(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118370
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】流体供給システム、流体供給装置、流体供給システムのメンテナンス方法、及び、流体供給装置のメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
F04B 49/08 20060101AFI20240823BHJP
F04B 49/10 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
F04B49/08 311
F04B49/10 331M
F04B49/10 331C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024746
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】岡本 茂
(72)【発明者】
【氏名】北出 哲史
(72)【発明者】
【氏名】原田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】伏見 航
【テーマコード(参考)】
3H145
【Fターム(参考)】
3H145AA23
3H145AA26
3H145BA03
3H145BA22
3H145BA31
3H145CA04
3H145CA12
3H145DA01
3H145DA15
3H145EA13
(57)【要約】
【課題】保全員の作業なく、圧力タンクの点検及び保守を行うことができる流体供給システム、流体供給装置、流体供給システムのメンテナンス方法、及び、流体供給装置のメンテナンス方法を提供する。
【解決手段】流体供給システム1は、電動機13を駆動源として流体を移送するポンプ12と、ポンプ12の吐出側に設けられ流体の圧力を保持する圧力タンク20と、圧力タンク20に気体を供給する気体供給部21と、圧力タンク20内の圧力情報に基づいて気体供給部21の作動を制御する制御部30,50と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機を駆動源として流体を移送するポンプと、
前記ポンプの吐出側に設けられ前記流体の圧力を保持する圧力タンクと、
前記圧力タンクに気体を供給する気体供給部と、
前記圧力タンク内の圧力情報に基づいて前記気体供給部の作動を制御する制御部と、
を備える
流体供給システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記圧力情報によって前記圧力タンク内の圧力が低下していると判定した場合、前記気体供給部を作動させて前記圧力タンクに前記気体を供給させる
請求項1に記載の流体供給システム。
【請求項3】
前記気体供給部は、
前記気体を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機が圧縮した前記気体を前記圧力タンクへ供給する気体流路と、
前記気体流路を開閉する自動制御弁と、
を有し、
前記制御部は、前記圧縮機及び前記自動制御弁を制御する、
請求項1に記載の流体供給システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記圧力情報として予め定めた期間の前記ポンプの始動発停回数を用いて前記圧力タンク内の圧力低下を判定する
請求項1に記載の流体供給システム。
【請求項5】
前記圧力タンク内の圧力を検出する物理量計測装置を備え、
前記制御部は、前記圧力情報として前記物理量計測装置の検出値を用いて前記圧力タンク内の圧力低下を判定する
請求項1に記載の流体供給システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記圧力タンク内の圧力が低下した場合、前記気体供給部によって前記圧力タンクに前記気体を供給し、予め定めた時間経過した後、前記気体供給部による前記気体の供給を停止させる供給動作を繰り返し、
前記供給動作の回数が予め定めた回数に到達した場合、前記供給動作を停止させる
請求項1に記載の流体供給システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記圧力タンク内の圧力が低下した場合、前記気体供給部によって前記圧力タンクに前記気体を供給し、予め定めた時間経過した後、前記気体供給部による前記気体の供給を停止させる供給動作を繰り返し、
前記供給動作が予め定めた時間又は回数に到達した場合、前記供給動作を停止させ、異常有りと判定する
請求項1に記載の流体供給システム。
【請求項8】
電動機を駆動源として流体を移送するポンプ、前記ポンプの吐出側に設けられ前記流体の圧力を保持する圧力タンク、及び、前記圧力タンクに気体を供給する気体供給部、前記圧力タンク内の圧力情報を通知する供給通信部を有する流体供給装置と、
前記供給通信部から前記圧力情報を受信する管理通信部、及び、前記管理通信部が受信した前記圧力情報に基づいて前記気体供給部の作動を制御する管理制御部を有するデータ管理装置と、
を備え、
前記管理制御部は、前記圧力情報によって前記圧力タンク内の圧力が低下していると判定した場合、前記気体供給部を作動させて前記圧力タンクに前記気体を供給させる
流体供給システム。
【請求項9】
電動機を駆動源として流体を移送するポンプと、
前記ポンプの吐出側に設けられ前記流体の圧力を保持する圧力タンクと、
前記圧力タンクに気体を供給する気体供給部と、
前記圧力タンク内の圧力情報に基づいて前記気体供給部の作動を制御する供給制御部と、
を備え、
前記供給制御部は、前記圧力タンク内の圧力が低下した場合、前記気体供給部を作動させて前記圧力タンクに前記気体を供給させる
