されていること、を特徴とする吸収性物品。
【請求項16】
請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記肌側層と前記非肌側層の少なくとも一方は、不織布を介さずに、前記中間層と前記厚さ方向に隣接して積層されていること、を特徴とする吸収性物品。
【請求項17】
請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記肌側層と前記非肌側層の少なくとも一方は、不織布を介して、前記中間層と前記厚さ方向に隣接して積層されていること、を特徴とする吸収性物品。
【請求項18】
請求項17に記載の吸収性物品であって、
前記肌側層よりも前記厚さ方向の肌側、及び、前記非肌側層よりも前記厚さ方向の非肌側において、コアラップシートを有し、
前記不織布の坪量は、前記コアラップシートの坪量よりも小さいこと、を特徴とする吸収性物品。
【請求項19】
請求項17に記載の吸収性物品であって、
前記肌側層よりも前記厚さ方向の肌側、及び、前記非肌側層よりも前記厚さ方向の非肌側において、コアラップシートを有し、
前記不織布の吸水量は、前記コアラップシートの吸水量よりも大きいこと、を特徴とする吸収性物品。
【請求項20】
請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記中間層は、前記長手方向の中央部において、前記幅方向の内側に括れた括れ部を有し、
前記肌側層と前記非肌側層の少なくとも一方は、前記括れ部よりも前記幅方向の外側に延出していること、を特徴とする吸収性物品。
【請求項21】
請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記肌側層は、前記非肌側層とは異なる種類の前記高吸収性ポリマーを有し、
前記肌側層が有する前記高吸収性ポリマーは、前記非肌側層が有する前記高吸収性ポリマーに比べて、通液性が高いこと、を特徴とする吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の吸収性物品では、吸収体が、SAP(高吸水性樹脂)で構成されたSAP層と、SAP層を上下から挟むように積層される上層吸収性コアおよび下層吸収性コアとを含むことが開示されている。SAP層は、平面方向に並ぶ複数のSAP領域を有し、複数のSAP領域の間隙に入り込むようにセカンドシートが折り曲げられていることで、体液を吸収してゼリー状となった複数のSAP領域が互いにくっついて塊になることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-141308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の吸収体が含む上層吸収性コアは、パルプで構成されたパルプ層である。パルプはSAPに比べて液体の吸収速度が速い。そのため、特許文献1の吸収体のようにSAP層よりも肌当接側にパルプ層(上層吸収性コア)が位置していると、パルプ層が排泄液を素早く吸収してしまい、吸収体(吸収性コア)の奥側(非肌当接側)まで排泄液を引き込むことが難しくなる。そうすると、吸収体を有効活用できず、吸収体の吸水保持量が減ってしまう。
また、シートにSAP層を担持させたSAPシートが吸収体として用いられることがある。しかし、パルプ層を有さないSAPシートの場合、吸収速度の速いパルプ層で排泄液を一時貯蔵できず、排泄時に排泄液が溢れ漏れるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、吸収性コアの奥側まで排泄液を引き込み、吸収性コアを有効活用し、且つ、排泄液の溢れ漏れを抑制可能な吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、展開状態において、互いに直交する長手方向、幅方向、及び、厚さ方向を有し、液体吸収性繊維、及び、高吸収性ポリマーを含む吸収性コアを有する吸収性物品であって、前記吸収性コアは、前記厚さ方向の肌側から順に、前記高吸収性ポリマーの占める体積が、前記液体吸収性繊維の占める体積よりも大きい肌側層と、前記液体吸収性繊維の占める体積が、前記高吸収性ポリマーの占める体積よりも大きい中間層と、前記高吸収性ポリマーの占める体積が、前記液体吸収性繊維の占める体積よりも大きい非肌側層と、を有し、前記肌側層は、周囲に比べて、前記吸収性コアの坪量が低い低坪量領域を有すること、を特徴とする吸収性物品である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吸収性コアの奥側まで排泄液を引き込み、吸収性コアを有効活用し、且つ、排泄液の溢れ漏れを抑制可能な吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】おむつ1の概略斜視図である。
図2】展開且つ伸長状態のおむつ1を肌側から見た平面図である。
図3図2の中央線CLでの概略断面図である。
図4】第1実施形態の吸収体20の断面模式図である。
図5】吸収性コア21~23を重ね合わせた平面図である。
図6図6Aは肌側層21の平面図であり、図6Bは中間層22及び非肌側層23の平面図である。
図7図7A図7Cは吸収性コア21~23の変形例の平面図である。
図8】吸収性コア21~23の変形例の平面図である。
図9図9A及び図9Bは吸収体20の変形例の断面模式図である。
図10図10A及び図10Bは吸収体20の変形例の断面模式図である。
図11】吸収体20の変形例の断面模式図である。
図12】第2実施形態の吸収体20の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
(態様1)
展開状態において、互いに直交する長手方向、幅方向、及び、厚さ方向を有し、液体吸収性繊維、及び、高吸収性ポリマーを含む吸収性コアを有する吸収性物品であって、前記吸収性コアは、前記厚さ方向の肌側から順に、前記高吸収性ポリマーの占める体積が、前記液体吸収性繊維の占める体積よりも大きい肌側層と、前記液体吸収性繊維の占める体積が、前記高吸収性ポリマーの占める体積よりも大きい中間層と、前記高吸収性ポリマーの占める体積が、前記液体吸収性繊維の占める体積よりも大きい非肌側層と、を有し、前記肌側層は、周囲に比べて、前記吸収性コアの坪量が低い低坪量領域を有すること、を特徴とする吸収性物品。
【0010】
態様1によれば、肌側層の高吸収性ポリマーが排泄液を吸収する前に、排泄液が低坪量領域から中間層へ素早く移行しやすく、また、中間層の液体吸収性繊維にて、排泄液を素早く一時吸収できる。よって、排泄液の溢れ漏れを抑制できる。その後、中間層の液体吸収性繊維間に吸収された排泄液は、重力により非肌側層に移行して、非肌側層の高吸収性ポリマーに吸収保持される。よって、吸収性コアの奥側まで排泄液を引き込み、吸収性コアを有効活用できる。
【0011】
(態様2)態様1に記載の吸収性物品であって、
前記肌側層は、前記非肌側層とは異なる種類の前記高吸収性ポリマーを有し、前記肌側層が有する前記高吸収性ポリマーは、前記非肌側層が有する前記高吸収性ポリマーに比べて、ボルテックス法により測定した液体吸収速度が遅いこと、を特徴とする吸収性物品。
【0012】
態様2によれば、肌側層の高吸収性ポリマーが排泄液を吸収する前に、排泄液が中間層へ移行しやすくなる。
【0013】
(態様3)
