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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118561
(43)【公開日】2024-09-02
(54)【発明の名称】画像形成装置、及び、印刷媒体
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240826BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B41J2/01 101
G03G15/00 115
B41J2/01 123
B41J2/01 125
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024904
(22)【出願日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 博秋
(72)【発明者】
【氏名】河崎 明博
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EE18
2C056FC01
2C056FD13
2C056HA46
(57)【要約】
【課題】帯電装置や露光装置が不要な画像形成装置を提供する。
【解決手段】導電性ドラム1(導電性媒体)の表面に導電性液体Dを塗布して不可視画像GNを形成する塗布装置2と、導電性ドラム1の表面に形成された不可視画像GNに帯電粒子Tを付着させて可視画像GYを形成する現像装置3と、が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性媒体の表面に導電性液体を塗布して不可視画像を形成する塗布装置と、
前記導電性媒体の表面に形成された前記不可視画像に帯電粒子を付着させて可視画像を形成する現像装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記導電性媒体は、導電層と、前記導電層よりも表面側に積層されて前記導電性液体を吸収可能な絶縁層と、を具備したことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記導電層は、電気的に接地され、
前記絶縁層は、絶縁性を有する植毛が高密度に密集したもの、又は、絶縁性を有する繊維を積層したものであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記導電性媒体は、所定の回転方向に回転する回転体であって、
前記現像装置に対して前記回転方向の下流側の転写位置で前記導電性媒体に対向又は接触するように設置されて、前記導電性媒体の表面に形成された前記可視画像を前記転写位置に搬送された被転写体に転写する転写装置と、
前記転写装置に対して前記回転方向の下流側であって、前記塗布装置に対して前記回転方向の上流側で前記導電性媒体に対向又は接触するように設置されて、前記導電性媒体の表面を乾燥させる乾燥装置と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記乾燥装置は、
前記導電性媒体に接触して、前記導電性媒体の表面に付着した前記導電性液体を吸収する吸収部材と、
前記吸収部材に吸収された前記導電性液体を揮発させる揮発促進部材と、
を具備したことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記導電性媒体は、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されたことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像装置は、前記導電性媒体に対して隙間をあけて対向して、所定の電圧が印加されながら所定方向に回転する現像ローラを具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記現像装置は、所定の電圧が印加されながら前記導電性媒体に接触する現像ブレードを具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記導電性媒体は、前記塗布装置との対向位置を通過した後に前記現像装置との対向位置を通過するように搬送される印刷媒体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
導電層と、