流体供給装置。
【請求項10】
電動機を駆動源としてポンプの吐出側に流体を移送する流体供給装置をデータ管理装置が管理する流体供給システムにおいて、前記流体供給装置の気体供給部が気体を供給することによって圧力タンクが前記ポンプの吐出側の前記流体の圧力を保持する流体供給システムのメンテナンス方法であって、
前記流体供給装置が前記圧力タンク内の圧力情報を取得する工程と、
取得した前記圧力情報を前記流体供給装置が前記データ管理装置へ送信する工程と、
前記データ管理装置が前記圧力情報を受信する工程と、
前記データ管理装置が、前記圧力情報に基づいて前記圧力タンク内の圧力が低下していると判定した場合、前記気体供給部から前記圧力タンクに前記気体を供給するように指示する工程と、
指示された前記流体供給装置が前記気体供給部から前記圧力タンクに前記気体を供給する工程と、
を備える、
流体供給システムのメンテナンス方法。
【請求項11】
電動機を駆動源としてポンプの吐出側に流体を移送する流体供給装置において、気体供給部が気体を供給することによって圧力タンクが前記ポンプの吐出側の前記流体の圧力を保持する流体供給装置のメンテナンス方法であって、
前記圧力タンク内の圧力情報を取得する工程と、
取得した前記圧力情報が前記圧力タンク内の圧力が低下していることを示している場合、前記気体供給部から前記圧力タンクに前記気体を供給する工程と、
を備える、
流体供給装置のメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給先に流体を供給するための流体供給システム、流体供給装置、流体供給システムのメンテナンス方法、及び、流体供給装置のメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスビルまたはマンションなどの給水対象に水(水道水)を供給するための装置として給水装置が広く使用されている。給水装置は、一般に、水を圧送するためのポンプと、ポンプを駆動するためのモータと、ポンプの運転を制御する制御部と、ポンプの下流に接続される圧力タンクと、を備えている。
【0003】
給水装置は、モータにより駆動されるポンプが水を圧送することにより、供給先に水を供給する。ポンプとポンプの下流に設けられる圧力タンクとの間には逆止弁が配置されており、この逆止弁と圧力タンクとにより、ポンプが停止した後においても給水配管内の水圧が適切に維持され、供給先に水が送られる。
【0004】
このような給水装置は、長年のポンプの作動又は供給先への給水によって、徐々に劣化する。したがって、給水装置は、定期的なメンテナンスを行い、劣化を遅らせることが必要である。
【0005】
従来、給水装置の圧力タンクの異常を精度良く検知し、異常が検知された圧力タンクを速やかに補修又は交換できるようにして、メンテナンス費用の増大、及び、ポンプの寿命悪化などの不具合を解消する給水装置が開示されている(例えば特許文献1乃至4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許4745654号公報
【特許文献2】特許5189608号公報
【特許文献3】特許5396503号公報
【特許文献4】特許5396504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の給水装置は、圧力タンクの点検又は保守を行う場合に、専門的な熟練の保全員が給水装置を停止させ、圧力タンクを給水系統から切り離した後、タンク内の水を排水し、圧力タンク内の空気圧力の計測及び空気補給を行っていた。このような保全員の作業によって、圧力タンク内の空気圧を正確に計測することができ、圧力タンク内に空気を補充することができた。
【0008】
しかしながら、給水装置の圧力タンクは、運転時間が長くなり電力消費量及び始動発停回数が増加することによる各種異常の発生を抑制するため、1年から半年に1回以上の点検及び空気補充が推奨されている。また、専門的な保全員の人数は限られており、このような頻度で多数の現場の点検を少ない保全員が行うことは困難であり負担が大きかった。
【0009】
本発明は、上述した課題に鑑み、保全員の作業なく、圧力タンクの点検及び保守を行うことができる流体供給システム、流体供給装置、流体供給システムのメンテナンス方法、
及び、流体供給装置のメンテナンス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の態様に係る流体供給システムは、
電動機を駆動源として流体を移送するポンプと、
前記ポンプの吐出側に設けられ前記流体の圧力を保持する圧力タンクと、
前記圧力タンクに気体を供給する気体供給部と、
前記圧力タンク内の圧力情報に基づいて前記気体供給部の作動を制御する制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の流体供給システム、流体供給装置、流体供給システムのメンテナンス方法、及び、流体供給装置のメンテナンス方法によれば、保全員の作業なく、圧力タンクの点検及び保守を行うことができる。
【0012】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の流体供給システムの一例を示す全体構成図である。
【
図2】本実施形態のデータ管理装置の一例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る流体供給装置が適用された一例を示す全体構成図である。
【
図4】流体供給システムの制御部を構成するコンピュータの一例を示すハードウエア構成図である。
【