展開状態において、互いに直交する長手方向、幅方向、及び、厚さ方向を有し、液体吸収性繊維、及び、高吸収性ポリマーを含む吸収性コアを有する吸収性物品であって、前記吸収性コアは、前記厚さ方向の肌側から順に、前記高吸収性ポリマーの占める体積が、前記液体吸収性繊維の占める体積よりも大きい肌側層と、前記液体吸収性繊維の占める体積が、前記高吸収性ポリマーの占める体積よりも大きい中間層と、前記高吸収性ポリマーの占める体積が、前記液体吸収性繊維の占める体積よりも大きい非肌側層と、を有し、前記肌側層は、前記非肌側層とは異なる種類の前記高吸収性ポリマーを有し、前記肌側層が有する前記高吸収性ポリマーは、前記非肌側層が有する前記高吸収性ポリマーに比べて、ボルテックス法により測定した液体吸収速度が遅いこと、を特徴とする吸収性物品。
【0014】
態様3によれば、肌側層の高吸収性ポリマーが排泄液を吸収する前に、排泄液が中間層へ移行しやすく、また、中間層の液体吸収性繊維にて、排泄液を素早く一時吸収できる。よって、排泄液の溢れ漏れを抑制できる。その後、中間層の液体吸収性繊維間に吸収された排泄液は、重力により非肌側層に移行して、非肌側層の高吸収性ポリマーに吸収保持される。よって、吸収性コアの奥側まで排泄液を引き込み、吸収性コアを有効活用できる。
【0015】
(態様4)態様1又は2に記載の吸収性物品であって、
前記低坪量領域は、前記肌側層を前記厚さ方向に貫通するスリットであること、を特徴とする吸収性物品。
【0016】
態様4によれば、排泄液がスリットに落ち込み、低坪量領域から中間層への排泄液の移行速度が速くなる。
【0017】
(態様5)態様1又は2の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記中間層と前記非肌側層の少なくとも一方は、周囲に比べて、前記吸収性コアの坪量が低い他の低坪量領域を有すること、を特徴とする吸収性物品。
【0018】
態様5によれば、中間層の他の低坪量領域から非肌側層へ排泄液が移行しやすくなったり、非肌側層の他の低坪量領域から非肌側層のより奥側へ排泄液が移行しやすくなったりする。よって、吸収性コアの奥側まで排泄液を引き込みやすくなる。
【0019】
(態様6)態様5に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアの平面視において、前記低坪量領域は、前記他の低坪量領域と重複する部位を有すること、を特徴とする吸収性物品。
【0020】
態様6によれば、肌側層の低坪量領域を流れた排泄液が、中間層又は非肌側層の他の低坪量領域に流れやすく、吸収性コアの奥側まで排泄液を引き込みやすくなる。
【0021】
(態様7)態様5又は6に記載の吸収性物品であって、
前記非肌側層は、前記他の低坪量領域を有し、前記非肌側層が有する前記他の低坪量領域には、前記中間層の前記液体吸収性繊維の坪量よりも低い坪量にて、前記液体吸収性繊維が配されていること、を特徴とする吸収性物品。
【0022】
態様7によれば、他の低坪量領域の液体吸収性繊維によって排泄液が平面方向に拡散しやすく、また、他の低坪量領域に高吸収性ポリマーが転がり難く、他の低坪量領域の機能が確保される。
【0023】
(態様8)態様5又は6の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記非肌側層は、前記他の低坪量領域を有し、前記非肌側層が有する前記他の低坪量領域には、前記液体吸収性繊維が配されていないこと、を特徴とする吸収性物品。
【0024】
態様8によれば、他の低坪量領域に排泄液が落ち込みやすく、非肌側層への排泄液の吸収速度が速くなる。
【0025】
(態様9)態様5~8の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記他の低坪量領域は、当該他の低坪量領域が配置されている前記中間層又は前記非肌側層の長手方向の両端縁よりも内側に配されており、前記低坪量領域の方が、前記他の低坪量領域よりも、前記長手方向の長さが長いこと、を特徴とする吸収性物品。
【0026】
態様9によれば、他の低坪量領域に沿って拡散した排泄液が吸収性コアの長手方向の外側へ漏れてしまうことを抑制できる。また、肌側層の低坪量領域に沿って、排泄液を長手方向に拡散しつつ、排泄液を中間層へ移行できるため、吸収性コアを長手方向に有効活用できる。
【0027】
(態様10)態様5~9の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記中間層は、前記長手方向に延在する前記他の低坪量領域を有し、前記中間層が有する前記他の低坪量領域の少なくとも一部は、展開状態の前記吸収性物品を前記長手方向に二等分する中心線よりも背側の領域に設けられていること、を特徴とする吸収性物品。
【0028】
態様10によれば、他の低坪量領域が折れ起点となり、吸収性コア(特に中間層)が着用者の臀部に沿って幅方向に湾曲した形状に変形しやすくなる。
【0029】
(態様11)態様1~10の何れかに記載の吸収性物品であって、
色水を吸収した状態の前記吸収性コアを、前記幅方向に沿って切断したときの切断面において、前記肌側層に位置する単位面積当たりの前記高吸収性ポリマーの数、及び、前記非肌側層に位置する前記単位面積当たりの前記高吸収性ポリマーの数は、前記中間層に位置する前記単位面積当たりの前記高吸収性ポリマーの数よりも多いこと、を特徴とする吸収性物品。
【0030】
態様11によれば、肌側層が液吸収する前に、排泄液が中間層へ移行しやすくなる。中間層では、単位面積当たりの高吸収性ポリマーの数が少ないので、液体吸収性繊維が排泄液を一時吸収しやすくなり、排泄液の溢れ漏れを抑制できる。また、中間層の液体吸収性繊維の間の排泄液が、非肌側層の高吸収性ポリマーによって吸収保持されやすくなり、吸収性コアをより奥側まで有効活用できる。
【0031】
(態様12)態様1~11の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記中間層の平均厚みは0.5mm以上であること、を特徴とする吸収性物品。
【0032】
態様12によれば、中間層の平均厚みが0.5mm未満である場合に比べて、液体吸収性繊維による排泄液の吸収量が高まり、排泄液の溢れ漏れを抑制できる。
【0033】
(態様13)態様1~12の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記中間層の平均厚みは、前記肌側層の平均厚みと、前記非肌側層の平均厚みとを合計した値よりも大きいこと、を特徴とする吸収性物品。
【0034】
態様13によれば、中間層の平均厚みが肌側層及び非肌側層の平均厚みの合計値以下である場合に比べて、中間層の液体吸収性繊維の繊維間の空間が確保され、排泄液の吸収量が高まり、排泄液の溢れ漏れを抑制できる。
【0035】
(態様14)態様1~13の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記肌側層と前記非肌側層の少なくとも一方は、前記液体吸収性繊維を有すること、を特徴とする吸収性物品。
【0036】
態様14によれば、液体吸収性繊維によって肌側層や非肌側層での排泄液の吸収速度が速くなる。
【0037】
(態様15)態様1~14の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記肌側層と前記非肌側層の少なくとも一方は、接着剤を介さずに、前記中間層と前記厚さ方向に隣接して積層されていること、を特徴とする吸収性物品。