前記導電層よりも印刷面側に積層されて導電性液体を吸収可能な絶縁層と、
を備えたことを特徴とする印刷媒体。
【請求項11】
塗布装置によって前記印刷面に前記導電性液体が塗布されて不可視画像が形成された後に、現像装置によって前記印刷面に形成された前記不可視画像に帯電粒子が付着されて可視画像が形成されることを特徴とする請求項10に記載の印刷媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、導電性媒体の表面に可視画像を形成する画像形成装置と、印刷面に可視画像が形成される印刷媒体と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、感光層を有する感光体ドラムの表面を帯電装置で帯電した後に、露光装置によって光を照射して静電潜像を形成して、その後に現像装置によって乾式トナーやインクを静電潜像に付着させて可視化されたトナー像又はインク像を形成する画像形成装置が広く知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の画像形成装置は、数百ボルトの電圧が印加されて放電現象を生じさせる帯電装置や、多数の光学素子などからなり複雑な制御がされる露光装置、等が用いられているため、装置が高コスト化、大型化してしまっていた。また、帯電装置によって発生されるオゾンを除去するためのオゾンフィルタを定期的に交換するなど、メンテナンスの手間もかかっていた。
【0004】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、帯電装置や露光装置が不要な、画像形成装置、及び、印刷媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明における画像形成装置は、導電性媒体の表面に導電性液体を塗布して不可視画像を形成する塗布装置と、前記導電性媒体の表面に形成された前記不可視画像に帯電粒子を付着させて可視画像を形成する現像装置と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、帯電装置や露光装置が不要な、画像形成装置、及び、印刷媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】作像部を示す構成図である。
図3】導電性のみで形成された導電性ドラム上の画像部(不可視画像)に帯電粒子が付着する状態を示す拡大図である。
図4】(A)導電性ドラム上の画像部(不可視画像)に帯電粒子が付着する状態を示す拡大図と、(B)導電性ドラム上の非画像部に帯電粒子が付着しない状態を示す拡大図と、である。
図5】変形例1としての、画像形成装置の要部を示す図である。
図6】変形例2としての、画像形成装置の要部を示す図である。
図7】変形例3としての、画像形成装置を示す図である。
図8図7の画像形成装置で使用される印刷媒体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0009】
まず、図1及び図2にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、図2はその作像部を示す拡大図である。
図1に示すように、本実施の形態における画像形成装置1は、帯電装置や露光装置などが設置された電子写真方式のものとは異なり、帯電装置や露光装置が設置されていないものとなっている。
なお、画像形成装置100の外装部には、装置からの情報が表示されたり、装置の操作に関する入力をしたりするための操作表示パネル90が設置されている。
【0010】
図1図2を参照して、作像部は、主に、導電性媒体としての導電性ドラム1と、導電性ドラム1の周囲に配設された塗布装置2、現像装置3、転写装置7と、で構成されている。
そして、導電性ドラム1上で、作像プロセス(塗布工程、現像工程、転写工程)がおこなわれて、導電性ドラム1上に画像(可視画像GY)が形成されることになる。
また、導電性ドラム1上に形成された可視画像GYは、転写装置7の位置(転写位置)で、その転写位置に搬送された被転写体としてのシートP(一般的な用紙などである。)に転写されることになる。
【0011】
図2を参照して、導電性媒体としての導電性ドラム1は、メインモータによって時計方向に回転駆動される。そして、塗布装置2の位置で、導電性ドラム1の表面に導電性液体Dが塗布されて所望の不可視画像GNが形成される(塗布工程である。)。
その後、導電性ドラム1の表面は、現像装置3(現像ローラ3a)との対向位置に達して、この位置で不可視画像GNに帯電粒子Tが付着されて、可視画像GYが形成される(現像工程である。)。
