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特開2024-118171ブレーキング装置及びブレーキング装置の異常検知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118171
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】ブレーキング装置及びブレーキング装置の異常検知方法
(51)【国際特許分類】
   B28D 7/00 20060101AFI20240823BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240823BHJP
   B28D 5/00 20060101ALI20240823BHJP
   C03B 33/033 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
B28D7/00
H01L21/78 T
B28D5/00 A
B28D5/00 Z
C03B33/033
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024449
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有賀 真也
(72)【発明者】
【氏名】大平 哲
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘明
【テーマコード(参考)】
3C069
4G015
5F063
【Fターム(参考)】
3C069AA02
3C069BA03
3C069BB01
3C069BB04
3C069BC02
3C069BC03
3C069BC04
3C069CA05
3C069CA11
3C069CB01
3C069CB04
3C069DA01
3C069DA03
3C069EA05
4G015FA03
4G015FB01
4G015FC02
4G015FC14
5F063AA04
5F063AA28
5F063AA41
5F063AA48
5F063BA33
5F063BA34
5F063BA45
5F063BA47
5F063BA48
5F063CB07
5F063CB28
5F063DD81
5F063DD83
5F063DE01
5F063DE11
5F063DE16
5F063DE23
5F063DE33
5F063EE07
5F063EE09
5F063EE21
5F063EE34
5F063FF42
5F063FF43
(57)【要約】
【課題】ワークの破損を抑制することができる。
【解決手段】ブレーキング装置1は、ワークユニットを固定するフレーム固定ユニット10と、ワークユニット200の分割予定ラインを検出する検出ユニット20と、分割すべき分割予定ラインに隣接した領域の上下から挟持する挟持ユニット40と、分割すべき分割予定ラインを挟んで挟持ユニット40の反対側で分割すべき分割予定ラインに隣接した領域を押圧する押圧バー60と、を備える。検出ユニット20は、フレーム固定ユニット10でフレームが固定されたワークユニットのワークを撮像する撮像カメラ21,22を有する。撮像カメラ21,22で挟持ユニット40及び押圧バー60を撮像した撮像画像に基づいて異常を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分割予定ラインが設定されるとともに各該分割予定ラインに沿って分割起点が形成されたワークと該ワークが貼着されたシートと該シートの外周が貼着されたフレームとからなるワークユニットの該フレームを固定するフレーム固定ユニットと、該フレーム固定ユニットで該フレームが固定されたワークユニットの分割予定ラインを検出する検出ユニットと、分割すべき分割予定ラインに隣接した領域のワークを該ワークユニットの上下から挟持する上側挟持面と下側挟持面とを有した挟持ユニットと、該分割すべき分割予定ラインを挟んで該挟持ユニットの反対側で該分割すべき分割予定ラインに隣接した領域のワークを押圧し該分割すべき分割予定ラインに沿ってワークをブレーキングする押圧バーと、を備えたブレーキング装置であって、
該検出ユニットは該フレーム固定ユニットで該フレームが固定されたワークユニットのワークを撮像する撮像カメラを有し、
該撮像カメラで該挟持ユニットまたは該押圧バーの少なくとも一方を撮像した撮像画像に基づいて該ブレーキング装置の異常を検出する、ブレーキング装置。
【請求項2】
警報発信ユニットと、
少なくとも該検出ユニットと該押圧バーと該警報発信ユニットとを制御するコントローラと、を備え、
該コントローラは、該挟持ユニットまたは該押圧バーに異常がない状態で、該撮像カメラで該挟持ユニットまたは該押圧バーを撮像した正常時画像を記憶する正常時画像記憶部を有し、
該正常時画像記憶部で記憶された該正常時画像と、該撮像カメラで該挟持ユニットまたは該押圧バーの少なくとも一方を撮像した撮像画像と、を比較することで該挟持ユニットまたは該押圧バーの異常有無を検出し、異常を検出した場合に該警報発信ユニットから警報を発信する、請求項1に記載のブレーキング装置。
【請求項3】
該撮像カメラが該挟持ユニットまたは該押圧バーを撮像した撮像画像に基づいて該挟持ユニットまたは該押圧バーへの異物付着を検知する、請求項1または請求項2に記載のブレーキング装置。
【請求項4】
該撮像カメラが該押圧バーを撮像した撮像画像に基づいて該押圧バーの摩耗を検知する、請求項1または請求項2に記載のブレーキング装置。
【請求項5】
複数の分割予定ラインが設定されるとともに各該分割予定ラインに沿って分割起点が形成されたワークと該ワークが貼着されたシートと該シートの外周が貼着されたフレームとからなるワークユニットの該フレームを固定するフレーム固定ユニットと、該フレーム固定ユニットで該フレームが固定されたワークユニットの分割予定ラインを検出する検出ユニットと、分割すべき分割予定ラインに隣接した領域のワークを該ワークユニットの上下から挟持する上側挟持面と下側挟持面とを有した挟持ユニットと、該分割すべき分割予定ラインを挟んで該挟持ユニットの反対側で該分割すべき分割予定ラインに隣接した領域のワークを押圧し該分割すべき分割予定ラインに沿ってワークをブレーキングする押圧バーと、を備えたブレーキング装置の異常検知方法であって、
該検出ユニットの撮像カメラで該挟持ユニットまたは該押圧バーの少なくとも一方を撮像した撮像画像に基づいて該ブレーキング装置の異常を検知する、ブレーキング装置の異常検知方法。
【請求項6】
該撮像カメラが該挟持ユニットまたは該押圧バーを撮像した撮像画像に基づいて該挟持ユニットまたは該押圧バーへの異物付着を検知する、請求項5に記載のブレーキング装置の異常検知方法。
【請求項7】
該撮像カメラが該押圧バーを撮像した撮像画像に基づいて該押圧バーの摩耗を検知する、請求項6に記載のブレーキング装置の異常検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキング装置及びブレーキング装置の異常検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスやサファイア、SiC等のワークは、設定された分割予定ラインに沿って分割され、複数のチップが形成される。ワークを分割する場合、例えば分割予定ラインに沿ってレーザビームを照射してワーク内部に改質層を形成した後、従来から種々のブレーキング装置で分割している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-71390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されたブレーキング装置は、一対の挟持ユニットとワークとの間やワークと押圧バーとの間に異物を挟み込んだ状態で、ワークを押圧バーで押圧するとワーク破損に繋がりかねない。
【0005】
また、前述したブレーキング装置は、押圧バーの先端が摩耗した状態でワークを押圧しても分割予定ラインに沿ってワークが分割されずに、分割予定ラインから外れた位置でワークが分割されてしまうおそれがあり、ワークが破損するおそれが生じ、改善が切望されていた。
【0006】
