(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118310
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20240823BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20240823BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20240823BHJP
H10B 43/50 20230101ALI20240823BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240823BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20240823BHJP
H10B 41/50 20230101ALI20240823BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240823BHJP
H01L 21/31 20060101ALN20240823BHJP
【FI】
H10B43/27
H01L21/316 X
H01L21/306 D
H10B43/50
H01L29/78 371
H10B41/27
H10B41/50
H01L21/90 N
H01L21/31 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024667
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】荒井 宏貴
【テーマコード(参考)】
5F033
5F043
5F045
5F058
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F033HH19
5F033HH20
5F033HH32
5F033HH33
5F033QQ09
5F033QQ19
5F033QQ48
5F033RR01
5F033RR03
5F033RR04
5F033RR06
5F033RR30
5F033SS11
5F033VV16
5F033WW03
5F043AA37
5F043BB25
5F043FF10
5F045AA08
5F045AA15
5F045AB31
5F045AC02
5F045AC07
5F045AC11
5F045AC16
5F045AC17
5F045AD05
5F045AD06
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045AE01
5F045AF12
5F045BB02
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5F045DP03
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5F058BA20
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5F058BF24
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF37
5F058BH11
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5F058BJ04
5F083EP22
5F083EP76
5F083ER22
5F083GA27
5F083JA39
5F083JA40
5F083KA01
5F083MA06
5F083MA16
5F083PR05
5F083PR06
5F083PR21
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BH02
5F101BH15
(57)【要約】
【課題】基板にエアギャップを形成する基板処理方法を提供する。
【解決手段】第1の材料層と、第2の材料層と、前記第1の材料層と前記第2の材料層との間に形成される酸化マグネシウム層と、を有する構造を形成する工程と、ウエットエッチングで、前記第1の材料層及び前記第2の材料層に対して前記酸化マグネシウム層を選択的に除去してエアギャップを形成する工程と、を有する、基板処理方法。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に、第1の材料層と、第2の材料層と、前記第1の材料層と前記第2の材料層との間に形成される酸化マグネシウム層と、を有する構造を形成する工程と、
ウエットエッチングで、前記第1の材料層及び前記第2の材料層に対して前記酸化マグネシウム層を選択的に除去してエアギャップを形成する工程と、を有する、
基板処理方法。
【請求項2】
前記構造を形成する工程は、
前記第1の材料層が形成された基板を準備する工程と、
前記第1の材料層の上に前記酸化マグネシウム層を形成する工程と、
前記酸化マグネシウム層の上に第2の材料層を形成する工程と、を有する、
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記酸化マグネシウム層を形成する工程は、
前記基板にマグネシウム前駆体を供給して、前記基板の表面に前記マグネシウム前駆体の吸着層を形成する工程と、