その後、導電性ドラム1の表面は、転写装置7との対向位置(転写位置)に達して、この位置で導電性ドラム1上の可視画像GYがシートP上に転写される(転写工程である。)。こうして、シートP上に所望の画像Gが形成されることになる。
このとき、導電性ドラム1上には、僅かながら未転写の導電性液体D´が残存することになるが、そのほとんどは再び塗布装置2との対向位置に達するまでに自然に揮発することになる。
こうして、導電性ドラム1上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
なお、上述した塗布工程や現像工程などの作像プロセスについては、後で図3図4等を用いてさらに詳しく説明する。
【0012】
ここで、図1を参照して、導電性ドラム1と転写装置7との転写位置に搬送されるシートP(被転写体)は、画像形成装置100の側方に設置された給送装置10から、給送ローラ11、搬送ローラ対12、レジストローラ対13等が設置された搬送経路Kを経由して搬送されるものである。
詳しくは、給送装置10には、シートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給送ローラ11が図1の時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPが搬送経路Kに向けて給送される。そして、搬送経路Kに給送されたシートPは、搬送ローラ対12に搬送されて、レジストローラ対13の位置に搬送される。
【0013】
レジストローラ対13(タイミングローラ対)に搬送されたシートPは、搬送モータによる回転駆動を停止したレジストローラ対13のローラニップの位置で一旦停止する。そして、導電性ドラム1上の可視画像GYにタイミングを合わせて、レジストローラ対13が回転駆動されて、シートPが転写位置に向けて搬送される。こうして、シートPの所望の位置に、所望の画像Gが転写される。
その後、転写位置で画像Gが転写されたシートPは、定着装置20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ21及び加圧ローラ22による熱と圧力とにより、表面に転写された画像GがシートP上に定着される(定着工程である。)。
その後、シートPは、搬送経路を通過して、排出ローラ対14によって装置外へと排出される。排出ローラ対14によって装置外に排出されたシートPは、印刷媒体として、排出トレイ15上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセス(印刷動作)が完了する。
【0014】
以下、本実施の形態における画像形成装置100において、さらに特徴的な構成・動作について詳しく説明する。
先に図1図2を用いて説明したように、本実施の形態における画像形成装置100には、導電性媒体としての導電性ドラム1、塗布装置2、現像装置3、転写装置7、などが設けられている。
【0015】
導電性媒体としての導電性ドラム1は、所定の回転方向(図2の時計方向である。)に回転する回転体であって、図3に示すように導電層1aのみで形成されたものとすることもできるし、図4に示すように導電層1aと絶縁層1bとが積層されたものとすることもできる。
図3図4を参照して、いずれにしても、導電層1aは、電気的に接地(アース)されていて、電荷の流路を形成するためのものである。
図4を参照して、絶縁層1bを設ける場合、絶縁層1bは、導電層1aよりも表面側に積層されて導電性液体Dを吸収可能に構成されていて、液体D´を含有する浸透層として機能するものである。絶縁層1bは、絶縁性を有する植毛(毛管現象により導電性液体Dを保持可能なもの)が高密度に密集したものである。なお、絶縁層1bとして、絶縁性を有する繊維を積層したもの(例えば、紙のようなもの)を用いることもできる。
なお、本実施の形態では、図4に示すもののように、導電性ドラム1を、導電層1aと絶縁層1bとからなる2層構造体としている。しかし、導電性ドラム1は、これに限定されることなく、図3のように単層構造のものの他、例えば、導電層1aの下層に導電性を有しない層を設けたものとすることもできる。
【0016】