【0038】
態様15によれば、接着剤によって中間層又は非肌側層への排泄液の移行が阻害されてしまうことを防止でき、中間層又は非肌側層への吸収速度が速くなる。
【0039】
(態様16)態様1~15の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記肌側層と前記非肌側層の少なくとも一方は、不織布を介さずに、前記中間層と前記厚さ方向に隣接して積層されていること、を特徴とする吸収性物品。
【0040】
態様16によれば、不織布によって中間層又は非肌側層への排泄液の移行が阻害されてしまうことを防止でき、中間層又は非肌側層への吸収速度が速くなる。
【0041】
(態様17)態様1~16の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記肌側層と前記非肌側層の少なくとも一方は、不織布を介して、前記中間層と前記厚さ方向に隣接して積層されていること、を特徴とする吸収性物品。
【0042】
態様17によれば、中間層又は非肌側層へ移行する前に、不織布上において排泄液が平面方向に拡散しやすくなる。よって、平面方向に拡散した排泄液を中間層又は非肌側層へ移行でき、吸収性コアを有効活用できる。
【0043】
(態様18)態様17に記載の吸収性物品であって、
前記肌側層よりも前記厚さ方向の肌側、及び、前記非肌側層よりも前記厚さ方向の非肌側において、コアラップシートを有し、前記不織布の坪量は、前記コアラップシートの坪量よりも小さいこと、を特徴とする吸収性物品。
【0044】
態様18によれば、吸収性コアの内部に配される不織布の坪量を小さくする(剛性を下げる)ことで、肌側層から非肌側層が一体変形しやすくなり、吸収性コアの型崩れを抑制できる。
【0045】
(態様19)態様17又は18に記載の吸収性物品であって、
前記肌側層よりも前記厚さ方向の肌側、及び、前記非肌側層よりも前記厚さ方向の非肌側において、コアラップシートを有し、前記不織布の吸水量は、前記コアラップシートの吸水量よりも大きいこと、を特徴とする吸収性物品。
【0046】
態様19によれば、吸収性コアの内部に配される不織布によっても排泄液を一時吸収でき、排泄液の溢れ漏れを抑制できる。
【0047】
(態様20)態様1~19の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記中間層は、前記長手方向の中央部において、前記幅方向の内側に括れた括れ部を有し、前記肌側層と前記非肌側層の少なくとも一方は、前記括れ部よりも前記幅方向の外側に延出していること、を特徴とする吸収性物品。
【0048】
態様20によれば、中間層の括れ部によって、着用時の違和感(ごわつき感)を軽減しつつ、幅の狭い括れ部から延出する肌側層又は非肌側層によって排泄液の漏れを抑制できる。
【0049】
(態様21)態様1~20の何れかに記載の吸収性物品であって、
前記肌側層は、前記非肌側層とは異なる種類の前記高吸収性ポリマーを有し、
前記肌側層が有する前記高吸収性ポリマーは、前記非肌側層が有する前記高吸収性ポリマーに比べて、通液性が高いこと、を特徴とする吸収性物品。
【0050】
態様21によれば、肌側層の高吸収性ポリマーが排泄液を吸収する前に、排泄液が中間層へ移行しやすく、中間層の液体吸収性繊維にて、排泄液を素早く一時吸収できる。よって、排泄液の溢れ漏れを抑制できる。
【0051】
===第1実施形態===
本発明に係る吸収性物品として、乳幼児用のパンツ型使い捨ておむつ1(以下、「おむつ1」とも呼ぶ)を例に挙げて説明する。ただし、本発明に係る吸収性物品には、テープ型使い捨ておむつ、ショーツ型ナプキン、吸収パッド、生理用ナプキンやその他の吸収性物品も含まれる。また、吸収性物品の着用者は、乳幼児に限らず、大人又は動物等の生物であってもよい。
【0052】
<おむつ1の構成>
図1は、おむつ1の概略斜視図である。図2は、展開且つ伸長状態のおむつ1を肌側から見た平面図である。図3は、図2の中央線CLでの概略断面図である。おむつ1の「伸長状態」とは、おむつ1全体を皺なく伸長させた状態、具体的には、おむつ1を構成する各部材(例えば、後述する吸収性本体10や胴回り部30、40等)の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い寸法になるまで伸長させた状態のことを言う。おむつ1の「展開状態」とは、おむつ1の両側部に設けられている一対のサイド接合部2を分離して、おむつ1を開いて平面的に展開した状態である。
【0053】
おむつ1は、互いに直交する上下方向と幅方向と前後方向とを有し、胴回り開口部BHと一対の脚回り開口部LHとを有している。上下方向の上側が胴回り開口部BH側に対応し、下側が股下側に対応する。前後方向の前側が着用者の腹側に対応し、後側が着用者の背側に対応する。幅方向は、前側胴回り部30及び後側胴回り部40の糸ゴム33、43の伸縮方向に沿った方向である。上下方向は、伸縮方向に直交する直交方向に沿った方向である。
【0054】
おむつ1は、液吸収性の吸収性本体10と、一対の胴回り部30,40とを有する所謂3ピースタイプのパンツ型おむつである。一対の胴回り部のうち、着用者の腹側部を覆うものを前側胴回り部30とも称し、着用者の背側部を覆う後側胴回り部40とも称す。
【0055】
図2の展開状態において、おむつ1は、互いに直交する長手方向、幅方向、及び、厚さ方向を有する。長手方向は、吸収性本体10の長手方向に沿い、且つ、パンツ型のおむつ1の上下方向に沿う方向である。厚さ方向は、図3に示すように、おむつ1を構成する資材が積層された方向である。厚さ方向において着用者の肌と接する側を肌側とし、その反対側を非肌側とする。また、展開状態において、前側胴回り部30と後側胴回り部40とが互いに長手方向に間隔をあけて平行に並んだ状態で、これらの間に吸収性本体10が掛け渡されつつ、吸収性本体10の長手方向の各端部がそれぞれ最寄りの胴回り部30,40の肌側に接合固定されており、外観形状は平面視略H形状をなす。そして、この状態から、吸収性本体10の長手方向の中央線CLにて二つ折りされる。この二つ折りの状態において、互いに対向する前側胴回り部30と後側胴回り部40とが、幅方向両側の側部にて接合・連結され、一対のサイド接合部2が形成される。なお、サイド接合部2は、溶着や接着等の公知の接合手段によって形成されている。
【0056】
吸収性本体10は、吸収体20(詳細は後述)と、吸収体20よりも肌側に配置された液透過性のトップシート12と、吸収体20よりも非肌側に配置されたバックシート13とを有する。バックシート13は、液不透過性シート13aと、その非肌側に配された疎水性の外装シート13bと、の二層構造である。但し、吸収性本体10が、これ以外のシート部材を備えていても良い。例えば、トップシート12と吸収体20との厚さ方向の間に、セカンドシート(不図示)を備えていてもよい。
【0057】
吸収性本体10の幅方向の両側部には、吸収性本体10の長手方向に沿って一対の防漏壁部15が設けられている。図3では、幅方向において、外装シート13bの一部が吸収体20の両端よりも外側に延出しつつ、肌側に複数個所で折り曲げられることによって、一対の防漏壁部15が形成される。防漏壁部15の先端部には、糸ゴム等の防漏壁弾性部材16が吸収性本体10の長手方向に沿って伸長した状態で取り付けられ、防漏壁部15が肌側に起立可能に構成されている。
