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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118537
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】スタータモータカバー
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20240826BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
H02K5/22
H02G3/04 018
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024867
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】今井 翔
(72)【発明者】
【氏名】田中 義和
(72)【発明者】
【氏名】上村 賢
【テーマコード(参考)】
5G357
5H605
【Fターム(参考)】
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD14
5H605AA07
5H605BB05
5H605BB09
5H605CC06
5H605DD01
5H605EC01
(57)【要約】
【課題】互いに異なる機能を有するモータ取付け部とハーネス保護カバー部とを備えた構成であっても良好な成形性を得ること。
【解決手段】モータ軸方向の一方側Zaに配置されたモータ取付け部2と他方側Zbに配置された保護カバー部3とは、対向する端部同士を組付け可能に樹脂成形により別体で形成された。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータに取り付けられるモータ取付け部と、前記モータから延出されるハーネスを保護する保護カバー部とを備え、
モータ軸方向の一方側に配置された前記モータ取付け部と他方側に配置された前記保護カバー部とは、対向する端部同士を組付け可能に樹脂成形により別体で形成された
スタータモータカバー。
【請求項2】
前記保護カバー部は、第1壁面部と第2壁面部とを備え、前記第1壁面部と前記第2壁面部とは、前記モータ軸方向に沿って延びる角部を介して互いに交差するとともに隣接する端部同士が互いに連結され、
前記モータ取付け部は、前記第1壁面部と前記第2壁面部とに跨って前記保護カバー部に組付けられ、
互いに組付けられた前記モータ取付け部と前記保護カバー部とを固定するロック部を備え、
前記ロック部は、前記第1壁面部と前記モータ取付け部とを固定する第1ロック部と、前記第2壁面部と前記モータ取付け部とを固定する第2ロック部とが備えられた
請求項1に記載のスタータモータカバー。
【請求項3】
前記モータ取付け部は、前記第1壁面部の内面と板厚方向に当接可能に前記他方側へ突出する第1突出片と、前記第2壁面部の内面と板厚方向に当接可能に前記他方側へ突出する第2突出片とのうち、少なくとも一方を備えた
請求項2に記載のスタータモータカバー。
【請求項4】
前記モータ軸方向に対して交差し、前記第1壁面部に沿う第1延在方向において、前記第1ロック部に対して前記角部と反対側から該反対側へ張り出す第1張り出し部と、
前記モータ軸方向に対して交差し、前記第2壁面部に沿う第2延在方向において、前記第2ロック部に対して前記角部と反対側から該反対側へ張り出す第2張り出し部とが備えられ、
前記第1張り出し部は、前記第2張り出し部よりも張り出し長さが長く形成され、
前記第2突出片は、前記第1突出片より前記他方側への突出長さが長く形成された
請求項3に記載のスタータモータカバー。
【請求項5】
前記第2突出片における、前記第1突出片より前記他方側へ突出する突出部分には、前記第2延在方向の前記角部の側の端部の前記モータ軸方向の少なくとも一部から、前記第1延在方向へ突出するフランジ部が設けられた
請求項4に記載のスタータモータカバー。
【請求項6】
前記第1壁面部の内面には、前記第1延在方向に延びる横リブが設けられ、
前記横リブは、前記第1突出片の突出方向の先端部に当接可能に設けられた
請求項5に記載のスタータモータカバー。
【請求項7】
前記第1壁面部の内面には、前記第2突出片の前記突出方向の先端の位置に対して前記モータ軸方向の一方側の位置と他方側の位置に亘って延びる縦リブが設けられ、
該縦リブは、前記横リブに連結された
請求項6に記載のスタータモータカバー。
【請求項8】
前記モータ取付け部には、前記第1壁面部に組付けられる第1組付け部が設けられ、
前記第1組付け部には、該第1組付け部から張り出す前記第1張り出し部を支持する支持部を有し、
前記支持部は、前記第1壁面部の板厚方向に跨って配置されるとともに、前記第1延在方向において前記第1ロック部に対して前記角部と反対側に配置された
請求項4に記載のスタータモータカバー。
【請求項9】
前記第1壁面部の前記一方側の端部から前記一方側へ突出する嵌合突部が設けられ、
前記支持部には、前記嵌合突部と嵌合する被嵌合部が設けられた
請求項8に記載のスタータモータカバー。
【請求項10】
前記第1組付け部には、前記第1ロック部に対して前記角部の側に角部側組付け部を有し、
前記角部側組付け部は、前記第1壁面部の板厚方向に跨って配置され、
前記角部側組付け部には、前記被嵌合部が設けられた
請求項9に記載のスタータモータカバー。
【請求項11】
前記モータ取付け部には、前記第1組付け部と、前記第2壁面部へ組付けられる第2組付け部とが設けられ、
前記第1組付け部と前記第2組付け部との内角側には、前記第1組付け部と前記第2組付け部とを繋ぐコーナー補強部が設けられた
請求項8に記載のスタータモータカバー。
【請求項12】
前記コーナー補強部は、前記第1組付け部の前記第1延在方向における、前記第1ロック部と対応する部位に、前記第1組付け部と前記第2組付け部との内角側から接続された
請求項11に記載のスタータモータカバー。
【請求項13】
前記モータ取付け部には、前記第1壁面部に組付けられる第1組付け部が設けられ、
前記モータ軸方向に対して交差し、前記第1壁面部に沿う第1延在方向において、
前記第1ロック部は、前記第1組付け部における、前記角部に対して離間した部位に設けられ、
前記第1組付け部の前記第1延在方向における、前記第1ロック部に対して前記角部の側に位置する角部側組付け部は、前記第1壁面部の板厚方向に跨って配置された
