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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118282
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】通信システム及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/116 20130101AFI20240823BHJP
【FI】
H04B10/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024634
(22)【出願日】2023-02-20
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業(個人型研究(さきがけ))「データ量低減による持続可能なIoT」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 悠
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA21
5K102AH31
5K102AL23
5K102AL28
5K102MA01
5K102MB13
5K102MD04
5K102PB02
5K102PH38
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可視光通信において受信ノードが選択的に送信情報を受信する通信システム及び通信方法を提供する。
【解決手段】通信システム10は、送信ノード40と、受信ノード20と、を含む。受信ノード20は、カメラ22を備え、カメラ22の撮影設定で、撮影画像を取得し、撮影画像の色情報に基づいて送信情報を復号する可視光通信を行う。送信ノード40は、可視光を出力する出力部と、送信情報に応じて可視光を照射させるように出力部を制御する制御部44とを含み、受信ノード20のカメラ22の撮影設定に基づいて送信情報の符号化及び変調を行い、可視光を照射させるように出力部を制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信ノードと、受信ノードと、を含む通信システムであって、
前記受信ノードは、カメラを備え、前記カメラの撮影設定で、撮影画像を取得し、前記撮影画像の色情報に基づいて送信情報を復号する可視光通信を行い、
前記送信ノードは、
可視光を出力する出力部と、送信情報に応じて可視光を照射させるように前記出力部を制御する制御部とを含み、
前記受信ノードの前記カメラの撮影設定に基づいて前記送信情報の符号化及び変調を行い、可視光を照射させるように前記出力部を制御する
通信システム。
【請求項2】
前記撮影設定は、シャッタースピード、絞り値、又はゲインを含む請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記出力部は、可視光の照射領域を有し、
前記制御部は、可視光の照射領域のうちの特定の部分領域において、送信情報に応じて可視光を照射させるように前記出力部を制御し、
前記受信ノードは、前記撮影画像のうちの前記特定の部分領域を表す部分画像の色情報に基づいて前記送信情報を復号する請求項1記載の通信システム。
【請求項4】
前記受信ノードは、複数の受信ノードであって、
前記制御部は、前記複数の受信ノードの各々に対し、前記受信ノードに対して予め定められた前記特定の部分領域において、前記受信ノードに対する前記送信情報に応じて可視光を照射させるように前記出力部を制御し、
前記複数の受信ノードの各々は、前記受信ノードに対して予め定められた前記特定の部分領域を表す部分画像の色情報に基づいて前記送信情報を復号する請求項3記載の通信システム。
【請求項5】
前記受信ノードは、複数の受信ノードであって、
前記制御部は、前記複数の受信ノードの各々に対し、前記受信ノードの前記カメラに対して予め定められた前記撮影設定に基づいて前記送信情報の符号化及び変調を行い、
可視光を照射させるように前記出力部を制御する請求項1記載の通信システム。
【請求項6】
送信ノードと、受信ノードと、を含む通信システムであって、
前記送信ノードは、
可視光を出力する出力部と、送信情報に応じて可視光を照射させるように前記出力部を制御する制御部とを含み、
特定の撮影設定に基づいて前記送信情報の符号化及び変調を行い、可視光を照射させるように前記出力部を制御し、
前記受信ノードは、カメラを備え、前記特定の撮影設定で、撮影画像を取得し、前記撮影画像の色情報に基づいて送信情報を復号する可視光通信を行う、
通信システム。
【請求項7】
前記送信ノードが、前記特定の撮影設定の情報を前記可視光として出力し、
前記受信ノードは、前記撮影画像から前記特定の撮影設定の情報を取得し、取得した前記特定の撮影設定を用いて撮影画像を取得する請求項6記載の通信システム。
【請求項8】
可視光を出力する出力部を備える送信ノードと、カメラを備える受信ノードと、を含む通信システムにおける通信方法であって、
前記送信ノードは、前記受信ノードの前記カメラの撮影設定に基づいて送信情報の符号化及び変調を行い、可視光を照射させるように前記出力部を制御し、
前記受信ノードは、前記カメラの撮影設定で、撮影画像を取得し、前記撮影画像の色情報に基づいて送信情報を復号する可視光通信を行う
通信方法。
【請求項9】
可視光を出力する出力部を備える送信ノードと、カメラを備える受信ノードと、を含む通信システムにおける通信方法であって、
前記送信ノードは、特定の撮影設定に基づいて送信情報の符号化及び変調を行い、可視光を照射させるように前記出力部を制御し、
前記受信ノードは、前記特定の撮影設定で、撮影画像を取得し、前記撮影画像の色情報に基づいて送信情報を復号する可視光通信を行う
通信方法。
【請求項10】
前記送信ノードは、前記特定の撮影設定の情報を前記可視光として出力し、
