(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001186
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】レジスト下層膜形成組成物、レジスト下層膜、レジストパターンの形成方法及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20231226BHJP
C08G 8/04 20060101ALI20231226BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G03F7/11 503
C08G8/04
G03F7/20 521
G03F7/20 501
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023173912
(22)【出願日】2023-10-05
(62)【分割の表示】P 2019529787の分割
【原出願日】2018-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2017138499
(32)【優先日】2017-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 大悟
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】坂本 力丸
(57)【要約】 (修正有)
【課題】耐熱性が改善されたレジスト下層膜形成組成物、レジスト下層膜、レジストパターンの形成方法及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】(A)下記式(1)で表される化合物、及び、特定構造のフェノール系架橋性化合物を含むことを特徴とするレジスト下層膜形成組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式(1)で表される化合物、及び、(B)下記式(2’-1)又は下記式(2’-2)で表される架橋性化合物を含むことを特徴とするレジスト下層膜形成組成物。
【化1】
(式(1)中、R
1は、各々独立して炭素数1~30の2価の基であり、前記2価の基は下記式で表され、
【化2】
R
2~R
7は、各々独立して炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数2~10のアルケニル基、チオール基又は水酸基であり、R
5の少なくとも1つは水酸基又はチオール基であり、m
2、m
3及びm
6は、各々独立して0~9の整数であり、m
4及びm
7は、各々独立して0~8の整数であり、m
5は、1~9の整数であり、nは、0~4の整数であり、p
2~p
7は、各々独立して0~2の整数である。)
【化3】
(式(2’-1)及び式(2’-2)中、Q
1’は、単結合又はm
12’価の有機基であり、R
12’、R
13’、R
15’及びR
16’は、各々独立して水素原子又はメチル基であり、R
14’及びR
17’は、各々独立して炭素原子数1~10のアルキル基又は炭素原子数6~40のアリール基である。n
12’は、1~3の整数であり、n
13’は、2~5の整数であり、n
14’は、0~3の整数であり、n
15’は、0~3の整数であり、これらは、3≦(n
12’+n
13’+n
14’+n
15’)≦6の関係を有する。n
16’は、1~3の整数であり、n
17’は、1~4の整数であり、n
18’は、0~3の整数であり、n
19’は、0~3の整数であり、これらは、2≦(n
16’+n
17’+n
18’+n
19’)≦5の関係を有する。m
12’は、2~10の整数である。)
【請求項2】
さらに(D)架橋触媒を含むことを特徴とする請求項1に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項3】
さらに(D)架橋触媒として、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、5-スルホサリチル酸、4-フェノールスルホン酸、カンファースルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-フェノールスルホン酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸、2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、4級元素で一部又は全部がブロックされたトリフルオロメタンスルホン酸、4級元素で一部又は全部がブロックされたヘキサフルオロアンチモン酸、アミンで一部又は全部がブロックされたドデシルベンゼンスルホン酸、芳香族スルホニウムのヘキサフルオロリン酸塩及び芳香族スルホニウムのヘキサフルオロアンチモン酸塩の中から選ばれる1又は2以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物からなる塗布膜の焼成物であることを特徴とするレジスト下層膜。
【請求項5】
請求項1から3の何れか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成してレジスト下層膜を形成する工程を含み、半導体の製造に用いることを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項6】
半導体基板上に請求項1から3の何れか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物によりレジスト下層膜を形成する工程と、
前記レジスト下層膜の上にレジスト膜を形成する工程と、
光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程と、
形成された前記レジストパターンにより前記レジスト下層膜をエッチングする工程と、
パターン化された前記レジスト下層膜により半導体基板を加工する工程と、を含むこと
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
半導体基板上に請求項1から3の何れか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物によりレジスト下層膜を形成する工程と、
前記レジスト下層膜の上にハードマスクを形成する工程と、
前記ハードマスクの上にレジスト膜を形成する工程と、
光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程と、
形成された前記レジストパターンにより前記ハードマスクをエッチングする工程と、
パターン化された前記ハードマスクにより前記レジスト下層膜をエッチングする工程と、
パターン化された前記レジスト下層膜により半導体基板を加工する工程と、を含むこと
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記ハードマスクは、無機物の塗布又は無機物の蒸着により形成されたものであること
を特徴とする請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト下層膜形成組成物、レジスト下層膜、レジストパターンの形成方法及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から半導体デバイスの製造において、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。前記微細加工はシリコンウェハー等の被加工基板上にフォトレジスト組成物の薄膜を形成し、その上に半導体デバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線などの活性光線を照射し、現像し、得られたフォトレジストパターンを保護膜としてシリコンウェハー等の被加工基板をエッチング処理する加工法である。ところが、近年、半導体デバイスの高集積度化が進み、使用される活性光線もKrFエキシマレーザー(248nm)からArFエキシマレーザー(193nm)へと短波長化されてきている。これに伴い、活性光線の基板からの乱反射や定在波の影響が大きな問題となり、フォトレジストと被加工基板の間に反射防止膜(Bottom Anti-Reflective Coating;BARC)と呼ばれるレジスト下層膜を設ける方法が広く適用されるようになってきた。
【0003】
また、更なる微細加工を目的として、活性光線に極端紫外線(EUV、13.5nm)や電子線(EB)を用いたリソグラフィー技術の開発も行われている。EUVリソグラフィーやEBリソグラフィーでは一般的に基板からの乱反射や定在波が発生しないために特定の反射防止膜を必要としないが、レジストパターンの解像性や密着性の改善を目的とした補助膜として、レジスト下層膜は広く検討され始めている。
【0004】
このようなフォトレジストと被加工基板の間に形成されるレジスト下層膜を形成するための材料として、例えば、耐熱性及びエッチング耐性に優れるリソグラフィー用下層膜形成材料が開示されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、耐熱性の要求は更に高まっており、より耐熱性を向上させたレジスト下層膜を形成させるための組成物が待望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2016/143635号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐熱性が改善されたレジスト下層膜形成組成物、レジスト下層膜、レジストパターンの形成方法及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らが鋭意検討した結果、特定構造を有する化合物と、特定の架橋剤を組み合わせて用いたレジスト下層膜が、従来技術に比較して、レジスト下層膜形成組成物からなる塗布膜を焼成してレジスト下層膜を形成する際に発生する昇華物量が低減されることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
上記目的を達成する本発明の第1の態様は、(A)下記式(1)で表される化合物、及び、(B)下記式(2-1)又は下記式(2-2)で表される架橋性化合物を含むことを特徴とするレジスト下層膜形成組成物にある。
【0009】
【化1】
(式(1)中、R
1は、各々独立して炭素数1~30の2価の基であり、R
2~R
7は、各々独立して炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数2~10のアルケニル基、チオール基又は水酸基であり、R
5の少なくとも1つは水酸基又はチオール基であり、m
2、m
3及びm
6は、各々独立して0~9の整数であり、m
4及びm
7は、各々独立して0~8の整数であり、m
5は、1~9の整数であり、nは、1~4の整数であり、p