前記基板に酸素含有ガスを供給してプラズマを生成し、前記吸着層を前記プラズマにさらして反応させて前記酸化マグネシウム層を形成する工程と、を所定回数繰り返す、
請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記酸化マグネシウム層を形成する温度は、50℃~550℃の範囲内である、
請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記マグネシウム前駆体は、
EtCp2Mg、MgCp2、C2H5MgCl、C2H5MgBrから選択される、
請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記酸素含有ガスはO2、O3、H2O、CO、CO2から選択される、
請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記ウエットエッチングは、
純水、希釈HF、リン酸のいずれかで前記酸化マグネシウム層を選択的に除去する、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記ウエットエッチングは、純水を用い、
前記酸化マグネシウム層を形成する温度は、100℃以下の範囲内である、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記ウエットエッチングは、希釈HFを用い、
前記酸化マグネシウム層を形成する温度は、300℃以下の範囲内である、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記第1の材料層は、誘電体である、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記第1の材料層は、シリコン含有膜である、
請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記シリコン含有膜は、SiN、SiO2、SiON、SiCN、SiOCN、SiOCの少なくともいずれかである、
請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記第2の材料層は、誘電体である、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記第2の材料層は、シリコン含有膜である、
請求項13に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記シリコン含有膜は、SiN、SiO2、SiON、SiCN、SiOCN、SiOCの少なくともいずれかである、
請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記第2の材料層は、金属含有膜である、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記金属含有膜は、TiN、TaN、W、Moの少なくともいずれを含む、
請求項16に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体基板上にエアギャップを形成するための方法であって、第1の材料の露出層、第2の材料の露出層、および、前記第1の材料の前記層と前記第2の材料の前記層との間に位置するSnO2の露出層を有する半導体基板を提供することと、水素プラズマエッチング化学物質を用いて、前記露出したSnO2を前記第1の材料および前記第2の材料の両方に対して選択的にエッチングすることで、前記第1の材料と前記第2の材料との間に凹状フィーチャを形成することと、前記凹状フィーチャを完全に充填することなく前記凹状フィーチャの上に第3の材料を堆積させることで、前記第1の材料の前記層と前記第2の材料の前記層との間に前記エアギャップを形成することと、を含む、方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一の側面では、本開示は、基板にエアギャップを形成する基板処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、基板に、第1の材料層と、第2の材料層と、前記第1の材料層と前記第2の材料層との間に形成される酸化マグネシウム層と、を有する構造を形成する工程と、ウエットエッチングで、前記第1の材料層及び前記第2の材料層に対して前記酸化マグネシウム層を選択的に除去してエアギャップを形成する工程と、を有する、基板処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、本開示は、基板にエアギャップを形成する基板処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】酸化マグネシウム層の形成処理の一例を示すフローチャート。
【
図3】エアギャップを形成する基板処理方法の一例を示すフローチャート。
【
図4】各ステップにおける基板の断面模式図の一例。
【
図5】各ステップにおける基板の断面模式図の一例。
【
図6】酸化マグネシウム層をDIW(純水)で処理した際のエッチングレートの一例を示すグラフ。
【
図7】酸化マグネシウム層を希釈DHF(フッ酸)で処理した際のエッチングレートの一例を示すグラフ。
【
図8】エアギャップを形成する基板処理方法の一例を示すフローチャート。
【
図9】ステップS801の処理後における基板の断面模式図の一例。
【