請求項2に記載のスタータモータカバー。
【請求項14】
前記モータ取付け部には、前記第1壁面部に組付けられる第1組付け部と、前記第2壁面部に組付けられる第2組付け部が設けられ、
前記モータ軸方向に対して交差し、前記第2壁面部に沿う第2延在方向において、前記第2ロック部は、前記第2組付け部における、前記角部に対して離間した部位に設けられ、
前記モータ軸方向に対して交差し、前記第1壁面部に沿う第1延在方向において、前記第1組付け部の少なくとも一部は、前記第1壁面部の板厚方向に跨って配置された
請求項2に記載のスタータモータカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スタータモータに取り付けられ、スタータモータから延出されるハーネスを保護するスタータモータカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
セルスタータにより車両のエンジンを始動する場合、スタータリレーからスタータモータに電力が供給される。一般に、スタータモータの端子部分と、該端子部分に接続される電力線とには、これらを保護するスタータモータカバーが取り付けられる。
【0003】
スタータモータカバーとしては、特許文献1のように、スタータモータの端子部分を保護するケース部および電力線を保護する筒部を備えたスタータ端子保護カバーが提案されている。
【0004】
最近では、特許文献1のケース部および筒部に対応するハーネス保護カバー部に加えて、モータの外筒に取り付けるモータ取付け部を備え、該モータ取付け部をモータの外筒に取り付けることで、スタータモータの端子部分のみならず、外筒部分も含めた部位をハーネス保護カバー部によって広範囲で保護したいという要望がある。
【0005】
しかし、スタータモータカバーは、互いに異なる機能を有するモータ取付け部とハーネス保護カバー部とを一部材により形成した場合、全体形状が複雑化する。このため、モータ取付け部とハーネス保護カバー部とを樹脂により一体成形しようとすると、例えば、モータ取付け部の、外筒に当接する当接面の端面にバリ等が生じるなど良好な成形性を得ることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-252104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこでこの発明は、互いに異なる機能を有するモータ取付け部とハーネス保護カバー部とを備えた構成であっても良好な成形性を得ることができるスタータモータカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、モータに取り付けられるモータ取付け部と、前記モータから延出されるハーネスを保護する保護カバー部とを備え、モータ軸方向の一方側に配置された前記モータ取付け部と他方側に配置された前記保護カバー部とは、対向する端部同士を組付け可能に樹脂成形により別体で形成されたことを特徴とする。
【0009】
この発明により、互いに異なる機能を有するモータ取付け部とハーネス保護カバー部とを備えた構成であっても夫々を別体で樹脂成形により形成することで良好な成形性を得ることができる。
【0010】
この発明の態様として、前記保護カバー部は、第1壁面部と第2壁面部とを備え、前記第1壁面部と前記第2壁面部とは、前記モータ軸方向に沿って延びる角部を介して互いに交差するとともに隣接する端部同士が互いに連結され、前記モータ取付け部は、前記第1壁面部と前記第2壁面部とに跨って前記保護カバー部に組付けられ、互いに組付けられた前記モータ取付け部と前記保護カバー部とを固定するロック部を備え、前記ロック部は、前記第1壁面部と前記モータ取付け部とを固定する第1ロック部と、前記第2壁面部と前記モータ取付け部とを固定する第2ロック部とが備えられてもよい。
【0011】
この発明により、別体形成した前記モータ取付け部と前記保護カバー部とを組み付けて一体化し、外力による意図しない変形を防止できる。
【0012】
詳述すると、互いに別体で成形したモータ取付け部とハーネス保護カバー部とを後付けで組み付けて一体化した構成においては、車両走行時の振動等により、ハーネスに固定されるハーネス保護カバー部とモータに固定されるモータ取付け部との間に相対変位が生じることに起因して両部材の組み付け部分に曲げ応力が作用するおそれがあるが、この発明は、このような曲げ応力に対してもモータ取付け部がハーネス保護カバー部に対して内倒れしたり外倒れするような変形を防止できる。
【0013】
より詳しくは、前記モータ取付け部が前記保護カバー部の前記第1壁面部と前記第2壁面部とに跨る組付け状態となるように前記モータ取付け部と前記保護カバー部とは、前記第1ロック部と前記第2ロック部とに固定される。
【0014】
このように、前記第1ロック部と前記第2ロック部とは同一平面状に配置されないため、前記保護カバー部と前記モータ取付け部と意に反した外力が作用しても、前記モータ取付け部と前記保護カバー部とが相対的に変形することを抑止して組み付けることができる。
【0015】
例えば、前記モータ取付け部の前記保護カバー部に対する内倒変形を抑制することで、前記モータ取付け部や前記保護カバー部がハーネスに不用意に干渉することを防ぐことができる。
【0016】
なお、本発明のスタータモータカバーには、車両走行時の振動等により前記保護カバー部における前記ハーネスを固定するハーネス結束バンド等のハーネス固定部から外力が作用することで、前記モータ取付け部と前記保護カバー部とが、互いの組付け部分において、前記第1ロック部を支点として前記第2ロック部の側或いは、前記第2ロック部と反対側へ相対的に曲げ変形が生じるおそれがあるとともに、前記第2ロック部を支点として前記第1ロック部の側或いは、前記第1ロック部と反対側へ相対的に曲げ変形が生じるおそれがある。
【0017】
但し、本明細書では、このような曲げ変形が生じる際には、便宜上、前記モータ取付け部が前記保護カバー部に対して前記ハーネスを収容する内部空間の側へ倒れ込む変形すなわち内倒れ変形、或いは内部空間と反対側へ倒れ込む変形すなわち外倒れ変形が生じているものとして説明する。
【0018】