図5】本実施形態に係る流体供給システム又は流体供給装置による圧力タンクメンテナンス方法の第1例を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態に係る流体供給システム又は流体供給装置による圧力タンクメンテナンス方法の第2例を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態の流体供給システムの管理制御部又は流体供給装置の供給制御部における圧力タンク内の圧力低下の判定方法に用いられるポンプの発停回数データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0015】
(流体供給システム)
図1は、本実施形態の流体供給システム1の一例を示す全体構成図である。流体供給システム1は、流体供給装置10を管理するためのシステムとして機能する。例えば、本実施形態の流体供給システム1は、電動機13を駆動源としてポンプ12の吐出側に流体を移送する流体供給装置10をデータ管理装置5が管理する。特に、本実施形態の流体供給システム1は、流体供給装置10の気体供給部21が気体を供給することによって圧力タンク20がポンプ12の吐出側の流体の圧力を保持する。なお、
図1の流体供給装置10は、2台のポンプ12を2台の電動機13で駆動する構成であるが、ポンプ12は何台でもよく、それに応じて電動機13を設置すればよい。
【0016】
流体供給システム1は、その主要な構成として、監視対象の流体供給装置10と、流体供給装置10と通信可能に構成されたデータ収集装置4と、データ収集装置4と通信可能
に構成されたデータ管理装置5と、データ管理装置5と通信可能に構成された端末装置6とを備える。各装置4~6は、例えば、汎用又は専用のコンピュータ(後述の
図4参照)で構成されるとともに、ネットワーク7を介して各種のデータを相互に送受信可能に構成される。なお、各装置4~6の数は、
図1の例に限らず、1つでもよいし、複数でもよい。
【0017】
流体供給装置10は、任意の流体を移送する装置であり、例えば、インフラ設備(上水道、下水道等)やプラント設備(石油精製、発電、製造、化学プロセス等)に設置されて使用される。流体供給装置10は、吸込管11から吐出管18へ流体を移送するポンプ12と、ポンプ12の駆動源となる電動機13と、ポンプ12の吐出管18側の流体の圧力を保持する圧力タンク20と、圧縮機22によって圧縮された高圧の気体を圧力タンク20に供給する気体供給部21と、ポンプ12及び気体供給部21の動作を制御する供給制御部30とを備える。
【0018】
ポンプ12は、例えば、羽根車、回転軸、軸受、メカニカルシール、グランドパッキン、ケーシング、配管等で構成される。電動機13は、例えば、インバータモータ等の任意の形式のモータで構成される。供給制御部30は、例えば、組込型コンピュータで構成され、ユーザ(ポンプ装置2の設置作業者や管理者等)により運転条件が設定された設定値と、ポンプ12及び電動機13の各部に設けられたセンサ類(不図示)の検出値とに基づいて、電動機13の回転動作を制御する。なお、ポンプ12及び電動機13の各部に設けられたセンサ類、並びに、供給制御部30は、各装置4~6と通信可能に構成されていてもよい。
【0019】
流体供給装置10は、図示しない物理量計測装置3を設置してもよい。物理量計測装置3は、ポンプ12に起因する物理量を計測する装置であり、例えば、ポンプ12、又は、電動機13の任意の位置に取り付けられる。物理量計測装置3は、計測対象の物理量を計測し、計測したときの物理量データを処理する。
【0020】
物理量計測装置3による計測対象の物理量は、例えば、加速度(振動)、速度、変位、環境音等である。物理量計測装置は、例えば、加速度を計測可能な加速度センサ、速度を計測可能な速度センサ、変位を計測可能な変位センサ、環境音を計測可能なマイクロホン等で構成される。なお、計測対象の物理量は、上記の例に限られず、例えば、圧力、荷重、温度、電流値、電圧値等の物理量でもよく、その場合には、圧力センサ、荷重センサ、温度センサ、電流センサ、電圧センサ等の物理量センサが用いられる。また、物理量計測装置3は、複数の物理量をそれぞれ計測するため、複数のセンサを含むものでもよい。物理量計測装置3は、計測された物理量を示すアナログ信号がデジタル信号に変換された物理量データを処理する。処理された物理量データは、供給制御部30、又はデータ管理装置5によって使用される。
【0021】
データ収集装置4は、物理量計測装置3又は供給制御部30から処理データを収集する装置であり、例えば、ゲートウェイ等の中継器、サーバ、スマートフォンやタブレット等の携帯型コンピュータ等で構成される。データ収集装置4は、物理量計測装置3又は供給制御部30との間で通信が確立されることで、物理量計測装置3から処理データを収集する。また、データ収集装置4は、アプリケーションやブラウザ等のプログラムがインストールされて、各種の入力操作を受け付けるとともに、処理データをデータ管理装置5に送信する。さらに、データ収集装置4は、異なるネットワークプロトコル技術を用いたネットワークに対して、プロトコルを変換することによって相互接続することもできる。
【0022】
データ管理装置5は、データ収集装置4により収集された処理データを管理するための管理制御部50を備え、例えば、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータで構成
される。後述するように、データ管理装置5は、データ収集装置4から受信した処理データを管理記憶部52に格納したり、その処理データが所定の通知条件を満たすときに、管理通信部51から通知情報を端末装置6に送信したり、管理記憶部52に格納した処理データの参照要求を端末装置6から受け付けたときに、管理記憶部52の参照情報を端末装置6に送信したりする。
【0023】