前記受信ノードは、前記撮影画像から前記特定の撮影設定の情報を取得する請求項9記載の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、通信システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光信号を用いる通信の中でも、光空間通信(あるいは光無線通信)は、光信号の伝送媒体として光ファイバではなく空間を用いるため、柔軟性に優れている。これは、電波を用いる無線通信の代替技術でもあり、周波数資源の逼迫が課題となっている昨今、IoTなどにおける活用が期待されている。従来のレーザなどを用いた光空間通信に加えて、近年ではLEDを用いた可視光通信が盛んに検討されるようになった。LEDのような可視光を用いることで、低コスト化のほか、天井照明などの照明用途との複合的な利用など、柔軟な運用が可能になるメリットがある。
【0003】
可視光による光空間通信の一手法として、光カメラ通信(Optical Camera Communication:OCC)がある。OCCとは、送信機にLEDやディスプレイのような光源、受信機にカメラを用いた可視光通信のことである。送信機として3色LEDを用い、データを光信号へ変調して送信するのが、最も一般的な適用形態である。受信側の動作としては、カメラで撮影した動画像の中から光源の占めるピクセルを抽出し、当該領域のRGB値などから信号を復調する。
【0004】
OCCの適用により、スマートフォン等をはじめとしたLEDライトやカメラを搭載したスマートデバイスのほか、照明やWebカメラなど既存のデバイスを用いて通信を行えるようになる。すなわち、スマートフォン等を用いた日常生活での簡易的な通信に加え、室内灯などを用いた照明機能と通信機能の両立、自動運転などをサポートするV2X通信など、様々な場面での応用が可能である。
【0005】
OCCの関連技術として、Blooming effectと呼ばれる光の拡散による干渉を回避する手法(非特許文献1)がある。OCCでは、CMOSイメージセンサを用いて光信号を受光し、画像内で光源に該当する領域の画素ごとのRGB値を用いて信号の復調を行う。このとき、複数の光源が画像上で重なっていれば光の重なり、あるいは光源そのものの遮蔽により干渉が起こる。そして機種や環境によってはさらに、Blooming effectと呼ばれる光の拡散現象による干渉が生じる。この課題に対して非特許文献1の技術では、カメラと物体の座標と近似的なサイズに加えて、画素数やCMOSイメージセンササイズ、画角などカメラのパラメータを考慮し、透視変換などの数学的手法により画像上での干渉条件を理論的に定式化している。
【0006】
さらに、Blooming effectを考慮した画像上での光の減衰を表す近似式を用いて、光源間の干渉を回避することが可能である。
【0007】
またOCCの通信レート向上技術として、適応CSK(Color Shift Keying)と呼ばれる手法(非特許文献2)がある。OCCの変調方式の中でも、3色LEDの特徴を生かしたCSKは、スループット向上の観点から注目されている。CSKとはすなわち、RGBの3色LEDの発光強度を変えて8色や16色など複数の色を表現し、各色をビット列に対応させる変調方式である。CSKで用いる色の表現には、CIE1931で定義された色空間を用いる。CIE1931は、電磁可視スペクトルにおける波長の分布と、人間の色覚における知覚色との間で初めて国際照明委員会によって定義された、定量的な色空間のことである。撮影カメラによってコンスタレーションの三角形は異なり、三角形の外の色に対しては三角形内部に補正される。CSKではこの三角形内に距離が最大となるようなシンボルを設けることで、シンボル間の干渉を防いだ通信を行う。ただしOCCでは、画像全体の中で光源が占める領域を特定し、当該領域内のRGB値から信号を復調することから、光源として用いるLEDパネル自体の色や、カメラの機種に依存した特性、屋内か屋外かといった外部環境によって、特定の色を識別しにくくなる場合がある。この課題に対して、非特許文献2では、色シンボルを余分に用意しておき、環境に応じて通信に利用する色を変化させる適応CSKを提案している。従来のCSKに対して1つ多い色シンボルを用意することで、実環境下で読み取り精度が最も低い色シンボルを除外したN色でデータ伝送を行い、通常のCSKと比較してBit Error Rate(BER)を最大で3~4桁向上させることに成功しており,様々な環境下で高精度な通信を実現することができる.
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Yukito Onodera, Hiroki Takano, Daisuke Hisano, Yu Nakayama, "Avoiding Inter Light Sources Interference in Optical Camera Communication", IEEE Global Telecommunications Conference (GLOBECOM), Madrid, Spain, Dec. 2021.
【非特許文献2】Yukito Onodera, Hiroki Takano, Daisuke Hisano, Yu Nakayama, "Adaptive N+1 Color Shift Keying for Optical Camera Communication", IEEE 94th Vehicular Technology Conference(VTC-Fall), Virtual, Sep. 2021.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
OCCでは、可視光を利用するため、光信号は通信対象である受信デバイス以外のカメラでも撮影可能であり、また人間にも見えるという課題があった。すなわち、送信信号を人間が見た場合には、何らかの光の点滅や色の変化などとして認識される。また、特定のカメラに対してのみ選択的に可視とすることを可能にする技術はなかった。