図10】ステップS802の処理後における基板の断面模式図の一例。
【
図11】ステップS803及びステップS804の処理後における基板の断面模式図の一例。
【
図12】ステップS805の処理後における基板の断面模式図の一例。
【
図13】ステップS806の処理後における基板の断面模式図の一例。
【
図14】ステップS807の処理後における基板の断面模式図の一例。
【
図15】ステップS808の処理後における基板の断面模式図の一例。
【
図16】ステップS809及びステップS810の処理後における基板の断面模式図の一例。
【
図17】ステップS811の処理後における基板の断面模式図の一例。
【
図18】ステップS812の処理後における基板の断面模式図の一例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
<成膜装置>
最初に、基板Wに酸化マグネシウム層(後述する酸化マグネシウム層420、酸化マグネシウム膜540参照)を形成する成膜装置100について、
図1を用いて説明する。
図1は、成膜装置100の概略構成の一例を示す図である。成膜装置100は、プラズマALD(Atomic Layer Deposition)装置であって、基板Wに酸化マグネシウム層を形成する成膜装置である。
【0010】
成膜装置100は、略円筒状の気密な処理容器1を有する。処理容器1の内部には、基板Wを載置するステージ2が設けられている。ステージ2は、円筒状の支持部材3によって支持されている。ステージ2の外縁部には、基板Wをガイドするためのガイドリング4が設けられている。これにより、ステージ2及びガイドリング4によって、ステージ2の上面に基板Wを載置するための略円形状の凹部が形成されている。ステージ2には、モリブデンなどの高融点金属で構成されたヒータ5が埋め込まれている。ヒータ5は、ヒータ電源6から給電され、ステージ2に載置された基板Wを所定の温度に加熱する。また、ステージ2は、平行平板電極の下部電極として機能する。ステージ2は、伝送路43を介して接地されている。また、ステージ2には、バイアスを印加するために高周波電源や直流電源が接続されていてもよい。
【0011】
処理容器1の天壁1aには、絶縁部材9を介してシャワーヘッド10が設けられている。シャワーヘッド10は、平行平板電極の上部電極として機能し、下部電極としてのステージ2と対向している。シャワーヘッド10には、整合器41を介して高周波電源42が接続されている。高周波電源42から上部電極(シャワーヘッド10)に例えば、400kHz~100MHzの高周波電力を供給することによって、上部電極(シャワーヘッド10)と下部電極(ステージ2)との間に高周波電界が生成され、容量結合プラズマが生成する。プラズマ生成部40は、整合器41と、高周波電源42と、を含む。なお、プラズマ生成部40は、容量結合プラズマに限らず、誘導結合プラズマなど他のプラズマを生成するものであってもよい。
【0012】
シャワーヘッド10は、ベース部材11と、シャワープレート12と、を有する。ベース部材11とシャワープレート12との間には、ガス拡散空間13が形成されている。シャワープレート12には、ガス拡散空間13から処理容器1内へガスを分散供給するための多数のガス吐出孔14が例えば均等に配置されている。ベース部材11の中央付近には、ガス拡散空間13と連通するガス導入孔15が形成されている。ガス導入孔15は、ガス配管16を介して、ガス供給部20のガス供給ライン21d~24dと接続されている。なお、ベース部材11の上部に形成された凹部には、断熱部材17が設けられている。
【0013】
ガス供給部20は、マグネシウム前駆体ガス供給源21と、酸素含有ガス供給源22と、Arガス供給源23と、Heガス供給源24と、を有する。
【0014】
マグネシウム前駆体ガス供給源21は、マグネシウム前駆体ガスを供給する。マグネシウム前駆体ガスは、例えば金属としてマグネシウム(Mg)を含む有機金属ガスを用いることができる。また、マグネシウム前駆体ガスは、例えば、EtCp2Mg(ビス(エチルシクロペンタジエニル)マグネシウム)、MgCp2(ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム)、C2H5MgCl、C2H5MgBr、等のうち少なくとも1つを含むガスを用いることができる。以下の説明において、マグネシウム前駆体ガスは、EtCp2Mgを用いるものとして説明する。
【0015】
なお、マグネシウム前駆体ガス供給源21は、液体のマグネシウム前駆体を気化させる気化器(図示せず)と、気化したマグネシウム前駆体ガスを気化器から搬送するキャリアガス(例えばArガス)を供給するキャリアガス供給源(図示せず)と、を含む構成であってもよい。この場合、マグネシウム前駆体ガス供給源21は、気化したマグネシウム前駆体ガスとともにキャリアガス(例えばArガス)を供給する。
【0016】
酸素含有ガス供給源22は、酸素含有ガスを供給する。具体的には、酸素含有ガスは、例えば、O2、O3、H2O、CO、CO2等のうち少なくとも1つを含むガスを用いることができる。以下の説明において、酸素含有ガスは、O2を用いるものとして説明する。
【0017】
Arガス供給源23は、プラズマ生成ガス、パージガス、希釈ガス、キャリアガスなどとして用いるArガスを供給する。
【0018】
Heガス供給源24は、プラズマ生成ガス、パージガス、希釈ガス、キャリアガスなどとして用いるHeガスを供給する。
【0019】