具体的に、前記モータ取付け部と前記保護カバー部とが、前記第1ロック部を支点として前記第2ロック部の側へ相対的に曲げ変形するとは、前記モータ取付け部が前記第1ロック部を支点として前記第2壁面部に対して外倒れ変形するものとして説明する。同様に、前記モータ取付け部と前記保護カバー部とが、前記第1ロック部を支点として前記第2ロック部と反対側へ相対的に曲げ変形するとは、前記モータ取付け部が前記第1ロック部を支点として前記第2壁面部に対して内倒れ変形するものとして説明する。
【0019】
また、前記モータ取付け部と前記保護カバー部とが、前記第2ロック部を支点として前記第1ロック部の側へ相対的に曲げ変形するとは、前記モータ取付け部が前記第2ロック部を支点として前記第1壁面部に対して外倒れ変形するものとして説明する。同様に、前記モータ取付け部と前記保護カバー部とが、前記第2ロック部を支点として前記第1ロック部と反対側へ相対的に曲げ変形するとは、前記モータ取付け部が前記第2ロック部を支点として前記第1壁面部に対して内倒れ変形するものとして説明する。
【0020】
またこの発明の態様として、前記モータ取付け部は、前記第1壁面部の内面と板厚方向に当接可能に前記他方側へ突出する第1突出片と、前記第2壁面部の内面と板厚方向に当接可能に前記他方側へ突出する第2突出片とのうち、少なくとも一方を備えてもよい。
【0021】
この発明により、前記モータ取付け部が前記第1壁面部に対して内倒れ変形する方向の外力が作用しても前記モータ取付け部の前記保護カバー部に対する内倒れ変形を防止できる。
【0022】
詳述すると、前記モータ取付け部に前記第1突出片を備えることで、前記モータ取付け部が前記第1壁面部に対して内倒れ変形する方向の外力が作用しても前記第1壁面部の内面に対して前記第1突出片が当接して外力に抗することで、前記モータ取付け部の前記第1壁面部に対する内倒れ変形を防止できる。
【0023】
さらに、前記モータ取付け部に前記第2突出片を備えることで、前記モータ取付け部が前記第2壁面部に対して内倒れ変形する方向の外力が作用しても前記第2壁面部の内面に対して前記第2突出片が当接して外力に抗することで、前記モータ取付け部の前記第2壁面部に対する内倒れ変形を防止できる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記モータ軸方向に対して交差し、前記第1壁面部に沿う第1延在方向において、前記第1ロック部に対して前記角部と反対側から該反対側へ張り出す第1張り出し部と、前記モータ軸方向に対して交差し、前記第2壁面部に沿う第2延在方向において、前記第2ロック部に対して前記角部と反対側から該反対側へ張り出す第2張り出し部とが備えられ、前記第1張り出し部は、前記第2張り出し部よりも張り出し長さが長く形成され、前記第2突出片は、前記第1突出片より前記他方側への突出長さが長く形成されてもよい。
【0025】
この発明により、前記第2張り出し部よりも張り出し長さが長い前記第1張り出し部に外力が作用しても、前記第1突出片より前記他方側への突出長さが長い前記第2突出片によって、前記モータ取付け部の前記第2壁面部に対する内倒れ変形をより確実に防止できる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記第2突出片における、前記第1突出片より前記他方側へ突出する突出部分には、前記第2延在方向の前記角部の側の端部の前記モータ軸方向の少なくとも一部から、前記第1延在方向へ突出するフランジ部が設けられてもよい。
【0027】
この発明により、前記フランジ部の基端部には、前記モータ軸方向に延びる稜線が形成されるため、前記第2突出片の強度を高めることができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記第1壁面部の内面には、前記第1延在方向に延びる横リブが設けられ、前記横リブは、前記第1突出片の突出方向の先端部に当接可能に設けられてもよい。
【0029】
この発明により、前記第1壁面部を前記横リブによって補強できるため、前記第1壁面部を備えた前記保護カバー部に意に反する外力が作用しても該保護カバー部によってハーネスをしっかりと保護することができる。
【0030】
また、前記モータ取付け部が前記第2壁面部に対して内倒れ変形する方向の外力が作用しても前記第1突出片の突出方向の先端部が前記第1壁面部を補強する前記横リブに当接することで外力に抗し、前記モータ取付け部の前記第2壁面部に対する内倒れ変形を防止できる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記第1壁面部の内面には、前記第2突出片の前記突出方向の先端の位置に対して前記モータ軸方向の一方側の位置と他方側の位置に亘って延びる縦リブが設けられ、該縦リブは、前記横リブに連結されてもよい。
【0032】
この発明により、前記縦リブによって前記第1壁面部を前記モータ軸方向において広範囲に亘って補強することができる。このため、意に反する外力に対してハーネスをしっかりと保護することができる。
【0033】
さらに、前記横リブに連結された前記縦リブによって前記横リブを支持できるため、前記横リブは、前記第1突出片の突出方向の先端部が当接することにより作用する外力に抗することができる。従って、前記モータ取付け部が前記第2壁面部に対して内倒れすることを防止できる。
【0034】
またこの発明の態様として、前記モータ取付け部には、前記第1壁面部に組付けられる第1組付け部が設けられ、前記第1組付け部には、該第1組付け部から張り出す前記第1張り出し部を支持する支持部を有し、前記支持部は、前記第1壁面部の板厚方向に跨って配置されるとともに、前記第1延在方向において前記第1ロック部に対して前記角部と反対側に配置されてもよい。
【0035】
この発明により、前記モータ取付け部が前記第2壁面部に対して内倒れ変形する方向の外力が作用しても、前記第1壁面部の板厚方向に跨って配置されるとともに前記第1ロック部に対して前記角部と反対側に配置された前記支持部が、前記第1壁面部の前記一方の端面に当接することで外力に抗することができ、前記モータ取付け部の前記第2壁面部に対する内倒れ変形を防止できる。
【0036】
またこの発明の態様として、前記第1壁面部の前記一方側の端部から前記一方側へ突出する嵌合突部が設けられ、前記支持部には、前記嵌合突部と嵌合する被嵌合部が設けられてもよい。
【0037】
この発明により、前記保護カバー部と前記モータ取付け部とは組付け状態において、前記第1ロック部および前記第2ロック部の固定に加えて前記嵌合突部と前記被嵌合部とが嵌合するため、より強固に固定することができる。