本発明の目的は、ワークの破損を抑制することができるブレーキング装置及びブレーキング装置の異常検知方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のブレーキング装置は、複数の分割予定ラインが設定されるとともに各該分割予定ラインに沿って分割起点が形成されたワークと該ワークが貼着されたシートと該シートの外周が貼着されたフレームとからなるワークユニットの該フレームを固定するフレーム固定ユニットと、該フレーム固定ユニットで該フレームが固定されたワークユニットの分割予定ラインを検出する検出ユニットと、分割すべき分割予定ラインに隣接した領域のワークを該ワークユニットの上下から挟持する上側挟持面と下側挟持面とを有した挟持ユニットと、該分割すべき分割予定ラインを挟んで該挟持ユニットの反対側で該分割すべき分割予定ラインに隣接した領域のワークを押圧し該分割すべき分割予定ラインに沿ってワークをブレーキングする押圧バーと、を備えたブレーキング装置であって、該検出ユニットは該フレーム固定ユニットで該フレームが固定されたワークユニットのワークを撮像する撮像カメラを有し、該撮像カメラで該挟持ユニットまたは該押圧バーの少なくとも一方を撮像した撮像画像に基づいて該ブレーキング装置の異常を検出することを特徴とする。
【0008】
前記ブレーキング装置において、警報発信ユニットと、少なくとも該検出ユニットと該押圧バーと該警報発信ユニットとを制御するコントローラと、を備え、該コントローラは、該挟持ユニットまたは該押圧バーに異常がない状態で、該撮像カメラで該挟持ユニットまたは該押圧バーを撮像した正常時画像を記憶する正常時画像記憶部を有し、該正常時画像記憶部で記憶された該正常時画像と、該撮像カメラで該挟持ユニットまたは該押圧バーの少なくとも一方を撮像した撮像画像と、を比較することで該挟持ユニットまたは該押圧バーの異常有無を検出し、異常を検出した場合に該警報発信ユニットから警報を発信しても良い。
【0009】
前記ブレーキング装置において、該撮像カメラが該挟持ユニットまたは該押圧バーを撮像した撮像画像に基づいて該挟持ユニットまたは該押圧バーへの異物付着を検知しても良い。
【0010】
前記ブレーキング装置において、該撮像カメラが該押圧バーを撮像した撮像画像に基づいて該押圧バーの摩耗を検知しても良い。
【0011】
本発明のブレーキング装置の異常検知方法は、複数の分割予定ラインが設定されるとともに各該分割予定ラインに沿って分割起点が形成されたワークと該ワークが貼着されたシートと該シートの外周が貼着されたフレームとからなるワークユニットの該フレームを固定するフレーム固定ユニットと、該フレーム固定ユニットで該フレームが固定されたワークユニットの分割予定ラインを検出する検出ユニットと、分割すべき分割予定ラインに隣接した領域のワークを該ワークユニットの上下から挟持する上側挟持面と下側挟持面とを有した挟持ユニットと、該分割すべき分割予定ラインを挟んで該挟持ユニットの反対側で該分割すべき分割予定ラインに隣接した領域のワークを押圧し該分割すべき分割予定ラインに沿ってワークをブレーキングする押圧バーと、を備えたブレーキング装置の異常検知方法であって、該検出ユニットの撮像カメラで該挟持ユニットまたは該押圧バーの少なくとも一方を撮像した撮像画像に基づいて該ブレーキング装置の異常を検知することを特徴とする。
【0012】
前記ブレーキング装置の異常検知方法において、該撮像カメラが該挟持ユニットまたは該押圧バーを撮像した撮像画像に基づいて該挟持ユニットまたは該押圧バーへの異物付着を検知しても良い。
【0013】
前記ブレーキング装置の異常検知方法において、該撮像カメラが該押圧バーを撮像した撮像画像に基づいて該押圧バーの摩耗を検知しても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、分割時のワークの損傷を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態1に係るブレーキング装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、実施形態1に係るブレーキング装置の分割対象のワークを備えるワークユニットを模式的に示す斜視図である。
図3図3は、図1に示されたブレーキング装置の挟持ユニットの下側挟持ユニットの構成を模式的に示す斜視図である。
図4図4は、図1に示されたブレーキング装置の挟持ユニットの上側挟持ユニットの構成を示す一部断面で模式的に示す側面図である。
図5図5は、図1に示されたブレーキング装置の押圧バーを一部断面で模式的に示す側面図である。
図6図6は、図5に示された矢印VI方向からみた荷重計測部を一部断面で模式的に示す正面図である。
図7図7は、図1に示されたブレーキング装置の正常時画像記憶部が記憶した上側挟持バーの正常時画像の一例を示す図である。
図8図8は、図1に示されたブレーキング装置の正常時画像記憶部が記憶した押圧バーの正常時画像の一例を示す図である。
図9図9は、図1に示されたブレーキング装置の正常時画像記憶部が記憶した矩形状挟持バーの正常時画像の一例を示す図である。
図10図10は、図1に示されたブレーキング装置のフレーム固定ユニットにフレームを固定した状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
図11図11は、図1に示されたブレーキング装置の検出ユニットで分割すべき分割予定ラインを検出する状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
図12図12は、図1に示されたブレーキング装置の挟持バー間に分割すべき分割予定ラインの隣のデバイスを挟持した状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
図13図13は、図1に示されたブレーキング装置の分割すべき分割予定ラインを分割した状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
図14図14は、図1に示されたブレーキング装置の下方撮像カメラが上側挟持バーを撮像する状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
図15図15は、図14に示された下方撮像カメラが撮像して取得した上側挟持バーの撮像画像を示す図である。
図16図16は、図14に示された下方撮像カメラが撮像して取得した押圧バーの撮像画像を示す図である。
図17図17は、図1に示されたブレーキング装置の上方撮像カメラが矩形状挟持バーを撮像する状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
図18図18は、図17に示された上方撮像カメラが撮像して取得した矩形状挟持バーの撮像画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0017】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るブレーキング装置を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係るブレーキング装置の構成例を模式的に示す斜視図である。図2は、実施形態1に係るブレーキング装置の分割対象のワークを備えるワークユニットを模式的に示す斜視図である。
【0018】
(ワークユニット)
実施形態1に係る図1に示すブレーキング装置1は、図2に示すワークユニット200のワーク201を個々のチップ210に分割する装置である。図2に示されたワークユニット200は、ワーク201と、シート202と、フレーム203とからなる。
【0019】
ワーク201は、例えば、ガラス、サファイア、SiCなどを基板204とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハである。ワーク201は、図2に示すように、表面205に互いに交差する複数の分割予定ライン206が設定されるとともに、分割予定ライン206によって区画された領域にデバイス207が形成されている。なお、本発明では、ワーク201は、基板204がガラス、サファイア、SiC以外の材質で構成されても良く、デバイス207が形成されていなくても良い。
【0020】
デバイス207は、例えば、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、LED(Light-Emitting Diode)等の光学素子又はメモリ(半導体記憶装置)である。
【0021】