2~p
7は、各々独立して0~2の整数である。)
【0010】
【化2】
(式(2-1)及び式(2-2)中、Q
1は、単結合又はm
12価の有機基であり、R
12及びR
15は、各々独立して炭素数2~10のアルキル基又は炭素数1~10のアルコキシ基を有する炭素数2~10のアルキル基であり、R
13及びR
16は、各々独立して水素原子又はメチル基であり、R
14及びR
17は、各々独立して炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~40のアリール基である。n
12は、1~3の整数であり、n
13は、2~5の整数であり、n
14は、0~3の整数であり、n
15は、0~3の整数であり、これらは、3≦(n
12+n
13+n
14+n
15)≦6の関係を有する。n
16は、1~3の整数であり、n
17は、1~4の整数であり、n
18は、0~3の整数であり、n
19は、0~3の整数であり、これらは、2≦(n
16+n
17+n
18+n
19)≦5の関係を有する。m
12は、2~10の整数である。)
【0011】
上記目的を達成する本発明の第2の態様は、(A)下記式(1)で表される化合物、(C)架橋性化合物として、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、ウレア化合物、エポキシ化合物、チオエポキシ化合物、イソシアネート化合物及びアジド化合物の中から選ばれる1又は2以上の化合物、及び、(D)架橋触媒として、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、5-スルホサリチル酸、4-フェノールスルホン酸、カンファースルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-フェノールスルホン酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸、2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、4級元素で一部又は全部がブロックされたトリフルオロメタンスルホン酸、4級元素で一部又は全部がブロックされたヘキサフルオロアンチモン酸、アミンで一部又は全部がブロックされたドデシルベンゼンスルホン酸、芳香族スルホニウムのヘキサフルオロリン酸塩及び芳香族スルホニウムのヘキサフルオロアンチモン酸塩の中から選ばれる1又は2以上の化合物を含むことを特徴とするレジスト下層膜形成組成物にある。
【0012】
【化3】
(式(1)中、R
1は、各々独立して炭素数1~30の2価の基であり、R
2~R
7は、各々独立して炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数2~10のアルケニル基、チオール基又は水酸基であり、R
5の少なくとも1つは水酸基又はチオール基であり、m
2、m
3及びm
6は、各々独立して0~9の整数であり、m
4及びm
7は、各々独立して0~8の整数であり、m
5は、1~9の整数であり、nは、0~4の整数であり、p
2~p
7は、各々独立して0~2の整数である。)
【0013】
上記目的を達成する本発明の第3の態様は、さらに(E)架橋触媒を含むことを特徴とする第1の態様のレジスト下層膜形成組成物にある。
【0014】
上記目的を達成する本発明の第4の態様は、第1の態様から第3の態様の何れかのレジスト下層膜形成組成物からなる塗布膜の焼成物であることを特徴とするレジスト下層膜にある。
【0015】
上記目的を達成する本発明の第5の態様は、第1の態様から第3の態様の何れかのレジスト下層膜形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成してレジスト下層膜を形成する工程を含み、半導体の製造に用いることを特徴とするレジストパターンの形成方法にある。
【0016】
上記目的を達成する本発明の第6の態様は、半導体基板上に第1の態様から第3の態様の何れかのレジスト下層膜形成組成物によりレジスト下層膜を形成する工程と、前記レジスト下層膜の上にレジスト膜を形成する工程と、光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程と、形成された前記レジストパターンにより前記レジスト下層膜をエッチングする工程と、パターン化された前記レジスト下層膜により半導体基板を加工する工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法にある。
【0017】
上記目的を達成する本発明の第7の態様は、半導体基板上に第1の態様から第3の態様の何れかのレジスト下層膜形成組成物によりレジスト下層膜を形成する工程と、前記レジスト下層膜の上にハードマスクを形成する工程と、前記ハードマスクの上にレジスト膜を形成する工程と、光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程と、形成された前記レジストパターンにより前記ハードマスクをエッチングする工程と、パターン化された前記ハードマスクにより前記レジスト下層膜をエッチングする工程と、パターン化された前記レジスト下層膜により半導体基板を加工する工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法にある。
【0018】
上記目的を達成する本発明の第8の態様は、ハードマスクが無機物の塗布又は無機物の蒸着により形成されたものであることを特徴とする第7の態様の半導体装置の製造方法にある。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、耐熱性が改善されたレジスト下層膜形成組成物、レジスト下層膜、レジストパターンの形成方法及び半導体装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(レジスト下層膜形成組成物)
本実施形態のレジスト下層膜形成組成物は、(A)特定構造を有する化合物と、(B)特定構造を有する架橋性化合物とを含むものである。
【0022】
レジスト下層膜形成組成物中に含まれる(A)特定構造を有する化合物とは、下記式(1)で表される化合物(以下、「化合物(A)」という。)である。
【0023】
【0024】
上記式(1)中、R1は、各々独立して、炭素数1~30の2価の基である。化合物(A)は、このR1を介して各々の芳香族環が結合した構造を有する。R2~R7は、各々独立して、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数2~10のアルケニル基、チオール基又は水酸基であり、R5の少なくとも1つは水酸基又はチオール基である。m2、m3及びm6は、各々独立して0~9の整数であり、m4及びm7は、各々独立して0~8の整数であり、m5は、1~9の整数である。nは、0~4の整数であり、p2~p7は、各々独立して0~2の整数である。
本願の化合物(A)は、n=0の化合物を50%以上、好ましくは60%以上含む。
【0025】
2価の基としては特に限定されないが、例えば、炭素数1~30のアルキレン基が挙げられる。炭素数1~30のアルキレン基としては、例えば、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基を有するもの等が挙げられる。また、2価の基は、炭素数6~30の芳香族基を有していてもよい。
【0026】
また、2価の基は、二重結合を有していてもよく、或いは、ヘテロ原子を有していてもよい。なお、2価の基の構造は、化合物(A)を含有するレジスト下層膜形成組成物が有する所望の効果に影響を及ぼすものではなく、上記式(1)の構造を有する限り、化合物(A)を含有するレジスト下層膜形成組成物は湿式プロセスが適用可能であり、耐熱性及びエッチング耐性に優れるという効果が得られる。
【0027】
化合物(A)は、比較的に低分子量ながらも、その構造の剛直さにより高い耐熱性を有するので、高温ベーク条件でも使用可能である。また、比較的に低分子量で低粘度であることから、段差を有する基板(特に、微細なスペースやホールパターン等)であっても、その段差の隅々まで均一に充填させることが容易である。その結果、これを用いたレジスト下層膜形成組成物は、埋め込み特性が比較的有利に高められ得る。また、形成されるレジスト下層膜の平坦性にも優れる。更に、高いエッチング耐性をも付与される。ここで、本実施形態の化合物(A)の分子量としては、500~5000が好ましく、500~2000がより好ましい。
【0028】
化合物(A)は、架橋のし易さと溶剤への溶解性の観点から、R6の少なくとも1つが水酸基又はチオール基であることが好ましい。また、同様の観点から、R2の少なくとも1つ及び/又はR3の少なくとも1つが、水酸基及び/又はチオール基であることがより好ましく、水酸基であることが最も好ましい。
【0029】
また、化合物(A)は、原料の供給性の観点から、下記式(1-A)で表される化合物であることが更に好ましい。
【0030】
【0031】
上記式(1-A)中、R1~R7及びnは、上記式(1)で説明したものと同義である。m2’、m3’及びm6’は、各々独立して0~5の整数であり、m4’及びm7’は、各々独立して0~4の整数であり、m5’は、1~5の整数である。
【0032】
上記式(1-A)で表される化合物は、溶剤への溶解性の観点から、下記式(1-B)で表される化合物であることが更に好ましい。
【0033】
【0034】
上記式(1-B)中、R1~R4、R7及びnは、上記式(1)で説明したものと同義である。m2’~m4’及びm7’は、上記式(1-A)で説明したものと同義である。
【0035】
上記式(1-B)で表される化合物は、更なる溶剤への溶解性の観点から、下記式(1-C)で表される化合物であることが更に好ましい。
【0036】
【0037】
上記式(1-C)中、R1、R4、R7及びnは、上記式(1)で説明したものと同義である。m4’及びm7’は、上記式(1-A)で説明したものと同義である。
【0038】
上記式(1-C)で表される化合物は、合成の簡便性の観点から、下記式(1-D)で表される化合物であることが更に好ましい。
【0039】
【0040】
上記式(1-D)中、R1、R4及びR7は、上記式(1)で説明したものと同義である。m4’及びm7’は、上記式(1-A)で説明したものと同義である。
【0041】
上記式(1-D)で表される化合物は、原料の供給性の観点から、下記式(1-E)で表される化合物であることが更に好ましい。
【0042】
【0043】
上記式(1-E)中、R4及びR7は、上記式(1)で説明したものと同義であり、R8は、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~10のアリール基又は炭素数2~10のアルケニル基である。m4’及びm7’は、上記式(1-A)で説明したものと同義である。
【0044】