【0038】
さらに、前記モータ取付け部が前記第1壁面部に対して内倒れ変形する方向の外力が作用しても、前記嵌合突部が前記被嵌合部に嵌合することによって、前記モータ取付け部の前記第1壁面部に対する内倒れ変形をより確実に防止できる。
【0039】
またこの発明の態様として、前記第1組付け部には、前記第1ロック部に対して前記角部の側に角部側組付け部を有し、前記角部側組付け部は、前記第1壁面部の板厚方向に跨って配置され、前記角部側組付け部には、前記被嵌合部が設けられてもよい。
【0040】
この発明により、前記第1ロック部に対して前記支持部の側と前記角部側組付け部の側との夫々の側において、前記嵌合突部を前記被嵌合部に嵌合させることができる。これにより、前記モータ取付け部が前記第1壁面部に対して内倒れ変形する方向の外力に対して、前記第1ロック部と共に該第1ロック部の両側に設けられた前記嵌合突部および前記被嵌合部によって抗することができる。
【0041】
またこの発明の態様として、前記モータ取付け部には、前記第1組付け部と、前記第2壁面部へ組付けられる第2組付け部とが設けられ、前記第1組付け部と前記第2組付け部との内角側には、前記第1組付け部と前記第2組付け部とを繋ぐコーナー補強部が設けられてもよい。
【0042】
この発明により、前記第1壁面部に組み付く前記第1組付け部と、前記第2壁面部に組み付く前記第2組付け部とを前記コーナー補強部で繋ぐことで、意に反した外力に対して、前記第1組付け部と前記第2組付け部との角度が変動するような意図しない変形を防止できる。
【0043】
またこの発明の態様として、前記コーナー補強部は、前記第1組付け部の前記第1延在方向における、前記第1ロック部と対応する部位に、前記第1組付け部と前記第2組付け部との内角側から接続されてもよい。
【0044】
この発明により、互いに組付けられた前記モータ取付け部と前記保護カバー部とに意に反する外力が作用することで、これら前記モータ取付け部と前記保護カバー部とを固定する前記第1ロック部に負荷が作用しても前記第1ロック部を前記コーナー補強部によって補強することができる。
【0045】
またこの発明の態様として、前記モータ取付け部には、前記第1壁面部に組付けられる第1組付け部が設けられ、前記モータ軸方向に対して交差し、前記第1壁面部に沿う第1延在方向において、前記第1ロック部は、前記第1組付け部における、前記角部に対して離間した部位に設けられ、前記第1組付け部の前記第1延在方向における、前記第1ロック部に対して前記角部の側に位置する角部側組付け部は、前記第1壁面部の板厚方向に跨って配置されてもよい。
【0046】
この発明により、前記モータ取付け部が前記第1ロック部を支点として第2壁面部に対して外倒れ変形させる方向の外力に対して前記角部側組付け部が前記第1壁面部の前記一方側の端部に当接することで該外力に抗することができる。
【0047】
またこの発明の態様として、前記モータ取付け部には、前記第1壁面部に組付けられる第1組付け部と、前記第2壁面部に組付けられる第2組付け部が設けられ、前記モータ軸方向に対して交差し、前記第2壁面部に沿う第2延在方向において、前記第2ロック部は、前記第2組付け部における、前記角部に対して離間した部位に設けられ、前記モータ軸方向に対して交差し、前記第1壁面部に沿う第1延在方向において、前記第1組付け部の少なくとも一部は、前記第1壁面部の板厚方向に跨って配置されてもよい。
【0048】
この発明により、前記モータ取付け部が前記第2ロック部を支点として前記第1壁面部に対して外倒れ変形させる外力に対して前記第1組付け部が前記第1壁面部の前記一方側の端部に当接することで該外力に抗することができる。
【発明の効果】
【0049】
この発明によれば、互いに異なる機能を有するモータ取付け部とハーネス保護カバー部とを備えた構成であっても良好な成形性を得ることができるスタータモータカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本実施形態のスタータモータカバーをスタータモータに装着した状態を示す外観図
図2】本実施形態のスタータモータカバーをXa方向、Ya方向かつZa方向から視た斜視図
図3】本実施形態のスタータモータカバーをXb方向、Yb方向かつZb方向から視た斜視図
図4図2の要部を拡大して示す分解斜視図
図5図3の要部を拡大して示す分解斜視図
図6】(a)は本実施形態のスタータモータカバーの要部を拡大してYa方向から視た正面図、(b)は同じくXa方向から視た側面図
図7】(a)は本実施形態のスタータモータカバーをZa方向から視た平面図、(b)はモータ取付け部をZb方向から視た底面図
図8】(a)は図7(a)中のA-A線に沿った要部拡大断面図、(b)は図7(a)中のB-B線に沿った要部拡大断面図
図9】(a)は図7(a)中のC-C線に沿った要部拡大断面図、(b)は図7(a)中のD-D線に沿った要部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0051】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図中、矢印Zはモータ軸方向、矢印Xはモータ軸方向に直交するとともに後述する第1壁面部11に沿って延びる第1延在方向、矢印Yはモータ軸方向に直交するとともに後述する第2壁面部12に沿って延びる第2延在方向を夫々示すものとする。さらに図中、矢印Zaはモータ軸方向一方側、矢印Zbはモータ軸方向他方側、矢印Xaは第1延在方向一方側、矢印Xbは第1延在方向他方側、矢印Yaは第2延在方向一方側、矢印Ybは第2延在方向他方側を夫々示すものとする。
【0052】
図1に示すように、本実施形態のスタータモータカバー1(以下、「モータカバー1」と略記する)は、車両に搭載されたスタータモータ8(以下、「モータ8」と略記する)に取り付けられるモータ取付け部2と、モータ8から延出されるハーネス7を保護する保護カバー部3とを備えている。
【0053】
図1図3に示すように、モータ取付け部2はZa方向の側に配置されるとともに、保護カバー部3はZb方向の側に配置されている。モータ取付け部2と保護カバー部3は、Z方向において対向する端部同士を組付け可能に樹脂成形により別体で形成されている。
図2に示すように、モータカバー1は、互いに組付けられたモータ取付け部2と保護カバー部3とを固定するロック部6として第1ロック部6aと第2ロック部6bとを備えている。