端末装置6は、流体供給装置10の設置場所から離れた遠隔地に所在するユーザ(流体供給装置10の管理者や点検・修理作業者等)により使用される装置であり、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成される。端末装置6は、アプリケーションやブラウザ等のプログラムがインストールされて、各種の入力操作を受け付けるとともに、各種の情報(通知情報や管理記憶部52の参照情報)を表示画面に表示する。なお、端末装置6は、データ収集装置4を兼用するものでもよい。
【0024】
ネットワーク7は、任意の通信規格に従って有線通信又は無線通信、あるいは、有線通信と無線通信の組合せにより構成される。具体的には、例えば、インターネット等の標準化された通信網、又はローカルネットワーク等の建物内で管理される通信網、あるいは、これらの通信網の組合せを利用することができる。また、無線通信の通信規格としては、典型的には国際規格が用いられる。国際規格の通信手段として、IEEE802.15.4、IEEE802.15.1、IEEE802.15.11a、11b、11g、11n、11ac、11ad、ISO/IEC14513-3-10、IEEE802.15.4g等の方式がある。また、Bluetooth(登録商標)、BluetoothLowEnergy、Wi-Fi、ZigBee(登録商標)、Sub-GHz、EnOcean(登録商標)、LTE等の方式を用いることもできる。
【0025】
(データ管理装置(クラウド))
図2は、本実施形態のデータ管理装置5の一例を示すブロック図である。データ管理装置5は、その主要な構成要素として、管理制御部50、管理通信部51、管理記憶部52、管理入力部53及び管理出力部54を備える。
【0026】
管理制御部50は、例えば、管理記憶部52に記憶されたデータ管理プログラム520を実行することにより、管理処理部500として機能する。管理通信部51は、ネットワーク7を介して、例えば、データ収集装置4との間で各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。管理記憶部52は、処理データ、データ管理装置5の動作で使用される各種のプログラム(データ管理プログラム520等)及びデータタイプ(管理設定情報521等)等を記憶する。管理設定情報521は、例えば、データ管理装置5が動作する際に管理制御部50により参照される設定パラメータを含む。管理入力部53及び管理出力部54は、ユーザの入力操作を受け付けるとともに、各種の情報を表示画面や音声を介して出力することでユーザインターフェースとして機能する。
【0027】
管理処理部500は、端末又は管理入力部53等から登録された物理量計測装置3又は供給制御部30のデータアドレス及びデータタイプ等をデータ収集装置4にダウンロードする動作を行う。また、データ収集装置4が監視周期に基づいて収集した処理データを管理記憶部52で記憶する動作を行う。例えば、データ収集装置4が、管理処理部500との通信を開始し、物理量計測装置3から取得した処理データを送信すると、管理処理部500は、処理データを管理記憶部52に記憶させる管理処理を実行する。管理処理は、監視周期に従って繰り返し実行することにより、管理データを記憶する。
【0028】
本実施形態の流体供給システム1は、物理量計測装置3又は供給制御部30から取得したデータに基づいて、データ管理装置5において、圧力タンク20の点検及び保守を行う。例えば、管理制御部50は、圧力タンク20内の圧力情報に基づいて気体供給部21の
作動を制御する。具体的には、管理制御部50は、圧力情報によって圧力タンク20内の圧力が低下していると判定した場合、気体供給部21を作動させて圧力タンク20に気体を供給させる。
【0029】
(流体供給装置)
図3は、本実施形態に係る流体供給装置が適用された一例を示す全体構成図である。
【0030】
流体供給装置10は、例えば、マンション、オフィスビル、公共施設、商業施設、工場等の建物や施設に水(流体)を供給する。なお、本実施形態では、流体供給装置10は、流体として水を供給する場合を例にして説明するが、流体供給装置10は、燃料及び薬品等の水以外の液体、並びに、ガス、水素及び酸素等の気体を含む流体を供給するものでもよい。
【0031】
流体供給装置10は、流体供給源41から導入管42を介して吸込管11から水を導入する。なお、流体供給源41は、受水槽を用いた受水槽方式でもよい。流体供給装置10の吐出管18には供給管43が接続されている。供給管43は、各建物の蛇口等の流体供給先44に接続している。流体供給装置10は、流体供給源41からの流体を増圧し、建物等の各流体供給先44に水を供給する。流体供給先44は、例えば、給湯器、給水栓、又は、フラッシュバルブ等である。
【0032】
流体供給装置10は、流体を移送するポンプ12と、ポンプ12の吸込側(上流側)に接続された吸込管11と、ポンプ12の吐出側(下流側)に接続された吐出管18と、ポンプ12を駆動する電動機13と、電動機13の回転速度を制御するインバータ14と、吐出管18内の流体量が少なくなったことを検出するフロースイッチ15と、流体の逆流を防止する流体逆止弁16と、吐出管18内の流体圧を検知する圧力センサ17と、ポンプ12の吐出側に設けられ吐出管18内の流体の圧力を保持する圧力タンク20と、圧力タンク20に気体を供給する気体供給部21と、圧力タンク20内の圧力情報に基づいて気体供給部21の作動を制御する供給制御部30と、を備える。なお、フロースイッチ15及び圧力センサ17は、物理量計測装置3を構成する。
【0033】
本実施形態に係る圧力タンク20は、容器内部を気体室20aと流体室20bとに分ける隔膜20cを有する。気体室20aの内部には予め空気、窒素等の気体が封入されており、ポンプ12から流体室20bに流入した流体は隔膜20cを介して気体室20aの気体を圧縮する。圧力タンク20とポンプ12との間には流体逆止弁16が配置されており、この流体逆止弁16と圧力タンク20とにより、ポンプ12が停止した後においても供給管43内の流体圧が適切に維持される。流体供給先44の給水栓等が開かれると、吐出管18内の圧力により流体が吐き出される。隔膜20cは、空気室20a側から流体室20b側へ戻る。