マグネシウム前駆体ガス供給源21は、ガス供給ライン21dを介して、ガス配管16に接続される。ガス供給ライン21dには、バルブ21a、マスフローコントローラ21b、バルブ21cが設けられる。マスフローコントローラ21bは、ガス供給ライン21dを流れるマグネシウム前駆体ガスの流量を制御する。バルブ21a,21cは、開閉動作により、ガス配管16へのマグネシウム前駆体ガスの供給・遮断を行う。
【0020】
酸素含有ガス供給源22は、ガス供給ライン22dを介して、ガス配管16に接続される。ガス供給ライン22dには、バルブ22a、マスフローコントローラ22b、バルブ22cが設けられる。マスフローコントローラ22bは、ガス供給ライン22dを流れる酸素含有ガスの流量を制御する。バルブ22a,22cは、開閉動作により、ガス配管16への酸素含有ガスの供給・遮断を行う。
【0021】
Arガス供給源23は、ガス供給ライン23dを介して、ガス配管16に接続される。ガス供給ライン23dには、バルブ23a、マスフローコントローラ23b、バルブ23cが設けられる。マスフローコントローラ23bは、ガス供給ライン23dを流れるArガスの流量を制御する。バルブ23a,23cは、開閉動作により、ガス配管16へのArガスの供給・遮断を行う。
【0022】
Heガス供給源24は、ガス供給ライン24dを介して、ガス配管16に接続される。ガス供給ライン24dには、バルブ24a、マスフローコントローラ24b、バルブ24cが設けられる。マスフローコントローラ24bは、ガス供給ライン24dを流れるHeガスの流量を制御する。バルブ24a,24cは、開閉動作により、ガス配管16へのHeガスの供給・遮断を行う。
【0023】
そして、ガス供給ライン21d~24dからガス配管16に供給されたガスは、ガス導入孔15を介してガス拡散空間13に供給され、シャワープレート12のガス吐出孔14を通り、処理容器1内に吐出される。
【0024】
処理容器1の底壁1bの中央部には、略円形の穴50が形成されている。また、底壁1bには、穴50を覆うように下方に向けて突出する排気室51が設けられている。排気室51の側面には、排気管52が接続されている。排気管52には、排気装置53が接続されている。これにより、排気管52は、排気装置53によって処理容器1内を減圧できるように構成されている。
【0025】
ステージ2には、基板Wを支持して昇降させるための複数(たとえば、3本)のウェハ支持ピン54が設けられる。複数のウェハ支持ピン54は、ステージ2の表面に対して突没可能に設けられ、支持板55に支持される。そして、ウェハ支持ピン54は、駆動機構56により、支持板55を介して昇降可能に構成される。
【0026】
処理容器1の側壁には、搬送口57が設けられている。搬送口57は、ゲートバルブ58によって開閉される。処理容器1内と搬送室(図示せず)との間における基板Wの搬入出は、搬送口57を介して行われる。
【0027】
また、成膜装置100は、制御装置60を備えている。制御装置60は、例えばコンピュータであって、制御部61と、記憶部62と、を備えている。記憶部62には、成膜装置100において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部61は、記憶部62に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって成膜装置100の動作を制御する。
【0028】
また、制御装置60には、ユーザーインターフェース63が接続されている。ユーザーインターフェース63は、オペレータが成膜装置100を管理するためにコマンドの入力操作などを行う入力装置や、成膜装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイなどの出力装置を有している。
【0029】
<酸化マグネシウム層の形成方法>
次に、成膜装置100を用いて基板Wに酸化マグネシウム層(後述する酸化マグネシウム層420、酸化マグネシウム膜540参照)を形成する処理の一例について、
図2を用いて説明する。
図2は、酸化マグネシウム層の形成処理の一例を示すフローチャートである。
【0030】
ステップS201において、基板Wを準備する。
【0031】
最初に、ガス供給部20のバルブ21a~24aが開かれ、バルブ21c~24cが閉じられた状態で、ゲートバルブ58を開いて搬送ロボット(図示せず)により基板Wを処理容器1内に搬送し、搬送位置にあるステージ2に載置する。搬送ロボットを処理容器1内から退避させた後、ゲートバルブ58を閉じる。制御部61は、ヒータ電源6を制御して、ステージ2のヒータ5により基板Wを所定の成膜温度に加熱する。また、排気装置53の圧力制御バルブ(図示せず)により処理容器1内を所定の圧力に調整する。ここで、成膜温度は、50℃~550℃の範囲内であることが好ましい。また、成膜温度は、100℃~300℃の範囲内であることがより好ましい。
【0032】
ステップS202において、基板Wが配置された処理容器1内にマグネシウム前駆体ガスを供給する。制御部61は、バルブ21cを開く。そして、制御部61は、所定の時間が経過した後、バルブ21cを閉じる。これにより、マグネシウム前駆体ガスを処理容器1内に供給し、マグネシウム前駆体を基板Wの表面に吸着させて吸着層を形成する。
【0033】