上記式(1-E)で表される化合物は、更なる溶剤への溶解性の観点から、下記式(1-F)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0045】
【0046】
上記式(1-C)で表される化合物は、更なる溶剤への溶解性の観点から、下記式(1-G)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0047】
【0048】
以下に、化合物(A)の具体例として、化合物群A~Qを示すが、ここで列挙した限りではない。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
上記化合物群A~D中、R2~R7、m2~m7及びnは、上記式(1)で説明したものと同義である。
【0054】
【0055】
上記化合物群E中、R4~R7及びm4~m7は、上記式(1)で説明したものと同義である。n’は、0~3の整数であり、n”は、1~4の整数である。各繰り返し単位の配列は任意である。R8~R11は、各々独立して炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数2~10のアルケニル基、チオール基又は水酸基である。m8~m11は、各々独立して0~6の整数である。
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
上記化合物群F~H中、R2~R7及びnは、上記式(1)で説明したものと同義である。m2’~m7’は、上記式(1-A)で説明したものと同義である。
【0060】
【0061】
上記化合物群I中、R4~R7は、上記式(1)で説明したものと同義である。m4’~m7’は、上記式(1-A)で説明したものと同義である。n’は、0~3の整数であり、n”は、1~4の整数である。各繰り返し単位の配列は任意である。R8~R11は、各々独立して炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数2~10のアルケニル基、チオール基又は水酸基である。m8’~m11’は、各々独立して0~4の整数である。
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
上記化合物群J~Q中、nは、上記式(1)で説明したものと同義である。n’は、0~3の整数であり、n”は、1~4の整数である。各繰り返し単位の配列は任意である。
【0071】
なお、本実施形態のレジスト下層膜形成組成物において、これらの化合物(A)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0072】
本実施形態において、化合物(A)は、公知の手法を応用して適宜合成することができ、その合成手法は特に限定されない。例えば、常圧下、ビフェノール類、ビチオフェノール類、ビナフトール類、ビチオナフトール類又はビアントラセンオール類と、対応するアルデヒド類又はケトン類とを酸触媒下にて重縮合反応させることによって、化合物(A)を得ることができる。また、必要に応じて、加圧下で行うこともできる。
【0073】
ビフェノール類としては、例えば、ビフェノール、メチルビフェノール等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、ビフェノールを用いることが原料の安定供給性の観点から好ましい。
【0074】
ビチオフェノール類としては、例えば、ビチオフェノール、メチルビチオフェノール、メトキシビチオフェノール等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、ビチオフェノールを用いることが原料の安定供給性の観点から好ましい。
【0075】
ビナフトール類としては、例えば、ビナフトール、メチルビナフトール、メトキシビナフトール等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、ビナフトールを用いることが、炭素原子濃度を上げ、耐熱性を向上させる観点から好ましい。
【0076】
ビチオナフトール類としては、例えば、ビチオナフトール、メチルビチオナフトール、メトキシビチオナフトール等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、ビチオナフトールを用いることが、炭素原子濃度を上げ、耐熱性を向上させる観点から好ましい。
【0077】
ビアントラセンオール類としては、例えば、ビアントラセンオール、メチルビアントラセンオール、及びメトキシビアントラセンオール等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、ビアントラセンオールを用いることが、炭素原子濃度を上げ、耐熱性を向上させる点でより好ましい。
【0078】
アルデヒド類としては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、トリオキサン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、フルオロベンズアルデヒド、クロロベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、ジメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、プロピルベンズアルデヒド、ブチルベンズアルデヒド、シクロヘキシルベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、フルオロベンズアルデヒド、クロロベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、ジメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、プロピルベンズアルデヒド、ブチルベンズアルデヒド、シクロヘキシルベンズアルデヒド、ビフェニルアルデヒド、ナフトアルデヒド、アントラセンカルボキシアルデヒド、フェナントレンカルボキシアルデヒド、ピレンカルボキシアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、ナフタレンジカルボキシアルデヒド、ビフェニルジカルボキシアルデヒド、アントラセンジカルボキシアルデヒド、ビス(ジホルミルフェニル)メタン、ビス(ジホルミルフェニル)プロパン、又はベンゼントリカルボキシアルデヒドを用いることが、高い耐熱性を与える観点から好ましい。
【0079】
ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ノルボルナノン、トリシクロヘキサノン、トリシクロデカノン、アダマンタノン、フルオレノン、ベンゾフルオレノン、アセナフテンキノン、アセナフテノン、アントラキノン等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ノルボルナノン、トリシクロヘキサノン、トリシクロデカノン、アダマンタノン、フルオレノン、ベンゾフルオレノン、アセナフテンキノン、アセナフテノン、アントラキノンを用いることが、高い耐熱性を与える観点から好ましい。
【0080】
化合物(A)の合成の際の重縮合反応に用いる酸触媒については、公知のものから適宜選択して用いることができ、特に限定されない。このような酸触媒としては、無機酸や有機酸が広く知られており、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、フッ酸等の無機酸や、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、蟻酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸等の有機酸や、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素等のルイス酸、或いはケイタングステン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸、リンモリブデン酸等の固体酸等が挙げられるが、これらに限定されない。これらのなかでも、製造上の観点から、有機酸及び固体酸が好ましく、入手の容易さや取り扱い易さ等の製造上の観点から、塩酸又は硫酸を用いることがより好ましい。なお、酸触媒については、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、酸触媒の使用量は、用いる原料及び用いる触媒の種類、更には反応条件等に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、反応原料100質量部に対して、0.01質量部~100質量部であることが好ましい。
【0081】
重縮合反応の際には、反応溶媒を用いてもよい。反応溶媒としては、用いるアルデヒド類又はケトン類と、ビフェノール類、ビチオフェノール類、ビナフトール類、ビチオナフトール類又はビアントラセンオール類との反応が進行するものであれば、特に限定されず、公知のものの中から適宜選択して用いることができる。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル又はこれらの混合溶媒等が例示される。なお、溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0082】
反応溶媒の使用量は、用いる原料及び用いる触媒の種類、更には反応条件等に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、反応原料100質量部に対して0質量部~2000質量部の範囲であることが好ましい。更に、重縮合反応における反応温度は、反応原料の反応性に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、通常10℃~200℃の範囲である。
【0083】
化合物(A)を得るための反応温度は高い方が好ましく、具体的には60℃~200℃の範囲が好ましい。なお、反応方法は、公知の手法を適宜選択して用いることができ、特に限定されないが、例えば、ビフェノール類、ビチオフェノール類、ビナフトール類、ビチオナフトール類又はビアントラセンオール類と、アルデヒド類或いはケトン類と、触媒とを一括で仕込む方法や、ビフェノール類、ビチオフェノール類、ビナフトール類、ビチオナフトール類又はビアントラセンオール類や、アルデヒド類又はケトン類を触媒存在下で滴下していく方法がある。重縮合反応終了後、得られた化合物の単離は、常法に従って行うことができ、特に限定されない。例えば、系内に存在する未反応原料や触媒等を除去するために、反応釜の温度を130℃~230℃にまで上昇させ、1mmHg~50mmHg程度で揮発分を除去する等の一般的手法を採ることにより、目的物である化合物(A)を得ることができる。
【0084】
好ましい反応条件としては、アルデヒド類又はケトン類1モルに対し、ビフェノール類、ビチオフェノール類、ビナフトール類、ビチオナフトール類又はビアントラセンオール類を1.0モル~過剰量、及び酸触媒を0.001モル~1モル使用し、常圧で、50℃~150℃で20分~100時間程度反応させることにより進行する。