また、吸収性本体10の幅方向の両側部には、糸ゴム等の脚回り弾性部材17が吸収性本体10の長手方向に沿って伸長した状態で取り付けられている。
【0058】
前側胴回り部30及び後側胴回り部40は、それぞれ、肌側シート31,41と、非肌側シート32,42と、複数の糸ゴム等の胴回り弾性部材33,43とを有する。複数の胴回り弾性部材33,43は、肌側シート31,41と非肌側シート32,42の間に、上下方向に並んで配置されるとともに、幅方向に伸長した状態で取り付けられている。胴回り弾性部材33,43の伸縮性によって、前側胴回り部30及び後側胴回り部40は、着用者の胴回りにフィットする。また、吸収性本体10の上端部を肌側から覆うように、カバーシート34,44が設けられていてもよい。カバーシート34,44によって、吸収性本体10の口開き等を抑制できる。
【0059】
また、図3に示すように、展開かつ伸長状態における前側胴回り部30と後側胴回り部40の平面形状は異なる。前側胴回り部30は、上下方向の長さがサイド接合部2と概ね同じ長さであり、幅方向に長い長方形状である。後側胴回り部40は、前側胴回り部30と重なる長方形状の部位と、それよりも下側に延出する略台形形状の部位40Eとを有する。該延出する部位40Eによって着用者の臀部を被覆できる。
【0060】
以上、おむつ1の基本構成を説明したが、上記構成は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、前側胴回り部30と後側胴回り部40が連続した1つの部材で形成されていたり、前側胴回り部30と後側胴回り部40を繋ぐ股下部の外装部材が設けられていたりしてもよい。また、胴回り弾性部材33,43等の弾性部材が、糸ゴムではなく、シート状の弾性部材であってもよい。
【0061】
===吸収体20について===
図4は、第1実施形態の吸収体20の断面模式図である。図5は、吸収性コア21~23を重ね合わせた平面図である。図6Aは、肌側層21の平面図であり、図6Bは、中間層22及び非肌側層23の平面図である。図7A図7C図8は、吸収性コア21~23の変形例の平面図である。図9A図9B図10A図10B、及び図11は、吸収体20の変形例の断面模式図である。
【0062】
図4に示すように、吸収体20は、肌側のコアラップシート24と非肌側のコアラップシート25の間において、吸収性コア21~23を有する。吸収性コア21~23は、尿等の排泄液を吸収して保持する部材であり、液体吸収性繊維201、及び、高吸収性ポリマーを含む。液体吸収性繊維201、及び、高吸収性ポリマー(Super Absorbent Polymer:以下、SAPとも称す)は、吸収性物品の吸収性コアとして使用可能なものであれば特に制限されない。例えば、液体吸収性繊維201としては、木材パルプ繊維や、バガス、ケナフ、竹、麻、綿等の非木材パルプ繊維、レーヨン繊維等の再生セルロース繊維、アセテート繊維等の半合成繊維等を例示できる。SAPとしては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系の高分子吸収剤を例示できる。
また、コアラップシート24,25は、液透過性のシートであり、ティッシュや不織布等を例示できる。
【0063】
吸収性コア21~23は、厚さ方向の肌側から順に、肌側層21と、中間層22と、非肌側層23とを有する。肌側層21及び非肌側層23は、SAPの占める体積が液体吸収性繊維201の占める体積よりも大きい層である。中間層22は、液体吸収性繊維201の占める体積がSAPの占める体積よりも大きい層である。そして、肌側層21は、周囲に比べて、吸収性コアの坪量(すなわち液体吸収性繊維201及びSAPの合計坪量:g/m)が低い低坪量領域211を有する。
【0064】
そのため、着用者がおむつ1に排泄し、吸収体20が排泄液を受けた時、排泄液は、低坪量領域211から吸収体20の内部(中間層22)に素早く引き込まれる。液体吸収性繊維201は、SAPに比べて、液体の吸収速度が速い。中間層22では液体吸収性繊維201の体積占有率が高いため、低坪量領域211から中間層22に移行した排泄液は、中間層22に素早く一時吸収される。
また、肌側層21では、液体の吸収速度が遅いSAPの体積占有率が高い。そのため、低坪量領域211以外の肌側層21の領域においても、排泄液は、肌側層21のSAPに吸収される前に、中間層22に移行しやすい。
その後、中間層22の液体吸収性繊維201の繊維間に吸収された排泄液は、重力により徐々に非肌側層23に移行する。非肌側層23ではSAPの体積占有率が高い。そのため、排泄液は非肌側層23のSAPにしっかりと吸収保持される。
【0065】
ここで仮に、肌側層において液体吸収性繊維の体積占有率が高いとすると、排泄液が肌側層にて素早く吸収されてしまう。そうすると、排泄液が吸収性コアの奥側まで浸透し難くなってしまう。また、吸収性コアの肌側面が湿った状態となりやすい。
【0066】
これに対して、本実施形態の吸収性コア21~23では、非肌側層23まで排泄液を引き込みやすく、吸収性コア21~23を厚さ方向に有効活用できる。そのため、吸収性コア21~23の吸水保持量が高まり、繰り返し排泄が行われても、排泄液の漏れを抑制できる。また、吸収性コア21~23の肌側面のドライ性が確保され、おむつ1の着け心地が向上する。
【0067】
また、中間層22や非肌側層23の排泄液が肌側への液戻りしようとした場合、肌側層21のSAPが排泄液を吸収保持する。ゆえに、排泄液のリウェットを抑制できる。この点からも吸収性コア21~23の肌側面のドライ性が確保される。
【0068】
また、仮に、吸収性コアが、排泄液を素早く吸収する中間層を有さないとする。例えば、シートにSAP層を担持させたSAPシートが複数枚重ねられただけの吸収性コアの場合、排泄時に排泄液が溢れ漏れるおそれがある。これに対して、本実施形態の吸収性コア21~23では、液体吸収性繊維201の体積占有率が高い中間層22を有するため、排泄液の溢れ漏れを抑制できる。
【0069】
また、SAPの吸収速度は遅いので、肌側層21では、排泄液が中間層22に移行しつつ、平面方向にも拡散する。よって、平面拡散した排泄液を中間層22へ移行できる。但し、肌側層21が排泄液を全く吸収しない訳ではなく、肌側層21のSAPも適度に排泄液を吸収するため、排泄液の溢れ漏れを抑制できる。また、中間層22に移行した排泄液も、非肌側層23に移行しつつ、平面方向にも拡散する。よって、平面拡散した排泄液を中間層22へ移行できる。ゆえに、吸収性コア21~23を平面方向にも有効活用できる。
以上のように、第1実施形態の吸収性コア21~23によれば、吸収性コア21~の奥側(非肌側層23)まで排泄液を引き込み、吸収性コア21~23を有効活用でき、且つ、排泄液の溢れ漏れを抑制できる。
【0070】
なお、吸収性コア21~23の全域に亘って、肌側層21と中間層22と非肌側層23の3層が積層されるに限らず、何れかの部位において3層(21~23)が積層されていればよい。好ましくは、おむつ1の着用時に着用者の尿の排泄口が当接する位置とその近傍において、3層(21~23)が積層されているとよい。同様に、肌側層21の低坪量領域211や後述する中間層22及び非肌側層23の低坪量領域221,231も、着用者の尿の排泄口が当接する位置とその近傍に設けられているとよい。そうすることで、排泄時に直接多量の排泄液を受ける位置において、排泄液を吸収性コア21~23の奥側へ素早く引き込むことができる。