ステップS203において、基板Wが配置された処理容器1内にパージガスを供給する。制御部61は、バルブ23c及び/又はバルブ24cを開く。そして、制御部61は、所定の時間が経過した後、バルブ23c及び/又はバルブ24cを閉じる。これにより、パージガスを処理容器1内に供給し、処理容器1内に残留するマグネシウム前駆体ガスが速やかに排気管52へと排出され、処理容器1内がパージガス雰囲気に短時間で置換される。
【0034】
ステップS204において、基板Wが配置された処理容器1内に酸素含有ガスのプラズマを生成する。制御部61は、バルブ22cを開く。また、制御部61は、高周波電源42を制御して上部電極(シャワーヘッド10)に高周波電力を供給する。これにより、処理容器1内に酸素含有ガスのプラズマを生成して、基板Wをプラズマに曝す。そして、制御部61は、所定の時間が経過した後、高周波電源42を制御して上部電極(シャワーヘッド10)への高周波電力の供給を停止し、バルブ22cを閉じる。これにより、基板Wの表面に吸着したマグネシウム前駆体の吸着層が酸素含有ガスのプラズマによって酸化され、酸化マグネシウム層を形成する。
【0035】
ステップS205において、基板Wが配置された処理容器1内にパージガスを供給する。制御部61は、バルブ23c及び/又はバルブ24cを開く。そして、制御部61は、所定の時間が経過した後、バルブ23c及び/又はバルブ24cを閉じる。これにより、パージガスを処理容器1内に供給し、処理容器1内に残留する酸素含有ガスが速やかに排気管52へと排出され、処理容器1内がパージガス雰囲気に短時間で置換される。
【0036】
ステップS206において、ステップS202からステップS205の処理をALDプロセスの1サイクルとして、サイクルを所定回数繰り返したか否かを判定する。所定回数繰り返していない場合(S206・NO)、制御部61の処理はステップS202に戻る。所定回数繰り返した場合(S206・YES)、制御部61による処理を終了する。
【0037】
このように、ALDプロセス(ステップS202からステップS205)のサイクルを所定回数繰り返すことにより、基板Wに予め定められた膜厚の酸化マグネシウム層が形成される。また、ALDプロセスによって、カバレッジよく酸化マグネシウム層が形成される。
【0038】
その後、処理容器1内への搬入時とは逆の手順で基板Wを処理容器1から搬出する。
【0039】
以上のように、プラズマALD法を用いて基板Wに酸化マグネシウム層を形成することができる。
【0040】
<エアギャップ形成方法>
次に、エアギャップを形成する基板処理方法(エアギャップ形成方法)の一例について、
図3から
図5を用いて説明する。
図3は、エアギャップ435を形成する基板処理方法の一例を示すフローチャートである。
図4から
図5は、各ステップにおける基板Wの断面模式図の一例である。ここでは、第1の材料層(電極410)と第2の材料層(絶縁膜430)との間にエアギャップ435を形成する場合を例に説明する。
【0041】
ステップS301において、基板Wを準備する。基板Wは、下地層400を有する。
【0042】
ステップS302において、基板Wに電極410(第1の材料層)を形成する。ここでは、下地層400の上面の一部に電極410が形成される。電極410は、例えば金属含有膜で形成される。なお、金属含有膜は、金属で形成される膜であってもよく、金属化合物で形成される膜であってもよい。
【0043】
図4(a)は、ステップS302において電極410が形成された後の基板Wの断面模式図の一例である。ここでは、下地層400の上面の一部に電極410が形成される。また、電極410の上面、電極410の側壁及び下地層400の上面の残部は露出している。
【0044】
ステップS303において、基板Wの表面に酸化マグネシウム層420(犠牲層)を形成する。ここでは、電極410(第1の材料層)が形成された基板Wが
図1に示す成膜装置100に搬送される。成膜装置100は、
図2に示すプラズマALDプロセスによって、基板Wの基板表面にカバレッジよく酸化マグネシウム層420を形成する。
【0045】
図4(b)は、ステップS303において酸化マグネシウム層420が形成された後の基板Wの断面模式図の一例である。ここでは、電極410の上面、電極410の側壁及び下地層400の上面の残部にカバレッジよく酸化マグネシウム層420を形成する。
【0046】
ステップS304において、基板Wにエッチング処理を施す。ここでは、酸化マグネシウム層420の一部を残し、他の部分をエッチングにより除去する。
【0047】
図4(c)は、ステップS304においてエッチング処理後の基板Wの断面模式図の一例である。ここでは、プラズマエッチング処理等の異方性エッチング処理によって、電極410の上面及び下地層400の上面の残部に形成された酸化マグネシウム層420を除去する。一方、電極410の側壁に形成された酸化マグネシウム層420は残存する。
【0048】
ステップS305において、基板Wに絶縁膜430(第2の材料層)を形成する。ここで、絶縁膜430は、誘電体である。また、絶縁膜430は、例えばシリコン含有膜である。また、シリコン含有膜は、SiN、SiO2、SiON、SiCN、SiOCN、SiOCの少なくともいずれかである。
【0049】
図5(a)は、ステップS305において絶縁膜430が形成された後の基板Wの断面模式図の一例である。ここでは、電極410及び酸化マグネシウム層420の上面、酸化マグネシウム層420の側壁及び下地層400の上面の残部に絶縁膜430を形成する。
【0050】