【0085】
反応終了後、公知の方法により目的物を単離することができる。例えば、反応液を濃縮し、純水を加えて反応生成物を析出させ、室温まで冷却した後、濾過を行って分離させ、得られた固形物を濾過し、乾燥させた後、カラムクロマトにより、副生成物と分離精製し、溶媒留去、濾過、乾燥を行って、目的物である化合物(A)を得ることができる。
【0086】
レジスト下層膜形成組成物中に含まれる(B)特定構造を有する架橋性化合物とは、下記式(2-1)又は下記式(2-2)で表される化合物(以下、「架橋剤(B)」という。)である。
【0087】
【0088】
上記式(2-1)及び上記式(2-2)中、Q1は、単結合又はm12価の有機基であり、R12及びR15は、各々独立して炭素数2~10のアルキル基又は炭素数1~10のアルコキシ基を有する炭素数2~10のアルキル基であり、R13及びR16は、各々独立して水素原子又はメチル基であり、R14及びR17は、各々独立して炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~40のアリール基である。n12は、1~3の整数であり、n13は、2~5の整数であり、n14は、0~3の整数であり、n15は、0~3の整数であり、これらは、3≦(n12+n13+n14+n15)≦6の関係を有する。n16は、1~3の整数であり、n17は、1~4の整数であり、n18は、0~3の整数であり、n19は、0~3の整数であり、これらは、2≦(n16+n17+n18+n19)≦5の関係を有する。m12は、2~10の整数である。
【0089】
詳しくは、Q1は、単結合であるか、又は炭素原子数1~10の鎖状炭化水素基、炭素原子数6~40の芳香族基、若しくはそれらの組み合わせから選ばれるm12価の有機基とすることができる。ここで、鎖状炭化水素基は、後述するアルキル基を挙げることができる。芳香族基は、後述するアリール基を挙げることができる。
【0090】
炭素原子数2~10のアルキル基としては、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、1-メチル-シクロプロピル基、2-メチル-シクロプロピル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、1,2-ジメチル-n-プロピル基、2,2-ジメチル-n-プロピル基、1-エチル-n-プロピル基、シクロペンチル基、1-メチル-シクロブチル基、2-メチル-シクロブチル基、3-メチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロプロピル基、2,3-ジメチル-シクロプロピル基、1-エチル-シクロプロピル基、2-エチル-シクロプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、3-メチル-n-ペンチル基、4-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1,2-ジメチル-n-ブチル基、1,3-ジメチル-n-ブチル基、2,2-ジメチル-n-ブチル基、2,3-ジメチル-n-ブチル基、3,3-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、2-エチル-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、1,2,2-トリメチル-n-プロピル基、1-エチル-1-メチル-n-プロピル基、1-エチル-2-メチル-n-プロピル基、シクロヘキシル基、1-メチル-シクロペンチル基、2-メチル-シクロペンチル基、3-メチル-シクロペンチル基、1-エチル-シクロブチル基、2-エチル-シクロブチル基、3-エチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロブチル基、1,3-ジメチル-シクロブチル基、2,2-ジメチル-シクロブチル基、2,3-ジメチル-シクロブチル基、2,4-ジメチル-シクロブチル基、3,3-ジメチル-シクロブチル基、1-n-プロピル-シクロプロピル基、2-n-プロピル-シクロプロピル基、1-i-プロピル-シクロプロピル基、2-i-プロピル-シクロプロピル基、1,2,2-トリメチル-シクロプロピル基、1,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、2,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、1-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-1-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-3-メチル-シクロプロピル基等が挙げられる。
【0091】
また、炭素原子数1~10のアルキル基は、上記炭素原子数2~10のアルキル基に、更にメチル基が例示される。
【0092】
炭素原子数1~10のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペントキシ基、1-メチル-n-ブトキシ基、2-メチル-n-ブトキシ基、3-メチル-n-ブトキシ基、1,1-ジメチル-n-プロポキシ基、1,2-ジメチル-n-プロポキシ基、2,2-ジメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-n-プロポキシ基、n-ヘキシルオキシ基、1-メチル-n-ペンチルオキシ基、2-メチル-n-ペンチルオキシ基、3-メチル-n-ペンチルオキシ基、4-メチル-n-ペンチルオキシ基、1,1-ジメチル-n-ブトキシ基、1,2-ジメチル-n-ブトキシ基、1,3-ジメチル-n-ブトキシ基、2,2-ジメチル-n-ブトキシ基、2,3-ジメチル-n-ブトキシ基、3,3-ジメチル-n-ブトキシ基、1-エチル-n-ブトキシ基、2-エチル-n-ブトキシ基、1,1,2-トリメチル-n-プロポキシ基、1,2,2,-トリメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-1-メチル-n-プロポキシ基、1-エチル-2-メチル-n-プロポキシ基等が挙げられる。
【0093】
炭素原子数6~40のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
【0094】
以下に、架橋剤(B)の具体例として、下記式(3-1)~式(3-40)で表される化合物を示すが、ここで列挙した限りではない。
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
なお、本実施形態のレジスト下層膜形成組成物において、これらの架橋剤(B)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0101】
本実施形態において、架橋剤(B)は、公知の手法を応用して適宜合成することができ、その合成手法は特に限定されない。例えば、下記式(2’-1)又は下記式(2’-2)で表される化合物と、ヒドロキシル基含有エーテル化合物又は炭素原子数2~10のアルコールとの反応によって得ることができる。なお、下記式(2’-1)又は下記式(2’-2)で表される化合物1モルに、ヒドロキシル基含有エーテル化合物又は炭素原子数2~10のアルコールが1モルの割合で置換した架橋剤(B)を1置換体、同様に2モル置換した架橋剤(B)を2置換体、同様に3モル置換した架橋剤(B)を3置換体、同様に4モル置換した架橋剤(B)を4置換体とする。
【0102】
【0103】
上記式(2’-1)又は上記式(2’-2)中、Q1’は、単結合又はm12’価の有機基である。即ち、Q1’は、単結合であるか、又は炭素原子数1~10の鎖状炭化水素基、炭素原子数6~40の芳香族基、若しくはそれらの組み合わせから選ばれるm12’価の有機基とすることができる。ここで、鎖状炭化水素基は、上記アルキル基を挙げることができる。芳香族基は、上記アリール基を挙げることができる。
【0104】
また、R12’、R13’、R15’及びR16’は、各々独立して水素原子又はメチル基であり、R14’及びR17’は、各々独立して炭素原子数1~10のアルキル基又は炭素原子数6~40のアリール基である。n12’は、1~3の整数であり、n13’は、2~5の整数であり、n14’は、0~3の整数であり、n15’は、0~3の整数であり、これらは、3≦(n12’+n13’+n14’+n15’)≦6の関係を有する。n16’は、1~3の整数であり、n17’は、1~4の整数であり、n18’は、0~3の整数であり、n19’は、0~3の整数であり、これらは、2≦(n16’+n17’+n18’+n19’)≦5の関係を有する。m12’は、2~10の整数である。
【0105】
以下に、上記式(2’-1)又は上記式(2’-2)で表される化合物の具体例として、下記式(4-1)~下記式(4-27)で表される化合物を示すが、ここで列挙した限りではない。
【0106】
【0107】
【0108】
具体的には、架橋剤(B)は、上記式(2’-1)又は上記式(2’-2)で表される化合物と、ヒドロキシル基含有エーテル化合物又は炭素原子数2~10のアルコールとを、酸触媒の存在下で反応させることにより得られる。
【0109】
酸触媒については、公知のものから適宜選択して用いることができ、特に限定されない。このような酸触媒としては、上述した無機酸や有機酸を用いることができ、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、5-スルホサリチル酸、4-フェノールスルホン酸、カンファースルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸等の酸性化合物を用いることができる。
【0110】
また、反応系に未反応の酸を残存させないために、触媒用イオン交換樹脂を用いることができる。触媒用イオン交換樹脂は、例えば、スルホン酸型の強酸型イオン交換樹脂を用いることができる。
【0111】
ヒドロキシル基含有エーテル化合物としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等を挙げることができる。また、炭素原子数2~10のアルコールとしては、例えば、エタノール、1-プロパノール、2-メチル-1-プロパノール、ブタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノールを挙げることができる。
【0112】