また、ワーク201は、分割予定ライン206に沿って分割起点208が形成されている。実施形態1では、分割起点208は、基板204の内部に分割予定ライン206に沿って形成された改質層であるが、本発明では、改質層の他に表面205から凹の加工溝でも良い。なお、改質層は、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲のそれとは異なる状態になった領域のことを意味し、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域、及びこれらの領域が混在した領域等を例示できる。改質層は、基板204の他の箇所よりも機械的な強度が低い。
【0022】
シート202は、ワーク201よりも大径な円板状に形成され、外周にフレーム203が貼着され、中央部にワーク201が貼着される。実施形態1では、シート202は、ワーク201の裏面209に貼着されている。シート202は、非粘着性と可撓性を有する樹脂により構成された基材層と、基材層に積層されかつ粘着性と可撓性を有する樹脂により構成された糊層とを備え、糊層がワーク201及びフレーム203に貼着される粘着テープ、又は、糊層を備えずに熱可塑性樹脂により構成されかつワーク201及びフレーム203に熱圧着される基材層のみから構成されるシートである。
【0023】
フレーム203は、内径がワーク201の外径よりも大径な円環状に形成され、シート202の外周が貼着される。フレーム203は、非可撓性の硬質な材料により構成され、実施形態1では、磁性を有する金属により構成されている。
【0024】
ワークユニット200は、ワーク201の裏面209にシート202が貼着され、シート202の外周にフレーム203が貼着されて、シート202によりフレーム203の開口内にワーク201を支持して構成される。
【0025】
(ブレーキング装置)
次に、図1に示されたブレーキング装置1を説明する。図3は、図1に示されたブレーキング装置の挟持ユニットの下側挟持ユニットの構成を模式的に示す斜視図である。図4は、図1に示されたブレーキング装置の挟持ユニットの上側挟持ユニットの構成を示す一部断面で模式的に示す側面図である。図5は、図1に示されたブレーキング装置の押圧バーを一部断面で模式的に示す側面図である。図6は、図5に示された矢印VI方向からみた荷重計測部を一部断面で模式的に示す正面図である。
【0026】
図1に示されたブレーキング装置1は、ワーク201を分割起点208を起点に分割して、ワーク201を個々のチップ210に分割する装置である。ブレーキング装置1は、図1に示すように、フレーム固定ユニット10と、図示しないフィルム貼着ユニットと、検出ユニット20と、挟持ユニット40と、押圧バー60と、コントローラである制御ユニット100と、表示ユニット110と、図示しない入力ユニットとを備える。
【0027】
フレーム固定ユニット10は、ワークユニット200のフレーム203を固定するものである。フレーム固定ユニット10は、装置本体2上にX軸移動ユニット30により水平方向と平行なX軸方向に移動自在に設けられた移動フレーム11と、移動フレーム11上に配設されたフレーム固定部材12とを備える。
【0028】
フレーム固定部材12は、内外径がフレーム203の内外径と同等の円環状に形成され、上面がフレーム203がシート202の外周を介して載置される保持面13となっている。保持面13は、水平方向に沿って平坦である。実施形態1では、フレーム固定部材12は、保持面13に図示しない吸引源に接続した吸引孔が開口している。
【0029】
フレーム固定ユニット10は、吸引孔が吸引源により吸引されることで、保持面13に載置されたフレーム203を保持面13にシート202を介して吸引して固定する。なお、本発明では、フレーム203が磁性体により構成されている場合には、フレーム固定ユニット10は、フレーム固定部材12内に磁石(永久磁石又は電磁石)を配設しておき、保持面13に載置されたフレーム203を磁力で吸着して固定しても良く、フレーム203が非磁性体により構成されている場合には、フレーム固定ユニット10は、保持面13との間にフレーム203を挟持して、フレーム203を固定するクランプ機構を備えても良い。また、フレーム固定ユニット10は、図示しない回転駆動機構によりZ軸方向(鉛直方向ともいう)と平行な軸心回りに回転自在である。
【0030】
なお、X軸移動ユニット30は、装置本体2上に設置され、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させることで移動フレーム11及びフレーム固定部材12をX軸方向に移動させる周知のモータ及び移動フレーム11をX軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレール31を備える。
【0031】
検出ユニット20は、フレーム固定ユニット10でフレーム203が固定されたワーク201の分割予定ライン206を検出するものである。検出ユニット20は、上方撮像カメラ21と、下方撮像カメラ22とを備える。上方撮像カメラ21は、フレーム固定ユニット10でフレーム203が固定されたワークユニット200のワーク201を上方から撮像するものである。
【0032】
上方撮像カメラ21は、装置本体2からX軸移動ユニット30のガイドレール31を跨って立設した門型の門型フレーム3に、Z軸方向移動機構23により鉛直方向と平行なZ軸方向に移動自在に設けられ、Y軸方向移動機構24により水平方向と平行でかつX軸方向に対して直交するY軸方向に移動自在に設けられている。上方撮像カメラ21は、X軸移動ユニット30とY軸方向移動機構24によりフレーム固定ユニット10にフレーム203が固定されたワーク201の任意の位置とZ軸方向に対面することができる。なお、門型フレーム3は、両表面がZ軸方向と平行な平板状に形成されている。
【0033】
下方撮像カメラ22は、フレーム固定ユニット10でフレーム203が固定されたワークユニット200のワーク201を下方から撮像するものである。下方撮像カメラ22は、Z軸方向移動機構25によりZ軸方向に移動自在に設けられ、Y軸方向移動機構26によりY軸方向に移動自在に設けられている。下方撮像カメラ22は、X軸移動ユニット30とY軸方向移動機構26によりフレーム固定ユニット10にフレーム203が固定されたワーク201の任意の位置とZ軸方向に対面することができる。
【0034】
撮像カメラ21,22は、対物レンズがZ軸方向に対向するものを撮像するCCD(Charge Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子等の撮像素子を備えている。撮像カメラ21,22は、撮像素子が撮像した画像を取得し、取得した画像を制御ユニット100に出力する。
【0035】
上方撮像カメラ21は、ワーク201の表面205が上方を向いている場合に、フレーム固定ユニット10で固定されたフレーム203の開口に収容されたワーク201のZ軸方向に対面する位置を撮像して、ワーク201の分割予定ライン206と押圧バー60等との位置合わせを行うアライメントを遂行するための画像を取得する。
【0036】
下方撮像カメラ22は、ワーク201の表面205が下方を向いている場合に、フレーム固定ユニット10で固定されたフレーム203の開口に収容されたワーク201のZ軸方向に対面する位置を撮像して、ワーク201の分割予定ライン206と押圧バー60等との位置合わせを行うアライメントを遂行するための画像を取得する。
【0037】
実施形態1において、撮像カメラ21,22が取得する画像は、各画素の輝度が複数段階の階調(例えば256階調)で規定されたグレースケール画像である。
【0038】
フィルム貼着ユニットは、フレーム固定ユニット10でフレーム203が固定されたワーク201とフレーム203上に円板状のフィルム211(図10等に示す)を貼着するものである。実施形態1では、フィルム貼着ユニットは、ワーク201の表面205及びフレーム203にフィルム211を貼着して、フィルム211をフレーム203の内縁と外縁との間で切断して、フィルム211をワーク201よりも大径な円板状に形成する。
【0039】
実施形態1では、フィルム211は、シート202と同様に、非粘着性と可撓性を有する樹脂により構成された基材層と、基材層に積層されかつ粘着性と可撓性を有する樹脂により構成された糊層とを備え、糊層がワーク201及びフレーム203に貼着される粘着テープ、又は、糊層を備えずに熱可塑性樹脂により構成されかつワーク201及びフレーム203に熱圧着される基材層のみから構成されるシートである。