【0034】
(気体供給部)
気体供給部21は、圧縮した気体を作るコンプレッサ等の圧縮機22と、圧縮機22が圧縮した空気を一時的に貯留する調整タンク23と、調整タンク23内の気体の圧力を調整する圧力調整機24と、調整タンク23から圧力タンク20へ接続する気体流路25を開閉する自動制御弁26と、圧力タンク20から調整タンク23側への気体の流れを防止する気体逆止弁27と、を有する。なお、気体供給部21は、流体供給装置10の外部に後付けで設置してもよい。
【0035】
圧縮機22は、気体を圧縮し、圧力を高めて、調整タンク23に送り出す。圧縮機22としてのコンプレッサの方式は、往復式、回転式、遠心式、又は、軸流式等でよい。気体は、空気に限らず、窒素等でもよい。なお、気体供給部21は、圧縮機22としてコンプ
レッサに代えて、ブロア等の送風機を用いてもよい。
【0036】
調整タンク23は、圧縮機22が圧縮した空気を一時的に貯留する。圧縮機22と調整タンク23は、圧力調整機24を介して接続されると好ましい。調整タンク23は、圧縮機22の脈動を平準化するとともに、圧力タンク20内の圧力の降下を防止し、非常時の気体の供給を迅速に行うことができる。そして、圧力調整機24は、調整タンク23内を一定の圧力に調整することができる。自動制御弁26は、調整タンク23から圧力タンク20へ接続する気体流路25を開閉する。気体逆止弁27は、圧力タンク20から調整タンク23側への気体の流れを防止する。なお、自動制御弁26は、電磁弁や電動弁でよい。
【0037】
したがって、圧縮機22で圧縮された気体は、圧力調整機24によって一定の圧力に調整された状態で調整タンク23に貯留される。圧力タンク20の気体の圧力が低下した場合、自動制御弁26が開き、調整タンク23の気体は、圧力タンク20に流入し、圧力タンク20内の圧力が増加する。
【0038】
なお、圧力調整機24を設置せず、圧縮機22のオン/オフ又は圧縮機22から排出する気体の量を調整することによって、調整タンク23の気体を一定の圧力に調整してもよい。また、圧力調整機24、調整タンク23、及び、気体逆止弁27のうち、少なくとも1つを設置せず、圧縮機22のオン/オフ、圧縮機22から排出する気体の量の調整、及び、自動制御弁26の開閉等によって、圧力タンク20の気体の圧力を調整してもよい。
【0039】
(供給制御部)
供給制御部30は、流体供給装置10を制御する。流体供給装置10は、図示しない入力部を有し、操作者が入力部から供給制御部30に、上限圧力や下限圧力、過少水量時の停止圧力等、制御に必要な情報を入力できるようになっている。供給制御部30は、入力部から入力された情報及び物理量計測装置3等の計測値に基づいて、インバータ14を介して電動機13に制御信号を送信し、所定の回転速度でポンプ12を駆動させる。
【0040】
ポンプ12は、電動機13の回転が高速になるのに伴って、吐出量が増大する。このとき、吐出管18内の水圧は上昇するが、この吐出側圧力は圧力センサ17により逐次検出されており、供給制御部30は、圧力センサ17により検出される圧力が目標圧力に一致するように、ポンプ12の回転速度をフィードバック制御する。
【0041】
ここで、流体供給先44において流体が使用され、圧力センサ17により検出される検出圧力が予め設定された始動圧力以下に低下すると、ポンプ12が始動される。ポンプ12が電動機13により駆動されると、導入管42の流体が吸込管11を介してポンプ12に吸い込まれ、所定の圧力で吐出管18に吐出される。吐出管18に吐出された流体は、供給管43を通って需要側の流体供給先44に給水される。流体は、中層住宅や高層住宅、商業用ビルなどの最も高い位置に設けられる流体供給先44にも十分に供給できる圧力に加圧される。
【0042】
ポンプ12の運転中に、流体供給先44における流体の使用量が少なくなり、流体量が設定量よりも少なくなってフロースイッチ15が動作すると、ポンプ12の運転が停止される。このポンプ12の停止にあたっては、一時的にポンプ12の運転速度を上げて吐出し圧力を上げることによって、圧力タンク20内に十分な流体を蓄圧する。最終的には、圧力タンク20内の流体が所定の停止圧力に昇圧された状態でポンプ12が停止される。
【0043】
その後、流体供給先44において流体が使用されると、しばらくは圧力タンク20から流体が供給されるが、圧力タンク20の水が少なくなり、圧力センサ17の検出圧力が上
述した始動圧力以下に低下すると、ポンプ12が再び起動される。
【0044】
なお、ポンプ12の始動開始後一定の時間においては、フロースイッチ15からの過少水量検出信号をキャンセルするようにしてもよい。このようにすることで、流体供給設備の諸条件により、ポンプ12が始動してからしばらくの間は流体が流れないような場合であっても、過少流体量の検出によってポンプ12が停止されることを防止することができる。また、ポンプ12の吐出し圧力が所定の値よりも低い場合には、フロースイッチ15から過少流体量検知信号が送られてもポンプ12の停止処理を行わないように供給制御部30をプログラムしてもよい。このようにすることで、ポンプ12の運転中の吐出し圧力を常に所定の値よりも低くならないようにすることができ、過少水量による停止処理の頻度を低くすることができる。
【0045】
ここで、上述したように、供給制御部30は、圧力センサ17により検出された圧力が目標圧力に一致するように、ポンプ12の回転速度を制御するが、このときの制御としては、ポンプ12の吐出圧力が一定になるようにポンプ12の回転速度を制御する吐出圧力一定制御や、配管の末端圧力が一定となるようにポンプ12の吐出し圧力の目標値を逐次演算し、この目標値にポンプ12の吐出し圧力が一致するようにポンプ12の回転速度を制御する推定末端圧力一定制御などがなされる。