本実施形態のレジスト下層膜形成組成物は、上述した化合物(A)及び架橋剤(B)以外に、必要に応じて後述する溶剤や公知の添加剤を用いることができる。レジスト下層膜形成組成物の固形分は、0.1質量%~70質量%であり、好ましくは0.1質量%~60質量%である。固形分は、レジスト下層膜形成組成物から溶剤を除いた全成分の含有割合である。レジスト下層膜形成組成物は、固形分中に化合物(A)を1質量%~99.9質量%、好ましくは50質量%~99.9質量%、特に好ましくは50質量%~95質量%、最も好ましくは50質量%~90質量%の割合で含有することができる。また、固形分中に架橋剤(B)を0.01質量%~50質量%、好ましくは0.01質量%~40質量%、特に好ましくは0.1質量%~30質量%の割合で含有することができる。
【0113】
なお、レジスト下層膜形成組成物は、必要に応じて架橋剤(B)以外の架橋剤を用いることができる。それらの架橋剤としては、メラミン系、置換尿素系、又はそれらのポリマー系等が挙げられる。好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であり、メトキシメチル化グリコールウリル、ブトキシメチル化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグワナミン、ブトキシメチル化ベンゾグワナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはメトキシメチル化チオ尿素等の化合物である。また、これらの化合物の縮合体も用いることができる。
【0114】
本実施形態のレジスト下層膜形成組成物における各種成分を溶解させる溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトシキ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等を挙げることができる。
【0115】
これらの溶剤は、単独で、又は2種以上を組み合せて用いることができる。或いは、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を混合して用いてもよい。また、これらの溶剤の中で、安全性の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、シクロヘキサノン等を単独で、又は2種以上を組み合せて用いることが好ましい。
【0116】
レジスト下層膜形成組成物には、架橋触媒、界面活性剤、吸光剤、レオロジー調整剤、接着補助剤等の公知の添加剤を用いることができる。
【0117】
上述した化合物(A)と架橋剤(B)との架橋反応を促進するための架橋触媒(E)としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、サリチル酸、5-スルホサリチル酸(5-SSA)、ピリジニウムp-フェノールスルホン酸(PyPSA)、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸(PyPTS)、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸(PyTFMS)、ピリジニウムp-フェノールスルホン酸(PyPSA)、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸(PyPTS)、4-フェノールスルホン酸、カンファースルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸等の酸化合物;2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、その他有機スルホン酸アルキルエステル等の熱酸発生剤;ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩系光酸発生剤類;フェニル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のハロゲン含有化合物系光酸発生剤類;ベンゾイントシレート、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート、ジターシャリーブチルジフェニルヨードニウムノナフルオロメタンスルホナート(例えば、商品名:DTDPI、みどり化学(株)製)等のスルホン酸系光酸発生剤類等を、単独で、又はこれらを組み合わせて用いることができる。これらの架橋触媒の中では、ジターシャリーブチルジフェニルヨードニウムノナフルオロメタンスルホナート(例えば、商品名:DTDPI、みどり化学(株)製)、5-スルホサリチル酸(5-SSA)、ピリジニウムp-フェノールスルホン酸(PyPSA)、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸(PyPTS)、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸(PyTFMS)及び4級元素で一部又は全部がブロックされたトリフルオロメタンスルホン酸(例えば、K-PURE TAG-2689(King Industries社製))を用いることが好ましい。架橋触媒の含有割合は、全固形分に対して、0.0001量%~20質量%、好ましくは0.0005量%~10質量%、更に好ましくは0.01量%~3質量%である。
【0118】
レジスト下層膜形成組成物は、ピンホールやストレーション等の発生がなく、表面むらに対する塗布性を更に向上させるために、界面活性剤を配合することができる。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフエノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤;エフトツプEF301、EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製、商品名)、メガファックF171、F173、R-30(大日本インキ(株)製、商品名)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製、商品名)、アサヒガードAG710、サーフロンSー382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製、商品名)等のフッ素系界面活性剤;オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤は、単独で用いてもよいし、又は2種以上を組み合せて用いることもできる。界面活性剤の含有割合は、レジスト下層膜形成組成物の全固形分に対して通常2.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下である。
【0119】
レジスト下層膜形成組成物で用いる吸光剤としては、例えば、「工業用色素の技術と市場」(CMC出版)や「染料便覧」(有機合成化学協会編)に記載の市販の吸光剤、例えば、C.I.DisperseYellow1,3,4,5,7,8,13,23,31,49,50,51,54,60,64,66,68,79,82,88,90,93,102,114及び124;C.I.DisperseOrange1,5,13,25,29,30,31,44,57,72及び73;C.I.DisperseRed1,5,7,13,17,19,43,50,54,58,65,72,73,88,117,137,143,199及び210;C.I.DisperseViolet43;C.I.DisperseBlue96;C.I.FluorescentBrightening Agent 112,135及び163;C.I.SolventOrange2及び45;C.I.SolventRed1,3,8,23,24,25,27及び49;C.I.PigmentGreen10;C.I.PigmentBrown 2等を挙げることができる。これらの吸光剤の含有割合は、通常、レジスト下層膜形成組成物の全固形分に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。
【0120】
レオロジー調整剤は、主にレジスト下層膜形成組成物の流動性を向上させ、特にベーキング工程において、レジスト下層膜の膜厚均一性の向上やホール内部へのレジスト下層膜形成組成物の充填性を高める目的で添加される。具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体;ジノルマルブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体;ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、ジノニルマレート等のマレイン酸誘導体;メチルオレート、ブチルオレート、テトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体;ノルマルブチルステアレート、グリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体等を挙げることができる。これらのレオロジー調整剤の含有割合は、通常、レジスト下層膜形成組成物の全固形分に対して、30質量%未満である。
【0121】
接着補助剤は、主に基板又はレジストとレジスト下層膜形成組成物の密着性を向上させ、特に現像においてレジストが剥離しないようにするための目的で添加される。具体例としては、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフエニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類;トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類;ヘキサメチルジシラザン、N,N’ービス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類;ビニルトリクロロシラン、γークロロプロピルトリメトキシシラン、γーアミノプロピルトリエトキシシラン、γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン類;ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2ーメルカプトベンズイミダゾール、2ーメルカプトベンゾチアゾール、2ーメルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン等の複素環式化合物;1,1ージメチルウレア、1,3ージメチルウレア等の尿素;チオ尿素化合物等を挙げることができる。これらの接着補助剤の含有割合は、通常、レジスト下層膜形成組成物の全固形分に対して、5質量%未満、好ましくは2質量%未満である。
【0122】
本実施形態のレジスト下層膜形成組成物は、架橋剤(B)に替えて他の架橋性化合物(以下、「架橋剤(C)」という。)を用い、架橋触媒として、後述する架橋触媒(D)を用いてもよい。
【0123】