【0040】
また、実施形態1では、フィルム211及びシート202は、ポリオレフィンやポリエチレンなどの非粘着性の熱可塑性樹脂からなる基材のみで構成された所謂糊なしテープである。フィルム211及びシート202は、軟化点又は融点を超える温度まで加熱されると、軟化又は溶融して、接着力を発現する。また、フィルム211及びシート202は、常温において伸縮性を有する。
【0041】
挟持ユニット40は、ワーク201の分割すべき分割予定ライン206に隣接した領域のワーク201のデバイス207をZ軸方向に沿ってワークユニット200の上下から挟持するものである。挟持ユニット40は、図1に示すように、下側挟持ユニット41と、上側挟持ユニット50とを備える。
【0042】
下側挟持ユニット41は、フレーム固定ユニット10の下方に配置され、フレーム固定ユニット10に固定されたフレーム203の開口に収容されたワーク201の分割すべき分割予定ライン206の隣接した領域であるデバイス207を下方から押圧するものである。下側挟持ユニット41は、図3に示すように、Z軸移動ユニット34によりZ軸方向に昇降自在に設けられたブラケット42と、ブラケット42に軸心回りに回転自在に支持された回転体43と、回転体43の外周面から突出した互いに長さの異なる複数の矩形状挟持バー44(下側挟持面に相当)とを備える。
【0043】
回転体43は、軸心がY軸方向と平行に配設され、両端がブラケット42により回転自在に支持されている。回転体43は、図示しない回転機構により軸心回りに回転される。複数の矩形状挟持バー44は、それぞれ厚みが一定のY軸方向に直線状の矩形板状に形成され、Y軸方向の長さがそれぞれ異なって様々な長さになるように形成されている。複数の矩形状挟持バー44のうち最も長い矩形状挟持バー44の長さは、ワーク201の最も長い分割予定ライン206の長さと同等であり、最も短い矩形状挟持バー44の長さは、ワーク201の最も短い分割予定ライン206の長さと同等である。
【0044】
複数の矩形状挟持バー44は、回転体43の回転によって突出する向きが変更される。複数の矩形状挟持バー44のうち回転体43のからZ軸方向に沿って上向きに配置された矩形状挟持バー44は、Z軸移動ユニット34により下降されると、上端がフレーム固定ユニット10により固定されたフレーム203の開口に収容されたワーク201に貼着したシート202よりも下方に位置し、Z軸移動ユニット34により上昇されると、上端がフレーム固定ユニット10により固定されたフレーム203の開口に収容されたワーク201よりも上方に位置する。複数の矩形状挟持バー44のうち回転体43のからZ軸方向に沿って上向きに配置された矩形状挟持バー44は、Z軸移動ユニット34により上昇されると、上端でワーク201の分割すべき分割予定ライン206の隣のデバイス207を裏面209側から上方に押圧する。
【0045】
即ち、下側挟持ユニット41は、回転体43の軸心回りの向きを変更することで、上向きとなる矩形状挟持バー44の長さを選択でき、その選択した矩形状挟持バー44でワーク201の分割すべき分割予定ライン206の隣のデバイス207を裏面209側から上方に押圧する。
【0046】
なお、Z軸移動ユニット34は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させることでブラケット42をZ軸方向に昇降させる周知のモータ及びブラケット42をZ軸方向に昇降自在に支持する周知のガイドレール35を備える。
【0047】
上側挟持ユニット50は、フレーム固定ユニット10の上方に配置され、フレーム固定ユニット10により固定されたフレーム203の開口に収容されたワーク201の分割すべき分割予定ライン206の隣でかつ下側挟持ユニット41により下方から押圧されたデバイス207を、下側挟持ユニット41との間に挟持するものである。上側挟持ユニット50は、門型フレーム3にY軸移動ユニット32により水平方向と平行でかつX軸方向に対して直交するY軸方向に移動される移動テーブル4に昇降ユニット36よりZ軸方向に移動される移動基台5に設置されている。
【0048】
なお、移動テーブル4は、両表面が鉛直方向と平行なZ軸方向と平行な平板状に形成され、門型フレーム3に間隔をあけて平行に重ねられている。Y軸移動ユニット32は、門型フレーム3上に設置され、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させることで移動テーブル4をY軸方向に移動させる周知のモータ及び移動テーブル4をY軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレール33を備える。
【0049】
移動基台5は、両表面がZ軸方向と平行な平板状に形成され、移動テーブル4上に間隔をあけて重ねられている。移動基台5には、両表面205が水平方向と平行な水平部材6が固定されている。
【0050】
昇降ユニット36は、移動テーブル4に設置され、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させることで移動基台5をZ軸方向に昇降させる周知のモータ37及び移動基台5をZ軸方向に昇降自在に支持する周知のガイドレール38を備える。
【0051】
上側挟持ユニット50は、図4に示すように、シリンダユニット51と、上側挟持バー52(上側挟持面に相当)と、スライドユニット53とを備える。シリンダユニット51は、水平部材6に固定されたシリンダ54と、Z軸方向と平行な棒状状に形成され、シリンダ54から伸縮自在であるとともに、シリンダ54から伸長すると下端が下降するロッド55とを備える。
【0052】
上側挟持バー52は、厚みが一定のY軸方向に直線状でかつ両表面がZ軸方向と平行な矩形板状に形成され、Y軸方向の長さがワーク201の最も長い分割予定ライン206の長さと同等である。上側挟持バー52は、上端にシリンダユニット51のロッド55の下端が固定されて、移動基台5に間隔をあけて重ねられている。上側挟持バー52は、回転体43から上向きの矩形状挟持バー44とZ軸方向に対向する。
【0053】
また、スライドユニット53は、上側挟持バー52を移動基台5に対して相対的にZ軸方向にスライド自在に支持している。スライドユニット53は、移動基台5と上側挟持バー52とのうちの一方である移動基台5に固定されかつZ軸方向と平行な直線状のガイドレール56と、移動基台5と上側挟持バー52とのうちの他方である上側挟持バー52に固定されかつガイドレール56にこのガイドレール56の長手方向即ちZ軸方向にスライド自在に支持されたスライダ57とを備える。
【0054】
上側挟持バー52は、ロッド55が伸長した状態で、昇降ユニット36により上昇されることで、下端がフレーム固定ユニット10により固定されたフレーム203の開口に収容されたワーク201よりも上方に位置し、昇降ユニット36により下降されると、下端が回転体43のからZ軸方向に沿って上向きに配置された矩形状挟持バー44により押圧されたワーク201の分割すべき分割予定ライン206の隣のデバイス207を矩形状挟持バー44との間に挟持する。
【0055】
押圧バー60は、分割すべき分割予定ライン206を挟んで挟持ユニット40の挟持バー44,52のY軸方向の反対側で分割すべき分割予定ライン206に隣接した領域のワーク201のデバイス207を押圧し、分割すべき分割予定ライン206に沿ってワーク201をブレーキング(分割ともいう)するものである。押圧バー60は、図4に示すように、水平部材6に第2X軸移動ユニット61によりX軸方向に移動自在に設置された押圧移動基台62に設置されている。
【0056】
押圧移動基台62は、両表面がZ軸方向と平行で、かつ上端側の厚肉部63と下端側の薄肉部64とを一体に備えて形成され、上側挟持バー52上に間隔をあけて重ねられている。実施形態1では、押圧移動基台62は、厚肉部63と薄肉部64の上側挟持バー52から離れた側の表面が同一平面状に形成され、上側挟持バー52側に厚肉部63と薄肉部64との間の段差が形成されている、また、実施形態1では、押圧移動基台62は、薄肉部64を貫通した平面形状が矩形の開口65が設けられている。
【0057】
第2X軸移動ユニット61は、水平部材6に設置され、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させることで押圧移動基台62をX軸方向に移動させる周知のモータ66及び押圧移動基台62をZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレール67を備える。