【0071】
例えば、図5に例示する肌側層21は、中間層22及び非肌側層23と、長手方向の長さが同じであるが、図7A図7Cに示す変形例のように、肌側層21の長手方向の長さが短く、背側(後側)に肌側層21が設けられていなくてもよい。図示しないが、非肌側層23が背側に設けられていなくてもよい。この場合、資材を削減でき、且つ、背側の吸収性コアの剛性が下がり、柔軟性が高まる。また、背側の領域は、着用者の尿の排泄口からも離れる為、肌側層21や非肌側層23が存在しなくとも、排泄液が溢れ漏れる問題も生じ難い。
【0072】
また、肌側層21が有する低坪量領域211は、肌側層21を厚さ方向に貫通するスリットであることが好ましい。
この場合、排泄液が低坪量領域211に落ち込む為、肌側層21から中間層22への排泄液の移行速度が速くなる。よって、排泄液の溢れ漏れを抑制できる。
【0073】
しかし、上記に限らない。図示しないが、肌側層21の低坪量領域211に液体吸収性繊維201やSAPが存在していてもよい。また、肌側層21の一部が厚さ方向に凹んだ低坪量領域211であってもよい。
【0074】
なお、吸収性コア21~23の各層において、液体吸収性繊維201とSAPがそれぞれ占める体積の比較は、周知の方法で確認できる。
例えば、外力が作用していない自然状態且つ乾燥状態のおむつ1において、吸収体20の長手方向の任意の位置、具体的には、3層21~23が積層されている箇所、かつ、製品折り位置から離れた箇所にて、おむつ1(吸収体20)を幅方向に沿って切断する。次に、光学顕微鏡(例:キーエンス社製デジタルマイクロスコープVHX-7000、又はそれと同等のもの)を用いて、切断面を拡大し(例:30~100倍)、撮影する。
撮影された断面画像において、液体吸収性繊維201とSAPを識別する。そして、断面画像において、SAPの占める面積が液体吸収性繊維201の占める面積よりも大きい肌側層21と、液体吸収性繊維201の占める面積がSAPの占める面積よりも大きい中間層22と、SAPの占める面積が液体吸収性繊維201の占める面積よりも大きい非肌側層23とが、厚さ方向の肌側から順に積層されていることを確認する。上記のことが確認された場合、本実施形態の吸収性コア21~23とする。なお、好ましくは、吸収体20の長手方向の複数箇所の断面画像において、3層21~23が重ねられていることを確認するが望ましい。
また、撮影された断面画像に基づいて、肌側層21が低坪量領域211を有することや、低坪量領域211がスリットであることも確認できる。
【0075】
また、色水を吸収した状態の吸収性コア21~23を、幅方向に沿って切断したときの切断面において、肌側層21に位置する単位面積当たりのSAPの数、及び、非肌側層23に位置する単位面積当たりのSAPの数は、中間層22に位置する単位面積当たりのSAPの数よりも多いことが好ましい。
【0076】
肌側層21の単位面積当たりのSAP数が多いことで、肌側層21が液吸収する前に、排泄液が中間層22へ移行しやすくなり、吸収体20表面のドライ性も確保されやすくなる。中間層22では、単位面積当たりのSAP数が少ないので、液体吸収性繊維201が排泄液を一時吸収しやすくなり、排泄液の溢れ漏れを抑制できる。また、非肌側層23の単位面積当たりのSAP数が多いことで、中間層22の液体吸収性繊維201の間の排泄液が、非肌側層23のSAPによって吸収保持されやすくなる。よって、吸収性コア21~23をより奥側まで有効活用できる。
【0077】
なお、色水を吸収した状態の吸収性コアとは、例えば青色に着色した水の中に、吸収性コア21~23の全部を10分間浸漬させた後に、吸収性コア21~23を取り出して吊るして10分間放置する等して、余剰水を取り除いたものである。色水に浸漬させるのは、おむつ1全体であっても、トルエン等を用いておむつ1から吸収性本体10や吸収体20に分離した状態であってもよい。
その後、吸収性コアのうち3層(肌側層21、中間層22、非肌側層23)が積層されている部位を、幅方向に沿って切断する。吸収性コア21~23が色水を十分に吸収した状態では、色水を吸収して膨潤し着色されたSAPの視認性が高まる。そのため、吸収性コアの切断面を観察することで、各層21~23の単位面積当たりのSAP数を比較できる。切断面の観察は、目視で行ったり、光学顕微鏡を用いて行ったりするとよい。また、色水の色や濃度は特に限定されず、SAPが視認可能となるものであればよい。
【0078】
また、肌側層21は、非肌側層23とは異なる種類のSAPを有してもよい。例えば、肌側層21が有するSAPは、非肌側層23が有するSAPに比べて、ボルテックス法により測定した液体吸収速度が遅いことが望ましい。
【0079】
そうすることで、肌側層21のSAPが排泄液を吸収する前に、排泄液が平面方向に拡散しつつ、中間層22に移行しやすくなる。その結果、吸収性コア21~23を有効活用できる。また、肌側層21での吸収が適度に抑えられ、吸収性コア21~23の肌側面のドライ性が確保される。また、肌側層21のSAPが膨潤して液吸収を阻害してしまうことを防止できる。
【0080】
ボルテックス法によるSAPの液体吸収速度については、周知の方法にて測定できる。例えば、容積が100mlのビーカーに濃度が0.900%(±0.009%)、温度が25℃(±2℃)の生理食塩水を50.0ml(±0.5ml)入れる。次いで、マグネットスターラー上にビーカーを置き、スターラーバーをビーカーの中に入れる。次いで、600rpm(±30rpm)でスターラーバーを回転させ、ビーカー内の生理食塩水が安定して渦を形成することを確かめる。次いで、おむつ1から取り出した測定対象のSAPを2.00g(±0.02g)ビーカー内に入れた瞬間からストップウォッチで計測を開始し、渦が消え液面が水平になった時点までの時間を計測する。この時間が長いほど、液体吸収速度が遅い。
【0081】
その他、肌側層21が有するSAPが、非肌側層23が有するSAPに比べて、通液性が高くてもよい。
そうすることで、肌側層21のSAPが排泄液を吸収する前に、排泄液が中間層22に移行しやすくなり、吸収体20を有効活用できる。また、肌側層21での吸収が適度に抑えられ、吸収性コア21~23の肌側面のドライ性が確保される。また、肌側層21のSAPが膨潤して液吸収を阻害してしまうことを防止できる。
【0082】
また、一般的に、通液性の低いSAPである程、保水量が高くなる傾向にある。よって、非肌側層23のSAPの通液性が低いことで、保水量が高まりやすくなる。ゆえに、吸収性コア21~23の奥側まで浸透した多くの排泄液が、非肌側層23のSAPに保持され、リウェットを抑制できる。
【0083】
SAPの通液性については、周知の方法にて測定できる。
例えば以下の方法を例示できる。先ず、測定試料(SAP)0.32gを150mlの生理食塩水に30分間浸漬して膨潤ゲル粒子を調製した。そして、垂直に立てた円筒{直径(内径)25.4mm、長さ40cm、底部から60mlの位置及び40mlの位置にそれぞれ目盛り線が設けてある。}の底部に、金網(目開き106μm、JIS Z8801-1:2006)と、開閉自在のコック(通液部の内径5mm)とを有する濾過円筒管内に、コックを閉鎖した状態で、調製した膨潤ゲル粒子を生理食塩水と共に移した後、この膨潤ゲル粒子の上に円形金網(目開き150μm、直径25mm)が金網面に対して垂直に結合する加圧軸(重さ22g、長さ47cm)を金網と膨潤ゲル粒子とが接触するように載せ、更に加圧軸におもり(88.5g)を載せ、1分間静置した。引き続き、コックを開き、濾過円筒管内の液面が60ml目盛り線から40ml目盛り線になるのに要する時間(T1:秒)を計測し、次式よりゲル通液速度(ml/分)を求めた。