【0054】
保護カバー部3は、モータ8から延出されたハーネス7をX方向の両側、Ya方向およびZb方向から覆う複数の壁面部10を備えている。
詳述すると、保護カバー部3は、ハーネス7をYa方向の側から覆う第1壁面部11と、ハーネス7をXa方向の側から覆う第2壁面部12とを備えている。第1壁面部11は、Z方向およびX方向に延びる略平板状に形成されるとともに、第2壁面部12は、Z方向およびY方向に延びる略平板状に形成されている。
第1壁面部11と第2壁面部12は、互いにZ方向に沿って延びる角部13を介して直交するとともに隣接する端部同士が互いに連結されている。
【0055】
保護カバー部3は、リブ14とハーネス導出部15と第1ロック部6aと一方側嵌合突部16aと他方側嵌合突部16bと第2ロック突片60bが設けられている。
【0056】
リブ14は、第1壁面部11におけるYa方向の面、すなわち外面11aおよびYb方向の面、すなわち内面11b、並びに第2壁面部12のXa方向の面、すなわち外面12aおよびXb方向の面、すなわち内面12bに適宜設けられている。例えば図3に示すように、リブ14は、第1壁面部11の内面11bにおいてX方向と一致する方向に延びる横リブ14xとZ方向と一致する方向に延びる縦リブ14yとを備えている。
【0057】
さらに図2図3図9(a)に示すように、ハーネス導出部15は、ハーネス7を収容可能に複数の壁面部10によって覆われた内部空間3sから外部へとハーネス7を導出可能に複数が設けられている。
【0058】
例えば図3に示すように、ハーネス導出部15は、保護カバー部3のXb方向かつZb方向のコーナー部においてZb方向へ向けて開口する他方側ハーネス導出部15aを備えている。他方側ハーネス導出部15aのXb方向の端部かつZb方向の端部には、ハーネス7に巻き付けてテープ等で固定可能に可撓性を有するとともに長尺状に形成されたハーネス固定部17がZb方向へ延出されている。
【0059】
図2図4図6(a)、図7(a)、図8(a)、図9(b)に示すように、第1ロック突片60aは、第1ロック部6aに備えられ、第1壁面部11のZa方向の端部における、角部13に対してXb方向に離間した部位にZa方向へ突出して設けられている。第1ロック突片60aの突出方向の先端部すなわちZa方向の端部には、Ya方向へ突出する係合突部61aが形成されている。
【0060】
また図4図5図9(b)に示すように、一方側嵌合突部16aと他方側嵌合突部16bとは、第1ロック突片60aと同様に何れも第1壁面部11のZa方向の端部に設けられている。
【0061】
詳述すると、一方側嵌合突部16aは、第1ロック突片60aに対してXa方向の側に隣接して設けられるとともに、他方側嵌合突部16bは、第1ロック突片60aに対してXb方向の側に隣接して設けられている。一方側嵌合突部16aと他方側嵌合突部16bは、互いにZa方向の端部からZa方向へ同じ突出長さで突出する。他方側嵌合突部16bは、一方側嵌合突部16aよりもX方向に幅広に形成されている。
【0062】
図2図4図5図6(b)、図7(a)、図9(a)に示すように、第2ロック突片60bは、第2ロック部6bに備えられ、第2壁面部12のZa方向の端部における、角部13に対してYb方向に離間した部位に、Za方向へ突出して設けられている。第2ロック突片60bの突出方向の先端部すなわちZa方向の端部には、Xa方向へ突出する係合突部61bが形成されている。なお、第1ロック部6aと第2ロック部6bとは、第2ロック部6bと角部13とのY方向の距離が、第1ロック部6aと角部13とのX方向の距離よりも長くなるように設けられている。
【0063】
また図2図5に示すように、モータ取付け部2は、図1に示すモータ8の外筒部8aを保持する外筒保持部21と、第1壁面部11に組付けられる第1組付け部31と、第2壁面部12に組付けられる第2組付け部41と、第1組付け部31と第2組付け部41とを直線状に繋ぐコーナー補強部51を備えている。
【0064】
モータ取付け部2は、第1組付け部31が第1壁面部11に組付けられるとともに、第2組付け部41が第2壁面部12に組付けられることにより、第1壁面部11と第2壁面部12とに跨って組付けられる。
【0065】
外筒保持部21は、第1組付け部31から張り出す第1張り出し部22と、第2組付け部41から張り出す第2張り出し部23を有し、全体として平面視C環状に形成されている。外筒保持部21は、第1組付け部31と第2組付け部41との内角側、すなわち、第1組付け部31に対してYb方向の側かつ第2組付け部41に対してXb方向の側に配置され、第1組付け部31と第2組付け部41とに対して内面側から一体に接合されている。
【0066】
第1張り出し部22は、第1組付け部31からの張り出し長さが、第2張り出し部23の第2組付け部41からの張り出し長さよりも長く形成されている。さらに、第1張り出し部22は、第1組付け部31からXb方向へ張り出すとともに突出方向の先端に向けて徐々にYb方向へ張り出すように平面視略円弧形状に形成されている。
【0067】
外筒保持部21は、第1張り出し部22と第2張り出し部23とが径方向に弾性変形可能に第1組付け部31および第2組付け部41に対して片持ち状に形成されることで、第1張り出し部22と第2張り出し部23との弾性力を活かしてモータ8の外筒部8aを外周に沿って抱え込むようにしてしっかりと保持する。
【0068】
図4図7(a)(b)に示すように、外筒保持部21の第1張り出し部22の突出方向の基部には、補強部24が設けられている。補強部24は、第1組付け部31における後述する外壁部36から第1張り出し部22の外周面に沿って第1張り出し部22の突出方向へ連続して延びる外壁補強部25と、該外壁補強部25と第1張り出し部22とを連結する複数のリブ26を備えている。補強部24により、第1張り出し部22の基部を補強するとともに、第1張り出し部22の弾性力を高めて外筒保持部21による、モータ8の保持力を高めることができる。
【0069】
図2図5図7(b)に示すように、第1組付け部31と第2組付け部41とは、互いにZ方向に沿って延びる角部20を介して直交するとともに図7(b)に示すように、隣接する端部同士が互いに連結された形状、すなわち底面視略L字形状に形成されている。
【0070】