【0058】
押圧バー60は、Y軸方向に直線状でかつ両表面がZ軸方向と平行な矩形板状に形成され、Y軸方向の長さがワーク201の最も長い分割予定ライン206の長さと同等である。押圧バー60は、下端部に下方に向かうにしたがって徐々に厚みを薄くする先細部68が形成されている。実施形態1では、先細部68は、上側挟持バー52側の表面がZ軸方向に沿って平坦に形成され、上側挟持バー52から離れた側の表面が下方に向かうにしたがって徐々に上側挟持バー52に近付く方向に水平方向とZ軸方向との双方に対して傾斜している。
【0059】
また、押圧バー60は、一対のスライドユニット69により押圧移動基台62にZ軸方向にスライド自在に支持されている。一対のスライドユニット69は、Y軸方向に間隔をあけて配置されている。スライドユニット69は、押圧移動基台62と押圧バー60とのうちの一方である押圧移動基台62に固定されかつZ軸方向と平行な直線状のガイドレール691と、押圧移動基台62と押圧バー60とのうちの他方である押圧バー60に固定されかつガイドレール691にこのガイドレール691の長手方向即ちZ軸方向にスライド自在に支持されたスライダ692とを備える。
【0060】
押圧バー60は、昇降ユニット36により上昇されることで、下端がフレーム固定ユニット10により固定されたフレーム203の開口に収容されたワーク201よりも上方に位置し、昇降ユニット36により下降されると、Y軸方向に、分割すべき分割予定ライン206を挟持バー44,52との間に位置付けるワーク201のデバイス207を下方に押圧する。実施形態1では、押圧バー60は、ワーク201の上側挟持バー52とのY軸方向の距離がチップ210の幅の75%~85%程度となる位置を下方に押圧する。なお、本発明では、押圧バー60は、ワーク201の上側挟持バー52とのY軸方向の距離がチップ210の幅の65%~95%程度となる位置を下方に押圧すれば良い。なお、押圧バー60が押圧する位置が上側挟持バー52からのY軸方向の距離が近すぎても割れにくく、遠すぎても押圧バー60がすでに割れた分割予定ライン206側に逃げて割れないので、押圧バー60が、ワーク201の上側挟持バー52とのY軸方向の距離がチップ210の幅の65%~95%程度となる位置、望ましくはチップ210の幅の75%~85%程度となる位置を下方に押圧するのが望ましい。押圧バー60は、昇降ユニット36により下降されると、Y軸方向に、分割すべき分割予定ライン206を挟持バー44,52との間に位置付けるワーク201のデバイス207を下方に押圧して、この分割すべき分割予定ライン206を分割する。
【0061】
また、押圧バー60は、図5に示す荷重測定部70により押圧移動基台62に固定されている。荷重測定部70は、一対のスライドユニット69間に配置されている。荷重測定部70は、図5及び図6に示すように、押圧バー60がワーク201を押圧する荷重の値(以下、荷重値と記す)を測定する荷重計71と、保持部材72と、支持部材73と、バネ75と、支持部74(図6のみに示す)とを備える。
【0062】
荷重計71は、Z軸方向の押圧バー60がワーク201を押圧する荷重値を測定するものであり、実施形態1では、周知のロードセルであるが、ロードセルに限定されない。荷重計71は計測結果である荷重値を制御ユニット100に出力する。荷重計71は、押圧移動基台62の開口65内に配置されている。
【0063】
保持部材72は、押圧バー60に一端部が固定され、押圧バー60から押圧移動基台62に向かって延在して他端部が押圧移動基台62の開口65内に配置されている。保持部材72は、他端部に荷重計71の下端を支持している。
【0064】
支持部材73は、押圧移動基台62の開口65内に配置され、上端が開口65の上側の内面に固定され、下端が荷重計71の上端を支持している。支持部74は、押圧移動基台62の開口65内に配置され、下端が開口65の下側の内面に固定され、上端が保持部材72の下端部を支持している。
【0065】
バネ75は、開口65の下側の内面と保持部材72の他端部との間に配置され、保持部材72の他端部を介して、押圧移動基台62に対して相対的に押圧バー60を上方に付勢している。実施形態1では、バネ75は、押圧バー60と保持部材72と荷重計71とを合わせた質量に対応した力で、保持部材72及び押圧バー60を上方に付勢している。バネ75が前述した力で付勢することで、押圧バー60と保持部材72と荷重計71とを合わせた質量が相殺されて、荷重計71は、押圧バー60と保持部材72と荷重計71とを合わせた質量よりも小さい荷重値を測定することができる。このように、ブレーキング装置1は、押圧バー60がワーク201を押圧する荷重値を測定する荷重計71を備える。
【0066】
また、ブレーキング装置1は、分割前後のワーク201を有するワークユニット200を複数枚収容可能なカセットが設置される図示しないカセットステージと、カセットステージに設置されたカセットからワークユニット200を出し入れするとともに、カセットとフレーム固定ユニット10との間でワークユニット200を搬送する図示しない搬送ユニットとを備える。
【0067】
制御ユニット100は、ブレーキング装置1の上述した各構成要素をそれぞれ制御して、ワーク201の各分割予定ライン206を分割する分割動作をブレーキング装置1に実施させるものである。制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、ブレーキング装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介してブレーキング装置1の上述した各ユニットに出力する。また、制御ユニット100は、荷重計71で測定された荷重値に基づいて、分割予定ライン206の分割結果を判定し、分割結果を分割予定ライン206と1対1で紐付けて記憶する。
【0068】
表示ユニット110は、制御ユニット100に接続し、各種の情報を表示する表示画面111を備える。入力ユニットは、オペレータがブレーキング装置1の制御ユニット100に情報などを入力する際に用いられる。入力ユニットは、制御ユニット100に接続し、入力された情報を制御ユニット100に向けて出力する。入力ユニットは、表示ユニット110の表示画面111に重ねられたタッチパネルを備える。
【0069】
また、ブレーキング装置1は、警報発信ユニット120を備える。即ち、制御ユニット100は、少なくとも検出ユニット20と、押圧バー60と、警報発信ユニット120とを制御する。警報発信ユニット120は、表示ユニット110と、音を発することが可能なスピーカ112と、光を発することが可能な表示灯113とを備える。
【0070】
警報発信ユニット120は、表示ユニット110の表示画面111にメッセージを表示すること、スピーカ112が音を発すること、表示灯113が光を発することのうち少なくともいずれかによりオペレータ警報を報知する。
【0071】
また、制御ユニット100は、加工制御部101と、正常時画像記憶部102と、判定部103とを有する。加工制御部101は、ブレーキング装置1の上述した各構成要素をそれぞれ制御して、ワーク201の各分割予定ライン206を分割する分割動作をブレーキング装置1に実施させるものである。
【0072】
(正常時画像記憶部)
図7は、図1に示されたブレーキング装置の正常時画像記憶部が記憶した上側挟持バーの正常時画像の一例を示す図である。図8は、図1に示されたブレーキング装置の正常時画像記憶部が記憶した押圧バーの正常時画像の一例を示す図である。図9は、図1に示されたブレーキング装置の正常時画像記憶部が記憶した矩形状挟持バーの正常時画像の一例を示す図である。
【0073】
正常時画像記憶部102は、挟持ユニット40及び押圧バー60に異常がない状態で、撮像カメラ21,22で挟持ユニット40及び押圧バー60を撮像して取得された正常時画像301,302,303(図7図8図9に示す)を記憶するものである。なお、実施形態1において、挟持ユニット40及び押圧バー60に異常とは、上側挟持バー52、矩形状挟持バー44及び押圧バー60が、ワーク201の分割に適さない程度に摩耗したこと、ワーク201の分割に適さない異物が付着していることをいう。
【0074】