【0010】
開示の技術は、受信ノードにおいて選択的に送信情報を受信することができる通信システム及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の第1態様は、送信ノードと、受信ノードと、を含む通信システムであって、前記受信ノードは、カメラを備え、前記カメラの撮影設定で、撮影画像を取得し、前記撮影画像の色情報に基づいて送信情報を復号する可視光通信を行い、前記送信ノードは、可視光を出力する出力部と、送信情報に応じて可視光を照射させるように前記出力部を制御する制御部とを含み、前記受信ノードの前記カメラの撮影設定に基づいて前記送信情報の符号化及び変調を行い、可視光を照射させるように前記出力部を制御する。
【0012】
本開示の第2態様は、送信ノードと、受信ノードと、を含む通信システムであって、前記送信ノードは、可視光を出力する出力部と、送信情報に応じて可視光を照射させるように前記出力部を制御する制御部とを含み、特定の撮影設定に基づいて前記送信情報の符号化及び変調を行い、可視光を照射させるように前記出力部を制御し、前記受信ノードは、カメラを備え、前記特定の撮影設定で、撮影画像を取得し、前記撮影画像の色情報に基づいて送信情報を復号する可視光通信を行う。
【0013】
本開示の第3態様は、可視光を出力する出力部を備える送信ノードと、カメラを備える受信ノードと、を含む通信システムにおける通信方法であって、前記送信ノードは、前記受信ノードの前記カメラの撮影設定に基づいて送信情報の符号化及び変調を行い、可視光を照射させるように前記出力部を制御し、前記受信ノードは、前記カメラの撮影設定で、撮影画像を取得し、前記撮影画像の色情報に基づいて送信情報を復号する可視光通信を行う。
【0014】
本開示の第4態様は、可視光を出力する出力部を備える送信ノードと、カメラを備える受信ノードと、を含む通信システムにおける通信方法であって、前記送信ノードは、特定の撮影設定に基づいて送信情報の符号化及び変調を行い、可視光を照射させるように前記出力部を制御し、前記受信ノードは、前記特定の撮影設定で、撮影画像を取得し、前記撮影画像の色情報に基づいて送信情報を復号する可視光通信を行う。
【発明の効果】
【0015】
開示の技術によれば、受信ノードにおいて選択的に送信情報を受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】カメラの撮影設定に応じた撮影素子の受光量を説明するための図である。
図2】赤色、緑色、青色の受光量の変化を示す図である。
図3】カメラの撮影設定に応じた撮影素子の受光量を説明するための図である。
図4】カメラの撮影設定に応じた撮影素子の受光量を説明するための図である。
図5】第1、第2、第3、第5実施形態に係る通信システムの構成を示す概略図である。
図6】第1、第2、第3、第4実施形態に係る送信ノードの制御部の構成を示すブロック図である。
図7】第1、第2、第3、第4実施形態に係る受信ノードの制御部の構成を示すブロック図である。
図8】第1、第2、第3、第4実施形態に係る送信ノードによる送信処理ルーチンを示すフローチャートである。
図9】第1、第2、第3、第4実施形態に係る受信ノードによる受信処理ルーチンを示すフローチャートである。
図10】ローリングシャッターを用いたときの各カメラのフレーム画像を説明するための図である。
図11】カメラの撮影設定に応じた撮影素子の受光量を説明するための図である。
図12】カメラの撮影設定に応じた撮影素子の受光量を説明するための図である。
図13】カメラの撮影設定に応じた撮影素子の受光量を説明するための図である。
図14】カメラの撮影設定に応じた撮影素子の受光量を説明するための図である。
図15】第4実施形態に係る通信システムの構成を示す概略図である。
図16】照射部の照射領域のうちの特定の部分領域を説明するための図である。
図17】第5実施形態に係る送信ノードの制御部の構成を示すブロック図である。
図18】第5実施形態に係る受信ノードの制御部の構成を示すブロック図である。
図19】第5実施形態に係る送信ノードによる送信処理ルーチンを示すフローチャートである。
図20】第5実施形態に係る受信ノードによる受信処理ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して開示の技術の実施形態を詳細に説明する。
【0018】
<開示の技術の実施形態の原理>
開示の技術では、光信号の符号化及び変調を行うことで、受信ノードに応じて選択的に異なるデータを受信させる。すなわち、カメラは、露光している間に受けた光の量を出力することを利用して、受信ノードのシャッタースピード、フレームレート、絞り値、ゲイン/ISOなどの撮影設定に応じた信号が受信されるように送信側の光信号を符号化し制御する。本開示の技術により、送信した光信号について、カメラで取得した色と、人間が目で見て認識する色とを異なる色に操作することも可能となり、それを見る人間に対しては光信号であることを悟らせない、といった使い方もできる。
【0019】
図1図2は、本開示の技術の実施形態に係るカメラの受光量を示す図である。カメラは、選択的に光を透過させるフィルタを用いて、主に赤色の可視光を受信する「R」の撮影素子、緑色を受信する「G」の撮影素子、青色を受信する「B」の撮影素子の3種類を1セットとして用いられる。このとき、一般的なカメラの画素の配置としては、「R」、「G」、「G」、「B」の4つの撮影素子を並べて1画素として用いる構成が多い。画素を構成する各撮影素子は、露光された間に光を受け、その受光量を値として出力する。この受光量を露出と呼称する。このとき、シャッタースピードTを高速にすれば露光時間が減少し、受光する光の総量が減少する。また絞り値Fを大きくすると、絞りが絞られてレンズを通る光が少なくなるため、受光する光の総量が減少する。ISO感度kを低くすると、センサの感度が低下し、受光する光の総量が減少する。
【0020】