【0046】
なお、供給制御部30の制御は、管理制御部50によって行われてもよい。この場合、供給制御部30は、入力部から入力された情報及び物理量計測装置3等の計測値等のデータを管理制御部50に対して送受信すればよい。
【0047】
(コンピュータ)
図4は、流体供給システム1の制御部を構成するコンピュータ200の一例を示すハードウエア構成図である。
【0048】
本実施形態の流体供給システム1の制御部は、流体供給装置10の供給制御部30、及び、データ管理装置5の管理制御部50によって構成される。それぞれは、汎用又は専用のコンピュータ200により構成される。なお、データ管理装置5自体がコンピュータ200により構成されてもよい。コンピュータ200は、
図2に示すように、その主要な構成要素として、バス210、プロセッサ212、メモリ214、入力デバイス216、表示デバイス218、ストレージ装置220、通信I/F(インターフェース)部222、外部機器I/F部224、I/O(入出力)デバイスI/F部226、及び、メディア入出力部228を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ200が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0049】
プロセッサ212は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU、MPU、GPU、DSP等)で構成され、コンピュータ200全体を統括する制御部として動作する。メモリ214は、各種のデータ及びプログラム230を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM、フラッシュメモリ等)とで構成される。
【0050】
入力デバイス216は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成される。表示デバイス218は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成される。入力デバイス216及び表示デバイス218は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置220は、例えば、HDD、SSD等で構成され、オペレーティングシステムやプログラム230の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0051】
通信I/F部222は、インターネットやイントラネット等のネットワーク240に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う。外部機器I/F部224は、プリンタ、スキャナ等の外部機器250に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器250との間でデータの送受信を行う。無線通信の手段は、典型的には国際規格の通信手段が用いられる。国際規格の通信手段として、IEEE802.15.4、IEEE802.15.1、IEEE802.15.11a、11b、11g、11n、11ac、11ad、ISO/IEC14513-3-10、IEEE802.15.4g等の方式がある。また、Bluetooth(登録商標)、BluetoothLowEnergy、Wi-Fi、ZigBee(登録商標)、Sub-GHz、EnOcean(登録商標)等を用いることもできる。
【0052】
I/OデバイスI/F部226は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス260に接続され、I/Oデバイス260との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う。メディア入出力部228は、例えば、DVDドライブ、CDドライブ等のドライブ装置で構成され、DVD、CD等のメディア270に対してデータの読み書きを行う。
【0053】
上記構成を有するコンピュータ200において、プロセッサ212は、プログラム230をメモリ214のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス210を介してコンピュータ200の各部を制御する。なお、プログラム230は、メモリ214の代わりに、ストレージ装置220に記憶されていてもよい。プログラム230は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でCD、DVD等の非一時的な記録媒体に記録され、メディア入出力部228を介してコンピュータ200に提供されてもよい。プログラム230は、通信I/F部222を介してネットワーク240経由でダウンロードすることによりコンピュータ200に提供されてもよい。また、コンピュータ200は、プロセッサ212がプログラム230を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA、ASIC等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0054】
コンピュータ200は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ200は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよい。コンピュータ200は、流体供給装置3及び機械学習装置4以外の他の装置に適用されてもよい。
【0055】
(圧力タンクメンテナンス)