実施形態1において、図7に示された正常時画像301は、下方撮像カメラ22で異常がない状態の上側挟持バー52をZ軸方向の下方から撮像し、所定の閾値で2値化処理することで生成された画像である。なお、実施形態1では、図7に示された正常時画像301は、下方撮像カメラ22で上側挟持バー52を複数(実施形態1では、3つ)に分割して撮像することで生成されている。なお、図7に示す例では、正常時画像301は、上側挟持バー52を薄い網掛けで示し、他を黒地で示している。
【0075】
実施形態1において、図8に示された正常時画像302は、下方撮像カメラ22で異常がない状態の押圧バー60をZ軸方向の下方から撮像し、所定の閾値で2値化処理することで生成された画像である。なお、実施形態1では、図8に示された正常時画像302は、下方撮像カメラ22で押圧バー60を複数(実施形態1では、3つ)に分割して撮像することで生成されている。なお、図8に示す例では、正常時画像302は、押圧バー60を白地で示し、他を黒地で示している。
【0076】
実施形態1において、図9に示された正常時画像303は、上方撮像カメラ21で異常がない状態の矩形状挟持バー44をZ軸方向の上方から撮像し、所定の閾値で2値化処理することで生成された画像である。なお、実施形態1では、図9に示された正常時画像303は、上方撮像カメラ21で矩形状挟持バー44を複数(実施形態1では、3つ)に分割して撮像することで生成されている。また、正常時画像記憶部102は、全ての矩形状挟持バー44の正常時画像303を記憶している。なお、図9に示す例では、正常時画像303は、矩形状挟持バー44を薄い網掛けで示し、他を黒地で示している。
【0077】
判定部103は、正常時画像記憶部102で記憶された正常時画像301,302,303等に基づいて、挟持ユニット40の上側挟持バー52及び矩形状挟持バー44、押圧バー60の異常有無を検出し、異常を検出した場合に警報発信ユニット120から警報を発信するものである。
【0078】
なお、正常時画像記憶部102の機能は、前述した記憶装置により実現される。加工制御部101及び判定部103の機能は、演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施することにより実現される。
【0079】
(分割動作)
次に、前述したブレーキング装置1がワーク201を個々のチップ210に分割する分割動作を説明する。図10は、図1に示されたブレーキング装置のフレーム固定ユニットにフレームを固定した状態を一部断面で模式的に示す側面図である。図11は、図1に示されたブレーキング装置の検出ユニットで分割すべき分割予定ラインを検出する状態を一部断面で模式的に示す側面図である。図12は、図1に示されたブレーキング装置の挟持バー間に分割すべき分割予定ラインの隣のデバイスを挟持した状態を一部断面で模式的に示す側面図である。図13は、図1に示されたブレーキング装置の分割すべき分割予定ラインを分割した状態を一部断面で模式的に示す側面図である。
【0080】
実施形態1において、ブレーキング装置1は、先ず、オペレータ等がワークユニット200を収容したカセットをカセットステージに設置し、入力ユニットを操作して分割条件を入力し、制御ユニット100が分割要件を受け付けて登録する。実施形態1において、ブレーキング装置1は、制御ユニット100がオペレータ等からの分割動作の開始指示を受け付けると、分割動作を開始する。
【0081】
実施形態1において、分割動作では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101がZ軸移動ユニット34を制御して下側挟持ユニット41を下降させ、上側挟持ユニット50のシリンダユニット51を制御してロッド55を伸長し、昇降ユニット36を制御して上側挟持ユニット50及び押圧バー60を上昇させる。また、実施形態1において、分割動作では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が第2X軸移動ユニット61を制御して上側挟持バー52の下端と押圧バー60の下端のX軸方向の距離を、分割条件に含まれるチップ210の幅の75%~85%となるように、押圧バー60のX軸方向の位置を調整する。
【0082】
なお、本発明では、上側挟持バー52の下端と押圧バー60の下端のX軸方向の距離を、チップ210の幅の65%~95%となるように、押圧バー60のX軸方向の位置を調整すれば良い。また、実施形態1において、分割動作では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が、Y軸方向移動機構24,26を制御して、撮像カメラ21,22を上側挟持バー52と矩形状挟持バー44との間から退避するY軸方向の端に位置付ける。
【0083】
また、実施形態1において、分割動作では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101がX軸移動ユニット30を制御して、フレーム固定ユニット10を挟持ユニット41,50間から退避させる。実施形態1において、分割動作では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が搬送ユニットを制御して、カセットからワークユニット200を1枚取り出させてフレーム固定ユニット10の保持面13上にワークユニット200のフレーム203を載置させる。
【0084】
実施形態1において、分割動作では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が吸引源を動作させて、フレーム固定ユニット10の保持面13にフレーム203を吸引して固定する。実施形態1において、分割動作では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101がフィルム貼着ユニットを制御して、図10に示すように、フレーム固定ユニット10に固定したワークユニット200のワーク201及びフレーム203にフィルム211を貼着する。
【0085】
実施形態1において、分割動作では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101がX軸移動ユニット30、Y軸移動ユニット32、Z軸方向移動機構23及びY軸方向移動機構24を制御して、分割条件の分割する順番に基づいて、図11に示すように、分割すべき分割予定ライン206(以下、符号206-1で記す)の上方に検出ユニット20の上方撮像カメラ21を位置付けて、検出ユニット20の上方撮像カメラ21でワーク201の分割予定ライン206-1を含んだ分割予定ライン206-1の周囲を撮像する。実施形態1において、分割動作では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が検出ユニット20の上方撮像カメラ21で撮像して得た画像に基づいて、分割予定ライン206-1を検出する。
【0086】
なお、実施形態1では、ワークユニット200のワーク201の表面205が上方に向いているために、上方撮像カメラ21でワーク201の分割予定ライン206-1を含んだ分割予定ライン206-1の周囲を撮像したが、本発明では、ワークユニット200のワーク201の表面205が下方に向いている場合には、下方撮像カメラ22でワーク201の分割予定ライン206-1を含んだ分割予定ライン206-1の周囲を撮像する。
【0087】
実施形態1において、分割動作では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が回転機構を制御して、分割予定ライン206に対応した長さの矩形状挟持バー44を回転体43から上向きに配置し、回転駆動機構を制御して、ワーク201の分割予定ライン206-1をY軸方向と平行に位置付ける。実施形態1において、分割動作では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101がX軸移動ユニット30を制御して、分割予定ライン206-1に図1中X軸方向の奥側に隣接するデバイス207(領域に相当し、以下、図12に示す符号207-1と記す)の上方に上側挟持バー52の下端を位置付け、分割予定ライン206-1に図1中X軸方向の奥側に隣接する図1中X軸方向の奥側のデバイス207-1の下方に矩形状挟持バー44の上端を位置付けるとともに、分割予定ライン206-1に図1中X軸方向の手前側に隣接するデバイス207(領域に相当し、以下、図12に示す符号207-2と記す)の上方に押圧バー60の下端を位置付ける。