生理食塩水によるゲル通液速度(ml/分)=20ml×60/(T1-T2)
なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃で行い、T2は測定試料の無い場合について上記と同様の操作により計測した時間である。ゲル通液速度が速いほど、通液性が高い。
【0084】
しかし、上記に限定されることなく、肌側層21と非肌側層23が各々有するSAPの種類は同じであってもよい。その場合、製造の手間やコスト等を削減できる。また、肌側層21と非肌側層23が有するSAPの種類が異なる場合、ボルテックス法により測定した液体吸収速度と通液性とのうち、両方が異なっていてもよいし、一方が異なるだけでもよい。
【0085】
また、図6Aに例示する肌側層21は、長手方向に長い長方形状の分割領域21a~21cを3つ有する。3つの分割領域21a~21cは幅方向に間隔を空けて並んで配置されている。この3つの分割領域21a~21cの間の2つの領域が、肌側層21の低坪量領域211(スリット)となる。2つの低坪量領域211は、肌側層21の幅方向の中心線CL2を挟んで、幅方向に対称に配置されている。
【0086】
図6Bに例示する中間層22及び非肌側層23は、一体化して形成されたものであり、同じ平面形状を成す。中間層22及び非肌側層23は、長手方向の中央部において、幅方向の内側に括れた括れ部222,232を有する。なお、中間層22及び非肌側層23を長手方向の最大長さで3分割したときの中央の領域を長手方向の中央部とし、そこに括れ部222,232の少なくとも一部が位置していればよい。
【0087】
上記のように中間層22と非肌側層23が括れ部222,232を有する場合、図5に示すように、肌側層21は、中間層22及び非肌側層23の括れ部222,232よりも幅方向の外側に延出しているとよい。
そうすることで、括れ部222,232によって着用者が脚を開閉した際の違和感を軽減しつつ、幅の狭い中間層22及び非肌側層23の括れ部222,232の外側にSAPを配することができる。そのため、排泄液の横漏れを抑制できる。
【0088】
また、図10A図10Bに示す変形例のように、肌側層21と中間層22が一体化して形成されたものであり、それに非肌側層23が積層された吸収体20であってもよい。この場合、図示しないが、肌側層21と中間層22が括れ部を有する形状である場合、非肌側層23が、その括れ部よりも幅方向の外側に延出する構成であってもよい。
【0089】
また、肌側層21と同様に、中間層22と非肌側層23の少なくとも一方は、周囲に比べて、吸収性コアの坪量(すなわち液体吸収性繊維201及びSAPの合計坪量:g/m)が低い低坪量領域(他の低坪量領域に相当)を有することが好ましい。本実施形態の吸収体20は、図4に示すように、中間層22と非肌側層23の両方が低坪量領域221,231を有する。
【0090】
そうすることで、中間層22の低坪量領域221から非肌側層23へ排泄液が移行しやすくなったり、非肌側層23の低坪量領域231から非肌側層23のより奥側へ排泄液が移行しやすくなったりする。そのため、吸収性コア21~23の奥側まで排泄液を素早く引き込むことができ、吸収性コア21~23を有効活用できる。
【0091】
好ましくは、図5に示すように、吸収性コア21~23の平面視において、肌側層21の低坪量領域211は、中間層22及び非肌側層23の低坪量領域221,231と重複する部位を有するとよい。本実施形態の中間層22及び非肌側層23は各々2つの低坪量領域221,231を有する。中間層22及び非肌側層23の各々2つの低坪量領域221,231は、肌側層21の2つの低坪量領域211と重複している。
【0092】
そうすることで、肌側層21の低坪量領域211に流れた排泄液が、そのまま中間層22及び非肌側層23の低坪量領域221,231に流れやすくなる。そのため、吸収性コア21~23の奥側まで排泄液をより素早く引き込むことができ、吸収性コア21~23を有効活用できる。
【0093】
なお、中間層22及び非肌側層23の低坪量領域221,231は、厚さ方向に貫通するスリットであってもよいし、低坪量領域221,231に液体吸収性繊維201やSAPが存在してもよいし、厚さが一部凹んだ低坪量領域221,231であってもよい。
【0094】
図4に例示する非肌側層23の低坪量領域231には、中間層22の液体吸収性繊維201の坪量よりも低い坪量にて、液体吸収性繊維201が配されている。
このように、非肌側層23の低坪量領域231に液体吸収性繊維201が薄っすら存在することで、低坪量領域231に周囲のSAPが転がり難く、低坪量領域231の機能を確保でき、また、吸収性コア21~23の型崩れを抑制できる。また、最下層の低坪量領域231にて排泄液が停滞し難く、低坪量領域231に沿って平面方向に拡散しやすくなる。
【0095】
しかし、上記とは逆に、変形例の図9A図10Aに示すように、非肌側層23が有する低坪量領域231に、液体吸収性繊維201が配されていなくてもよい。好ましくは、非肌側層23の低坪量領域231がスリットであるとよい。
そうすることで、非肌側層23の低坪量領域231の液体吸収性繊維201に排泄液が一時吸収されないので、非肌側層23のより奥側まで排泄液を素早く引き込むことができる。
【0096】
なお、図10A図10Bに示すように、肌側層21と中間層22が一体的に形成されている場合において、図10Aに示すように、中間層22の低坪量領域221に液体吸収性繊維201が設けられていてもよい。この場合、低坪量領域221によって排泄液を拡散させつつ、非肌側層23へ移行できる。
又は、図10Bに示すように、肌側層21の低坪量領域211に、中間層21の坪量よりも低い坪量にて、薄っすら液体吸収性繊維221が設けられていてもよい。この場合、排泄液を拡散させつつ中間層22へ移行でき、また、肌側層21の低坪量領域211に、SAPが転がり難く、低坪量領域211の機能が確保される。
【0097】
また、図6Bに示すように、中間層22及び非肌側層23の低坪量領域221,231は、当該低坪量領域221,231が配置されている中間層22又は非肌側層23の長手方向の両端縁よりも内側に配されているとよい。さらに、図5に示すように、肌側層21の低坪量領域211の方が、中間層22及び非肌側層23の低坪量領域221,231よりも、長手方向の長さが長いことが好ましい。
【0098】
そうすることで、中間層22及び非肌側層23の低坪量領域221,231に沿って拡散した排泄液が、吸収性コア21~23の長手方向の外側に漏れてしまうことを抑制できる。一方、肌側層21の低坪量領域211は長手方向の長さが長くとも、さらには肌側層21の長手方向の両端縁に達していても、長手方向に拡散した排泄液を、中間層22及び非肌側層23で受けることができる。よって、排泄液が吸収性コア21~23の長手方向の外側に漏れてしまうことを抑制できる。また、肌側層21の低坪量領域211が長手方向に長いことで、排泄液を長手方向に拡散しつつ中間層22へ移行できる。そのため、吸収性コア21~23を長手方向に有効活用できる。