なお、本実施の形態における導電性ドラム1(導電性媒体)は、他のユニット(塗布装置2、現像装置3、転写装置7、定着装置20などである。)と同様に、メンテナンス性を向上させるため、画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置されている(ユニット化されている)。そして、画像形成装置本体100に対する導電性ドラム1の着脱動作に連動して、導電層1aが画像形成装置本体100の接地部(装置本体において導電性材料からなる筐体に設けられている。)に接離するように構成されている。
【0017】
塗布装置2は、導電性ドラム1(導電性媒体)の表面に導電性液体Dを塗布(供給)して、導電性の違いによる不可視画像GN(潜像)を形成するものである。
詳しくは、塗布装置2は、内部に収容された導電性液体D(導電性を有する液滴)を吐出部2aから導電性ドラム1の表面に向けて吐出するインクジェット方式の装置である。塗布装置2は、制御部80による制御によって、ユーザーによってパソコンなどを介して画像形成装置1に入力された画像情報に基づいて、その画像情報に基づいた不可視画像GNが導電性ドラム1の表面に形成されるように、吐出部2aからの導電性液体Dの吐出(吐出範囲や吐出濃度などである。)が制御される。
このように、塗布装置2は、導電性ドラム1の表層(絶縁層1b)に、電気的特性の異なる導電体(導電性液体D)による不可視画像GNを形成するものである。導電性ドラム1(導電性媒体)は、導電性液体Dが塗布された部分のみ導電性を有することから、導電性ドラム1を離れた位置から俯瞰してみたときに、導体と絶縁体とによる不可視画像GNが形成されることになる。
【0018】
なお、本実施の形態における導電性液体Dは、導電性を有し、浸透性や揮発性が高い液体である。また、導電性液体Dは、促進揮発補助剤が含有されている。さらに、導電性液体Dは、可視顔料の含有量が20%以下になるように形成されている。
また、図2を参照して、本実施の形態では、上述したような塗布工程を良好におこなうために、塗布装置2によって塗布(吐出)する導電性液体Dと、導電性ドラム1と、の接触角θが45度以上(本実施の形態では、略90度である。)になるように設定している。
【0019】
図2等を参照して、現像装置3は、導電性ドラム1(導電性媒体)の表面に形成された不可視画像GNに帯電粒子Tを付着させて可視画像GYを形成するものである。
詳しくは、現像装置3は、現像ローラ3aや規制ブレード3bなどが設けられていて、その内部には帯電粒子T(帯電可能な粒子である。)が収容されている。現像ローラ3aは、導電性ドラム1(導電性媒体)に対して隙間H(図3図4参照)をあけて対向している。そして、現像ローラ3aは、制御部80によって制御される電源部85から所定の電圧が印加されながら、モータ駆動によって所定方向(図2の反時計方向である。)に回転する。このとき、導電性ドラム1の導電層1aは、接地(アース)されているため、電源部85に接続された現像ローラ3aとの間で電流や電界を発生させることができる。
また、規制ブレード3bは、現像ローラ3aが導電性ドラム1に対向する位置に対して、回転方向上流側で現像ローラ3aに接触するように設置されている。規制ブレード3bとして、薄い金属板などを用いることができる。そして、現像ローラ3aの表面に担持された帯電粒子Tは、規制ブレード3bの位置で摩擦帯電して充分に帯電した状態(本実施の形態ではマイナス帯電した状態である。)になる。また、規制ブレード3bの位置を通過した帯電粒子Tは、現像ローラ3aと導電性ドラム1との間を流れる電流(又は、その位置に形成される電界)によっても、充分に帯電した状態になる。
そして、導電性ドラム1の下層側に形成された導電層1a(導電体)と、帯電粒子Tを供給する現像ローラ3aと、の間に電圧(現像電位)を印加することで、帯電粒子Tを不可視画像GN上に付着(現像)させて、可視像GYを形成することになる。
なお、帯電粒子Tとしては、電子写真方式の画像形成装置で用いられる公知のトナー(乾式トナー)などを用いることができる。
【0020】
以下、図3図4を参照して、上述した現像工程について、さらに詳しく説明する。
先に説明したように現像ローラ3aに所定の電圧が印加されることで、図3に示すように、現像ローラ3aと導電性ドラム1との隙間Hに、導電性液体D(不可視画像GN)が存在しているときは、帯電した帯電粒子Tを介して電流が流れる。このとき、帯電した帯電粒子Tは、同時に生じる電気的な作用力により、現像ローラ3aの表面から不可視画像GNを形成した導電性ドラム1の表面に移動して、帯電粒子Tによる可視画像GY(画像部)を形成することになる。