レジスト下層膜形成組成物中に含まれる架橋剤(C)としては、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、ウレア化合物、エポキシ化合物、チオエポキシ化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルエーテル基などの2重結合を含む化合物であって、メチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基を置換基(架橋性基)として有するもの等を挙げることができる。これらの架橋剤(C)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0124】
上記メラミン化合物の具体例としては、以下に限定されないが、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1~6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1~6個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物などが挙げられる。エポキシ化合物の具体例としては、例えば、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0125】
上記グアナミン化合物の具体例としては、以下に限定されないが、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1~4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1~4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物などが挙げられる。グリコールウリル化合物の具体例としては、例えば、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1~4個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1~4個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物などが挙げられる。ウレア化合物の具体例としては、例えば、テトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1~4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレアなどが挙げられる。
【0126】
上記アルケニルエーテル基を含む化合物の具体例としては、以下に限定されないが、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2-プロパンジオールジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどが挙げられる。
【0127】
これらの中でも、グリコールウリル化合物が好ましく、具体的にはテトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1~4個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1~4個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物が好ましく、テトラメトキシメチルグリコールウリルが好ましい。
【0128】
また、レジスト下層膜形成組成物中に含まれる架橋触媒(D)としては、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、5-スルホサリチル酸、4-フェノールスルホン酸、カンファースルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-フェノールスルホン酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸、2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、ピリジニウムp-フェノールスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸、4級元素で一部又は全部がブロックされたトリフルオロメタンスルホン酸、4級元素で一部又は全部がブロックされたヘキサフルオトアンチモン酸、アミンで一部又は全部がブロックされたドデシルベンゼンスルホン酸、芳香族スルホニウムのヘキサフルオロリン酸塩及び芳香族スルホニウムのヘキサフルオロアンチモン酸塩等を挙げることができる。
4級元素とは、例えば第四級アンモニウムカチオンが挙げられる。
【0129】
これらの中では、5-スルホサリチル酸、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-フェノールスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、4級元素で一部又は全部がブロックされたトリフルオロメタンスルホン酸、4級元素で一部又は全部がブロックされたヘキサフルオロアンチモン酸、アミンで一部又は全部がブロックされたドデシルベンゼンスルホン酸、芳香族スルホニウムのヘキサフルオロリン酸塩及び芳香族スルホニウムのヘキサフルオロアンチモン酸塩が好ましく、特に高耐熱性の観点から、5-スルホサリチル酸(5-SSA)、ピリジニウムp-フェノールスルホン酸(PyPSA)、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸(PyPTS)、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸(PyTFMS)及び4級元素で一部又は全部がブロックされたトリフルオロメタンスルホン酸(例えば、K-PURE TAG-2689(King Industries社製))が好ましい。
【0130】
4級元素で一部又は全部がブロックされたヘキサフルオロアンチモン酸の具体例としてはK-PURE〔登録商標〕CXC-1612、同CXC-1733、4級元素で一部又は全部がブロックされたトリフルオロメタンスルホン酸の具体例としてはK-PURE〔登録商標〕CXC-1614、同TAG-2678、同TAG-2689、アミンで一部又は全部がブロックされたドデシルベンゼンスルホン酸の具体例としては同TAG-2172、同TAG-2179(以上King Industries社製)、芳香族スルホニウムのヘキサフルオロアンチモン酸塩の具体例としては、SI-45、SI-60、SI-80、SI-100及びSI-150(以上三新化学工業(株)製)、芳香族スルホニウムのヘキサフルオロリン酸塩の具体例としては、SI-110(三新化学工業(株)製)が挙げられる。
【0131】
これらの架橋触媒(D)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0132】
本実施形態のレジスト下層膜形成組成物は、特定構造を有する化合物(A)を含んで構成されているため、フォトレジスト下層膜を形成する際に、湿式プロセスが適用可能であり、耐熱性及びエッチング耐性に優れる。また、溶剤溶解性も高い。そのため、これらの化合物を用いることで、高温ベーク時の膜の劣化が抑制され、酸素プラズマエッチング等に対するエッチング耐性にも優れた下層膜を形成することができる。更には、レジスト層との密着性にも優れるので、優れたレジストパターンを形成することができる。
【0133】
また、レジスト下層膜形成組成物は、特定構造を有する架橋剤(B)を含んで構成されているため、反射防止膜としての効果を考慮した場合、光吸収部位が骨格に取りこまれているため、加熱乾燥時にレジスト中への拡散物がなく、また、光吸収部位は十分に大きな吸光性能を有しているため反射光防止効果が高い。加えて、熱安定性が高く、ベーク時の分解物による上層膜への汚染が防げ、また、ベーク時の温度マージンに余裕を持たせることができる。更に、プロセス条件によっては、光の反射を防止する機能と、更には基板とレジストとの相互作用の防止、又はレジストに用いられる材料若しくはレジストへの露光時に生成する物質の基板への悪作用を防ぐ機能とを有する膜としての使用が可能である。
【0134】
なお、レジスト下層膜形成組成物は、架橋剤(B)に替えて架橋剤(C)を用いた組成であっても特定構造を有する化合物(A)による効果が得られる。即ち、レジスト下層膜を形成する際に、湿式プロセスが適用可能であり、耐熱性及びエッチング耐性に優れるため、高温ベーク時の膜の劣化が抑制され、酸素プラズマエッチング等に対するエッチング耐性にも優れた下層膜を形成することができ、更にレジスト層との密着性にも優れるので、優れたレジストパターンを形成することができる。
【0135】
(レジスト下層膜)
本実施形態で用いられるレジストとは、フォトレジストや電子線レジストである。
【0136】
本実施形態におけるレジスト下層膜は、半導体製造プロセスにおけるリソグラフィー用である。レジスト下層膜の上部に塗布されるフォトレジストとしては、ネガ型、ポジ型何れも用いることができ、ノボラック樹脂と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型フォトレジスト;酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト;アルカリ可溶性バインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト;酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト;骨格にシリコン(Si)原子を有するフォトレジスト等が挙げられる。市販のフォトレジストとしては、例えば、ロームアンドハーツ社製の商品名APEX-E等が挙げられる。
【0137】
レジスト下層膜の上部に塗布される電子線レジストとしては、例えば、主鎖にSi-Si結合を含み末端に芳香族環を含んだ樹脂と電子線の照射により酸を発生する酸発生剤から成る組成物や、水酸基がN-カルボキシアミンを含む有機基で置換されたポリ(p-ヒドロキシスチレン)と電子線の照射により酸を発生する酸発生剤から成る組成物等が挙げられる。後者の電子線レジストの組成物では、電子線照射によって酸発生剤から生じた酸がポリマー側鎖のN-カルボキシアミノキシ基と反応し、ポリマー側鎖が水酸基に分解しアルカリ可溶性を示しアルカリ現像液に溶解し、レジストパターンを形成するものである。
【0138】
この電子線の照射により酸を発生する酸発生剤としては、1,1-ビス[p-クロロフェニル]-2,2,2-トリクロロエタン、1,1-ビス[p-メトキシフェニル]-2,2,2-トリクロロエタン、1,1-ビス[p-クロロフェニル]-2,2-ジクロロエタン、2-クロロ-6-(トリクロロメチル)ピリジン等のハロゲン化有機化合物;トリフェニルスルフォニウム塩、ジフェニルヨウドニウム塩等のオニウム塩;ニトロベンジルトシレート、ジニトロベンジルトシレート等のスルホン酸エステルが挙げられる。
【0139】