ステップS306において、基板WにCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を施す。
【0051】
図5(b)は、ステップS306においてCMP処理が施された後の基板Wの断面模式図の一例である。CMP処理によって、基板Wの上面が除去され、電極410及び酸化マグネシウム層420の上面が露出する。これにより、第1の材料層(電極410)と第2の材料層(絶縁膜430)との間に犠牲層(酸化マグネシウム層420)が介在する構造が形成される。換言すれば、第1の材料層(電極410)と、第2の材料層(絶縁膜430)と、第1の材料層と第2の材料層との間に形成される犠牲層(酸化マグネシウム層420)と、を有する構造が形成される。
【0052】
ステップS307において、ウェットエッチング処理により基板Wに形成された酸化マグネシウム層420を除去し、エアギャップ435を形成する。
【0053】
図5(c)は、ステップS307においてエアギャップ435が形成された後の基板Wの断面模式図の一例である。ウェットエッチング処理により酸化マグネシウム層420が除去される。これにより、第1の材料層(電極410)と第2の材料層(絶縁膜430)との間にエアギャップ435を有する構造が形成される。
【0054】
ウェットエッチング処理は、基板Wの表面に純水(DIW:De Ionized Water)または希釈HF(DHF)を供給することにより、または、純水または希釈HFが貯留された水槽に基板Wを入れることにより、基板Wに形成された酸化マグネシウム層420を除去する。そして、基板Wを乾燥させることにより、酸化マグネシウム層420を除去された部分にエアギャップ435を形成する。なお、ウェットエッチング処理は、これらの液(DIW、DHF)に限られるものではなく、リン酸を用いてもよい。
【0055】
なお、ステップS307に示す処理を施す装置として、例えば、純水(DIW)、希釈HF(DHF)、リン酸のうちいずれかを基板Wの表面に供給して基板Wを洗浄する洗浄装置を用いることができる。
【0056】
図6は、DIWで処理した際のエッチングレートの一例を示すグラフである。ここでは、成膜温度100℃、200℃、300℃のそれぞれで形成した酸化マグネシウム層(MgO)、シリコン窒化膜(SiN)及びシリコン酸化膜(SiO)をDIWでウェットエッチング処理した。横軸は酸化マグネシウム層の成膜温度を示す。縦軸は、DIWでウェットエッチング処理した際のウェットエッチングレート(DIW WER)[nm/min]を示す。なお、ウェットエッチング処理する際のDIWの温度(及び/又は基板Wの温度)は、常温(例えば10℃~50℃の範囲内)である。
【0057】
図6に示すように、シリコン窒化膜(SiN)及びシリコン酸化膜(SiO)は、DIWではエッチングされないことを示す。これに対し、酸化マグネシウム層(MgO)は、いずれの成膜温度(100℃、200℃、300℃)においても、DIWでエッチングされることが確認できた。また、成膜温度100℃の酸化マグネシウム層(MgO)においては、DIWで高速でエッチングされることが確認できた。換言すれば、酸化マグネシウム層は、DIWでウェットエッチング処理を施すことにより、基板Wから除去することができる。また、シリコン窒化膜(SiN)及びシリコン酸化膜(SiO)と比較して、高いウェットエッチング選択比を有する。換言すれば、酸化マグネシウム層は、シリコン窒化膜(SiN)及びシリコン酸化膜(SiO)と比較して、高い選択比で基板Wから除去することができる。
【0058】
また、酸化マグネシウム層の成膜温度を100℃以下とすることにより、DIWで好適に除去可能な酸化マグネシウム層とすることができる。
【0059】
図7は、DHFで処理した際のエッチングレートの一例を示すグラフである。ここでは、成膜温度100℃、200℃、300℃のそれぞれで形成した酸化マグネシウム層(MgO)、シリコン窒化膜(SiN)及びシリコン酸化膜(SiO)を0.1%DHFでウェットエッチング処理した。横軸は酸化マグネシウム層の成膜温度を示す。縦軸は、DHFで処理した際のウェットエッチングレート(DIF WER)[nm/min]を示す。なお、ウェットエッチング処理する際のDHFの温度(及び/又は基板Wの温度)は、常温(例えば10℃~50℃の範囲内)である。
【0060】
図7に示すように、酸化マグネシウム層は、いずれの成膜温度(100℃、200℃、300℃)においても、0.1%DHFでエッチングされることを示す。また、酸化マグネシウム層は、いずれの成膜温度(100℃、200℃、300℃)においても、シリコン窒化膜(SiN)及びシリコン酸化膜(SiO)と比較して、高い選択比を有する。換言すれば、酸化マグネシウム層は、シリコン窒化膜(SiN)及びシリコン酸化膜(SiO)と比較して、高い選択比で基板Wから除去することができる。
【0061】
また、酸化マグネシウム層の成膜温度を300℃以下とすることにより、希釈DHFで好適に除去可能な酸化マグネシウム層とすることができる。
【0062】
このように、DIWまたは希釈DHFを用いて、酸化マグネシウム層420をウェットエッチングすることができる。
【0063】
また、図示は省略するが、常温のリン酸を用いても同様に酸化マグネシウム層420をウェットエッチングすることができる。
【0064】
これにより、第1の材料層(電極410)と第2の材料層(絶縁膜430)との間にエアギャップ435を有する構造が形成される。また、