一方、図4に示すように、導電層1aの上に表層(絶縁層1b)があるような2層構造の場合は、塗布された導電性液体D(不可視画像GN)が表層(絶縁層1b)内に浸透し、導電層1aから浸透した液体D´を介して表面の導電性液体Dの液面までが導電性となり、帯電した帯電粒子Tを介して電流が流れる。このとき、帯電した帯電粒子Tは、同時に生じる電気的な作用力により、現像ローラ3aの表面から不可視画像GNを形成した導電性ドラム1の表面に移動して、帯電粒子Tによる可視画像GY(画像部)を形成することになる。
すなわち、導電性液体D(不可視画像GN)の部分は、導電性ドラム1と帯電粒子Tとが接触する(又は、限りなく接近する。)ため、現像ローラ3aに印加された電圧に対して電流が流れる流路が形成されて、また現像ローラ3aと導電性ドラム1との間に形成される電界も大きくなる。その結果、導電性液体Dが塗布された部分では、現像ローラ3aの表面の帯電粒子Tが、導電性ドラム1の表面に移動して、不可視画像GNに帯電粒子Tが付着して可視画像GYが形成されることになる。なお、導電性ドラム1上に移動した帯電粒子Tは、導電性ドラム1との間の鏡像力により保持(担持)される。また、導電性ドラム1に塗布されていた導電性液体Dは、転写工程後に次第に空気中へと蒸発して消失することになる。
これに対して、図4(B)に示すように、現像ローラ3aと導電性ドラム1との隙間Hに、導電性液体D(不可視画像GN)が存在していないときは、現像ローラ3aに担持された帯電粒子Tと、導電性ドラム1と、の間に比較的大きな隙間Rが形成されるため、現像ローラ3aに印加された電圧に対して電流が流れる流路が形成されず、また現像ローラ3aと導電性ドラム1との間に形成される電界も小さくなる。そのため、この部分は帯電粒子Tの移動がなく可視画像Gが形成されない非画像部となる。
【0021】
図2等を参照して、転写装置7は、現像装置3に対して導電性ドラム1(導電性媒体)の回転方向の下流側の転写位置で導電性ドラム1に接触(又は、対向)するように設置されている。そして、転写装置7は、導電性ドラム1の表面に形成された可視画像GYを転写位置に搬送された被転写体としてのシートPに転写する。転写装置7には、導電性ドラム1上の可視画像GYをシートP上に転写するための電圧(本実施の形態では、プラス極性の電圧である。)が電源部から印加されることになる。
なお、本実施の形態では、転写装置7として、導電性ドラム1に接触して転写位置(転写ニップ)を形成する転写ローラを用いたが、転写装置7は、これに限定されることはなく、例えば、導電性ドラム1に対して隙間をあけて対向する転写装置を用いることもできる。
【0022】
このように、本実施の形態における画像形成装置100は、電子写真方式のものとは異なり、数百ボルトの電圧が印加されて放電現象を生じさせる帯電装置や、多数の光学素子などからなり複雑な制御がされる露光装置、等が用いられていない。そのため、本実施の形態における画像形成装置100は、電子写真方式のものに比べて、低コスト化、小型化される。また、本実施の形態における画像形成装置100は、電子写真方式のもののように帯電装置によってオゾンが発生することなく、そのためオゾンを除去するためのオゾンフィルタを定期的に交換するような手間もかからない。
【0023】
<変形例1>
図4に示すように、変形例1における画像形成装置100において、現像装置3は、現像ローラ3aや規制ブレード3bの代わりに、電源部85から所定の電圧が印加されながら導電性ドラム1(導電性媒体)に所定の接触圧・接触角で接触する現像ブレード3cが設けられている。
詳しくは、現像ブレード3cは、略矩形の金属板であって、導電性ドラム1に対して、その回転方向に沿って腹当たりするように当接している。現像ブレード3cは、電源部85に接続されていて、高周波の所定の電圧(現像電位)が印加されている。このように構成した場合にも、現像装置3内に収容された帯電粒子Tが、現像ブレード3cと導電性ドラム1との接触位置での摩擦と、その接触位置に形成される電界と、によって充分に帯電されて、導電性ドラム1上の不可視画像GYに付着して可視画像GYが形成されることになる。このとき、印加している高周波電圧は、導電性ドラム1の表層に帯電粒子Tを均一に整列させるための補助電界として作用する。
このように構成した場合であっても、帯電装置や露光装置が不要になる。
【0024】
<変形例2>
図6に示すように、変形例2における画像形成装置100は、導電性媒体としての導電性ドラム1の表面を乾燥させる乾燥装置4が設置されている。
この乾燥装置4は、転写装置7に対して導電性ドラム1(導電性媒体)の回転方向の下流側であって、塗布装置2に対して導電性ドラム1の回転方向の上流側で、導電性ドラム1に接触(又は、対向)するように設置されている。