以下では、撮影素子の受光量を、RGBの各成分を用いてS=(S,S,S)と書くことにする。光信号を送信する光源側で、時刻aからa+Tの間に赤色の光s(t)を送信した場合、撮影素子が受ける赤成分の受光量を、
【0021】

・・・(1)
【0022】
と書く。SおよびSについても同様であるが、簡単のため環境光およびイメージセンサの分光感度特性は考慮せず、このときS=0およびS=0とする。なお、Tはシャッタースピード、1/F2は絞り値で定まるパラメータ、10k/20はゲイン/ISOで定まるパラメータとする。ただし、ゲインの単位はdBであり、10k/20はdBの定義である。また、イメージセンサの受光量は飽和するため、飽和時の受光量をS Maxとおくと、式(1)の値はS Maxを超えることはないが、以下の説明では略記する。このとき光源側から、時刻aからa+T/2の間は青色の信号を、時刻a+T/2からa+Tの間は赤色の信号を送信した場合には、
【0023】

【0024】
と表現できる。なおρ、ρなどは、送信光の強度で定まる値である。このとき、赤および青成分の受光量は、それぞれ以下の値となる。
【0025】

【0026】
結果として、当該フレームに撮影素子から読みだされる色情報(S,S,S)は、上記となり、画素の色としては紫色になる。
【0027】
図3図4に、シャッタースピードのみを変更した場合の受光量の違いを示す。すなわち、シャッタースピードT’=T/2の場合について、その他の条件を上記と同じに設定したときには、上式における積分区間が[a:a+T]ではなく、[a:a+T/2]および[a+T/2:a+T]の2つに分割されることになる。このとき、撮影素子からは2回の読み出しが行われる。便宜的に[a:a+T/2]を区間1、及び[a+T/2:a+T]を区間2とおけば、赤成分の受光量は区間1にはゼロ、区間2には
【0028】
【0029】
となる。一方で、青成分の受光量は区間1には
【0030】
【0031】
となり、区間2にはゼロとなる。よって、区間1には青、区間2には赤が出力される。
【0032】
[第1実施形態]
<通信システム10の構成>
図5に示すように、第1実施形態に係る通信システム10は、受信ノード20と、送信ノード40とを備えている。
【0033】
送信ノード40は、照射部42と、制御部44と、を備える。
【0034】
照射部42は、一般的な3色LEDのほか、複数のLEDを並べたパネルや、ディスプレイなどを用いて可視光を照射する。制御部44は、照射部42の発光によって光信号を送信するように制御する。変調方式としては、発光のオン・オフによって1と0を表すOn Off Keyingと呼ばれる手法のほか、発光する光の色によってビット列を表現するColor Shift Keyingなどの手法を用いることができる。また、複数の光源を用いる空間変調と呼ばれる方式を用いてもよい。このように、制御部44は、入力された送信情報を、指定された変調方式を用いて光信号へと変換する役割を担う。
【0035】
照射部42で用いる光源には、LEDライト、LEDパネル、ディスプレイなどがある。入力された送信情報は、光信号として符号化・変調され、光源から送信される。
【0036】
制御部44は、送信情報に応じて可視光を照射させるように照射部42を制御する。
【0037】
具体的には、図6に示すように、制御部44は、情報取得部50、撮影設定取得部52、データ変調部54、及び出力制御部56を備えている。
【0038】
情報取得部50は、入力された送信情報を取得する。
【0039】
撮影設定取得部52は、受信ノード20のカメラ22の撮影設定に関するパラメータを取得する。
【0040】
具体的には、受信ノード20のカメラ22のフレームレート、シャッタースピード、絞り値、ゲインを含む、撮影設定に関するパラメータを取得する。
【0041】
データ変調部54は、送信情報をビット列に符号化し、プリアンブル及び送信情報のビット列を、指定された変調方式を用いて光信号へ変換する。
【0042】
このとき、受信ノード20のカメラ22の撮影設定に基づいて送信情報の変調を行う。
【0043】
具体的には、送信情報を符号化したビット列について、所定ビット(例えば、2ビットや4ビット)毎に、ビット列を色に変換し、当該色が受光されるように、光信号へ変換する。このとき、受信ノード20のカメラ22のシャッタースピードT、絞り値F、ゲインkと、ビット列に応じて受光させたい色に応じた赤、青、緑の受光量S’、S’、S’とに基づいて、上記(1)式、上記(1)式と同様の式に従って、各時刻の赤、青、緑の光信号s(t)、s(t)、s(t)へ変換する。
【0044】
ここで、具体的な符号化方法の一例を挙げる。時刻aからa+Tにおいて得られる赤の受光量をSとする。Sは時刻a+T/2の前後T/2間で2つの信号に分解することができる。分解する割合をcとすると、
【0045】
となる。cはある一定の割合で変化する。例えばcが1/3ずつ変化するとき、時刻aからa+T/2の間では、0、S/3、2S/3、Sの4つの色を表現することができる。すなわち、時刻aからa+T/2の間では、2ビットの情報が送信可能になる。これは青、緑においても同様である。
【0046】
ビットの割り当て方法については2つの方法がある。1つは赤、緑、青のそれぞれでビットを割り当てる方法である。もう1つは赤、緑、青を合わせてビットを割り当てる方法である。この場合、分解可能数が2のべき乗ではない時に有用である。例えば、赤が3成分、緑が10成分、青が5成分に分解できるとする。前半の割り当て方法では赤で1ビット、緑で3ビット、青で2ビットの合計6ビットの情報を割り当てることになるが、後半の割り当て方法の場合、合計で150の色を表現することができる。すなわち、7ビット分の情報を割り当て可能となる。
【0047】
出力制御部56は、データ変調部54の出力s(t)、s(t)、s(t)に基づいて、各色の可視光を照射させるように照射部42を制御する。
【0048】
具体的には、出力制御部56は、まず、プリアンブルを、照射部42を用いて各時刻の赤、青、緑の光信号s(t)、s(t)、s(t)として送信するように制御し、次に、送信情報であるペイロードを、照射部42を用いて各時刻の赤、青、緑の光信号s(t)、s(t)、s(t)として送信するように制御する。