図2図6(a)に示すように、第1組付け部31は、モータ取付け部2と保護カバー部3との組付け状態においてX方向に沿って形成されるとともに、外面が第1壁面部11の外面11aと略面一に形成されている。
【0071】
図2図5図6(a)に示すように、第1組付け部31には、角部側組付け部32と、第1ロック部6aに備えた第1被ロック部62aと、第1組付け部31から張り出す第1張り出し部22を支持する支持部33と、一方側被嵌合部34aと他方側被嵌合部34bと第1突出片35とが設けられている。
【0072】
角部側組付け部32と第1被ロック部62aと支持部33とは、角部13からXb方向へこの順に備えている。
換言すると、角部側組付け部32はX方向において第1被ロック部62aに対して角部13の側、すなわちXa方向の側に設けられるとともに、支持部33はX方向において第1被ロック部62aに対して角部13と反対側、すなわちXb方向の側へ設けられている。支持部33は、角部側組付け部32よりもX方向の長さが長く形成されている。
【0073】
角部側組付け部32および支持部33は、第1壁面部11の板厚よりも厚みを有している。
詳しくは、図2図3図8(b)に示すように、第1組付け部31は、外壁部36と内壁部37とリブ38とを備え、第1壁面部11の板厚方向に跨って配置可能な厚みを有している。
図2図4図6(a)、図7(a)(b)に示すように、外壁部36は、第1組付け部31のX方向における、第1被ロック部62aを除いた支持部33と角部側組付け部32とに形成されている。さらに、外壁部36は、外筒保持部21よりもYa方向の側、すなわち外筒保持部21の外周側に位置し、第1壁面部11のZa方向の端部から外筒保持部21のZa方向の端部に至るまでZ方向に延びている。
【0074】
図3図5図7(b)、図8(b)、図9(a)に示すように、内壁部37は、第1組付け部31のX方向の全長に亘って形成されている。さらに、図7(b)、図8(b)に示すように、内壁部37は、外壁部36に対してYb方向の側で第1壁面部11の板厚を隔てて対向するように配置され、図8(b)に示すように、Za方向の端部が外筒保持部21のZb方向の端部と一体に接合されている。
【0075】
リブ38は、第1組付け部31のX方向において所定の間隔を隔てて複数が設けられている。これらリブ38は、何れも第1壁面部11を板厚方向に跨ぐように外壁部36と、内壁部37および外筒保持部21とを連結し、図9(b)に示すように、Zb方向の端部が第1壁面部11のZa方向の端部に当接可能に形成されている。
【0076】
図2図4図6(a)、図7(a)(b)、図8(a)に示すように、第1被ロック部62aは、第1組付け部31のYa方向の端部かつZb方向の端部においてX方向の両側に位置する外壁部36を互いに連結するようにX方向に直線状に延びている。
【0077】
図4図7(b)、図8(a)に示すように、第1被ロック部62aと、第1組付け部31の内壁部37との間には、第1ロック突片60aを嵌挿可能にZ方向に貫通する貫通穴63が設けられている。そして、第1ロック部6aは、第1壁面部11の側の第1ロック突片60aが貫通穴63に嵌挿された状態で係合突部61aを第1被ロック部62aに係合することで、第1壁面部11と第1組付け部31とを固定する。
【0078】
図7(b)、図9(b)に示すように、一方側被嵌合部34aは、角部側組付け部32の内部において内壁部37と外壁部36とリブ38によって中空状に形成され、一方側嵌合突部16aをZa方向へ嵌合可能にZb方向に向けて開口して形成されている。
【0079】
図7(b)、図8(b)、図9(b)に示すように、他方側被嵌合部34bは、支持部33の内部において内壁部37と外壁部36とリブ38によって中空状に形成され、他方側嵌合突部16bをZa方向へ嵌合可能にZb方向に向けて開口して形成されている。
【0080】
図9(a)に示すように、第1突出片35は、内壁部37のX方向の全長に亘って形成されている。さらに、図3図5図7(b)、図8(a)(b)、図9(a)に示すように、第1突出片35は、第1壁面部11の内面11bと板厚方向に当接可能に内壁部37のZb方向の端部からZb方向へ突出して形成されている。
【0081】
また、図2図5図6(b)、図7(a)(b)、図8(a)(b)、図9(a)に示すように、第2組付け部41は、Y方向に沿って板状に形成され、図6(b)、図9(a)に示すように、第2ロック部6bに備えた第2被ロック部62bと、第2突出片42が設けられている。
【0082】
第2被ロック部62bは、第2組付け部41のXa方向の端面、すなわち外面からXa方向へ平面視枠状に突出して形成されている。図4図7(b)、図9(a)に示すように、第2被ロック部62bと第2組付け部41の外面との間には、第2ロック突片60bを嵌挿可能にZ方向に貫通する貫通穴64が設けられている。そして、第2ロック部6bは、第2ロック突片60bが貫通穴64に嵌挿された状態で係合突部61bを第2被ロック部62bに係合することで、第2壁面部12と第2組付け部41とを固定する。
【0083】
図6(a)(b)に示すように、第1ロック部6aと第2ロック部6bとは、第1ロック部6aとハーネス固定部17とのX方向の距離Lxが、第2ロック部6bとハーネス固定部17とのY方向の距離Lyよりも長くなるように配設されている。
また図3図5図7(b)、図9(a)に示すように、第2突出片42は、第2壁面部12の内面12bと板厚方向に当接可能にZb方向へ突出して形成されている。図3図5図7(b)に示すように、第1組付け部31の第1突出片35と第2組付け部41の第2突出片42とは、互いにZ方向に沿って延びる角部20を介して直交するとともに隣接する端部同士が互いに連結されている。
【0084】
図3図5に示すように、第2突出片42は、第1突出片35よりZb方向への突出長さが長く形成されている。
さらに、第2突出片42における、第1突出片35よりZb方向へ突出する突出部分43には、該突出部分43のYa方向の端部からXb方向へ突出するフランジ部44が設けられている。フランジ部44は、突出部分43のZ方向の全長に亘って形成されている。フランジ部44のZa方向の端部は第1突出片35と一体に形成されている。
【0085】
突出部分43のYa方向の端部に、Z方向に沿って形成されたフランジ部44を備えることで、モータ取付け部2の角部20は、Z方向に延びる稜線として第1組付け部31と第2組付け部41との間部分から第2突出片42のZb方向の端部まで連続して形成されている。
【0086】