さらに具体的に、乾燥装置4は、主に、吸収部材としての加圧ローラ4aと、揮発促進部材としてのヒータ4bと、で構成されている。吸収部材としての加圧ローラ4aは、導電性ドラム1(導電性媒体)に接触して、導電性ドラム1の表面に付着した導電性液体D´(転写工程後にドラム表面上に残留した導電性液体(帯電粒子Tも含む。)である。)を吸収するものである。揮発促進部材としてのヒータ4bは、加圧ローラ4a(吸収部材)に吸収された導電性液体D´を熱によって揮発(蒸発)させるものである。
このように乾燥装置4を設けることで、転写工程後に導電性ドラム1上に残留した導電性液体D´が塗布装置2との対向位置に達するまでに充分に自然揮発しないような場合(例えば、導電性ドラム1が高速回転されて、導電性液体D´を自然揮発させる時間を充分に確保できないような場合である。)であっても、その残留した導電性液体D´を強制的に揮発(除去)させることができる。そのため、導電性ドラム1上に残留する導電性液体D´によって画像G上に残像が形成される不具合が抑止される。
なお、本実施の形態では、揮発促進部材としてヒータ4bを用いて、ヒータ4bの熱によって、加圧ローラ4a(吸収部材)に吸収された導電性液体D´を揮発(蒸発)させるように構成した。しかし、揮発促進部材はヒータ4bに限定されることなく、例えば、揮発促進部材としてUV光などのエネルギを供給する部材を用いて、そのエネルギによって、加圧ローラ4a(吸収部材)に吸収された導電性液体D´を揮発(蒸発)させるように構成することもできる。
【0025】
<変形例3>
図7に示すように、変形例3における画像形成装置100は、印刷媒体Pxとして導電性媒体を用いている。
詳しくは、変形例3における画像形成装置100には、図1に示すもののように導電性ドラム1は設置されておらず、印刷媒体Pxが搬送される搬送経路Kに、上流側から給送装置10、給送ローラ11、搬送ローラ対12、レジストローラ対13、塗布装置2、現像装置3(及び、押圧ローラ17)、定着装置20、排出ローラ対14、排出トレイ15が配列されている。
図8に示すように、導電性媒体としての印刷媒体Pxは、導電層Pxaと、導電層Pxaよりも印刷面側に積層されて導電性液体Dを吸収可能な絶縁層Pxbと、で構成されている。
そして、印刷媒体Pxは、給送装置10から給送されて、塗布装置2との対向位置を通過した後に現像装置3との対向位置を通過するように搬送される。そして、塗布装置2の位置で、先に図1等を用いて説明したものと同様のメカニズムによって塗布工程がおこなわれ、現像装置3の位置で、同様のメカニズムによって現像工程がおこなわれる。
すなわち、塗布装置2によって印刷媒体Pxの印刷面(上面である。)に導電性液体Dが塗布されて不可視画像GNが形成された後に、現像装置3によって印刷媒体Pxの印刷面に形成された不可視画像GNに帯電粒子Tが付着されて可視画像GYが形成される。
なお、現像装置3の現像ローラ3aは、押圧ローラ17との間に現像ニップを形成するように設置されている。そして、その現像ニップに向けて搬送される印刷媒体Pxの不可視画像GNに、現像ローラ3aによって帯電粒子Tが供給されて、印刷媒体Px上に可視画像GY(画像G)が形成されることになる。そして、印刷媒体Px上の可視画像GY(画像G)は、定着装置20の位置で印刷媒体Pxに定着されて、その印刷媒体Pxが排出トレイ15上に排出されることになる。
また、押圧ローラ17には、印刷媒体Pxが現像ニップに搬送されるまでは、現像ローラ3a上の帯電粒子Tを現像ローラ3a側へ向かわせる電圧(本変形例3では、プラス極性の電圧である。)が印加され、印刷媒体Pxが現像ニップ内にある場合はゼロ電位、又は、帯電粒子Tを押圧ローラ17側に向かわせる電圧(本変形例3では、マイナス極性の電圧である。)が印加されることで、押圧ローラ17が帯電粒子Tで汚れるのを防止する。
このようなメカニズムにより、押圧ローラ17は、現像ローラ3aとの間に電界を形成するために接地することもできるし、積極的にプラス極性の電圧を印加することもできる。
そして、このように構成した画像形成装置100においても、帯電装置や露光装置が不要になる。
【0026】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成装置100は、導電性ドラム1(導電性媒体)の表面に導電性液体Dを塗布して不可視画像GNを形成する塗布装置2と、導電性ドラム1の表面に形成された不可視画像GNに帯電粒子Tを付着させて可視画像GYを形成する現像装置3と、が設けられている。