【0049】
受信ノード20は、カメラ22と、制御部24と、を備える。
【0050】
カメラ22は、送信ノード40の画像を取り込み可能なように設置されている。カメラ22は、フレームレート、シャッタースピード、絞り値、ゲインを含む、撮影設定に関するパラメータを備える。
【0051】
制御部24は、カメラ22の撮影素子から撮影画像を取得し、送信情報を取得する可視光通信を行う。
【0052】
具体的には、制御部24は、図7に示すように、撮影制御部30、画像取得部32、及び復号部34を備えている。
【0053】
撮影制御部30は、撮影設定に従って、フレーム毎に、カメラ22の各撮影素子による露光及び読み取りを行うようにカメラ22を制御する。
【0054】
画像取得部32は、カメラ22の撮影素子から取得した撮影画像から、送信ノード40の照射部42によって照射された可視光を表す領域を検出し、フレーム画像として取得する。
【0055】
復号部34は、フレーム毎に取得したフレーム画像の色情報に基づいて、プリアンブル及び送信情報に復号する。具体的には、フレーム毎に取得したフレーム画像の色情報を、ビット列に変換することにより、プリアンブル及び送信情報に復号する。
【0056】
<通信システム10の作用>
次に、本開示の技術の実施形態に係る通信システム10の作用について説明する。なお、後述する送信処理ルーチン及び受信処理ルーチンが、通信方法の一例である。
【0057】
まず、送信ノード40において、制御部44により、図8に示す送信処理ルーチンが実行される。
【0058】
まず、ステップS100において、制御部44は、入力された送信情報を取得する。
【0059】
ステップS102において、制御部44は、受信ノード20のカメラ22の撮影設定に関するパラメータを取得する。
【0060】
ステップS104において、制御部44は、送信情報をビット列に符号化し、プリアンブル及び送信情報のビット列を、指定された変調方式を用いて光信号へ変換する。
【0061】
このとき、受信ノード20のカメラ22の撮影設定に基づいて送信情報の変調を行う。
【0062】
ステップS106において、制御部44は、まず、プリアンブルを、照射部42を用いて光信号として送信するように制御し、次に、送信情報であるペイロードを、照射部42を用いて光信号として送信するように制御することにより、可視光通信でデータ送信を行う。
【0063】
また、受信ノード20の制御部24により、図9に示す受信処理ルーチンが実行される。
【0064】
まず、ステップS110において、撮影制御部30は、撮影設定に従って、フレーム毎に、カメラ22の各撮影素子による露光及び読み取りを行うようにカメラ22を制御する。
【0065】
ステップS112において、画像取得部32は、カメラ22の撮影素子から取得した撮影画像から、送信ノード40の照射部42によって照射された可視光を表す領域を検出し、フレーム画像として取得する。
【0066】
ステップS114において、復号部34は、取得したフレーム画像の色情報に基づいて、プリアンブル又は送信情報に復号する。
【0067】
ステップS116において、制御部24は、フレームが終了であるか否かを判定する。フレームが終了でない場合には、上記ステップS110へ戻る。一方、フレームが終了である場合には、受信処理ルーチンを終了する。
【0068】
以上説明したように、第1実施形態に係る通信システムによれば、送信ノードは、受信ノードのカメラの撮影設定に基づいて送信情報の符号化及び変調を行い、可視光を照射させるように出力部を制御する。受信ノードは、カメラの撮影設定で、撮影画像を取得し、撮影画像の色情報に基づいて送信情報を復号する可視光通信を行う。これにより、受信ノードにおいて選択的に送信情報を受信することができる。特に、受信ノードに応じて、シャッタースピードの設定を変えることにより、受信ノードにおいて選択的に送信情報を受信することができる。
【0069】
また、人間のみならず、あらゆる撮影素子に撮影され得る可視光を使った通信でありながら、特定の受信ノードに対する選択的なデータの送受信が可能となる。従来、光信号が可視光として拡散される点が美観やセキュリティに対して悪影響を与える場合があったが、本実施形態によりこれを抑止することができる。例えば、ディスプレイを光源として用いて、映像の中の特定の箇所に光信号を埋め込んで送信するような場合に、人間の目には通常の映像として見える一方で、シャッタースピード、絞り値、ゲインを特定の値に設定したカメラにのみ、復調可能な光信号として認識される。また、カメラ、撮影素子に対して特定の設定を行った受信ノードにのみ受信を許可するため、暗号化としての利用が可能である。
【0070】
なお、上記実施形態で説明した技術を、ローリングシャッター方式を用いた可視光通信に適用してもよい。図10は、ローリングシャッター方式を用いた変形例における可視光通信の一例を示す図である。出力は、一例としてローリングシャッターにおける出力を記載している。光源から赤、青、緑の光を高速で繰り返し送出したとき、シャッタースピードが速く露光時間が短いカメラ1では、赤、青、緑の各色が別々に撮影される。一方で、シャッタースピードが遅く露光時間が長いカメラ2では、赤と青の光が撮影素子上で混色されて紫色になるなど、合成色として撮影される。さらに、この光源を人の目で見たときには、これらの色を分離することができず、白色として知覚される。このように、シャッタースピードの異なるカメラ、及び人間に対して、異なった色を送出することが可能となる。色のパターンを変更することで、撮影素子上で様々な色を混色させることができる。色を用いて符号化及び変調を行うCSKを適用した場合、異なる色を観測するということは、異なるデータを受信することを意味する。すなわち本変形例により、受信ノードに応じて選択的に異なるデータを受信させることができる。