ここで図9(a)に示すように、上述した第1壁面部11の内面11bに形成された横リブ14xと縦リブ14yは、正面視門型に形成されている。
詳しくは、上述した横リブ14xは、第1壁面部11の内面11bにおける、第2突出片42の突出方向の先端よりもZa方向の側において第1突出片35の突出方向の先端部に当接可能に設けられている。
【0087】
さらに、上述した縦リブ14y(14ya,14yb)は、第1壁面部11の内面11bにおいてX方向の間隔を隔てて互いに平行にZ方向に延びる一対が設けられ、何れも第2突出片42の突出方向の先端の位置に対してZa方向の位置とZb方向の位置とに亘ってZ方向に延びている。一対の縦リブ14ya,14ybのうち、Xa方向の端部の縦リブ14yaは、Za方向の端部が横リブ14xのXa方向の端部に連結されるとともに、Xb方向の端部の縦リブ14ybは、Za方向の端部が横リブ14xのXb方向の端部に連結されている。
【0088】
図3図5図7(b)、図8(a)(b)、図9(a)に示すように、コーナー補強部51は、第1組付け部31と第2組付け部41との内角側に配置されるとともに、外筒保持部21と、該外筒保持部21に対してZb方向の側に隣接して配置されている。
【0089】
図7(b)、図8(a)に示すように、コーナー補強部51は、Ya方向かつXb方向の端部51xが第1組付け部31に対して、X方向において第1ロック部6aと対応する部位に第1組付け部31と第2組付け部41との内角側から接続されている。図7(b)、図9(a)に示すように、コーナー補強部51は、Yb方向かつXa方向の端部51yが第2組付け部41に対して、Y方向において第2ロック部6bと対応する部位に第1組付け部31と第2組付け部41との内角側から接続されている。
【0090】
上述した実施形態のモータカバー1は、別体形成したモータ取付け部2と保護カバー部3とを組み付けて一体化し、外力による意図しない変形を防止できる。
詳述すると、モータカバー1は、図2図3に示すように、モータ取付け部2が保護カバー部3の第1壁面部11と第2壁面部12とに跨る組付け状態となるようにモータ取付け部2と保護カバー部3とが、第1ロック部6aと第2ロック部6bとによって固定される。
【0091】
このため、保護カバー部3とモータ取付け部2とに意に反する外力が作用しても、モータ取付け部2と保護カバー部3とが相対的に変形することを抑止して組み付けることができる。
【0092】
例えば、モータ取付け部2の保護カバー部3に対する内倒れ変形を抑制することで、モータ取付け部2や保護カバー部3がハーネス7に不用意に干渉することを防ぐことができる。
【0093】
また図8(a)(b)、図9(a)等に示すように、本実施形態のモータカバー1は、モータ取付け部2に、第1壁面部11の内面11bと板厚方向に当接可能にZb方向へ突出する第1突出片35を備えたため、モータ取付け部2が第1壁面部11に対して内倒れ変形する方向の外力が、該モータ取付け部2に作用しても第1壁面部11の内面11bに対して第1突出片35が当接することで、モータ取付け部2の第1壁面部11に対する内倒れ変形を防止できる。
【0094】
さらに図9(a)に示すように、本実施形態のモータカバー1は、モータ取付け部2に、第2壁面部12の内面12bと板厚方向に当接可能にZb方向へ突出する第2突出片42を備えたため、モータ取付け部2が第2壁面部12に対して内倒れ変形する方向の外力が、該モータ取付け部2に作用しても第2壁面部12の内面12bに対して第2突出片42が当接することで、モータ取付け部2の第2壁面部12に対する内倒れ変形を防止できる。
【0095】
ここで、外筒保持部21における、第2張り出し部23よりも張り出し長さが長い第1張り出し部22に外力が作用した場合には、モータ取付け部2が第2壁面部12に対して内倒れ変形しようとする曲げ応力が、第1壁面部11に対して内倒れ変形しようとする曲げ応力よりも大きく作用するおそれがある。
【0096】
これに対して本実施形態においては、図3図5図9(a)に示すように、第2突出片42は、第1突出片35よりZb方向への突出長さが長く形成されたため、上述した内倒れ変形を効果的に抑制できる。
【0097】
また図3に示すように、第2突出片42における、第1突出片35よりZb方向へ突出する突出部分43には、Ya方向の端部からXb方向へ突出するフランジ部44が、該突出部分43のZ方向の全長に亘って設けられたため、モータ取付け部2には、第1組付け部31と第2組付け部41との間の角部20を第2突出片42の突出方向の先端に至るまで連続して延びる稜線として形成できる。
従って、第1突出片35と第2突出片42の強度を相互に高めることができるため、第1壁面部11および第2壁面部12に対してモータ取付け部2が内倒れ変形する方向の外力により抗することができる。
【0098】
また図3図5図8(b)、図9に示すように、第1壁面部11をX方向に延びる横リブ14xによって補強できるため、第1壁面部11を備えた保護カバー部3に意に反する外力が作用しても該保護カバー部3によってハーネス7をしっかりと保護することができる。
【0099】
さらに、横リブ14xは、第1突出片35の突出方向の先端部に当接可能に設けられたため、モータ取付け部2が第2壁面部12に対して内倒れ変形する方向の外力が作用しても第1突出片35の突出方向の先端部が第1壁面部11を補強する横リブ14xに当接することで、外力に抗することができる。従って、モータ取付け部2の第2壁面部12に対する内倒れ変形をより一層防止できる。
【0100】
加えて、モータ取付け部2が第1壁面部11に対して内倒れ変形する方向の外力が作用した場合においても横リブ14xは、第1突出片35の突出方向の先端部が当接可能に形成されることで、モータ取付け部2の第1壁面部11に対する内倒れをより一層防止できる。
【0101】
また図9等に示すように、第1壁面部11の内面11bにおいて第2突出片42の突出方向の先端をZ方向に跨ぐように延びる縦リブ14yによって、第1壁面部11をZ方向において広範囲に亘って補強することができる。このため、保護カバー部3は、意に反する外力に対してハーネス7をしっかりと保護することができる。
【0102】
さらに、横リブ14xに第1突出片35の突出方向の先端部が当接しても、横リブ14xを縦リブ14yによって支持できる。従って、横リブ14xは、モータ取付け部2が第2壁面部12に対して内倒れしようとする外力に対して、より一層抗することができる。
【0103】