これにより、帯電装置や露光装置が不要になる。
【0027】
なお、本実施の形態において、導電性ドラム1(導電性媒体)と塗布装置2と現像装置3とを作像ユニットとして一体的にユニット化して、画像形成装置本体100に対して着脱可能(交換可能)に設置することもできる。
そして、そのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0028】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 導電性ドラム(導電性媒体、回転体)、
1a 導電層、 1b 絶縁層、
2 塗布装置、
3 現像装置、
3a 現像ローラ(ローラ部材)、
3b 規制ブレード、
3c 現像ブレード(ブレード部材)、
4 乾燥装置、
4a 加圧ローラ(吸収部材)、
4b ヒータ(揮発促進部材)、
7 転写装置、
20 定着装置、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)、
D 導電性液体、
T 帯電粒子、
G 画像、
GN 不可視画像、
GY 可視画像、
P シート(被転写体)。
Px 印刷媒体(導電性媒体)、
Pxa 導電層、 Pxb 絶縁層。
【0030】
なお、本発明における態様は、例えば、以下の通り付記1~11の組み合わせとすることもできる。
(付記1)
導電性媒体の表面に導電性液体を塗布して不可視画像を形成する塗布装置と、
前記導電性媒体の表面に形成された前記不可視画像に帯電粒子を付着させて可視画像を形成する現像装置と、
を備えた画像形成装置。
(付記2)
前記導電性媒体は、導電層と、前記導電層よりも表面側に積層されて前記導電性液体を吸収可能な絶縁層と、を具備したことを特徴とする付記1に記載の画像形成装置。
(付記3)
前記導電層は、電気的に接地され、
前記絶縁層は、絶縁性を有する植毛が高密度に密集したもの、又は、絶縁性を有する繊維を積層したものであることを特徴とする付記2に記載の画像形成装置。
(付記4)
前記導電性媒体は、所定の回転方向に回転する回転体であって、
前記現像装置に対して前記回転方向の下流側の転写位置で前記導電性媒体に対向又は接触するように設置されて、前記導電性媒体の表面に形成された前記可視画像を前記転写位置に搬送された被転写体に転写する転写装置と、
前記転写装置に対して前記回転方向の下流側であって、前記塗布装置に対して前記回転方向の上流側で前記導電性媒体に対向又は接触するように設置されて、前記導電性媒体の表面を乾燥させる乾燥装置と、
を備えたことを特徴とする付記1~付記3のいずれかに記載の画像形成装置。
(付記5)
前記乾燥装置は、
前記導電性媒体に接触して、前記導電性媒体の表面に付着した前記導電性液体を吸収する吸収部材と、
前記吸収部材に吸収された前記導電性液体を揮発させる揮発促進部材と、
を具備したことを特徴とする付記4に記載の画像形成装置。
(付記6)
前記導電性媒体は、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されたことを特徴とする付記4又は付記5記載の画像形成装置。
(付記7)
前記現像装置は、前記導電性媒体に対して隙間をあけて対向して、所定の電圧が印加されながら所定方向に回転する現像ローラを具備したことを特徴とする付記1~付記6のいずれかに記載の画像形成装置。
(付記8)
前記現像装置は、所定の電圧が印加されながら前記導電性媒体に接触する現像ブレードを具備したことを特徴とする付記1~付記6のいずれかに記載の画像形成装置。
(付記9)
前記導電性媒体は、前記塗布装置との対向位置を通過した後に前記現像装置との対向位置を通過するように搬送される印刷媒体であることを特徴とする付記1~付記3、付記7、付記8のいずれかに記載の画像形成装置。
(付記10)
導電層と、
前記導電層よりも印刷面側に積層されて導電性液体を吸収可能な絶縁層と、
を備えたことを特徴とする印刷媒体。
(付記11)
塗布装置によって前記印刷面に前記導電性液体が塗布されて不可視画像が形成された後に、現像装置によって前記印刷面に形成された前記不可視画像に帯電粒子が付着されて可視画像が形成されることを特徴とする付記10に記載の印刷媒体。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】特許第4482572号公報
【特許文献2】特許第4974720号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8