【0071】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る通信システムについて説明する。なお、第2実施形態に係る通信システムの構成は、第1実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0072】
第2実施形態では、受信ノード間で、シャッタースピードを固定して、絞り値を変更している点が、第1実施形態と異なっている。
【0073】
<開示の技術の実施形態の原理>
図11図12は、第2実施形態に係るカメラの設定と受光量との関係を示す図である。
【0074】
開示の技術では、受信ノード間で、シャッタースピードを固定して、絞り値Fを変更している。なお、シャッタースピードと絞り値を組み合わせて変更することも可能である。絞り値を変えることで、撮影素子が受光する光の量を調節することができる。絞り値を小さくし、絞りを開くほど多くの光を受けることになる。光信号を送信する光源側で、時刻aからa+Tの間に赤色の光s(t)を送信し、絞り値をFとした場合、撮影素子が受ける赤成分の光は、上記(1)式で表される。
【0075】
次に、絞り値をF’に変更した場合、受光量は
【0076】

・・・(2)
【0077】
となる。このとき、当該フレームに撮影素子が出力する値はSからS’に変わることとなる。すなわち、絞り値が大きく受光量が小さいカメラでは暗い赤として出力されるのに対して絞り値が小さく受光量が大きいカメラでは明るい赤として出力されることになる。
【0078】
このように、絞り値の異なるカメラに対して、異なった色を送出することが可能となる。色のパターンを変更することで、撮影素子上で様々な色を混色させることができる。色を用いて符号化及び変調を行うCSKを適用した場合、異なる色を観測するということは、異なるデータを受信することを意味する。また、光の強さによって符号化及び変調を行う強度変調を適用することも可能である。すなわち本実施形態により、絞り値の設定に応じて選択的に異なるデータを受信させることができる。
【0079】
<通信システム10の構成>
第2実施形態に係る通信システム10の送信ノード40において、データ変調部54は、送信情報をビット列に符号化し、プリアンブル及び送信情報のビット列を、指定された変調方式を用いて光信号へ変換する。
【0080】
このとき、受信ノード20のカメラ22の撮影設定に基づいて送信情報の変調を行う。
【0081】
具体的には、送信情報を符号化したビット列について、所定ビット(例えば、2ビットや4ビット)毎に、ビット列を色に変換し、当該色が受光されるように、光信号へ変換する。このとき、受信ノード20のカメラ22のシャッタースピードT、絞り値F’、ゲインkと、ビット列に応じて受光させたい色に応じた赤、青、緑の受光量S’、S’、S’とに基づいて、上記(2)式、上記(2)式と同様の式に従って、各時刻の赤、青、緑の光信号s(t)、s(t)、s(t)へ変換する。
【0082】
ここで、具体的な符号化方法の一例を挙げる。ある絞り値Fにおける赤の受光量をSとする。このとき絞り値√2Fにおける赤の受光量はS/2となる。送信側の光量を0<r<255としたとき、送信側が0<r≦20または50<r≦100で0の信号とし、20<r≦50または100<r≦255で1の信号を送れるとすると、送信側がr=255のとき、絞り値Fおよび√2Fではそれぞれ255、128の光を受け取るためどちらも1となる。送信側がr=128のとき、絞り値Fおよび√2Fではそれぞれ128、64の光を受け取るため絞り値Fは1、絞り値√2Fは0となる。送信側がr=64のとき、絞り値Fおよび√2Fではそれぞれ64、32の光を受け取るため絞り値Fは0、絞り値√2Fは1となる。送信側がr=0のとき、絞り値Fおよび√2Fではどちらも0の光を受け取るため絞り値Fは0、絞り値√2Fは0となる。実際にはノイズや基準受光量から閾値を決定する必要があるが、適切な閾値を設定することにより、絞り値の異なる複数のカメラ間において任意の信号を送ることが可能になる。さらに細かく閾値を設定することにより、送信可能ビット数を増やすことも可能である。
【0083】
なお、通信システムの他の構成及び作用は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0084】
以上説明したように、第2実施形態に係る通信システムによれば、送信ノードは、受信ノードのカメラの撮影設定に基づいて送信情報の符号化及び変調を行い、可視光を照射させるように出力部を制御する。受信ノードは、カメラの撮影設定で、撮影画像を取得し、撮影画像の色情報に基づいて送信情報を復号する可視光通信を行う。これにより、受信ノードにおいて選択的に送信情報を受信することができる。特に、受信ノードに応じて、絞り値の設定を変えることにより、受信ノードにおいて選択的に送信情報を受信することができる。
【0085】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る通信システムについて説明する。なお、第3実施形態に係る通信システムの構成は、第1実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0086】
第3実施形態では、受信ノード間で、シャッタースピードを固定して、ゲインを変更している点が、第1実施形態と異なっている。
【0087】
<開示の技術の実施形態の原理>
図13図14は、第3実施形態に係るカメラの設定と受光量との関係を示す図である。
【0088】
開示の技術では、受信ノード間で、シャッタースピードを固定して、ゲイン/ISOを変更する。なお、シャッタースピードや絞り値と組み合わせて変更することも可能である。ゲインと呼称する場合とISOと呼称する場合があるが、以下ではゲインと呼称する。ゲインを変えることで、撮影素子の感度を変え、結果として出力する光量を調節することができる。ゲインを大きくするほど、多くの光を受けることになる。光信号を送信する光源側で、時刻aからa+Tの間に赤色光s(t)を送信し、ゲインをkとした場合、撮影素子が受ける赤成分の光は、上記(1)式で表される。