レジスト下層膜形成組成物を用いて形成したレジスト下層膜を有するレジストの現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類;エチルアミン、n-プロピルアミン等の第一アミン類;ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミン等の第二アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩;ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリ類の水溶液を用いることができる。更に、アルカリ類の水溶液に、適当量のイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を添加して用いることもできる。これらの中で好ましい現像液は、第四級アンモニウム塩であり、更に好ましいものは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びコリンである。
【0140】
(レジストパターンの形成方法)
次に、本実施形態のレジストパターンの形成方法について説明する。精密集積回路素子の製造に使用される基板(例えばシリコン/二酸化シリコン被覆、ガラス基板、ITO基板等の透明基板)上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法によりレジスト下層膜形成組成物を塗布して塗布膜を形成した後、ベークして硬化させレジスト下層膜(焼成物)を形成する。ここで、レジスト下層膜の膜厚としては、0.01μm~3.0μmが好ましい。また、塗布後にベークする条件としては、80℃~350℃で0.5分~120分間である。
【0141】
その後、レジスト下層膜上に直接レジストを塗布し、又は、必要に応じて1層~数層のレジスト下層膜形成組成物を1層目のレジスト下層膜上に成膜した後にレジストを塗布し、所定のマスクを通して光又は電子線の照射を行い、現像、リンス、乾燥することにより、良好なレジストパターンを得ることができる。必要に応じて光又は電子線を照射した後、加熱(PEB:PostExposureBake)を行うこともできる。そして、レジストが現像除去された部分のレジスト下層膜をドライエッチングにより除去し、所望のパターンを基板上に形成することができる。
【0142】
レジストの露光における露光光は、近紫外線、遠紫外線、極端紫外線(例えば、EUV、波長13.5nm)等の化学線であり、例えば248nm(KrFレーザー光)、193nm(ArFレーザー光)、157nm(F2レーザー光)等の波長の光が用いられる。光照射には、光酸発生剤から酸を発生させることができる方法であれば、特に制限なく用いることができ、好ましくは1mJ/cm2~2000mJ/cm2、更に好ましくは10mJ/cm2~1500mJ/cm2、特に好ましくは50mJ/cm2~1000mJ/cm2の露光量による。また、電子線レジストに対する電子線の照射は、例えば電子線照射装置を用い照射することができる。
【0143】
(半導体装置の製造方法)
本実施形態では、半導体基板上に本実施形態のレジスト下層膜形成組成物によりレジスト下層膜を形成する工程、レジスト下層膜の上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンによりレジスト下層膜をエッチングする工程、及びパターン化されたレジスト下層膜により半導体基板を加工する工程を経て半導体装置を製造することができる。
【0144】
今後、レジストパターンの微細化が進行すると、解像度の問題やレジストパターンが現像後に倒れるという問題が生じ、レジストの薄膜化が望まれてくる。そのため、基板加工に充分なレジストパターンの膜厚を得ることが難しく、レジストパターンだけではなく、レジストと加工する半導体基板との間に作成されるレジスト下層膜にも基板加工時のマスクとしての機能を持たせるプロセスが必要になってきた。このようなプロセス用のレジスト下層膜として、従来の高エッチレート性のレジスト下層膜とは異なり、レジストに近いドライエッチング速度の選択比を持つレジスト下層膜、レジストに比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つレジスト下層膜や、半導体基板に比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つレジスト下層膜が要求されるようになってきている。また、このようなレジスト下層膜には、反射防止能を付与することも可能であり、従来の反射防止膜の機能を併せ持つことができる。
【0145】
一方、微細なレジストパターンを得るために、レジスト下層膜のドライエッチング時に、レジストパターンとレジスト下層膜を、レジスト現像時のパターン幅より細くするプロセスも使用され始めている。このようなプロセス用のレジスト下層膜として、従来の高エッチレート性の反射防止膜とは異なり、レジストに近いドライエッチング速度の選択比を持つレジスト下層膜が要求されるようになってきている。また、このようなレジスト下層膜には、反射防止能を付与することも可能であり、従来の反射防止膜の機能を併せ持つことができる。
【0146】
本実施形態では、基板上に本実施形態のレジスト下層膜を成膜した後、レジスト下層膜上に直接レジストを塗布することができ、又は、必要に応じて1層~数層のレジスト下層膜形成組成物を1層目のレジスト下層膜上に成膜した後にレジストを塗布することができる。これにより、レジストのパターン幅が狭くなり、パターン倒れを防ぐためにレジストを薄く被覆した場合でも、適切なエッチングガスを選択することにより、基板の加工が可能になる。
【0147】
即ち、半導体基板上にレジスト下層膜形成組成物によりレジスト下層膜を形成する工程、レジスト下層膜の上にケイ素成分等を含有する塗膜材料(無機物)によるハードマスク又は蒸着によるハードマスク(例えば、WO2009/104552A1に記載のシリコン含有レジスト下層膜(無機レジスト下層膜)形成組成物をスピンコートで形成する、窒化酸化ケイ素等の無機材料膜をCVD法などで形成する)を形成する工程、ハードマスクの上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、形成されたレジストパターンによりハードマスクをハロゲン系ガスでエッチングする工程、パターン化されたハードマスクによりレジスト下層膜を酸素系ガス又は水素系ガスでエッチングする工程、及びパターン化されたレジスト下層膜によりハロゲン系ガスで半導体基板を加工する工程を経て半導体装置を製造することができる。
【実施例0148】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0149】
(実施例1)
下記式(5)で表される化合物(A)としてレジスト下層膜形成組成物用の樹脂(NeoFARIT7177C-30A)(GPC(標準物質:ポリスチレン)で測定した混合割合:n=0(61%)、n=1(25%)、n=2(9%)、n=4(5%)の混合物)3.33g、下記式(4-23)で表される架橋剤(B)として3,3’,5,5’-テトラメトキシメチル-4,4’-ビスフェノール(商品名:TMOM-BP、本州化学工業(株)製)0.10g、架橋触媒としてジターシャリーブチルジフェニルヨードニウムノナフルオロメタンスルホナート(商品名:DTDPI、みどり化学(株)製)0.01g、及び界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(商品名:R-30N、品名:メガファック、DIC(株)製)0.001gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.67g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15.55gに溶解させ、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0150】
【0151】
【0152】
(実施例2)
上記式(5)で表される化合物(A)としてレジスト下層膜形成組成物用の樹脂(NeoFARIT7177C-30A)3.33g、架橋剤(B)(商品名:PGME-BIP-A、ファインケム(株)製)0.10g、架橋触媒としてジターシャリーブチルジフェニルヨードニウムノナフルオロメタンスルホナート(商品名:DTDPI、みどり化学(株)製)0.01g、及び界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(商品名:R-30N、品名:メガファック、DIC(株)製)0.001gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.67g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15.55gに溶解させ、レジスト下層膜形成組成物を調製した。なお、架橋剤(B)として用いたPGME-BIP-Aは、下記式(3-36)で表される化合物を中心に、下記式(3-33)、下記式(3-34)及び下記式(3-35)でそれぞれ表される化合物が混合されたものである。
【0153】
【0154】
(実施例3)
上記式(5)で表される化合物(A)としてレジスト下層膜形成組成物用の樹脂(NeoFARIT7177C-30A)3.33g、架橋剤(B)として3,3’,5,5’-テトラメトキシメチルー4,4’-ビスフェノール(商品名:TMOM-BP、本州化学工業(株)製)0.10g、架橋触媒として5-スルホサリチル酸0.01g、及び界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(商品名:R-30N、品名:メガファック、DIC(株)製)0.001gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.67g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15.55gに溶解させ、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0155】
(実施例4)
上記式(5)で表される化合物(A)としてレジスト下層膜形成組成物用の樹脂(NeoFARIT7177C-30A)3.33g、架橋剤(B)として3,3’,5,5’-テトラメトキシメチルー4,4’-ビスフェノール(商品名:TMOM-BP、本州化学工業(株)製)0.10g、架橋触媒としてピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸0.01g、及び界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(商品名:R-30N、品名:メガファック、DIC(株)製)0.001gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.67g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15.55gに溶解させ、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0156】