【0099】
但し、上記に限定されることなく、例えば、中間層22や非肌側層23が低坪量領域221,231を有していなくてもよいし、中間層22や非肌側層23の低坪量領域221,231が肌側層21の低坪量領域211と重複していなくてもよい。また、各層の有する低坪量領域211~231の形状、大きさ、数、配置位置等は、特に限定されるものではない。
【0100】
例えば、図7B及び図7Cの変形例に示すように、各層の有する低坪量領域211~231が1つずつであり、吸収性コア21~23の幅方向の中心線CL2上に配置されていてもよい。また、図8の変形例に示すように、各層21~23の低坪量領域21~23が完全に重複していたり、複数の低坪量領域221~231が長手方向に間隔を空けて配置されていたりしてもよい。
【0101】
また、図8の変形例に示すように、中間層22が有する長手方向に延在する低坪量領域221の少なくとも一部が、展開状態のおむつ1を長手方向に二等分する中心線CL(製品中心線)よりも背側(後側)の領域に設けられていてもよい。
【0102】
この場合、長手方向に延びる低坪量領域221,231が折れ起点となる。そのため、液体吸収性繊維201の体積占有率が高く、比較的に剛性の高い中間層22が、着用者の臀部に沿って幅方向に湾曲しやすい。よって、フィット性が向上し、且つ、着用者が脚を閉じた際に生じる皺を分散させることができる。
また、寝姿勢で過ごすことの多い低月齢の乳児を着用対象とした場合、吸収性コア21~23の背側の領域に体圧が掛かり易い。そのため、背側の領域に、中間層22の低坪量領域221や、他の2層の低坪量領域211,231が設けられていることで、排泄液を吸収性コア21の奥側に素早く引き込むことができ、背側での漏れを抑制できる。
【0103】
また、中間層22の坪量は50g/cm以上200g/cm以下であることが好ましい。
そうすることで、中間層22の坪量が50g/cm未満である場合に比べて、例えば、中間層22がパルプ繊維等で形成された不織布(シート部材)である場合に比べて、中間層22が有する液体吸収性繊維201の繊維間に排泄液を吸収できる。よって、中間層22にて排泄液を素早く一時吸収でき、排泄時の排泄液の溢れ漏れを抑制できる。
一方、中間層22の坪量が200g/cmよりも大きい場合に比べて、中間層22の厚みを適度に抑えることができる。ゆえに、着用時の違和感(ごわつき感)を軽減でき、また、肌側層21及び非肌側層23との一体感が薄れて中間層22のみで層間剥離してしまうことを抑制できる。なお、中間層22の坪量の測定は、周知の方法で測定できる。
【0104】
また、中間層22の平均厚みt2は0.5mm以上であることが好ましい。
そうすることで、中間層22の平均厚みが0.5mm未満である場合に比べて、例えば、中間層22がパルプ繊維等で形成された不織布(シート部材)である場合に比べて、中間層22が有する液体吸収性繊維201の繊維間に排泄液を吸収できる。よって、中間層22にて排泄液を素早く一時吸収でき、排泄時の排泄液の溢れ漏れを抑制できる。
但し、中間層22が厚すぎると、上記のように、ごわつき感等が生じるため、好ましくは中間層22の平均厚みを2.5mm以下にするとよい。
【0105】
また、中間層22の平均厚みt2は、肌側層21の平均厚みt1と、非肌側層23の平均厚みt3とを合計した値よりも大きいことが好ましい(t2>t1+t3)。
そうすることで、中間層22の平均厚みt2が肌側層21と非肌側層23の平均厚みの合計値t1+t3以下である場合に比べて、中間層22の厚みが確保され、中間層22が有する液体吸収性繊維201の繊維間に排泄液を吸収できる。よって、中間層22にて排泄液を素早く一時吸収でき、排泄時の排泄液の溢れ漏れを抑制できる。一方、肌側層21及び非肌側層23の厚みt1,t3を抑えることで、SAPが吸収性コア11~13に必要以上に配されてしまうことを防止できる。
【0106】
なお、各層21~23の厚みの測定は、周知の方法で測定できる。例えば、外力が作用していない自然状態且つ乾燥状態のおむつ1において、吸収体20の長手方向の任意の位置、具体的には、3層21~23が積層されている箇所、かつ、製品折り位置から離れた箇所にて、おむつ1(吸収体20)を幅方向に沿って切断する。次に、光学顕微鏡(例:キーエンス社製デジタルマイクロスコープVHX-7000、又はそれと同等のもの)を用いて、切断面を拡大し(例:30~100倍)、撮影する。この時、液体吸収性繊維201に焦点を当てて拡大撮影する。
撮影された断面画像において、液体吸収性繊維201が見えている層を中間層22と判定し、それよりも肌側又は非肌側の吸収性コアの部位をそれぞれ肌側層21及び非肌側層23とする。また、断面画像において幅方向の複数箇所(例えば3箇所)の測定位置を決定し、各測定位置での各層21~23の厚みを取得する。好ましくは、吸収体20の長手方向の複数箇所の断面画像を撮影して、各層21~23の厚みを取得するとよい。層21~23毎に、取得した厚みの平均値を算出し、肌側層21の平均厚みt1、中間層22の平均厚みt2、非肌側層23の平均厚みt3とする。
【0107】
また、中間層22の密度は、肌側層21の密度よりも小さく、かつ、非肌側層23の密度よりも小さいことが好ましい。
そうすることで、中間層22の密度が肌側層21及び非肌側層23の密度以上である場合に比べて、中間層22が有する液体吸収性繊維201の繊維間の空間が確保される。よって、その繊維間の空間に排泄液を一時吸収でき、排泄時の排泄液の溢れ漏れを抑制できる。なお、各層21~23の密度は、周知の方法にて測定できる。
【0108】
また、図4に例示する中間層22及び非肌側層23は一体的に形成されている。そのため、非肌側層23は、SAPだけでなく、液体吸収性繊維201を有していてもよい。
非肌側層23が有する液体吸収性繊維201によって、中間層22から非肌側層23への排泄液の吸収速度が高まる。そのため、吸収性コア21~23の奥側に排泄液を素早く引き込むことができ、排泄液の溢れ漏れを抑制できる。
【0109】
また、図10A及び図10Bのように、肌側層21と中間層22が一体的に形成されている場合、肌側層21が、SAPだけでなく、液体吸収性繊維201を有していてもよい。この場合も、肌側層21の液体吸収性繊維201が排泄液を素早く吸収するため、排泄液の溢れ漏れをより抑制できる。
【0110】
なお、図4に例示する中間層22及び非肌側層23は、一体的に形成されているため、中間層22から非肌側層23に向かうにしたがって、液体吸収性繊維201の体積占有率が低くなり、SAPの体積占有率が高くなる。図10A図10Bの肌側層21及び中間層22は逆に、肌側層21から中間層22に向かうにしたがって、液体吸収性繊維201の体積占有率が高くなり、SAPの体積占有率が低くなる。このような吸収性コアは、例えば、回転ドラムの外周面に設けられた吸収性コアの形状に対応した成形型(凹部)に向かって投入するSAP及び液体吸収性繊維201の順番や量やタイミング等を調整することによって製造できる。
【0111】
また、図4に例示する非肌側層23は、中間層22と一体的に形成されており、接着剤HMAを介さずに、中間層22と厚さ方向に隣接して積層される。