【0089】
次に、ゲインをk’に変更した場合、受光量は

・・・(3)
【0090】
となる。このとき、当該フレームに撮影素子が出力する値はSからS’に変わることとなる。すなわち、ゲインが小さく受光量が小さいカメラでは暗い赤として出力されるのに対してゲインが大きく受光量が大きいカメラでは明るい赤として出力されることになる。このように、ゲインの異なるカメラに対して、異なった色を送出することが可能となる。色のパターンを変更することで、撮影素子上で様々な色を混色させることができる。色を用いて符号化及び変調を行うCSKを適用した場合、異なる色を観測するということは、異なるデータを受信することを意味する。また、光の強さによって符号化及び変調を行う強度変調を適用することも可能である。すなわち本実施形態により、ゲインの設定に応じて選択的に異なるデータを受信させることができる。
【0091】
<通信システム10の構成>
第3実施形態に係る通信システム10の送信ノード40において、データ変調部54は、送信情報をビット列に符号化し、プリアンブル及び送信情報のビット列を、指定された変調方式を用いて光信号へ変換する。
【0092】
このとき、受信ノード20のカメラ22の撮影設定に基づいて送信情報の変調を行う。
【0093】
具体的には、送信情報を符号化したビット列について、所定ビット(例えば、2ビットや4ビット)毎に、ビット列を色に変換し、当該色が受光されるように、光信号へ変換する。このとき、受信ノード20のカメラ22のシャッタースピードT、絞り値F、ゲインk’と、ビット列に応じて受光させたい色に応じた赤、青、緑の受光量S’、S’、S’とに基づいて、上記(2)式、上記(2)式と同様の式に従って、各時刻の赤、青、緑の光信号s(t)、s(t)、s(t)へ変換する。
【0094】
ここで、具体的な符号化方法の一例を挙げる。あるゲインkにおける赤の受光量をSとする。このときゲインk’における赤の受光量をS/2とする。例えばゲインk=0のとき、係数は1となり、ゲインk=6.02のときは係数が2となり、受信光が2倍となる。送信側の光量を0<r<255としたとき、送信側が0<r≦20または50<r≦100で0の信号とし、20<r≦50または100<r≦255で1の信号を送れるとすると、送信側がr=255のとき、ゲインkおよびk’ではそれぞれ255、128の光を受け取るためどちらも1となる。送信側がr=128のとき、ゲインkおよびk’ではそれぞれ128、64の光を受け取るためゲインkは1、ゲインk’は0となる。送信側がr=64のとき、ゲインkおよびk’ではそれぞれ64、32の光を受け取るためゲインkは0、ゲインk’は1となる。送信側がr=0のとき、ゲインkおよびk’ではどちらも0の光を受け取るためゲインkは0、ゲインk’は0となる。実際にはノイズや基準受光量から閾値を決定する必要があるが、適切な閾値を設定することにより、絞り値の異なる複数のカメラ間において任意の信号を送ることが可能になる。さらに細かく閾値を設定することにより、送信可能ビット数を増やすことも可能である。
【0095】
なお、通信システムの他の構成及び作用は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0096】
以上説明したように、第3実施形態に係る通信システムによれば、送信ノードは、受信ノードのカメラの撮影設定に基づいて送信情報の符号化及び変調を行い、可視光を照射させるように出力部を制御する。受信ノードは、カメラの撮影設定で、撮影画像を取得し、撮影画像の色情報に基づいて送信情報を復号する可視光通信を行う。これにより、受信ノードにおいて選択的に送信情報を受信することができる。特に、受信ノードに応じて、ゲインの設定を変えることにより、受信ノードにおいて選択的に送信情報を受信することができる。
【0097】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る通信システムについて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0098】
第4実施形態では、1つの送信ノードからの送信情報を、複数の受信ノードで受信する点が、第1実施形態と異なっている。
【0099】
図15に示すように、第4実施形態に係る通信システム410は、複数の受信ノード20と、送信ノード40とを備えている。
【0100】
複数の受信ノード20間で、カメラ22の撮影設定に関するパラメータが異なっている。具体的には、複数の受信ノード20間において、受信ノード20のカメラ22のシャッタースピード、絞り値、又はゲインが異なっている。
【0101】
照射部42で用いる光源は、照射領域を有しており、例えば、ディスプレイである。ディスプレイとしては、液晶表示装置、有機ELパネル、LEDパネルなどが適している。また、プロジェクターにより投影された画像であってもよい。受信ノード20毎に送信情報が異なり、受信ノード20毎の送信情報は、光信号として符号化・変調され、図16に示すように、ディスプレイである照射部42の照射領域の部分領域であって、当該受信ノード20に対して予め定められた特定の部分領域(図16の破線領域を参照)から送信される。
【0102】
具体的には、データ変調部54は、受信ノード20毎に、当該受信ノード20の送信情報をビット列に符号化し、プリアンブル及び送信情報のビット列を、指定された変調方式を用いて光信号へ変換する。このとき、受信ノード20毎のカメラ22の撮影設定に基づいて送信情報の変調を行う。
【0103】
より具体的には、受信ノード20毎に、当該受信ノード20のカメラ22のシャッタースピードT、絞り値F、ゲインkと、ビット列に応じて受光させたい色に応じた赤、青、緑の受光量S、S、Sとに基づいて、上記(1)式、上記(1)式と同様の式に従って、各時刻の赤、青、緑の光信号s(t)、s(t)、s(t)へ変換する。
【0104】
また、制御部44は、複数の受信ノード20の各々に対し、当該受信ノード20に対して予め定められた特定の部分領域において、当該受信ノード20に対する送信情報に応じて可視光を照射させるように照射部42を制御する。