【0088】
実施形態1において、分割動作では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101がZ軸移動ユニット34を制御して、回転体43及び矩形状挟持バー44を上昇させてシート202を介してワーク201の分割予定ライン206-1に隣接したデバイス207-1をシート202を介して上方に押圧させる。すると、ワーク201が上昇し、フィルム211を介してデバイス207-1が上側挟持バー52の下端に当接する。こうして、実施形態1において、分割動作では、ブレーキング装置1は、図12に示すように、ワーク201の分割予定ライン206-1に隣接したデバイス207-1を、フィルム211及びシート202を介して、挟持バー44,52間に挟持する。このとき、実施形態1では、押圧バー60の下端は、ワーク201の表面205よりも上方に位置している。
【0089】
実施形態1において、分割動作では、ブレーキング装置1は、分割条件に基づいて、制御ユニット100の加工制御部101が昇降ユニット36を制御して、上側挟持ユニット50の移動基台5及び押圧バー60を下降させる。すると、上側挟持バー52が矩形状挟持バー44との間にフィルム211及びシート202を介してワーク201の分割予定ライン206-1に隣接したデバイス207-1を挟持しているので、上側挟持バー52が下降することなく、シリンダユニット51のロッド55が縮小して、スライドユニット53により移動基台5に対して相対的に上側挟持バー52が上昇する。
【0090】
また、上側挟持ユニット50の移動基台5及び押圧バー60が下降すると、押圧バー60が下降して、押圧かー60の下端がワーク201の表面205の挟持ユニット41,50の反対側の分割予定ライン206-1に隣接したデバイス207-2にフィルム211を介して当接するとともに、更に押圧バー60が下降して、図13に示すように、押圧バー60の下端が上側挟持バー52の下端よりも下方に位置して、挟持バー44,52と押圧バー60との間の分割予定ライン206-1を分割する。
【0091】
また、分割予定ライン206-1が分割される際には、ワーク201の基板204を構成する材料により構成された分割屑が、分割された分割予定ライン206-1内に生じることがある。実施形態1において、分割動作では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が分割条件とおりに移動基台5及び押圧バー60を下降した後、昇降ユニット36を制御して、移動基台5及び押圧バー60を上昇させるとともに、Z軸移動ユニット34を制御して、回転体43及び矩形状挟持バー44を下降させる。
【0092】
また、実施形態1において、分割動作では、制御ユニット100が、荷重計71が測定した荷重値に基づいて、分割すべき分割予定ライン206-1の分割結果を判定し、判定した分割結果を分割予定ライン206-1と紐付けて記憶する。実施形態1において、分割動作では、ブレーキング装置1は、分割条件に基づいて、ワーク201の分割予定ライン206のうち端の分割予定ライン206から順に分割する。実施形態1において、分割動作では、ブレーキング装置1は、ワーク201の全ての分割予定ライン206を分割して、ワーク201を個々のチップ210に分割すると、フレーム固定ユニット10のワークユニット200のフレーム203の固定を解除し、搬送ユニットでフレーム固定ユニット10上のワークユニット200をカセットに収容する。実施形態1において、分割動作では、ブレーキング装置1は、カセット内の全てのワークユニット200のワーク201の分割予定ライン206を分割して、ワーク201を個々のチップ210に分割すると、分割動作を終了する。その後、分割されたチップ210は、シート202からピックアップされる。
【0093】
(ブレーキング装置の異常検知方法)
次に、実施形態1に係るブレーキング装置の異常検知方法を説明する。図14は、図1に示されたブレーキング装置の下方撮像カメラが上側挟持バーを撮像する状態を一部断面で模式的に示す側面図である。図15は、図14に示された下方撮像カメラが撮像して取得した上側挟持バーの撮像画像を示す図である。図16は、図14に示された下方撮像カメラが撮像して取得した押圧バーの撮像画像を示す図である。図17は、図1に示されたブレーキング装置の上方撮像カメラが矩形状挟持バーを撮像する状態を一部断面で模式的に示す側面図である。図18は、図17に示された上方撮像カメラが撮像して取得した矩形状挟持バーの撮像画像を示す図である。
【0094】
実施形態1に係るブレーキング装置の異常検知方法(以下、単に、異常検知方法と記す)は、撮像カメラ21,22で挟持ユニット40の上側挟持バー52、各矩形状挟持バー44及び押圧バー60を撮像して、上側挟持バー52、各矩形状挟持バー44及び押圧バー60の異常の有無を検知して、ブレーキング装置1の異常の有無を検知する方法である。異常検知方法は、所定枚数のワークユニット200のワーク201を分割する度等に実施される。
【0095】
実施形態1において、異常検知方法では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101がZ軸移動ユニット34を制御して下側挟持ユニット41を下降させ、上側挟持ユニット50のシリンダユニット51を制御してロッド55を伸長し、昇降ユニット36を制御して上側挟持ユニット50及び押圧バー60を上昇させる。実施形態1において、異常検知方法では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101がX軸移動ユニット30とY軸方向移動機構26等を制御して、図14に示すように、下方撮像カメラ22をZ軸方向に沿って上側挟持バー52の下方に位置付けて、上側挟持バー52を下方撮像カメラ22で撮像する。
【0096】
実施形態1において、異常検知方法では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が下方撮像カメラ22が撮像して取得した画像を所定の閾値で2値化処理を施して、図15に示す2値化画像である撮像画像401を生成する。なお、実施形態1では、下方撮像カメラ22で上側挟持バー52を複数(実施形態1では、3つ)に分割して撮像して、撮像画像401を3枚取得する。なお、図15に示す例では、撮像画像401は、上側挟持バー52を薄い網掛けで示し、他を黒地で示している。
【0097】
実施形態1において、異常検知方法では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の判定部103が図7に示す正常時画像301と、下方撮像カメラ22で挟持ユニット40の上側挟持バー52を撮像した図15に示す撮像画像401とを比較することで、挟持ユニット40の上側挟持バー52の異常有無を検出する。具体的には、制御ユニット100の判定部103は、正常時画像301の上側挟持バー52の幅と撮像画像401の上側挟持バー52の幅との差を算出し、算出した差が予め記憶された所定値以上である部分があると、異常有と判定し、ないと異常無と判定する。また、制御ユニット100の判定部103は、撮像画像401から上側挟持バー52を検出し、検出した上側挟持バー52内に所定の閾値未満である部分があるか否かを判定し、あると判定すると異常有と判定し、ないと判定すると異常無と判定する。図15に示された撮像画像401の場合、前述した差が所定値未満であり、上側挟持バー52内に閾値未満である部分がないので、制御ユニット100の判定部103は、異常無と判定する。
【0098】
実施形態1において、異常検知方法では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101がX軸移動ユニット30とY軸方向移動機構26等を制御して、下方撮像カメラ22をZ軸方向に沿って押圧バー60の下方に位置付けて、押圧バー60を下方撮像カメラ22で撮像する。
【0099】
実施形態1において、異常検知方法では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が下方撮像カメラ22が撮像して取得した画像を所定の閾値で2値化処理を施して、図16に示す2値化画像である撮像画像402を生成する。なお、実施形態1では、下方撮像カメラ22で押圧バー60を複数(実施形態1では、3つ)に分割して撮像して、撮像画像402を3枚取得する。なお、図16に示す例では、撮像画像402は、押圧バー60を白地で示し、他を黒地で示している。