次に、本実施形態の流体供給システム1による圧力タンクメンテナンスについて説明する。
【0056】
本実施形態の流体供給システム1は、圧力タンク20内の圧力情報に基づいて気体供給部21の作動を制御する。また、データ管理装置5が圧力タンク20内の圧力情報に基づいて気体供給部21の作動を制御する場合、供給通信部31及び管理通信部51を介して、管理制御部50とデータのやり取りを行う。例えば、管理制御部50は、圧力情報によって圧力タンク20内の圧力が低下していると判定した場合、気体供給部21を作動させて圧力タンク20に気体を供給させる。
【0057】
データ管理装置5は、圧力情報として予め定めた期間のポンプ12の始動発停回数を用いて圧力タンク20内の圧力低下を判定する。期間は、数時間、数日、数週又は数ヶ月等で、使用者が適宜設定すればよい。ポンプ12の始動発停回数は、ポンプ12を始動又は停止した回数である。この回数を用いて圧力情報を作成する。例えば、1週間のポンプ12の始動発停回数から1日平均値を求め、当日のポンプ12の始動発停回数の当日平均値
と比較し、変化の割合が閾値に到達した場合に圧力タンク20内の圧力が低下していると判定すればよい。
【0058】
また、データ管理装置5は、圧力情報としてフロースイッチ15又は圧力センサ17等の物理量計測装置3の検出値を用いて圧力タンク20内の圧力低下を判定する。物理量計測装置3は、圧力タンク20内の圧力低下を直接的又は間接的に認識できるものであれば、フロースイッチ15又は圧力センサ17以外でもよい。物理量計測装置3の検出値を用いた場合、より適切に圧力タンク20内の圧力低下を判定することができる。
【0059】
次に、本実施形態の流体供給装置10による圧力タンクのメンテナンスについて説明する。
【0060】
本実施形態の流体供給装置10の供給制御部30は、圧力タンク20内の圧力情報に基づいて気体供給部21の作動を制御する。例えば、供給制御部30は、圧力情報によって圧力タンク20内の圧力が低下していると判定した場合、気体供給部21を作動させて圧力タンク20に気体を供給させる。
【0061】
供給制御部30は、圧力情報として予め定めた期間のポンプ12の始動発停回数を用いて圧力タンク20内の圧力低下を判定する。期間は、数時間、数日、数週又は数ヶ月等で、使用者が適宜設定すればよい。ポンプ12の始動発停回数は、ポンプ12を始動又は停止した回数である。この回数を用いて圧力情報を作成する。例えば、1週間のポンプ12の始動発停回数から1日平均値を求め、当日のポンプ12の始動発停回数の当日平均値と比較し、変化の割合が閾値に到達した場合に圧力タンク20内の圧力が低下していると判定すればよい。
【0062】
また、供給制御部30は、圧力情報としてフロースイッチ15又は圧力センサ17等の物理量計測装置3の検出値を用いて圧力タンク20内の圧力低下を判定してもよい。物理量計測装置3は、圧力タンク20内の圧力低下を直接的又は間接的に認識できるものであれば、フロースイッチ15又は圧力センサ17以外でもよい。物理量計測装置3の検出値を用いた場合、より適切に圧力タンク20内の圧力低下を判定することができる。
【0063】
(第1例の圧力タンクメンテナンス方法)
図5は、本実施形態に係る流体供給システム1又は流体供給装置10による圧力タンクメンテナンス方法の第1例を示すフローチャートである。なお、本実施形態のフローチャートは、データ管理装置5の管理制御部50又は流体供給装置10の供給制御部30によって実行される。
【0064】
まず、ステップS11において、圧力タンク20の圧力情報を取得する。圧力情報は、圧力タンク20の圧力が低下したか否かを判定できるものであればよく、例えば、所定時間内の始動発停回数、圧力タンク20の圧力値、所定時間内の自動制御弁開の回数等でよい。
【0065】
続いて、ステップS12において、管理制御部50又は供給制御部30は、圧力タンク20の圧力が低下したか否かを判定する。その結果、管理制御部50又は供給制御部30が、圧力タンク20の圧力が低下したと判定した場合には(ステップS12でYes)、ステップS13に進み、圧力タンク20の圧力が低下していないと判定した場合には(ステップS12でNo)、制御を終了する。
【0066】
次に、ステップS13において、管理制御部50又は供給制御部30は、気体供給部21を作動する。続いて、ステップS14において、管理制御部50又は供給制御部30は
、作動後、予め定めた時間経過したか否かを判定する。その結果、管理制御部50又は供給制御部30が、予め定めた時間経過したと判定した場合には(ステップS14でYes)、ステップS15に進み、予め定めた時間経過していないと判定した場合には(ステップS14でNo)、ステップS14に戻る。次に、ステップS15において、管理制御部50又は供給制御部30は、気体供給部21を停止する。なお、ステップ13からステップ15までの動作を供給動作とする。
【0067】
次に、ステップS16において、管理制御部50又は供給制御部30は、供給動作の回数のカウントiをi+1とする。続いてステップS17において、管理制御部50又は供給制御部30は、新たなiが予め定めた閾値a以上であるか否かを判定する。新たなiがi≧aを
満足しない場合には(ステップS17でNo)、制御を終了する。新たなiがi≧aを満足
する場合には(ステップS17でYes)、S13に戻る。管理制御部50又は供給制御部30は、この制御を予め定めた時間間隔で実行する。
【0068】
すなわち、第1例の流体供給システム1又は流体供給装置10において、管理制御部50又は供給制御部30は、気体供給部21から圧力タンク20へ気体を供給する予め定めた時間を1ターンとし、1ターン毎に気体を供給させ、気体供給部21から気体を供給するターンが予め定めた閾値a以上となった場合には、圧力タンク20内の圧力は十分貯まっていると判定し、制御を終了する。
【0069】