図5(c)に示すように、隣接する電極410間にエアギャップ435を形成することができる。隣接する電極410間にエアギャップ435を形成することにより、電極410間のリーク電流等を抑制することができる。
【0065】
ここで、参考例に係るエアギャップ形成方法について説明する。参考例に係るエアギャップ形成方法では、ドライエッチングを用いて犠牲層をエッチングすることにより基板にエアギャップを形成する。この場合、ドライエッチングのプラズマにより電極にダメージ(変質)等するおそれがある。
【0066】
これに対し、
図3から
図5に示す本実施例のエアギャップ形成方法によれば、DIW、希釈DHF、またはリン酸を用いることにより、電極410、絶縁膜430等の腐食を低減することができる。
【0067】
また、
図3から
図5に示す本実施例のエアギャップ形成方法によれば、常温のDIW、希釈DHF、またはリン酸で処理を行うことができる。これにより、基板Wを高温に加熱することなく、酸化マグネシウム層420を除去してエアギャップ435を形成することができる。即ち、基板Wに形成された半導体素子において、熱によるダメージを抑制することができる。また、ドライエッチングでの除去ではないため、電極410及び絶縁膜430にはプラズマによるダメージはなく、エアギャップ435を形成する事ができる。
【0068】
次に、エアギャップを形成する基板処理方法の他の一例について、
図8から
図18を用いて説明する。
図8は、エアギャップ640を形成する基板処理方法の一例を示すフローチャートである。
図9から
図18は、各ステップの処理後における基板Wの断面模式図の一例である。ここでは、第1の材料層(第1のシリコン含有膜510、絶縁膜530)と第2の材料層(バリア膜550、金属膜560)との間にエアギャップ640を形成する場合を例に説明する。なお、
図18に示す構造は、例えば、3D NANDの配線構造である。
【0069】
ステップS801において、基板Wに第1のシリコン含有膜510及び第2のシリコン含有膜520を交互に積層した積層構造を形成する。ここで、第1のシリコン含有膜510は、例えばシリコン酸化膜(SiO)である。第2のシリコン含有膜520は、例えばシリコン窒化膜(SiN)である。
【0070】
図9は、ステップS801の処理後における基板Wの断面模式図の一例である。ここでは、基板Wに第1のシリコン含有膜510及び第2のシリコン含有膜520を交互に積層した積層構造が形成される。
【0071】
ステップS802において、基板Wに形成された第1のシリコン含有膜510と第2のシリコン含有膜520の積層構造に段差610を形成する。
【0072】
図10は、ステップS802の処理後における基板Wの断面模式図の一例である。ここでは、第1のシリコン含有膜510と第2のシリコン含有膜520の積層構造に段差610が形成される。
【0073】
ステップS803において、基板Wに絶縁膜530を形成する。ここで、絶縁膜530は、第1のシリコン含有膜510と同様に、例えばシリコン酸化膜(SiO)である。
【0074】
ステップS804において、基板WにCMP処理を施す。
【0075】
図11は、ステップS803及びステップS804の処理後における基板Wの断面模式図の一例である。ここでは、積層構造の上面及び段差610を覆うように絶縁膜530が形成され、CMP処理によって絶縁膜530の上面が平坦化される。
【0076】
ステップS805において、基板Wにコンタクトホール620を形成する。ここでは、例えばドライエッチングを用いて、第1のシリコン含有膜510と第2のシリコン含有膜520の積層構造及び絶縁膜530にコンタクトホール620を形成する。
【0077】
図12は、ステップS805の処理後における基板Wの断面模式図の一例である。ここでは、第1のシリコン含有膜510と第2のシリコン含有膜520の積層構造及び絶縁膜530に垂直方向に延びるコンタクトホール620が形成される。
【0078】
ステップS806において、第2のシリコン含有膜520を除去する。ここでは、基板Wを熱リン酸でエッチング処理する。これにより、第1のシリコン含有膜510に対し第2のシリコン含有膜520が選択的にエッチングされ、第2のシリコン含有膜520が除去される。
【0079】
図13は、ステップS806の処理後における基板Wの断面模式図の一例である。ここでは、コンタクトホール620を介して、第2のシリコン含有膜520がエッチングされ、除去される。これにより、コンタクトホール620から水平方向に延びる複数の溝625が形成される。
【0080】
ステップS807において、基板Wの表面に酸化マグネシウム膜540(MgO膜、犠牲層)を形成する。ここでは、第1の材料層(第1のシリコン含有膜510、絶縁膜530)にコンタクトホール620及び溝625が形成された基板Wが
図1に示す成膜装置100に搬送される。成膜装置100は、
図2に示すプラズマALDプロセスによって、基板Wの基板表面(絶縁膜530の上面、コンタクトホール620の内壁及び溝625の内壁等)にカバレッジよくコンフォーマルな酸化マグネシウム膜540を形成する。
【0081】
図14は、ステップS807の処理後における基板Wの断面模式図の一例である。ここでは、コンタクトホール620の内壁、溝625の内壁に酸化マグネシウム膜540が形成される。なお、絶縁膜530の上面に形成される酸化マグネシウム膜540については、適宜のタイミングでプラズマドライエッチングもしくはCMPによって除去される部分であり、図示を省略している。