(実施例5)
上記式(5)で表される化合物(A)としてレジスト下層膜形成組成物用の樹脂(NeoFARIT7177C-30A)3.33g、架橋剤(B)として3,3’,5,5’-テトラメトキシメチルー4,4’-ビスフェノール(商品名:TMOM-BP、本州化学工業(株)製)0.10g、架橋触媒としてピリジニウムp-フェノールスルホン酸0.01g、及び界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(商品名:R-30N、品名:メガファック、DIC(株)製)0.001gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.67g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15.55gに溶解させ、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0157】
(実施例6)
上記式(5)で表される化合物(A)としてレジスト下層膜形成組成物用の樹脂(NeoFARIT7177C-30A)3.33g、架橋剤(B)として3,3’,5,5’-テトラメトキシメチルー4,4’-ビスフェノール(商品名:TMOM-BP、本州化学工業(株)製)0.10g、架橋触媒として4級元素で一部又は全部がブロックされたトリフルオロメタンスルホン酸(商品名:K-PURE TAG-2689、King Industries社製)0.01g、及び界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(商品名:R-30N、品名:メガファック、DIC(株)製)0.001gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.67g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15.55gに溶解させ、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0158】
(実施例7)
上記式(5)で表される化合物(A)としてレジスト下層膜形成組成物用の樹脂(NeoFARIT7177C-30A)3.33g、下記式(6)で表されるウレア化合物を基本骨格とする架橋剤(C)として1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(商品名:ニカラック MX-270、三和ケミカル(株)製)0.10g、架橋触媒(D)として5-スルホサリチル酸0.01g、及び界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(商品名:R-30N、品名:メガファック、DIC(株)製)0.001gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.67g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15.55gに溶解させ、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0159】
【0160】
(実施例8)
上記式(5)で表される化合物(A)としてレジスト下層膜形成組成物用の樹脂(NeoFARIT7177C-30A)3.33g、上記式(6)で表されるウレア化合物を基本骨格とする架橋剤(C)として1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(商品名:ニカラック MX-270、三和ケミカル(株)製)0.10g、架橋触媒(D)としてピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸0.01g、及び界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(商品名:R-30N、品名:メガファック、DIC(株)製)0.001gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.67g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15.55gに溶解させ、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0161】
(実施例9)
上記式(5)で表される化合物(A)としてレジスト下層膜形成組成物用の樹脂(NeoFARIT7177C-30A)3.33g、上記式(6)で表されるウレア化合物を基本骨格とする架橋剤(C)として1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(商品名:ニカラック MX-270、三和ケミカル(株)製)0.10g、架橋触媒(D)として下記式(7)で表されるピリジニウムp-フェノールスルホン酸0.01g、及び界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(商品名:R-30N、品名:メガファック、DIC(株)製)0.001gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.67g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15.55gに溶解させ、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0162】
【0163】
(実施例10)
上記式(5)で表される化合物(A)としてレジスト下層膜形成組成物用の樹脂(NeoFARIT7177C-30A)3.33g、上記式(6)で表されるウレア化合物を基本骨格とする架橋剤(C)として1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(商品名:ニカラック MX-270、三和ケミカル(株)製)0.10g、架橋触媒(D)として4級元素で一部又は全部がブロックされたトリフルオロメタンスルホン酸(商品名:K-PURE TAG-2689、King Industries社製)0.01g、及び界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(商品名:R-30N、品名:メガファック、DIC(株)製)0.001gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.67g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15.55gに溶解させ、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0164】
(比較例1)
上記式(5)で表される化合物(A)としてレジスト下層膜形成組成物用の樹脂(NeoFARIT7177C-30A)3.33g、上記式(6)で表されるウレア化合物を基本骨格とする架橋剤(C)として1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(商品名:ニカラック MX-270、三和ケミカル(株)製)0.10g、架橋触媒としてジターシャリーブチルジフェニルヨードニウムノナフルオロメタンスルホナート(商品名:DTDPI、みどり化学(株)製)0.01g、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(商品名:R-30N、品名:メガファック、DIC(株)製)0.001gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.67g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15.55gに溶解させ、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0165】
(昇華物量の測定)
昇華物量の測定は国際公開第2007/111147号パンフレットに記載されている昇華物量測定装置を用いて実施した。まず、直径4インチのシリコンウェハー基板に、実施例1~実施例10、比較例1で調製したレジスト下層膜形成組成物をスピンコーターにて、膜厚50nmとなるように塗布した。レジスト下層膜が塗布されたウェハーをホットプレートが一体化した前記昇華物量測定装置にセットし、120秒間ベークし、昇華物をQCM(Quartz Crystal Microbalance)センサー、すなわち電極が形成された水晶振動子に捕集した。QCMセンサーは、水晶振動子の表面(電極)に昇華物が付着するとその質量に応じて水晶振動子の周波数が変化する(下がる)性質を利用して、微量の質量変化を測定することができる。
【0166】
詳細な測定手順は、以下の通りである。昇華物量測定装置のホットプレートを表1に記載の測定温度に昇温し、ポンプ流量を1m3/sに設定し、最初の60秒間は装置安定化のために放置した。その後直ちに、レジスト下層膜が被覆されたウェハーをスライド口から速やかにホットプレートに乗せ、60秒の時点から180秒の時点(120秒間)の昇華物の捕集を行った。なお、前記昇華物量測定装置のQCMセンサーと捕集ロート部分の接続となるフローアタッチメント(検出部分)にはノズルをつけずに使用し、そのため、センサー(水晶振動子)との距離が30mmのチャンバーユニットの流路(口径:32mm)から、気流が絞られることなく流入する。また、QCMセンサーには、電極として珪素とアルミニウムを主成分とする材料(AlSi)を用い、水晶振動子の直径(センサー直径)が14mm、水晶振動子表面の電極直径が5mm、共振周波数が9MHzのものを用いた。
【0167】
得られた周波数変化を、測定に使用した水晶振動子の固有値からグラムに換算し、レジスト下層膜が塗布されたウェハー1枚の昇華物量と焼成温度との関係を明らかにした。なお、最初の60秒間は装置安定化のために放置した(ウェハーをセットしていない)時間帯であり、ウェハーをホットプレートに載せた60秒の時点から180秒の時点までの測定値がウェハーの昇華物量に関する測定値である。当該装置から定量したレジスト下層膜の昇華物量を昇華物量比として下記表1に示す。なお、昇華物量比とは比較例1のレジスト下層膜から発生した昇華物量を1.00として規格化した値で表す。
【0168】
【0169】
(まとめ)
結果、実施例1~実施例10で調製したレジスト下層膜組成物から得られたレジスト下層膜の昇華物量比は、比較例1のレジスト下層膜形成組成物から発生する昇華物量比よりも少ない。即ち、実施例1~実施例10で適用した架橋剤や架橋触媒は、昇華物の発生量を効果的に抑制することが可能である。