また図2図8(b)等に示すように、第1組付け部31に、第1壁面部11の板厚方向に跨って配置されるとともに、第1方向において第1ロック部6aに対して角部13と反対側に配置された支持部33が設けられたため、モータ取付け部2が第2壁面部12に対して内倒れ変形する方向の外力が作用しても、支持部33が第1壁面部11のZa方向の端面に当接することで外力に抗することができ、結果としてモータ取付け部2の前記内倒れ変形を防止できる。
【0104】
また図9(b)等に示すように、保護カバー部3とモータ取付け部2とは、互いの組付け状態において、第1ロック部6aおよび第2ロック部6bの固定に加えて一方側嵌合突部16aと一方側被嵌合部34a、および他方側嵌合突部16bと他方側被嵌合部34bとが嵌合するため、より強固に固定することができる。
【0105】
さらに、モータ取付け部2が第1壁面部11に対して内倒れ変形する方向の外力が作用しても、一方側嵌合突部16aと一方側被嵌合部34a、および他方側嵌合突部16bと他方側被嵌合部34bとが嵌合することにより、モータ取付け部2の第1壁面部11に対する内倒れ変形をより確実に防止できる。
【0106】
また、第1ロック部6aに対してXa方向の側において一方側嵌合突部16aと一方側被嵌合部34aとが嵌合するとともに、第1ロック部6aに対してXb方向の側において他方側嵌合突部16bと他方側被嵌合部34bとが嵌合することによって、モータ取付け部2が第1壁面部11に対して内倒れ変形する方向の外力に対して、第1ロック部6aと共に該第1ロック部6aの両側から抗することができる。
【0107】
特に、第1ロック部6aに対してXb方向の側の支持部33において他方側嵌合突部16bと他方側被嵌合部34bとが嵌合することによって、中空状の支持部33を、内部に他方側嵌合突部16bが配置されることによって略中実状とすることができる。従って、支持部33による第1張り出し部22の支持強度を高めることができる。
【0108】
また図3等に示すように、第1壁面部11に組み付く第1組付け部31と、第2壁面部12に組み付く第2組付け部41とをコーナー補強部51で繋ぐことで、意に反した外力に対して、モータ取付け部2の角部13の角度が変動するような意図しない変形を防止できる。
【0109】
さらに、モータ取付け部2と保護カバー部3とをZ方向に組付け時には、作業者は、モータ取付け部2をZb方向へ、すなわち保護カバー部3の側へ押圧するが、その際に、外筒保持部21に加わるZb方向の外力を、外筒保持部21に対してZb方向の側からコーナー補強部51によって受け止めることができる。これにより、第1組付け部31および第2組付け部41に対して内角側に配置された外筒保持部21をコーナー補強部51によって支持することができる。
【0110】
さらにまた、本実施形態のモータ取付け部2のように、L字形状に形成される第1組付け部31と第2組付け部41とに対して、円弧形状の外筒保持部21が接合された形状においては、第1組付け部31と第2組付け部41との内角側には、これら組付け部31,41と外筒保持部21との間の空間、すなわちデッドスペースとなる空間が生じることとなるが、該空間にコーナー補強部51が配置されるため、該空間を有効活用できる。
【0111】
また図3図8(a)に示すように、コーナー補強部51は、Ya方向かつXb方向の端部51xが第1組付け部31のX方向における、第1ロック部6aと対応する部位に内部空間3sの側から接続されている。
これにより、モータ取付け部2と保護カバー部3とに意に反する外力が作用しても該第1ロック部6aを補強することができる。
【0112】
すなわち、第1組付け部31のX方向の第1被ロック部62aを設けた箇所は、外壁部36やリブ38が形成されておらず、支持部33や角部側組付け部32と比して薄肉となるように内壁部37のみによって形成されているが、該内壁部37に対してコーナー補強部51のYa方向かつXb方向の端部51xが接続されることで、該第1被ロック部62aを設けた箇所を補強できる。
【0113】
また図2に示すように、第1ロック部6aは、第1組付け部31における、角部13に対して離間した部位に設けられ、第1ロック部6aに対して角部13側に位置する角部側組付け部32は、第1壁面部11の板厚方向に跨って配置されたため、モータ取付け部2が第1ロック部6aを支点として第2壁面部12に対して外倒れ変形させる外力に対して角部側組付け部32が第1壁面部11のZa方向の端面に当接することで該外力に抗することができる。
【0114】
また同様に、第2ロック部6bは、第2組付け部41における、角部13に対して離間した部位に設けられ、第1組付け部31の支持部33および角部側組付け部32は、第1壁面部11の板厚方向に跨って配置されたため、モータ取付け部2が第2ロック部6bを支点として第1壁面部11に対して外倒れ変形させる外力に対して第1組付け部31が第1壁面部11のZa方向の端面に当接することで該外力に抗することができる。
【0115】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、モータは、スタータモータ8に対応し、同様に、
突出部分の第2延在方向の角部13側の端部は、突出部分のYa方向の側の端部に対応し、
嵌合突部は、一方側嵌合突部16aおよび他方側嵌合突部16bに対応し、
被嵌合部は、一方側被嵌合部34aおよび他方側被嵌合部34bに対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【符号の説明】
【0116】
1…スタータモータカバー
2…モータ取付け部
3…保護カバー部
6…ロック部
6a…第1ロック部
6b…第2ロック部
7…ハーネス
8…スタータモータ
11…第1壁面部
11b…第1壁面部の内面
12…第2壁面部
12b…第2壁面部の内面
13…角部
14x…横リブ
14y…縦リブ
16a…一方側嵌合突部
16b…他方側嵌合突部
22…第1張り出し部
23…第2張り出し部
31…第1組付け部
33…支持部
34a…一方側被嵌合部
34b…他方側被嵌合部
35…第1突出片
41…第2組付け部
42…第2突出片
43…第2突出片における突出部分
44…フランジ部
51…コーナー補強部
Za…モータ軸方向の一方側
Zb…モータ軸方向の他方側
X…第1延在方向
Y…第2延在方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9