【0100】
実施形態1において、異常検知方法では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の判定部103が図8に示す正常時画像302と、下方撮像カメラ22で挟持ユニット40の押圧バー60を撮像した図16に示す撮像画像402とを比較することで、挟持ユニット40の押圧バー60の異常有無を検出する。具体的には、制御ユニット100の判定部103は、正常時画像302の押圧バー60の幅と撮像画像402の押圧バー60の幅との差を算出し、算出した差が予め記憶された所定値以上である部分があると、異常有と判定し、ないと異常無と判定する。また、制御ユニット100の判定部103は、撮像画像402から押圧バー60を検出し、検出した押圧バー60内に所定の閾値未満である部分があるか否かを判定し、あると判定すると異常有と判定し、ないと判定すると異常無と判定する。図16に示された撮像画像402の場合、図16(B)において、前述した差が所定値以上である部分601があるので、制御ユニット100の判定部103は、異常有と判定する。
【0101】
実施形態1において、異常検知方法では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の判定部103が異常有と判定した場合、即ち異常を検出した場合、警報発信ユニット120を動作させて警報発信ユニット120から異常有を示す警報を発信する。
【0102】
また、実施形態1において、異常検知方法では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の判定部103が異常有と判定した場合、即ち異常を検出した場合、図16(B)に示すように、前述した差が所定値以上である部分601がある場合には、押圧バー60が摩耗したと検知する。即ち、実施形態1において、異常検知方法では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の判定部103が異常有と判定し、撮像画像402の押圧バー60の幅が正常時画像302の押圧バー60の幅よりも所定値以上大きい部分601があると、押圧バー60の摩耗を検知する。なお、実施形態1において、異常検知方法では、押圧バー60と同様に、上側挟持バー52の摩耗及び矩形状挟持バー44の摩耗を検知する。こうして、ブレーキング装置1は、下方撮像カメラ22が押圧バー60を撮像した撮像画像402に基づいて、押圧バー60の摩耗を検知する。
【0103】
実施形態1において、異常検知方法では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101がX軸移動ユニット30とY軸方向移動機構24等を制御して、図17に示すように、上方撮像カメラ21をZ軸方向に沿って上側挟持バー52の下方に位置付けて、各矩形状挟持バー44を上方撮像カメラ21で撮像する。
【0104】
実施形態1において、異常検知方法では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の加工制御部101が上方撮像カメラ21が撮像して取得した画像を所定の閾値で2値化処理を施して、図18に示す2値化画像である撮像画像403を生成する。なお、実施形態1では、上方撮像カメラ21で矩形状挟持バー44を複数(実施形態1では、3つ)に分割して撮像して、撮像画像403を3枚取得する。なお、図18に示す例では、撮像画像403は、矩形状挟持バー44を薄い網掛けで示し、他を黒地で示している。
【0105】
実施形態1において、異常検知方法では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の判定部103が図9に示す正常時画像303と、上方撮像カメラ21で挟持ユニット40の各矩形状挟持バー44を撮像した図18に示す撮像画像403とを比較することで、挟持ユニット40の各矩形状挟持バー44の異常有無を検出する。具体的には、制御ユニット100の判定部103は、正常時画像303の矩形状挟持バー44の幅と撮像画像403の矩形状挟持バー44の幅との差を算出し、算出した差が予め記憶された所定値以上である部分があると、異常有と判定し、ないと異常無と判定する。また、制御ユニット100の判定部103は、撮像画像403から矩形状挟持バー44を検出し、検出した矩形状挟持バー44内に所定の閾値未満である部分があるか否かを判定し、あると判定すると異常有と判定し、ないと判定すると異常無と判定する。図18に示された撮像画像403の場合、図18(B)において、検出した矩形状挟持バー44内に所定の閾値未満である部分441があるので、制御ユニット100の判定部103は、異常有と判定する。
【0106】
実施形態1において、異常検知方法では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の判定部103が異常有と判定した場合、即ち異常を検出した場合、警報発信ユニット120を動作させて警報発信ユニット120から異常有を示す警報を発信する。
【0107】
また、実施形態1において、異常検知方法では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の判定部103が異常有と判定した場合、即ち異常を検出した場合、図18(B)に示すように、撮像画像403の矩形状挟持バー44内に所定の閾値未満である部分441があると、矩形状挟持バー44に異物が付着したと検知する。即ち、実施形態1において、異常検知方法では、ブレーキング装置1は、制御ユニット100の判定部103が異常有と判定し、撮像画像403の矩形状挟持バー44内に所定の閾値未満である部分441があると、挟持ユニット40の矩形状挟持バー44への異物付着を検知する。
【0108】
なお、実施形態1において、異常検知方法では、矩形状挟持バー44と同様に、上側挟持バー52への異物付着及び押圧バー60への異物付着を検知する。こうして、ブレーキング装置1は、撮像カメラ21,22が挟持ユニットの上側挟持バー52、各矩形状挟持バー44、及び押圧バー60を撮像した撮像画像401,402,403に基づいて、挟持ユニットの上側挟持バー52、各矩形状挟持バー44、及び押圧バー60への異物付着を検知する。
【0109】
また、本発明では、判定部103が、挟持ユニット40の上側挟持バー52、各矩形状挟持バー44及び押圧バー60の異常有無の検知方法は、実施形態1に記載されたものに限らず、種々変更しても良い。
【0110】
以上説明した実施形態1に係るブレーキング装置1及び異常検知方法は、撮像カメラ21,22が撮像した撮像画像401,402,403に基づいて、挟持ユニット40の上側挟持バー52、各矩形状挟持バー44及び押圧バー60の異常有無を検知するので、挟持バー44,52に異物が付着した状態や押圧バー60が摩耗した状態で、ワーク201を分割することを抑制できる。
【0111】
その結果、実施形態1に係るブレーキング装置1及び異常検知方法は、ワーク201を分割する際に、ワーク201の破損を抑制することができるという効果を奏する。
【0112】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、本発明では、ブレーキング装置1は、上側挟持バー52と矩形状挟持バー44と押圧バー60の少なくとも一つの異常を検知すれば良い。
【符号の説明】
【0113】
1 ブレーキング装置
10 フレーム固定ユニット
20 検出ユニット
21 上方撮像カメラ(撮像カメラ)
22 下方撮像カメラ(撮像カメラ)
40 挟持ユニット
44 矩形状挟持バー(下側挟持面)
52 上側挟持バー(上側挟持面)
60 押圧バー
100 制御ユニット(コントローラ)
102 正常時画像記憶部
120 警報発信ユニット
200 ワークユニット
201 ワーク
202 シート
203 フレーム
206 分割予定ライン
206-1 分割すべき分割予定ライン
207 デバイス
207-1 デバイス(領域)
207-2 デバイス(領域)
208 分割起点
301,302,303 正常時画像
401,402,403 撮像画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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