この場合、接着剤HMAによって中間層22から非肌側層23への排泄液の移行が阻害されてしまうことを防止できる。よって、吸収性コア21~23のより奥側に排泄液を素早く引き込むことができる。また、接着剤HMAが設けられていないことで、吸収体20の剛性が下がり、ごわつき感を軽減できる。
【0112】
また、図4に例示する非肌側層23は、中間層22と一体的に形成されており、不織布を介さずに、中間層22と厚さ方向に隣接して積層される。
この場合、不織布によって中間層22から非肌側層23への排泄液の移行が阻害されてしまうことを防止できる。よって、吸収性コア21~23のより奥側に排泄液を素早く引き込むことができる。また、不織布が設けられていないことで、吸収体20の剛性が下がり、ごわつき感を軽減できる。
【0113】
なお、図10A図10Bに示すように、肌側層21と中間層22が一体的に形成されている場合、肌側層21が接着剤HMAや不織布を介さずに、中間層22と厚さ方向に隣接できる。よって、接着剤HMAや不織布によって肌側層21から中間層22への排泄液の移行が阻害されてしまうことを防止できる。
【0114】
また、図4に例示する肌側層21は、中間層22と一体的に形成されておらず、不織布26を介して、中間層22と厚さ方向に隣接して積層されている。この場合、肌側層21から中間層22に排泄液が移行する前に、不織布26上において排泄液が平面方向に拡散する。よって、平面方向に拡散した排泄液を中間層22に移行でき、吸収性コア21~23を平面方向に有効活用できる。
【0115】
しかし、上記に限らず、図9Bに示すように、中間層22と一体的に形成されていない肌側層21が、接着剤HMAや不織布を介さずに中間層22と積層されていてもよい。そうすることで、不織布や接着剤HMAによって肌側層21から中間層22への排泄液の移行が阻害されてしまうことを防止できる。同様に、図10Bに示すように、中間層22と一体的に形成されていない非肌側層23が、接着剤HMAや不織布を介さずに中間層22と積層されていてもよい。
【0116】
また、中間層22が肌側層21と非肌側層23の一方と一体的に形成されるに限らず、両方と一体的に形成されてもよい。
又は、3層21~23が個別に形成されて積層されたものであってもよい。その場合、図11に示すように、肌側層21と中間層22の間、及び、中間層22と非肌側層23の間に、それぞれ不織布26,27や接着剤HMAが設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。
【0117】
また、中間層21と肌側層21又は非肌側層23との間に配される不織布26は、コアラップシート24,25の坪量よりも小さいことが好ましい。
そうすることで、不織布26を介して区画される層21~23同士が分離し難く、一体的に変形しやすい。よって、着用時の違和感を軽減でき、吸収性コア21~23の型崩れを抑制できる。
【0118】
また、中間層21と肌側層21又は非肌側層23との間に配される不織布26の吸水量は、コアラップシート24,25の吸水量よりも大きいことが好ましい。
そうすることで、吸収性コア21~23の内部の不織布26においても、排泄液を一時吸収でき、排泄時の排泄液の溢れ漏れを抑制できる。
【0119】
なお、コアラップシート24,25及び不織布26の吸水量は周知の方法にて測定できる。例えば、トルエン等を用いておむつ1から分離して乾燥させたサンプルの全部を、生理食塩水(例えば0.9%)に10分間浸漬させた後、取り出す。取り出したサンプルを吊るして10分間放置する等して、余剰水を取り除いた後、サンプルの質量を測定する。そして、以下の式から吸水量を算出する。
吸水量(g/m)=浸漬後のサンプル質量-浸漬前のサンプル質量/サンプルの面積
【0120】
===第2実施形態===
図12は、第2実施形態の吸収体20の断面模式図である。
第2実施形態のおむつ1(吸収性物品)と、第1実施形態のおむつ1とでは、吸収体20の構成が異なる。以下、第1実施形態と異なる点について、主に説明する。
【0121】
第2実施形態の吸収性コア21~23も、第1実施形態と同様に、厚さ方向の肌側から順に、SAPの占める体積が液体吸収性繊維201の占める体積よりも大きい肌側層21と、液体吸収性繊維201の占める体積がSAPの占める体積よりも大きい中間層22と、SAPの占める体積が液体吸収性繊維201の占める体積よりも大きい非肌側層23とを有する。
【0122】
そして、肌側層21は、非肌側層23とは異なる種類のSAPを有し、肌側層21が有するSAPは、非肌側層23が有するSAPに比べて、ボルテックス法により測定した液体吸収速度が遅い。なお、ボルテックス法による液体吸収速度の測定方法については、第1実施形態にて説明した方法と同じである。
【0123】
第2実施形態の吸収体20の肌側層21は、低坪量領域211を有していても、有していなくてもよい。図12に例示する肌側層21には低坪量領域211が設けられていない。この場合であっても、肌側層21のSAPの吸収速度が遅い為、肌側層21が排泄液を吸収する前に、排泄液が中間層22へ移行しやすくなる。中間層22に移行した排泄液は、中間層22の液体吸収性繊維201に素早く吸収される。よって、排泄液の溢れ漏れを抑制できる。その後、中間層22の液体吸収性繊維201の繊維間に吸収された排泄液は、重力により徐々に非肌側層23に移行する。非肌側層23ではSAPの体積占有率が高い。そのため、排泄液は非肌側層23のSAPにしっかりと吸収保持される。
以上のように、第2実施形態の吸収性コア21~23によれば、吸収性コア21~の奥側(非肌側層23)まで排泄液を引き込み、吸収性コア21~23を有効活用でき、且つ、排泄液の溢れ漏れを抑制できる。
【0124】
特に、SAPの吸収速度が遅いので、肌側層21では、排泄液が中間層22に移行しつつ、平面方向にも拡散する。よって、吸収性コア21~23を平面方向にも有効活用できる。また、肌側層21のSAPの吸収量が抑えられるので、吸収性コア21~23の肌側面のドライ性が確保される。また、肌側層21のSAPが膨潤して液吸収を阻害してしまうことを防止でき、繰り返し排泄される場合にも、排泄液の溢れ漏れを抑制できる。
【0125】
なお、図12では、中間層22や非肌側層23が低坪量領域を有していてないが、中間層22や非肌側層23が低坪量領域を有していてもよい。
【0126】
以上、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0127】
1 パンツ型使い捨ておむつ(吸収性物品)
2 サイド接合部、
10 吸収性本体、
12 トップシート、
13a バックシート(液不透過性シート)、
13b バックシート(外装シート)、
15 防漏壁部、16 防漏壁弾性部材、
17 脚回り弾性部材、
20 吸収体、
201 液体吸収性繊維、
SAP 高吸収性ポリマー、
21 肌側層(吸収性コア)、211 低坪量領域、
22 中間層(吸収性コア)、221 低坪量領域、
23 非肌側層(吸収性コア)、231 低坪量領域、
24 コアラップシート、25 コアラップシート、
26 不織布、27 不織布、
30 前側胴回り部、
31 肌側シート、32 非肌側シート、
33 胴回り弾性部材、
34 カバーシート、
40 後側胴回り部、
41 肌側シート、42 非肌側シート、
43 胴回り弾性部材、
44 カバーシート、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12