【0082】
ステップS808において、コンタクトホール620の内壁に形成された酸化マグネシウム膜540を除去する。ここでは、例えばプラズマエッチング処理等の異方性エッチング処理によってコンタクトホール620の内壁に形成された酸化マグネシウム膜540を除去する。
【0083】
図15は、ステップS808の処理後における基板Wの断面模式図の一例である。ここでは、コンタクトホール620の内壁に形成された酸化マグネシウム膜540が除去され、溝625の内壁に酸化マグネシウム膜540が形成された状態となる。
【0084】
ステップS809において、コンタクトホール620の内壁及び溝625の内壁にバリア膜550を形成する。ここで、バリア膜550は、例えばTiNである。
【0085】
ステップS810において、コンタクトホール620及び溝625に金属膜560を埋め込む。ここで、金属膜560は、例えばタングステン(W)である。なお、金属膜560は、例えば3D NANDの配線として用いられる構造である。
【0086】
図16は、ステップS809及びステップS810の処理後における基板Wの断面模式図の一例である。ここでは、第2の材料層として、バリア膜550及び金属膜560が形成される。第2の材料層は、金属含有膜で形成される。また、金属含有膜は、TiN、TaN、W、Moの少なくともいずれを用いることができる。なお、コンタクトホール620及び溝625にバリア膜550及び金属膜560が形成されるものとして説明したが、これに限られるものではなく、コンタクトホール620及び溝625に金属膜560を直接埋め込む構成であってもよい。
【0087】
また、第1の材料層(第1のシリコン含有膜510、絶縁膜530)と第2の材料層(バリア膜550、金属膜560)との間に犠牲層(酸化マグネシウム膜540)が介在する構造が形成される。換言すれば、第1の材料層(第1のシリコン含有膜510、絶縁膜530)と、第2の材料層(バリア膜550、金属膜560)と、第1の材料層と第2の材料層との間に形成される犠牲層(酸化マグネシウム膜540)と、を有する構造が形成される。
【0088】
ステップS811において、基板Wにスリットコンタクト630を形成する。ここでは、例えばドライエッチングを用いて、絶縁膜530にスリットコンタクト630を形成する。スリットコンタクト630は、絶縁膜530の上面から酸化マグネシウム膜540まで達する凹部である。また、酸化マグネシウム膜540は、絶縁膜530をエッチングする際のエッチングストッパー膜として機能する。
【0089】
図17は、ステップS811の処理後における基板Wの断面模式図の一例である。ここでは、絶縁膜530の上面から酸化マグネシウム膜540まで連通するスリットコンタクト630が形成される。
【0090】
ステップS812において、酸化マグネシウム膜540を除去し、エアギャップ640を形成する。ここでは、常温のDIW、希釈DHF、またはリン酸を用いて基板Wをウェットエッチング処理する。これにより、スリットコンタクト630を介して酸化マグネシウム膜540が除去される。
【0091】
図18は、ステップS812の処理後における基板Wの断面模式図の一例である。ここでは、スリットコンタクト630を介して酸化マグネシウム膜540がエッチングされ、除去される。これにより、第1の材料層(第1のシリコン含有膜510、絶縁膜530)と第2の材料層(バリア膜550、金属膜560)との間にエアギャップ640を有する構造が形成される。
【0092】
このように、本実施例のエアギャップ形成方法によれば、複雑な構造のエアギャップ640を形成することができる。例えば、基板Wの表面に対して水平方向に延びるエアギャップ640を形成することができる。
【0093】
なお、
図3から
図7に示す例において、第1の材料層(電極410)は金属含有膜で形成され、第2の材料層(絶縁膜430)はシリコン含有膜(誘電体)で形成されるものとして説明した。また、
図8から
図18に示す例において、第1の材料層(第1のシリコン含有膜510、絶縁膜530)はシリコン含有膜(誘電体)で形成され、第2の材料層(バリア膜550、金属膜560)は金属含有膜で形成されるものとして説明した。本実施例のエアギャップ形成方法は、これらに限られるものではない。第1の材料層及び/又は第2の材料層の少なくとも一方がシリコン含有膜(誘電体)で形成されてもよい。この場合、シリコン含有膜は、SiN、SiO
2、SiON、SiCN、SiOCN、SiOCの少なくともいずれかであってもよい。また、第1の材料層及び/又は第2の材料層の少なくとも一方が金属含有膜で形成されてもよい。この場合、金属含有膜は、TiN、TaN、W、Moの少なくともいずれかであってもよい。また、第1の材料層及び第2の材料層がシリコン含有膜(誘電体)で形成されてもよい。また、第1の材料層及び第2の材料層が金属含有膜で形成されてもよい。
【0094】
以上、基板Wにエアギャップを形成する基板処理方法について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0095】
W 基板
100 成膜装置
400 下地層
410 電極
420 酸化マグネシウム層
430 絶縁膜
510 第1のシリコン含有膜
520 第2のシリコン含有膜
530 絶縁膜
540 酸化マグネシウム膜
550 バリア膜
560 金属膜
435,640 エアギャップ