(第2例の圧力タンクメンテナンス方法)
図6は、本実施形態に係る流体供給システム1又は流体供給装置10による圧力タンクメンテナンス方法の第2例を示すフローチャートである。なお、本実施形態のフローチャートは、データ管理装置5の管理制御部50又は流体供給装置10の供給制御部30によって実行される。
【0070】
まず、ステップS21において、圧力タンク20の圧力情報を取得する。圧力情報は、圧力タンク20の圧力が低下したか否かを判定できるものであればよく、例えば、所定時間内の始動発停回数、圧力タンク20の圧力値、所定時間内の自動制御弁開の回数等でよい。
【0071】
続いて、ステップS22において、管理制御部50又は供給制御部30は、圧力タンク20の圧力が低下したか否かを判定する。その結果、管理制御部50又は供給制御部30が、圧力タンク20の圧力が低下したと判定した場合には(ステップS22でYes)、ステップS23に進み、圧力タンク20の圧力が低下していないと判定した場合には(ステップS22でNo)、制御を終了する。
【0072】
次に、ステップS23において、管理制御部50又は供給制御部30は、気体供給部21を作動する。続いて、ステップS24において、管理制御部50又は供給制御部30は、作動後、予め定めた時間経過したか否かを判定する。その結果、管理制御部50又は供給制御部30が、予め定めた時間経過したと判定した場合には(ステップS24でYes)、ステップS25に進み、予め定めた時間経過していないと判定した場合には(ステップS24でNo)、ステップS24に戻る。次に、ステップS25において、管理制御部50又は供給制御部30は、気体供給部21を停止する。なお、ステップ23からステップ25までの動作を供給動作とする。
【0073】
次に、ステップS26において、管理制御部50又は供給制御部30は、供給動作の回数のカウントiをi+1とする。続いてステップS27において、管理制御部50又は供給制御部30は、新たなiが予め定めた閾値a以上であるか否かを判定する。新たなiがi≧aを
満足しない場合には(ステップS27でNo)、S21に戻る。新たなiがi≧aを満足す
る場合には(ステップS27でYes)、S28に進む。次に、ステップS28において、管理制御部50又は供給制御部30は、圧力タンク20に異常があると判定し、異常を通知する。その後、制御を終了する。管理制御部50又は供給制御部30は、この制御を予め定めた間隔で実行する。
【0074】
すなわち、流体供給システム1又は流体供給装置10において、管理制御部50又は供給制御部30は、気体供給部21から圧力タンク20へ気体を供給する予め定めた時間を1ターンとし、1ターン毎に気体を供給させ、圧力タンク20内の圧力を判定する。そして、圧力タンク20に気体供給部21から閾値a回の供給を行ったにもかかわらず、圧力タンク20内の圧力が低下していると判定されるのは、圧力タンク20に異常があるからと判定する。
【0075】
(判定方法)
ここで、本実施形態で用いられるS12又はS22における圧力タンク20内の圧力低下の判定方法についていくつかの例を説明する。
【0076】
図7は、本実施形態の流体供給システム1の管理制御部50又は流体供給装置10の供給制御部30における圧力タンク20内の圧力低下の判定方法に用いられるポンプ12の始動発停回数データを示す。本実施形態の管理制御部50又は供給制御部30は、ポンプの始動発停回数から圧力タンクの圧力低下を判定してもよい。例えば、
図7に示すような1週間の始動発停回数データから平均値α0を算出する。平均値α0は、1週間の始動発停回数を加算し、7で割ればよい。続いて、当日の始動発停回数αtと平均値α0との差を計算し、予め定めた閾値A以上の場合、圧力タンクの圧力が低下していると判定すればよい。なお、始動発停回数データは、1週間に限らず、数時間、数日、数ヶ月等、使用者が適宜決定すればよい。また、流体供給システム1は、判定及び機器運転制御に係る必要な設定値を、管理制御部50から外部通信を介して送信して供給制御部30に設定することも可能である。
【0077】
また、本実施形態の管理制御部50又は供給制御部30は、圧力タンクの圧力低下の判定方法として、圧力タンク20内の圧力を直接又は間接に検出する圧力センサ17を用いてもよい。この場合、圧力センサ17の検出値が予め定めた閾値B以下となった場合、圧力タンク20の圧力が低下していると判定すればよい。
【0078】
なお、圧力タンク20内の圧力低下の判定方法は、これらに限定することなく、如何なる方法でもよい。例えば、特許文献1乃至4に示す方法でよい。
【0079】
以上のように、本実施形態に係る流体供給システム1又は流体供給装置10によれば、保全員の作業なく、圧力タンク20の点検及び保守を行うことができる。
【0080】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【符号の説明】
【0081】
1…流体供給システム、3…物理量計測装置、4…データ収集装置、6…端末装置、7…ネットワーク、
5…データ管理装置、50…管理制御部、500…管理処理部、51…管理通信部、
52…管理記憶部、520…データ管理プログラム、521…管理設定情報521、
53…管理入力部、54…管理出力部、
10…流体供給装置、11…吸込管、12…ポンプ、13…電動機、14…インバータ、15…フロースイッチ、16…流体逆止弁、17…圧力センサ、18…吐出管、
20…圧力タンク、21…気体供給部、22…圧縮機、23…調整タンク、24…圧力調整機、25…気体流路、26…自動制御弁、27…気体逆止弁、
30…供給制御部、31…供給通信部、
30…測定装置、31…ポンプ運転状況センサ、32…使用流量センサ、33…ポンプ1次圧センサ、3
41…流体供給源、42…導入管、43…供給管、44…流体供給先、
200…コンピュータ