【0105】
複数の受信ノード20の各々は、受信ノード20に対して予め定められた特定の部分領域を表す部分画像の色情報に基づいて送信情報を復号する。
【0106】
通信システム410の他の構成及び作用については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0107】
受光量S、S、Sは実際には、イメージセンサの分光感度特性により、他の色成分の影響が現れる。イメージセンサのカラーフィルタは、特定の波長を多く透過するが、その際に他の波長も多少透過する。そのため、分光感度特性を考慮した場合、カラーフィルタのR、G、B透過率をそれぞれf(h)、f(h)、f(h)とし、発光体のR、G、Bの波長をそれぞれh、h、hとすると受光量S、S、S

・・・(4)
【0108】
となる。さらに実環境では環境ノイズによる影響も考慮する必要がある。
【0109】
以上説明したように、第4実施形態に係る通信システムによれば、一つの送信ノードの光信号を複数の受信ノードで受信する一対多通信においても、受信ノードにおいて選択的に送信情報を受信することができる。
【0110】
なお、送信ノードが、各受信ノードに対して予め定められた特定の部分領域で信号を送信する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。各受信ノードに対する部分領域を持たず、例えば、照射領域(ディスプレイの画面全面)が時分割で特定の受信ノードに対する信号を送信するようにしてもよい。
【0111】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る通信システムについて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0112】
第5実施形態では、1つの送信ノードから、送信情報を、特定の撮影設定に基づいて符号化及び変調を行って送信し、受信ノードで、特定の撮影設定を取得し、特定の撮影設定で、撮影する点が、第1実施形態と異なっている。
【0113】
図17に示すように、第5実施形態の送信ノード40の制御部544の撮影設定取得部552は、予め定められた特定の撮影設定に関するパラメータを取得する。例えば、送信情報の機密度に応じて、あるいは受信ノード20に応じて、特定の撮影設定に関するパラメータを予め定めたテーブルを持っておき、当該テーブルから、特定の撮影設定に関するパラメータを取得する。
【0114】
図18に示すように、受信ノード20の制御部524は、特定の撮影設定に関するパラメータを、送信ノード40から取得する。一つの例としては、送信ノードが、特定の撮影設定に関するパラメータを、プリアンブルあるいはその前段の制御信号として送信し、受信ノード20の制御部24は、受信したプリアンブルあるいはその前段の制御信号から、特定の撮影設定に関するパラメータを取得する。
【0115】
撮影制御部530は、取得した特定の撮影設定のパラメータに従って、フレーム毎に、カメラ22の各撮影素子による露光及び読み取りを行うようにカメラ22を制御する。
【0116】
<通信システム10の作用>
次に、本開示の技術の実施形態に係る通信システム10の作用について説明する。
【0117】
まず、送信ノード40において、制御部544により、図19に示す送信処理ルーチンが実行される。
【0118】
まず、ステップS100において、制御部544は、入力された送信情報を取得する。
【0119】
ステップS502において、制御部544は、予め定められた特定の撮影設定に関するパラメータを取得する。
【0120】
ステップS104において、制御部544は、送信情報をビット列に符号化し、プリアンブル及び送信情報のビット列を、指定された変調方式を用いて光信号へ変換する。
【0121】
このとき、受信ノード20のカメラ22の撮影設定に基づいて送信情報の変調を行う。
【0122】
ステップS106において、制御部544は、まず、プリアンブルを、照射部42を用いて光信号として送信するように制御し、次に、送信情報であるペイロードを、照射部42を用いて光信号として送信するように制御することにより、可視光通信でデータ送信を行う。
【0123】
また、受信ノード20の制御部524により、図20に示す受信処理ルーチンが実行される。
【0124】
まず、ステップS508において、制御部524は、特定の撮影設定に関するパラメータを、送信ノード40から取得する。
ステップS110において、撮影制御部530は、撮影設定に従って、フレーム毎に、カメラ22の各撮影素子による露光及び読み取りを行うようにカメラ22を制御する。
【0125】
ステップS112において、画像取得部32は、カメラ22の撮影素子から取得した撮影画像から、送信ノード40の照射部42によって照射された可視光を表す領域を検出し、フレーム画像として取得する。
【0126】
ステップS114において、復号部34は、取得したフレーム画像の色情報に基づいて、プリアンブル又は送信情報に復号する。
【0127】
ステップS116において、制御部524は、フレームが終了であるか否かを判定する。フレームが終了でない場合には、上記ステップS110へ戻る。一方、フレームが終了である場合には、受信処理ルーチンを終了する。
【0128】
なお、第5実施形態に係る通信システムの他の構成及び作用については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【符号の説明】
【0129】
10、410 通信システム
20 受信ノード
22 カメラ
24、524 制御部
30、530 撮影制御部
32 画像取得部
34 復号部
40 送信ノード
42 照射部
44、544 制御部
50 情報取得部
52、552 撮影設定取得部
54 データ変調部
56 出力制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20